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災害時における
地域・家庭の対策について
(公財)ひょうご震災記念21世紀研究機構
人と防災未来センター 研究主幹
紅谷昇平
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はじめに
東京、名古屋、大阪で、震度6弱以上でゆれる
可能性が、最も高い都市は?
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全国地震動予測地図改定
(2012年12月)
今後30年以内に、
震度6弱以上の
地震が発生する
確率
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都道府県庁所在地等で、今後30年以内に震
度6弱以上の揺れに見舞われる確率
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南海地震時には、
尼崎市でも震度6弱
■南海地震の想定
– 最大震度は、6弱
– 最大津波高は、3.8m
– 1mの津波が到達時間は、90ー120分
■その他、尼崎市に影響を及ぼす想定地震
地震ハザードマップの想定地震
六甲・淡路島断層帯地震 (活断層地震)
上町断層帯地震 (活断層地震)
有馬-高槻断層帯地震 (活断層地震)
東南海・南海地震 (海溝型地震)
市内直下型地震 (仮想地震)
マグニチュード
7.9
7.5
7.5
8.5
6.9
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震度6弱の地震とは
福岡西方沖地震の読売新聞記事より
(読売新聞05.03.21より抜粋)
• 天神の福岡ビルは通りに面したガラス窓数十枚が割れ、厚さ1
センチほどのガラス片が路上に無数に散乱した。日曜日とあっ
て周辺は買い物客であふれており、近くを歩いていた人たちは
「もし、下を歩いていたら大けがをした」とおびえていた。
• 警固公園には、避難の買い物客らが殺到した。
• 天神地下街では地震発生の約5分後、「(近くの)市役所前広
場に避難して下さい」との緊急放送が響いた。逃げ場のない地
下空間。買い物客や従業員らは焦った様子で階段を駆け上っ
た。同広場には数千人が避難した。つながりにくい携帯電話で、
家族や友人に連絡を取ろうと、何度もかけ直す姿が目立った。
• 横尾浩さん(24)は店から逃げ出した瞬間、崩れた外壁のコン
クリート片が肩に当たり転倒した。そばには次々とコンクリート
塊が落ちてきた。「倒れた場所がずれていたら下敷きになって
いた」と恐怖に顔をゆがめた。
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はじめに
• 「防災」の基本は「自助」。
(自分の身を守れないと、他人も助けられない)
• 「自助」の延長に、自主防災組織による「共助」が
ある。
(行政による「公助」の代わりではない)
・自分と家族を守るために何をするのか、につ
いて、まず知る。
・自分だけで出来ないことをやるために、「共
助」に取り組む。
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Ⅰ.地震でなぜ命を失うのか?
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命を守るための3つの段階
・各段階で、何らかの対策が求められる。
①地震直後
・壊れた建物や、倒れてくる家具の下敷きに
ならない。(予防対策)
②直後~
3日後
・火事や、津波から避難する
・倒れた建物から救助され、治療を受ける
③3日後~
・一定水準の避難生活をすごす
(関連死を避ける)
・避難者の特性に合わせた支援を受ける
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地震で死ぬ原因は?
①地震直後
• 建物倒壊や家具転倒が、
8割以上を占めている
●住宅の耐震性が、生死
を分ける。
●特に、構造の弱い、古
い住宅を改修すること
が大切。
(日本の住宅の4分の1
は、地震に弱い住宅)
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東日本大震災における死因
(暫定値)
②直後~
3日後
• 津波がくるまで30分から1時間の時間があり、そ
の間に、避難できれば助かった。
• 死者のうち92%が津波による溺死。
• 死者のうち65%が高齢者。
(避難が遅れがちな高齢者に被害が集中)
海から離れていても、火事は、「炎の津波」。
避難が大切。
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中越地震の場合
③3日後~
・ 本震発生後2時間で3回の震度6の余震が発
生し、余震をおそれた被災者が、自動車や避
難所で避難した。
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③3日後~
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劣悪な避難生活も、死因となる
• 新潟中越地震では、地震による建物の被害で死ん
だ人よりも、その後の過酷な避難生活や、ストレス
等による関連死の割合が高くなった。
(直接死16名、関連死52名)
• ストレスによる心臓への負担の増大、エコノミークラ
ス症候群、コミュニティの崩壊・雇用の喪失等の悩
みによる自殺、など。
●「災害はこういうものだ」という思い込みは危険。
●いろいろな危険があることを知る。
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Ⅱ.地震に対して、家庭・地域が
出来ること
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1:地震直後の犠牲を防ぐ
①地震直後
• 耐震改修を実施する、また、家族、親せきなどに呼
び掛ける。
• 家具の固定をする。配置を変える。
• ブロック塀、看板、自動販売機など、道路の危険物
を地域で取り除く。
(古い建物が倒壊し、通行中に犠牲になった場合が
ある)
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①地震直後
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耐震改修が必要な理由。
• 住宅が倒壊すると、亡くなる可能性の高いのは、体
力の少ない子どもや高齢者。住宅の倒壊を防げば、
人命の損失が防ぐことができる。
• 耐震改修は、個人の問題だけではない。残された、
家族・友人の想いも考える。
• 耐震改修は、その家の問題だけではない。倒壊した
家は、道路をふさぎ、救出活動の妨げとなる。
• 時には、周りの家、通行人を巻き添えにすることも
ある。
• 災害時には、救出の人手が圧倒的に不足する。少
しでも生き埋めとなる人を減らせば、死者数を減ら
すことが出来る。
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①地震直後
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家具の固定例
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石塀の倒壊(中越沖地震)
①地震直後
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緊急地震速報について
①地震直後
• 地震の揺れが到達する数秒~数十秒前に、警告信
号が届く。(TV、ラジオ、携帯電話など)
• P波とS波の到達時間の差、被災地と観測地点の場
所の違いを利用。
P波;揺れが小さく、伝わる早さが早い。
S波:揺れが大きく、伝わる早さは遅い。
• 震源に近い場合や、内陸直下型地震の場合、あまり
効果がない。
→使い方によっては有効だが、期待しすぎない。
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2:地震後、安全な場所へ
避難する
②直後~
3日後
• 避難場所を確認しておく
→地震と水害では、安全な避難所は違う!
• 地域で、火災を出さない、広げない。
→耐震改修をしても、燃えたら終わり
• 生き埋めになった人を救出する
→地域での安否確認、声かけ。
→ご近所さんのことを知る
→必要な機材を用意する
• 力を合わせて、避難する。
• 情報入手は非常に大切。(デマを広げない)
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②直後~
3日後
クイズ
• 阪神・淡路大震災では、救助隊に救助された人
の割合は何パーセントでしょう。
• A:約2%
• B:約12%
• C:約20%
ヒント:一番多かったのは、「自力で」34.9%でした。
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• 大災害では、自衛隊や消防隊の救助活動は
期待できない。
(あまりに、被害者が多い。)
• 結局は、家族や友人、近所の方に救助され
た例がほとんどである。
• 日頃からの家族、ご近所、友人などとの関係
が大切であり、自分が無事だったら、家族や
近所の方を助ける。
• このような「共助」が必要なのは、高齢者など
要援護者だけではない。
(昼間、家族とはなれて働くサラリーマンなど
の方が、重要な問題。)
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安否確認の方法
②直後~
3日後
• 連絡、安否確認の方法。携帯メール、災害用
伝言ダイヤル(171)、携帯の災害伝言版、ツ
イッター、公衆電話が災害に強い。
(複数の方法を試す)
• 避難した場合は、伝言を残す。
• サラリーマン、学生、買い物客など帰宅困難
者(帰宅難民)が多数発生する。
– 上町断層地震が発生し、基幹交通網が寸断され
た場合、府内全域で142万人の帰宅困難者が
発生。
– 東京では対策が進むが、大阪は遅れている。
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災害用伝言ダイヤルの使い方
②直後~
3日後
毎月1日 0:00~24:00は、体験利用可能。(他に正月、防災週間など)
録音時間 1件当たり30秒間
保存期間 録音後、2日間(48時間) (※なお、保存期間を過ぎると自動で
消去される。)
蓄積数 1電話番号当たり1~10件まで
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公衆電話設置場所
・2012年6月から、NTTホームページで検索可能。
緑の電話の場合、
コインかテレホンカード
が必要。
(通話後返却)
グレーの電話の場合、
災害時は受話器を
上げればつながる。
(ただしバッテリー
が使える期間のみ)
②直後~
3日後
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3:避難生活を改善する
③3日後~
• 建物は大丈夫でも、電気、ガス、水道が使え
ないと、生活できない。
• 懐中電灯や食糧・水、日用品、カセットコンロ
などの備蓄があれば、自宅で生活できる。
• 簡易トイレがあると良い。無ければ、新聞紙と
ゴミビニール袋があれば、それを便器に入れ
て使えば、数日程度なら何とかなる。
• 家で生活するのが困難であれば、小学校、公
民館などの避難所に行く。夜は家で寝て、昼
間、情報や必要な物資、食糧、水だけもらい
にいくことも可能である。
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必要な備蓄例
(①局地型3日、②広域型1週間~)
•
•
•
•
•
•
•
•
•
救急医療グッズ、常備薬
手回しラジオ、ライト
メガネ
アレルギー食、紙おむつ、粉ミルク
ペットボトルの水、浄水器
備蓄食糧(主食、副菜、お菓子)
燃料(カセットコンロ、加熱用袋)
簡易トイレ、ビニール袋、ティッシュ、
自動車の活用
など
③3日後~
③3日後~
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中越沖地震(2007年)での食中毒、
熱中症等への対応
• 弁当の配布ではなく、炊き出しの方が、衛生環境をコ
ントロールしやすい。
• ドライアイスや氷で冷やす保冷庫により、食品の冷蔵
保管が可能となる。(ただし配布には時間がかかっ
た)
• 手洗い、消毒、うがいの励行。賞味期限の周知徹底。
• スポーツドリンク等の配布による水分補給。
• 結果として、関連死の比率は低かった。
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Ⅲ.水害から命を守るために
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尼崎市にとって、水害も大きなリスク
(内水浸水想定区域)
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猪名川・藻川が氾濫した場合の
浸水想定区域図
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小さな河川でも危険
2009年8月 兵庫県佐用町の水害現場
「小さな用水路でも、あふれると危険」
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どういう原因で亡くなっているか
●自宅が、水に沈んだり、流されたりして、亡くなるわけでは
ありません。
(道路に水があふれて、地面が見えないと、足を踏み外し
て、用水路等に流される犠牲者の方が多い)
→自宅が川から離れていても、リスクはある。
0%
5%
10%
15%
20%
12.8%
自宅
20.0%
路上
16.6%
水路・側溝の付近
12.8%
河川内
11.3%
堤防上
7.9%
橋の上
水田・畑など
その他
不明
6.0%
6.4%
6.0%
「これからの都市水害対応ハンドブック 」末次忠司
25%
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水害被害にあわないために
• 水害では、事前に大雨注意報や警報などが出るので、
本来、気を付けていれば、逃げられる災害。
●危ないと思ったら、できるだけ早く避難する
●大雨で水があふれ始めたら、外出せず2Fへ。
(心配だからと、学校や外を見に行かない。家族が外出
しようとしても止める)
●土砂崩れ、風で飛ばされてくる危険物にも注意する
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Ⅳ.最後に
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適切な対策で、被害は防げる
• 地震や水害は、多くの建物を壊し、人の命をうばう
怖い災害。でも、大多数の人は災害から助かり、生
活を回復している。
★実は,交通事故や火災の方が、ずっと危険!
交通事故の死者:1年間に約5,000名
火災の死者:1年間に約2,000名
海水浴などでの水の事故:1年間に約1,000名
• きちんと準備をしておけば、地震、津波の被害は減
らすことができる。
• まず、丈夫な家に住み、家具が倒れないようにする。
• 次に、地震後の困難な状況(倒壊家屋からの救助、
避難生活、など)を、力を合わせて乗り切る。
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守りたい地域をつくる
• 地域が地域を守る「自主防災組織」は、自主的な活
動。外部から強制される活動ではない。
• そのためには、「地震で失いたくないコミュニティ」、
「守りたいと思える地域、ご近所関係」を築くことが
前提となる。
• 地域で防災活動だけを進めようとしても失敗する。
• お祭り、様々な形でのボランティア、子ども会・婦人
会など地域の団体のネットワークなど、幅広い地域
活動を活発にする。そういう地域は、災害にも強い。
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終わり
ダウンロード

20130320尼崎市A地区講演_配布資料