経済変動論II
2006年度前期
第5回
3.3 貨幣信用関係
マネーサプライの問題
清水 耕一
www.e.okayama-u.ac.jp/~kshimizu/
貨幣とは
 貨幣=現金通貨 +
(10%未満)
預金通貨
(90%以上)
 貨幣の定義
M1=現金通貨+要求払い預金(普通預金、当座預金、通知預金)
M2=M1+定期預金
M3=M2+郵便貯金、信用勘定等
 マネーサプライ(M)
M=M2 + CD
CD=譲渡性預金
 ハイパワード・マネー(H)[マネタリー・ベース]
H=現金通貨(C)+準備預金(rD)
準備預金=民間銀行の中央銀行への当座預金
準備率r、民間銀行の預金残高をDとすると、準備預金はrD
(1)管理通貨制度
 ブレトンウッズ体制
 金・ドル本位制:金1オンス=35ドルで、ドルのみが金と兌換可能
 各国通貨はドルに一定のレートでリンク=固定相場制
 1ドル=360円、1ドル=350フラン(1947年)
 固定相場制の下で各国は財政・金融政策によって総需要管理政策を
行った
 マネーサプライ
 マネーサプライ(M)とハイパワード・マネー(H)の間には以下
の関係がある。
1


D
M
H
C D r
C
 マネーサプライ(M)は民間銀行の信用創造によって増加
 中央銀行はハアイパワード・マネー(H)を操作=金融政策によっ
て民間銀行によるマネーサプライをコントロールする。

(1)管理通貨制度(続)
 金融政策
 現金通貨の供給量(C)、準備預金(rD)、公定歩合の操作、公開市場操
作によって民間銀行の貸出能力に働きかけ、マネーサプライをコント
ロールすること。
 公開市場操作
 買いオペ:中央銀行が民間銀行の保有する有価証券を買うこと⇒代金は民間銀
行の保有する当座預金に振り込む⇒預金>法定準備預金⇒超過分を引き出す⇔
民間銀行への現金通貨供給⇒利子率低下
 売りオペ:中央銀行が保有する有価証券を民間銀行に売ること⇒代金を民間銀
行の保有する当座預金から引き出す⇒預金<法定準備預金⇒不足分を預金⇔民
間銀行の現金通貨保有量が減少⇒利子率上昇
 好況期には金融引き締め⇒インフレーションを抑制
 不況期には金融を緩和⇒利子率低下⇒投資を刺激
 中央銀行の目的
 物価の安定か(ブンデス・バンク)?、景気対策か?
 金融機関の役割
 企業に対する信用供給:1960年代には企業の依存度が高まり債務経済化
 家計に対する信用供給(割賦販売制度、住宅ローン等):20世紀の
フォード主義的成長体制の発展と共に発展
(2)フランスの特殊性
 1948-50年
 フランス経済の復興は米国のマーシャル・プランに依存
 1948~52年まで米国はヨーロッパの再建のために330億ドルを
援助(ただし、援助を受けた国は援助額で米国から財貨を購
入)
 その3分の1はフランスの援助
 フランスは1948年にFME(近代化・設備基金)を設立して生産設
備の近代化を進める。
 FMEの資金の50%以上がマーシャル・プランによる援助資金
 15%程度が政府支出、25%程度が税収から
 企業はFMEの融資によってフランス銀行からドルを購入して、こ
のドルによって米国から資本財を輸入して設備の近代化を進めた。
 1952年以後も1960年代まで、民間企業の設備投資のための信用
供給は直接間接に政府資金に負っていた。
1950~60年代のマネーサプライ
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債権・債務関係
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ジスカール・デスタンによる「通貨の民営化」
 1963年より蔵相ジスカール・デスタン(Giscard d’Estaing)が金融シ
ステムの自由化を進める
 マネーサプライに対する国庫の介入を廃止
 フランス銀行による資金供給の抑制
 民間銀行に対する規制の緩和
 1964年、公開市場操作の強化
 金融政策は公開市場操作を通じて行うように
 1966-67年の銀行改革
 事業銀行と貯蓄銀行との間の区別を廃止
 支店開設の許可制を廃止
 預金通貨の発展のために月給制と、給与の銀行振込を奨励⇒民間銀行の
資金力(預金残高)の強化
 結論
 フランスがテキストブック・マクロ経済学の説明するような中央銀行
が公開市場操作や準備率操作によって民間銀行の信用創造=マネーサ
プライをコントロールするようになるのは、やっと1960年代末になっ
てからのことであった。
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