ヤマセ時に津軽海峡で発生する強風
島田照久(1) 沢田雅洋(2) 余偉明(2) 川村宏(1)
(1)東北大学大学院理学研究科 大気海洋変動観測研究センター
(2)東北大学大学院理学研究科 流体地球物理学講座
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日本海へのヤマセに伴う冷気の流出
ヤマセが、津軽海峡付近の地峡を通過して、日本海側で局地的強風を発生させる
MODIS可視画像(2003-06-08T12:16)
SeaWindsの海上風(2003-06-08T10:33)
昼間
夜間
•
•
強風の発生は、ヤマセの冷気と日本海の暖気による東西温度差つまり東
西気圧差に起因するのか?
ヤマセ時の津軽海峡の強風は、日変化するという特徴がある。
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本研究の目的とデータ
目的: 地上気象観測データを中心に用いて、海峡西口の東風発生とその日
変化について調べる。
•海峡西口での東風の発生には、気象官署間の東西気圧差がよい指標となる。
•西口で東風が発生しているときは、海と陸、東と西の温度コントラスト強める傾向にある。
期間:
• 2003年6月を例にして、
• 2000-2008の6,7月の統計解析
データ
• SeaWinds/QuikSCATと
SeaWinds/ADEOS2
• RADARSAT海上風
• 気象官署(丸印)
• アメダス(四角)
• 陸奥湾東湾ブイデータ(三角)
• 高層気象観測(八戸)
• JRA-25再解析データ
江差
函館
むつ
深浦
青森
八戸
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東西気圧差と風速、気温の変動 (函館-深浦の例)
2つの気象官署で観測した海面気圧差と海峡西口の風速との関係を調べる。
函館-深浦の気圧差(実線)と
海峡西口のSeaWindsの東風(-u)
成分(点)
両者は高相関
海峡西口の東風成分
函館-深浦の気温差
東風発達時は気温差が増大
2000-2008
•ヤマセによる冷気と日本海の暖気によって、顕著な
東西温度差、そして東西気圧差を生み出す。この気
圧差が海峡西口の風を強化する。
•適当な2つの気象官署間気圧差が、海峡西口の東
風成分のよい指標になる。
では、どの気象官署の組み合せがよいのか?
函館-深浦の気圧差
4
気圧差を求めるのに適した気象官署の組み合せ
気象官署の各組み合せについての
気圧差と西口の-u成分の相関係数
函館
East side stations
むつ
青森
深浦
八戸
West side stations
江差
青森
AO
江差
ES
深浦
FK
八戸
HC
函館
HK
むつ
MU
0.69
0.82
0.80
0.45
0.76
0.73
0.82
0.88
0.87
RADARSATの海上風(2003-06-09T05:44)
西側
冷気の進入経路から遮断されている地
点が有効(青森と深浦)
相関係数が最大
東側
•海峡の出入り口に近い
•冷気の影響をよく受ける地
•海峡の方向に沿う
点が有効 (3地点)
この後の解析では、
函館-深浦の気圧差>1.0hPaを、海峡西口における東風発生時として統計解析する。
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低気圧の経路と津軽海峡西口の強風発生との関係
6-7月の低気圧の経路(2000-2008)
東風発生時のSLPコンポジット
丸印は、函館-深浦の気圧差
(函館-深浦の気圧差>1.0hPa)
H
L
L
2つの”triggering area”
日本南岸
日本海
-u成分
函館-深浦の気圧差
•オホーツク海高気圧の発達
•日本南岸: 継続的な東風と冷気
移流を誘因
•日本海: 低気圧の接近が、津軽
海峡付近の気圧傾度を強め、短
時間の東風が発生
6
東風発生時の平均気温分布
海峡西口での東風発生の条件(函館-深浦の気圧差>1.0hPa)を用いて、地表気温
分布と東風の日変化との関連を検討する。
6,7月の平均気温分布(20002008)
(函館-深浦の気圧差>1.0 hPaのとき)
東西の気温差が明確にあらわれている。やませの特徴と一致。
7
陸上気温の日変化
東西気温差をつくるのは、 EOF解析では、 EOF2
にみられる。
EOF2の空間パターン
•東西で異符号
再構成したEOF1,2の時系列 (2003年6月、八戸)
•EOF1 (83.9%): エリア全体の変動と日変化を表現
•EOF2 (5.6%): 東西気圧差が正のとき(東風時)は、東側
の地域の日変化を抑える。
東西の熱的コントラストを強めていることを示唆。
EOF1,2の時系列の相関係数
(気圧差>1.0hPaのとき)
8
東風時の表層風の日変化
気温分布の東西コントラストと、風の場との関連を見てみる。
西側の海上
•夜間: 西向き、強風
SeaWinds/QuikSCATと
陸上観測点の風のコンポ
ジット
(気圧差>1.0 hPaのとき)
•昼間: やや南向き
になり、風速減少
•QuikSCATの通過時間ごと
•陸上のベクトルは3倍の長さ
•グレーは8m/s以上の風速域
夜間
昼間
陸上
•夜間: 風速が小さい
•昼間:風速が大きい。
海峡を挟んで発散傾向
•東側と西側、海と陸の
熱的コントラストによっ
て、表層風が引き起こさ
れていることを示唆
9
東西気圧差の経年変化と他の指標との比較
ヤマセの指標とされている他のパラメータと経年変動について比較する。
各指標の6,7月平均値の経年変化
気圧差(函館-深浦)
気温(八戸)
規格化したオホーツク海
高気圧index
(45-60N,140-155E)
•それぞれよく一致し、東西気圧差は気候indexとしても有効。
•強風発生や関連現象の大きな経年変化を示唆。
東西気圧差のインデックスとしてのメリット
•2地点の気圧だけで毎時求めることができる。
•気候値に影響を受けない。
•絶対値に意味がある。(東西気温差や東風の風速を反映)
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まとめ
地上気象観測データを中心に用いて、津軽海峡西口の東風の特定と、東
風時の地表気温を調べた。
•
2つの気象官署(函館-深浦)から求めた東西気圧差は、海峡西口での東風のよい指
標となる。
•
西口で東風が発生しているときは、海と陸、東と西の温度コントラストを強め、表層
風を引き起こすことを示唆。
日本海
北海道
太平洋
熱的コントラストの概念図
夜間
東北
昼間
11
今後の予定
•
今回のケーススタディ(2003年6月510日)について、数値モデルを用いて、
海峡東口、陸奥湾、海峡西口の強風
形成と日変化の違い検証中。
– 山岳地形(恐山、松前半島)の風下や
青森湾での日昇温
– 陸上からの温度移流(下北半島から
陸奥湾、津軽半島から日本海)
•
Daytime
(1500JST)
Nighttime
(0500JST)
2-m気温
(color)
SLP(contour)
10-m風
冬季季節風時の表層風分布について
– 津軽海峡、陸奥湾周辺の構造
– 流入する大気の性質の違い
2000年12月4日13時
12
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