細菌と疾病
細菌の分類
グラム陽性菌 Firmicutes門
グラム陽性球菌
グラム陽性芽胞形成桿菌
グラム陽性芽胞非形成桿菌
芽胞非形成偏性嫌気性菌
マイコプラズマ
グラム陽性菌 Actinobacteria門
不規則型の芽胞非形成グラム陽性桿菌
マイコバクテリア(抗酸菌)
菌糸形成菌
細菌の分類
グラム陰性菌 Proteobacteria門
グラム陰性球菌,グラム陰性球桿菌
グラム陰性好気性桿菌
グラム陰性通性嫌気性桿菌(腸内細菌科)
グラム陰性通性嫌気性桿菌(腸内細菌科以外)
短型らせん菌
ブルセラ属,バルトネラ属
リケッチア
クラミジア Chlamydiae門
スピロヘータ Spirochaetes門
グラム陰性無芽胞嫌気性菌 Bacteroidetes門およびFusobacteria門
グラム陽性菌
Firmicutes門
グラム陽性球菌
ブドウ球菌属
黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus
0.5~1.5 mm,球菌,無鞭毛
通性嫌気性,食塩耐性,マンニット分解
皮膚,鼻前庭部粘膜の常在菌
コアグラーゼ・・・血漿凝固作用
プロテインA・・・抗体作用抑制
化膿性炎症 ← 溶血毒 hemolysin
伝染性膿痂疹(とびひ)
表皮剥脱性皮膚炎 ← 表皮剥脱毒素
毒素性ショック症候群 ← TSST-1
スーパー抗原 → ショック症状
食中毒 ← 腸管毒素 enterotoxin
治療:β-ラクタマーゼ阻害薬 + ペニシリン系
薬剤耐性黄色ブドウ球菌
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
β-ラクタム薬への結合親和性の低下したペニシリン結合タンパク(PBP2')
β-ラクタム,アミノグリコシド,マクロライド耐性(多剤耐性)
院内感染起因菌
易感染性患者に重篤な感染症
敗血症,肺炎,腸炎(消化器手術後),心内膜炎など
治療:バンコマイシン,テイコプラニン,アルベカシン,リネゾリド,ダプトマイシン
ブドウ球菌属
表皮ブドウ球菌 Staphylococcus epidermidis
0.5~1.5 mm,球菌,無鞭毛
通性嫌気性,食塩耐性
コアグラーゼ陰性,マンニット分解陰性,プロテインA陰性
皮膚の常在菌
心内膜炎,血管カテーテル感染症・・・病原性は弱い
レンサ球菌属
化膿レンサ球菌 Streptococcus pyogenes
0.5~1.0 mm,球菌,無鞭毛,通性嫌気性(耐気性嫌気性)
A群レンサ球菌
β溶血性(完全溶血)
溶血毒素 streptolysin O(SLO),streptolysin S
血清学的診断 ← 抗SLO抗体
発赤毒素 → 全身の皮膚に紅斑(猩紅熱)
Mタンパク質・・・定着因子,抗食菌作用
咽頭炎,猩紅熱,
膿皮症(表皮の化膿),丹毒(真皮の化膿性炎症)
劇症型A群レンサ球菌感染症,レンサ球菌毒素性ショック症候群(STSS)
突発的ショック,多臓器不全,敗血症
続発性疾患(二次感染):急性糸球体腎炎,急性リウマチ熱
治療:ペニシリン系
レンサ球菌属
アガラクティエ菌(B群レンサ球菌) Streptococcus agalactiae
咽頭部,腸管,膣常在菌
β溶血性
新生児髄膜炎,新生児敗血症 ← 産道感染
口腔レンサ球菌
S. salivarius,S. sanguinis(sanguis),S. mutans(虫歯菌)など
口咽頭常在菌
レンサ球菌属
肺炎レンサ球菌(肺炎球菌) Streptococcus pneumoniae
0.5~1.0 mm,双球菌(ランセット形),無鞭毛
通性嫌気性(耐気性嫌気性)
莢膜多糖 → 多糖抗原(85以上の型)
α溶血性(部分溶血)
市中肺炎の代表的起因菌
中耳炎,敗血症,髄膜炎
治療:ペニシリン系,マクロライド系,キノロン系
予防:成分ワクチン
腸球菌属
腸球菌 Enterococcus faecium,E. faecalisなど
双状,短連鎖状球菌,通性嫌気性
腸管,外陰部の常在菌
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)
Enterococcus faecium(VREF)など
多剤耐性菌
ペプチドグリカンのD-Ala-D-Ala → D-Ala-D-Lac,または
D-Ala-D-Ala → D-Ala-D-Ser
易感染性宿主における腹膜炎,術創感染症,肺炎,敗血症
治療:リネゾリド,キヌプリスチン・ダルホプリスチン
グラム陽性芽胞形成桿菌
バシラス属
炭疽菌 Bacillus anthracis
大型桿菌,連鎖配列,無鞭毛,組織内で莢膜
菌体中央部に楕円形芽胞,通性嫌気性
哺乳動物や鳥類の感染症 → ヒトに感染
炭疽(脾脱疽) 高熱 → 敗血症
皮膚炭疽・・・傷から菌が侵入,皮膚の潰瘍
肺炭疽・・・菌を吸入,肺炎,呼吸困難
腸炭疽・・・菌を経口摂取,胃腸炎
治療:抗菌薬感受性だが,進行が速く,治療困難
バシラス属
セレウス菌 Bacillus cereus
桿菌,周毛性鞭毛,菌体中央部に芽胞
通性嫌気性
土壌菌,食品腐敗菌
毒素型食中毒 セレウリド → 嘔吐,下痢
感染型食中毒 下痢,腹痛
枯草菌 Bacillus subtilis
桿菌(1 x 3~4 mm),連鎖状または単在,
周毛性鞭毛,好気性
菌体中央部に楕円形芽胞
土壌,枯草,空気中に存在
非病原性,遺伝子工学に利用,納豆の製造
クロストリジウム属
破傷風菌 Clostridium tetani
0.5~1.1 x 2.4~5.0 mm
桿菌~太鼓のバチ状
周毛性鞭毛,端在性の円形芽胞
偏性嫌気性,土壌菌 → 創傷から感染
破傷風毒素(テタノスパスミン)
抑制性シナプス遮断 → 強直性痙攣
破傷風:開口障害(牙関緊急),弓そり緊張(後弓反張)
全身の筋肉強直,呼吸困難 → 死亡率20~30%
治療:抗毒素(破傷風免疫ヒトグロブリン)
予防:破傷風トキソイド → 3種(4種)混合ワクチン
クロストリジウム属
ガス壊疽菌群
ガス壊疽:クロストリジウムによる筋炎
創傷感染 → 気泡を伴う急激な筋肉壊死
ウエルシュ菌 Clostridium perfringens
大型桿菌,無鞭毛,芽胞は楕円形で菌体中央~末端(亜端在性)
生体内で莢膜形成
偏性嫌気性,強い糖分解能,顕著なガス産生
土壌菌,腸内の常在菌
α毒素(ホスホリパーゼC)・・・溶血,壊死
ガス壊疽治療:高圧酸素療法,外科的治療,多価ウマ抗毒素,ペニシリン
感染型食中毒・・・β毒素(腸管毒)産生菌
ノビイ菌 C. novyi,セプチック菌 C. septicum
クロストリジウム属
ボツリヌス菌 Clostridium botulinum
大型桿菌,周毛性鞭毛,亜端在性の楕円形芽胞
偏性嫌気性,土壌菌
ボツリヌス毒素 → ボツリスム(ボツリヌス毒素中毒)
神経筋接合部アセチルコリン放出抑制 → 弛緩性麻痺
毒素型食中毒 致死率20%
乳児ボツリヌス症・・・吸乳力,筋力低下,呼吸困難 致死率3%以下
蜂蜜等 → 腸管内で発芽,増殖
治療:抗毒素血清,呼吸管理
予防:1歳未満の乳児に蜂蜜を与えない
ディフィシレ菌 Clostridium difficile
大型桿菌,周毛性鞭毛,亜端在性の楕円形芽胞
偏性嫌気性,腸内の常在菌
菌交代現象による偽膜性大腸炎
治療:バンコマイシン内服
グラム陽性芽胞非形成桿菌
乳酸桿菌属
乳酸桿菌 Lactobacillus
桿菌,大部分が無鞭毛
土壌,植物など自然界に広く分布,ヒト粘膜の常在菌
通性嫌気性,嫌気条件で増殖促進,耐酸性
ホモ乳酸発酵 グルコース(C6) → 2×乳酸(C3)
L. acidophilus,L. bulgaricus(ヨーグルト製造),
L. casei,L. plantarum(チーズ製造)など
ヘテロ乳酸発酵 グルコース(C6) → 乳酸(C3) + エタノール(C2) + CO2
L. brevis,L. buchneri(チーズ製造),L. fermentumなど
デーデルライン桿菌・・・膣粘膜上で乳酸産生 → 病原菌の増殖阻止
L. casei,L. acidophilus,L. fermentumなど
リステリア属
リステリア Listeria monocytogenesなど
0.4~0.5 x 0.5~2.0 mm,小型の短桿菌,周毛性鞭毛
通性嫌気性
通性細胞内寄生性 → マクロファージ内で増殖
β溶血性 ← 溶血毒 listeriolysin O
土壌,腸管内など自然界に広く分布
周産期リステリア症 経胎盤感染 → 死産,早産 新生児髄膜炎
日和見感染症 → 髄膜炎,敗血症
食品媒介人獣共通感染症 ← 牛乳,乳製品,冷蔵食品
芽胞非形成偏性嫌気性菌
ユウバクテリウム属
ユウバクテリウム Eubacterium
0.3~2.0 x 0.3~10 mm,多形性桿菌
偏性嫌気性
ヒトの腸内常在菌
糖発酵 → 有機酸(酪酸,酢酸)産生
ベイヨネラ属
ベイヨネラ Veillonella
0.3~0.5 mm,グラム陰性球菌,無鞭毛
偏性嫌気性
グルコースは利用せず,乳酸を利用
口腔,消化管の常在菌
ペプトストレプトコッカス属
ペプトストレプトコッカス Peptostreptococcus
0.3~1.0 mm,連鎖状球菌
偏性嫌気性
口腔,上気道,大腸の常在菌
副鼻腔炎,中耳炎,創傷部,敗血症
他の嫌気性菌と混合感染
マイコプラズマ
マイコプラズマ属
肺炎マイコプラズマ Mycoplasma pneumoniae
0.2~1.0 mm
孔径0.45 mmのフィルターを通過するものあり
細胞壁をもたない,多形性,無鞭毛
通性嫌気性,目玉焼き状コロニー
粘膜細胞に付着 ← 特殊構造(tip構造)
マイコプラズマ肺炎
原発性異型肺炎の30~40%
血清診断:
受身凝集反応・・・抗原結合ゼラチン粒子
イムノカード法・・・酵素抗体法によるIgMの検出(定性)
治療:マクロライド,テトラサイクリン
Mycoplasma hominis,Ureaplasma urealyticum
泌尿生殖器の常在菌
性感染 → 尿道炎
グラム陽性菌
Actinobacteria門
不規則型の無芽胞グラム陽性桿菌
コリネバクテリウム属
ジフテリア菌 Corynebacterium diphtheriae
0.3~0.8 x 1~8 mm,多形性(棍棒状)桿菌
無鞭毛,好気性
異染小体(顆粒) ← ナイセル染色(アニリン系青色素)
咽頭炎,扁桃炎 → 偽膜性炎症
ジフテリア毒素
ADPリボシル化によるタンパク合成阻害
βファージのtox遺伝子
診断:亜テルル酸塩加血液寒天培地などによる分離培養,PCR
治療:エリスロマイシン
予防:トキソイドワクチン → 3種(4種)混合ワクチン
Schickテスト・・・抗毒素抗体の確認 → 現在行われていない
Moloneyテスト・・・トキソイドに対する遅延型アレルギー反応確認
プロピオニバクテリウム属
アクネ菌 Propionibacterium acnes
0.5~0.8 x 1~5 mm,多形性桿菌,無鞭毛
偏性嫌気性
皮膚の常在菌 → 尋常性痤瘡
ビフィドバクテリウム属
乳児の腸管内最優性菌種
ビフィズス菌 Bifidobacterium bifidum
0.5~1.3 x 1.5~8 mm,多形性桿菌,無鞭毛
偏性嫌気性
グルコース → 乳酸 + 酢酸
マイコバクテリウム属
細胞壁脂質(ミコール酸など)20~40% → R型疎水性集落
染色されにくく,染色されると塩酸アルコールの脱色に抵抗 → 抗酸菌
多形性,好気性
結核菌 Mycobacterium tuberculosis
0.3~0.6 x 1~4 mm,桿菌,無鞭毛
好気性,通性細胞内寄生性
飛沫核感染(空気感染),飛沫感染
初期変化群:細気管支,肺胞に感染巣,
肺門リンパ節に病変
→ 諸臓器に散布(肺結核など)
肺結核:
咳,喀痰,喀血,胸痛,呼吸困難などの呼吸器症状
発熱,発汗,食欲不振,倦怠感などの全身症状
診断:ツベルクリン反応・・・遅延型過敏反応
QuantiFERON検査・・・インターフェロンγ ← 結核菌抗原
治療:リファンピシン,イソニアジドを含む多剤併用療法
予防:生ワクチン(BCG)
マイコバクテリウム属
ウシ型結核菌 Mycobacterium bovis
ウシなどの家畜が保菌 → 牛乳などから感染
BCG:ウシ型結核菌弱毒株
非定型抗酸菌(非結核性抗酸菌)
結核菌群,らい菌以外の抗酸菌
大半がMAC(M. avium complex)
結核様肺疾患,頸部リンパ節炎,皮膚潰瘍など
マイコバクテリウム属
らい菌 Mycobacterium leprae
0.2~0.4 x 3~5 mm,桿菌,人工培養できない
ハンセン病
患者の排泄物,分泌物からの接触感染
潜伏期:3~6年
らい腫型(LL型)
皮膚症状:紅褐色斑,丘疹,結節
神経症状:神経の肥厚
類結核型(TT型)
皮膚症状:隆起性紅斑
神経症状:知覚障害,神経の肥厚
治療:リファンピシン,クロファジミンの多剤併用療法
菌糸形成菌
ノカルジア属
ノカルジア Nocardia asteroidesなど
菌糸状 → 分節 → 多形性桿菌
土壌菌,抗酸性,好気性
ノカルジア症
汚染土壌 → 創傷感染
菌腫,膿瘍
吸入感染
肺炎,肺膿瘍,膿胸・・・致命率高い
治療:ST合剤と他の抗菌薬の併用
ストレプトマイセス属
ストレプトマイセス Streptomyces griseusなど
分枝した菌糸 → 分生子
土壌菌,好気性
抗生物質生産菌が多い
アクチノマイセス属
アクチノマイセス Actinomyces israeliiなど
分枝した菌糸
口腔内の常在菌,偏性嫌気性
アクチノマイセス症(放線菌症)
内因感染 → 皮膚の慢性化膿性炎症
治療:ペニシリンの長期投与
グラム陰性菌
Proteobacteria門
グラム陰性球菌およびグラム陰性球桿菌
Betaproteobacteria綱
ナイセリア属
淋菌 Neisseria gonorrhoeae
0.6~1.0 mm,双球菌,線毛をもつ
無鞭毛,好気性
淋病・・・尿道炎,前立腺炎
性感染症(STD)
新生児淋菌性眼結膜炎(膿漏眼)
産道感染
診断:好中球の中に双球菌
治療:セフトリアキソン,スペクチノマイシン
ナイセリア属
髄膜炎菌 Neisseria meningitidis
形状は淋菌とほぼ同じ,莢膜をもつものが多い
上気道の常在菌
気道から菌が侵入 → 上気道粘膜細胞への定着
菌血症・・・致死率15~25%
WaterhouseーFriderichsen症候群(劇症型)
両側副腎に病変
播種性血管内凝固症候群(DIC)を伴うショック
髄膜炎(流行性脳脊髄膜炎)
発熱,頭痛,嘔吐,頸部硬直
治療:ペニシリン系,セフトリアキソン,セフォタキシム
バークホルデリア属
鼻疽菌 Burkholderia mallei
0.5~1.0 x 1.5~3.0 mm,好気性桿菌,無鞭毛
ウマ科の感染症 → 経皮,経気道感染
皮膚病変,肺炎,敗血症
日本における発生報告はない
類鼻疽菌 Burkholderia pseudomallei
0.4~0.8 x 2~5 mm,好気性桿菌,叢毛性鞭毛
土壌,水 → ヒト,家畜に経皮,経気道感染
敗血症,化膿性臓器疾患
治療:カルバペネムなど
Burkholderia cepacia
院内感染菌,消毒薬・抗菌薬抵抗性
0.02%クロルヘキシジン液中で生存・増殖
予防:消毒薬使用法の改善
ボルデテラ属
百日咳菌 Bordetella pertussis
0.2~0.5 x 0.5~1.0 mm,無鞭毛
好気性小型球桿菌
毒力の強いものは莢膜,線毛をもつ
百日咳・・・幼児の急性呼吸器感染症
痙攣性咳嗽(がいそう:咳)
百日咳毒素
ADPリボシル化による気管繊毛上皮細胞の破壊
治療:マクロライド系
予防:成分ワクチン 3種(4種)混合ワクチン
アルカリゲネス属
アルカリ糞便菌 Alcaligenes faecalis
0.5~1.0 x 0.5~2.6 mm,桿菌または球菌,周毛性鞭毛
好気性,土壌,水系,ヒト腸管の常在菌
日和見感染 → 尿路感染症,敗血症など
スピリルム属
大型の微好気性らせん状菌,両極に叢毛性鞭毛をもつ
鼠咬症スピリルム Spirillum minus
分類学的にはスピリルム属ではない
0.2 x 3~5 mm,らせん菌(2~3回転),両極に鞭毛
通性嫌気性,ネズミが保菌 → 咬傷感染
鼠咬症,鼠毒・・・発熱,咬傷部の炎症,所属リンパ節の腫脹
治療:ペニシリン,テトラサイクリン系
グラム陰性好気性桿菌
Gammaproteobacteria綱
シュードモナス属
緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa
0.5~0.8 x 1.5~3.0 mm,桿菌,極毛性鞭毛,莢膜をもつ
好気性,土壌,水系,動物など自然界に広く分布
緑色色素(pyocyanin),蛍光色素(fluorescein)を産生
化膿性疾患,尿路感染症,気道感染症,敗血症
毒力は弱く,健常人への感染は少ない
多くの抗菌薬に耐性 ← 薬剤排出ポンプ
治療:ピペラシリン,抗緑膿菌セフェム,カルバペネム,キノロン
多剤耐性緑膿菌(MDRP)・・・カルバペネム,キノロン,アミノグリコシド耐性
モラクセラ属
モラクセラ Moraxella catarrhalisなど
0.6~1.0 mm,球菌,無鞭毛,線毛をもつ
好気性,鼻腔粘膜の常在菌
肺炎,中耳炎,副鼻腔炎
ペニシリナーゼ産生菌が多い
治療:キノロン,セフェム
アシネトバクター属
アシネトバクター Acinetobacter calcoaceticusなど
0.9~1.6 x 1.5~2.5 mm,桿菌 → 球菌(定常期)
好気性,土壌,水系に広く分布
日和見感染菌 → 院内感染
β-ラクタム抵抗性
多剤耐性アシネトバクター
カルバペネム,アミノグリコシド,キノロン耐性
レジオネラ属
レジオネラ・ニューモフィラ Legionella pneumophila
0.3~0.9 x 2~20 mm,桿菌~フィラメント状
極毛性鞭毛,好気性
土壌菌,アメーバに寄生して増殖
通性細胞内寄生性
レジオネラ症
ポンティアック熱・・・インフルエンザ様症状
レジオネラ肺炎(在郷軍人病) 重症化しやすい
治療:マクロライド,キノロン(β-ラクタムは無効)
フランシセラ属
野兎病菌 Francisella tularensis
0.2 x 0.2~0.7 mm,小型球桿菌,多形性,無鞭毛
偏性嫌気性,野生動物が保菌
野兎病・・・人獣共通感染症
接触感染,経気道感染,経口感染
ベクター(昆虫・ダニ)媒介感染
発熱,リンパ腫脹,皮膚潰瘍,肺炎
治療:ストレプトマイシン,ミノサイクリン
コクシエラ属
Q熱コクシエラ Coxiella burnetii
0.2~0.4 x 0.4~1.0 mm,小桿菌,大型菌体 → 内生胞子
偏性寄生性
Q熱
人獣共通感染症・・・家畜,野生動物に不顕性感染
経気道感染,経口感染,ダニ媒介感染
急性Q熱・・・インフルエンザ様症状
慢性Q熱・・・心内膜炎
治療:テトラサイクリン系
ステノトロホモナス属
ステノトロホモナス・マルトフィリア
Stenotrophomonas (Xanthomonas) maltophilia
0.5 x 1.5 mm,桿菌,叢毛性鞭毛
好気性,土壌,水系,植物など自然界に広く分布
日和見感染菌 → 院内感染
肺炎,菌血症
抗菌薬・消毒薬抵抗性
グラム陰性通性嫌気性桿菌
Gammaproteobacteria綱
腸内細菌科
大腸菌属
大腸菌 Escherichia coli
1.1~1.5 x 2~6 mm,桿菌,周毛性鞭毛
通性嫌気性,腸管内の常在菌
IMViC(++--),乳糖分解(+)
血清型
外膜多糖(O)抗原,莢膜(K)抗原,鞭毛(H)抗原
飲料水の適否の指標
異所感染性・・・尿路感染症,消化器感染症
治療:キノロン系,セフェム系
病原性大腸菌
下痢性大腸菌・・・消化管感染症 → 下痢症状
腸管病原性大腸菌・・・小腸粘膜に付着
腸管毒素原性大腸菌・・・易熱性/耐熱性エンテロトキシン
腸管細胞侵入性大腸菌・・・大腸上皮細胞に侵入・破壊
腸管出血性大腸菌 O157:H7,O111:H-,O104:H4 など
三類感染症(感染症法)
Vero毒素(VT1=志賀毒素,VT2)
タンパク合成阻害による腸管上皮細胞・腎毛細血管細胞破壊
腹痛,血便,下痢,溶血性尿毒症症候群(HUS)
腸管凝集付着性大腸菌・・・腸管細胞に凝集・付着
尿路病原性大腸菌・・・線毛などの定着因子 → 膀胱炎,腎盂炎など
K1大腸菌・・・莢膜(K1)抗原 → 新生児髄膜炎
赤痢菌属
赤痢菌 Shigella (Shigella spp.)
0.4~0.6 x 1~3 mm,桿菌,無鞭毛
通性嫌気性,主要宿主はヒト
IMViC(±+--),乳糖分解(-)
4菌種 ← 血清学的性状
細菌性赤痢
三類感染症(感染症法)
発熱,腹痛,粘血便,しぶり腹(tenesmus)
志賀毒素(VT1),細胞侵入性
治療:キノロン,ホスホマイシン
サルモネラ属
サルモネラ Salmonella enterica
0.7~1.5 x 2~5 mm,桿菌,周毛性鞭毛
IMViC(-+-+),乳糖分解(-)
H2S産生,グルコースから酸とガス産生
通性嫌気性
ヒトや家畜 S. enterica subsp. enterica(8血清型)
チフス菌(S. typhi) S. enterica (subsp. enterica) serovar Typhi
ガス産生(-),H2S産生(±),クエン酸利用性(-)
パラチフス菌(S. paratyphi) S. enterica serovar Paratyphi
H2S産生(-),クエン酸利用性(-)
ネズミチフス菌(S. typhimurium) S. enterica serovar Typhimurium
腸炎菌(S. enteritidis) S. enterica serovar Enteritidis
サルモネラ感染症
腸チフス型
腸チフス菌およびパラチフス菌
三類感染症(感染症法)
通性細胞内寄生性
経口感染 → 腸管リンパ節で増殖 → 菌血症,高熱,脾腫,バラ疹
菌血症型
ブタコレラ菌(S. Choleraesuis)など
経口感染 → 菌血症
高熱,胃腸症状なし
胃腸炎型(サルモネラ食中毒)
腸炎菌,ネズミチフス菌など
経口感染 → 腸管粘膜侵襲
発熱,下痢,腹痛
診断:Widal反応
チフス,パラチフスの抗体検査(現在では使用されていない)
治療:キノロン
シトロバクター属
シトロバクター Citrobacter
1 x 2~6 mm,桿菌,周毛性鞭毛
通性嫌気性,自然界,ヒト腸管の常在菌
IMViC(-+-+),グルコースから酸とガス産生
日和見感染,二次感染
エンテロバクター属
エンテロバクター Enterobacter
0.6~1.0 x 1.2~3.0 mm,桿菌,周毛性鞭毛
通性嫌気性,土壌,水系,動物の腸管内に分布
IMViC(--++),グルコースから酸とガス産生
日和見感染,菌交代症,院内感染
尿路感染,敗血症
クレブシエラ属
肺炎桿菌 Klebsiella pneumoniae
0.3~1.0 x 0.6~6.0 mm,桿菌,無鞭毛,厚い莢膜をもつ
IMViC(--++),グルコースから酸とガス産生
通性嫌気性,動物の気道,腸管,植物など自然界に広く分布
肺炎,腹膜炎,尿路感染,菌血症,敗血症
治療:セフェム
セラチア属
セラチア Serratia marcescens(霊菌)など
0.5~0.8 x 0.9~2.0 mm,桿菌,周毛性鞭毛
IMViC(--+-),赤色色素prodigiosin
通性嫌気性,土壌,水系など自然界に広く分布
院内感染,日和見感染
肺炎,腹膜炎,敗血症
プロテウス属
プロテウス Proteus mirabilis,Proteus vulgarisなど
0.4~0.8 x 1~3 mm,桿菌,周毛性鞭毛
通性嫌気性,土壌,水系,ヒトの腸管の常在菌
IMViC(±+-±),乳糖分解(-),H2S産生
インドール陰性:P. mirabilis,インドール陽性:P. vulgaris
ウレアーゼ産生,フェニルピルビン酸(IPA)産生
Swarming(遊走)・・・寒天培地上
日和見感染,院内感染
尿路感染症,化膿性病変
エルシニア属
ペスト菌 Yersinia pestis
0.5~1.0 x 1~2 mm,卵形桿菌,無鞭毛
通性嫌気性,齧歯類の感染菌 → ノミ媒介感染
IMViC(-+--),グルコースから酸とガス産生
腺ペスト:リンパ節炎 → まれに敗血症
肺ペスト:出血性肺炎
一類感染症(感染症法)
治療:キノロン,テトラサイクリン系,適応はストレプトマイシのみ
予防:ネズミとノミの駆除
偽結核菌 Yersinia pseudotuberculosis
ノネズミ,鳥類,家畜が保菌
腸間膜リンパ節炎
腸炎エルシニア Yersinia enterocolitica
哺乳類,鳥類に感染
感染型食中毒 ← 耐熱性エンテロトキシン(ST)
エドワードシエラ属
エドワードシエラ Edwardsiella tardaなど
1 x 2~3 mm,桿菌,周毛性鞭毛
通性嫌気性,各種動物に広く分布
日和見感染 → 創傷感染,下痢
プレシオモナス属
プレシオモナス・シゲロイデス Plesiomonas shigelloides
0.8~1.0 x 3.0 mm,桿菌,叢毛性鞭毛
淡水系に生息 → 汚染水,汚染食品による経口感染
食中毒・・・腸炎
その他の腸内細菌
プロビデンシア Providencia alcalifaciensなど
0.6~0.8 x 1.5~2.5 mm,桿菌
プロテウスに類似するが,遊走(-),H2S産生(-)
腸内常在菌
院内感染 → 尿路感染症など
モルガネラ Morganella morganii など
0.6~1.0 x 1~3 mm,桿菌
プロテウスに類似するが,遊走(-),H2S産生(-)
プロビデンシアとは糖の利用性などが異なる
哺乳動物の腸管内常在菌
日和見感染 → 尿路感染症など
グラム陰性通性嫌気性桿菌
Gammaproteobacteria綱
腸内細菌科以外
ビブリオ属
コレラ菌 Vibrio cholerae
0.4~1.0 x 1~5 mm,やや湾曲した桿菌,極毛性鞭毛
通性嫌気性,水系(淡水,海水)に生息
生物型:エルトール型(現在流行),アジア型(古典型)
血清型:O1型,非O1型 ← O抗原
三類感染症(感染症法)・・・汚染食品から経口感染
水様性下痢,脱水症状,発熱なし
コレラ毒素・・・ADPリボシル化による 腸管上皮細胞透過性昂進
治療:水分と電解質の補給,キノロン,テトラサイクリン系
ビブリオ属
腸炎ビブリオ Vibrio parahaemolyticus
0.4~0.7 x 1.4~2.2 mm,直状桿菌,極毛性鞭毛
海水中に生息(好塩菌)
感染型食中毒・・・汚染された魚介類から経口感染
嘔吐,腹痛,下痢
神奈川現象陽性(溶血性) ← 耐熱性溶血毒
Vibrio fluvialis
好塩菌,魚介類による食中毒,海外旅行者の下痢
Vibrio mimicus
非好塩性菌,魚介類による食中毒,下痢
エロモナス属
エロモナス Aeromonas hydrophila,Aeromonas sobria
0.3~1.0 x 1.0~3.5 mm,桿菌,極毛性鞭毛
淡水中に生息,食中毒起因菌
パスツレラ属
パスツレラ Pasteurella multocidaなど
0.3~1.0 x 1~2 mm,卵円形桿菌,無鞭毛
通性嫌気性,動物の気道の常在菌
皮膚化膿症,リンパ節炎 ← 保菌動物から創傷感染
治療:ペニシリン,セフェム
ヘモフィルス属
インフルエンザ菌 Haemophilus influenzae
0.3~0.5 x 0.5~3.0 mm,小桿菌,無鞭毛,多糖体莢膜
通性嫌気性,上気道の常在菌,粘膜偏性寄生菌
X因子(ヘミン),V因子(NAD or NADP)要求性
飛沫感染
肺炎,中耳炎,乳幼児髄膜炎(インフルエンザ菌b型)
治療:β-ラクタマーゼ阻害薬+ペニシリン系,セフェム,キノロン
予防:成分ワクチン(Hib)
軟性下疳菌 Haemophilus ducreyi
0.5 x 1.5~2.0 mm,桿菌,無鞭毛,莢膜なし
X因子要求性
軟性下疳 下疳:性病性の潰瘍
アクチノバシラス属
鼠咬熱菌 Actinobacillus muris(Streptobacillus moniliformis)
0.1~0.7 x 1~5 mm,多形性の長桿菌,無鞭毛
通性嫌気性,ネズミの口腔・鼻腔内に生息
鼠咬熱 ← 咬傷感染
発熱,悪寒,関節炎
治療:ペニシリン系,テトラサイクリン系
短型らせん菌
Epsilonproteobacteria綱
カンピロバクター属
カンピロバクター Campylobacter jejuni,Campylobacter coli
0.2~0.5 x 0.5~5.0 mm,小型らせん状桿菌,極毛性または双毛性鞭毛
微好気性,動物の腸管に常在
食中毒の代表的起因菌・・・細菌性食中毒事例数1位
腸炎 ← 経口感染(鶏肉が多い)
治療:対症療法,キノロン,マクロライド
ヘリコバクター属
ピロリ菌 Helicobacter pylori
0.5~0.9 x 3 mm,らせん状菌,叢毛性鞭毛
微好気性,動物の胃粘膜に生息
保菌率:50歳以上成人で50%,若年成人の20%
ウレアーゼ産生・・・アンモニアを生成して胃酸を中和
胃炎,消化性潰瘍 → 胃がん
治療:アモキシシリン + クラリスロマイシン(メトロニダゾール)
+ プロトンポンプ阻害薬
ブルセラ属とバルトネラ属
Alphaproteobacteria綱
ブルセラ属
ブルセラ Brucella melitensisなど
0.5~0.7 x 0.6~1.5 mm,短桿菌,無鞭毛
好気性,通性細胞内寄生性,家畜やイヌが自然宿主
妊娠動物を流産
ブルセラ症 ← 飛沫感染,経口感染(乳製品)
人獣共通感染症
インフルエンザ様症状,波状熱
治療:ストレプトマイシン,テトラサイクリン系
バルトネラ属
バルトネラ Bartonella henselaeなど
0.25~0.5 x 1~3 mm,多形性短桿菌,極毛性鞭毛
好気性,通性細胞内寄生性
ネコひっかき病 Bartonella henselae
局所リンパ節腫脹,発熱 ← ネコによる創傷感染
塹壕熱 Bartonella quintana
5日目ごとに発熱,発疹 ← 感染ヒトからコロモジラミにより媒介感染
オロヤ熱 Bartonella bacilliformis
発熱,溶血性貧血 ← サシチョウバエによる刺咬感染
リケッチア
Alphaproteobacteria綱
リケッチア目
多形性短桿菌 0.3~0.5 x 0.5~2.0 mm
偏性細胞内寄生性
リケッチア科 細胞質中で増殖
リケッチア属 ペプチドグリカンを有する
オリエンチア属 ペプチドグリカンを持たない
ワイル・フェリックス反応
プロテウス菌の特定の株と共通抗原 → 患者血清による凝集反応
アナプラズマ科 食胞中で増殖
リケッチア属
発疹チフスリケッチア Rickettsia prowazekii
自然宿主はヒト,リス,ネズミ,シラミによる媒介感染
発疹チフス・・・発熱,頭痛,発疹
発疹熱リケッチア Rickettsia typhi
ネズミが自然宿主,ノミによる媒介感染
発疹熱・・・発熱,頭痛,発疹(発疹チフスより軽度)
日本紅斑熱リケッチア Rickettsia japonica
ネズミ,ウサギ,イヌが自然宿主,マダニによる媒介感染
日本紅斑熱・・・発熱,頭痛,紅斑
治療:テトラサイクリン系(β-ラクタムは無効)
オリエンチア属
恙虫(ツツガムシ)病病原体 Orientia tsutsugamushi
偏性細胞内寄生性
ツツガムシが保菌 → 刺咬感染
恙虫病
発熱,発疹,刺し口に痂皮形成
→ 重症化:播種性血管内凝固(DIC)
無処置の場合,致死率40%
治療:テトラサイクリン系
アナプラズマ科
0.2~2.0 mm,球菌~短桿菌,偏性細胞内寄生性
食細胞中で増殖 → 封入体(モルラ)
Ehrlichia chaffeensis
シカが自然宿主,マダニによる媒介感染
ヒト単球エーリキア症・・・インフルエンザ様症状 → 腎不全,髄膜脳炎
Anaplasma phagocytophilum
ネズミが自然宿主,マダニによる媒介感染
ヒト顆粒球アナプラズマ症・・・インフルエンザ様症状 ← 日和見感染
Neorickettsia sennetsu
魚介類の寄生虫(吸虫)が媒介
腺熱(鏡熱,日向熱)・・・発熱,リンパ節の腫脹
クラミジア
Chlamydiae門
クラミジア科
クラミジア門,クラミジア綱,クラミジア目,クラミジア科
偏性細胞内寄生性
細胞質膜,細胞壁(タンパク性,ペプチドグリカンなし),外膜(LPSあり)
感染性小体(基本小体)・・・0.3 mm,球形,強靱な細胞壁
↓ 食作用
網様(構造)体・・・0.5~1.0 mm,球形,多形性
↓ 分裂増殖・・・封入体
中間体(移行型)
↓ 細胞破裂
感染性小体
クラミジア属
クラミドフィラ属
クラミジア属
トラコーマクラミジア Chlamydia trachomatis
ヒトが自然宿主 → 性感染(STD)
トラコーマ(封入体結膜炎)
急性濾胞性結膜炎 → 慢性角膜炎
尿路・性器感染症・・・STDの30~40%
尿道炎,子宮頸管炎,卵管炎 → 卵管性不妊
鼠径リンパ肉芽腫症・・・鼠径リンパ節の腫脹・化膿
治療:テトラサイクリン系,マクロライド,キノロン
クラミドフィラ属
肺炎クラミジア Chlamydophila pneumoniae
ヒトが自然宿主,飛沫感染
呼吸器感染症・・・市中肺炎の約10%
診断は難しい
治療:テトラサイクリン系,マクロライド,キノロン
オウム病クラミジア Chlamydophila psittaci
鳥類が自然宿主,糞便からの飛沫感染
肺炎(オウム病)・・・市中肺炎の2~3%
スピロヘータ
Spirochaetes門
トレポネーマ属
梅毒トレポネーマ Treponema pallidum subsp. pallidum
0.1~0.2 x 6~20 mm,らせん状,ペリプラズム鞭毛により運動
偏性嫌気性または微好気性,ヒトが保菌 → 性感染
人工培地では培養できない
梅毒
硬性下疳(局所の潰瘍) → 扁平コンジローマ → ゴム腫 → 進行性麻痺
経胎盤感染 → 流産,死産,先天梅毒
診断:トレポネーマ感作赤血球凝集反応(TPHA)試験
梅毒トレポネーマ蛍光抗体(FTAーABS)試験
治療:ペニシリン系
ボレリア属
回帰熱ボレリア
0.2~0.5 x 3~20 mm,らせん状,両端付近に鞭毛,微好気性
Borrelia recurrentis
ヒトが保菌,シラミ媒介性感染
B. duttoniiなど
齧歯類が保菌,ダニ媒介性感染
回帰熱・・・3~6日間の発熱後,無熱期(数日),再度発熱期
抗原変異による免疫回避
治療:テトラサイクリン系
ライム病ボレリア B. burgdorferiなど
0.2~0.5 x 3~20 mm,らせん状,両端付近に鞭毛,微好気性
齧歯類,鳥類が保菌,マダニによる媒介感染
ライム病・・・感染性の関節炎,慢性遊走性紅斑熱
治療:テトラサイクリン系,ペニシリン系
レプトスピラ属
ワイル病レプトスピラ Leptospira interrogans
0.1 x 6~12 mm,ラセン状,両端部に鞭毛(1本)
両端はフック状に湾曲,微好気性,哺乳動物の腎臓中に生息
感染動物の尿で汚染された水や土壌から経皮・経口感染
人獣共通感染症
ワイル病(黄疸出血性レプトスピラ症)
発熱,結膜の充血,タンパク尿, → 黄疸,出血
秋疫(あきやみ,秋季レプトスピラ症)・・・感冒様症状
治療:ストレプトマイシン
→ Jarisch-Herxheimer反応(発熱, 悪寒,筋肉痛,頻脈など)
予防:不活化ワクチン
グラム陰性無芽胞嫌気性菌
Bacteroidetes門
Fusobacteria門
バクテロイデス属
バクテロイデス Bacteroides fragilisなど
0.8~1.3 x 1.6~8.0 mm,多形性桿菌,周毛性鞭毛または無鞭毛
偏性嫌気性,ヒト腸内常在菌(最優勢菌群)
炭水化物 → 酢酸,プロピオン酸,コハク酸 → 悪臭
日和見感染症 → 膿瘍,菌血症
病原因子:莢膜多糖・・・組織細胞に付着
治療:β-ラクタマーゼ阻害剤+βーラクタム配合薬
ポルフィロモナス属
ポルフィロモナス Porphyromonas gingivalisなど
0.5~0.8 x 1~3 mm,桿菌,無鞭毛,莢膜あり
偏性嫌気性,口腔内の常在菌
歯周病原因菌
成人性歯周病患者の歯周ポケットから高頻度に分離
フゾバクテリウム属
フゾバクテリウム Fusobacterium nucleatumなど
0.4~0.7 x 3~10 mm,紡錘形桿菌,無鞭毛
偏性嫌気性,口腔内の常在菌
急性壊死性潰瘍性歯肉炎の原因菌
代表的な細菌感染症
肺炎
市中肺炎・・・肺炎球菌,インフルエンザ菌,モラクセラ
マイコプラズマ,クラミジア,レジオネラなど
院内肺炎・・・黄色ブドウ球菌,緑膿菌など
症状:肺炎球菌による肺炎の潜伏期間は1~3日
発熱,悪寒,咳・くしゃみ,喀痰,呼吸困難,胸痛、低酸素など
抵抗力が正常でも発症する。死亡率は約10%
感染経路:飛沫感染,接触感染
治療:細菌培養検査にて起炎菌を同定し,最適の抗菌薬を用いる
マクロライド,キノロンなど
結核
結核菌 Mycobacterium tuberculosis(グラム陽性抗酸菌)
2010年の日本における罹患者は23,261人
11年連続で減少しているが,減少率は鈍化傾向
細胞壁のミコール酸(長鎖脂肪酸)により,薬剤透過性が低い
症状:潜伏期不定(数か月~数年)
咳,喀痰,喀血,胸痛,呼吸困難などの呼吸器症状
発熱,発汗,食欲不振,倦怠感などの全身症状
感染経路:飛沫感染,飛沫核感染
治療:抗結核薬による多剤併用療法
イソニアジド,リファンピシン,ピラジナミド,
エタンブトール(or ストレプトマイシン)
予防:BCGワクチン
破傷風
破傷風菌 Clostridium tetani(グラム陽性嫌気性桿菌)
2006年の日本における罹患者は117例
症状:潜伏期3~20日
開口障害,舌の運動障害,筋の痙攣や強直
→ 全身痙攣,呼吸困難
致死率:40%
感染経路:創傷感染
治療:抗破傷風ヒト免疫グロブリン,対症療法
予防:トキソイドワクチン(DPTワクチン)
細菌性髄膜炎
髄膜炎菌 Neisseria meningitidis(グラム陰性球菌)
インフルエンザ菌 Haemophilus influenzae (グラム陰性桿菌)
肺炎球菌 Streptococcus pneumoniae(グラム陽性球菌)
2006年の日本における定点あたりの罹患者は0.81例
症状:発熱,頭痛,嘔吐 → 意識障害,痙攣
感染経路:飛沫感染が多い
治療:カルバペネム系,セフェム系
予防:成分ワクチン(インフルエンザ菌b型,肺炎球菌)
腸管出血性大腸菌感染症
大腸菌 Escherichia coli (グラム陰性桿菌)
O157:H7,O111:H-,O104:H4 など
2007年の日本における感染者は4,606例
ベロ毒素を分泌
十~数十個の菌の感染で発症
症状:激しい痙攣性の腹痛,血便,下痢
溶血性尿毒症症候群(HUS)
感染経路:飲食物からの経口感染
治療:キノロン,ホスホマイシンなど
細菌性赤痢
赤痢菌 Shigella(グラム陰性桿菌)
2006年の日本における罹患者は490例
志賀毒素(ベロ毒素のVT1と同じ)を産生
症状:潜伏期は3日以内
発熱,腹痛,水様性下痢,粘血便,しぶり腹
感染経路:汚染された食物や水を介して経口感染
治療:キノロン,ホスホマイシン,輸液,生菌整腸薬
百日咳
百日咳菌 Bordetella pertussis(グラム陰性球桿菌)
2006年の日本における定点あたりの罹患者は0.50例
百日咳毒素・・・ADPリボシル化による気管繊毛上皮細胞の破壊
症状:7~10日の潜伏期
普通のかぜ症状 → 咳の激化 → けいれん性の咳発作
感染経路:飛沫感染,接触感染
治療:マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン,エリスロマイシン)
予防:成分ワクチン(DPTワクチン)
ピロリ菌感染症
Helicobacter pylori グラム陰性らせん菌
消化性潰瘍において高率に検出
菌の投与により慢性胃炎発症
日本人成人の50%が保菌者
症状:十二指腸潰瘍,胃潰瘍,慢性胃炎
感染経路:経口感染,詳細は不明
治療:プロトンポンプ阻害剤+アモキシシリン
+クラリスロマイシン(or メトロニダゾール)
梅毒
梅毒トレポネーマ Treponema pallidum subsp. pallidum
2006年の日本における罹患者は637例
症状:潜伏期約3週間
第1期:硬性下疳(局所の発赤,硬結,潰瘍)
第2期:扁平コンジローマ,バラ疹(全身に赤い発疹)
第3期:ゴム腫(顎,頭,骨,鼻,筋肉などにコブ)
第4期:神経症状(身体の麻痺,精神錯乱)
感染経路:性交などによる接触感染,垂直感染
治療:ペニシリン系抗菌薬
ライム病
1976年に米国コネチカット州ライム郡で発見された流行性関節炎
病原体:Borrelia burgdorferi (スピロヘータ)
1982年にマダニから分離
分布:北米,欧州,ロシア,日本を含む極東地域
患者数:数万人/年
感染源:マダニによる刺咬 感染
第1期:遊走性紅斑,インフルエンザ様症状,髄膜炎様症状
第2期:皮膚症状,神経症状,心疾患,眼症状,関節炎,筋肉炎
第3期:慢性期,重度の皮膚症状,関節炎
治療法:抗生物質投与
(テトラサイクリン,エリスロマイシン,セフトリアキソン)
レジオネラ症
1976年 米国フィラデルフィアの元軍人の大会で182人が
急性肺炎の症状を訴え29人が死亡 → 在郷軍人病
病原体:Legionella pneumophila (グラム陰性桿菌)
循環式浴槽の配水管中などに発生するバイオフィルム中に
生息するアメーバなどの微小生物に寄生して増殖する
20~50℃の水温で生育し,36℃前後が最適温度
感染経路:レジオネラ菌を含んだエアロゾルを吸い込むことで感染
症状:ポンティアック熱型(主症状は発熱で感冒様症状),肺炎型
2000年 静岡県掛川市の温泉施設で23人感染,2人死亡
2000年 茨城県石岡市の入浴施設で45人感染,3人死亡
2002年 宮崎県日向市の温泉施設で295人感染,7人死亡
治療:マクロライド系,キノロン系,テトラサイクリン系,リファンピシン
カンピロバクター感染症
Campylobacter jejuni (グラム陰性螺旋状菌)
1977年にはじめて食中毒菌と認識
細菌性腸炎の原因菌として最多
感染源:食肉(鶏肉),飲料水
症状:腹痛,下痢,発熱
治療:抗菌薬(エリスロマイシン,キノロン)
毒素性ショック症候群(toxic shock syndrome, TSS).
黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus TSST-1産生株
1978年 米国で発見
感染経路:黄色ブドウ球菌に汚染された生理用タンポン
症状:発赤,発疹,発熱,嘔吐,下痢 → 低血圧などのショック症状
重症の場合は腎不全などの多臓器不全
治療:抗生物質による化学療法
新型コレラ
Vibrio cholerae O139 グラム陰性桿菌
コレラ菌 Vibrio cholerae O1
1992年にインドで非O1菌によるコレラ
(患者1万人,死者700人)
感染経路:汚染された水・食物を感染源とする経口感染
症状
コレラ:水様下痢,脱水症状,チアノーゼ,腹痛や発熱はない
新型コレラ:コレラと同様(半数は腹痛を伴う),軽症
治療:輸液による水分・電解質補給
テトラサイクリン系
猫ひっかき病
Bartonella henselae (グラム陰性桿菌)
1992年に米国で猫ひっかき病の原因菌解明
1997年には米国で4万人が罹患
感染経路:ネコによる創傷感染 ネコ→ ノミ → ネコ
日本ではネコの9%~15%が菌を保有(症状なし)
症状:リンパ節炎,微熱,全身倦怠,関節痛,吐き気
免疫不全症の患者では細菌性血管腫
治療:通常は自然治癒,アモキシシリン,ゲンタマイシン
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細菌と疾病