シリーズ:著者の回答
040412
質問-036 ( 040316 Hg社神奈川 デバイス制御 開発部:F.R 様 )
FMEA/FTAの観点から診断機能をどのように捉え、考えれば良いのでしょうか?
「今後の機種は診断機能の強化だ!」と開発上層部や保守センター等、いろいろなところか
ら言われています。
設計の優先度としては第一位ではありませんし、診断する前によくFMEAを実践しておけば故
障しないでしょうし、故障しても影響度や危険度が低いでしょうという事で、当然FMEAの観点
から言えば不要な機能かと思います。(言い過ぎ?)
しかし、お客様やサービス側の立場や、予防保全という観点からすると、無下に不要とも言え
ないと思います。
FTAを行う場合でも早く原因にたどり着くことができると思います。
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シリーズ:著者の回答
040412
コストにも影響が出ますし、診断結果をどこまでエスカレートするか・・・
例えば自己診断で警告を出すまでとするか、ネットまたは公衆回線を介してサービスセンター
に自動転送するか、逆にサービスセンターが常にモニターしていてトラブルが発生しそう、また
は、発生してしまったらサービス部門に対応のアクションを取らせるまで行うのかなど。
これらによりシステム設計(「森」に相当すると思っています)が、全然違ってくると思います。
影響度や危険度が高くても問題に手を打たず診断で済ませてしまうというのは論外ですが、
フェールセーフ等、4つの対策設計思想のどれにも当てはまらないと思います。
診断をするために新たにセンサが追加になることが多いと予測され、センサ自体やセンシン
グシステムのFMEAも実施しなければならず業務もどんどん膨らんでいってしまいますが・・・
國井講師は如何にお考えですか?
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シリーズ:著者の回答
040412
回答 – 036
失礼な表現かもしれませんが、社内外にて、長年、講師をやっておりますが、このような
「高度な質問」をしてくれる設計者は100人中1人ぐらいです。残りの方々は何も悩まない
のか否か、とても心配しています。
とてもうれしい質問内容です!
さて、回答に入りましょう。
1. 診断機能は基本的には必要
端的に言えば、診断機能は必要です。次ページの「FMEAレベル表」に示すように、「検出
能力」が高まるからです。例えば、講義中に説明しましたように、1000枚のコピー作業を頼
まれたとします。999枚目で、コピー画質の真ん中に「黒点」が人間の目で発見されるのと
、コピー1枚目で機械が自己診断するのでは、レベルが「5」→「1」へ激減する訳です。
一方、ファン フェイルの説明もしました。(四角い空冷ファンです)
かつてのファンは、24Vの赤線とリターンの黒線でしたが、最近は、ファンフェイルという
黄色線が付加されています。ファン自身が壊れた時に自己診断機能の信号を発信するた
めです。
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シリーズ:著者の回答
しかし、当初はファンが壊れていないのに、フェイル信号を発信したり、誤受信したりの不
具合も多発しました。発信側、受信側の技術が未熟だったのでしょう。現在は安定してい
ますが。
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040412
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シリーズ:著者の回答
以上の二つの例を以って、ご自身の開発テーマに当て嵌めてみてください。自己診断機
能は、基本的には「リスクレベルを下げる役目」であることを理解してください。
一方、あなたの開発する商品が「10の3乗」、もしくは、「10の4乗」の商品なら、自己診断
機能による遠隔操作サービスなる新しいビスネスもGE(米国)を筆頭に誕生してきている
のです。GEの航空機エンジンや医療用CTスキャナーです。
いずれも、自己診断機能の採用は、適材適所にあって初めて役を成すものであり、フェ
ールセーフ設計思想の代表格と思います。
是非一度、「システム工学設計法」を受講してみませんか? 前記、GEのビデオが鑑賞
できます。
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040412
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シリーズ:著者の回答
2.診断機能は適材適所、そして、フェールセーフ設計思想であること
下記テキストをもう一度良く読んでください。特に、黄色の部分です。「シミュレーション、
各種テスト、またはこれらの組み合わせによって証明できる設計」という記述です。
証明が必要なのです。
設計者はとかく、自信過剰な部分
も多々あり、「証明できました」と言う
でしょう。
ここを深く深く掘りさげていくのが、
「設計FMEA」であり、「FTA」であり、
最終的には設計審査なのです。
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040412
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シリーズ:著者の回答
診断機能は適材適所、ちょっと話題を変えて、
例の「回転ドア事故事件」を見てみましょう。
どうですか?
一歩間違えれば、何の役も成さないセンサー、
自己診断機能も成さないのです。成さないどころ
か、逆効果です。
繰り返しますが、重要なことは・・・
設計者はとかく、自信過剰な部分も多々あり、「
証明できました」と言うでしょう。ここを深く深く掘り
さげていくのが、「設計FMEA」であり、「FTA」であ
り、最終的には設計審査なのです。
キチンと役を成すことが全員設計で確認できて、
はじめて、「診断機能」なのです。
多いに設計FMEAを活用なさってください。
いかがでしょう?
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シリーズ:著者の回答
【補足】
例えば、ここに「自己診断機能」を付加しておけば、重大事故や社告 → リコール
→ 倒産にはならないはずです。
テキスト「ハインリッッヒの法則」、テキスト「スイスチーズモデル」 も復習してお
きましょう。
本Home Pageのトップページからもダウンロードができます。
初めての方は、受講をお勧めいたします。
以上
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FMEAと自己診断機能について