舞踏家・岩下徹による
ワークショップ導入の試み
平成19年度全国介護老人保健施設愛知大会
平成19年10月12日
東京都板橋ナーシングホーム作業療法士 田島明子
はじめにーいきさつー
昨今、企業がアート・アーティストと市民と
の交流をメセナ活動の一環として展開した
り、NPO団体が、アート・アーティストの高
齢者施設への導入を積極的に試みたりし
ている。
 今回、舞踏家・岩下徹によるダンスセラ
ピーのワークショップを当施設で実施した
ので、実施までのいきさつや参加者の感
想を交え、その意義について考察する。

対象


作業療法を実施している入所利用者のなかから10名を選出
10名の内訳は以下のとおり
性別:女性9名 男性1名
年代:50歳代1名 60歳代2名 70歳代5名 80歳代2名
疾患:脳卒中7名 頚椎症性脊髄症1名 脳性麻痺1名
廃用症候群1名
上肢機能:(右)実用手10名

(左)実用手6名 補助手2名 廃用手2名
(利き手:全員右)
尚、日頃利用者に関わる職員数名にも参加してもらった
方法
ワークショップ参加の感想について次の3つの方法で
伺った
(1)利用者へのアンケート調査

後日、Q1:参加してよかったか、Q2:先生の舞踏はどうだったか、Q3~
Q5:ワークショップの内容について具体的質問、Q6:またワークショッ
プがあったら参加したいか、の質問を行い、5件法で回答を得た)
(2)利用者へのインタビュー調査
アンケート調査に際し得られた自由回答をもとに、特に身体感覚に着
目し、各人が感じた全体像をつかめるように整理した
(3)参加職員の感想
ワークショップ終了後、参加した職員等によりワークショップを振り返る
座談会を実施。分析対象:それを逐語録化したもの。分析に際しては、
ワークショップ内容が参加者にどのような影響を与えたのかについて
の多様性が記述できるよう配慮した
舞踏家・岩下徹による
ワークショップ
・時間:1時間程度
・形態:車いす利用者は車いすのままで、大
きな円を作る(①、②、⑤)
・内容:
①岩下先生、踊りで自己紹介
②岩下先生の動きを真似ながら、主に上半身を丁寧にほぐ
しながら動かす(30分)
③休憩(10分)
④2人ペアになり、互いの身体に触れ合う(15分)
⑤布を使って自己表現(5分)
ワークショップの構成
3つの内容
1 自分の身体を動かす
2 1対1のスキンシップ
3 布を用いての自己表現
結果1 利用者の感想
(1) アンケート調査(N=10)
Q1~5
Q6
Q7、8
とてもよかった・よかった
とてもしたい・したい
ある
どちらでもない
どちらでもない
ない
その他
Q1 参加してよかった
か
10
0
0
Q2 先生の舞踏は
8
8
10
7
9
2
0
1
0
1
0
8
2
1
0
2
1
0
10
Q3 体を動かしたのは
Q4 スキンシップは
Q5 自己表現は
Q6 また参加したいか
Q7 ワークショップの不
満
Q8 対応の不満
結果2 利用者の感想
(2)インタビュー調査
Aさん
(女性、70代)
Bさん
(女性、60代)
Cさん
(女性、80代)
Dさん
(男性、70代)
Eさん
(女性、70代)
Fさん
(女性、70代)
Gさん
(女性、70代)
Hさん
(女性、80代)
Iさん
(女性、60代)
Jさん
(女性、50代)
みんなが和やかに、ニコニコしているのがよかった。先生の踊りは何を表現しているのかわかりずら
く、こわい気がした。体を動かしたら、痛めた背中が痛くなった
先生は我を忘れて夢の世界にいるかのようだった。自分も吸い込まれるようだった。次はどうなるか
な、どんなことするのかな、と思った。自分の身体がやわらかくなるような気がした
滅多に見られないこと、行わないことだから、楽しかった、面白かった。先生の踊りは立派だった。先
生の真似をしたので、身体も疲れなかった
先生の身のこなしをみて、自分もああならないとダメだなぁと思った。一生懸命な練習で、先生のよう
に自由に動けるのだろう。普段、他の患者とほとんど交流持てないが、身体に触れあえてよかった
ダンスは決まりきったものと思っていたが、決まりがなく、覚える必要もなく、楽しかった。先生の踊り
はすごく躍動的で、自分ものめり込んだ。自分の身体も自由に動かせた。動かせないと思ったが、や
ればできるんだと思った
リハビリを全部やった感じがした。楽しかった。患側手はいつも痛いのに、疲れず動かすことができた。
日頃接している患者の新たな一面を発見できた
身体を動かすのは好きではないが、温かくなって、気持ちよかった。福祉の職員にマッサージを行い、
喜んでもらえたのがよかった。職員の喜びが私の喜び
先生の神秘的な踊りからパワーをもらい、自分の障害を忘れた。自然と身体が動いていた。周囲の
人からも動きがよかったと。先生の踊りのように自分の世界を持ちたいと思った
手足に関係あると思ったが、関係がないので残念だった。先生の身体の動きは、とても真似できない。
触り合ってコミュニケーションが取れたのはよかった。相手の若い子に指圧をしてあげた。気持ちよ
いところわかる。今度は、その子が誰かにしてあげられるだろう
先生が、身体で自己紹介していたのに驚いた。ダンスというか、自己表現。吸い込まれるように感じ
た。やってると自分も自然と身体が動いた。身体を動かしたのは、きつかったけど、温まってきたし、
楽しかった。みんな不自由だけど、一生懸命やってるな、と思った
結果3 参加職員の感想
岩下先生の舞踏について
 身体の感覚
 スキンシップしながらの1対1の交流

1)知っていく
2)スキンシップの重要性

場の力
考察1
身体的志向性と身体感覚
- 利用者の感想(インタビュー調査)より
身体的志向性
(高)
第1象限
第4象限
B C E
F G H
J
D I
身体感覚(よい)
第2象限
身体感覚(悪
い)
A
第3象限
患側手の機能レベル
実用手
廃用手
補助手
身体的志向性(低)
考察2
ワークショップの影響力
思い出の蘇り
他
者
へ
の
共
感
性
非日常性
身体感覚
の変容
場の力
ためらいなく
スキンシップや
芸術の影響力
自己表現ができる
緊張感
新鮮さ 奇抜さ
インスピレーション
思
考
の
解
き
ほ
ぐ
し
さいごに

今、作曲家、美術家など、様々な分野のアー
ティストが高齢者との創造体験のコラボレー
ションの機会を待っている
1.
職員にとっても…利用者との介護する-されるという
硬 直化した関係性を離れることで、日常における関
係 性の見直しに繋がる可能性
施設にとっても…NPO団体等、外部の団体・人との協
力関係を持つことは、施設の閉鎖性を防ぎ、新鮮な
感覚との流通をよくするため、施設の発展に寄与す
ると考える
2.
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