日本語構造伝達文法
動詞テ形音便
[2-4]
動詞テ形音便
この項目は 『日本語構造伝達文法・発展A』 の
A3章の内容に基づいています。
今泉 喜一
2011年 6月
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48は別刷
動詞テ形音便
音便はなぜあるか。 ……発音しやすくするためにある。
発音しやすいとはどういうことか。
走る
走っている
呼ぶ
呼んでいる
言う
鳴く
言っている
ボート
私
kog-
o
te-
鳴いている
/-i
/-Øi
i音便形は発音しやすくなった形。
上の音便形の元の形は?
走る
呼ぶ
走りて 走って
hasir-i=te-Øi=
呼びて 呼んで
yob-i=te-Øi=
/-ru
私-Ø1 ボート-o kog-i=te-Øi=i-ru
こぎ て い る
私-Ø1 ボート-o ko -i=de-Øi=i-ru
こ い で い る
どう発音しやすくなっているか。
動詞テ形音便
この項目で考えようとする問題
① 音便はどういう原則を持つのか。
② 一段動詞はなぜ音便化しないのか。
③ 五段動詞それぞれの音便形はなぜそのような形になるのか。
④ 「買う(w-)」はなぜ促音便になるのか。
⑤ 「飛ぶ(b-)」はなぜ促音便ではなく撥音便になるのか。
⑥ イ音便であるはずの「行く(k-)」はなぜ例外的に促音便となるのか。
⑦ 「泳ぐ(g-)」はなぜテを濁音化するのか。
⑧ 「指す(s-)」はなぜ音便形を持たないのか。
⑨ 「~たい」形表現(飲みたい)はなぜ音便形にならないのか。
⑩ なぜ尊敬4動詞は音便化するのか。
動詞テ形音便
音便の発生
・日本語の単語は元来1~2音節
概念が複雑化
文節が長くなる
複合語化等で多音節化
付属語の増加
め,た,ふる
たなごころ
=て,=べし
ふりて,ふるべし
文節の中のいくつかの単音を,意味を変えずに省略・変音
発音労力合理化
ふりて → ふって
音便発生
・「音便」と呼ばれる現象は平安時代(794~)初期に始まった。
動詞テ形音便
動詞テ形の構造
客
人
鳥
oki-
tat-
nak-
te-
te-
te-
i-
i-
i-
起きている
oki-Øi =te-Øi=i-
立ちている
tat-i =te-Øi=i-
鳴きている
nak-i =te-Øi=i-
起きている
oki-Øi =te-Øi=i-
一段動詞(母音幹動詞)
立ちている
tat-i =te-Øi=i-
五段動詞(子音幹動詞)
鳴きている
nak-i =te-Øi=i-
五段動詞(子音幹動詞)
動詞テ形音便
動詞テ形の構造
客
人
鳥
oki-
tat-
nak-
te-
te-
te-
i-
i-
i-
起きている
oki-Øi =te-Øi=i-
立ちている
tat-i =te-Øi=i-
鳴きている
nak-i =te-Øi=i-
起きている
oki-Øi =te-Øi=i-
一段動詞(母音幹動詞)
立ちている
tat-i =te-Øi=i-
五段動詞(子音幹動詞)
鳴きている
nak-i =te-Øi=i-
五段動詞(子音幹動詞)
動詞テ形音便
人
tattei-
立ちている
tat-i =te-Øi=i-
立ちている
tat-i =te-Øi=i-
動詞テ形音便
口腔図は,松崎寛・河野俊之 『よくわかる音声』(1998)の図を使用。
tat-i =te-
立ちて
平安時代の「ち」は[ti]
人
tattei-
立ちている
tat-i =te-Øi=i-
t
接触
i
接触解除
t
接触
母音 i があるので,一度接触を解除する必要がある。
母音 i を発音しなければ,接触のままでよい。
→ 接触を解除するエネルギーがいらない。
t
音便:
接触(前半)
拍数を保ちつつ,
2回の接触を1回に減じる省力。
i
tat-i =teたって
t
接触(後半)
動詞テ形音便
kaer-i =te-
帰りて
彼
kaertei-
r
接触
i
接触解除
t
接触
母音 i を発音しないで接触を1回に減じる。
[r]音を後ろの[t]音と同じにする。( 逆行同化 )
帰っている
kaer-i =te-Øi=i-
t
音便:
接触(前部)
拍数を保ちつつ,
2回の接触を1回に減じる省力。
i
kaet-i =teかえって
t
接触(後部)
動詞テ形音便
この項目で考えようとする問題
① 音便はどういう原則を持つのか。
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
子音幹動詞
あ
か
さ
た
な
は
ま
や
ら
わ
が
ざ
だ
ば
ぱ
==k==s==t==n==h==m==y==r==w==g==z==d==b==p-
saksastatsinyomtorkawkogtob-
1
2
3
4
5
6
7
8
tat-i =te- (立つ)
kaer-i =te- (帰る)
◎◎●-i =te- (モデル)
ここにある子音は何種類ある?
9種類ある。
w t k s g m n b r
wa ta ku si ga ma na bu ron
私が学ぶ論
9
この9種類の動詞について考えればよい。
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
2回の接触を1回に減じる(1)
第1のパターン
① 立つ tat② 取る tor③ 買う kaw-
-i を省略するパターン
tat-i =tetat-i =tetor-i =tetot-i =tekaɸ-i=teKat -i=te-
③については後述
なぜ ɸ が t になるのか。
w t k s g m n b r
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
2回の接触を1回に減じる(2)
第2のパターン
④ 死ぬ sin⑤ 読む yom-
⑥ 飛ぶ tob-
w t k s g m n b r
-i を省略し,t を有声化するパターン
sin-i =tesin-i =deyom-i =teyon- i =detob-i =teton-i =de-
まず 死ぬ sin- から考える。
動詞テ形音便
sin-i =te-
死にて
彼
sintei-
死んでいる
sin-i =te-Øi=i-
n
[ɲ]
接触
i
接触解除
t
接触
母音 i を発音しないで接触を1回に減じる。
[ɲ]音は鼻音… 後続音を鼻音化( 同化 )… 有声化
[t]は[d]に。
[ɲ]は[t]の影響で歯茎化し[n]に。(逆行同化)
n
接触(前部)
i
sin-i =deしんで
d
接触(後部)
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
2回の接触を1回に減じる(2)
第2のパターン
④ 死ぬ sin⑤ 読む yom-
⑥ 飛ぶ tob-
w t k s g m n b r
-i を省略し,t を有声化するパターン
sin-i =tesin-i =deyom-i =teyon- i =detob-i =teton-i =de-
次は 読む yom-
動詞テ形音便
読んで
yom-i =te-
彼
yomtei-
読んでいる
yom-i =te-Øi=i-
m
i
t
接触
接触
接触解除
母音 i を発音しないで接触を1回に減じる。
[m]音は鼻音… 後続音を鼻音化( 同化 )… 有声化
[t]は[d]に。
[m]は[t]([d])の影響で歯茎化し[n]に。(逆行同化 )
n
接触(前部)
i
yon-i =deよ ん で
d
接触(後部)
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
2回の接触を1回に減じる(2)
第2のパターン
④ 死ぬ sin⑤ 読む yom-
⑥ 飛ぶ tob-
w t k s g m n b r
-i を省略し,t を有声化するパターン
sin-i =tesin-i =deyom-i =teyon- i =detob-i =teton-i =de-
次は 飛ぶ tob-
動詞テ形音便
飛んで
tob-i =te-
彼
tobtei-
飛んでいる
tob-i =te-Øi=i-
b
i
t
接触
接触
接触解除
母音 i を発音しないで接触を1回に減じる。
[b]音は接触解除なしで有声性を保つと [m] になる。
[m]は後続音を有声化…[t]は[d]に。
[m]は[t]([d])の影響で歯茎化し[n]に。(逆行同化)
n
接触(前部)
i
ton-i =deと ん で
d
接触(後部)
動詞テ形音便
この項目で考えようとする問題
① 音便はどういう原則を持つのか。
⑤ 「飛ぶ(b-)」はなぜ促音便ではなく撥音便になるのか。
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
2回の接触を1回に減じる(2)
第2のパターン
④ 死ぬ sin⑤ 読む yom-
⑥ 飛ぶ tob-
w t k s g m n b r
-i を省略し,t を有声化するパターン
sin-i =tesin-i =deyom-i =teyon- i =detob-i =teton-i =de-
次は 第3のパターン
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
2回の接触を1回に減じる(3)
第3のパターン
⑦ 鳴く nak⑧ 泳ぐ oyog-
w t k s g m n b r
子音の接触を省略し,-i を発音するパターン
nak-i =tenak-i =teoyog-i =teoyog-i =de-
まず 鳴く から
動詞テ形音便
鳴いて
nak-i =te-
鳥
naktei-
k
i
t
接触
接触
接触解除
母音 i の省略では[k]での1拍待機……苦しい。
[k]を省略して,接触は[t]だけにする。
その形で接触を1回に減じる。
鳴いている
nak-i =te-Øi=i-
k
i
nak-i =teな いて
t
接触
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
2回の接触を1回に減じる(3)
第3のパターン
⑦ 鳴く nak⑧ 泳ぐ oyog-
w t k s g m n b r
子音の接触を省略し,-i を発音するパターン
nak-i =tenak-i =teoyog-i =teoyog-i =de-
次に 泳ぐ
なぜ で になるのか。
動詞テ形音便
泳いで
oyog-i =te-
彼
oyogtei-
泳いでいる
oyog-i =te-Øi=i-
g [ŋ]
i
t
接触
接触
接触解除
母音 i の省略では[g]での1拍待機……苦しい。
[g]を省略して,接触は[t]だけにする。
音便発生の平安時代,語中の[g]は鼻音[ŋ]だった。
→ [t]は有声化され[d]になった。( 同化 )
g
i
oyog-i =deおよ い で
d
接触
動詞テ形音便
この項目で考えようとする問題
① 音便はどういう原則を持つのか。
⑤ 「飛ぶ(b-)」はなぜ促音便ではなく撥音便になるのか。
⑦ 「泳ぐ(g-)」はなぜテを濁音化するのか。
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
2回の接触を1回に減じる(3)
第3のパターン
⑦ 鳴く nak⑧ 泳ぐ oyog-
w t k s g m n b r
子音の接触を省略し,-i を発音するパターン
nak-i =tenak-i =teoyog-i =teoyog-i =de-
次は 第4のパターン
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
2回の接触を1回に減じる(4)
第4のパターン
⑨ 指す sas-
音便化しないパターン
sas-i =tesas-i =te-
なぜ音便化しないのか。
w t k s g m n b r
動詞テ形音便
指して
sas-i =te-
彼
sastei-
指している
sas-i =te-Øi=i歴史的には一時次の
パターンがあった。
koros-i =tekoros-i =te-
s [ɕ]
i
t
準接触
準解除
接触
[ ɕ ]は摩擦音なので準接触として扱う。
[i]を省略しても,摩擦音なので1拍が保てる。
摩擦は非接触なので,もともと接触は t の1回だけ。
[ɕ]は口蓋化音なので[i]がなくても同じよう。
音便化不必要
s [ɕ]
非接触
i
sas-i =teさ し て
t
接触
動詞テ形音便
この項目で考えようとする問題
① 音便はどういう原則を持つのか。
⑤ 「飛ぶ(b-)」はなぜ促音便ではなく撥音便になるのか。
⑦ 「泳ぐ(g-)」はなぜテを濁音化するのか。
⑧ 「指す(s-)」はなぜ音便形を持たないのか。
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
2回の接触を1回に減じる(1)
第1のパターン
① 立つ tat② 取る tor③ 買う kaw-
w t k s g m n b r
-i を省略するパターン
tat-i =tetat-i =tetor-i =tetot-i =tekaɸ-i=teKat -i=te③については後述
なぜ ɸ が t になるのか。
③ 買う kaw- について考える。
動詞テ形音便
買ひて
kaɸ-i =te-
p>ɸ
彼
kaΦte-
ɸ
i
i-
準接触
準解除
買ひている
kaɸ-i =te-Øi=ikaɸ-i =tekaw-i =te関西
u母音化
kau-i =tekoo-i =te-
関東
逆行同化
kat-i =te-
t
接触
[ɸ]は摩擦音なので準接触。 [i]省略でも1拍保持。
[ɸ]は語中で[w]に(ハ行点呼音) 。[kaɸa]→[kawa]
[w](半母音)……1拍が保てない。
1拍保持のため……関東[w]→[t] (逆行同化)
t
接触(前部)
i
kat-i =teかって
t
接触(後部)
動詞テ形音便
この項目で考えようとする問題
① 音便はどういう原則を持つのか。
④ 「買う(w-)」はなぜ促音便になるのか。
⑤ 「飛ぶ(b-)」はなぜ促音便ではなく撥音便になるのか。
⑦ 「泳ぐ(g-)」はなぜテを濁音化するのか。
⑧ 「指す(s-)」はなぜ音便形を持たないのか。
動詞テ形音便
音便: 拍数を保ちつつ,2回の接触を1回に減じる省力
2回の接触を1回に減じる(1)
第1のパターン
① 立つ tat② 取る tor③ 買う kaw-
w t k s g m n b r
-i を省略するパターン
tat-i =tetat-i =tetor-i =tetot-i =tekaɸ-i=teKat -i=te-
これで一通りすべての音便形について考えたが,まだ一つ
例外的な「行って」が残っている。これに触れることにする。
動詞テ形音便
行きて
yuk-i =te-
彼
yuktei-
ゆきている
yuk-i =te-Øi=iyuk-i =teyuk-i =teit-i =te-
k
接触
i
t
接触解除
接触
yuk-i= → yuk-i= → ik-i=
yuk-i=te- の段階で k を省略すると,拍数が保てない。
ak-i=te, yak-i=te は k を省略しても拍数が保てる。
語幹のk を発音し, yuk-i=te- ,逆行同化で t に変音。
t
接触(前部)
i
it-i =teいって
t
接触(後部)
動詞テ形音便
この項目で考えようとする問題
① 音便はどういう原則を持つのか。
③ 五段動詞それぞれの音便形はなぜそのような形になるのか。
④ 「買う(w-)」はなぜ促音便になるのか。
⑤ 「飛ぶ(b-)」はなぜ促音便ではなく撥音便になるのか。
⑥ イ音便であるはずの「行く(k-)」はなぜ例外的に促音便となるのか。
⑦ 「泳ぐ(g-)」はなぜテを濁音化するのか。
⑧ 「指す(s-)」はなぜ音便形を持たないのか。
動詞テ形音便
音便化一覧表
① t
② r
立つ
取る
③ w
④ n
⑤ m
⑥ b
⑦ k
⑧ g
⑨ s
買う
死ぬ
読む
飛ぶ
鳴く
泳ぐ
指す
tat-i-t tor-i-t kaɸ-i-t sin-i-t yom-i-t tob-i-t nak-i-t oyoŋ-i-t saɕ-i-t
t-i-t
r-i-t
ɸ-i-t
n-i-t
m-i-t
b-i-t
k-i-t
ŋ-i-t
ɕ-i-t
t- -t
r- -t
ɸ- -t
n- -t
m- -t
b- -t
-i-t
ŋ-i-d
ɕ- -t
t- -t
w- -t
n- -d
m- -d
m- -t
n- -d
m- -d
t- -t
-i-d
n- -d
って
って
って
んで
んで
んで
いて
いで
(して)
動詞テ形音便
一段動詞(母音幹動詞)はなぜ音便化しないのか
子音幹動詞は 子音-i=t の2回接触が1回接触になる。→音便化
音便化
立ちている
tat-i =te-Øi=i-
t 接触 i 非接触 t 接触
音便化
鳴きている
nak-i =te-Øi=i-
k 接触 i 非接触 t 接触
母音幹動詞は 子音-i=t の部分がなく,はじめから1回接触。
非音便化
起きている
oki-Øi= te-Øi=i-
i 非接触
t 接触
非音便化
食べている tabe-Øi= te-Øi=i-
e 非接触
t 接触
音便: 拍数を保ち,2回の接触を1回に減じる省力。
一段動詞ははじめから1回の接触しかないので音便化の必要がない。
動詞テ形音便
この項目で考えようとする問題
① 音便はどういう原則を持つのか。
② 一段動詞はなぜ音便化しないのか。
③ 五段動詞それぞれの音便形はなぜそのような形になるのか。
④ 「買う(w-)」はなぜ促音便になるのか。
⑤ 「飛ぶ(b-)」はなぜ促音便ではなく撥音便になるのか。
⑥ イ音便であるはずの「行く(k-)」はなぜ例外的に促音便となるのか。
⑦ 「泳ぐ(g-)」はなぜテを濁音化するのか。
⑧ 「指す(s-)」はなぜ音便形を持たないのか。
動詞テ形音便
同じ環境で音便化しない場合
飲みて
nom-i=te-Øi
飲みた
nom-i=t-Øi=a-Øu
飲みたい nom-i=ta.k-i
飲んで
飲んだ
*飲んだい
彼
nomtei-
nom-i=te-Øi
飲んで
t-
水
o
o
ta
nomta(r)-
nom.k-
nom-i=t-Øi=a-Øu
飲んだ
の構造意味: 出来事が開始後のアスペクト
領域にある。
私
水
私
ta.k-
nom-i=ta.k-i
飲みたい
の構造意味: 動属性の表す事態が現実世界に
実現することを話者が望んでいる。
t- がアスペクトである場合にこの音便化が起こる。
動詞テ形音便
動詞でも音便化しない場合
送り手
吹き倒す
剥ぎ取る
okur-i=te
huk-i=taoshag-i=tor-
音便化する名詞
名詞としての語の個別的な音便化であって,文法的な音便化ではない。
切手
ついたち
kir-i=te
tuki=tati
動詞テ形音便
この項目で考えようとする問題
① 音便はどういう原則を持つのか。
② 一段動詞はなぜ音便化しないのか。
③ 五段動詞それぞれの音便形はなぜそのような形になるのか。
④ 「買う(w-)」はなぜ促音便になるのか。
⑤ 「飛ぶ(b-)」はなぜ促音便ではなく撥音便になるのか。
⑥ イ音便であるはずの「行く(k-)」はなぜ例外的に促音便となるのか。
⑦ 「泳ぐ(g-)」はなぜテを濁音化するのか。
⑧ 「指す(s-)」はなぜ音便形を持たないのか。
⑨ 「~たい」形表現(飲みたい)はなぜ音便形にならないのか。
動詞テ形音便
尊敬4動詞の音便
なさる
泣く甥
+ます → なさります →
なくおい
なさいます
くださる
くださります →
くださいます
おっしゃる
おっしゃります →
おっしゃいます
いらっしゃる
いらっしゃります →
いらっしゃいます
ります → います
これはどんな音便か
動詞テ形音便
尊敬4動詞の音便
ります → います
こちら
先生
弟
本
先生
電車
ni
(発話者意識)
de
irase-
ni o
(発話者意識)
ni
kudas-
-armas-
kudas-ar-i=masくださいます
-(r)ar- は
尊敬(受動)の
態詞(助動詞)
-rarmas-
ir-as-e-rar-i=masir-ass- yar-i=masいらっしゃいます
動詞テ形音便
尊敬4動詞の音便
くださいます
kudas-ar-i=mas接 接
触 触
接
触
解
除
2回の接触を1回に減らすために
r
を省略。
kudas-ar-i=mas-
動詞テ形音便
尊敬4動詞の音便
なさる
nas-ar-i=mas-
くださる
kudas-ar-i=mas-
おっしゃる
ohose-rar-i=maso s s y ar-
いらっしゃる
ir-as-e-rar-i=masir ass y ar-
ある ar-, 計る hakar- は なぜこの音便化を生じない?
動詞テ形音便
尊敬4動詞の音便
ござる → ござります → ございます
これは 尊敬4動詞の音便と似ている。
だが違う。
go-za(-ni) ar-i=masgo-za(-ni) ar-i=mas- go-za(-ni) ar-i=masござあります
go-za(-ni) ar-i=masござります
go-za(-ni) ar-i=masございます
尊敬4動詞の音便のよう。
しかし,この ar- は動詞。
受身(尊敬)の態詞ではない。
ござりんす
go-za(-ni) ar-i=nasござんす
go-za(-ni) ar-i=nasがんす
つまり,いろいろな省略形の中
の一つである。
動詞テ形音便
課題:任意の動詞について音便化を説明してください。
この項目で考えようとする問題
① 音便はどういう原則を持つのか。
② 一段動詞はなぜ音便化しないのか。
③ 五段動詞それぞれの音便形はなぜそのような形になるのか。
④ 「買う(w-)」はなぜ促音便になるのか。
⑤ 「飛ぶ(b-)」はなぜ促音便ではなく撥音便になるのか。
⑥ イ音便であるはずの「行く(k-)」はなぜ例外的に促音便となるのか。
⑦ 「泳ぐ(g-)」はなぜテを濁音化するのか。
⑧ 「指す(s-)」はなぜ音便形を持たないのか。
⑨ 「~たい」形表現(飲みたい)はなぜ音便形にならないのか。
⑩ なぜ尊敬4動詞は音便化するのか。
動詞テ形音便
斎藤純男(1997)『日本語音声学入門』の図
音声器官
調音の位置 (調音点)(静的)
1: 上唇
4: 硬口蓋
2: 上歯
5: 軟口蓋
ジョウシン
コウ コウ ガイ
ジョウ シ
ナン コウ ガイ
3: 上歯茎
ジョウ シ ケイ
6: 口蓋垂
コウ ガイ スイ
7: 咽頭壁
イン トウ ヘキ
調音体 (調音者)(動的)
A: 口腔
a: 下唇
d: 前舌
B: 咽頭
b: 舌尖
e: 後舌
C: 鼻腔
c: 舌端
カ シン
コウ コウ
ゼン ゼツ
ゼッ セン
イン トウ
コウ ゼツ
f: 舌根
ゼッ タン
ビ コウ
セイ ドウ
A+B+C: 声道
喉頭から口,鼻の先までの
気流の通り道の全体
ゼッ コン
b+c: 舌先
シタ サキ
g: 喉頭蓋
コウ トウ ガイ
h: 声帯
セイ タイ
i: 喉頭
コウ トウ
j: 気管
キ カン
k: 肺
ハイ
○
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