バイオメカトロニクス研究室
2014 年度
年間研究活動報告書
作成日 2015 年 4 月 22 日
補助事業名
平成 26 年度ロボットの視覚フィードバック制御系設計に関する補助事業
JKA 補助事業により作成
論文一覧
[1] ○井上貴浩,小野由美子,宮田龍一,平井慎一
ピック&プレースを目的とした小型自律移動マニピュレータの開発
日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会, 2015
[2] 山本静果,○宮田龍一,井上貴浩
ポリウレタン丸ベルトのねりじによる関節駆動機構の設計
日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会, 2015
[3] ○井上貴浩,平井慎一
柔軟物ピック&プレースを目指した全方向自律移動ロボットの開発
岡山県立研究機関協議会
研究交流発表会
[4] Takahiro Inoue, Shinichi Hirai,
Why humans can manipulate objects despite a time delay in the nervous system
"The Human Hand as an Inspiration for Robot Hand Development",
Springer Tracts in Advanced Robotics, Vol.95, pp 289-313, Springer-Verlag, 2014.
[5] 井上貴浩, 平井慎一
2 リンクアームにおける逆運動学を利用しない手先位置制御
-関節角仮想目標軌道とベル型速度プロファイル-
日本ロボット学会誌, Vol.32, No.3, pp.307-315, 2014
[6] 井上貴浩
マンマシン共存協調社会におけるロボット機構と制御
OPU フォーラム, 2014 in 岡山国際交流センター
[7] 冨永毅, 井上貴浩
空気圧アクチュエータ拮抗型多関節アームの手先位置制御
日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会, 2014
[8] 舟木義人, 井上貴浩
空気圧人工筋を拮抗配置した回転関節における仮想粘弾性係数同定
日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会, 2014
[9] 井上貴浩, 平井慎一
拮抗腱駆動多関節アームにおける衝撃力緩和と復帰動作
日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会, 2014
[10]井上貴浩,穂苅真樹
回転型倒立振子における異なる二つのサンプリング周期と制御性能評価
日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会, 2014
䢴䣃䢴䢯䣘䢲䢴
ピック&プレースを目的とした小型自律移動マニピュレータの開発
Development of a Small Autonomous Mobile Manipulator for Pick and Place
○正 井上 貴浩(岡山県大)
学 小野 由美子(岡山県大)
学 宮田 龍一(岡山県大) 正 平井 慎一(立命館大)
Takahiro INOUE, Okayama Prefectural. Univ., [email protected]
Yumiko ONO, Okayama Prefectural. Univ.
Ryuichi MIYATA, Okayama Prefectural. Univ.
Shinichi HIRAI, Ritsumeikan Univ., [email protected]
This paper newly develops a small autonomous mobile manipulator that consists of a threejoint manipulator and four-wheeled omni-directional drive mechanisms. The manipulator enables
to position control on the three dimensional space, and the mobile platform can move remaining
its orientation straight and diagonal towards traveling direction, which can be realized by twowheel drive or four-wheel drive. In this paper, we propose a simple and novel traveling control
method so that the mobile robot is able to travel in a straight line on flat ground. This control
strategy is based on the integral computation of a gyro sensor to modify the orientation of the
robot during the traveling. In addition, we achieve that the mobile robot can climb on a slope of
20◦ inclined angle by changing the speed distribution between the four wheels. Finally, this paper
concludes that the small autonomous mobile robot embedded with a three-joint manipulator can
travel stably on irregular terrains.
Key Words: Gyro sensor, Drift, Climbing, Four-wheeled, Omni-directional
1
緒言
forward
食品加工工場や弁当などの製造工場においては,食品や食材の
調理鍋への投入やグルメカップへの盛り付け・パック詰めの作業
を手作業で行っているが,それは所狭しと並ぶ調理機器の存在や
それらによる非直線的な経路に因るところが大きい.加えて,厨
房のように排水溝が部分的あるいは直線的に長く設置されている
ことから,床面にわずかな角度の傾斜が設けられている.このよ
うな環境で上記作業を自動化するためには,旋回が可能で傾斜面
においても安定走行できる自律移動ロボットが必要となる.その
ようなことから,本研究では 3 関節を有するマニピュレータを搭
載可能で,かつ全方向への移動能力を持つオムニホイールを用い
た小型自律移動ロボットを開発する.本稿はその第 1 報として,
DC モータに直結された 4 つのホイールを対向位置に配した移動
台車ロボットを設計開発し,基礎走行実験を行う.また,今後の
自動化工程への導入を想定して,坂道を登坂可能な駆動能力が必
要となる.したがって,本稿で製作する自律移動台車による直進
安定性の検証に加えて,整地および不整地での滑らかな登坂走行
を実現するために,ジャイロセンサを用いた安定走行制御手法を
提案する.
2
θ
+
-
backward
(a) constant command
θ
+
-
duty ratio up
(b) asymmetric command
Fig.3 A schematic view of the robot indicates normal
climbing and controlled climbing by using gyro sensor.
ヨー角をリアルタイムで求め移動台車の姿勢ずれを検知すること
で,坂道においても直線的な登坂が可能な走行手法を提案し,動
作検証を行う.
4 輪型全方向自律移動台車の機構と制御
3
Fig. 1-(a) のように,本稿で設計開発した自律移動台車は「オ
ムニホイール」を対向位置に 4 輪を備えており,Fig. 1-(b)(c) の
ような直流モータの配置となる.また,3 次元空間での手先位置
決め制御が可能な 3 関節機構を有するマニピュレータが搭載さ
れている.モータとホイール間のシャフトは両持ちの支持とし,
自重に起因するラジアル荷重に対するホイールの上下方向への
ずれをベアリングにより抑止している.次に,これらの駆動系は
厚み 5mm のアクリル板(320mm×320mm)に取り付けられて
おり,その上部にマイコンやモータドライバ回路等を配置してい
る.また,自律移動を目的としているため,ジャイロセンサと加
速度センサを最上部に搭載している.本移動台車ロボットの総重
量は 2220g となっている.本稿の実験では,Fig. 1-(d) のような
約 18◦ の坂路をロボットが斜め姿勢を維持しながら 4 輪駆動に
より進む試行を行う.滑り易い床面においては姿勢を崩すことが
頻繁に起こり得る.このとき,ジャイロセンサにより取得される
duty ratio up
ジャイロセンサによる直進走行制御
本章では,ジャイロセンサを用いた直進走行の性能を評価す
る.実験で利用するジャイロセンサや直流モータ,及びモータド
ライバ等を Table 1 に示す.まず,直流モータの駆動は速度制御
用 IC による PWM 制御とし,duty 比により線形的に速度変化
が可能である.また,速度指令において速度分解能は 10bit とな
る.モータのギヤ比は 62:1 であり,ロータリエンコーダの分解
能は 2048 pulse/rot となる.さらに,ジャイロセンサのデータ
取得はマイコンをマスタとする IIC(I2C) 通信で行っており,ク
ロック信号が 480 kHz で動作している.また,ジャイロセンサで
はわずかながら直流成分が出力されるためロボットの姿勢を積分
計算によって求める場合ドリフトが発生する.このドリフト成分
を除去するために,次章で述べるドリフト補正を行い直進性能を
評価する.本実験では幅 1.62 m の通路を走行させ(Fig. 2-(a)),
ジャイロセンサによる姿勢情報をフィードバックしロボットの走
行中の向きを 0◦ に維持したま走行が可能かを検証する.このと
䣐䣱䢰䢢䢳䢷䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢷䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣍䣻䣱䣶䣱䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢳䢹䢯䢳䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢷
䢴䣃䢴䢯䣘䢲䢴䢪䢳䢫
three-joint
manipulator
RX62N
micro computer
motor3
omni-directional
wheel
6.5W
DC motors
motor4
gyro
sensor
motor1
acceleration
sensor
wheeld mobile
platform
18°
motor2
(a) overall view
(b) above angle
(c) back angle
(d) side angle in slope
center line
Fig.1 An omni-directional four-wheel mobile platform developed in this paper.
start line
(a) test course
(c) approx. 11.6 m, 48 sec
(d) approx. 13.5 m, 56 sec
center line
center line
center line
(b) start line
(e) approx. 15.7 m, 65 sec
(f) approx. 17.4 m, 72 sec
orientation [deg]
Fig.2 It shows several snapshots of the experiment of straight driving and its course.
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
-0.1
-0.2
-0.3
-0.4
-0.5
-0.6
-0.7
-0.8
-0.9
-1
Table 1 Robot parts list and specifications
upper limit
parts
Micro controller
DC motor
motor driver
Omni wheel
Gyro sensor
Accel. sensor
left rot.
right rot.
product
RX62N (96MHz)
RE-max24 (6.5W)
TB6612 (3.2A pk.)
TD-48
LSM9DS0 (IIC)
KXR94-2050
manufacturer
Renesas
Maxon motor
Toshiba
Tosa Denshi
ST micro
Kionix
lower limit
0
10
20
30
40
time [s]
50
60
70
80
Fig.4 Experimetal result of straight driving.
きの姿勢制御アルゴリズムは以下の通りである.
Fig. 3 のように,走行中の姿勢角 θ のずれをジャイロセンサの
角速度から算出し,姿勢のずれを解消する方向の 2 輪の duty 比を
増加させる.これを走行中繰り返すことで,正負の姿勢のずれが
生じても安定的な直進走行を実現する.本実験では,まず duty 比
を 80%に設定し通路中央に配置し走行を開始する(Fig. 2-(b)).
走行中のロボットの姿勢角が θ > 0.1◦ ,θ < −0.9◦ を満たすとき,
Fig. 3 のように姿勢を戻す側の 2 輪の duty 比を 15%に増加させ
る.なお,制御周期は 50ms としている.実験結果を Fig. 2-(c),
(d), (e), (f) と Fig. 4 に示す.この結果,ロボットは約 18 m の
位置で右側の壁と接触し停止した.走行途中においては,約 13
m 付近まで安定的な直進走行を実現することができている.ジャ
イロセンサを利用しない予備実験では約 5 m の距離で左側の壁
と接触し停止していることから,直進安定性が格段に向上したと
言える.以上の走行結果を時間軸で図示すると Fig. 4 となるが,
旋回上限となる 0.1◦ を超えたところでモータ速度が増加しロボッ
トの姿勢を元に戻していることが見て取れる.一方で,ロボット
の姿勢は速度配分が切り替わる下限には到達しておらず,左に旋
回しやすい特徴を有することになる.また,Fig. 2 から分かるよ
うに,13 m 程度走行したのちに進路が急激に右に逸れているが,
この原因は現在不明であり今後の検討課題である.
4
整地における登坂制御
4.1 ジャイロセンサのドリフト補正
走行実験の前に予めジャイロセンサにより得られる角速度の積
分により生じるドリフトを補正する.移動ロボットを静止したま
ま一定時間計測した角速度を積分した結果が Fig. 5-(a) である.
ロボットの進行方向から反時計周りを正回転,時計周りを負回転
とすると,結果から分かるように時間に対して負の方向に線形的
に増加するドリフト特性を示す.したがって,本稿では実験経過
時刻ごとのドリフト量を出力値に足し合わせる最も簡易な補正処
理を行う.その結果が Fig. 5-(b) となる.わずかにドリフト量が
残っているが 10s で 0.3◦ 以内に収まっており,走行実験におい
䣐䣱䢰䢢䢳䢷䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢷䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣍䣻䣱䣶䣱䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢳䢹䢯䢳䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢷
䢴䣃䢴䢯䣘䢲䢴䢪䢴䢫
2
orientation angle [deg]
-10
θ = -2.9388 t -070062
-15
-20
-25
goal
1
0.5
4.07m
0
-0.5
-1
-1.5
-2
-30
0
2
4
6
time [s]
8
10
0
12
(a) before compensation
2
4
6
time [s]
8
10
halfway point
12
(b) after compensation
Fig.5 Drift compensation of angular velocity measured
from a gyro sensor.
1.2
start
25
orientation angle [deg]
orientation angle [deg]
goal
1.5
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
-0.2
(a) start
2
4
6
8
10
time [s]
12
14
(a) straight climbing
16
(b) halfway
(c) goal
20
20
15
10
5
0
-5
0
0.8m
orientation [deg]
orientation angle [deg]
0
-5
0
2
4
6
8
time [s]
10
12
14
15
10
5
upper limit
0
lower limit
-5
(b) with initial deviation
-10
Fig.7 Experimental results of climbing control.
0
5
10
15
20
time [s]
25
30
35
40
(d) result of θ
て支障がないと判断されるため,本手法を採用する.
4.2 一定速度指令による登坂走行
本稿では,坂路として木材合板(厚み 9mm のラワンベニヤ)
を 2 枚重ね設置し,ロボットの移動距離を 550mm,傾斜角を 18◦
に設定する.実験環境の一部は Fig. 1-(d) に示している.本節で
はまず,速度指令として duty 比を 20%,40%,60%とし登坂動
作を確認する.ここでは,Fig. 3-(a) のように,4 輪すべてで同
一の duty 比を入力している.登坂時のロボットの姿勢変化を図
示すると Fig. 6 となる.進行方向(登り)に向かって一定割合で
反時計周りにずれを生じていることが分かる.duty 比の上昇に
伴って移動速度も上がることから登坂時間は短くなるが,時間に
対する姿勢変化率はおおむね等しい傾向が見られる.
4.3 ジャイロセンサによる姿勢制御
前節での基礎実験では,直流モータの個体差や 4 輪の配置誤差
等によりロボットの姿勢が反時計周りにずれることが分かった.
そのようなことから,坂路での姿勢維持を実現するためにジャイ
ロセンサにより計算される姿勢角をフィードバックし,直線的な
登坂制御を行う.アルゴリズムは以下の通りである.
まず,duty 比を Fig. 6-(a) と同様に 20%に設定し登坂を開始
する.走行中のロボットの姿勢角が ±1◦ を超えたときに,Fig. 3(b) のように姿勢を戻す側の 2 輪の duty 比を 30%に増加させる.
なお,制御周期は 50ms としている.Fig. 7-(a) から分かるよう
に,1◦ を維持できていることが確認できる.次の実験として,ス
タート後すぐにロボットを持ち上げ姿勢に 20◦ 以上の大きな外乱
を与える.このような状況においても上記アルゴリズムにより坂
路後半において 1◦ の姿勢に収束していることが確認できる.こ
れらの結果は,移動台車の構造的マージンやモータ個体差等の潜
在的誤差をジャイロセンサによりキャンセルできるというセンサ
ベースト制御が可能であることを示唆する.また,路面が湾曲す
るような環境においてホイールに滑りや空転が生じたとしても同
様の効果が予想される.
5
不整地における登坂制御
本章では,ジャイロセンサによる同様の登坂制御アルゴリズム
を用いて,傾斜角が 20◦ となる縞鋼板(不整地)上を走行する実
Fig.8 It shows a climbing process of the robot, in which
the initial duty ratio and the increase algorithm of
speed are decided as 60 % and 10 %, respectively.
験を行う.ここでは,モータの速度配分を切り替える閾値を上下
限で ±2◦ とし,以下の 2 通りの実験を行う.
ex. 1 初期 duty 比を 60 %に設定し,姿勢維持のための速度配
分は 10 %増加
ex. 2 初期 duty 比を 80 %に設定し,姿勢維持のための速度配
分は 15 %増加
まず,ex. 1 の実験結果を Fig. 8 に示す.スタート地点から中間
地点を通ってゴールまで姿勢を崩さずに走行していることが分か
る.制御性能については (d) 図からも分かるように,±2◦ に収ま
るように上記アルゴリズムがうまく機能している.整地での直進
走行と異なる点は姿勢のずれが顕著に大きいことであり,Fig. 4
と比較すると不整地走行においては上下限の両姿勢に到達してい
ることが分かる.同様に,Fig. 7 の整地登坂走行と比較しても同
じ考察が得られる.ロボット姿勢に関するこの差異は,坂路とな
る縞鋼板の凹凸が原因と考えられる.また,ゴール直前において
姿勢が大きく崩れているが,速度配分アルゴリズムにより姿勢を
戻している.
次に,ex. 2 の実験結果を Fig. 9 に示す.ここでは,ベース
となる初期の duty 比が大きいためゴールに到達するまでの時間
が短くなっている.姿勢に関しては同様の速度配分アルゴリズム
により ±2d 以内に収まっていることが分かる.しかし,中間地
点において左側に寄っており,ゴール地点では最も左側にまでず
れを生じている.これは,duty 比が高いために走行速度が全体
的に速くなり,姿勢維持のための速度調整効果が小さくなってい
るためであると考えられる.この結果を図示した (d) 図において
比較的大きく姿勢が崩れていることからもそのような結論に達す
る.これらのような結果に基づいて,今後は横方向へのずれを抑
止するため加速度センサによるフィードバックを導入する予定で
ある.
䣐䣱䢰䢢䢳䢷䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢷䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣍䣻䣱䣶䣱䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢳䢹䢯䢳䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢷
䢴䣃䢴䢯䣘䢲䢴䢪䢵䢫
0
2
4
6
8
10
time [s]
12
14
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
orientation angle [deg]
orientation angle [deg]
orientation angle [deg]
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
0
16
(a) θ in duty ratio 20%
1
2
3
4
time [s]
5
6
7
(b) θ in duty ratio 40%
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
0
0.5
1
1.5
2
2.5
time [s]
3
3.5
4
(c) θ in duty ratio 60%
Fig.6 Experimental results of the robot orientation in climbing, which is obtained under constant velocity command
by PWM pulse.
定である [1–7].
謝 辞
本研究の一部は,公益財団法人 JKA の補助事業(26-144)及び本学
教育力向上支援事業の補助を受けて行われたものである.
halfway point
References
[1] Seraji, H., ”An on-line approach to coordinated mobility and
manipulation”, IEEE Int. Conf. Robotics and Automation,
Vol.1, pp.28–35, 1993.
halfway point
(a) start
[2] Harada, K., Foissotte, T., Tsuji, T., Nagata, K., Yamanobe,
N., Nakamura, A., and Kawai, Y., ”Pick and place planning
for dual-arm manipulators”, IEEE Int. Conf. Robotics and Automation, pp.2281–2286, 2012.
(b) halfway
[3] Yunyi Jia, Ning Xi, and Nieves, E., ”Coordination of a nonholonomic mobile platform and an on-board manipulator”,
IEEE Int. Conf. Robotics and Automation, pp.4356–4361,
2014.
(c) goal
orientation [deg]
6
[4] Chanhun Park, Dongil Park, GwangJo Jung, Doohyung Kim,
KyungTaik Park, Chulhun Park, and Taeyong Choi, ”A robot
manipulator on the mobile platform for an off-road environment”, 14th Int. Conf. Control, Automation and Systems (ICCAS), pp.322–325, 2014.
4
upper limit
2
0
[5] Filipescu, A., Filipescu, S., and Minca, E., ”Hybrid system control of an assembly/disassembly mechatronic line using robotic manipulator mounted on mobile platform”, 7th
Int. Conf. Industrial Electronics and Applications (ICIEA),
pp.447–452, 2012.
-2
lower limit
-4
-6
0
5
10
15
time [s]
20
25
30
(d) result of θ in 80 % duty ratio and 15 % increase
Fig.9 It shows a climbing process of the robot, in which
the initial duty ratio and the increase algorithm of
speed are decided as 80 % and 15 %, respectively.
6
[6] Filipescu, A., Petrea, G., Filipescu, A., and Filipescu, S.,
”Modeling and control of a mechatronics system served by a
mobile platform equipped with manipulator”, 33th Chinese
Control Conf. (CCC), pp.6577–6582, 2014.
[7] Mostafa, S.N., Mostafa, G., and Masoud, M., ”Optimal trajectory planning of a mobile robot with spatial manipulator
for obstacle avoidance”, Int. Conf. Control, Automation and
Systems (ICCAS), pp.314–318, 2010.
結言
本研究では 3 関節を有するマニピュレータを搭載可能で,か
つ全方向への移動能力を持つオムニホイールを用いた小型自律移
動ロボットを開発した.本稿はその第 1 報であり,機構において
は DC モータに直結された 4 つのホイールを対向位置に配してお
り,自律移動型の台車ロボットとして基礎走行実験を行い動作確
認を行った.実験においてはまず,ジャイロセンサによる角速度
を積分することで台車ロボットの姿勢をリアルタイムで取得し,
制御系にフィードバックすることで姿勢を維持したまま約 18 m
直進させることに成功した.また,同様の速度配分アルゴリズム
により 20◦ の傾斜となる登坂走行においても安定的な走行を実現
でき,幅約 0.8 m,距離約 4 m の狭隘な坂路を踏破するするこ
とができた.今後は,開発したマニピュレータを台車ロボットに
実際に搭載し,物体把持のための移動計画手法を提案していく予
䣐䣱䢰䢢䢳䢷䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢷䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣍䣻䣱䣶䣱䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢳䢹䢯䢳䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢷
䢴䣃䢴䢯䣘䢲䢴䢪䢶䢫
䢳䣒䢳䢯䣓䢲䢺
ポリウレタン丸ベルトのねじりによる関節駆動機構の設計
A Drive Mechanism Design with a Round-belt and Its Twist Motion
学 山本 静果(岡山県大) ○学 宮田 龍一(岡山県大)
正 井上 貴浩(岡山県大)
Sizuka YAMAMOTO, Okayama Prefectural. Univ.
Ryuichi MIYATA, Okayama Prefectural. Univ.
Takahiro INOUE, Okayama Prefectural. Univ., [email protected]
This paper newly develops a novel robotic joint mechanism by means of twisting a smalldiameter round-belt, which enables slow movements of the joint rotation unlike direct-drive
actuator mechanisms. The actuator mechanism proposed in this manuscript is composed of a
couple of small-diameter round-belts located at near the joint with opposite configuration. The
two round-belts are twisted by DC motors placed on a motor stage, which can be activated by a
step motor. This novel mechanism realizes that the robotic joint is able to move around its axis
due to contraction forces generated by twisting the both round-belts. That is, these round-belts
act as agonist and antagonist actuators for the robotic joint, which give a human-like compliance
in the joint revolution. Experimental results using the one-link robot proposed show that extremely high position resolution on the joint control can be achieved by the increase/decrease of
twists of the round-belts. In addition, we clearly indicate a relationship between the amount of
twist and the joint angle of the robot. Finally, experimental results can clearly explain that one
DC motor acting for the joint motion activates adaptively in accordance with the slow movement
of the other DC motor moving to the desired angle.
Key Words: Agonist-antagonist joint, Actuator mechanism, Compliance, Motion ontrol, Contraction
force
1
緒言
DCmotor2
DCmotor1
DCmotor1
round-belt
motor stage
ヒトの歩行や走行時に発生する足部による地面との繰り返し接
触を除けば,身体部位のなかで外部環境と積極的に接触する部位
は手先や腕となる.上肢において不意に発生する大きな接触力に
対して力を吸収し傷害を防ぐことが可能である.この要因は,肘
や手首などの関節域が有する高いコンプライアンス性に他ならな
い.衝突時の反射的な瞬時の脱力も可能であるため,対人・対物
への接触時のエネルギー伝達が顕著に抑制される.一方で,上肢
による手先到達運動では極めて高い位置決め性能を有する.加え
て,手先の押し付け力の力分解能が高く,細かな力加減が可能で
ある.このようなヒト特有の巧みさや器用さ,及び柔軟性を総合
的に兼ね備えた実用的なロボット機構や制御に関する研究成果は
見受けられない [1–6].
このような研究背景の下,本研究では接触時のロボットの手先
に (1) 高いコンプライアンス性を付与し,(2) 高精度な関節角制
御と,(3) 高分解能の押し付け力を同時に実現できる上肢下肢ロ
ボットシステムの設計と制御を最終目標に据える.本稿では基礎
研究として,ポリウレタン丸ベルトのねじり弾性を用いて一関節
ロボットを設計し製作する.
従来のアクチュエータを概観すると,例えば一般的な電動アク
チュエータでは出力重量比が低いため,減速機によるトルク増が
不可欠である.その結果,ロボット手先への外力に対するコンプ
ライアンス性は極めて低い.そのようなことから近年,空気圧人
工筋 [7, 8] やワイヤ駆動に基づく非線形バネ機構 [9],及び電磁
アクチュエータ [10] による駆動機構が多く提案されている.し
かしながら,コンプライアンス性がある程度満たされる半面,空
気圧駆動では応答性の低さにより制御性能が劣化し,バネ機構と
電磁アクチュエータでは軸方向の剛性が低いために振動が生じ易
い.その結果,高精度で応答性の良い手先位置決め制御が困難と
なっている.加えて,ロボット手先による押し付け力を制御する
場合,力覚センサを利用することが多い.しかしながら,計測原
理がひずみゲージとブリッジ回路との組み合わせになるため,ア
ナログノイズや量子化誤差の影響を受ける.また,手指の微細な
robot link
round-belt
ot
rob
link
encoders
DCmotor2
(a) above angle
(b) diagonal angle
Fig.1 Overall view of a one link robot with a couple of
round-belt arranged around the robot joint.
力加減の獲得のための触覚センシングにタクタイルセンサを開
発し用いる例も近年多い [11].しかし,アンプによる増幅を介し
た回路構造は変わりがなく,環境との接触時に起こる手先の機械
的チャタリングの発生を抑えることができない.そのようなこと
から,本研究では硬質ポリウレタンを材料とする小径丸ベルトに
ねじり変形を加えることで,ロボットリンクの関節剛性と手先押
し付け力を高い分解能で直接制御できる新しいアクチュエータを
開発する.本研究では,ねじり機構を拮抗配置することで,上記
(1)∼(3) を兼ね備えたアクチュエータシステムを設計し動作検証
を行う.その第 1 報として,本稿では一関節のロボットに市販の
トルク伝動用丸ベルトを拮抗配置し,主動筋と拮抗筋を模した関
節駆動機構を提案する.また,その動作確認を行うことで本駆動
機構の有用性を明らかにする.
2
ロボットの駆動機構と制御回路
2.1 駆動機構
緒言で述べたとおり,本研究では他軸間の 3 次元的トルク伝動
や搬送機器で利用される硬質ポリウレタンを原材料とする小径丸
ベルトを,ロボット関節を駆動するメカニズムとして採用する.
䣐䣱䢰䢢䢳䢷䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢷䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣍䣻䣱䣶䣱䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢳䢹䢯䢳䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢷
䢳䣒䢳䢯䣓䢲䢺䢪䢳䢫
step motor
driver
robot
controller
(a) horseshoe shape bolt
(b) motor stage
RX63N
Fig.3 A robot controller for twisted round-belt actuator
system.
本研究では,丸ベルトにねじりを加えることで発生する収縮力に
よりロボット関節の回転運動を生成する.このような駆動機構を
関節周りに拮抗的に配置することで,ロボットリンクの正転と逆
転を実現できる.Fig. 1 が本稿で設計し開発した一関節ロボット
であり,(a) 図から分かるように周長 260mm の丸ベルトを関節
と DC モータ間で接続している.また,(b) 図のように関節下部
にはエンコーダを配置し,各モータはベアリングとシャフトを介
してモータステージ上に配置されている.この機構により,リン
クが回転したときのベルトの長手方向の角度変化を吸収し,モー
タがベルトと一直線上に並ぶように工夫している.さらに,2 台
の DC モータがモータステージ上に並んでいるが,このステージ
はステッピングモータによって独立に角度制御が可能となってい
る.これにより,両丸ベルトを最大までねじったときにおいても
ステッピングモータによりステージを回転することで,ロボット
リンクを回転させることができる.
続けて,Fig. 2 にはロボットの各部の特徴を示している.(a)
図から分かるように,DC モータと丸ベルトをつなぐために U 字
ボルトをカップリングに取り付けた円板シャフトに固定し,モー
タのトルクにより丸ベルトを容易にねじることができるようにし
ている.(b) 図では,モータステージ上に配置された DC モータ
を示しているが,拮抗配置する丸ベルトに何通りかの角度を持た
せるためにステージ上の 7 か所に等間隔で貫通穴を設けている.
これにより,丸ベルトの配置角度が変化したときのねじり量に対
する関節角度変化を見ることができる.なお,(b) 図では内側か
ら 4 番目の位置に設置している.(c) 図と (d) 図では DC モータ
のずれを抑止するためのシャフトの両端支持機構を示し,丸ベル
トとリンクをつなぐためのシャックルを示している.
2.2 制御回路とドライブ回路
本稿で開発したロボットでは制御回路としてマイクロコンピュー
タを用いており,DC モータ制御には安価な速度制御用ドライバ
を使用している.このドライバは PWM 信号の duty 比により
容易に速度制御が可能であるが,一般的にトルク制御や力制御に
は不向きである.しかしながら,本稿で提案しているロボットは
DC モータの回転により生じる丸ベルトのねじりにより収縮力を
生成する.したがって,最大収縮力を上回るトルク特性を有する
モータを選定することで,ベルト収縮力(引張力)とモータトル
クがつり合う duty 比が存在することになる.そのようなことか
ら,ねじり量(角度)や関節角を制御量とし duty 比を制御入力
とする PI 制御を施すことで,簡易的な力制御の構成が可能とな
る.同様の効果を先行研究においても確認している [12].このよ
2520°
6
5
4
3
2
1
0
0
2
4
6
8
time [s]
10
12
0
14
(a) twist angle φ1
0
2
4
6
8
time [s]
10
12
2
4
6
8
time [s]
10
12
14
(b) number of rot.(φ2 )
2
0
-2
-4
-6
-8
-10
-12
-14
-16
joint angle [deg]
Fig.2 Each characteristic mechanism of the robot.
7
twist rotations
twist angle [deg]
(d) shackle
joint angle [deg]
(c) side angle of the stage
8
390
360
330
300
270
240
210
180
150
120
90
60
30
0
2
0
-2
-4
-6
-8
-10
-12
-14
-16
14
(c) joint angle θ
dotted line: linear approx.
10.1s
10s
10.2s
10.3s
10.4s
10.5s
11s
0
1
2
3
4
5
twist rotations
6
7
8
(d) θ vs. number of rot.
Fig.4 It shows an experimental result of the twist rotation control, which is obtained by using a DC
motor as shown in Fig. 1.
うに,本駆動機構が有する物理特性をうまく利用することで,速
度制御用ドライバの力制御への変換が可能となる.
3
ロボット実験
3.1 丸ベルトのねじり量制御
本節では,丸ベルトのねじり量(回転角)の制御を行う.ここ
では,Fig. 1 の直流モータ 2 に接続された丸ベルトを 7 回転さ
せたときのロボット関節とねじり量との関係を明らかにする.な
お,本実験で利用する制御則はモータ付属のエンコーダ角度を制
御量とする PI 制御であり,ロボットのモータ 2 への指令入力は
角度変数を φ2 とすると次式となる.
∫
u2 (t) = −Kp (φ2 −
φd2 )
− Ki
(φ2 − φd2 )dt.
(1)
ここで,ねじり量とエンコーダ角度が等しいものとする.まず,
実験においては Fig. 1 のようにリンクを真っ直ぐ伸ばした初期
姿勢から丸ベルトの緩みを抑えるための初期ねじり(1 回転)を
与えている.1 回転の制御が収束し安定したのち,φd2 = 2520◦
となる式 (1) によるモータ 2 の回転角度制御を行う.ここで,両
ゲインは Kp = 5.0, Ki = 0.0018 とし,制御周期は 2ms として
いる.
䣐䣱䢰䢢䢳䢷䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢷䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣍䣻䣱䣶䣱䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢳䢹䢯䢳䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢷
䢳䣒䢳䢯䣓䢲䢺䢪䢴䢫
joint angle
rotation angle [deg]
rotation angle [deg]
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
-5
motor stage
angle
0
1
2
3
4
time [s]
5
6
7
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-35
-40
-45
-50
8
joint angle
0
◦
d
1
2
3
4
time [s]
5
6
7
8
◦
d
(a) angles in θ =45
(b) angles in θ =−45
3
3
2.5
2.5
twist rotations
twist rotations
4
motor stage
angle
2
1.5
1
2
1.5
1
0.5
0.5
謝 辞
0
0
0
1
2
3
4
time [s]
5
6
7
8
0
(c) twist rot. φ1
1
2
3
4
time [s]
5
6
7
8
本研究の一部は,公益財団法人 JKA の補助事業(26-144)及び本学
教育力向上支援事業の補助を受けて行われたものである.
(d) twist rot. φ2
Fig.5 It shows successful results of robotic joint control
by means of step motor located behind the motor stage, in which the desired angle is decided as
±45◦ .
Fig. 4 から分かるように,両丸ベルトともに 360◦ に達し,そ
の後 10s において約 1s で 7 回転まで偏差なくねじり量が追従し
ている.さらに,(c) 図から分かるように,ねじり量の増大に伴っ
て関節が大きく回転している.これは,丸ベルトのねじり量が片
方のみ 7 回転まで増大することによって長手方向に収縮しシャッ
クルを介したロボットのリンクが駆動していることを意味する.
加えて,(d) 図から分かるようにねじり量を横軸にし関節角を縦
軸にとると,両変数間にねじり速度の変化にかかわらずある程度
の線形性が存在することが示される.ここで,近似直線は次式と
なる.
θ [deg] = −2.377 φ2 + 2.3,
(φ2 ≥ 1).
結言
本研究では,ロボットの手先や関節にコンプライアンス特性を
付与するための駆動メカニズムとして,トルク伝動に利用される
ポリウレタン小径丸ベルトを関節周りに拮抗配置する機構を設計
開発した.本機構の特徴は,丸ベルトに直流モータでねじりを加
えることで生じる縮み量を制御することにより,他端に接続され
たロボット関節を駆動する点にある.次に,丸ベルトのねじり量
と関節角との間にねじり速度に依存しない線形関係を見出すこと
ができた.また,ロボット関節を制御量とする簡易な PI 制御に
おいて,オーバーシュートのない動的挙動が得られることを明ら
かにした.加えて,2 台の DC モータを搭載したモータステージ
をステッピングモータにより直接回転駆動させることで,ステッ
ピングモータ特有のリニアな関節角度制御が可能であることを示
した.今後は,コンプライアンス特性の定量化のために関節駆動
時の力加減をロードセルにより計測し,手先押し付け力とねじり
量との関係を明らかにする予定である.
(2)
ただし,上式においてねじり量 φ2 の次元は回転数である.
これらの結果により,本稿で提案する小径丸ベルトによる駆動
機構がロボット関節のアクチュエータとして機能することが明ら
かになった.また,本研究ではヒトの筋骨格構造における主動筋
と拮抗筋を模倣するという観点から拮抗配置形態での丸ベルト駆
動メカニズムを開発している.したがって,本節での実験結果か
らエラストマー素材の弾性変形による引張力や収縮力を利用した
アクチュエータ構造がロボット駆動系として幅広く活用できるこ
とが示唆される.
3.2 ステッピングモータによる関節角度制御
本節では,丸ベルトを DC モータにより 3 回転ねじったのちに
ステッピングモータによりステージを回転させ,関節が ±45◦ に
到達した時点でステッピングモータを停止する動作実験を行う.
Fig. 5 の結果から分かるように,関節角度が線形的に増加し目標
角度に収束している.このときのモータステージ(ステッピング
モータ)の時間変化を (a), (b) 図の点線で示している.したがっ
て,関節角度軌道の線形性はステッピングモータ駆動の特徴と言
える.同時に,この動作において丸ベルトにねじりを加えた DC
モータの時間軌道を (c), (d) 図に示している.モータステージが
動き出した 5 s 以降においてもねじり量の変化がないことが理解
できる.これは,関節の回転運動により主動筋と拮抗筋の両丸ベ
ルトがわずかに伸縮しそれぞれの収縮力が増減したとしても,ね
じり量を制御量とする両 DC モータの PI 制御によりねじり量を
維持しているためである.
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ロボット学会誌,Vol.32, No.3, pp.307-315, 2014.
䣐䣱䢰䢢䢳䢷䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢷䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣍䣻䣱䣶䣱䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢳䢹䢯䢳䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢷
䢳䣒䢳䢯䣓䢲䢺䢪䢵䢫
柔軟物ピック&プレースを目指した
全方向自律移動
動ロボットの開発
for 研究交流会2015
井上貴浩(岡山県立大 情報
報工学部 人間情報工学科),平井慎一(立命館大)
人間情報工学科) 平井慎一(立命館大)
 自動化が未達成な分野
 弁当製造におけるグルメカップ,バランなどの配置
 びわや桃などの柔らかい果物の
の収穫と箱入れ作業
(1)柔軟物を把持し操る技術,(2)整
整地・不整地・坂道を自律走行する技術







4輪DCモータ&独立駆動
オムニホイール採用
ジャイロセンサ搭載
加速度センサ搭載
地磁気センサ搭載
車重量 2.2kg
プログラムにより自律走行
RX62N
micro
computer
motor3
gyro
sensor
motor1
motor4
acceleration
sensor
motor2
(1)ジャイロセンサによりロボットの姿勢を維
維持し,整地・不
整地(縞鋼板)を登頂
ロボットの
姿勢が
1d 以内
1deg以内
を維持
(2)下り坂:ホイールのフリーバレルを利用し
して
転がりとブレーキを併用し,電流消費抑制
転がりとブレ
キを併用し,電流消費抑制
±2deg以上の姿勢のずれを
g
検知、すぐに修正できている
普通駆動
駆動+断
断続ブレーキ
フリー+断続ブレーキ
ブ
最も電
最
電流
電流消費量が少ない
電
費
少
Why humans can manipulate objects despite a time delay
in the nervous system
Takahiro Inoue and Shinichi Hirai
1
Introduction
We humans can grasp and manipulate objects with outstanding dexterity thanks to our
highly developed brain, binocular vision, and the abundance of motor and sensory nerves in
our hands and fingers. Human hands have high degrees-of-freedoms, from which sophisticated
movements are generated by the muscles. The human retina in the eye includes photoreceptors, which provide visual feedback during grasping and manipulation. Human hands and
fingers have sensory receptors in their skin, such as Meissner’s corpuscles and Merkel disk
receptors, which provide tactile and haptic feedback during grasping and manipulation. For
their past, most robots exhibit a high performance and an enormously high-speed and precise motion compared with the everyday movements of human beings. Multi-fingered robot
hands with vision and tactile sensors have become available recently. However, there still
exists a large gap between human hands and robot hands. Robot hands cannot perform such
dexterous manipulation as humans can, even although robots outperform humans in terms
of control.
Current technology enables robots to accomplish 1 ms-periodic loop control as a result
of the high performance of computers. In human sensation, sensory signals from visual and
tactile receptors are sent to the cerebellum or the cerebrum, and muscle motion is commanded
via the nervous system. The human nervous system has a relatively large latency of several
tens of milliseconds, which results in slow signal processing; for example, a human cannot
see motion over about 30 Hz. Despite such slow signal processing, humans exhibit high
dexterity in object manipulation. Conversely, if the intrinsic neurophysiological latency that
is expressed as a sum of central motor conduction time (CMCT) [1] and neuromuscular
transmission delay is applied to a controller designed for a robot, it is clear that certain
fatal disadvantages occur in the robot control system. Figure 1 shows a summary of the
neurophysiological latency that stems from the central nervous system (CNS) [3]. Humans
exhibit a high degree of dexterity in object manipulation despite a latency that is too large
for current-generation robots to accept. We have to tackle this paradox to determine the
source of dexterity in human grasping and manipulation so that robot hands can perform
the same dexterous manipulation as humans do.
This chapter describes a novel and simple control law, and demonstrates that stable and
dexterous soft-fingered manipulation can be achieved, even under a delay of up to 100 ms
resulting from the updating of camera images that are utilized for visual feedback by the
robot.
1.1
Related work
Finite element (FE) analysis is often used when studying the deformation of objects, and
it can be used to describe the xdeformation of a hemispherical soft fingertip exactly [5–
1
Delay [msec]
Generation of nerve impulse
1
1
Afferent conduction time
[α axon from muscle to dorsal root.
600 mm at 100 m/s]
6
Central delay
[dorsal root to ventral root]
1
Efferent conduction time
[α axon from ventral root to muscle.
600 mm at 60 m/s]
10
Delay in motor nerve terminal +
neuromuscular transmission delay
2
7
8
18
20
Latent period of EMG
= 20
(sub total)
Delay between onset of electrical
and mechanical responses in muscle
12
= 32
(total)
Total time to start of contraction
EMG output
32
Muscle contraction
Figure 1: Delay in latency from stimulation to onset of CMAP(compound muscle action
potential) [2] is summarized with the exception of the optic [3]. This neurophysiological
latency of human motor control is a result of the sum of the nerve propagation delay, the
neuromuscular transmission delay, and the muscle fiber propagation delay [4].
7]. However, although FE analysis can be used to simulate grasping and manipulation
numerically, it cannot be applied to a theoretical analysis of grasping and manipulation
due to its complex formulation. In other words, FE analysis yields a procedural deformation
model, which enables us to simulate the deformation of objects, but it cannot be applied
to theoretical analysis. According to the principle of Occam’s razor, we should choose a
simple model to analyze and explain grasping and manipulation by soft fingertips. The
Hertzian contact model provides a simple closed-form description of the contact between two
quadratic surfaces of elastic objects [8], however, because the surfaces are assumed to be
open ended, it cannot be applied to a hemispherical elastic fingertip with a rigid backplate.
Arimoto et al. formulated the dynamics of pinching by a pair of soft fingertips [9] and used
a radially distributed deformation model to analyze the mechanics of a soft fingertip [10].
Based on the concept of stability on a manifold, they showed theoretically that a 2-DOF
(degrees-of-freedom) finger and a 1-DOF finger can together realize secure grasping and
posture control [11, 12]. However, from our observations below, in addition to being able to
grasp a rigid object, a pair of 1-DOF fingers with soft hemispherical fingertips can control the
orientation of the object, which calls for a new model. Control laws for soft-fingered grasping
and manipulation have been proposed in [13, 14] based on a radially distributed model. The
proposed laws require an estimation of physical properties. This makes the proposed control
laws sensitive to the delay in the control loop. Recall that humans can grasp and manipulate
an object despite a relatively large delay of several tens of milliseconds in the nervous system,
and it is clear that this calls for a control law that is robust against such a delay.
2
(a) fingertip configuration
(b) object grasping
Figure 2: This shows a classic geometrical configuration of two-fingered grasping by the index
finger and the thumb, in which anatomical terms associated with the finger joints of the
human hand are included. The index finger includes metacarpophalangeal (MP), proximal
interphalangeal (PIP), and distal interphalangeal (DIP) joints. The thumb includes MP and
interphalangeal (IP) joints.
2
Mechanical structure of the human hand
Human fingers have quite an interesting mechanical structure, as shown in Figure 2(a), in
which a clearly parallel space for object pinching appears due to the passively deformable
surface of the skin of the fingertips. Such a space configuration of the fingertip indicates a
capability for extremely easy grasping. In other words, the large area of contact clearly contributes to stable and dexterous manipulation. In the case of the two-fingered manipulation
shown in Figure 2(b), the geometrically opposing structure between the thumb and index
finger plays a critical role in realizing a secure grasping motion, resulting in the construction
of a highly simple and straightforward control strategy for dexterous object manipulation if
a robotic hand were designed using soft materials for the fingers.
In what follows, we demonstrate a quite interesting physical characteristic of pinch motion
by the the human fingers on the basis of a simple vibration test. Figure 3(a) shows a small
wooden stick, on which a 3-axes acceleration sensor is mounted, grasped by the thumb and
the index finger. In this test, an enforced rotational displacement around the pinching point
is given to the stick, and its oscillating motion is shown after the external displacement is
released. Figure 3(b) indicates a strong attenuation of the vibrating region. Note that no
conscious manipulating forces by the two fingers were applied to the stick.
This vibration test implies that some sort of intrinsic mechanical property associated
with human fingers contributes to stable grasping and ideal attenuation. This observation
leads to the conclusion that a more precise fingertip model and formulation are needed to
enable a robotic hand to skillfully grasp an object. In this case, a method of straightforward
expression, including not only mathematical perspectives but also the static and dynamic
characteristics of the fingertip, is rather important to describe the natural vibration. Furthermore, we note that the simplification of the control law for dexterous manipulation can
be realized by means of the physical properties of the human finger.
3
Simple model of the human fingertip
Recently, there exist several related researches focusing on mechanical modeling of the human
fingerpad and verification of dynamic force response which described with an instantaneous
force response and a reduced relaxation function [15–17]. Although these studies validated
3
2.5
2
voltage [V]
1.5
1
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
-2
100
(a) a wooden stick
120
140
160
count
180
200
(b) output of voltage
Figure 3: In this simple test, a 3-axis acceleration sensor (KXM52) is mounted on the end of
a wooden stick. The oscillating trajectory of acceleration was obtained when the stick was
forcibly swung by the initial rotation and its rapid release. It can be seen that the initial
value of the sensor and the steady-state one obtained are different from each other around
the vibration. This discrepancy results from the viscoelastic property of the structure of the
fingertip. Note that no additional or conscious manipulating forces by the two fingers were
applied to the stick.
that the experimental data obtained by sinusoidal displacement input fit well with the elastic
force model, the load configuration to the finger was restricted only to the normal contact
on the fingerpad. As a result, obvious dependence with the variation of contact direction
had not been found. In what follows, the modeling process of soft fingerpad, which is simply
defined as a hemispherical solid shape, is presented. In this formulation, we first indicate the
dependency on contact direction between the soft fingertip and a flat surface.
3.1
Normal deformation model
Let us recall the formulation process of a soft-contact model of a soft fingertip, which was
developed completely in [18,19]. We treat the fingertips as if they had a hemispherical shape
and were composed of an infinite number of virtual linear springs that stand vertically, as
shown in Figure 4. Elastic force F and elastic potential energy P are described as
F
=
P
=
πEd2
,
cos θp
πEd3
,
3 cos2 θp
(1)
(2)
where d is the maximum displacement of the finger, E is the Young’s modulus of its material,
and θp is the relative angle between the finger base and the contacting object. In order to
verify the soft fingertip model, we validated the locus of both equations. Figure 5 shows good
results, in which it can seen that there is a minimal point of each physical quantity, F and P ,
with respect to the contacting angle between the object and the soft fingertip. From these
results, when considering the case of two-fingered grasping, we can see that a couple force
induced by the elastic moment of both fingers arises and contributes to stable grasping. In
addition, with the human fingers, as we grasp an object more forcefully, the stability of the
grasping increases more and more.
4
F
Contact surface z
z
ac
Q
P
C
Object
Q
ac
ac
C
P
ac
θp
θ
a-d
θ
O
Finger
R
a
a
R
x
y
Virtual spring
y
ac
Elliptical
region
dS
y
R
Bottom surface
Φ
C
x
a
x
Figure 4: Model of normal deformation of a soft fingertip
160
50
d= 8 [mm]
140
30
120
P [10 -3 Nm]
F [N]
40
d= 8 [mm]
100
d= 6 [mm]
20
80
60
d= 4 [mm]
40
d= 2 [mm]
20
10
d= 6 [mm]
d= 2 [mm]
d= 4 [mm]
0
-60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60
Orientation θ p [deg]
0
-60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60
Orientation θ p [deg]
(a) elastic force
(b) elastic energy
Figure 5: In both figures, a unique minimal value exists when θp = 0. That is, the elastic
force and its potential energy depend on the contacting angle of a grasped object.
3.2
Model with normal and tangential deformation
While the normal deformation model can express a minimal point of the elastic potential
energy that was revealed in the practical compression test, the model lacks the tangential
deformation that would appear in real manipulation. Let us construct a more precise fingertip
model that includes tangential deformation along the tangential direction shown in Figure 6.
This figure shows an extension of the normal deformation model of a fingertip, in which a
virtual spring having spring constant k is placed vertically inside the fingertip. The spring
can be compressed and deformed in the lateral direction, which corresponds to its bending
motion. We assume that each constant related to compression and bending is equal in this
model. This extended fingertip model can be finally expressed as
}
{
d3n
2
2
+ dn dt tan θp + dn dt .
(3)
P (dn , dt , θp ) = πE
3 cos2 θp
See [18] for detailed deviation. Note that this formula is an equation having three independent
variables, dn , dt , and θp , while the previous one-dimensional model had only two variables,
5
z
Object motion
Normal
displacement
dn
Tangential
displacement
dt
dt
Q
dn
P'
P
θobj
θp
Virtual
spring
a
R
a
x
O
Finger (fixed end)
Figure 6: Model of normal and tangential deformation of a soft fingertip
Wobj
obj
y ∑
x
2 df
θ p1
a-d n2
a-d n1
O2
L
2 df
O1
θ p2
L
θf 2
θobj
y
O
2WB
θf 1
x
Figure 7: Soft-fingered manipulation by two fingers
dn and θp .
Now, let us verify whether the oscillating motion of a grasped object can be seen when this
fingertip model is used in the same vibration test. Let us consider an extremely simple robotic
hand shown in Figure 7, which has two degrees-of-freedom, and then, one whose structure
has the minimal degrees-of-freedom to complete successful grasping by two fingers. As in
the previous test by the human hand (Figure 3(b)), the grasped object oscillates according
to the release of the initial external moment as shown in Figure 8(a). Note that factitious
external moment has been applied to the object at 1 s, and it increases up to 2 s. Finally, the
moment was suddenly released at 2 s. Both the force and elastic energy equations (Eqs. (1)
and (2)) are both breakthrough physical models in the sense that the fingertip model can
duplicate similar vibration. We applied a simple PI controller for articular joint control in
this simulation, in which the desired values of the joint were both 5◦ , as shown in Figure 8(b).
6
8
θ o [deg]
10
6
5
4
0
2
-5
External moment [Nm]
15
8
10
left scale
right scale
Joint angles θ fi [deg]
20
0
0.5
1
1.5
2
Time [sec]
2.5
6
5
4
3
2
θ f1
θ f2
1
0
0
-10
7
0
3
0.5
(a) object vibration
1
1.5
2
Time [sec]
2.5
3
(b) joint PI control
Figure 8: An external moment is applied to the grasped object as per the dotted line throughout the duration from 1 s to 2 s. According to the increase in moment, the object orientation
gradually inclines upward. The subsequent rapid release of the moment provokes a relatively
high-frequency oscillating motion. It can be seen that the finger joints settle back to the
desired joint angle (5◦ ) after the release because of the application of the joint PI controller.
Table 1: Definitions of parameters
parameter
definition
2WB
base width of hand
a
fingertip radius
L
length of each finger
df
thickness of finger
Wo
width of object
Mo
mass of object
Mfi
mass of i-th finger
m
mass of fingertip
θfi
joint angle of i-th finger
θo
orientation angle of object
θpi
(θfi + (−1)i θo )
dni
maximum displacement of i-th fingertip
dti
tangential displacement of i-th fingertip
xo , yo
position of object
Io
inertia of object
Ifi
inertia of finger
4
4.1
Control law for soft-fingered manipulation
Lagrange’s equations of motion
Recalling the simple 2-DOF model of the robotic hand shown in Figure 7 from our previous
studies [18, 19], the Lagrangian of the hand can be written as
L=K −P +
2
∑
λni Cni ,
(4)
i=1
where K and P respectively mean the kinetic energy of the total system and the potential
energy including not only gravitational potential but also elastic energy induced by the
7
8
15
7
Joint angle θ fi [deg]
20
θ o [deg]
10
5
0
-5
-10
6
5
4
3
2
θ f1
θ f2
1
0
0
0.5
1
1.5
2
2.5
time [s]
3
3.5
4
0
(a) object vibration
0.5
1
1.5
2
2.5
time [s]
3
3.5
4
(b) joint PI control
Figure 9: In addition to the vibration test of Figure 8, this shows the dynamic behavior of
object orientation and the joint angles. Unlike the previous test, we kept the external force
at rest for 1 s before releasing. Likewise, the desired value of the joint was set to 5◦ .
deformation of the soft fingertip. Therefore, K and P can be finally described as
P =
2
∑
Pi (dni , dti , θpi ) + Mo g yo +
i=1
2
∑
Mfi g L cos θfi ,
i=1
1
1
1∑
1 ∑ ˙2
1 ∑ ˙2
2
Mo (ẋ2o + ẏo2 ) + Io θ̇o2 +
Ifi θ̇fi
+ m
dni + m
d ,
2
2
2 i=1
2 i=1
2 i=1 ti
2
K=
2
2
where the parameters of the system are defined in Table 1. In addition, the last term of the
right-hand side of Eq.(4) corresponds to the virtual energy due to the constraint forces, λni ,
which appear upon the contact between the object and the soft fingertips. Differentiating
geometric constraints, Cni , with respect to system variables, the direction of λni , dynamically
changing during the manipulation motion, can be clarified. As a result, the equations of
motion of the whole system are described as
d ∂L ∂L ∑
∂ Ċti
−
=
+ fext + u,
λti
dt ∂ q̇
∂q
∂ q̇
i=1
2
(5)
where an external force vector and a control input vector are newly added. Note that the
input, u, corresponds to the input torque applied to the joint angle of the finger. The first
term on the right-hand side of Eq.(5) denotes generalized forces in terms of the Pfaffian
constraint, Ċti . In addition, λti is the constraint forces tangential to the grasped object.
4.2
Simple control law for stable grasping
The results of Figures 3, 5, and 8 indicate that the flexibility of soft fingertips contributes to
secure grasping, as the elastic energy is at its minimum during manipulation. As a result, it
is easy to understand that the controller must be designed so as not to destroy the intrinsic
physical property of the soft fingertips, which acts to realize stable grasping.
Applying a simple PI controller, which is expressed by Eq.(6), to the robot dynamics
described in Eq.(5), the time trajectories of the object and the joints are obtained as shown
in Figure 9.
∫ t
d
d
ui = −KP (θfi − θfi ) − KI
(θfi − θfi
) dτ.
(6)
0
8
d
θo +
τb
d
KI / s
θ fi +
+ ui Robot
KP
+
θfi
hand
KD s
θo
Figure 10: Block diagram of a serial two-phased (STP) controller capable of achieving robust
convergence of object orientation, when grasped by two soft fingertips. The characteristic
of this controller is that desired trajectory of the joint angle in the second stage (Eq.(8)) is
serially coupled and remains constant when the object orientation goes to convergence.
In the above equation, KP and KI denote proportional and integral gains. As a matter of
fact, a controller using Eq.(6) was used in the vibration test shown in Figure 8. In this case,
after having applied the external force continuously to the object, we kept the force at rest
for 1 s. Figure 8(b) shows that both joints converge to the desired angle, indicating that
the error in the finger joints does not remain not only during the release of force, but also
during the duration of the constant external force. Thus, restricted to stable grasping, neither
the object information nor the real-time measurements of grasping forces are necessary, in
designing a controller for robotic hands. Without the mechanical flexibility of the fingertip,
a simplification of the controller design could not be achieved.
4.3
Controller for dexterous manipulation
Let us introduce a very simple controller for achieving precise object manipulation, which
was named serial two-phased (STP) controller in [22]
∫
d
= −(−1)i KI
θfi
ui = −KP (θfi −
t
(θo − θod ) dτ,
0
d
θfi
)
− KD θ̇fi + τb ,
(7)
(8)
where KP , KD , and KI denote proportional, differential, and integral gains, respectively.
This controller can perform precise orientation control of a grasped object even when the
robotic hand has the minimal degrees-of-freedom shown in Figure 7. The block diagram
of the STP controller can be simplified as Figure 10. In addition, the biased torque, τb ,
has a positive constant value and acts to prevent the motor torque ui produced in Eq.(8)
remaining negative. An inner local loop with respect to joint angle, θfi , located within
the block diagram, the desired value is merely a pseudo value of the joint. That is, it is
not necessary that the joint variable converges to its desired value even when the object
orientation has attained a given posture, θod .
5
5.1
Simulation
Simulation of a pair of 1-DOF fingers
Figure 11 shows the simulation results when the desired angle of the object is set to be a
step input such that

 3◦ (0 s ≤ t < 1 s),
8◦ (1 s ≤ t < 2 s),
θod =
(9)

−5◦ (2 s ≤ t < 3 s),
9
15
76.5
10
76
yobj [mm]
xobj [mm]
75.5
5
0
75
74.5
-5
74
-10
73.5
-15
73
0
0.5
1
1.5
Time [s]
2
2.5
3
0
(a) xo vs. time
0.5
1
1.5
Time [s]
2
2.5
3
(b) yo vs. time
15
Desired
θ obj [deg]
10
5
0
-5
Center of gravity
-10
-15
0
0.5
1
1.5
Time [s]
2
2.5
3
(c) θo vs. time
(d) Snapshot of the manipulation
30
15
Desired
25
10
5
15
θ f2 [deg]
θ f1 [deg]
20
10
5
0
0
-5
-10
-15
-5
-20
-10
-25
-15
0
0.5
1
1.5
Time [s]
2
2.5
-30
3
(e) θf1 vs. time
Desired
0
0.5
1
1.5
Time [s]
2
2.5
3
(f) θf2 vs. time
Figure 11: Simulation results show that posture control of an object grasped by a minimalDOF robotic hand can be achieved, although each of the joint angles contains a steady-state
error
10
Tp
Tm
Tp
Tm
Tp
Tm
Tc = Tu
(a) continuous updating of a camera image
Not updated
Not updated
Tp
Tm Tm Tm
Tc
Tc Tc
Tp
Tm Tm Tm
Tu ( Tc = Tu )
(b) irregular updating of a camera image
Figure 12: A conceptual diagram of the time-delayed robotic system in visual feedback
control.
In addition, we set the constant force at τb = 30 Nm and assume that this manipulating
motion is implemented on a vertical plane with gravitational force (Figure 11(d)). Figures 11(a)–(c) depict the trajectory of the grasped object (xo , yo , θo ) with respect to time.
We can see that the STP orientation controller works well so that θo robustly converges to the
desired step trajectory (Figure 11(c)). In particular, it is important to produce the desired
finger angles that satisfy the equivalent positive and negative values of the two fingers. This
simple control structure of the first stage takes advantage of the natural rolling of the target
object along both spherical surfaces of the fingertips. At the same time, the position of the
object goes to a stable equilibrium point together with the orientation convergence, as shown
in Figures 11(a) and (b). In other words, the equilibrium point of (xo , yo , θo ) corresponds
to a local minimum of elastic potential energy with constraints (LMEEwC [18]) during the
manipulation. Figures 11(e) and (f) show the trajectories of both joint angles along with the
d
desired angle, θfi
, which is dynamically produced at the first stage of the controller expressed
by Eq.(7). Here we find that there are very large errors of θf1 and θf2 . Despite this, the
object orientation shows an exact convergence. In fact, these discrepancies of both fingers
play a significant role in achieving orientation control of the grasped object.
5.2
Simulation of a pair of 1-DOF fingers under time delay
Now, let us investigate a case in which a delay in updating information obtained by image
processing exists in a visual feedback control system. Usually, conventional vision systems
have an inevitable time-delay of 33 ms as a result of the video frame rate.
For instance, as shown in Figure 12, the time to access the corresponding area of the
memory, in which a processed image for the visual feedback is saved, becomes extremely
large. As illustrated in Figure 12, let Tc be the robot control period, Tp be the memory
accessing time for image processing, Tm be the sampling time for motor control, and Tu be
the update timing of computed visual information from a captured image. The continuous
updating manner in the upper figure is executed in the case that artificial update delay does
not exist, i.e., Tu = Tc . On the other hand, if the image-update delay is incorporated into
the robot, the periodic time for the motor control becomes extremely short. That is, the
robot control period coincides with the period of motor control, i.e., Tc = Tm . As a result,
Tu ̸= Tc is satisfied. In this simulation, we obtain successful results for object orientation
control when the time delay, Tu , is increased up to 99 ms.
Figure 13 shows that the periodic time of image updating is assumed to be 33 ms. See [20]
in detail. Note that an improved trajectory was obtained by only changing the integral gain
from 0.01 to 1. In addition, we show another result obtained when the updating delay is 99 ms
11
15
15
desired
desired
5
5
θ o [deg]
10
θ o [deg]
10
0
0
-5
-5
-10
-10
-15
0
1
2
3
4
Time [sec]
5
-15
6
0
(a) before improvement
2
3
4
Time [sec]
5
6
(b) after improvement
15
15
desired
desired
10
10
5
θ 2 [deg]
θ 1 [deg]
1
5
0
0
-5
-5
-10
-15
0
1
2
3
4
Time [sec]
(c) θf1 vs.
5
-10
6
0
d
θf1
1
2
3
4
Time [sec]
(d) θf2 vs.
5
6
d
θf2
Figure 13: This result shows an improved trajectory for object orientation, in which the
periodic time of image updating is assumed to be 33 ms. In this result, we set the integral
gain to KI = 0.01 in the case of failure (a) and to KI = 1 in the case of success (b). Note
that the joint angle does not converge to each desired trajectory produced in Eq.(7). That
d
is, the desired angle, θfi
, corresponds to the virtual desired trajectory
(Figure 14). Also in this case, the dynamic response of object orientation was drastically
improved solely by modifying the integral gain from KI = 0.01 to KI = 1. This successful
result stems from the fact that the passive deformation of the soft fingertips contributes
to stable rotation of the object grasped by them. As stated previously, it is found that
admissible deviations between the joint angle and the desired appear clearly at every step.
5.3
Simulation of a robotic hand with multi-DOF fingers
Next, let us describe the Lagrangian of the 5-DOF robotic hand system shown in Figure 15.
It can then be expressed using the mass of the link mij , inertia of the link Iij , acceleration
of gravity g, and Young’s modulus E of the soft fingertip, as follows:
1∑
1
1∑
1
2
+ I12 (θ̇11 + θ̇12 )2
m1j ṗ21j +
m2j ṗ22j + I11 θ̇11
2 j
2 j
2
2
3
L
=
2
1
1
1
2
I13 (θ̇11 + θ̇12 + θ̇13 )2 + I21 θ̇21
+ I22 (θ̇21 + θ̇22 )2
2
2
2
3
2
∑
∑
− g
m1j p1jy − g
m2j p2jy
+
j
− πE
2 {
∑
i
j
d3ni
3 cos2 θ
+
pi
}
d2ni dti
tan θpi +
dni d2ti
+
2
∑
i
12
Cni λni ,
(10)
15
15
desired
desired
5
5
θ o [deg]
10
θ o [deg]
10
0
0
-5
-5
-10
-10
-15
-15
0
1
2
3
4
Time [sec]
5
6
0
(a) before improvement
15
5
6
desired
5
5
θ 2 [deg]
10
θ 1 [deg]
3
4
Time [sec]
15
desired
0
0
-5
-5
-10
-10
-15
1
2
(b) after improvement
10
0
1
2
3
4
Time [sec]
(c) θf1 vs.
5
-15
6
0
d
θf1
1
2
3
4
Time [sec]
(d) θf2 vs.
5
6
d
θf2
Figure 14: This result shows an improved trajectory of object orientation, in which the
periodic time of image updating is assumed to be 99 ms. In this result, we set the integral
gain to KI = 0.01 in the case of failure (a) and to KI = 1 in the case of success (b)
∑r
where the unexplained parameters are detailed in [21]. In the above equation, θpi = k=1 θik +
(−1)i θo with i = 1 and r = 4 for the index finger while i = 2 and r = 3 for the thumb.
Note that the final joints in each finger, θ14 and θ23 , were introduced only for grasping an
object as perpendicularly as possible, as shown in Figure 15(a). Therefore, these joints are
assumed to be fixed at constant angle, that is, θ14 = 15◦ and θ23 = 10◦ are fulfilled during
this simulation study.
Let us consider a case in which a 5-DOF robotic hand performs orientation control of a
grasped object. We attempt to carry out the same object orientation control using only one
finger of the robot. That is, while the STP controller is applied only to the index finger, a
traditional and straightforward PD controller for joint angles is implemented for the thumb.
This novel controller can be represented as a two-phase structure:
∫
d
(11)
θ11
= KI (θod − θo ) dt,
d
u11 = −KP1 (θ11 − θ11
) − KD θ̇11 ,
d
u21 = −KP2 (θ21 − θ21
) − KD θ̇21 .
(12)
(13)
Not having a pseudo desired value for the joint angle, which is generated at the first stage,
the second stage controller for the thumb (Eq.(13)) is not engaged in the orientation control
d
of the object. In this case, θ21
can arbitrarily be set to be a neighborhood value from the
initial joint θ21 of the thumb. The structure of the controller design can be clearly seen from
the block diagrams shown in Figure 16. It is obvious that the controller for the thumb does
not act directly for object orientation control.
In addition, we assume that all joints except the actuated joints, θ11 and θ21 , satisfy a
13
2WB
O
Thumb
Index finger
2 l 11
θ 21
θ 11
2 l 12
θ 12
p22
θo
p12
+
p13
p23
p14
θ 13
2 l 13
2 l 21
p21
p11
θ 22
2 l 22
θ 23
2 l 23
θ 14
2 l 14
Figure 15: Structure of a 5-DOF robotic hand
First phase
d
θo
+
KI / s
Second phase
d
θ 11 +
+
KP
u11 Robot
hand
KD s
θ11
θo
(a) for index finger
Second phase
d
θ 21+
KP
u21 Robot
hand
+
θ21
KD s
(b) for thumb
Figure 16: In these two block diagrams, the upper figure corresponds to the STP controller,
and the control law in the lower figure is a simple PD controller applied to the thumb. The
first stage of the STP controller is eliminated in the lower figure
set of constraint conditions related to angular velocity. These constraints are expressed as
θ̇11 = θ̇12 ,
θ̇12 = θ̇13 ,
θ̇21 = θ̇22 .
(14)
This assumption results from the experimental knowledge that the relative angular velocities
among the distal, middle, and proximal phalanxes are nearly identical to each other, as shown
in Figure 17.
Figure 18 shows a simulation result in which the dotted line of the upper figure is the
desired orientation of the object. Note that the time delay due to the image processing is not
implemented in this case. It is clearly indicated that the object trajectory converges to the
desired one with no error in each time step. Figures 18(b) and (c) show that extremely large
d
d
errors between (θ11 , θ21 ) and (θ11
, θ21
) remain throughout the object orientation control.
This result implies that a discrepancy between the two joints is not important in object
orientation control. As a result, the discrepancy can be defined as an admissible error.
Hence, we conclude that the orientation of the grasped object can be precisely controlled by
just one finger in the sense that θod remains constant in the controller for the thumb.
One reason we consider such a finger movement is that the index finger and the thumb of
the human hand manipulate an object smoothly by making extension and flexion movements
alternately at the fingers. Furthermore, each of the fingers can roll the object dexterously,
14
angle variation [deg]
20
0
distal link
-20
-40
-60
-80
proximal link
-100
0
(a) human hand
1
2
3
4
5
time [s]
6
7
8
9
(b) angular relation
Figure 17: By capturing the movement of the index finger on a 300-fps high-speed camera, it
is shown that the relative relationship that exists among the rotation angles associated with
the DIP, PIP, and MP joints have a certain motional regularity
while the other finger acts solely to maintain stable grasping. This natural movement has
not been achieved to date by conventional robot mechanisms and their control methods.
Finally, we show a simulation result in which 50-ms delay, Tu , exists within the control
loop. It is obviously found that the trajectory of the object orientation converges robustly
to the desired. In this case, this good result was obtained by only increasing the integral
gain, KI , up to 500 times from 0.0002 which was used in the previous simulation indicated
in Figure 18. In fact, the time interval T of Runge-Kutta method used in this analysis is 0.1
ms, which corresponds to the robot control period in practical experiments. Therefore, we
know that the successful trajectory can be achieved when performing 500-times increase of
the integral gain according to 500-times delay arising between the update delay Tu and the
control period T , where T = Tc and Tu ̸= Tc .
6
6.1
Experimental results
A pair of 1-DOF fingers under time delay
As well as the simulations, we give the same task to a soft-fingered robotic hand that is
configured so that two finger have an opposed structure, as shown in Figure 11(d). In this
experiment, we utilize a CCD camera capable of capturing a sequence of grayscale images
at 200 fps. Continuously, the grabbed images are processed to compute object position and
orientation at intervals of 5 ms. Therefore, we intentionally slow the updating of the object
information used for feedback control, that is, the update timing becomes once per 20 times
to simulate a 100-ms updating delay.
Figure 20 shows an experimental result depicting the desired trajectory of the object
orientation, the delayed response, and the improved response are depicted. It is obvious
that the orientation trajectory of the grasped object has been dramatically improved just
by changing the integral gain. However, the improved trajectory tends to become a steplike response because of the large time delay. In addition, it has been clearly clarified that
a discrepancy in joint angles remains throughout the manipulation. In other words, this
consistent error does not have to be eliminated provided the object orientation converges to
d
corresponds to the apparent desired trajectory in the STP
the desired trajectory, that is, θfi
controller.
Next, we show another simulation and experimental results in Figure 21, where the sinu-
15
10
desired trajectory
[deg]
0
θo
5
-5
-10
-15
0
0.5
1
1.5 2
2.5
time [s]
3
3.5
4
(a) trajectory of the object orientation
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-35
-40
-45
-33
desired
desired
-34
θ 11 [deg]
θ21 [deg]
-35
-36
-37
-38
-39
-40
-41
-42
0
0.5
1
1.5
2
2.5
time [s]
3
3.5
4
0
(b) error of θ11
0.5
1
1.5
2
2.5
time [s]
3
3.5
4
(c) error of θ21
Figure 18: This shows successful trajectory tracking of object orientation, when an objcet
is grasped by two fingers. In this case, no time delay is incorporated. No error remains in
the time steps of the trajectory. The STP controller proposed in this section may generate
extremely large errors during manipulation; however, these discrepancies are not fatal errors
in achieving orientation control
soidal desired input for the object orientation, θod , is given in Eq.(7), and the updating delay
is equivalent to 25 ms consistently. It is clearly indicated that the performance of tracking
control is gradually improved as the integral gain increases in both the simulation and the
experiment. In the experimental result, the step-like response starts to increase gradually.
This result stems from the fact that nonlinearity due to Coulomb friction of the finger joint
appears obviously when the joint torque increases according to the change in integral gain.
In addition, the response in the initial state of the experimental results clearly indicates oscillatory appearance. The reason for this is that the response becomes particularly susceptible
to static friction when the angular velocity of the joint is reduced.
6.2
Multi-fingered hand
We have designed a 5-DOF wire-driven robotic hand as shown in Figure 22(a). This robot
has 8 DC motors, and two motors drive each angular joint, as illustrated in Figure 23. The
index finger has 6 pulleys for idle revolution around the MP and PIP joints, and 2 pulleys
fixed at the PIP and DIP joints, as shown in Figure 22(b). A pair of pulleys is positioned
to implement a figure-eight structure capable of achieving the coupled movements of the
DIP and PIP joints of the human finger. The thumb robot has 6 idle-revolution pulleys for
wires, but the figure-eight structure is not used in this design. At the ends of both of the
16
10
desired
θ o [deg]
5
0
-5
-10
-15
0
0.5
1
1.5 2
2.5
time [s]
3
3.5
4
-33
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-35
-40
-45
desired
-34
-35
desired
θ 21 [deg]
θ 11 [deg]
(a) trajectory of the object orientation
-36
-37
-38
-39
-40
-41
0
0.5
1
1.5
2
2.5
time [s]
3
3.5
-42
4
0
(b) error of θ11
0.5
1
1.5 2
2.5
time [s]
3
3.5
4
(c) error of θ21
Figure 19: This shows successful trajectory tracking of object orientation, where the time
delay due to the image update becomes 50 ms. No error remains in the time steps of the
trajectory as well as the result of Figure 18.
robot fingers, hemispherical soft fingertips are mounted, as shown in Figure 22(a). As shown
in Figure 23, the odd-number motors (1, 3, 5, 7) drive the finger so that its joint moves
in the direction in which the grasping force increases, while the even-number motors (2, 4,
6, 8) move the finger joint in the opposite direction. We have used high-torque motors for
the inward motion rather than the motors used for the outward motion of the finger. In
this experiment, we use a more simpler integral controller than that used in the simulation
(Eqs. (11), (12), and (13)) for realizing orientation control of the grasped object, which is
expressed as
∫
ui2 = −(−1)i KI (θod − θo ) dt + τi2 ,
(15)
where the last term is referred to as biased torque, which works so as to maintain the initial
secure grasping before the actual control task. Note that the left-hand side of Eq.(15) corresponds to the torque applied to the two joints, θ12 (PIP) and θ22 (IP), as shown in Figure 23.
Therefore, both fingers are sustained by the motors (1, 2, 5, 6) to which only biased torque
is applied. Figure 24 shows an experimental result, in which the desired object trajectory is
given at intervals of 5 seconds. In addition, the update delay of image processing is estimated
as 25 ms because of the electrical property of a camera and the computer performance, which
was used in this experiment. It clearly shows that the actual trajectory robustly converges
to the desired value, and as a result, indicates that the simple integral controller applied to
the IP and PIP joints performs well to decrease orientation errors in each time step.
17
15
θ o [deg]
10
5
0
-5
-10 desired
-15
delayed res.
improved res.
0
1
2
3
4
Time [sec]
5
6
(a) θo
20
20
desired
15
10
10
θ 2 [deg]
θ 1 [deg]
15
5
0
desired
5
0
-5
-5
-10
-10
-15
-15
0
1
2
3
4
Time [sec]
(b) θf1 and
5
-20
6
0
d
θf1
1
2
3
4
Time [sec]
(c) θf2 and
5
6
d
θf2
Figure 20: This shows the experimental result of the orientation trajectory of a grasped
object when the updating delay is equivalent to 100 ms. The gain parameters were set as
KP = 60, KD = 0.001. As well as the simulation result, the orientation trajectory has been
dramatically improved just by changing KI from 0.0008 to 0.008
We should emphasize that the straightforward control law expressed in Eq.(15) does not
involve the Jacobian matrix, despite the fact that the first term of the right-hand side of
Eq.(15) is described as a workspace control. This non-Jacobian control method naturally
enables the elimination of the joint angles that are sensed in real time, that is, encoder
sensing is not necessary for robotic manipulation. Eventually, this result suggests that a
model-less and grasping-force-less control can be realized if certain mechanical constraints
associated with the musculoskeletal structure are involved in the robot mechanism.
7
Concluding remarks
Through our research into soft-fingered manipulation, we have proposed a simple object
orientation controller that consists of two-phased controllers serially connected with each
other, called an STP controller expressed in Eqs. (7) and (8). The first stage acts as a
robust integral controller from which virtual (pseudo) desired trajectories of joint angles are
generated. It is not necessary for the actual joint angle to converge to the virtually generated
desired value provided the object is guided to the desired orientation. This is why the desired
joint angle is termed a virtual trajectory.
In addition, we have clarified that an STP controller with soft fingertips works well in
a case where a large time delay exists within the visual feedback robotic system. It had
also been shown that the method of gain tuning for improving delayed responses is very
18
8
desired
desired
6
6
4
4
θ o [deg]
θ o [deg]
8
2
0
2
0
-2
-2
-4
-4
-6
-6
0
1
2
3
4
Time [sec]
5
0
6
(a–1) KI = 0.07
8
desired
6
6
4
4
2
0
3
4
Time [sec]
5
6
5
6
5
6
desired
2
0
-2
-2
-4
-4
-6
-6
0
1
2
3
4
Time [sec]
5
0
6
(a–2) KI = 0.14
8
1
2
3
4
Time [sec]
(b–2) KI = 0.8
8
desired
6
6
4
4
θ o [deg]
θ o [deg]
2
(b–1) KI = 0.4
θ o [deg]
θ o [deg]
8
1
2
0
2
0
-2
-2
-4
-4
-6
desired
-6
0
1
2
3
4
Time [sec]
5
6
0
1
2
3
4
Time [sec]
(a–3) KI = 0.28
(b–3) KI = 1.2
(a) simulation
(b) experiment
Figure 21: Sinusoidal wave input for the desired object orientation, θod , is fed into the robotic
system. In simulations (a–1)–(a–3), the performance of tracking control is gradually improved
as the integral gain increases. In experiments (b–1)–(b–3), the same trend occurs, yet the
response in the initial state clearly indicates an oscillatory appearance
19
(a) overall view of 5-DOF robotic hand
(b) index finger robot
(c) thumb robot
Figure 22: This index-finger robot has a figure-eight structure achieved by running a cylindrical rubber belt between the DIP joint and the PIP joint. This system has 8 DC motors,
12 idle-revolution pulleys, 2 fixed pulleys, and 2 soft fingertips at the ends of both fingers
simple and useful in a lot of practical situations. We have proposed a straightforward control
model capable of realizing precise and secure manipulation by means of a 5-DOF two-fingered
robotic hand. This control law does not involve Jacobian matrices and the grasping forces
that have been conventionally required in robotic manipulation. In particular, it has been
clearly indicated that even a novel controller, Eq.(15), in which encoder measurements are
not used, works well for achieving object orientation control in the experiment. These results
imply that various inner models, such as robot dynamics and kinematics, are, in fact, not
necessary if the robot system has a similar structure and performance to that of the human
fingers. That is, an antagonistic wire-driven mechanism and a soft-finger structure enable
mimicking of biomechanical characteristics. We conclude that such a human-like robot can
comply with nonlinear properties (e.g., gravitational force and friction) without a complicated
robot model, and namely that a complete sensor-based control scheme could be constructed
in environmental robotics.
20
Motor 5
Motor 6
Thumb
MP
Motor 2
Index finger
Motor 8
Motor 7
IP
Motor 1
MP
Motor 4
Motor 3
PIP
Coupled
movement
DIP
Figure 23: Schematic view showing motor configuration and wire connections. The oddnumber motors drive the finger toward grasping the object, and the even-number motors
move the finger in the opposite direction
20
desired
15
θ o [deg]
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
0
(a) manipulation test
5
10
15
time [s]
20
25
30
(b) result
Figure 24: This photograph shows dexterous manipulation by a 5-DOF robotic hand in which
object orientation converges to the desired trajectory, while the error remains small
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22
日本ロボット学会誌 Vol. xx No. xx, pp.1∼9, 200x
1
学術・技術論文
2 リンクアームにおける逆運動学を利用しない手先位置制御
−関節角仮想目標軌道とベル型速度プロファイル−
井
上
貴
浩∗1
平
井
慎
一∗2
Position Control of a Two-link Arm without using Inverse Kinematics
− Virtually Desired Trajectory of Joints and Bell-shaped Velocity Profile −
Takahiro Inoue∗1 and Shinichi Hirai∗2
This paper proposes a straightforward control raw for the position control of a two-links robotic arm in vertical plane with the gravitational force. This control strategy is not based on a conventional method using inverse kinematics and the Jacobian matrices of the
robot. Virtually-desired joint trajectory is generated during the motion of the robot until the tip of the arm reaches a given target point.
Because of the property, joint angle of the arm is not necessary to converge to the generated joint trajectory. Using this proposed control
law, extremely smooth motion in position control can be realized like human arm movements, and resulting in Bell-shaped trajectory
of velocity profile can be achieved through the PTP control. Usually, this kind of velocity profile has been seen in Minimum Jerk-Based
Control and Minimum Torque-Based Control. However, the control law presented in this manuscript enables to produce the Bell-shaped
velocity during the position control. Finally, this paper clearly indicates that an extremely simple control law acts as an effective method
to mimic the natural and smooth motion of the human.
Key Words: Inverse Kinematics, Bell-shaped, Virtual Trajectory, Jacobian Matrix, Integral Controller
1. 緒
かな動作の獲得が困難となっている.一方で,それらのような
言
ヒューマンライクな動きをロボットに実装するための試みも古
転置行列や逆行列の形態を問わず,ロボット工学や制御工学
くから行われている.特に,ヒトの滑らかな手先リーチング運
においてヤコビ行列は必要不可欠なツールである.1969 年の文
動にヒントを得た上肢の軌道生成に関する研究が多い [2, 3].そ
献 [1] にすでに記載があり,その歴史は古い.ロボットの関節座
れら研究の動機付けは,小川ら [4] や Morasso [5] による実験観
標系と直交座標系 (作業空間) との速度 (微分) 関係を容易に表現
察によって見出された,上肢直線運動における右にわずかに歪
できることに加え,前記座標系間の力とトルクの関係 (仮想仕事
んだ速度ピークを一つだけ持つ「吊鐘状」の速度プロファイル
の原理) をも記述できることからそのメリットは計り知れない.
の発見から始まる.後にベル型速度軌道と呼ばれるこの運動特
一方で,特異姿勢の問題や冗長関節における不良設定問題と
性は,何らかの物理量を最小とする軌道生成規範が存在するこ
いう未だ根本的な解決策を見ない,ロボット制御において極め
とを示唆するものであり,興味深い成果である.
て悩ましい課題が残されている.歩行ロボットの下肢における
以上のことから本研究では,特異姿勢が容易に現れるヒト上
非直立姿勢が最たる例である.また,ロボットの上肢の制御に
肢の自由空間での運動に注目し筋骨格系特有の滑らかな動作を
おいても同様であり,上肢の垂直・水平・垂下姿勢のような関
模倣すべく,ロボットに適用可能で簡易な制御則の提案を目標
節角が相対的にすべてゼロとなる特異姿勢においては,ヤコビ
としている.したがって,物理的拘束を含んだ周期的な繰り返
行列の行列式がゼロに近づくことにより制御不能となる.これ
し運動であり,その結果,常に重心動揺や接地による床反力を
らの制御問題を避けるためにヒューマノイドロボットにおいて
監視し続けなければならない歩行動作とは制御系が根本的に異
は上肢下肢に関わらず,各関節角の可動範囲を制限したり機構
なる可能性がある.しかしながら,上肢ロボットにおける特異
的な制約を設け,初期姿勢の段階から各関節がゼロにならない
点問題に取り組んだ実用例より,歩行ロボットの膝関節におけ
ように設計し制御している.その結果,人間らしい姿勢や滑ら
る特異姿勢に関わる実機検証が比較的多いことから,先行研究
としてはマニピュレータに加えてヒューマノイドロボットの歩
原稿受付
岡山県立大学情報工学部
*2
立命館大学理工学部ロボティクス学科
*1
Dept. of Computer Science and System Engineering, Okayama Prefectural Univ.
*2
Dept. of Robotics, Ritsumeikan Univ.
行制御も含めて議論を進める.
近年の歩行ロボットの先端研究においては膝伸展直立姿勢を
*1
日本ロボット学会誌 xx 巻 xx 号
実現するための手法がいくつか提案され,産学を問わず開発事
例も見受けられる.例えば,膝伸展姿勢を実現できる市販ロボッ
—1—
200x 年 xx 月
井
2
上
貴
浩
平
井
慎
一
トが存在するが [6, 7],多くの場合アクチュエータとして位置制
が可能であることを明らかにする.特異姿勢が現れる最小自由
御がベースとなるサーボモータ (ラジコンサーボ) を利用してお
度機構である 2 リンクアームを例にとり,作業座標に関する積
り,協調作業も含めた歩行環境からの反力が想定される歩行制
分制御と関節角に関する比例微分制御との組み合わせにより,
御においては,力制御が難しいアクチュエータでは実環境に対
特異姿勢を含めた先端位置決め制御が可能であることをシミュ
応できない.他方で,受動歩行 [8] による自然な膝伸展姿勢や,
レーションと実験から明らかにする.また,本制御手法を用い
参照最大速度による正規化によってヤコビ行列の行列式がゼロ
ることによって,ロボット指令として速度目標を与えなくても
に近づくことに起因する生成軌道の逸脱を避ける手法が提案さ
前記したベル型の速度軌道が発現することを示す.さらに,提
れている [9].受動歩行では上体の上下運動や揺動運動が自然な
案制御則は比例微分先行型 PID 制御に類似した外形を備えてお
歩行姿勢に寄与するとの報告 [10–12] が近年多くあり,足関節
り,積分コントローラにより仮想的に関節角目標軌道を生成し
による姿勢の安定化に関する議論 [13] も見受けられる.また,”
ているものと捉えることができる.これらの点に関して 5 章で
自然な動き”を志向するものではないが,拘束条件やその数が頻
議論を進める.
繁に変わり得るヒューマノイドロボットの応用動作での逆運動
2. 逆運動学及び逆ヤコビ行列のない制御則
学問題を高速な数値解法により解決する手法が提案されている.
動作中の特異点の有無や冗長機構による不良設定問題 [14,15] の
可解性を問わない点で画期的であろう.ただし,数値計算手法
は計算機の性能に依存する側面があり,ロボットの小型化に有
効なクロック周波数 100MHz 以下のマイコンでは困難となる.
一方で,上肢ロボットやマニピュレータ制御における特異点
Fig. 1 のような 2 リンクアームにおける先端位置を p = [x, y]T ,
関節角を θ = [θ1 , θ2 ]T ,リンク長を (L1 , L2 ),各回転軸回りの慣
性モーメントを (I1 , I2 ) とし,基準となる直交座標系を O − XY
のようにとると,制御入力 u を加えた閉ループダイナミクスは
次式となる.
回避問題は古くから研究が進んでいる.順運動学のテイラー展
M (θ)θ̈ + c(θ, θ̇) + D θ̇ + g(θ) = u.
開による近似手法や [16],ヤコビ行列の特異値分解による方
法 [17, 18] が示されており,特異点回避アルゴリズムも多く提
案されている.中村ら [19] は,運動分解行列に基づく重みづけ
評価関数を導入し,特異点近傍での速度不連続性を修正補間す
ることで回避している.杉本ら [20, 21] は,ロボットの手先姿
勢を修正することにより特異点に近づかない軌道生成手法を提
(1)
上式において,第二項は遠心力・コリオリ力の非線形項,第三
項は速度に比例する減衰力項,第四項は重力項である.本稿で
提案する逆運動学を含まない直交座標系での先端位置決め制御
則は次式となる.
案している.しかし,これらの手法は近傍の定義が問題となり,
u = −KP θ − KD θ̇ − KI
∫
(p − pd )dt.
(2)
シミュレーション上の検証に留まっている.また,Fang ら [22]
は特異点で縮退した次元数をヤコビ行列から切り離し次数を下
ここで,関節剛性行列を KP ,微分ゲイン行列を KD ,積分ゲ
げた擬似的な行列を定義しエンドエフェクタの速度軌道を求め
イン行列を KI とし,アーム先端の目標座標を pd とする.(2)
ている.しかし,与えた速度指令は単純な正弦波であることか
式で表わした本制御則の特徴は,部分的に関節角度変数による
らアルゴリズム検証の域を出ず,速度追従の性能評価や位置決
制御で表現されている一方で,目標タスクである位置決め制御
め制御の検討がなされていない.
が直交座標変数 p で記述されている点である.本制御則にある
以上から分かるように,ヤコビ行列はその多大なるメリット
θ と p との関係は順運動学や逆運動学によって表現可能であり
のためロボット制御をはじめヒトの身体運動を解析する上でも
互いに独立変数ではないが,本稿ではその関係を用いない.そ
大きな恩恵をもたらす.しかしながら,上記したようにロボット
の理由は,右辺第一項が関節角目標値との差分ではないことに
の制御問題においていくつかのデメリットがあることも事実で
因る.従来なら,関節角の差分 θ − θ d に基づく関節座標系での
あり,未だ解決できていないことを考慮するとこれらの問題を
比例制御として制御則が構成されているか,あるいはその差分
根本的に解決できる画期的な制御手法の登場が期待される.こ
を微小変化に制限した上で逆ヤコビ行列を用いた作業座標系で
のような観察の下に筆者らは先行研究 [23] において,冗長関節
の制御系の設計となる.しかし,(2) 式右辺第一項には目標角は
を持ち拮抗型腱駆動機構を有する 3 リンクロボットシステムに
含まれておらず,結果的に比例制御器ではなく関節剛性を自由
おいてこのメカニズムに特化した位置決め制御手法を提案した.
に調節できる関節トルクとなる.さらに,提案制御則が一般的
そこでは,手先位置 (x, y) のフィードバック則をそれぞれ分離
な PID 制御則ではないことも容易に理解できる.本制御則が関
し各関節のトルク操作量に個別で入力していた.このような簡
節角比例制御をベースとしていないことはすでに述べたが,(2)
易手法は機構の冗長性や拮抗駆動システムに起因すると考えら
式の第三項が手先座標変数であることと,制御則内の他の変数
れたため,各関節にアクチュエータが組み込まれ,かつ冗長で
がすべて関節角変数であることから,ひとつの座標系 (関節空
はないより一般的なロボット機構に適用可能かを検証する必要
間あるいは作業空間) に限定した従来法である PID 制御と言え
があった.そのようなことから,本稿ではロボットアームの従
ないことは明らかである.
他方,提案制御手法では p − pd のように,手先位置決め制
来機構として冗長ではないメカニズムを採用し,より一般性を
保ち得る制御手法の確立を目指すものである.
御が作業座標で記述されているにもかかわらず,安定性に関わ
そこで本稿では,作業座標 (直交座標) 系での位置決め制御を
る特徴は関節空間での制御に類似する.すなわち,従来手法で
実現しながら逆運動学及び逆ヤコビ行列を用いない簡潔な制御
あれば「逆ヤコビ行列を用いるための手先座標の微小変化」を
JRSJ Vol. xx No. xx
—2—
xx, 200x
2 リンクアームにおける逆運動学を利用しない手先位置制御
3
Y
X
θ1
I1
first link
motor
L1
m1
p
L2
I2
θ2
m2
motor
second link
Fig. 1 A model of two-links arm
仮定しなければならない.しかし,本制御則は逆ヤコビ行列を
含まないため,手先位置の局所的な動作に制限されることはな
Fig. 2 A two-links arm fabricated in this research.
い.つまり,関節空間での制御のような大域的な安定性の議論
Table 1 Mechanical parameters
が可能になる.また,対象となるシステムが一次遅れ系や二次
遅れ系となる場合,積分コントローラの挿入により制御系全体
I1
L1
が 1 型の制御系となる.その結果,ステップ入力に対する応答
9.75×10−4 [kgm2 ]
0.12 [m]
I2
L2
7.5×10−4 [kgm2 ]
0.105 [m]
は定常偏差を残さない.この効果(「内部モデル原理 [24]」)は
ステップ状に入力される負荷外乱にも生じ,重力による干渉ト
3 階線形微分方程式を得る.
ルクをも打ち消してロボットを目標軌道に追従させる.このよ
...
M (θ̄)δ θ + (D + KD )δ θ̈ + (G(θ̄) + KP )δ θ̇
うなことから提案制御則には明示的な重力補償項は存在しない.
結局,(1) 式と (2) 式で表わされるシステム全体の閉ループダ
+KI Q(θ̄)δ θ = 0.
イナミクスにおける目標値や目標軌道を含まない状態変数 (こ
(5)
の例では関節角) に関しては,目標への追従性能 (定常特性) を
関節角 θ に対する角速度と角加速度を ω , α とし,状態変数ベ
改善する役割ではなく安定性を向上させるのに役立ち,それを
クトルを q = [δθ T , δω T , δαT ]T のように定義すると,上式は次
目的とした KP ,KD のゲイン調整が必要となる.一方で,KI
式のような状態方程式となる.
は手先位置変数の定常特性に直接的な影響を与えるが,積分コ
[
ントローラの本来的機能によりシステムの速応性にも影響を与
q̇ =
える.ただし,手先位置変数に関する制御は積分のみであるこ
04×2
R
]
I4
S
T
(6)
q.
とから,比例制御がある場合と比べて速応性は劣化する.しか
しながら,ヒトの身体運動のような滑らかで「遅い動作」を実
現するためには,従来のロボット制御法とは異なる簡潔,かつ,
マイコンなどへの組み込みが容易な新たな手法が必要であると
考えている.
上式において,I4 は 4 次元の単位行列を意味する.また,R =
−M −1 KI Q,S = −M −1 (G + KP ),T = −M −1 (D + KD )
とする.(6) 式における行列の固有値の実部がすべて負のとき
lim q(t) = 0 となり,本フィードバックシステムが平衡点周り
t→∞
で漸近安定となる.したがって,上記条件を満たすように各ゲ
3. 安 定 性 解 析
イン行列を決定することで θ → θ̄ となり,結果的に p → pd と
本章では,(1) 式と (2) 式で示される閉ループダイナミクスの
なる.しかしながら,本論文では試行錯誤的手法によりゲイン
安定性に関する議論を進める.まず,冗長機構ではない本シス
行列を決定しており,全時間において収束性を保証する制御ゲ
テムにおける平衡点を定義すると以下のように表現できる.
インの存在性に関する証明には至っていない.このように,最
適なゲイン設定手法は未解決の問題であり,これらの問題は今
pd = fk(θ̄).
(3)
後の課題である.次章では,提案制御手法の有用性及び妥当性
ここで,fk(·) は 2 リンクロボットにおける運動学を示し,θ̄ は
作業座標での目標値が pd となるときの関節角ベクトルである.
を明らかにするために,シミュレーションと実機による検証を
行う.
つまり,作業座標における平衡点は (xd , yd ) であると同時に,関
4. 実験とシミュレーションとの比較
節座標における平衡点は (θ̄1 , θ̄2 ) となる.以上のことから,与
えられた閉ループダイナミクスに関して θ = δ θ + θ̄ を用いて線
形近似すると次式を得る(付録 A 参照).
本稿で取り扱う Fig. 2 のような 2 リンクロボットのメカニカ
ルパラメータとその仕様を Table 1 及び Table 2 に示す.ロボッ
トに与えるタスクは 2 リンクロボットの特異姿勢となる水平姿
M (θ̄)δ θ̈ + (D + KD )δ θ̇ + (G(θ̄) + KP )δ θ
∫
+g(θ̄) + KP θ̄ + KI Q(θ̄)
δ θ dt = 0.
勢とし,鉛直下方向に重力が加わるものとする.また,初期姿
勢は各リンクを真下に垂らした垂下姿勢とし,重力に抗して水
(4)
平姿勢まで振り上げる動作とする. 提案制御則における各ゲイ
次に,上式を時間微分すると次式のような 2 元連立の定数係数
日本ロボット学会誌 xx 巻 xx 号
ンの要素は,以下のようになる.
—3—
200x 年 xx 月
井
4
上
貴
浩
平
井
慎
一
Table 2 Specification of a two-link arm robot
robot
Maxon RE19 GP16A 19:1
Maxon RE10 GP10A 19:1
Renesas SH2-7045 freq. 28.64MHz
Hibot 3AX5A0912 Max 5A
start
-0.2
exp.
10.0
10.0
0.1
1.15
6.7
2.1
2.5
-0.25
0
0.05 0.1
0.15 0.2 0.25
x [m]
(a) x − y locus
(7)
KD = diag[KD1 , KD2 ],
[
]
y
x
KI1
KI1
KI =
.
y
x
KI2
KI2
(8)
0.25
0
0.2
-0.05
y [m]
KP = diag[KP1 , KP2 ],
x [m]
KP1
KP2
KDi
x
KI1
y
KI1
x
KI2
y
KI2
-0.1
-0.15
Table 3 Gain parameters in singular configuration
simu.
5.5
20.0
0.1
1.1
3.3
2.45
1.4
target
-0.05
y [m]
first joint
second joint
MPU
motor driver
straight horizontal posture
0
0.15
-0.1
0.1
-0.15
0.05
-0.2
0
(9)
-0.25
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
time [s]
time [s]
(b) x trajectory
ここで,積分ゲインにおける上付き文字は,先端座標 (x, y) のそ
(c) y trajectory
Fig. 3 A result of positioning control of a two-links robot.
れぞれの積分コントローラに付加するゲインであり,(2) 式の第
た,各関節への具体的な制御トルクは次式のように生成される.
x
u1 = −KP1 θ1 − KD1 θ̇1 − KI1
x
u2 = −KP2 θ2 − KD2 θ̇2 − KI2
∫
∫
y
ex dt − KI1
y
ex dt − KI2
θ1 [deg]
ションと実験において設定した各ゲインを Table 3 に示す.ま
∫
ey dt, (10)
∫
10
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
5
θ2 [deg]
3 項は両積分コントローラで生成されるトルクの和を第 i 関節
の制御入力に加えていることを意味する.加えて,シミュレー
-5
-10
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
ey dt. (11)
0
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
time [s]
time [s]
(a) θ1 trajectory
ここで,ex = x − xd ,ey = y − yd とする.本稿でロボットに課
(b) θ2 trajectory
Fig. 4 Joint angle trajectory during the position control.
したタスクは,アームの先端位置決め制御であり,目標値は両
Table 4 Gain parameters in non-singular configuration
リンクを水平方向に真っすぐ伸ばした伸展姿勢になるように,
(xd , yd ) = (L1 + L2 , 0) とした.また,制御周期は 2ms とし実験
simu.
5.5
3.9
1.1
3.3
2.45
1.4
とシミュレーションにおいて同じ値とした.
4. 1 水平姿勢動作(特異姿勢)
シミュレーションと実験との比較結果を Fig. 3 に示す.実線が
実験結果であり,点線がシミュレーション結果である.Fig. 3-(a)
から分かるように,両結果においてほぼ等しい軌跡をたどって
KP1
KP2
x
KI1
y
KI1
x
KI2
y
KI2
exp.
2.13
0.43
2.25
6.25
2.15
2.2
いる.本節でのタスクは先端位置目標のステップ入力であり途
4. 2 振り上げ動作(非特異姿勢)
中経路を与えたものではないにもかかわらず,重なり合った軌
跡を描くことが明らかになった.次に,先端位置の時間経過を
本稿での提案制御則の有効性を示すために,本節では最終的
見ると Fig. 3-(b),(c) より分かるように,ほぼ同程度の時間で目
な姿勢が特異姿勢とならないタスクとして,手先が水平位置よ
標値に誤差なく収束している.また,動作中の各関節角を Fig. 4
り上側になるような振り上げ動作を検証する.ここでは,ロボッ
に示す.本稿では関節角の軌道を直接的に制御していないにも
トの第 1 関節が 90◦ ,第 2 関節が 25◦ となるような手先位置目標
かかわらず,ほぼ等しい軌道を描くことが明らかになった.こ
(xd , yd ) = (215.2 mm, 44.4 mm) を定める.また,本シミュレー
ションと実験で設定したゲインは Table 4 であり,結果を Fig. 5
こで,Fig. 4-(b) から分かるように,第 2 関節角が最大でも
±3◦
以内に収まっており,定常値が ±1◦ 程度になっていることから,
に示す.なお,実線が実験結果であり点線がシミュレーション
直線に近い水平姿勢が実現できている.以上のように,提案制
結果である.
まず,手先軌道 (x, y) に関してはステップ状に与えた目標値
御則によりロボットアームが垂下姿勢から動作中常に特異姿勢
を保ちながら水平姿勢に到達できることが明らかになった.
JRSJ Vol. xx No. xx
に偏差なく収束していることが分かる.また,手先位置のうち
—4—
xx, 200x
5
0.35
0.16
0.3
0.14
0.2
0
0.25
0.12
-0.05
0.15
0.1
-0.1
0
0.2
0.15
0.1
-0.2
0.05
-0.25
0
0.04
0.02
0
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
time [s]
time [s]
time [s]
(a) x trajectory
(b) y trajectory
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
time [s]
(a) ẋ in singular conf.
(b) ẏ in singular conf.
0.35
25
0.3
20
x [m/s]
θ2 [deg]
θ1 [deg]
10
5
y [m/s]
0.25
15
0.2
0.15
0.1
0.05
0
0
-5
-0.05
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
time [s]
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
time [s]
(c) θ1 trajectory
0.05
0.2
0.18
0.16
0.14
0.12
0.1
0.08
0.06
0.04
0.02
0
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
time [s]
(d) θ2 trajectory
(c) ẋ in non-singular conf.
time [s]
(d) ẏ in non-singular conf.
Fig. 6 Comparison of the velocity of tip position between simulation and
experiment.
0
target
-0.05
y [m]
0.1
0.08
0.06
-0.15
0.05
y [m/s]
0.05
x [m/s]
0.25
y [m]
x [m]
2 リンクアームにおける逆運動学を利用しない手先位置制御
y 座標軌道には生じている.この現象は,動作が円運動である
-0.1
ことに起因するが,それ以外には,水平姿勢と振り上げの両動
simu.
&
exp.
-0.15
作とも y 方向へは重力に抗した運動であり,第 1 リンクの運動
0.88s
により第 2 リンクに発生する慣性力と第 2 リンクに直接加わる
-0.2
start
重力の影響を受けた加減速と考えられる.運動中のこのような
0.23s
-0.25
0
加減速はヒトの上肢リーチング運動に見られるが,この特徴に
0.05 0.1 0.15 0.2 0.25
x [m]
関連する考察を次章で述べる.
(e) x − y locus
5. 考
Fig. 5 A result of positioning control of a two-links robot in non-singular
configuration.
察
5. 1 速度プロファイル
手先位置の速度軌道を Fig. 6 に図示する.これまでと同様に
x 座標の一致性が極めて高く,y 座標に関しては収束直前に速
実線が実験結果であり,点線がシミュレーション結果である.そ
度差を生じるものの,途中軌道はほとんど一致している.次に,
のうち,上図が目標が特異姿勢となる水平姿勢における結果で
関節角については Fig. 5-(c), (d) から分かるように,第 1 関節
あり,下図が非特異姿勢となる振り上げ運動の結果である.ま
が 90◦ に向かって線形的に上昇するのに対して,第 2 関節の軌
た,実験データについては 15 点の相加平均によりフィルタリン
道では慣性力により反対方向に反る動作が見られるが,その後
グを行った.結果から,それぞれに特徴的な傾向が見受けられ
は加減速の速度変化を伴った軌道になっている.この特徴的な
る.ẏ の実験値に関して速度の揺れが大きくなっている一方,ẋ
挙動は実験とシミュレーションとで類似しているが,Fig. 5-(d)
においては振動が収まり比較的安定に動作が推移している.こ
の実験結果における 0.3s 付近と 2.3s 付近の速度の不連続性は
れは y 方向への直接的な重力の影響と考えられる.
更なる検証が必要である.最後に,xy の軌跡を Fig. 5-(e) に示
他方,局所的な振動を無視して全体的な挙動を観察すると,ẏ
す.Fig. 5-(d) において 1s までに現れる実線と点線との交点は
の両結果においていわゆる右に歪んだ「ベル型の速度プロファ
ロボットの姿勢が実機とシミュレーション間で全く等しいこと
イル」を示している.これは,小川ら [4] の研究や Morasso [5]
を意味するから,Fig. 5-(e) にはロボットの途中姿勢を併せて図
のリーチング運動の計測実験において見出された速度軌道と類
示している.結果から分かるように,前節の水平姿勢制御の結
似した結果である.本稿での提案制御則ではリンク先端の時間
果と同じくほぼ一致した軌跡をたどっている.ヒト上肢の場合,
軌道や速度軌道を目標として与えておらず,積分コントローラ
肘関節の骨格構造により前腕が反る姿勢は起こりえないが,振
によって手先位置指令をステップ状に入力しているだけである.
り上げ動作では前腕屈曲が動作中の後半に起こることが容易に
産業用ロボットのような従来のロボット制御手法においては速
確認できることから,極めて簡易な提案制御則でもヒト上肢の
応性や精度が最重要であり,その実現には比例・微分制御にお
自然な運動を実現できることが明らかになった.
ける目標軌道や目標速度が必要不可欠であった.しかし,2 章
次に,水平姿勢動作と振り上げ動作を比較すると,Fig. 3 と
で述べたように関節変数に係わる制御部は剛性制御に特化する
Fig. 5 から分かるように,x 座標に存在しない動作中の加減速が
一方,先端位置変数に係わる制御部では ”速い動作 ”の実現を
日本ロボット学会誌 xx 巻 xx 号
—5—
200x 年 xx 月
井
6
pd e
Ki s
u
P(s)
θ
kinematics
上
貴
浩
平
p
井
慎
一
δpd e
Ki s
δu
P(s)
Kp
Kp
Kd s
Kd s
δθ
Ak
δp
Fig. 7 A simplified block diagram of the two-link arm robot with the proposed control law.
Fig. 8 A linearized block diagram of the closed-loop including the proposed law.
諦めてでも,積分制御によりロバストに目標値に収束させる手
度制御を行えば先端位置決め制御は容易に実現できる.しかし
法が有効であることが明らかになった.その結果,ヒト上肢の
ながら,ヒトの身体運動における軌道計画やその生成手法が逆
運動に見られるベル型速度プロファイルが発現したと考えられ
運動学やヤコビ行列に依拠したしたものであるとの保証はない.
る [2].この有効性はヒトの身体運動を,形態的ではなくより機
上肢到達運動制御における生成軌道を記述するために,躍度最
能的に模倣する点において重要である.また,ẋ に関しては実
小モデル [25,26] やトルク変化最小モデル [27,28] が古くから提
験とシミュレーションのいずれにおいても,動作初期に二峰性
案されており,評価関数に違いがあるもののそのいずれもヒト
の速度軌道が見受けられる [3].この現象に関する更なる検証は
の手先軌道や速度軌道をうまく再現している [29].それらのモ
今後の課題としたい.
デルは,導出した評価関数の最小を実現するように軌道が生成
次に,ベル型速度プロファイルと制御則との関連性について
されるという点で共通した見解であると言える.実際,これら
議論を進める.本稿での提案制御則に基づいた簡易的なブロッ
のモデルや運動制御を表現する上でヤコビ行列や逆運動学は含
ク線図を Fig. 7 に示す.図内の P(s) が制御対象であり,比例微
まれていない.それらの物理量は,運動制御問題を解析的ある
分先行型 PID 制御 (I-PD) の外形を成している.ここで,ロボッ
いは数値的に解くために必要な,手先空間と関節空間との間の
トの手先位置と関節角との運動学は Fig. 1 より次式となる.
位置関係や速度関係を記述できるひとつのツールであるに過ぎ
x = L1 sin θ1 + L2 sin(θ1 + θ2 ),
(12)
y = L1 cos θ1 + L2 cos(θ1 + θ2 ).
(13)
ない.以上の見解に沿えば,本稿でのヤコビ行列や逆運動学を
含まないロボット運動制御則が特異な手法ではなく,むしろ自
然で汎用的に適用可能な制御手法となる可能性を持つと考えら
上式を平衡点周りで線形化しベクトル形式で表示すると次式を
得る.
[
[
Ak (θ̄) =
δx
δy
]
[
= Ak (θ̄)
δ θ1
δ θ2
L1 cos θ̄1 + L2 cos θ̄12
−L1 sin θ̄1 + L2 sin θ̄12
れる.また,提案制御則では特異姿勢のために制御則を特段変
更する必要はなくゲイン調整のみであり,非特異姿勢と合わせ
て統一した制御手法の枠組みとして捉えることが可能となる.
]
L2 cos θ̄12
−L2 sin θ̄12
5. 3 ゲイン調整と仮想目標軌道
(14)
,
一般に,非冗長機構のシリアルリンクロボットには pd と θ d
との関係が一意に決まる運動学が存在する.提案制御則におい
]
ても類似した関係式を導くことができる.すなわち,提案制御
.(15)
則では KP と KI を用いて θ d を pd からラフに決めていること
になる.その詳細を以下に示す.
以上の手続きにより,Fig. 8 のような閉ループダイナミクスの
まず,(2) 式は次式のように容易に変形可能である.
線形化されたブロック線図を得る.図内の定数行列 Ak (θ̄) のブ
ロックを移動し等価変換を行うと,最終的に Fig. 9 のようなブ
u = −KP (θ − θ d ) − KD θ̇,
ロック線図を得る.図から分かるように,コントローラ C1 (s) が
θ = −(KP )
d
−1
∫
KI
(16)
(p − p ) dt.
d
(17)
ステップ状の目標値に対する 2 次遅れフィルタの役目を担い,そ
の整形された滑らかな目標軌道に対する PID 制御がコントロー
上式において θ d を仮想目標軌道と定義する.(17) 式が上述した
ラ C2 (s) によって行われている.結果的に,C1 (s) によって生成
された滑らかな軌道が仮想目標軌道となり,その軌道を指標と
pd と θ d との関係式である.3 章最後に示したように,ロボット
が要求仕様の速応性と定常特性を満たしさえすれば,KP ,KI
してロボットが動作することで,ベル型速度プロファイルのよ
は設計者がある程度自由に調節できるパラメータである.した
うなゆっくりとしたロボットの動きが実現できていると推察さ
がって,ロボットの動作中に θ d が常に増減し,先端座標の偏差
れる.また,Fig. 9 にあるブロック線図の最終段の等価変換は
がゼロになるまで変動しつづける.したがって,関節角に余剰
比例微分先行型 PID 制御 (I-PD) の外形に起因するものであり,
な自由度がない非冗長機構なら,θ d が変動する過渡状態におい
仮想目標軌道の生成との直接的な関連性を示すものである.
てその目標軌道に各関節が収束することは望ましくない.つま
5. 2 ヤコビ行列と逆運動学
り,過渡状態においては運動学を満たさない目標軌道が一時的
すでに述べたように,平面運動に限定した 2 リンクロボット
に生成される可能性があるため,θ の θ d に対する追従性は必要
の機構においては先端位置と各関節間で一意に決まる運動学の
とされない.したがって,(16) 式における比例ゲイン KP が極
幾何学関係が存在する.つまり,手先位置目標が一旦決まると冗
端なハイゲインとならないように設計しなければならない.言
長でないロボットの機構は拘束連鎖となり,それに対応した目
い換えると,ロボットの動作中は仮想目標軌道に対する速応性
標関節角が逆運動学により求まる.その目標関節角に対する角
よりむしろ,安定性が重要でありそれを満たすようにゲインを
JRSJ Vol. xx No. xx
—6—
xx, 200x
2 リンクアームにおける逆運動学を利用しない手先位置制御
δpd
-
-1
Ak
δθ
C 1(s)
1
Kd s 2 + Kp s + Ki
e
C 2(s)
δu
δθ
Kp + Ki s + Kd s
P(s)
7
Ak
δp
Fig. 9 A final form of the block diagram by equivalent conversion.
法では正しい安定判別ができない可能性がある.このようなこ
Table 5 Eigen value of eq.(6) in singular configuration
mode
θ1
θ2
ω1
ω2
α1
α2
real part
-174.33
-174.33
-21.77
-21.77
0.14
0.00
とから,積分コントローラを含んだ多変数状態方程式における
imaginary part
59.72
-59.72
27.10
-27.10
0
0
適切な安定性解析手法を明らかにする必要がある.
6. 結
言
本稿では,ロボットアームの手先位置制御を例にとり,その
タスクスペース制御 (直交座標系) において従来必要不可欠で
Table 6 Eigen value of eq.(6) in non-singular configuration
mode
θ1
θ2
ω1
ω2
α1
α2
real part
-328.19
-21.37
-21.37
-21.11
0.18
0.01
あった逆運動学を利用しない極めてシンプルな制御法を提案し
た.本制御則は,関節変数による制御と制御目的である手先位
imaginary part
0
26.87
-26.87
0
0
0
置変数を分離し,前者を関節剛性制御として,後者を手先位置
の積分制御として独立に制御する簡易な手法である.この分離
は,運動学を用いないことによって実現できる.その結果,先
行研究 [23] において示した冗長関節機構における制御則をより
一般的な手法として拡張することができた.
また,本制御則を展開することにより,関節角比例微分制御
決定しなければならない.一方で,定常状態においては仮想目
と見ることもできる.つまり,手先位置の差分から積分コント
標と平衡点は θ d = θ̄ のように等しくなくてはならないが,(17)
ローラによって関節角の目標軌道を仮想的に生成し,外形的に
式における KP を固定したときの KI の大小は目標軌道
θd
の
ここで,θ d を仮想目標軌道としている理由は,上記したよう
に
θd
関節角比例微分制御に変換することが可能になる.本手法によ
り制御則内での逆運動学が不要になると同時に,ヤコビ行列の
生成速度のみに影響を与えると考えることができる.
の生成がゲイン調整に依存するためであり,それと同時
逆行列を用いた平衡点まわりの局所的な位置制御に制限される
こともない.最後に,本稿で提案したロボットアームの位置決
が随時更新
め制御手法の安定性に関する議論を進め,その妥当性をシミュ
されるためである.つまり,(17) 式のように表現すれば,本制
レーションと実機により確認した.加えて,ロボットの水平姿勢
御則はステップ入力に対する応答ではなく,外形上,時系列で
や振り上げ運動が容易に実現できることを明らかにした.また,
目標が変化する軌道追従制御に相当する.このようなラフな調
近年多く報告され注目されている上肢のベル型速度軌道を,規
にロボットの動作中積分コントローラによって
θd
整法は先行研究 [23, 30] における拮抗型腱駆動メカニズムを有
範モデルを用いずに制御則のみで実現できることを示した.今
する冗長多関節ロボットの位置決め制御においても成果を上げ
後は,ヒトの歩行動作のような特異姿勢が繰り返し発生するタ
ている.このようなことから本手法や概念は機構の冗長性の有
スクに,本制御手法が適用可能かどうかを検討する.また,本
無やアクチュエータシステムの違いによる影響を受けることな
稿では各ゲインの調整が試行錯誤的であることから,応答性を
く,より汎用的で,幅広いロボットシステムに適用可能である
向上するための最適なゲイン調整手法の確立が必要であると同
時に,考察で述べた閉ループ系ダイナミクスが 3 階の線形微分
と考えている.
次に,前章での姿勢差異による両シミュレーションで試行錯
誤的に決定した各種ゲインに対する (6) 式で表した正方行列の
方程式になった場合の安定性解析の手法の確立が急務であり今
後の課題としたい.
謝辞
固有値を,数値解析により求めると Table 5,Table 6 に示す結
本研究の一部は,科研費基盤研究 A(23246046),なら
果となる. ここでは小数点第 3 位で四捨五入し,整数値には小
びに科研費若手研究 (B)(22760191) を受けて行われたものであ
数点を表示していない.結果から分かるように,角度と角速度
る.また,本稿の査読にあたり固有値や収束性に関する有意義
に関する固有値はすべて複素平面上の左半平面に存在する一方
なご指摘を頂き,理論面での展開が進みました.ここに感謝の
で,角加速度成分 (α1 , α2 ) に対する固有値は右半平面に存在す
意を表します.
る.しかし,この結果からシステム全体が不安定になるとは限
らない.なぜなら,位置決め制御の目的は手先位置が平衡点に
付録 A. 閉ループダイナミクスの平衡点周りでの線形近似
達し静止することであり,θ → θ d ,ω → 0 を満たすことである.
しかしながら,本稿で導出した (6) 式の状態方程式には角加速度
に関する微分方程式も含まれており,平衡点近傍では α → −0
を満足する必要がある.つまり,角加速度は平衡点近傍で負で
なければならないが,正であることを前提とした固有値解析手
日本ロボット学会誌 xx 巻 xx 号
Fig. 1 の 2 リンクロボットにおける各リンクの重心周りの慣性
モーメントを (I1 , I2 ) とし,新たに (J1 , J2 ) を J1 = I1 + (m1 /4 +
m2 )L12 ,J2 = I2 + m2 L22 /4 と定義し β = m2 L12 L22 /2 とすると,慣
性行列 M は次式となる.
—7—
200x 年 xx 月
井
8
[
J1 + J2 + 2β cos θ2
J2 + β cos θ2
M (θ) =
上
貴
浩
平
(
. A.1)
c(θ, θ̇) =
g(θ)
[
=−
]
, (A.2)
(m1 + 2m2 )(L1 /2)g sin θ1 + m2 (L2 /2)g sin θ12
m2 (L2 /2)g sin θ12
]
.
(A.3)
ここで,θ12 を θ1 + θ2 の略記とする.また,運動学を用いて
積分コントローラにおける先端座標の差分は次式のように表さ
れる.
[
p−p =
d
[
=
x − xd
y − yd
]
L1 (sin θ1 − sin θ̄1 ) + L2 (sin θ12 − sin θ̄12 )
−L1 (cos θ1 − cos θ̄1 ) − L2 (cos θ12 − cos θ̄12 )
]
.
(A.4)
ここで,θ̄12 を θ̄1 + θ̄2 の略記とする.上記の (A.1) 式∼(A.4) 式
を考慮して θ = δ θ + θ̄ を (1) 式,(2) 式に代入し平衡点周りで
線形近似すると,各項ごとに次式が導かれる.
M (δ θ + θ̄)(δ θ̈ + θ̄¨ ) = M (θ̄)δ θ̈,
c(δ θ + θ̄, δ θ̇ + θ̄˙ ) = 0,
[
g(δ θ + θ̄) = −
a+b
b
b
b
][
δ θ1
δ θ2
(A.5)
(A.6)
]
+ g(θ̄)
= G(θ̄)δ θ + g(θ̄),
p(δ θ + θ̄) − pd
[
L1 cos θ̄1 + L2 cos θ̄12
=
−(L1 sin θ̄1 + L2 sin θ̄12 )
(A.7)
L2 cos θ̄12
−L2 sin θ̄12
][
= Q(θ̄)δ θ.
δ θ1
δ θ2
]
(A.8)
(A.7) 式において,
a=
m1 + 2m2
L1 g cos θ̄1 ,
2
b=
m2
L2 g cos θ̄12 , (A.9)
2
とする.以上の計算結果から平衡点周りで線形化した閉ループ
ダイナミクスは次式となる.
M (θ̄)δ θ̈ + (D + KD )δ θ̇ + (G(θ̄) + KP )δ θ
∫
+g(θ̄) + KP θ̄ + KI Q(θ̄)
JRSJ Vol. xx No. xx
δ θ dt = 0.
一
参 考 文 献
なる.
(m2 /2)L1 L2 (2θ̇1 θ̇2 + θ̇22 ) sin θ2
−(m2 /2)L1 L2 θ̇12 sin θ2
慎
]
J2 + β cos θ2
J2
次に,コリオリ・遠心力ベクトルと重力ポテンシャルは次式と
[
井
(A.10)
—8—
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xx, 200x
2 リンクアームにおける逆運動学を利用しない手先位置制御
9
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Biological Cybernetics, Vol.61, No.2, pp.89–101, 1989.
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ヤコビ制御”, 第 55 回自動制御連合講演会予稿集, 2H106, 2012.
井上貴浩 (Takahiro Inoue)
1973 年 2 月 14 日生.1995 年同志社大学工学部機
械工学科中途退学.2002 年大阪工業大学工学部機械
工学科卒業.2006 年立命館大学理工学研究科 総合
理工学専攻博士後期課程修了.その間,COE 助手,
COE 特別研究員 (JSPS).2007 年岡山県立大学情報
工学部スポーツシステム工学科助教,2009 年 10 月
より准教授となり現在に至る.2002 年日本機械学会畠山賞.2005 年,
2006 年 ICRA Best Manipulation Paper Award Finalist.2005 年 IEEE 関
西支部学生研究奨励賞.2007 年ロボティクスシンポジア最優秀論文
賞.同年,計測自動制御学会 SI 部門研究奨励賞.2008 年ロボット学
会論文賞,ならびに研究奨励賞受賞.柔軟指ハンドリング,ヒトのよ
うな視覚遅れ系における操り戦略に関する研究に従事.バイオメカト
ロニクスに基礎を置いたヒト運動制御機能のロボットへの適用に関す
る研究に興味を持つ.IEEE,計測自動制御学会,電子情報通信学会,
ならびに日本機械学会会員.
(日本ロボット学会正会員)
平井 慎一 (Shinichi Hirai)
1963 年 3 月 19 日生.1990 年 京都大学大学院工学
研究科 博士課程数理工学専攻単位取得退学.同年
大阪大学工学部 電子制御機械工学科助手.1995 年
同助教授.1996 年 立命館大学理工学部 ロボティク
ス学科助教授,2002 年 同教授となり,現在に至る.
1989 年 米国マサチューセッツ工科大学 客員研究員.
1990 年度計測 自動制御学会論文賞.1996 年度日本 機械学会ロボティ
クスメカトロニクス部門業績賞.2001 年 IEEE ICRA Best Automation
Paper Award Finalist.2005 年,2006 年 IEEE ICRA Best Manipulation
Paper Award Finalist.2006 年 IEEE ICRA Best Vision Paper Award Finalist.2008 年 日本ロボット学会論文賞.2011 年 IEEE ROBIO T. J.
Tarn Best Paper in Robotics Finalist.2006 年 – 2010 年 IEEE Transactions on Robotics Associate Editor.柔軟指操作,生体 組織モデリング,
テンセグリティロボット,柔軟物操作などの研究に従事.日本機械学
会,計測自動制御学会,IEEE などの会員.工学博士.
(日本ロボット学会正会員)
日本ロボット学会誌 xx 巻 xx 号
—9—
200x 年 xx 月
マンマシン共存協調社会におけるロボット機構と制御
Robot Mechanisms and Control in Man‐machine Environment
with Coexistence and Cooperation
井上 貴浩 (Takahiro Inoue
Takahiro Inoue)
情報工学部 スポーツシステム工学科 准教授
Computer Science and Systems Engineering, Associate Professor
研究領域
キーワード
U R L
: 先進的ものづくり,医療・福祉機器,機械システム
: 介助・農作業ロボット,マイコン,情報通信技術
: http://www‐bs.ss.oka‐pu.ac.jp
【研究内容】
2025 年の人間とロボットが共存する社会(経産省部局報告)




??
従来のギヤードモータ(例20~100)では接触者や物を傷つける ⇒ 防災から減災にシフト
新機構必要 ⇒ ヒトの筋骨格構造を模倣
その機構に見合った制御手法が必要
バックドライバビリティ獲得,傷害低減 ⇒ 共存・協調社会の実現
衝撃力緩和&吸収
空気圧人工筋
制御手法の流れ
積分C休止
(RSJ投稿中)
【連絡先】(ご遠慮なくお問い合わせください)
TEL:0866‐94‐2130(井上) /0866‐94‐2205(機構事務)
Mail:[email protected]
(1)手先位置制御ON
(2)積分C停止(仮想目標軌道整形停止)
(3)仮想目標軌道をゼロ更新
更
(4)積分C動作(仮想目標軌道整形再開)
※PDコントローラ部:変更なし
䢵䣒䢴䢯䣍䢲䢸
空気圧アクチュエータによる拮抗冗長ロボットアームの手先位置制御
Position Control of an Antagonistic Redundant Robot by Pneumatic Actuators
非 冨永 毅,正 井上 貴浩(岡山県立大)
Tsuyoshi TOMINAGA and Takahiro INOUE, Okayama Prefectural. Univ., [email protected]
This paper reveals that the tip trajectory of a three degrees-of-freedom robotic arm satisfies rectilinear locus
in the two dimensional plane, even though the command to the robot corresponds to a step input of xycoordinates. First, we describe a simple model of a redundant three-joint manipulator by means of Lagrangian
analysis. By using this manipulator model, we clearly indicate that the tip position control of the robot can
be easily achieved by a PID controller designed for the redundant mechanism. In addition, this manuscript
compares xy-trajectory of the tip of robot between a pneumatic actuator and a conventional motor joint
mechanism. This pneumatic cylindrical actuator is placed at both sides of a joint with antagonistic location.
Finally, the tip position trajectory moves according to rectilinear trajectory on xy-plane in both cases of
gravity and non-gravity situation. Thus, we can claim that the antagonistic pneumatic actuator mechanism
is most suitable for the accurate and stable position control of the redundant robotic manipulator.
Key Words: Position control, Pneumatic actuator, Antagonistic mechanism, Redundant manipulator.
1
緒言
Y
現在ロボットは分野を問わず幅広く普及している.これ
らロボットは人との接触が不可避であり,軽量や安全性が
求められている [1].空気圧アクチュエータは,軽量で小
型ながら比較的大きな出力が得られるためこれらの要求を
満たす.一般的に,空気圧シリンダは電動モータと比較し
てコンプライアンス制御が容易,出力重量比が高いなどの
メリットがある [2].一方,応答性が悪い,高精度の位置制
御が困難などのデメリットがあると言われている [3].本
研究では以上のことを踏まえ,産業用途で従来から多く利
用されている電動モータを各関節軸に直接配置した駆動系
と,空気圧シリンダを各関節に拮抗配置した駆動系との運
動性能評価を行う.
本稿では,2 次元平面内で動作する 3 関節を有する冗
長ロボットアームの手先位置制御を行い,空気圧アクチュ
エータを配した拮抗構造を持つロボットの手先が,単純な
ステップ目標に対して xy 面内で直線的な軌跡を描くこと
を初めて明らかにする.
2
2.1
3 リンクアームのモデリング
X
gravity
θ3
θ1
θ2
(a) configuration of a three-DOFs robotic arm
pneumatic
cylinder
idler
idler
idler
final link
paired wires for moving final link
pneumatic
cylinder
(b) driving mechanism with wires
Fig.1 A driving mechanism of a three degrees-offreedom robotic arm equipped with antagonistic
pneumatic cylinders.
空気圧アクチュエータによる拮抗駆動機構
本研究で取り扱うロボットアームは 3 関節を有する xy
平面内を可動領域とする構造としており,手先座標と関節
変数とは運動学的に冗長性を有する.ロボットの概略図を
図 1-(a) に示し,図 1-(b) には空気圧アクチュエータ(シリ
ンダ)を拮抗的に配置した構造を示している.本稿で取り
扱う空気圧アクチュエータによる拮抗駆動システムでは,
各関節を駆動するために一対のアクチュエータを配置して
おり,合計で 6 個のアクチュエータをロボットのベース側
(第 1 リンク)に設置するメカニズムを採用している.し
たがって,3 リンクロボットの運動方程式を導出するにあ
たって,駆動系となる空気圧アクチュエータはモデル化に
含まれないとする.
2.2
Z
T
の関節角度を θi とすると,各重心位置 pc1 = [pc1x , pc1y ] ,
T
T
pc2 = [pc2x , pc2y ] , pc3 = [pc3x , pc3y ] は次式となる.
T
pc1 = [l1 S1 , −l1 C1 ] ,
T
pc2 = [L1 S1 + l2 S12 , −L1 C1 − l2 C12 ] ,
(1)
(2)
pc3 = [L1 S1 + L2 S12 + l3 S123 ,
T
−L1 C1 − L2 C12 − l3 C123 ] .
(3)
ここで,li = Li /2 とし,S123 , C123 はそれぞれ sin(θ1 +
θ2 + θ3 ),cos(θ1 + θ2 + θ3 ) の略記とする.次に,システ
ム全体の運動エネルギー K は以下の式となる.
運動方程式の導出
本稿で取り扱う 3 リンク冗長アームの座標系と物理パラ
メータを含んだ概略図を Fig. 2 に示す.XY 平面内におい
て第 i リンク長を Li ,各重心位置ベクトルを pci ,各リンク
1
1
1∑
mi ṗ2ci + Ic1 θ̇12 + Ic2 (θ̇1 + θ̇2 )2
2 i=1
2
2
3
K=
1
+ Ic3 (θ̇1 + θ̇2 + θ̇3 )2 .
2
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢵䣒䢴䢯䣍䢲䢸䢪䢳䢫
(4)
Y
Y
target
X
X
0
y d step input
θ1
y [m]
-0.1
30
L1
pc1
pc3
-0.2
-0.3
yd
trajectory function
-0.4
θ3
θ2
-0.5
L3
pc2
-0.6
0
start
L2
(a) initial config.
Fig.2 A model of the robotic arm
ここで,mi を各リンクの質量,Ici を各リンクの慣性モー
メントと定義する.最後に,重力によるポテンシャルエネ
ルギーを定式化すると次式を得る.
1
2
3
4
time [s]
5
6
7
8
(b) input functions
Fig.3 In this simulation, the robotic arm moves from
the start point to the target, and two kinds of desired trajectories are utilized for performance evaluation.
Pg = −m1 gl1 C1 − m2 g(L1 C1 + l2 C12 )
−m3 g(L1 C1 + L2 C12 + l3 C123 ).
(5)
以上より,本稿での 3 リンクアームモデルにおけるラグラ
ンジアン L は次式となる.
L = K − Pg .
(6)
start
上式において,各関節とアクチュエータ軸の粘性項を加え
ることで,以下のような運動方程式を得ることができる.
d ∂L
∂L
−
+ di θ˙i = ui .
dt ∂ θ̇i
∂θi
(7)
ここで,ui は各アクチュエータへの制御入力であり,di は
粘性摩擦係数を意味する.
3
3 リンクアームの制御性能比較
本稿では前記したように,3 リンクアームを共通プラッ
トフォームとして駆動系の異なるロボット制御系において
手先位置の軌道制御性能を比較検討する.比較対象として
最も一般的に用いられている,DC モータを各関節に直接
配置した駆動機構(以下ではモータ直駆動と呼ぶ)を採用
する.ロボットの制御系に手先目標のステップ入力を与え
た場合の定常特性と速応性を比較検討する.なお,空気圧
アクチュエータを拮抗配置した駆動機構を以下では空気圧
拮抗駆動と呼ぶ.ロボットの初期姿勢を図 3-(a) に示し,
ロボット手先の始終点間に終点を目標とするステップ入力
を与える(図 3-(b) 参照).ここで,x 座標に関わる目標
軌道は一定とし図 3-(a) の点線とする.
3.1
finish
Fig.4 An example of the position control of the robot.
上式において,ex ,ey は各座標における目標との偏差であ
り,ex =x − xd ,ey =y − y d である.また,Kpi ,Kdi ,Kii
は第 i リンクの比例・微分・積分ゲインとする.θ3 は第 3
リンクの角度とし,θ3d は第 3 リンクの目標角度とする.ui
はモータ直駆動においては第 i 関節への制御入力となる.
次に,空気圧アクチュエータによる拮抗駆動での制御に
おいては,図 2 のように各関節角が反時計周りに回転する
向きのアクチュエータのみを制御し駆動する.このとき制
御則は次式となる.
∫
u1 = −Kp1 ex − Kd1 ėx − Ki1 ex dt + P0 ,
(11)
∫
u2 = −Kp2 ey − Kd2 ėy − Ki2 ey dt + P0 ,
(12)
u3 = −Kp3 (θ3 − θ3d ) − Kd3 θ̇3 + P0 .
(13)
ここで,ui は第 i 関節を反時計周りに回転させる側のアクチ
ュエータへの制御圧力となる.また,拮抗する残り 3 つのア
クチュエータには制御中一定の空気圧 u4 = u5 = u6 = P0
を入力するものとする.
制御方法
手先位置と目標値間で PID 制御を行うが,第 1 関節は
x 座標に関して,第 2 関節は y 座標に関するフィードバッ
クを行う [4].加えて,第 3 関節は 0 を
° 保つように制御す
る.まず,DC モータによる直駆動の場合の制御則は次式
となる.
∫
u1 = −Kp1 ex − Kd1 ėx − Ki1 ex dt,
(8)
∫
u2 = −Kp2 ey − Kd2 ėy − Ki2 ey dt,
(9)
u3 = −Kp3 (θ3 − θ3d ) − Kd3 θ̇3 .
(10)
4
シミュレーション
前述したシステム構成と制御方法で 3 リンクアームの手
先位置制御を行う.また,重力を考慮した場合と重力を無
視した場合の比較も行う.本稿での手先移動タスクの一例
を示すと図 4 のようになる.加えて,3 リンクアームの物
理的パラメータを表 1 に示す.
図
√ 3 のように,ロボットの初期手先位置 x=0.3m,y=0.3 3m からステップ入力として目標座標 xd =0.3m,y d =0m
を与えた.結果を図 5 に示す.左列には空気圧アクチュエー
タ拮抗駆動の結果を,右列にはモータ関節直駆動の結果を
示している.
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢵䣒䢴䢯䣍䢲䢸䢪䢴䢫
0.6
Table 1 Mechanical parameters
Li 0.2 [m]
mi 200 [g]
Non-gravity
0.5
0.1
0
0
Non-gravity
-0.2
-0.3
-0.1
y [m]
y [m]
-0.1
-0.4
-0.5
-0.6
-0.6
0
5
10
time [s]
15
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
10
time [s]
15
20
Fig.6 Velocity comparison between the pneumatic actuator and the DC motor mechanism.
0.6
Non-gravity
0.5
0.4
5
0.4
y [m]
0.3
0.3
・
・
5
(b) y of motor robot
Non-gravity
0.5
y [m]
0
time [s]
(a) y of pneu. ro.
0.2
0.1
0.2
0.1
0
0
-0.1
-0.1
0
5
10
time [s]
15
20
0
(c) ẏ of pneu. ro.
5
10
time [s]
20
0.1
Non-gravity
0
Non-gravity
0
-0.1
-0.2
-0.2
y [m]
-0.1
-0.3
-0.3
-0.4
-0.4
-0.5
-0.5
-0.6
0.28
15
(d) ẏ of motor robot
0.1
y [m]
-0.1
Non-gravity
20
0.6
pneumatic
actuator
0
-0.3
-0.5
motor
actuator
0.2
0.1
-0.2
-0.4
0.3
・
0.1
y [m]
0.4
0.29
0.3
x [m]
0.31
0.32
(e) xy locus of pneu. ro.
-0.6
0.28
0.29
0.3
x [m]
0.31
0.32
(f) xy locus of motor robot
Fig.5 These figures indicate step responses including
y-axis trajectory, velocity of y, and xy-locus of the
tip of the 3-DOFs robotic arm, in which pneumatic
robot is written as ”pneu. ro.” in short.
考察と結言
本稿では,ロボットへの目標値入力にステップ関数のみ
を考慮した.時間関数の軌道を目標入力とする軌道追従制
御は次稿で述べるが,ステップ関数のようなシンプルな入
力に対して,xy 平面内での軌道がほぼ直線的な軌跡を描
いた.また,その軌跡が重力の有無に対してもほとんど変
化しないことから,アクチュエータを各関節周りに拮抗配
置する駆動メカニズムが上肢ロボットのリーチング運動に
適していることが明らかになった.近年,ヒトの上肢リー
チング運動をロボットで再現する試みが数多い [5–7].上
肢運動の特徴として常に挙げられる概念が速度波形のベル
型軌道である.この特徴は図 6 のように,空気圧拮抗駆
動の上肢ロボットにおいて見られるのではないかと考えて
いる.
今後の課題として,空気圧アクチュエータに与えるバイ
アス圧力の一定値を増減したときのアーム全体の剛性がど
のように変化するかを検討しなければならない.
謝 辞
本研究の一部は,科研費基盤研究 A(23246046) を受けて行われたも
のである.
文献
まず,y 座標の時間変化を比較すると,拮抗駆動ではオー
バーシュートが生じてしない.これは拮抗駆動機構の特徴
と考えられる.つまり,一定圧力をかけている反対側の空
気圧アクチュエータ内部のスプリングとダンパの動特性に
起因するものと考えられる.重力の有無に関しては,重力
なしの水平面内での運動が 5s 程度で収束しておりより速
応性が高い結果となった.一方で,モータ直駆動では y 座
標の動きに関して重力の有無が過渡特性に影響がないこ
とが分かる.y 座標の速度に注目すると定常特性に差はほ
とんど見られないが,空気圧拮抗駆動がより最高速度が大
きいことが見て取れる.この拡大図を図 6 に示す.空気圧
拮抗駆動においてゆっくりとした加速の後モータ直駆動よ
り速い最高速度に到達し,減速区間もその変化率が大きく
素早く目標値(y=0m)に収束していることが分かる.ス
テップ応答の最後に,ロボット手先の xy 面内での軌跡を
図 5-(e),(f) に示している.明らかに,空気圧拮抗駆動の方
がより安定した直線を描いている.また,重力の有無には
あまり影響しないことが分かる.一方で,モータ直駆動で
は重力下において x 軸方向に大きく揺れており,同方向へ
の剛性が低いことが示された.
[1] 古藪,川渕,星野,”エアシリンダを内骨格とするヒト型ロボットアー
ムの制御”,電子情報通信学会論文誌,Vol.J88-A,No.11,pp.13181325,2005.
[2] 若澤,柳田,橋本,谷沢,”空気圧シリンダの動的挙動と摩擦特性 ”,
豊田工業高等専門学校研究紀要,第 44 号, 2011.
[3] 全,金岡,川村,”フィードバック階層制御による空気圧駆動システム
の軌道追従制御 ”,日本フルードパワーシステム学会論文集 Vol.38,
No.3,pp.41-47,2007.
[4] 井上,加藤,平井,”バックドライバビリティを有する拮抗腱駆動冗
長関節ロボットの重力下での振り上げ到達運動”,日本ロボット学会
誌, Vol.31, No.1, pp.83-88, 2013.
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ステムのリーチング動作 ”,システム制御情報学会論文誌, Vol.19,
No.8, pp.301308, 2006.
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢵䣒䢴䢯䣍䢲䢸䢪䢵䢫
䢳䣃䢳䢯䣃䢲䢸
空気圧人工筋を拮抗配置した回転関節における仮想粘弾性係数同定
Identification of Virtual Viscoelasticity of a Revolute Joint
with a Pair of Antagonistic Pneumatic Artificial Muscles
非 舟木 義人,○正 井上 貴浩(岡山県立大)
Yoshito FUNAKI and Takahiro INOUE, Okayama Prefectural. Univ., [email protected]
This paper presents an identification process of viscoelasticity of a revolute joint of a simple one-link robot.
This revolute joint has no viscoelastic property in itself due to a pully or a ball bearing incorporated in
the joint axis. However, there exists virtual viscoelastic characteristic in the joint by placing antagonistic
mechanism made with a pair of pneumatic artificial muscles. In this paper, first we generate contraction
forces by applying compressed air to the pair of artificial muscles in order to maintain initial orientation of
the robot and to increase joint stiffness. In that situation, an external force is applied to head of the joint
so as to ingenerate 7◦ -rotational angle. Subsequently, slight vibration of the joint is caused by the release of
the external force. By applying non-linear least-squares method to the joint angle data obtained from the
vibration, virtual viscoelasticity of the joint can be easily identified. Finally, we reveal the existence of linear
and non-linear properties of viscoelasticity according to the amount of the contraction of artificial muscles.
Key Words: Artificial muscle, Contraction, Joint stiffness, Viscoelasticity, Pneumatic actuator.
1
緒言
近年,高齢者の運動支援や障害者のリハビリテーション
に用いる福祉ロボット・アシスト機器や,健常者の日常動
作における負担軽減のためのパワーアシストスーツなど
が実用化に向けて研究開発されている.これらは,ヒトの
動作を補助し,ロボットシステムがヒトの動作に対応した
冗長性を持った機構でなければならない.それらの要求を
満たすため,高い安全性と親和性を備えた空気圧人工筋を
アクチュエータとして用いたロボットを開発する研究があ
る [1–6].
そこで本研究ではコンプライアンス性の高いロボットを
開発する初期段階として,空気圧人工筋を拮抗配置した回
転関節における仮想的な剛性と粘性の値を同定する.本稿
では,製作した 1 リンクロボットの関節周りに空気圧人工
筋アクチュエータを拮抗的に配置し,リンクが真っ直ぐ伸
びた状態(伸展姿勢)を維持するように両アクチュエータ
に空気圧を加える.その状態で外力を加え強制振動を発生
させたときの振幅から,回転関節の仮想的な剛性と粘性を
同定する.最後に,空気圧を種々変化させたときの同定結
果から,仮想的な関節剛性と関節粘性の力学的特徴を明ら
かにする.
2
空気圧人工筋の特徴
resting state
wire
contraction
wire
aire supply tube
Fig.1 Overview of a pneumatic artificial muscle with
contraction and resting state.
である.
3. アクチュエータ自体が構造的に柔軟性があり,ヒト
の筋特性と類似の特性を持つ.
4. 収縮力のヒステリシスや内部空気の圧縮性等の非線
形要素が多い.
3
空気圧人工筋は,ゴムなどの弾性媒体材に圧縮空気を注
入して動力を得るアクチュエータである.2 方向のゴム弾
性をメッシュ状の繊維などの複合材料を使って,ある方向
は硬く,他の方向を柔らかくすることで発揮したい力方向
に膨張させるメカニズムである.結果,ある方向は収縮し,
他の方向は膨張するといった膨らみ方に変化が生じてアク
チュエータとしての機能を果たすことができる (図 1 参照).
また,空気圧人工筋は一般のモータや油圧,空気圧機器の
アクチュエータに比べて以下の特徴を持っている [7].
1. 駆動部の質量が軽量で出力密度が高い.
2. アクチュエータ内部に摩擦部がないことで出力効率
が高く,潤滑油の供給が不要でメンテナンスが容易
拮抗駆動人工筋による関節周りの仮想粘弾性特性
ゴム材料を内包した空気圧人工筋アクチュエータの単体
での剛性特性には特徴がある.それは,収縮量の比較的小
さい領域では人工筋の剛性は線形と近似できるが,収縮量
が大きくなると急激に発揮力が上昇し剛性は非線形とな
る [1, 8].本稿ではこのような力学的特徴を踏まえ,アク
チュエータを関節周りに拮抗的に配置した場合に生じる仮
想的な関節剛性と粘性を振動実験により同定する.本章で
は,まず機械力学に基づいた同定アルゴリズムについて述
べる.
3.1
1 リンクロボットの運動方程式
本研究では,空気圧人工筋を回転関節に拮抗配置して外
力により加振する.回転関節が等価的粘弾特性を持つもの
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢳䣃䢳䢯䣃䢲䢸䢪䢳䢫
RX62N
Micro computer
Table 2 Stiffness (75kPa)
Table 1 Stiffness (25kPa)
command
Artificial muscles
剛性値 [Nm/deg]
Pressure
control unit
剛性値 [Nm/deg]
データ 1
94.223
データ 1
132.731
データ 2
83.127
データ 2
116.622
データ 3
83.618
データ 3
99.976
データ 4
91.531
データ 4
137.453
データ 5
101.937
データ 5
113.962
平均値
90.887
平均値
120.149
標準偏差
7.853
標準偏差
15.128
Table 3 Stiffness (125kPa)
Table 4 Stiffness (175kPa)
剛性値 [Nm/deg]
One linkrobot with encoder
Air filter
Compressor
Fig.2 Total system of the identification test.
vibration
one link robot
データ 1
127.626
データ 2
196.543
データ 2
199.537
データ 3
143.164
データ 3
212.223
データ 4
138.497
データ 4
150.422
データ 5
113.441
データ 5
200.754
平均値
144.104
平均値
178.112
標準偏差
31.442
標準偏差
36.915
0.04
f(x)
artificial
muscle2
Viscosity [Nms/deg]
initially
compressed
128.874
250
7°
Stiffness [Nm/deg]
external
force
0°
剛性値 [Nm/deg]
データ 1
200
150
100
50
0.035
0.03
0.025
0.02
0.015
0.01
0.005
artificial
muscle1
0
0
0
として仮定する.関節角度を θ,慣性モーメントを I ,関
節質量を m,関節の長さを l,回転軸から第 1 リンクの重
心までの距離を d とすると平行軸の定理より次式を得る.
ml2
+ md2 .
12
(2)
まず,関節剛性 k を求める.振動波形の固有周期を T ,
固有角振動数を
ωn とすると ωn =2π/T であり,さらに
√
ωn = k/I より次式の関係を得る.
( )2
2π
k=I
.
(3)
T
次に,関節粘性 c は減衰比を ζ とすると次式となる.
(4)
振動波形の隣り合う振幅の大きさを順次 a1 , a3 , · · · , a2i+1
とすると,対数減衰率 δ は以下のように表わされる.
)
(
2πζ
a2i−1
=√
δ = log
. (5)
a2i+1
1 − ζ2
式 (5) を変形すると次式となる.
δ
ζ=√
.
2
4π + δ 2
200
上式を式 (4) に代入して,
関節剛性と関節粘性の導出
c
ζ= √ .
2 Ik
50
100
150
Setting pressure [KPa]
(b) c
√
δ
c = 2 Ik × √
.
4π 2 + δ 2
(6)
(7)
を得る.次章での振動実験による関節剛性と関節粘性の同
定には式 (3) と式 (7) を用いる.
4
3.2
0
Fig.4 Measurement and identification results of the virtual joint stiffness and damping coefficients.
(1)
関節粘性を c,関節剛性を k ,トルクを τ とすると運動方
程式は次式となる.
I θ̈ + cθ̇ + kθ = τ.
200
(a) k
Fig.3 Test procedure of the identification.
I=
50
100
150
Setting pressure [KPa]
4.1
実験
実験方法
本実験では,回転関節に空気圧人工筋 (PM-10P, スキュー
ズ株式会社) を拮抗配置した状態で行う.駆動システムは,
マイコンの DA 変換指令と圧力制御ユニット (PCM-200,
スキューズ株式会社) を介して,コンプレッサ (ACP-60,
RYOBI) から空気圧人工筋に圧縮空気を流入させ,伸展姿
勢を維持する (図 2 参照).その後,回転関節の先端に初
期角度 7◦ を与え,外力を解放したときからの回転角度を
2ms 間隔でエンコーダにより計測する (図 3 参照).
4.2
関節剛性値と関節粘性値の同定
得られた振動において最小二乗法により近似曲線を算出
して,それぞれの設定圧力値での関節剛性値と関節粘性値
を求める.両パラメータ値を求めるにあたり,近似曲線の
極小値が 2 個以上取得できるグラフをその圧力時の回転
関節の振動として採用した.回転角度の近似曲線を求めた
後,その近似式から振幅と振動の周期を導出した.最終的
に,それらの値を式 (3) と式 (7) に代入し k と c を求める.
今回使用した 1 リンクロボットの各物理パラメータは,重
量 m=87g,リンク長 l=87mm,回転軸から重心までの距
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢳䣃䢳䢯䣃䢲䢸䢪䢴䢫
離 d=43.5mm として計算を行った.いずれの実験におい
ても 5 回の試行を行っている.
125kPa
Table 6 Viscosity (75kPa)
粘性値 [Nms/deg]
粘性値 [Nms/deg]
データ 1
0.020
データ 1
0.015
データ 2
0.031
データ 2
0.021
データ 3
0.014
データ 3
0.024
データ 4
0.019
データ 4
0.035
データ 5
0.017
データ 5
0.022
平均値
0.020
平均値
0.023
標準偏差
0.006
標準偏差
0.007
75kPa
slope
stiffness
Torque [Nm]
Table 5 Viscosity (25kPa)
175kPa
25kPa
slope
stiffness
O
7
Angle [deg]
Table 7 Viscosity (125kPa)
Table 8 Viscosity (175kPa)
粘性値 [Nms/deg]
粘性値 [Nms/deg]
データ 1
0.028
データ 1
0.015
データ 2
0.018
データ 2
0.025
データ 3
0.028
データ 3
0.008
データ 4
0.034
データ 3
0.031
データ 5
0.036
データ 3
0.024
平均値
0.029
平均値
0.020
標準偏差
0.007
標準偏差
0.009
Fig.5 Linear and non-linear viscoelastic properties in
pneumatic artificial muscles.
般的に粘弾性特性は未知でありばらつきも大きく,特に粘
性を推定することは困難であると言われている [9].
6
図 4-(a) は縦軸に関節剛性の平均値,横軸に設定圧力値
をとったグラフである.設定圧力値と関節剛性値には線形
関係が見られた.このグラフにおける近似直線の近似式は,
y = 0.571x+76.187 であった.また,相関係数は r = 0.998
で強い正の相関が見られた.さらに,設定圧力が増加する
にしたがって標準偏差の値が大きくなりばらついているこ
とが分かる.
図 4-(b) は縦軸に関節粘性値をとったグラフである.いず
れの圧力値においても粘性値の結果に比較的ばらつきが大
きいが,一般的な粘性同定の難易度を考慮すると良好な結果
と言える.すべての平均値を求めると,c=0.023[Nms/deg]
となった.同定に用いたデータを表 1 から表 8 にまとめて
いる.
5
結言
ヒトとの接触親和性を重視したロボットの開発,ならび
に生物らしい柔軟な動きをロボットで実現するため,コン
プライアンス性を備えた機構や制御方法が今後必要になる.
そこで本研究では,空気圧人工筋を拮抗配置した回転関節
における動特性を評価することで関節剛性値,関節粘性値
のパラメータの同定を行った.この結果から,圧力の増加
に対して関節剛性値は線形的に増加したことが分かった.
その結果から,空気圧人工筋への圧力指令を変化させるこ
とで容易に関節剛性を調節できると考える.今後は回転関
節のモデル化において,空気圧人工筋の静特性モデルを含
めた検証が必要であると考える.
謝 辞
本研究の一部は,科研費基盤研究 A(23246046) を受けて行われたも
のである.
考察
本実験では回転関節の先端に外力を与えることにより,
0◦ 付近で収束することを利用し,回転関節の回転角度から
動特性を評価した.その結果,設定圧力値と関節剛性値に
は線形関係が見られた.今回の関節剛性値を導くための仮
定として回転関節が粘弾性を持つものと等価的にみなし,
空気圧人工筋に流入する圧力を変化させた.設定圧力が増
加すると空気圧人工筋の収縮率,収縮力ともに増加する.
そのため空気圧人工筋の剛性は大きくなる.この関係から,
回転関節そのものに対しても剛性が大きくなったと考える.
また,設定圧力値が増加するにしたがって標準偏差が大
きくなったことについて,トルクと関節角度には非線形関
係が存在するためであると推察される.今回使用した空気
圧人工筋を拮抗配置した 1 リンクロボットにおいては,初
期角度を 7◦ 付近で与えた.しかし,繰り返し実験を行う中
で初期角度が 6.8◦ や 7.8◦ などを与えることがあった.そ
のため図 5 に示すように,比較的に低圧力時には初期角度
が 7◦ で前後しても,そのときの接線の傾き (=関節剛性)
の値の増減は少ない.それに対して,比較的に高圧力時に
は初期角度が 7◦ で前後すると,そのときの接線の傾き (=
関節剛性) の値の増減は大きくなる.これらの理由により,
関節剛性にばらつきの変化がみられたと推察される.
次に,関節粘性値に関しては一定のばらつきはあるもの
の,圧力設定値に依存しない良好な同定結果となった.一
文献
[1] 中村,”空気圧人工筋肉を用いたバックドライバブルな可変剛性機
構とその制御”,日本ロボット学会誌,Vol.31, No.6, pp.572-576,
2013.
[2] 辻内,小泉,西野,白井,久田原,清水,”低圧駆動型空気圧アク
チュエータの開発と制御性能”,日本機械学会論文集 C 編,Vol.73,
No.732, pp.2320-2326, 2007.
[3] 辻内, 小泉, 菅, 小松原, 久田原, 平野, ”人工筋型空気圧アクチュエー
タを用いた二関節指のモデリングと制御”, 日本機械学会ロボティク
ス・メカトロニクス講演会, 2A1-E01, 2009.
[4] 辻内,小泉,水野,木村,小島,杉浦,”人工筋型空気圧アクチュエー
タを用いた 2 リンク機構のモデリングと制御 ”,日本機械学会ロボ
ティクス・メカトロニクス講演会, 2A2-J03, 2011.
[5] 山下, 武内, 奥野, 相良, ”拮抗駆動関節による剛性とトルクの制御:空
気圧アクチュエータによる実験的検討”, 日本ロボット学会誌, Vol.13,
No.5, pp.666∼673, 1995
[6] 戸森,前田,中村,”動特性モデルを考慮に入れた 6 自由度ゴム人
工筋肉マニピュレータの軌道追従制御”,日本機械学会論文集 C 編,
Vol.77, No.779, pp.2742-2755, 2011.
[7] 中村, ”図解 人工筋肉-ソフトアクチュエータが拓く世界-”, 日刊工
業新聞社, pp.32∼68, 2013
[8] T.Nakamura, et al., ”Joint Stiffness and Position Control of an
Artificial Muscle Manipulator for Instantaneous Loads Using
a Mechanical Equilibrium Model”, Advanced Robotics, Vol.25,
No.3, pp.387-436, 2011.
[9] 柴田, 平井, ”粘弾性物体と位置と変形の同時制御”, 日本機械学会ロ
ボティクス・メカトロニクス講演会, No.06-4, 1P1-B20, 2006
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢳䣃䢳䢯䣃䢲䢸䢪䢵䢫
䢳䣃䢳䢯䣃䢲䢷
拮抗腱駆動多関節アームにおける衝撃力緩和と復帰動作
Impact Force Absorption in Antagonistic Wire-driven Multi-joint Arm
○正 井上 貴浩(岡山県大),正 平井 慎一(立命館大)
Takahiro INOUE and Shinichi HIRAI, Okayama Prefectural. Univ., [email protected]
This paper presents a new control method for absorbing impact forces exerted on the tip of a multi-joint
robotic arm. In this method, integral controller for generating virtual desired trajectory is hold at the time
of impact. We show that the impact force can be absorbed extremely by using the simple control algorithm.
In addition, we show that the tip of the robot is forced to move against the applied force in case of lack
of the hold operation of integral controller, and resulting in unexpected recoil due to antagonistic nonlinear
springs.
Key Words: Impact force, Antagonistic wire driven, Multi-joint robot, Force absorption, Integral controller.
1
緒言
Y
「近い将来ロボットが一家に一台導入される」と言われ
て久しいが,人とロボットが協調し共存できる社会は親和
性の極めて高いロボットの開発の成否にかかっている.少
子高齢化社会で起こり得る種々雑多な問題を解決できるロ
ボットや,安心・安全な社会の実現に役立つロボット,便
利でゆとりある社会の実現に役立つロボットなど,ロボッ
トが活躍できる場面は極めて多い [1].しかしながら,現
状においては人の足元程度の低い位置で動作するお掃除ロ
ボットが普及しているに過ぎない.各家庭への汎用ロボッ
トの導入事例が皆無であることを考慮すると,共存社会の
実現には未だハードルが高いことが示唆される.そのハー
ドルとは共存環境においてロボットが人に危害を加えてし
まうことであり,傷害を生じさせないための衝突回避問題
が従来からの主流となっている.それらの試みは極論すれ
ば,人とロボットが接触することのない環境を指向するも
のであり,共存社会を目指すものとは言えない.本研究の
目指すところは,近年多発する大規模災害に関して防災か
ら減災へとシフトする流れに類似する.ロボットのいる暮
らしの中で起こり得る衝突やそれに起因する傷害を完全に
抑え込むのではなく,傷害の程度を和らげる取り組みが必
要だと考えられる.そのようなことから本稿では,多関節
ロボットアームの手先に突発的な外力が加わったときの応
答を観察し,衝撃力を緩和し吸収する簡易機構とそれに適
合した一制御手法を提案する.ここでは,非線形バネを介
した拮抗型のワイヤ駆動系を扱い,先行研究において提案
している冗長関節機構においてもヤコビ行列を利用しない
簡易な PID 制御を適用する.本稿で新たに提案する衝撃力
緩和のための制御手法は,衝撃力印加時に積分コントロー
ラを一旦停止するという極めてシンプルなオペレーション
である.本手法により衝撃力を容易に緩和し,また,コン
トローラの停止を解除するだけでロボットを元の姿勢に容
易に復元できることを明らかにする.
θ3
X
Z
gravity
θ1
θ2
(a) an overall view of the three-DOFs robotic arm
motors
nonlinear
spirngs
idler
idler
final link
idler
paired wires for moving final link
(b) final link movement with wires
Fig.1 A serial link robotic manipulator having three
rotational joints in two dimensional xy-plane.
タで引っ張ることで各関節を駆動する.このアクチュエー
タが各関節に拮抗的に配置されており,3 つの関節をすべ
て駆動しようとすると合計 6 つのアクチュエータが必要と
なる.
本稿で取り扱う 3 リンク冗長アームの模式図を図 2 に示
す.xy 平面内において第 i リンク長を Li ,各重心位置ベ
クトルを pci ,各リンクの関節角度を θi とし回転関節の半
T
径を R とすると,各重心位置 pc1 = [pc1x , pc1y ] , pc2 =
T
T
[pc2x , pc2y ] , pc3 = [pc3x , pc3y ] は次式となる.
T
pc1 = [l1 S1 , l1 C1 ] ,
(1)
T
pc2 = [L1 S1 + l2 S12 , L1 C1 + l2 C12 ] ,
pc3 = [L1 S1 + L2 S12 + l3 S123 ,
T
L1 C1 + L2 C12 + l3 C123 ] .
2
(2)
(3)
拮抗型腱駆動機構における 3 リンクアームの機構
本稿で取り扱う多関節ロボットは先行研究 [2] において
定義した 2 次元平面内で動作する 3 リンクを有するロボッ
トアームであり,図 1-(a) のように y 軸の負の方向に重力
が加わるものとする.また,図 1-(b) のように駆動系の特
徴として非線形バネとワイヤが直列につながり DC モー
ここで,li = Li /2 とし,S123 , C123 はそれぞれ sin(θ1 +
θ2 + θ3 ),cos(θ1 + θ2 + θ3 ) の略記とする.次に,システ
ム全体の運動エネルギー K は,各リンクに拮抗配置され
た合計 6 個のアクチュエータ(DC モータ)のダイナミク
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢳䣃䢳䢯䣃䢲䢷䢪䢳䢫
スまで含んだ以下の式となる.
Y
X
1∑
1
1
K=
mi ṗ2ci + Ic1 θ̇12 + Ic2 (θ̇1 + θ̇2 )2
2 i=1
2
2
3
1
1∑
+ Ic3 (θ̇1 + θ̇2 + θ̇3 )2 +
Imi ϕ̇2j .
2
2 j=1
R
θ1
6
Pe3
ここでは,機構設計上リンク関節のプーリ半径はすべて等
しく R である.本機構では,任意の腱はその腱の起始点
より根元側にあるプーリをすべて介して非線形ばねに接続
されている.最後に,重力によるポテンシャルエネルギー
を定式化すると次式を得る.
Pg = −m1 gl1 C1 − m2 g(L1 C1 + l2 C12 )
−m3 g(L1 C1 + L2 C12 + l3 C123 ).
(8)
L=K−
Pei − Pg .
(9)
i=1
上式において,各関節とアクチュエータ軸の粘性項を加え
ることで,以下のような運動方程式を得ることができる.
d ∂L ∂L
−
+ D q̇ = u.
dt ∂ q̇
∂ q̇
(10)
ここで,q は各リンク関節とモータ回転角を含めた一般化
座標ベクトルであり,u は各アクチュエータへの制御入力
である.また,D は粘性対角行列を意味する.
3
数値解析例
本章では,ロボットの手先に衝突や衝撃は生じた場合に,
その外力を吸収する制御手法を提案し応答特性を検証する.
まず,制御則を示すと次式となる.
u1 = −Kp1 (θ1 − θ1d ) − Kd1 θ̇1 + τb1 ,
(11)
u3 = −Kp2 (θ2 −
− Kd2 θ̇2 + τb2 ,
(12)
− Kd3 θ̇3 + τb3 ,
(13)
u5 = −Kp3 (θ3 −
θ2d )
θ3d )
u2 = u4 = u6 = τc (const.).
(14)
pc2
L3
R
L2
Fig.2 A model of three joints robotic arm.
Table 1 Mechanical parameters and others
Ici
Imi
mi
R
Li
ζm
τb1
τb2
τb3
Kd1
Kd3
2.27×10−3 [kgm2 ]
1.0×10−6 [kgm2 ]
300 [g]
0.02 [m]
0.3 [m]
0.01 [Nms/rad]
τc +1.0 [Nm]
τc +1.0 [Nm]
τc [Nm]
0.5
0.8
k
∆xo
g
r
ζ
τc
Kp1
Kp2
Kp3
Kd2
3000 [N/m2 ]
0.01 [m]
9.807 [m/s2 ]
0.01 [m]
0.9 [Nms/rad]
0.5 [Nm]
3.0
2.0
2.0
0.4
上式において,第 i リンクの比例・微分ゲインをそれぞれ
Kpi , Kdi とし,関節角目標を θid とする.また,制御入力
に重畳するバイアストルクを τbi と定義する.上記したよ
うに,本稿での指令タスクは関節角度制御ではなくリンク
先端の位置決め制御であるため,上記制御則内における目
標関節角を積分ゲイン Kii を用いて次式のように与える.
∫
(15)
θ1d = −Ki1 (x − xd )dt,
∫
θ2d = Ki2 (y − y d )dt,
(16)
以上より,本稿での 3 リンクアームモデルにおけるラグラ
ンジアン L は次式となる.
3
∑
θ3
θ2
Pe1 =
Pe2
pc3
R
ここで,mi を各リンクの質量,Ici を各リンクの慣性モー
メント,Imi を各モータの慣性モーメント,ϕj を各モータ
軸の回転角度と定義する.次に,アクチュエータと直列に
接続された非線形ばねの伸びによる弾性エネルギーは,r
を腱を巻き取るために各モータに取り付けられたプーリの
半径と定義すると,各リンクごとに以下の式となる.
2
)3
1 ∑(
k
∆xo + rϕj + (−1)j Rθ1 ,
(5)
2 j=1
(
)3
4
2
∑
1 ∑
j
∆xo + rϕj + (−1) R
= k
θi , (6)
2 j=3
i=1
(
)3
6
3
∑
1 ∑
j
= k
∆xo + rϕj + (−1) R
θi . (7)
2 j=5
i=1
L1
pc1
(4)
θ3d = θ3d .
(17)
これは,ステップ状の指令タスク (x, y) → (xd , y d ) におけ
る時間経過ごとの偏差の蓄積から関節角目標を生成してい
ることを意味する.なお,ロボットのメカニカルパラメー
タと制御パラメータを表 1 に示す.ここで,ζ ,ζm はそれ
ぞれロボット関節の粘性摩擦係数,DC モータ回転軸の粘
性摩擦係数である.
本節では,ロボットを重力方向に真っ直ぐ伸ばした姿勢
となる垂下姿勢から (xd , y d )=(0.6m,0m) まで手先を移動
した後,その手先に −x 方向と −y 方向にそれぞれ 40N の
外力が加わった場合のロボットの応答を検証する.ただし,
手先を移動したときの目標はステップ入力としている.各
時間ごとに与えたタスクは,手先が目標値に収束した 2s の
時点(振り上げ期)で上記の外力を加える(外力印加期).
次に,4s の時点で外力を解放し(外力解放期),6s の時点
で元の振り上げ姿勢になるように復帰動作を行う(復帰動
作期).
結果を図 3 に示す.また,各時刻でのロボットの姿勢を
図 3-(e) に示す.図 3-(a),(b) のように,振り上げ動作後の
衝突時において x, y のいずれの方向についても外力を吸収
していることが分かる.制御則は衝突の前後で変更はない
が,衝突を検知した時点で式 (15), 式 (16) で表わされる誤
差に対する積分計算を停止している.このような手法を採
らない場合図 4-(a),(b) に示したように,衝突後でも徐々
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢳䣃䢳䢯䣃䢲䢷䢪䢴䢫
recovery
arm up collision release
arm up
recovery
0.6
x [m]
y [m]
0.2
0
-0.2
-0.6
-0.4
-0.2
-0.4
-0.6
-0.4
-0.6
-0.8
-0.8
-1
0
2
4
6
time [s]
8
10
12
0
2
4
(a) x
arm up collision release
6
time [s]
8
10
12
6
time [s]
8
10
12
6s
1.5
2
2.5
3
3.5
2
4
6
time [s]
0
0.5
1
arm up
8
10
12
1.5
2
2.5
3
3.5
(b) y in no-hold I.C.
collision
arm up
collision
0.2
0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
0
4
time [s]
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
(c) x in PD controller-hold
(d) y in PD controller-hold
Fig.4 (a) and (b) present cases of failure obtained when
integral controller(I.C.) is not hold. (c) and (d)
present cases of failure obtained when PD controllers are hold.
t
recovery
40N
collision
release
40N
(e) snapshots in robot motion
Fig.3 Successful results of integral controller(I.C.) hold
method resulting in imapact force absorption.
に目標値に向かって動き出すことになる.他方,PD 制御
部(式 (11), 式 (12))を直接停止することはそれまでの生
成トルクを制御をかけないまま維持することに相当するた
め,図 4-(c),(d) のように反動的挙動が生じ外力が加わっ
たまま大きな戻り動作を誘発し危険となり得る.また,非
常停止の場合衝突時のロボットの姿勢を維持するようにブ
レーキをかけるか,すべての関節トルクをゼロにするなど
の手法が考えられる.前者の場合衝撃力の緩和や吸収が困
難となり,後者の場合ロボットに自由振動を生じさせるこ
とになり,ロボットの周囲への接触や衝突の危険が残る.
このようなことから,
「積分コントローラ停止」による衝撃
力の緩和吸収が有効であると考えられる.
次に,外力を解放した後の動作を検証する.本稿では外
力解放後も積分コントローラの停止を続けており,図 3(a),(b),(e) から分かるように,解放後 6s の時点である一定
の姿勢に安定している.これは,積分コントローラの「再
動作」が行われない限り,ロボットは元の姿勢に戻らない
ことを意味する.実環境においては衝突による接触状態が
解消され外力が解放されたとしても次の接触や衝突の危険
が完全に取り除かれたとは言えない.そのため,元の姿勢
に復帰するためには安全を確認した後のロボットの能動的
な動作が必要となる.そのようなことから,最後の復帰動
作期において積分コントローラの停止を解除することで,
ロボットを元の姿勢(振り上げ姿勢)に復元している.な
お,すべての動作期において制御ゲインなど,積分コント
ローラの停止と解除以外のパラメータ変更は行っていない.
次に,図 3-(c),(d) には,振り上げ期から復帰動作期まで
の第 1 関節と第 2 関節の時間軌道(実線)を示している.
また,図内の点線は式 (15), 式 (16) で生成される仮想目標
軌道を意味する [2].衝突時の積分コントローラを停止し
ていることから,2s∼4s の目標軌道が振り上げ期の値のま
ま変化していないことが確認できる.また,全区間を通し
て目標軌道に関節角度が追従していないことが分かる.こ
れは,関節変数に偏差が残ったとしても式 (11), 式 (12) か
ら分かるように,比例制御部で残ったトルク成分が重力と
つり合うために起こる.結果的に,手先位置が目標値に収
束すれば良く,関節空間における収束性は要求されない.
4
結言
本稿では,多関節ロボットの手先に衝突が生じた場合に,
衝撃力を効率良く緩和し吸収できる駆動機構とそれに適し
た制御手法を提案した.本制御手法はバネ要素を介して張
られるワイヤを関節周りに拮抗的に配置した多関節ロボッ
トの制御に適しており,関節角の仮想目標を生成する積分
コントローラを一時的に停止するという新たな手法である.
今後は,撃力や繰り返し衝突が発生した場合の応答や,重
力の有無での応答特性の検証を行う予定である.
文献
[1] ”2025 年の人間とロボットが共存する社会に向けて 次世代ロボット
ビジョン懇談会報告書”,経済産業省製造産業局,2004.
[2] 井上,加藤,平井,”バックドライバビリティを有する拮抗腱駆動冗
長関節ロボットの重力下での振り上げ到達運動”,日本ロボット学会
誌,Vol.31, No.1, pp.83–88, 2013.
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢳䣃䢳䢯䣃䢲䢷䢪䢵䢫
4
time [s]
12s
arm up
4
time [s]
x [m]
0
4
(a) x in no-hold I.C.
(d) θ2
4s
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1
(c) θ1
2s
0.5
recovery
θ2 [deg]
θ1 [deg]
4
-1
0
time [s]
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
2
-0.8
(b) y
arm up collision release
recovery
50
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
-50
0
-0.8
-0.6
y [m]
x [m]
-0.2
-0.4
collision
0
0.4
-0.2
0
arm up
0.2
0.6
0
0.4
0.2
collision
0.8
0.2
y [m]
arm up collision release
0.8
䢳䣒䢴䢯䣒䢲䢳
回転型倒立振子における異なる二つのサンプリング周期と制御性能評価
–簡易な制御系設計手法に基づくメカトロ実践教育プログラム設計に向けて–
Performance Evaluation of a Rotary-typed Inverted Pendulum
with Different Two Sampling Periods
○正 井上 貴浩,正 穂苅 真樹(岡山県立大)
Takahiro INOUE and Masaki HOKARI, Okayama Prefectural. Univ., [email protected]
This paper proposes a design algorithm of dual-PI controller for achieving stabilization control of a rotaty-type
inverted pendulum robot. First, we show a decision technique of the PI gains in a sequential increase-decrease
method, in which this system is considered in continuous-time control scheme. Next, by discretizing only
the dual-PI controllers except the controlled object, we examine sampled-data control, in which the first PI
controller satisfies 200ms-sampling time and the other is set to be 2ms. Finally, we reveal the successful
stable behavior of the robot even in such slow sampling time.
Key Words: Inverted pendulum, Sampled-data control, PI control, Non-linear control, Sampling time.
1
緒言
T
2L1 cos θ1 − L2 sin θ2 sin θ1 , L2 cos θ2 ] . (2)
ロボットが人や環境とインタラクティブに協調動作を行
おうとすると,ロボットにとって予期しない接触や干渉が
起こり得る.これらのことを制御工学においては一般的に
外乱あるいはノイズと定義するが,機械システムに関する
古典制御において外乱に強いのが積分器であり,外乱に弱
いのが微分器であることは良く知られている.これは機械
要素間の摩擦やバックラッシュが持つ非線形特性や不連続
特性に起因する.特に,1ms のサンプリング周期で動作を
生成する一般的なロボット制御系においては,位置変数の
時間微分値が大きくなり振動的挙動の原因となる.
そのようなことから,本稿では図 1 のような回転型倒
立振子の安定化制御を例にとり,古典制御において微分コ
ントローラを省いた簡易な PI 制御手法が制御性能にどの
ような影響を与えるかを検証する.本稿では特に,大学で
のメカトロ実践教育で多く用いられているマイクロコン
ピュータによるロボット制御への適用可能性を考慮するた
め,ディジタル制御の観点からロボットのサンプリング周
期を遅らせたときの性能評価を行う.具体的には,倒立振
子の第 1 関節と第 2 関節の制御ループを分離した上で,異
なるサンプリング周期でフィードバックを施す.このよう
な条件下においてもサンプリング周期の大きな遅れに対し
て倒立振子の安定化制御が実現できることを明らかにする.
本稿で紹介する制御系設計手法は極めてシンプルであり古
典制御に基づいた逐次的な設計手順で行えることから,大
学の低学年次へのメカトロ教育に適している.
2 倒立振子の運動方程式と
古典制御に基づく安定化制御則
本章では,図 1 のような回転型倒立振子の運動方程式を
ラグランジュの手法により導く.まず,システムの一般化
T
座標を q = [θ1 , θ2 ] としリンク質量を m1 , m2 ,リンク長
さを 2L1 , 2L2 とすると,両リンクの重心位置 pc は次式と
なる.
T
pc1
= [L1 sin θ1 , L1 cos θ1 , 0] ,
pc2
= [2L1 sin θ1 + L2 sin θ2 cos θ1 ,
(1)
さらに,各リンクの重心回りの慣性モーメントを Ic1 , Ic2
とすると,運動エネルギーは次式となる.
1
1
m1 ṗ2c1 + Ic1 θ̇12 ,
2
2
1
1
2
K2 = m2 ṗc2 + Ic2 θ̇22 .
2
2
K1 =
(3)
(4)
また,z 軸負の方向に重力加速度が加わるとすると,第 2
リンクに生じる重力ポテンシャルは P = m2 gL2 cos θ2 と
なる.最終的に本システムのラグランジアンはこれらの式
を用いて次式となる.
L = K1 + K2 − P.
(5)
上式より,本稿での回転型倒立振子のラグランジュの方程
式は非線形運動方程式となり次式を得る.
{m1 L21 + Ic1 + m2 (4L21 + L22 sin2 θ2 )}θ̈1
+2m2 L22 sin θ2 cos θ2 θ̇1 θ̇2 − 2m2 L1 L2 sin θ2 θ̇22
+2m2 L1 L2 cos θ2 θ̈2 + d1 θ̇1 = u1 ,
(6)
(m2 L22 + Ic2 )θ̈2 + 2m2 L1 L2 cos θ2 θ̈1
−m2 L22 sin θ2 cos θ2 θ̇12 − m2 gL2 sin θ2 + d2 θ̇2 = 0.
(7)
ここで,d1 , d2 は各関節の粘性摩擦係数であり,u1 は第 1
関節に入力するトルクである.また,式 (7) の右辺は第 2
関節への入力トルク u2 であるが,本システムは劣駆動 [1]
となっており制御入力 u2 がゼロであることを意味する.な
お,本システムの物理パラメータを表 1 に示す.これらの
値は製作済みの実機のパラメータと等しい値にしているが,
実機による安定化制御は次稿で取り扱う.
次に,回転型倒立振子の安定化制御に関する制御則と簡
易なゲイン調整手法を詳述する.図 2 のように,システム
の第 1 関節と第 2 関節の制御ループを分離し,各角度に
対して個別に PI 制御を適用する.つまり,状態フィード
バックではなく出力フィードバックとなり古典制御に基づ
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢳䣒䢴䢯䣒䢲䢳䢪䢳䢫
Fig.3 A simulink model of the rotary-type inverted pendulum, which is based on the first generation of SimMechanicsTM .
m2
θ2
L1
m1
Ic1
d1
2L 2
x z
Table 1 Mechanical parameters of the robot.
45 [mm]
L2
55 [mm]
18 [g]
m2
23 [g]
1.23 × 10−5 [kgm2 ]
Ic2 2.34 × 10−5 [kgm2 ]
0.028 [Nms/rad]
d2
0 [Nms/rad]
θ1
y
2L1
m1
Table 2 Gain decision procedure.
Kp2 → Ki2 → Kp1 → Ki1
Fig.1 A model of the rotary-type inverted pendulum.
d
θ1
d
θ2
-
-
PI
PI
τ1
+
+
τ2
u1
θ1
Inverted
pendulum
θ2
Fig.2 A simple block diagram of a rotary-type inverted
pendulum based on dual PI controllers.
いた手法であることに注意する.個別の PI コントローラ
によって生成される制御トルクの合計が第 1 関節の制御入
力となる.
ゲインの調整手法としては,MATLAB/Simulink と SimMechanics で構築した式 (6),式 (7) に基づく非線形倒立
振子モデル(図 3 参照)を用いて,まず目標姿勢が不安定
平衡点となる振子の倒立のみを目的として θ2 に関わる比
例ゲイン Kp2 を決定する.システムへの目標入力は倒立
姿勢(θ2d = 0◦ )であり,その姿勢から 10◦ 傾けた角度を
初期外乱として与える.Kp2 を徐々に増加させることで容
易に倒立は実現する.この時点で,θ1 に関わる比例と積分
の両ゲイン [Kp1 , Ki1 ] はゼロのままであり,θ2 に関する積
分ゲイン Ki2 もゼロとなる.このときの各関節角の応答は
図 4-(a) の通りである.結果から分かるように振子が偏差
なく倒立姿勢になっている一方,θ1 の角速度が徐々に増加
し回転が止まらない.続けてこの状態から,残った積分ゲ
イン Ki2 を徐々に増加していき,図 4-(b) で示したように
θ1 の角速度がほぼ一定になるように Ki2 を決定する.こ
れで振子(θ2 )に関する PI コントローラの設計を完了す
る.次に,θ1 が目標入力(θ1d = 0◦ )になるように第 1 関
節に関する PI コントローラを設計する.同様な増減法に
より容易に Kp1 が求まり,図 4-(c)のようにθ1 が一定の値
へと収束する.しかし,比例制御のみのこの段階では θ1d
には収束せず大きな偏差を残したままとなる.最後に,偏
差を解消するために Ki1 を決定する.最終的に各ゲインは
[Kp1 , Ki1 , Kp2 , Ki2 ] = [2, 3, 10, 100] となり,時間応答は図
5 の実線(連続系)となる.ゲインの決定順序をまとめる
と表 2 となる.図 5-(a), (b) から分かるように,θ2(振子)
が 2s 程度で目標値(0◦ )に収束していると同時に,θ1 は
4s 程度で収束している.また,最後の Ki1 を決定する前後
で応答を比べると,決定前に θ2 が目標値に約 0.3s で収束
している一方で(図 4-(c) 参照),決定後には図 5-(b) のよ
うに 2s 程度かかっている.これは,最終段階での第 1 リ
ンクへの積分コントローラの導入により時間応答性が劣化
していることに因る.つまり,定常特性を劇的に改善する
代わりに速応性を犠牲にするという積分コントローラの本
質的機能が現われている.
以上のように,回転型倒立振子システムを線形化せず非
線形方程式として扱った上で制御系設計を PI 制御(古典
制御)に限定した場合,連続時間非線形システムとしてゲ
イン調整を上記手法により逐次的に行うだけで,倒立姿勢
の安定化制御が実現する.
ところで,サンプリング周期が比較的長い制御系を連続
系として取り扱うことは適切ではなく,その場合離散化し
たコントローラに基づいたサンプル値制御系の設計手順に
従うことになる.連続系コントローラを設計した後にコン
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢳䣒䢴䢯䣒䢲䢳䢪䢴䢫
50
40
θ1
30
20
10
θ2
θ2
0
-10
0.5
1
time [s]
1.5
0
2
0.5
1
1.5
2
time [s]
(a) Kp2 = 10
Ts 1 = 0.02s (D1)
continuous (C)
0
continuous
-1
(C)
-2
Ts 1 = 0.2s (D2)
-3
-4
0
1
2
3
4
5
0
time [s]
1
(a) response of θ1
2
3
time [s]
4
5
(b) response of θ2
1
(D2)
θ1
Ts 1 = 0.2s
θi [deg]
0.8
θ2
0.6
0.4
(C)
0.2
continuous
0
0
0.5
1
time [s]
1.5
(D1)
Ts 1 = 0.02s
-0.2
2
0
(c) Kp2 = 10, Ki2 = 100, Kp1 = 2
1
2
3
time [s]
4
5
(c) enlarged view of θ2
Fig.4 Step-by-step response improvement of θ1 during the decision process of the four gains,
Kp1 , Ki1 , Kp2 , and Ki2 .
トローラを部分的に離散化し解析する手法を「ディジタル
再設計」というが [2],本稿ではその設計手法にならい,次
章において PI コントローラ部のみを離散化した場合の制
御性能評価を行う.
3
Ts 1 = 0.2s
(D2)
(b) Kp2 = 10, Ki2 = 100
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
(D1)
Ts 1 = 0.02s
1
θ2 [deg]
0
2
θ1 [deg]
θi [deg]
θi [deg]
θ1
3
14
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
θ2 [deg]
60
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
-10
サンプル値制御系での制御性能評価
前述したように倒立振子の目的は倒立させたいリンクを
不安定平衡点に維持することであるので,適切な制御入力
のない限り明らかに不安定なシステムと言える.一方で,
回転型倒立振子においては第 1 リンクを分離し個別で考え
ると,動作方向が重力と直交していることから元来安定な
システムである.不安定系の安定化制御ではサンプリング
周期が短くなければならないのは自明であるが,個別で内
部安定と判断される第 1 リンクに関しては必ずしも「速い
制御」が必要ではないと考える.よって,本稿では第 2 リ
ンク(振子)のサンプリング周期を Ts2 = 2ms とする一
方で,第 1 リンクのサンプリング周期 Ts1 を Ts2 の 10 倍,
100 倍にしたときの応答を検証する.
検証には前章と同様のシミュレーションを行う.振子の倒
立姿勢(θ1 = θ2 = 0◦ )から始める.その姿勢に初期ステッ
プ外乱(θ2d = 10◦ )を入力する.Ts1 = 20ms,Ts1 = 200ms
に設定したときの応答結果を図 5 に示す.比較のために,
前章で確認した連続時間応答も同時に図示している.4 つ
のゲインについては前章と同じ値としている.
まず,θ1 に関して図 5-(a) を見ると,点線で示した Ts1 =
20ms のときの離散時間応答(D1)が連続時間応答(C)
より全体的な応答が速く,目標値への収束も 3s 程度とな
り大幅に改善していることが分かる.θ2 についても同様
であり,図 5-(b) から 0.5s 程度で十分収束していることが
見て取れる.次に,Ts1 = 200ms にしたときの離散時間応
答(D2)を実線で同図に示している.まず,θ1 に関して
振れ幅が大きくなっているが,おおよそ連続時間応答(C)
の収束時間と同じ値となっている.加えて,軌道を局所的
Fig.5 Individual trajectories of θ1 and θ2 in continuoustime control and sampled-data control, in which
[Kp1 , Ki1 , Kp2 ,Ki2 ] = [2, 3, 10, 100] are used with
consistency, and Ts2 = 2ms is used in the sampleddata control.
に観察すると挙動の乱れが 200ms 間隔で生じていること
が分かる.この現象は振子(θ2 )において顕著であり,図
5-(b) で見られるように,0.2s 付近で最大 3.5◦ 程度の安定
軌道からの逸脱が生じている.ただし,図 5-(c) から分か
るように,いずれの逸脱軌道に関しても 200ms 以内に減
衰し安定軌道に収束している.
次に,図 2 に示されている制御入力 u1 を観察する.u1
は第 1 リンクへの制御トルクであり,各リンクごとに配置
された PI コントローラが生成するトルク(τ1 , τ2 )の合計
となる.異なるサンプリング周期における u1 を 3 つの条
件((C),(D1),(D2))ごとに図示した結果が図 6 となる.
定常状態ではいずれの場合も u1 → 0 となっている一方
で,応答 (C) に比べて応答 (D1),(D2) では過渡的に振動的
な変化となっている.特に,応答 (D1) が (D2) に比してよ
り振幅が大きくその時間も長い.つまり,θ1 に関わる PI
コントローラ前後でのサンプリング周期 Ts1 が最も長い条
件 (D2:200ms) における u1 がより速く減衰していること
になる(図 6-(d),(f) 参照).一方で,応答 (D2) において
サンプリングのタイミングごとに u1 が振動しその後減衰
するという結果となっている.
次に,τ1 , τ2 の時間変化を図 7 に示す.応答 (C), (D1),
(D2) のいずれの場合も u1 = τ1 +τ2 ≃ 0 (t → ∞) を満たし
ている一方で,τ1 , τ2 を個別で見た場合,いずれも異なる値
に収束していることが分かる.つまり,u1 = τ1 = τ2 ≃ 0
を満たす必要はない.これは積分コントローラが持つ「誤
差解消のためのトルクを蓄積する」特性に起因する結果で
あり,図 2 におけるコントローラが P 制御や PD 制御で
あれば定常状態で u1 = τ1 = τ2 ≃ 0 を満たすことになる.
そのため,PD 制御であれば応答が速くなり安定化制御が
比較的容易になるかも知れないが,逆に「ゆっくりと安定
化する」制御は不可能であると推察される.この点に関す
る更なる検証は次稿で行う予定である.
䣐䣱䢰䢢䢳䢶䢯䢴䢢䣒䣴䣱䣥䣧䣧䣦䣫䣰䣩䣵䢢䣱䣨䢢䣶䣪䣧䢢䢴䢲䢳䢶䢢䣌䣕䣏䣇䢢䣅䣱䣰䣨䣧䣴䣧䣰䣥䣧䢢䣱䣰䢢䣔䣱䣤䣱䣶䣫䣥䣵䢢䣣䣰䣦䢢䣏䣧䣥䣪䣣䣶䣴䣱䣰䣫䣥䣵䢮䢢䣖䣱䣻䣣䣯䣣䢮䢢䣌䣣䣲䣣䣰䢮䢢䣏䣣䣻䢢䢴䢷䢯䢴䢻䢮䢢䢴䢲䢳䢶
䢳䣒䢴䢯䣒䢲䢳䢪䢵䢫
0.2
-0.5
Ts 1 = 0.2s
0
-0.2
-1
0.8
-0.1
τ1 [Nm]
0
u1 [Nm]
u1 [Nm]
0.4
0
continuous-time control(C)
continuous-time control(C)
Ts 1 = 0.02s
-0.2
Ts 1 = 0.2s
-0.3
(D2)
-0.4
continuous (C)
0.4
0.2
Ts 1 = 0.02s
continuous
(C)
-0.4
-1.5
0
1
2
3
time [s]
4
0
5
(a) in continuous time(C)
0.8
1
0.5
0.4
0
0.2
-0.2
-1.5
-0.4
1
2
3
time [s]
4
0
5
(c) in discrete time(D1)
0.2
0.4
0.6
time [s]
0.8
1
(d) its enlarged view
0.6
1
discrete-time control(D2)
discrete-time control(D2)
0.4
0
0.2
u1 [Nm]
0.5
-0.5
0
-1
-0.2
-1.5
-0.4
-0.6
-2
0
1
2
3
time [s]
4
5
0
(e) in discrete time(D2)
0.2
0.4
0.6
time [s]
0.8
1
(f) its enlarged view
Fig.6 Time history of u1 exerted on the first joint of
the robot, in which u1 = τ1 + τ2 is satisfied.
次に,図 7-(b) から分かるように,応答 (D2) において
τ2 の時間変化が 200ms(Ts1 )ごとに振動と減衰を繰り返
している.結局,図 5-(b), (c) で確認された θ2 の安定軌道
からの逸脱と減衰は,τ2 の振動挙動に起因することが理解
できる.
4
1
2
3
time [s]
4
5
0
1
2
3
time [s]
4
5
(b) τ2
Fig.7 Time history of τ1 and τ2 which are generated on
the individual PI controller related to θ1 and θ2 , in
which u1 = τ1 + τ2 is satisfied.
-0.6
0
0
0
-1
-2
-0.2
-0.6
(a) τ1
discrete-time control(D1)
discrete-time control(D1)
-0.5
0.6
time [s]
(b) its enlarged view
u1 [Nm]
u1 [Nm]
0.4
0.6
1
u1 [Nm]
0.2
(D1)
0
-0.5
-0.6
-2
(D2)
0.6
(D1)
τ2 [Nm]
0.6
1
0.5
結言
本稿では,回転型倒立振子の安定化制御を例にとり,平
衡点周りでの線形化を行わず非線形方程式のままで古典制
御に基づくゲイン調整を行う簡易な手法を述べた.制御則
の特徴としては,各リンクのコントローラを個別で設計し,
4 つの各ゲインを連続時間制御系として逐次的増減法によ
り決定した.次に,ディジタル再設計という観点からコン
トローラのみを離散化し,制御系内部に異なる 2 つのサン
プリング周期を設定した上で安定化制御における性能評価
を行った.シミュレーション結果から,回転型倒立振子の
第 1 リンクに関わる PI コントローラのサンプリング周期
を 200ms まで遅らせても,第 2 リンク(振子)の倒立制
御が可能であることが明らかになった.
従来,ディジタル再設計では一般にサンプリング周期を
大きくとるとフィードバック系は不安定になると言われて
いる [2].しかし,2 つの PI コントローラの組み合わせに
よって,一方のサンプリング周期を大幅に遅らせても安定
化制御が可能であることが初めて示された.積分制御は応
答が遅いため補助的に使われることが多いが,産業用途で
あれば PI 制御や PID 制御が未だ主流であるし使い勝手が
良い.古典制御手法ではゲイン調整が比較的難しいと言わ
れるが,本稿では逐次的手順に従って容易に決定できた.
今後はサンプル点間の制御性能の改善に取り組む予定で
ある.
また,メカトロ実践教育プログラムの開発の観点から,
本研究の動機付け,及び制御指針をまとめると以下の通り
である.
1. 非線形方程式のまま制御系を設計したい(線形化省
略)
2. 古典制御にこだわりたい(現代制御を避ける)
3. 遅いサンプリング周期で制御したい(安価なマイコ
ンボードで制御)
4. 微分コントローラを使いたくない(ノイズ除去が必
要になる)
これらの条件が必要な場面としてメカトロ教育が挙げられ
る.大学の低学年次を含めて高校生以下を対象とした教育
初期段階において必要なのは,より短い説明でやろうとし
ていることを素早く理解し実践することであり,
「ロボット
が思い通りに動く」という成功体験である.非線形という
概念やその線形化プロセス,最適レギュレータを含んだ状
態フィードバックによる制御系設計(状態空間表現),ノ
イズ除去のためのフィルタリング処理,汎用コンピュータ
などの高機能計算機による制御など,大学低学年次でもそ
の理屈はやや難しく,制御プログラムを構築するとなると
なおさらである.座学から得られる成功体験はせいぜい成
績 (S) であるから,(1) 基礎実践実技 →(2) 応答改善可能
な高度な制御理論 →(3) 応用実践実技の順で習得するのが
最適と考えられる.
謝 辞
本研究の一部は,科研費基盤研究 A(23246046) を受けて行われたも
のである.
文献
[1] 逸見,Deng,井上,植木,平嶋,”台車型直列二重倒立振子の振り上げ
制御”,日本機械学会論文集 C 編,Vol.71, No.704, pp.1269–1275,
2005.
[2] 永原,”離散時間制御”,システム/制御/情報,Vol.56, No.6, pp.298–
301, 2012.
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