数学概説 中間試験問題
2013 年 6 月 11 日
問題 1. P, Q, R を命題とする. 次の真理表を完成させよ.
P
○
○
○
○
×
×
×
×
Q
○
○
×
×
○
○
×
×
R
○
×
○
×
○
×
○
×
P ∧Q
○
○
×
×
×
×
×
×
P ∧R
○
×
○
×
×
×
×
×
Q∨R
○
○
○
×
○
○
○
×
(P ∧ Q) ∨ (P ∧ R)
○
○
○
×
×
×
×
×
P ∧ (Q ∨ R)
○
○
○
×
×
×
×
×
ただし, ○は真, ×は偽を表す.
問題 2. X を普遍集合, P (x), Q(x), R(x) を X 上で定義された命題関数とし, 集合 A, B, C を
A = {x ∈ X | P (x)}, B = {x ∈ X | Q(x)}, C = {x ∈ X | R(x)} と定義する.
(1) 次の論理式が真であることを示すことにより, A ∩ (B ∪ C) = (A ∩ B) ∪ (A ∩ C) を
証明せよ.
∀x ∈ X [x ∈ A ∩ (B ∪ C) ⇔ x ∈ (A ∩ B) ∪ (A ∩ C)]
(問題 1 の結果を用いてよい.)
A, B, C の定義より
x ∈ A ≡ P (x), x ∈ B ≡ Q(x), x ∈ C ≡ R(x) である.
また, 共通集合と和集合の定義から任意の x ∈ X に対して
x ∈ A ∩ B ≡ (x ∈ A ∧ x ∈ B), x ∈ A ∪ B ≡ x ∈ A ∨ x ∈ B であるから,
任意の x ∈ X に対して
x ∈ A ∩ (B ∪ C) ≡ P (x) ∧ (Q(x) ∨ R(x))
≡ (P (x) ∧ Q(x)) ∨ (P (x) ∧ R(x)) (∵ 問題 1)
≡ x ∈ (A ∩ B) ∪ (A ∩ C)
(2) ∀x ∈ X [P (x) ⇒ Q(x)] と A ⊂ B が同値であることを示せ.
A ⊂ B の定義は ∀x ∈ X x ∈ A ⇒ x ∈ B であるから
x ∈ A ≡ P (x), x ∈ B ⇒ Q(x) を用いると
∀x ∈ X [P (x) ⇒ Q(x)] ≡ ∀x ∈ X [x ∈ A ⇒ x ∈ B] ≡ A ⊂ B
(3) ¬(A ⊂ B) と同値な論理式を P (x), Q(x) を用いて表せ.
(3) より
¬(A ⊂ B) ≡ ¬[∀x ∈ X [P (x) ⇒ Q(x)]]
≡ ∃x ∈ X ¬[P (x) ⇒ Q(x)]
≡ ∃x ∈ X [P (x) ∧ ¬Q(x)]
1
問題 3. (1) 実数列 {an } が α に収束することの定義を書け.
∀ 実数ε > 0 ∃ 自然数 N ∀ 自然数 n [n ≧ N ⇒ |an − α| < ε]
sin(nπ)
(2) an =
(n = 1, 2, . . .) によって定義される数列は 0 に収束することを定義に
n
したがって証明せよ.
解 1.
任意の正の実数 ε に対して, N >
の公理)
1
ε
である自然数 N は存在する. (アルキメデス
この N に対して, n ≥ N ならば
sin(nπ)
≤ 1 ≤ 1 <ε
−
0
n
n
N
したがって, an は 0 に収束する.
解 2.
任意の自然数 n に対して an = n1 sin(nπ) = 0 なので, 任意の正の実数 ε に対
して
sin(nπ)
=0<ε
−
0
n
が成り立つ. したがって, (1) の定義において, ε に無関係に N = 1 ととれば,
n ≥ N ⇒ |an − 0| < ε が成り立ち, よって, an は 0 に収束する.
注. 解 1 では, ε の値に応じて, N を決めていますが, 解 2 では, ε の値に無関係に
N の値を決めることができるので, (1) の論理式より強い条件である,
∃ 自然数 N ∀ 実数ε > 0 ∀ 自然数 n [n ≧ N ⇒ |an − α| < ε]
が成り立っています.
問題 4. 次の命題が成り立つとき, 実数列 {an } は ∞ に発散するという.
∀ 実数 M ∃ 自然数 N ∀ 自然数 n [n ≥ N ⇒ an > M ]
「実数列 {an } は収束せず, かつ ∞ に発散しない」という命題を論理式で書け.
「収束しない」の論理式は
¬[∃ 実数α ∀ 実数ε > 0 ∃ 自然数 N ∀ 自然数 n (n ≥ N ⇒ |an − α| < ε)]
≡ ∀ 実数α ∃ 実数ε > 0 ∀ 自然数 N ∃ 自然数 n (n ≥ N ∧ |an − α| ≥ ε)
「∞ に 発散しない」の論理式は
¬[∀ 実数 M ∃ 自然数 N ∀ 自然数 n (n ≥ N ⇒ an > M )]
≡ ∃ 実数 M ∀ 自然数 N ∃ 自然数 n (n ≥ N ∧ an ≤ M )
したがって
[∀ 実数α ∃ 実数ε > 0 ∀ 自然数 N ∃ 自然数 n (n ≥ N ∧ |an − α| ≥ ε)]
∧ [∃ 実数 M ∀ 自然数 N ∃ 自然数 n (n ≥ N ∧ an ≤ M )]
となる.
2
(1)
注. ∀ 自然数 N ∃ 自然数 n が共通なので, 命題関数の部分をまとめて書きたくなるが,
∀ 実数α ∃ 実数ε > 0 ∃ 実数 M ∀ 自然数 N ∃ 自然数 n
[(n ≥ N ) ∧ (|an − α| ≥ ε) ∧ (an ≤ M )]
(2)
とするのは間違いである. 例えば
an = {1 − (−1)n }n n = 1, 2, . . .
という数列は, n が偶数のとき 0, 奇数のとき 2n となるので, 収束せず, ∞ に発散する
こともないが, (2) で α = 0 とし, 任意の ε > 0 と M に対して M より大きい自然数 N
をとると, n ≥ N のとき, |an − α| ≥ ε と an ≤ M のどちらか一方しか成り立たない.
命題関数の部分をひとつにまとめるなら,
∀ 実数α ∃ 実数ε > 0 ∃ 実数 M ∀ 自然数 N ∃ 自然数 n1 ∃ 自然数 n2
[(n1 ≥ N ) ∧ (n2 ≥ N ) ∧ (|an1 − α| ≥ ε) ∧ (an2 ≤ M )]
(3)
となる. 存在記号をつけた変数は, 前に出てきた変数ごとに変わりうるので, (1) と (3)
では少し意味が異なる.
例えば, (1) の M は, α に無関係に値が定まらなければならないのに対して, (3) では,
α ごとに異なる M を指定しても良い. 命題関数によっては, 順序を変えると同値にな
らないので注意が必要である.
3
ダウンロード

解答と解説