前庭系の機能
Functional Aspects of the
Vestibular System
認知行動脳科学
西尾 健資
Ear
(hammer)
Orientation of the Labyrinth
Inner Ear (Labyrinth)
The Sense of Balance
• Inner ear (Labyrinth)
– Bony labyrinth
• Vestibular
• Auditory
– Membranous labyrinth
• Vestibular
– Otolith organs (utricle, sacculus)
– Semicircular ducts (anterior, posterior, horizontal)
• Auditory
– Cochlear duct
Bony and Membranous Labyrinths
Membranous labyrinth is filled with
endolymph, while the space between bone and
membrane is filled with perilymph
• Endolymph
– ion composition similar to intracellular fluid
– high K+ (160 mM), low Na+
• Perilymph
– ion composition similar to cerebrospinal fluid or
extracellular fluid
– high Na+, low K+
Specialized regions of the vestibular
labyrinth contain Hair Cells
• One end of each semicircular duct
dilates forming the ampulla.
• The ampullae, utricle and saccule
contain Hair Cells.
Organization of the ampulla
The cupula is a gelatinous and diaphragm-like mass.
Cilia extend from the receptor cells into the cupula.
Hair cell is polarized
Transducer channel is
considered a non-selective
cation channel.
The firing of vestibular nerve fibers depends
on the direction in which the hairs are bent
axis of polarity
Gating spring model
tip link
channel
gate
closed
channel
gate
open
• Tip links connecting channel
gate to adjacent taller
stereocilium tense during
displacement toward the taller
steroecilium, thus increasing
the probability that the channel
will open.
• Transduction channel is
considered a non-selective
cation channel.
The hair cell’s transduction channel
• It has not been identified so far.
• It is considered a non-selective cation
channel.
• Candidates are
– Epithelial sodium channels (ENaC)
– Voltage activated Ca channels
– P2X receptors
The semicircular ducts respond to
angular acceleration in specific directions
Hair cells in the otolith organ
The utricular macula lies horizontally,
while the saccular macula lies vertically.
Orientation of the Vestibular Labyrinth
The utricle responds to linear acceleration
in all directions
The axes of polarity of all hair cells in the macula of the utricle are
oriented toward the striola.
Summary
半規管の機能
• The semicircular ducts sense the rotation of the
head in space (dynamic function).
(半規管は動的頭位回旋を認知する)
耳石器の機能
• The otolith organs monitor the absolute position
of the head in space (static function).
(耳石器は絶対的頭位を認知する)
• The otolith organs also detect linear
accelerations (dynamic function).
(耳石器は直線加速度も認知する)
問題?
• 頭位を水平に保ったまま、急に右方を向いた時、
三半規管の中で反応するのは
であり、
方の
hair cellの発火が亢進する。
• 前庭器官の内、頭位を水平に保ったまま不動で瞑
想している時でも発火しているのは
である。
• 電車に乗っていて、急に電車が減速した時に、こ
の減速を感知するのは
である。
• エレベーターに乗っていて、上昇加速度を感知す
るのは
である。
姿勢保持と脳幹機能
Posture(姿勢)とpostural adjustments(姿勢保持)
• Posture(姿勢)とは、体幹や四肢などの相対的、
あるいは空間的位置関係を表す。
• 我々は、重力場の中で生活しているので、常に重
力に対して、姿勢を保持しなければならない。
– さもなければ、我々の体は地面にたたきつけられること
になる。
• 姿勢を保持するためには、姿勢(体幹や四肢など
の相対的、あるいは空間的位置関係)を認知して
これを調節する機構が必要である。
姿勢を認知する機構
体幹や四肢などの相対的位置関係
筋固有感覚
関節固有感覚
皮膚感覚
体幹や四肢などの空間的位置関係
視覚
前庭覚
姿勢を調節する機構
姿勢を認知する感覚情報を統合して、最終出力
である頭頚部・四肢体幹筋の運動を調節する。
Input:筋固有感覚、関節固有感覚、皮膚感覚、視覚、前庭覚
↓
姿勢調節機構
↓
Output:脳幹・脊髄運動神経→頭頚部・四肢体幹筋収縮
姿勢調節機構
• 反射性姿勢調節機構
– 前庭頚反射・前庭脊髄反射・筋伸張反射な
ど姿勢調節に関わる反射
• 非反射性姿勢調節機構
– 上記の反射を選択的に促通あるいは抑制し
て、最終的に生体にとって有利な姿勢を保
持しようとする機構
– 上記の反射よりも上位の調節機構
反射的姿勢調節機構
Sherringtonの実験(1898)
脊髄離断
橋以下離断
四肢麻痺位
四肢伸展硬直
decerebrate
rigidity
脊髄離断
脊髄動物
耳刺激
手刺激
橋以下離断
除脳動物
除脳猫(decerebrate cat)は、四肢を硬直して立つ事ができる。
刺激に対して頭位・肢位を調整(姿勢調節)する事ができる。
Sherringtonの実験の意義
脳幹には姿勢調節中枢がある。
↓
それは脳幹のどこに?
Tracer study
↓
Vestibular nuclei, reticular formation
Ventromedial descending pathway
脳幹と姿勢
Vestibular and Neck Reflexes
• 空間的な頭位や頭位と四肢体幹との相対的
位置関係を維持する機構
• Vestibular reflexes
– 空間における頭位の変化が刺激となる
– 前庭が感知する
• Neck reflexes
– 体幹に対する頚の屈曲・回旋が刺激
– 頚部筋紡錘・関節受容器が感知する
Vestibulocollic and Cervicocollic Reflexes
• Vestibulocollic reflexes (VCR)
– Sensed by vestibular organs
– Stabilize the head relative to the space
– 頭位を空間に対して一定に保つ
• Cervicocollic reflex (CCR)
– Sensed by muscle spindles and joint receptors in
the neck
– Stabilize the head relative to the trunk
– 頭位を体幹に対して一定に保つ
Vestibulospinal and Cervicospinal Reflexes
• Vestibulospinal reflexes
– Sensed by vestibular organs
– Stabilize the body relative to the space
– 体幹を空間に対して一定に保つ
(空間に投げ出された時の立ち直り姿勢形成)
• Cervicospinal reflex (Tonic neck reflex)
– Sensed by muscle spindles and joint receptors in the
neck
– Stabilize the body relative to the head
– 頚を屈曲・回旋した方の肢が伸展する
Neck Reflexes
Tonic neck reflexes in newborns and athletes
頚を向けた方の肢が伸
展する。
もしも、これが逆だった
ら?
Neck reflex counteracts against vestibular reflex
Vestibulospinal and Cervicospinal Reflexes
B. 頭位+体幹同時左傾
前庭反射→
左肢が伸展、右肢が屈曲
C. 体幹のみ回旋
右肩挙上、左肩下降=
頚の左方回旋→
頚反射→
左肢が伸展、右肢が屈曲
D. 頭位のみ左傾
前庭反射→
左肢が伸展、右肢が屈曲
頚反射(相対的に左肩挙上と
同等=頚右回旋)→
右肢伸展、左肢屈曲
あわせて、両肢中立
Vestibular and proprioceptive reflex pathways
• Medial vestibulospinal tract (VST)は両
側性に頚髄に投射して、
vestibulocollic reflex (VCR)の経路と
なり、頚筋収縮を調節する。
• Lateral vestibulospinal tract (VST)は同
側性に腰髄に投射して、
vestibulospinal reflex (VSR)の経路と
なり、下肢伸筋収縮を調節する。
• 頚筋固有感覚情報は、前庭神経核に
入り、cervicocollic reflex (CCR)を介
して、頚筋収縮を調節する。
• 上前庭神経核は、主に前庭眼球反射
vestibuloocular reflexに関与する。
まとめ
頭位の空間的変化、頚部の屈曲伸展回旋
などの外乱刺激に対して、前庭平衡感
覚 ・筋固有感覚・関節固有覚を統合して、
頭位・体幹位・肢位を含む姿勢を調節す
る反射機構がある。
非反射性姿勢調節機構
Postural Adjustments
我々は,様々な運動をしている時に、決して転倒しないよう
に姿勢保持している。
この機構について考えてみよう。
• Anticipatory response (feed-forward)
– 予測される障害に対して前もって姿勢を安定させ
るために行う運動。
– これらの運動は経験により修飾され、練習により
上達する。
• Compensatory response (feed-back)
– 姿勢のバランスが崩れた後に、これを修正すべく
おこる運動。
Postural Response on a Movable Platform
Distal-to-proximal sequence
Latency; 70-100 ms
Cf.
Segmental stretch reflexes in
the lower limbs require only
about 50 ms.
Postural adjustments are refined by practice and learning
GC
GC
両者ともgastrocnemius muscle (GC) の伸展刺激
A:徐々に早いタイミングでGC収縮を認めるようになる
B:徐々にGC収縮が抑制されるようになる
GC筋からみれば、同一の伸展刺激で異なる反応がおこる。
経験(学習)によって運動パターンが変化する。
Adaptive postural control requires an intact cerebellum
小脳患者(n=10)と正常者(n=10)に対して、台に乗ってもらった後、
後方へ台を動かす。移動距離が一定の場合(n=10)とランダムの
場合(n=10)の平均値をプロットした。
運動の学習には小脳が不可欠である。
Posture and movement are integrated using feedforward and feedback.
姿勢保持
先行反応
A.被検者は、レバーを引
Stretch reflex
姿勢保持
反応
Stretch reflex
抑制
くと姿勢が崩れることを
Stretch reflexを含む運動で姿勢保持
知っているので、随意運
動に先行して姿勢保持
筋が収縮する。
B.姿勢保持不要なら、肘
関節の伸展に対して伸
長反射が出現する。
C.姿勢保持必要なら、姿
勢保持筋の早期収縮と
伸張反射の抑制。
D.状況が変われば、伸
張反射を利用して姿勢保
持にあてることもできる。
姿勢保持反応は、随意運動に先行すること(feedforward)もあり、感覚入力から脊
髄反射を利用・あるいは抑制して調節される(feedback) こともある。
まとめ
• 頭位の空間的変化、頚部の屈曲伸展回旋などの
外乱刺激に対して、前庭平衡感覚・筋固有感
覚・関節固有覚を統合して、頭位・体幹位・肢
位を含む姿勢を調節する反射機構がある。
• 我々はその状況に応じて、これらの姿勢調節反
射機構を取捨選択して、feedforwardによる予測
運動とfeedbackによる修正を行いながら、生体
にとって重要な姿勢保持反応を行っている。
脊髄・脳幹以外の姿勢調節
• それでは、脳幹以外に姿勢保持に
関わる神経系は?
大脳基底核と姿勢
大脳基底核障害により、
様々な姿勢異常を生じる
大脳基底核と姿勢
大脳基底核障害によ
り、様々な姿勢異常を
生じる
Parkinson’s Diseaseの姿勢異常
• 最もpopularな神経疾患
の一つ
• 中脳黒質のドパミン
ニューロンの変性脱落
がおこる
• 主要症状
– Tremor
– Rigidity
– Bradykinesia
– Postural reflex
disturbance
小脳と姿勢
• 代表的な小脳症状は運動失調
(motor ataxia)である。
• 特に姿勢保持に重要な体幹筋
のataxiaを認めるとき、体幹
失調truncal ataxia
– 歩幅を横に広くとりながら歩く。
– 左の患者では、体幹失調に加え
て下肢のspasticityを認めるので
歩幅を広げると同時に下肢を伸
展しながら歩いている。
cf., taxis; greek, 配列する、整頓する
まとめ
• このように脳幹や脊髄以外にも、小脳・大脳基底核も姿
勢に関わっている。
• 特に小脳は、姿勢反応の運動プログラムの修正や学習に
関わっており重要である。
• 大脳基底核障害では、随意運動の障害だけでなく、著明
な姿勢障害を認めることがあり、患者にとっては大きな
問題となっている。
Summary
• 姿勢制御機構は、将来起こりうる姿勢の崩れを予測し、姿
勢保持筋収縮を先行させる。
– このfeedforward controlは随意運動遂行には必要不可欠
である。
• 予測により運動を遂行した結果生じた姿勢の崩れを、feedback 機構により、速やかに修正する。
– feedforward機構を用いて予測運動した結果と実際の運動
との差を検知し、これを速やかに修正するfeedback機構
も不可欠である。
• この両者の調節により、反射を増強したり抑制したりして、
最終的に姿勢を保持する。
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前庭系の機能