社 会・経 済 の 変 革 につな がるイノベーション
目次 02
Contents
あゆみ 04
History
ERATOの理念 05
Mission statement of ERATO
ERATO の運営 07
Management of ERATO
トピックス 09
Topics
進行中プロジェクト 11
Ongoing projects
終了プロジェクト 27
Projects completed
ERATO ホームページのご案内 41
Our website
研究実施場所 所在地 43
The location of the ERATO laboratories
ERATO 研究プロジェクト 索引 45
ERATO research projects index
Exploratory Research for Advanced Technology
Exploratory Research for Advanced Technology
CONTENTS
独 立行政 法人 科 学 技術振 興 機 構( Japa n S c ience a nd Te ch nolog y Agenc y : J S T)は、
我が国における科学技術基本計画の中核的実施機関として、平成 15 年 10 月1日に新たな
スタートを切りました。J STは、技術シーズの創出を目指した、基 礎 研 究から企 業化まで
の一貫した研究開発の推進、科学技術情報の流 通促 進など科学技術の振興基盤の整 備
を総合的に行い、わが国の科 学 技術の振 興を図ることを使命として事 業を進めています。
昭和 5 6 年(当時 新技 術開発事 業団)に発足した創造 科 学 技 術推 進事 業では、これまで
に 77 の研究プロジェクトを運営してまいりましたが、第 2 期科学技術基 本計画や総合科
学 技 術 会議の推 進 戦 略など、新しい時 代の要請を踏まえ発 展的に解 消し、国の戦 略目
標の達成に向けた基礎研究の担い手として、平成 14 年(当時 科学技術振興事業団)より
戦略的創造研究推進事業 ER ATO 型研究が発足し、現在 2 7 の研究プロジェクトが研究
を実施しております。創造科学技術推進事業の先導的な研究システムに対する国内外の
評価は高く、このため、戦略的創造研究推 進事 業 ER ATO 型研究は、
( 1)人中心の研 究体
制(2)均一思考の排 除とヘテロな研 究者 集団(3)弾力性(4)流 動性、という旧創造 科
学技術推進事業の特徴と精神を引き継ぎ、研究を推進するものです。今後とも、優れた
人材や組織との有機的な結合が事業推進の要とわきまえて活動してまいります。
自らの進路を
国際社会に対する
切り開くため 、
貢献を行うため、
創造科学技術
推進事業が
発足しました。
■ 社 会・経 済 の 変 革 につ な がる イノベーション ■
戦略的創造研究推進事業は、国の重要な科学技術分野において、
戦略目標の達成に向けた世界トップ水準の基礎研究を強力に
推進することで、科学技術の新しい潮流を形成し、
新技術の創出に資するシーズをつくろうとするものである。
3
4
Exploratory Research for Advanced Technology
Exploratory Research for Advanced Technology
あゆみ
「人の可能性」に賭けたい。
ERATO のそんな思いが、日本の研究システムを変えてきた。
高い能力と大きな可能性をもった研究者が、雑事や既存障壁に
とらわれることなく、挑戦したい研究テーマに自由に没頭できる体制を構築する。
ER ATO は、新しい科学技術の源流の創出のためのバックアップを行なってきました。
ERATOの研究プロジェクトは、卓越したリーダーの元
独創性に富んだ探索型基礎研究を推進します。
「人」中心の研究システム
ERATO プロジェクトは、あくまで「人」が中心。能力と先取性のある研究リーダーを選出し、その熱
意と独創性、そしてリーダーシップが十分に発揮できるプロジェクト体制を構築する。それが ERATO
の基本的な姿勢なのです。「人」の可能性に賭ける。その可能性が最大限活かされる研究環境を整える。
大きな成果は、そこから生まれます。
既存組織から自由な研究拠点
新しい、独創的な研究プロジェクトには、新しい研究拠点を。研究リーダーの所属する既存機関から独
立して管理運営される研究拠点が、プロジェクト遂行のベースとなります。キャンパス内あるいは外部施
設も含め、 ERATO が専任の事務所を置いて、プロジェクト拠点を管理運営。プロジェクトスタッフは既存
の研究組織や所属組織にとらわれずに自由に研究に専心することができます。
幅広く開放的な研究集団
研究プロジェクトのスタッフには、リーダーが希望する有能な人材を揃える。その対象には分野や立場
の壁や境界を設けない。それが ERATO の基本姿勢です。国内の大学や研究機関はもとより、産業界
や企業、官庁、海外の研究者などさまざまな立場の研究者を広範な専門分野から横断的に招き、最強
の「ドリームチーム」を形成します。
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Mission statement of ERATO
Mission statement of ERATO
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Exploratory Research for Advanced Technology
E R AT O の理 念
E R AT O 研 究プロジェクトの構成
常に時 代の変化に柔軟、 迅 速に対応して
事 業内 容、 実 施 方法を見直す姿 勢を保ち、
変 革を先 導する事 業 運営に取り組 んでいます。
E R AT O の 支 援 体制
新しい 研 究 推 進 方 式
ERATO では、研究プロジェクト推進部、及びプロジェクト事務所が研究統括や研究スタッフを支援して、予算管理・
様々な分野から結集した異なる価値観の研究者達が相互に触発し合い、侃々諤々の議論を戦わせなが
進捗管理・各種契約・機器調達・トラブルシューティング等に取り組みます。
ら、全く新しい発想と切り口のもとで、独創的な科学技術の芽が創出されることを期待しています。
JST 戦略的創造事業本部
大学・研究所
大学等の本務
プ ロジェクト 事 務 所
ERATO プロジェクト
事 務 ・ 会 計 、調 達 等 、人 事 、予 算 管 理など、
プロジェクト遂 行のための総 務 的 役 割をプロジェクト事 務 所が 担 当 。
拠点の設定・プロデュース
研 究を統 括する研 究マネージメントと参 加 企 業との連 携 等 、 経 営 面を統 括する
組 織マネージメント体 制を組み、運 営は、統 合 科 学の高 度 専 門 知 識と事 務 的 分
析 能力を持つ職員が 行います。
研究総括
教授等
兼務
研究グループ
個人研究者等
レンタルラボ、大学構内などに
独自の研究拠点を設定。
研究グループ
(プロジェクトリーダー)
民間企業
プロジェクト事務所
拠 点 の 設 定・プロデュース
事務・会計、
調達、
人事、
予算管
理など、
プロジェク
ト遂行のため
の総務的役割を担当。
レンタルラボ、大 学 構 内などに独自の研 究 拠 点を設 定 。
新たな研 究 拠 点を置き、 運 営もそこに置かれた専 任 の 事 務 所が 行う方 式を取
りました。既 存 の 研 究 組 織にとらわれず所 属 の 異なる研 究 員を1つの 場 所に集
める研 究 拠 点 方 式が 盛んに行われるようになりました。研 究 総 括には、所 属す
る組 織 の 論 理や 束 縛から解 放され、構 想 ・テーマに最 適な研 究 環 境を自由に
整 備して頂きたいと考えております。
研究グループ
海外の
研究機関
従来の研究拠点
新たな研 究 拠 点
E R AT O の骨子
研 究 者 の 委 嘱 、予 算 配 算 等
研 究の進 捗に柔 軟に対 応できる予 算 配 算 制 度を導 入 。
E R A T Oで行われるようになった、研 究の進 捗に応じた柔 軟な運 営は、他のファン
ディング機 関の研 究プログラムにも波 及し、従 来の研 究 推 進システムでは大 変 困
難であった、 研 究 予 算や研 究 計 画の変 更や柔 軟な運 用が行われるようになって
きました。
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Management of ERATO
推 進 体 制
プロジェクト制 。 大学とは別にプロジェクトを立ち上げる。
研 究 期 間
約 5 年間
研
15 億 円を上限とした 必 要 額
究
費
研究実施場所
大学 、 リサーチパーク、 民 間 研 究 機 関 等から借用
研 究 領 域
戦 略目標 のもとに J S T が 研 究 領 域を設 定
Management of ERATO
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xploratory Research for Advanced Technology
Management of ERATO
Exploratory Research for Advanced Technology
E R AT O の運営
TOPICS 1
TOPICS 2
腰 原非平 衡ダイナミクスプロジェクト
「たんぱく質分子の『 深呼吸 』を観る」
極低温気体の研究で新展開
たんぱく質 構 造に普 遍 的に存 在 する穴( 空洞) 様 子を、 時 間 分 解X線 構 造 解 析 法を用いて 直
は、 た ん ぱく質 機 能 発 現 にお いてどのような
接 観測することに世界で初めて成 功しました。
ht t p://w w w.jst .go.jp/pr/a n nou nce/20 090210/v ideo.av i
役 割 を 果 たして い るのでしょうか。 腰 原 非 平
(AV I 形式8.5M B)にて動画がご 覧いただけます。
衡ダイナミクスプロジェクトは、 筋肉中のたん
ぱく質であるミオグロビン分 子の空洞に着目し、
一 酸 化 炭 素 分 子 が 結 合したミオグロビンの 単
結 晶 に低 温 条 件下でパルスレ ーザ ー 光 を 連 続
照 射 することにより、 た ん ぱく質 中 の 分 子 輸
送 過 程の 分 子 動 画 観 測を試 みました。 その 結
果、 ミオグロビン分 子 内の 空 洞 の 間 を 一 酸 化
炭 素 分 子が 数十 から数百分 のオーダーで 飛び
移りながら移動し、それに合わせて、たんぱく
図 レーザー励起後に、一酸化炭素分子がミオグロビン分
質 分 子があたかも " 深 呼 吸 " をするように、一
子内の「穴」の間を飛び移り、穴の形状が時々刻々、次々
と変形する姿が捕えられた。
連 の 空 洞 の 形 状 が 時々刻 々、 次々と変 形 する
レーザ光と原子の量子力学的性質を巧みに利用
することにより原子の気体をマイクロケルビン以
下の温 度に冷却することができます。この極低
温気体では、量子現象を直接目で観測できるよ
うになります。例えば、気体を構成する多くの原
子が 個々の粒子ではなく、あたかも1個の巨大
な原子の波のように振る舞う超流動現 象が見え
ます。しかし、これまで、この原子 や 分子の間
に働く力は、等方的なものに限られたものでし
た。もし、この力が非等方である極低温気体が
実現すると新たな現 象が出現すると期待されて
います。今回、極低温リチウム原子の気体に高
精度に制御した磁場を加え非等方の角運動量を
加藤 核内複合体プロジェクト
「骨と脂肪のバランスを制御するメカニズムの解明」
骨 髄に存 在 する間 葉 系 幹 細 胞は、 骨芽 細 胞、 軟骨 細 胞、 脂 肪
細 胞 等、 多様な 細 胞に分 化 する能 力を持ち、 バランス良く各種
細 胞 へ分 化 する 事 で 骨 の 強 度 が 維 持されて います。 しかし 老
化や、 2型 糖 尿 病 等 のメタボリックシンドロームでは、 間 葉 系
幹 細 胞 が 骨芽 細 胞よりも脂 肪 細 胞 へ分 化し、 骨 髄 に 脂 肪 が 蓄
積して骨の 強 度低下が 起こる場 合 があります。 加 藤 核内 複合 体
プロジェクトで は、 細 胞 外分 泌タンパク質 Wnt5a が 細 胞 核 内
のリン酸 化 酵 素 N L K を活 性化し、 間 葉 系幹細 胞を骨芽 細 胞へ
分 化させ、 同 時に、 ヒストンメチル化 酵 素 SE T DB1 による修 飾
(H3K9Me) を 制 御し、 脂肪 細 胞 分化促 進因子である PPA R γ
の 機 能 を 抑 制 することで、 骨 髄 中 の 脂 肪 細 胞・骨 芽 細 胞 の 分
図 Wnt-5a によって活 性 化 され る
化 バランスを 保 って いる 事 を 発 見しました( 図 )。 この成 果 は、
NLK は SETDB1 をリン酸化する。
さらにメチル化されたヒストンと
Wnt5a や N L K、SE T DB1 の 活 性を 調 節 できるような薬 剤 を開
結 合するタンパク質 CHD7 も含
発 できれ ば、 肥 満 の 防止や 骨 強 度の 増 強に役 立 つ可能 性を 示
めた複合体が PPAR γと相互作
唆するものです。
用し、脂肪細胞分化を抑制する。
Topics
上田マクロ量子制御プロジェクト
「 非等方な極低温分子 気体を生成 」
たんぱく質機能解析を実現する新技術
肥満の防止や骨強度の増強に期待
9
TOPICS 3
TOPICS 4
もつ分子を作ることに成功しました。これにより、
新しいタイプの量子凝縮相実現や超流動機構解
明が加速され、例えば 高温 超伝導メカニズムの
理解に資するものと考えられます。
図 生成したp波分子気体の様子。色は密度を表し、赤か
ら青に変わると密度は高くなることを示す。
ER ATO 研究成果プレス発表( 2008 年 4月∼ 2009 年 3 月)
小林高機能性反応場プロジェクト
研究総括
小林 修
2009 年 5月14日
東京大学大学院理学系研究科 教授
「環境調和型高効率酸素酸化反応の連続プロセス化を達成」
小林高機能性反応場プロジェクト
研究総括
小林 修
2009 年 3月25日
東京大学大学院理学系研究科 教授
「アルカリ土類金属塩により触媒される新反応」
小林高機能性反応場プロジェクト
研究総括
小林 修
2009 年 3月10 日
東京大学大学院理学系研究科 教授
「アンモニア水を用いた一級アミン合成の新手法を開発」
腰原非平衡ダイナミクスプロジェクト
研究総括
腰原 伸也
2009 年 2 月10 日
東京工業大学フロンティア研究センター 教授/東京工業大学大学院理工学研究科 教授
「たんぱく質分子内を小分子が移動する様子の動画撮影に成功」
宮脇生命時空間情報プロジェクト
研究総括
宮脇 敦史
2008 年12月20日
理化学研究所脳科学総合研究センター グループディレクター
「細胞周期の S/G2/M 期特異的に細胞のシルエットを描出することに成功」
岩田ヒト膜受容体構造プロジェクト
研究総括
岩田 想
2008 年10月17日
京都大学大学院医学研究科 教授
北川統合細孔プロジェクト
研究総括
北川 進
2008 年 9月24日
京都大学物質 - 細胞統合システム拠点 副拠点長
「内壁が疎水性(さらさら)で、大きさを変えたナノ細孔物質をデザイン」
小林高機能性反応場プロジェクト
研究総括
小林 修
2008 年 9月23日
東京大学大学院理学系研究科 教授
「水中でインジウム金属が触媒機能を発現」
中村活性炭素クラスタープロジェクト
研究総括
中村 栄一
2008 年 9月15日
東京大学大学院理学系研究科 教授
「ナノサイズの穴を通過する分子の形を観察」
上田マクロ量子制御プロジェクト
研究総括
上田 正仁
2008 年 9月1日
東京大学大学院理学系研究科 教授
「非等方な極低温気体分子の生成に成功」
上田マクロ量子制御プロジェクト
研究総括
上田 正仁
2008 年 8月18日
東京大学大学院理学系研究科 教授
「磁気相互作用する極低温原子気体の崩壊現象の観測とその理論的解明に成功」
岩田ヒト膜受容体プロジェクト
研究総括
岩田 想
2008 年 6月17日
京都大学大学院医学研究科 教授
「細胞膜の
「輸送体」が物質を輸送する巧妙な仕組みを解明」 「イオン輸送性 ATPase の輸送のメカニズムの一端を解明」
大野半導体スピントロニクスプロジェクト
研究総括
大野 英男
2008 年 9月25日
東北大学電気通信研究所 教授
「磁石の磁化方向を電界により直接制御することに成功」
腰原非平衡ダイナミクスプロジェクト
研究総括
腰原 伸也
2008 年 5月30 日
東京工業大学フロンティア研究センター 教授/東京工業大学大学院理工学研究科 教授
「大きな電気歪特性を持つ非鉛系物質を発見」
Topics
Exploratory Research for Advanced Technology
TOPICS
E R AT O の、 最 近の研究成 果をトピックスとして 紹介します。
10
様々な分野から結集した異なる価値観の
創出されることを期待しています。
Dr.
2014
研究総括
14
09
13
08
12
11
07
06
10
05
09
04
加藤核内複合体
下條潜在脳機能
中村活性炭素クラスター
金子複雑系生命
長谷部分化全能性進化
岩田ヒト膜受容体構造
上田マクロ量子制御
浅田共創知能システム
橋本光エネルギー変換システム
宮脇生命時空間情報
十倉マルチフェロイックス
下田ナノ液体プロセス
中内幹細胞制御
前中センシング融合
五十嵐デザインインタフェース
平山核スピンエレクトロニクス
岡ノ谷情動情報
高原ソフト界面
河岡感染宿主応答ネットワーク
袖岡生細胞分子化学
伊藤グライコトリロジー
高柳オステオネットワーク
四方動的微小反応場
湊離散構造処理系
中嶋ナノクラスター集積制御
研究プロジェクト
伊藤 幸成
2009
高柳 広
理化学研究所基幹研究所
東京医科歯科大学大学院
主任研究員
研究グループ
ページ
17,18
19,20
糖鎖生物機能化学グループ
オステオネッワーク解析 / オステオカイングループ
糖タンパク質合成化学グループ
オステオイムノロジーグループ
糖鎖構造情報化学グループ
オステオサイト&マウスジェネティックスグループ
ヒ
骨
トを始めとする高等動物、植物、酵母など
真核生物の細胞内にはアミノ酸で構成され
たタンパク質に糖が結合した糖タンパク質が他種
21,22
から、骨は単なる運 動器の一部ではなく、外界
の環 境 変 動やストレスを感 受し、免疫 系など他
の生体系を能動的に制御している事が明らかに
生物感染など)に反映されています。最近になり、
なってきました。そこで本プロジェクトでは、骨
糖鎖がタンパク質立体構造形成過程に重要な関与
と全身生体系との相互作用を分子レベルで解明
を行っていることが知られるようになり、糖鎖生物
刺激 感 受と骨による全身の生体系制御システム
研究期間
ような過程をしらべる上で、糖タンパク質を天然物
=オステオネットワーク」として捉え直し、この
オステオネットワークの解明を進めます。骨を中
チには限界があります。本研究は、有機化学合成
09
12
07
らかにする骨 免疫学的アプローチをさらに発展
ける作用を系統的に解析することによって、糖タン
るものです。本研究は生命科学における有機化学
的手法の優位性を示すモデルケースになるととも
に、タンパク質の立体構造や糖鎖構造異常に起因
する種々の疾病(アルツハイマー病、プリオン病、
糖鎖不全症など)の解決、合成糖タンパク質医薬
な 産 学 官 から 参 加した 若 手 研 究 員は、
新しい 科 学 技 術 の 流 れ を つくる研 究 を
行って います。
Ito Glycotrilogy Project
ページ
26
の流れの創成が期待されます。
させた概念として、これまでの生体における骨の
Takayanagi Osteonetwork Project
パク質の生体内における機能を深く理解しようとす
研 究 総 括 の 指 揮 の もと にグ ロ ー バ ル
Ongoing projects
クな発想は、今後、骨と免疫系の相互作用を明
し、これらを用いた糖タンパク質の細胞内外にお
北川統合細孔
末松ガスバイオロジー
研究プロジェクト
25
心とした感知・全身制御ネットワークというユニー
により糖鎖および糖タンパク質を精密に人工合成
開発、新規な抗感染症薬開発における新たな研究
11
し、脊椎 動物の生体系を「骨による外 界からの
学における重要課題として注目されています。この
から単離して利用する従来の生化学的なアプロー
14
もかかわらず、これまでその役割は、単に
の認 識に留まってきました。しかし近年の研 究
細胞分化、癌化、シグナル伝達、免疫応答、微
E R AT O i n t e r n at i o n a l
は、脊椎 動物が持つ特有な組 織であるに
生体を支持し運 動を可能にする硬い組 織として
の糖鎖の構造多様性が多彩な機能(細胞間認識、
23,24
医歯学総合研究科 教授
研究グループ
ています。特に高等生物においては糖タンパク質
15,16
2014
研究総括
多様な形で存在し、様々な生体現象に深く関与し
12 - 14
Dr.
Hiroshi Takayanagi
研究期間
2009
高柳オステオネットワークプロジェクト
進行中プロジェクト
Yukishige Ito
伊藤グライコトリロジープロジェクト
研究者達が相互に触発し合い、
全く新しい発想のもとで、独創的な科学技術の芽が
役割を一転させる契機になると期待されます。そ
して本プロジェクトの成果から、生命システムの
理解を深めるのみならず、メタボリック症候群、
炎症性疾患、異所性石灰化、肝性骨異栄養症と
いった、骨と他臓器に共 存する種々の疾 患の解
明や、それらに対する新薬開発の基盤となるこ
とが期待されています。
Ongoing projects
12
湊 真一
北海道大学大学院
情報科学研究科 教授
研究グループ
化可能な自律的化学反応システム」です。
がこの定義の中に十分反映されているわけでも
つ性質、すなわち1)微小区画での反応の高効
率性、確率性、頑強性、2)成長分裂する微小
区画による再帰 性、3)変異と選択による進化
能の 3 点に着目して、これらの性質をもつ動的
微小反応場を既知物質から創りあげます。そし
て、4)その性質を単細胞生物である大 腸菌な
どと比較します。この創出と比較のサイクルを
繰り返すことによって、生命の最小 単位である
細胞を新しい視点から捉えなおし、人工細胞創
出の設計指 針を得ることを目指します。この目
的を達成するためには、細胞生物学だけでなく、
生化学、物理化学、理 論 生物学、また微小反
応場を設計するマイクロ・ナノ工学などの多くの
分野融合が必要となり、新しい領域を切り開く
人材を育成することができると期待されます。
Ongoing projects
精密大量合成グループ
物性機能計測グループ
ナノデバイス応用グループ
ナ
算機は、産業プロセスの最適化や解析、マー
ケティング、バイオインフォマティクスなど、
様々な情報処理に活用されています。近年の爆発
的に増大している大規模データを処理するために
どちらとも異なる特異な性質や機能を有すること
大な離散構造データ(計算機が行う論理的な処理
計算する「アルゴリズム技術」の重要性が高まって
います。
本研究領域では、基 本的な離散 構造の1つで
ある論理 関数を処 理する BDD(Binary Decision
Diagram: 二分決定グラフ)と、さらにその進化形
である ZDD (Zero-Suppressed BDD; ゼロサプレス
型 BDD)の2つの技法を基盤とした離散構造処理
系の研究に取り組みます。ZDD は、研究総括が独
自に考案した BDD の進化形で、疎な組合せの集
合を効率よく処理する技法として世界的にも注目さ
れています。これらの技法をさらに発展させ、多
様な離散構造を統合的に演算処理する技法を体系
化し、システム検証や最適化、データマイニング、
知識発見などを含む分野横断的かつ大規模な実
問題を高速に処理するための技術基盤を構築しま
す。開発した処理系の実装技術は、国内外の研究
者や産業界が利用しやすい形で提供していきます。
分子が集合した、数ナノメーターの大きさ
バルク固体よりも小さいナノクラスターは、その
は、計算機ハードウェアの高速化だけでなく、膨
を表現したデータ)を数学的に簡約化し効率よく
ノクラスターとは、数個から数百個の原子・
の超微粒子のことです。原子・分 子より大きく、
から、触媒、電子デバイス、磁気デバイスなどへ
Nakajima Designer Nanocluster Assembly Project
ありません。このプロジェクトでは、細胞の持
Minato Discrete Structure Manipulation System Project
Yomo Dynamical Micro-scale Reaction Environment Project
13
計
命の定義としてよく引用されているのは
「進
理工学部 教授
研究グループ
機械学習・制約充足応用グループ
微小反応場特性解析グループ
クな反応容器(動的微小反応場)としての性質
慶應義塾大学
情報科学研究科 准教授
統計・マイニング応用グループ
進化的プログラミンググループ
るわけでもなく、また、細胞の持つダイナミッ
中嶋 敦
離散構造処理基盤グループ
ダイナミック反応区画グループ
2014
研究総括
研究グループ
区画内反応グループ
しかし、すべての人がこの定義を受け入れてい
2009
の応用が強く期待されています。
本研究領域は、シリコン複合クラスターおよび有
機 金属サンドイッチクラスターをモデル材料とし
て、ナノクラスターの合成・機能解 析を行うとと
もにナノクラスターを配列集積させて太陽電池な
どのデバイスを作製し、これら実証データを足が
かりとしてナノクラスター物質科学の基礎を確立
するものです。
ナノクラスターの応用可能性の探索にあたって
は、クラスター化学の知見を活用したナノクラス
ター の 精 密 大 量 合 成と同 一 環 境 下での 配 列 集
積、原子レベルでの物性計測・機能解 析および
集積 物質を利用したデバイス ( 太 陽電 池および
光磁気デバイス ) の創成を行い、新たなナノ物質
科学の構築に取り組みます。また、これらの機能
を活用した研究を通じて、ナノクラスターを基盤
材料とした新たなナノデバイス創成の道筋を提示
することを目指します。
xploratory
Research
for Advanced Technolog
研究総括
大阪大学大学院
生
2014
Dr.
Atsushi Nakajima
四方 哲也
2009
中嶋ナノクラスター集積制御プロジェクト
研究総括
Dr.
Shin-ichi Minato
2014
湊離散構造処理系プロジェクト
2009
Tetsuya Yomo
四方動的微小反応場プロジェクト
Dr.
Ongoing projects
14
河岡 義裕
東京大学医科学研究所
主任研究員
高原 淳
九州大学
ウ
個々の細胞の生死は厳 密に制御されていま
す。例えばさまざまな傷害により必要な細胞が死ん
常が生じると、がんや虚血性疾患、神経変性疾患
などのさまざまな疾患を引き起こすことが知られて
おり、細胞死の制御により新たな治療法、予防法
を確立できることが期待されます。その為には、細
胞死のしくみ、特にネクローシスのしくみを分子レ
ベルで理解し、その全貌を明らかにすることが重
分子化合物を開発し、細胞死に関連するたんぱく
能にする新しい化学的な手法の開発を行い、さら
に同定したたんぱく質の働きを調べることにより細
胞死のしくみを分子レベルで解明することを目指し
ます。また、研究過程で開発される新しい " 細胞死
制御分子 " や生細胞解析手法は、細胞死の異常に
より引き起こされる疾患の治療薬の創製や、ほか
の生命現象の解明にも役立つことが期待されます。
プロジェクト事務所
〒351-0198 埼玉県和光市広沢 2-1
独立行政法人理化学研究所 物質化学研究棟 N502
TEL:048-487-8091 FAX:048-487-8092
Ongoing projects
情動発達グループ
高分子、エラストマーなどの軟らかい材料「ソ
テリアルの材料科学を駆使して新規なソフトイン
生物学ユニット、2)宿主細胞応答ユニット、3)
ターフェースを創製することを目指すと共に、高性
計算システム生物学ユニットを設置し、ウイルス
能なソフトインターフェース構築のための普遍的
感染に重要な細胞性因子および病原性発現と相
な科学的原理の解明をも目指します。具体的には、
関する細胞性因子の同定を行い、ウイルス感染に
このプロジェクトを推進するために、1)精密有機・
対する宿主応答のモデル化ならびにデーター解析
無機合成技術に基づくソフトインターフェースの
を行います。これらの解析により、ウイルス感染
分子設計、2)自然界に学ぶソフトインターフェー
〒 108-8639 東京都港区白金台 4-6-1
東京大学医科学研究所2号館4階
TEL:03-6459-3261 FAX:03-6459-3273
を目指します。
そのために、言 語を獲 得する前 後の乳 幼児、
成人、および鳴き声でコミュニケーションする鳥
やネズミなどの動物を研究対象とします。
フトインターフェースの材料設計に学び、ソフトマ
かつ包括的に理解するため、1)ウイルス・細胞
プロジェクト事務所
情報の計算科学的な符号化モデルを構築すること
本プロジェクトは 優れた特性を有する自然界のソ
イルス学的な情報と宿主応答の相関を、体系的
規治療法の開発につながることが期待されます。
発達 過程の生物学的な解 析を基礎として、情動
は、この分野の科学と工学の発展を促進します。
ついては、ほとんどわかっていません。そこでウ
知見は、ウイルス感染症の新たな概念の確立と新
て伝達されるものであると捉え、その進化過程・
トインターフェースの構造と動的特性の精密制御
ルエンザウイルスの病原性と宿主応答との関係に
スの階層構造制御、3)ソフトインターフェース
のその場構造解析技術と動的特性評価技術の開
発、さらに創製したソフトインターフェースの基礎
的な機能特性を評価します。
プロジェクト事務所
〒 819-0935 福岡県福岡市西区元岡 744
九州大学 CE80 棟 108 号室
TEL:092-802-2542 FAX:092-802-2544
た心の状態を他者に伝達する表情や音声、
が言語と同様にある種の規則性
(情動文法)をもっ
特徴的な動的特性を有しています。従って、ソフ
これまでの精力的な研究にも関わらず、インフ
動情報とは、喜び、悲しみ、驚き、怒りといっ
体の動きの情報のことです。私たちは、情動情報
主として有機高分子で形成され、有限の厚みと、
ら特に注目されています。
することができます。従って、本研究で得られる
情
晶、ゲル、界面活性剤、合成高分子、生体
インターフェース」は身の回りの至る所に存在し、
症状が重く、肺炎合併による死亡者も多いことか
における宿主細胞応答のネットワークを明らかに
情動インタフェイスグループ
ソフトマテリアルで形成される表面と界面「ソフト
Takahara Soft Interface Project
Sodeoka Live Cell Chemistry Project
質を同定し、それらの相互作用を生細胞で検出可
情動モデリンググループ
本研究領域は、情動情報の生物学的基盤を解
明し、符号化技術の創出を試みるものであり、従
Okanoya Emotional Information Project
要です。本研究領域では、細胞死を制御しうる低
情動統合グループ
の中で極めて重要な位置を占めています。また、
ウイルスは他の呼吸器ウイルス感染症と比べ臨床
生物言語研究チーム チームリーダー
研究グループ
フトマテリアル」は、機能性材料として日常生活
ルス感染症に罹患していますが、インフルエンザ
Kawaoka Infection-induced Host Responses Project
により除去されます。これらの細胞死のしくみに異
多くの人命を奪うだけでなく、世界経済に大
しています。現在、世界中で毎年多くの人がウイ
タイプの細胞死が観察される一方で、不要な細胞
は自ら死ぬしくみ、アポトーシスとよばれる細胞死
液
イルス感染症は、重篤な疾病を引き起こし
きな影響を与え、我々の生活に甚大な被害を及ぼ
でしまう場合にはネクローシス(壊死)とよばれる
理化学研究所脳科学総合研究センター
先導物質化学研究所 教授
先端界面構造物性解析グループ
免疫グループ
物が 個 体としての " 生 " を維 持するために、
岡ノ谷一夫
階層構造制御グループ
計算システム生物学グループ
2013
研究総括
界面分子設計グループ
宿主細胞応答グループ
生細胞解析グループ
2008
研究グループ
ウイルス・細胞生物学グループ
生細胞反応グループ
2013
研究総括
研究グループ
細胞死制御グループ
15
感染・免疫部門 教授
2008
Dr.
Kazuo Okanoya
研究総括
研究グループ
生
2013
岡ノ谷情動情報プロジェクト
理化学研究所基幹研究所
2008
Dr.
Atsushi Takahara
袖岡 幹子
高原ソフト界面プロジェクト
研究総括
Dr.
Yoshihiro Kawaoka
2013
河岡感染宿主応答ネットワークプロジェクト
2008
Mikiko Sodeoka
袖岡生細胞分子化学プロジェクト
Dr.
来の情報処理技術に欠けていた付加情報を扱う
ための新たな可能性を示し、それによってコミュ
ニケーション効率を飛躍的に増大させることが期
待されます。たとえば、情動情報を付加できる新
しいタイプのインターネットブラウザーの実現や、
人の気持ちを理解し親密なコミュニケーションを
行えるロボットの開発といった新たなハードウェア
あるいはソフトウェアの実現に繋がっていくことが
見込まれます。
プロジェクト事務所
〒 351-0198 埼玉県和光市広沢 2-1
独立行政法人 理化学研究所 研究本館 413 号室
TEL:048-487-8431 FAX:048-487-8432
Ongoing projects
16
五十嵐 健夫
研究グループ
現
年の高度な情報 処理技術は半 導体やハー
ドディスクに見られるように電子の電荷や
スピンの 性 質を活用しています。一方、原子核
ニメーション等の「映像表現」、鞄や衣服等の「生
見いだし、核スピンが重要な役割を果たす新た
活用品」、将来、家庭において人間等との共生が
なエレクトロニクス分野の創出に繋げることを目
Ongoing projects
れた情報を処理すると共にデータを遠隔地の病
院や肉親に無線ネットワークを利用して安全・確
期待される「ロボットの行動」を具体的なデザイ
ンの対象として、研究を実施します。本研究領域
は、一般ユーザによる創造的活動を支援するとい
う目標のもとで、ユーザインタフェース研究の立
場から CG・CAD・ロボティクスにおける新たな技
術基盤の構築を目指すもので、戦略目標「メディ
ア芸術の創造の高度化を支える先進的科学技術
の創出」に資するものと期待されます。
プロジェクト事務所
〒 112-0002 東京都文京区小石川 1-28-1
フロンティア小石川ビル 7 階
TEL:03-5840-8196 FAX:03-5840-8197
実に転送できるシステムの構築が有効となります。
このようなシステムの構築は、センサの統合化技
術や低消費電力回路技術、発電技術や電源管理
技術、無線通信技術や生体の状態を把握し処理
するための情報処理技術など、広範囲なセンシン
グ融合技術の開発により初めて実現できるもので
す。本研究領域では、血圧や脈拍あるいはその
波形に代表される個人の体調とその活動状況や周
辺環境の状態を計測する複数のセンサを集積化
するとともに小型発電機、無線通信素子を統合化
し、人の安全と健康を支援するシステムの構築を
目指します。
プロジェクト事務所
〒 671-2280 兵庫県姫路市書写 2167
兵庫県立大学内オープン実験棟 8111
TEL:079-229-9020 FAX:079-229-9021
在、臓器不全症に対する治療には人工臓器
あるいは他人からの臓器移植による臓器置
換法が主流です。しかし人工臓器にはその生理機
能、生体適合性といった問題が、また臓器移植
Nakauchi Stem Cell and Organ Regeneration Project
た精密測定を通して、未知の物理現象を数多く
〒980-0845 仙台市青葉区荒巻字青葉 468-15
あおばインキュベーションスクエア内
TEL:022-217-7605 FAX:022-217-7606
装着したセンサにより状態や環境を計測し、得ら
Maenaka Human-Sensing Fusion Project
個人の創造性を体現するために、3 次元画像やア
Igarashi Design Interface Project
Hirayama Nuclear Spin Electronics Project
17
法等の情報技術の研究を統合的に行うものです。
の展開を目指します。さらに、核スピンを利用し
プロジェクト事務所
を介さずにこれらのことを行うためには、人体に
実現を目指し、その基盤となる計算手法や表現手
理のための半 導体デバイスや超高感度 NMR へ
ます。
要な措置を速やかに行うことが望まれます。人手
軽にデザインできる新たなユーザインタフェースの
ピンを精密に制御する技術を確立し量子情報処
けた技術基盤の構築」に資するものと期待され
環境などを多角的かつ常時継続的に把握し、必
題意識のもと、一般ユーザが種々のものを自ら手
半 導 体量子構造やナノマテリアルを用いて核ス
環境の変化に伴う問題が多発し、安全や福
未然に防ぐためには、個人の体調や行動、その
が必要だと思われます。 本研究は、このような問
プロジェクトでは、ゲートにより精密制御可能な
現
子化や高齢化、生活習慣病など近年の社会
起こされる大事故、不健全な生活による疾患等を
出し、それらを自己表現として発信していくこと
限されていました。この課 題を解 決するため本
大動物モデル研究グループ
す。孤独死や過労死あるいは不注意によって引き
はなく、自らの感性と創造力によって何かを創り
ンは精密な制御が困難であるためその応用が制
小動物モデル研究グループ
祉、健康の維持に大きな関心が寄せられていま
限られた選択肢のなかから選んで消費するだけで
応用が 強く期 待されています。しかし、核スピ
信技術に革新をもたらす量子情報処理実現に向
少
プロのデザイナーがデザインし、大量生産
幹細胞治療研究センター 教授
研究グループ
システムグループ
て真に豊かな生活の実現のためには、このような
いう特 徴があり、近年、量子コンピュータへの
東京大学医科学研究所
マイクロパワーグループ
の生活は成り立っています。しかし、人間にとっ
が 変わりにくいため量子状 態を保 持しやすいと
中内 啓光
センサグループ
在使われている身の回りの道具の多くは、
2012
研究総括
PZT 応用グループ
された商品であり、それらを消費することで我々
の持つ核スピンは電子スピンよりもスピンの向き
工学研究科 教授
2007
研究グループ
ロボット行動デザイングループ
物理研究・結晶成長グループ
子デバイスの構 築に繋がり、戦略目標「情報 通
情報理工学系研究科 准教授
生活デザイングループ
半導体特性評価グループ
実 現に向けた核スピンを用いた多量子ビット量
兵庫県立大学大学院
映像表現グループ
ナノ NMR・ナノプローブグループ
指します。本研究領域は、量子情報処理技術の
前中 一介
研究グループ
核スピン操作グループ
近
研究総括
東京大学大学院
理学研究科 教授
2012
Dr.
Hiromitsu Nakauchi
研究総括
2007
中内幹細胞制御プロジェクト
東北大学大学院
2012
Dr.
Kazusuke Maenaka
平山 祥郎
2007
前中センシング融合プロジェクト
研究総括
Dr.
Takeo Igarashi
2012
五十嵐デザインインタフェースプロジェクト
2007
Yoshiro Hirayama
平山核スピンエレクトロニクスプロジェクト
Dr.
には感染や倫理の問題に加えて絶対的なドナー
臓器の不足が大きな問題となっています。このよ
うな状況下、新しい治療法として胚性幹細胞(ES
細胞)や人工多能性幹細胞(iPS 細胞)などの幹細
胞を用いた再生医療が注目を浴びています。しか
し現在の再生医療が目指しているのは細胞療法
が主体であり、複雑な細胞間相互作用をその発
生過程に必要とする臓器を試験管内で再生するこ
とは不可能と考えられています。本プロジェクトで
は Blastocyst Complementation( 胚 盤 胞 補 完 )
法を用い臓器を異種動物個体内で再生すること
を最終ゴールとし、①小動物を用いてのコンセプ
トの検証②大動物による臓器再生・移植を行う 2
つの研究グループを設置し、互いにインターラク
トしながらプロジェクト進展をはかります。本研
究成果を基盤にして、将来的にヒト臓器が家畜を
利用して再生できるようになれば、多くの患者を
救済できるだけでなく、ヒトの臓器や組織を利用
した創薬や医療関連産業にも画期的進歩をもた
らすことが期待されます。
プロジェクト事務所
〒 108-8639 東京都港区白金台 4-6-1
東京大学医科学研究所 アムジェンホール
TEL:03-5447-7771 FAX:03-5447-7772
Ongoing projects
18
十倉 好紀
東京大学大学院
マテリアルサイエンス研究科 教授
研究グループ
理化学研究所 脳科学総合研究センター
工学系研究科 教授
固
ク電子デバイスの進歩に負っています。ハ
イテク世界では技術パラメータは高度に煮詰めら
化 を、 電 場 は 電 気 分 極 を 誘 起します が、
としたナノ物質輸送科学の新領域開拓と新ナノ構
気磁気 効果が十 倉グループによって発見された
造液体の創出を行います。換言すると固体形成
ことで、大きな注目を集めるようになってきまし
た。このマルチフェロイックスは、世界で初めて
を引き出すことであります。得られた科学的知見
磁場による電気分極の反転を示しただけでなく、
を駆使してナノ電子デバイスを作成する技術の研
その逆の電場による磁化反転の存在を示唆して
究を推進します。当プロジェクトの研究領域は、
います。この強い電気磁気 効果は、磁化と電気
高性能なナノデバイスを低エネルギー、省資源
分極の強い相関から生まれますが、この未開拓
で製造する技術基礎を創生することを目指すもの
の分野の研究を進めることは、科学的に大きな
で、戦略目標「ナノデバイスやナノ材料の高効率
意義を持つだけでなく、これまで存在し得なかっ
に関する基盤の構築」に資すると期待されます。
プロジェクト事務所
〒923-1211 石川県能美市旭台 2-5-3
いしかわフロンティアラボ
TEL:0761-51-5800 FAX:0761-51-5889
Ongoing projects
Tokura Multiferroics Project
Shimoda Nano-Liquid Process Project
のゆりかごとしての溶液の隠されたポテンシャル
た動作原理に基づく革新的な電子デバイスの創
製につながると期待されます。
プロジェクト事務所
〒 113-8656 東京都文京区本郷 7-3-1
東京大学大学院工学系研究科6号館4階 464 号室内
TEL:03-3815-0650 FAX:03-3815-0656
用されているとはいえません。また、ナノテクノ
ロジーは、エネルギー問題や環境問題の解決策
としての期待も大きく、さらなる新規機能材料の
研究が望まれています。本研究領域では、光エ
対象としたライブイメージングの技術革新とその実
践応用を行います。まず、生命現象を光の強さや
色の変化として検出するための蛍光あるいは発光
を利用したプローブ試薬を創出します。また、個
体に発現されたプローブ試薬からの光を三次元的
に高い解像度で観察し、その時間変化を可視化
するシステムを開発します。さらに、測定された
現象が個体の中でどのように制御されているのか、
数理的な解析をまじえ、そのモデルを構築するこ
とで明らかにします。本研究によりこれらの計測
技術発展と、細胞が示す生命現象についてのより
深い理解が得られることが期待されます。
プロジェクト事務所
〒 351-0198 埼玉県和光市広沢 2-1
理化学研究所 レーザー棟内
TEL:048-451-3011 FAX:048-463-6900
ネルギーを主としたエネルギー変換材料の分野
Hashimoto Light Energy Conversion Project
質( マル チフェロイックス)において、 巨大な電
Miyawaki Life Function Dynamics Project
質のナノ構造と物性を解析し、分子間力をベース
視 点が弱く、必ずしも、すべての材料が有 効 利
生物個体の中で計測することで、その制御のメカ
ニズムの解明をめざします。そのために、個体を
子・分子単位で扱うことを可能にし、それ
しかし「創る」ことに重点が置かれ「使う」という
化といった現象を、本来の細胞の活動の場である
と強磁性(フェロマグネティック)をあわせ持つ物
年のナノテクノロジーの発展は、物質を原
により、様々な新規材料がもたらされています。
本プロジェクトでは、細胞が示す増殖や移動、分
ところが、最近、強誘電性(フェロエレクトリック)
とを目標にします。そのためには溶液あるいは溶
活動は、それを構成する個々の細胞が互い
生体内での活動を正しく反映できるとは言い難く、
れましたが、その効果は非常に弱いものでした。
を溶液法で直接形成する技術基盤を確立するこ
近
体としての調和のとれた形態形成や生理的
れます。しかし、このような人工的な環境では、
年頃、この電気磁気効果を示す物質が見い出さ
セスプロジェクトでは、ナノサイズの電子デバイス
微生物グループ
ディッシュに培養された状態での計測がよく行わ
果)を示す物質の存 在が予言されました。1960
このような課題を解決するため下田ナノ液体プロ
金属錯体グループ
実現されます。細胞の活動の様子を調べるために、
場で 電 気 分 極 を、 また電 場で 磁 化 を 起こす 効
抜本的に改善することが強く求められています。
有機高分子材料グループ
に連絡し合い、時空間的に正しく機能することで
紀 末、Pierre Curieによって電 気 磁 気 効 果( 磁
エネルギー面、国際競争力の面からその効率を
製造及びナノスケール科学による製造技術の革新
生
体中では、 外 部から加えられた磁 場は磁
工学系研究科 教授
研究グループ
光学システム開発グループ
代においてもなお、未開拓の 分 野です。 19 世
資源利用効率は極めて低水準にあります。環境
東京大学大学院
数理解析グループ
磁化と電気分極が強く絡み合う現象の研究は現
れているように思われますが、エネルギー効率、
橋本 和仁
生物個体ライブイメージンググループ
電気磁気相関理論グループ
2011
研究総括
研究グループ
電気磁気散乱分光グループ
在のIT社会は半 導体を初めとするハイテ
2006
細胞機能探索技術開発チーム チームリーダー
電気磁気相関物性グループ
理論研究グループ
19
宮脇 敦史
マルチフェロイックス創製グループ
PDE 研究グループ
現
研究総括
研究グループ
材料研究グループ
2011
Dr.
Kazuhito Hashimoto
北陸先端科学技術大学院大学
研究総括
2006
橋 本 光エネルギー 変 換 システム プロ ジェク ト
下田 達也
2011
Dr.
Atsushi Miyawaki
研究総括
2006
宮 脇 生 命 時 空 間 情 報 プロ ジェク ト
2011
Dr.
Yoshinori Tokura
十 倉 マルチフェロイック ス プロ ジェク ト
2006
Tatsuya Shimoda
下 田 ナノ 液 体 プロセスプロジェクト
Dr.
において、材料の利用目的を想定して、その目的
にあわせて物質のナノ構造を最適化するという視
点から新規材料を設計・作成する手法を研究し、
その基盤となるべき材料・システムの創製を目指
すものです。さらには、バイオサイエンスの知見
を利用した新規材料の創出も目指します。具体的
には以下の 3 分野の研究領域を推進します。
(1)
高 効 率 な有 機 薄 膜 太 陽電 池の 創出。
( 2)耐久
性に優れた無機人工光合成ナノデバイスの構築。
(3)微生物のもつ自己修復能などの優れた機能を
利用したエネルギー変換・環境 浄化デバイス開
発と新たな燃料電池や環境浄化材料の開拓。
プロジェクト事務所
〒 113-8656 東京都文京区本郷 7-3-1
東京大学工学部 5 号館 150 号室
TEL:03-3814-3761 FAX:03-3814-3531
Ongoing projects
20
研究グループ
近
れてきていますが、従 来 型の脳 科 学 研 究
の延長線上での発展だけでは不十分と思われる
し、日本の得意分野であるロボット技術を生かし
構成的理解を目指します。さらに、社会的コンテ
キストの中で、アンドロイドを用いたロボットの
コミュニケーション能力の実現や複数エージェン
トの社会発生メカニズムの解明を通じ、コミュニ
ケーション創発過程の機構を明らかにします。ま
た、脳機能画像計測などによる構成モデルの検
証を通じたヒューマノイドの運動創発、認知モデ
ルの構築ならびに設計へのフィードバックを目指
します。
プロジェクト事務所
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘 2-1 大阪大学大学院
工学研究科フロンティア研究棟1号館4階
TEL:06-6876-8884 FAX:06-6876-8994
Ongoing projects
可能性が開けました。本プロジェクトでは、この
大自由度系の物質パラメータの系統的制御や量
子状態・不確定性関係の極限操作など、様々な
タイプの「量子制御」の研究を通じて、マクロ量
子物質の物理の包括的理解とその量子情報や超
精密測定への応用のための基礎研究を行います。
本プロジェクトは、
(1)相互作用制御、
(2)不確
定性制御、
(3)強相関量子制御の3つの実 験グ
ル ープと理 論グル ープから構成されます。各実
験グループは、それぞれ独自のアプローチにより、
物質と光の量子状態の制御技術を極限的レベル
にまで高める一方で、グループ間の有機的な共
同作業によりマクロ量子物質の未踏領域の系統
的探索に挑みます。
プロジェクト事務所
〒 113-8656 東京都文京区弥生 2-11-16
東京大学工学部 9 号館 313 号室
TEL:03-5841-1523 FAX:03-5841-1524
分化全能性を失ってしまいますが、特定の処理で
分化全能性状態にプログラムしなおすこと(リプ
ログラミング)が可能です。ところが、
リプログラミ
的には、構造解 析の極めて困難なヒト膜蛋白質
ングの分子機構はほとんど明らかになっていませ
が数多くあります。本プロジェクトは、その中で
ん。本研究の大きな特徴であるヒメツリガネゴケ
も膜受容体の様に、高度に疎水的な膜蛋白質の
は、従来のモデル生物と違い、極めて高いリプロ
構造解析において普遍的な技術の確立を目指す
ものです。まず、創薬に重要と考えられるヒト膜
受容体の cDNA(200-300 個程度)を収集し、膜
受容体の大量生産および精製技術を確立します。
次に、精製した膜受容体に対し、蛋白質工学及び
構造プロテオミクスをベースにした新たな膜蛋白
質結晶化技術を適用します。一方、極微 量サン
プル結晶化技術と結晶自動マウントロボットを組
み合わせた、結晶化最適条件の高速自動スクリー
ニングシステム、また、新世代放射光を利用した
超低ノイズデータ計測系を構築します。以 上 述
べた全ての技術を統合し、ヒト膜受容体 構造解
析を系統的に行う方法の確立を目指します。
プロジェクト事務所
〒 606-8501 京都市左京区吉田近衛町
京都大学大学院医学研究科 A 棟 3 階
TEL:075-751-8262 FAX:075-751-8263
と細胞分化を経て、個体を作り上げます。つ
能 性)を持っています。ひとたび分化した細胞は
グラミング能を持っています。そして、植物で最
Hasebe Reprogramming Evolution Project
Asada Synergistic Intelligence Project
21
つなぐ認知モデルによるヒトの認知発 達 過程の
Ueda Macroscopic Quantum Control Project
行動から対人コミュニケーションまでを発達的に
極の人工量子物質(マクロ量子物質)を実現する
精卵は、一定のプログラムに従い、細胞分裂
まり、どのような細胞をも作りだせる能力(分化全
である蛋白質の構造解 析です。薬剤の主要な標
Iwata Human Receptor Crystallography Project
と符号、などのパラメータを自在に制御できる究
に関わる蛋白質が多数特定されています。
成する上で、一つの大きな課題が、薬剤の標的
形状と次元性、なかんずく原子間相互作用の強さ
来の研究に、よりマクロスコピックな視点を導入
受
トゲノム情報が明らかになるにつれ、疾病
創薬研究において望まれています。この目標を達
て、温度、原子数密度、閉じ込めポテンシャルの
知能 」は、構成的モデルの重要さを認識し、従
バイオイメージンググループ
作用の少ない医療及び医薬品の開発が、医学や
続的に変化させることが可能になります。こうし
することです。本プロジェクトで推 進する「共創
逆遺伝学グループ
それらの結果を活用した、より合 理的でかつ副
質を決 定 するほとんどすべてのパラメータを連
にして脳の機能を実現するかを原理的に明らかに
リングによる運 動知能の創発です。次に身体的
ヒ
より、レーザー光を用いて原子集団を絶対
ザー冷却された極低温の原子集団では、系の性
個体を含む外界と相互作用することにより、いか
インフォマティクス・進化グループ
結晶化・X 線測定システム開発グループ
零度近くに冷却する技術が開発されました。レー
テーマは、システムの動的な性質に基づいて他の
オミクスグループ
結晶リガンド構築グループ
年、量子力学の性質を巧みに用いることに
基礎生物学研究所 教授
研究グループ
結晶創成グループ
理論グループ
機能の研究は20世紀後半から活発に行わ
自然科学研究機構
医学研究科 教授
受容体産生グループ
強相関量子制御グループ
共創知能機構グループ
長谷部 光泰
研究グループ
不確定性制御グループ
社会的共創知能グループ
知能システム」の出発点は、身体と環境のカップ
理学系研究科 教授
2010
研究総括
京都大学大学院
相互作用制御グループ
対人的共創知能グループ
2005
岩田 想
研究グループ
身体的共創知能グループ
た新たな脳科学の研究領域を創出します。
「共創
研究総括
東京大学大学院
工学研究科 教授
2010
Dr.
Mitsuyasu Hasebe
上田 正仁
2005
長 谷 部 分 化 全 能 性 進 化 プロ ジェク ト
研究総括
大阪大学大学院
脳
2010
Dr.
So Iwata
浅田 稔
2005
岩 田 ヒト 膜 受 容 体 構 造 プロ ジェク ト
研究総括
Dr.
Masahito Ueda
2010
上 田 マクロ 量 子 制 御 プロ ジェク ト
2005
Minoru Asada
浅 田 共 創 知 能 システム プロ ジェク ト
Dr.
も容易に遺伝子ターゲティング法が行え、多細胞
下等植物として初めて全ゲノム解析が完了しつつ
あります。本研究領域では、高いリプログラミン
グ能を持つヒメツリガネゴケのゲノム情報を最大
限に利用し、その高いリプログラミング能を担う
因子を同定・機能解析します。そして、植物リプ
ログラミングの分子機構の全貌と進化過程解明
への鍵を手に入れ、リプログラミング研究分野に
新たな展開を生み出します。本研究領域から得ら
れる知見と技術は、細胞機能を制御する分子機
構解明に寄与し、植物の再生能力を最大限生か
すことで農産物生産などの技術革新をもたらすこ
とが期待されます。
プロジェクト事務所
〒 444-8585 愛知県岡崎市明大寺町字西郷中 38
自然科学研究機構 基礎生物学研究所内
TEL:0564-59-2239 FAX:0564-55-1356
Ongoing projects
22
中村 栄一
東京大学大学院
総合文化研究科 教授
ベ
子生物学の数々の成果により、各要素を組
合せた「機械的な」生命観が形成されてきま
した。しかし、外部環境も含め、生物の各要素過
胞が揺らぎを利用して環境に適応する仕組み、細
胞内の揺らぎと細胞集団のマクロなパタン形成、
験の両面から明らかにしていきます。生命システ
ムの普遍的性質を理解することは、生物の柔軟性
を模したシステム開発に欠かせない原理を与える
ことが期待されます。
プロジェクト事務所
〒567-0047 大阪府茨木市美穂ヶ丘 3-6
第1山本ビル 301号室
TEL:072-645-0135 FAX:072-645-0136
Ongoing projects
る巨大複合体の同定、およびその機能 解
同定も試みています。これら複合体 機能の解 析
により、個々の染色体 DNA 上の生命 現 象解明
を究め、その知見をもとにして協調的かつ厳 格
な制御機構を明らかにしていきます。このような
我々は、自由意思に因らず自動的に働く脳機能や、
研 究 展開により、核内でこれまで知られていな
自覚的判断に先立つ潜在的過程に焦点を当て、認
かった 生命 現 象 の 発 見 が 期 待され、 遺伝 子 発
知科学的、神経科学的な理解をすることを目的と
徴を活用した新しい光および電気物性を持つシ
プロジェクトでは、動物細胞核内に存在す
析、さらに、未だ報告のない超巨大複合体群の
現、DNA 修復、DNA 複製などの機能的関連を
します。まず視覚、聴覚、視聴覚統 合、視覚調整
分 子レベルで明らかにすることが 可能となりま
ステムや生理活性を示すシステムの構築、
(3)高
運動などにおける無自覚的脳機能プロセスを解明
す。そして、これら研 究 成 果は産 業 利用にもつ
感度・高分解能を併せ持つ透過型電子顕微鏡の
し、これらのプロセスが、眼球運動やその他の身
ながると考えられます。その一つとしては、複合
開発を行い、分子・原子レベルでの構造解析に
体定位反応により引き起こされるメカニズムや自
体 群ならびにこれらに相互作用する因子群を標
覚時の自由意思による選択に影響を与えるメカニ
的分子とした創薬研究、さらには疾 患治療のた
ズムを解明します。また動物モデルを用いて、健
めの戦略的基盤 構 築 への寄与が期待されます。
常の選好行動と薬物依存の行動とを脳神経活動
プロジェクトでは、現代 生物 学 的 手法を取り入
の観点から比較し、
共通点/相違点を理解します。
れ、さらに工学的手法の導入をはかりながら研
これらにより、観察者の自覚的な選好判断を予測
究を進めています。従来の方法では不可能であっ
することを可能にし、ニューラルフィードバックな
た超巨大分子量複合体群単離のための方法、お
よって、新規機能性炭素クラスターおよびそれを
用いた素子やシステムの機能・特性の検証を行
います。世界に先駆けて我が国においてフラーレ
ンやナノチューブの商業的生産が始まった今、我
が国で育った炭 素クラスターは、我が国のお家
芸である合成化学および電子顕微鏡技術などと
有機的に結合させることによって、次世代のエネ
ルギー、情報、医療分野などの科学技術の発展
に大きく貢献するものと期待されます。
プロジェクト事務所
〒 113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1
東京大学理学部 4 号館 4 階 1415 室
TEL:03-3815-1551 FAX:03-3815-1552
どの技術を新たな実験方法論として用いると同時
に、治療を含む生体工学的応用や教育訓練機器、
娯楽やゲームなどにも資することを目指します。
プロジェクト事務所
〒 243-0198 神奈川県厚木市森の里若宮 3-1
NTT 厚木研究開発センター内
TEL:046-290-5615 FAX:046-248-2911
Kato Nuclear Complex Project
さらには揺らぎと進化しやすさの関係を理論、実
知覚、記憶、運動、情動など広汎にまたがり、
多く、潜在過程については知見が少ない状況です。
Shimojo Implicit Brain Function Project
た、細胞の遺伝子発現を計測することにより、細
本
在的な(無自覚あるいは半自覚の)脳機能は
理解や視覚三次元的解釈などの自覚時のものが
スター化合 物の合成、
(2)これら化合 物 群の特
Nakamura Functional Carbon Cluster Project
Kaneko Complex Systems Biology Project
23
細胞が増え続けるための基本原理を探ります。ま
高次機能グループ
共鳴画像)などの先端技術を用いた脳研究は言語
機及び無機化合物と複合した新形式の炭素クラ
命の基本的複製過程や発生過程を作ることにより
核内シグナルクロストークグループ
ると考えられています。しかし fMRI( 機能的磁気
を付与する」という考え方を基 本におき、
(1)有
生命システムを理解する「複雑系生命科学」と、生
核内複合体グループ
脳機能全体で自覚的な脳機能よりも大部分を占め
て炭素に内在する性質を引き出し、新しい性質
の要素とシステムのダイナミックな相互関係として
には、人工的な自己複製系を構築し揺らぎの中で
潜
機 能 ベンゼン 誘 導 体が開 発されてきたよ
分子細胞生物学研究所 教授
研究グループ
嗜癖行動研究グループ
が期待できます。本研究では、
「化学の力によっ
らかになっていません。このプロジェクトでは、個々
東京大学
生物学部 教授
潜在感覚運動研究グループ
り、新機能を持つ活性 炭素クラスター群の出現
総体としてうまく働く仕組みについては、いまだ明
加藤 茂明
潜在聴覚処理研究グループ
ンゼンから化学合成の力によって各種の高
2009
研究総括
意思決定研究グループ
炭 素クラスターに精密 合成 技術を施すことによ
みあうにもかかわらず、生物が複製・適応・進化し、
2004
研究グループ
うに、フラーレンやカーボンナノチューブなどの
程は大きな揺らぎを伴います。揺らぎが膨大に絡
の普遍的性質の定量的理解を目指します。具体的
理学系研究科 教授
ナノ構造解析グループ
構成的生物学実験グループ
のレベルまでの各階層にまたがり、生命システム
カリフォルニア工科大学
デバイス創製グループ
構成的生物学理論グループ
法論を用い、分子レベル、細胞レベルから個体間
下條 信輔
機能素子グループ
複雑系ダイナミクス解析実験グループ
2009
研究総括
研究グループ
複雑系ダイナミクス解析理論グループ
普遍的性質を探る
「構成的生物学」という2つの方
2004
Dr.
Shigeaki Kato
研究総括
研究グループ
分
2009
加 藤 核 内 複 合 体 プロ ジェク ト
東京大学大学院
2004
Dr.
Shinsuke Shimojo
金子 邦彦
下 條 潜 在 脳 機 能 プロ ジェク ト
研究総括
Dr.
Eiichi Nakamura
2009
中 村 活 性 炭 素 クラスタープロ ジェク ト
2004
Kunihiko Kaneko
金 子 複 雑 系 生 命 プロ ジェク ト
Dr.
よび機器の開発に対しても外部研究機関と共同
研究を行い、学際的のみならず産業的にも新た
な領域の開拓を目指し研究を推し進めています。
プロジェクト事務所
〒 113-0032 東京都文京区弥生 1-1-1
東大分子細胞生物学研究所 核内情報研究分野内
TEL:03-5842-2211 FAX:03-5842-2212
Ongoing projects
24
末松 誠
同で研究を推進し両方の特長や分野を相互補完する
慶應義塾大学医学部 教授
ことによって、科学技術の新しい源流や技術シーズの
研究グループ
創出がより期待できるプロジェクトについては、国際
Dr.
2007
研究総括
北川 進
京都大学物質 - 細胞統合
バイオイメージンググループ
グレッグ セメンザ
ジョンズ・ホプキンス大学
細胞工学研究所 教授
融合細孔グループ
相手国側研究総括
オマール ヤギー
カリフォルニア大学
ガ
多
ス分子(O2、NO、CO、H2S、CO2 など)は、
地球の太古における単細胞生物が外界の環
境変化を感知する信号として利用してきたことが知
離材料や、環境の浄化用材料として広く使わ
いう新しい材料が現れ、高い機能性が期待され
脂質や糖質などと同様に生体の構成成分として生
ることから急激な発展を遂げてきました。配位高
物作用の発揮に重要な役割を果たしています。本
分 子(CP)とは、有機 配位子を金 属イオンに連
研究領域では、バイオシミュレーションを活用し
結して作られる無限骨格構造を有する化合物のこ
た代謝システム予測や、細胞内におけるガス分子
とです。我々は初めて、室温において内部のゲス
濃度解析などのマクロ的視点の研究と、細胞内に
ト分子を取り除いても安定な PCP を合成し、そ
おけるガス分子と代謝を促す分子(酵素)との結
の化合物がメタンを吸蔵、脱着できることを実証
合における分子構造の変化の解析など、代謝シス
しました。PCP は多様な有機配位子と金属イオン
テム内における化学反応の解明といったミクロ的
を用いる事によって、その細孔 壁の分子素子を
視点の研究を相補的に行い、ガス分子が介在する
自在に交換し、細孔の空間の大きさや細孔壁の
代謝機構の解明を目指します。さらに、代謝機構
性質を随意に制御して、上記の分子間相互作用
の解析により得られた知見を活用しつつ、酵素や
を多様に変えることが可能です。本プロジェクト
内特定部位での代謝作用におけるガス分子の役割
のより詳細な解明を進め、特定の臓器のガス分子
Suematsu Gas Biology Project
環境の人為的な制御・調節の実現といったガス分
子の特性を利用した病態制御技術の基礎を確立
し、がん研究や薬物代謝・毒性メカニズムといっ
た応用研究への端緒を得ることを目指します。
Kitagawa Integrated Pores Project
代謝変動の局在の細胞レベルでの精密な解析、体
Ongoing projects
孔性材料は、たとえば石油工業における分
れています。近年 多孔性 配位高分子(PCP)と
られていますが、現代の哺乳類においても蛋白質、
25
ロサンゼルス校 教授
Dr.
Omar M. Yaghi
相手国側研究総括
Dr.
多能性細孔グループ
Dr.
Gregg L Semenza
メディカルアプリケーションコアグループ
として、研究を実施しています。
システム拠点 副拠点長
研究グループ
ケミカルバイオロジーコアグループ
共同研究タイプの "ERATO international" プロジェクト
2012
Susumu Kitagawa
研究総括
ERATO プロジェクトの中でも、外国の研究チームと共
2014
北川統合細孔プロジェクト
2009
Makoto Suematsu
末松ガスバイオロジープロジェクト
E RATO i n t e r n a t i o n a l
の目的は、PCP の優れた機能 性をさらに高めな
がら、PCP を特 徴づける普遍的な構造、機能を
体系的に確立して様々な場において優れた機能を
発揮できる物質の開発を行うこと、その新 物質
によってこれまで想像もされなかった機能発現の
場を開拓することです。分離あるいは吸着といっ
た単独の機能を追及した物質を合成する段階から、
周囲の環境に応答したり、調和するといったより高
度で複数の機能を有する新物質の創造が可能にな
ると期待されます。
i n t e r n a t i o n a l
プロジェクト事務所
〒 600-8815 京都市下京区中堂寺粟田町 93 番地
KRP 3 号館
TEL:075-325-3571 FAX:075-325-3572
Ongoing projects
26
国内外の学会誌や国際シンポジウム等を通し
成 果の発 表を行います。
一 般の方にもプロジェクトの進 捗 状況や
2008
成 果の発 表を積極的に行っています。
2003
合原複雑数理モデル
東京大学生産技術研究所教授 研究総括
合原 一幸
腰原非平衡ダイナミクス
これまでに 104 プロジェクトの研究に着手し、
77プロジェクトが終了しました。
小林高機能性反応場
03
07
02
06
01
04
99
03
98
02
97
01
96
00
95
99
94
29,30
90
94
89
93
88
92
87
91
86
90 85
87 82
39,40
86
81
前田 雄一郎
筋肉中でアクチンフィラメントは固定長の構造体として存在し筋収縮とその調節を担います。一般の細胞ではアクチンの重
合・脱重合の循環的分子運動が細胞運動を駆動し、多くの細胞機能を担います。蛋白質アクチンが見せるこれら多彩な挙動
をアクチンフィラメントの構造とその揺動から解明し、私たちの蛋白質理解を深めたいというのが私たちの研究目標です。
本プロジェクトでは(1)新しい構造解析法を編み出してアクチン重合体の高分解能構造をはじめて解明し、重合に伴って
アクチン分子は平板化することを発見しました。(2)アクチンフィラメント端の構造を解明するためのクライオ電子顕微
鏡法を開発し、それを使って蛋白質 CP(キャッピング・プロテイン:CapZ)がフィラメント端での重合・脱重合を調節す
るメカニズムを解明しました。このように本プロジェクトは蛋白質の繊維状会合体の構造解析法を開発しつつ、原子構造を
解明し、さらにその構造に基づいてアクチンフィラメントの作動原理を解明する研究で重要な貢献をしています。
2002
大野半導体スピントロニクス
東北大学電気通信研究所教授 研究総括
大野 英男
半導体において電荷とスピンの両方を制御するため、新たなスピン現象の探索とそれらを利用した半導体スピントロニ
クス素子の開発を進めています。第一に、強磁性半導体(Ga,Mn)As においてパルス電流による磁壁移動を低電流密
度で実証し、その機構がスピン流と局在スピンの相互作用によること、および磁壁のクリープ運動が、パルス電流と磁
界駆動とでは異なった普遍性(Universality)に属することを明らかにしました。第二に、
(In,Mn)As および(Ga,Mn)
As チャネルの電界効果型トランジスタで、保磁力の電界制御と電界アシスト磁化反転を実証しました。これらは将来の
電気的磁化反転技術として発展が期待されます。第三に、GaAs/AlGaAs 量子井戸内で電子スピンを光で操作・検出し、
超微細相互作用の電界変調を利用した核スピン分極の制御、
rf パルス磁場照射で生じるラビ振動の光検出、
スピンエコー
法による核スピンの局所的位相緩和時間の決定を行いました。これにより核スピンコヒーレンスの利用に道が開けます。
八島超構造らせん高分子
名古屋大学大学院工学研究科教授 研究総括
八島 栄次
DNA やタンパク質などの生体高分子には、らせん状のものが数多く存在し、生命の維持に重要な役割を果たして
います。本プロジェクトでは、「生命の機能発現の鍵となるのは「らせん」であり、分子や高分子にらせんを付与
できれば、生体高分子に迫る、あるいはそれを越える機能を引きだせる」という基本構想のもと、らせんの形を
した新しい分子や高分子を次々と合成し、その形と物性、機能との相関を調べ、化学と生命科学の境界領域の開
拓を目指しました。DNA の情報機能とタンパク質の触媒機能をあわせ持つ分子の合成を意図し、触媒活性のある
相補性の鎖を有する右巻き二重らせん分子を合成し、そのオリゴマーによる DNA 類似の完璧な鎖長と配列の認識
に成功しました。また、高分子が二重に絡まりらせん構造を形成することで、丈夫な高分子ができることを実証
する一方で、らせんの形や向きを顕微鏡を使って直接観る方法の開発にも成功しました。
Dr.Eiji Yashima
Projects completed
37,38
88 83
西澤完全結晶
緒方ファインポリマー
増本特殊構造物質
林超微粒子
黒田固体表面
吉田ナノ機構
稲場生物フォトン
宝谷超分子柔構造
後藤磁束量子情報
国武化学組織
古沢発生遺伝子
西澤テラヘルツ
水谷植物情報物質
増原極微変換
榊量子波
池田ゲノム動態
青野原子制御表面
外村位相情報
新海包接認識
鳥居食情報調節
永山たん白集積
木村融液動態
岡山細胞変換
伏谷着生機構
野依分子触媒
吉村パイ電子物質
吉里再生機構
柳田生体運動子
板谷固液界面
河内微小流動
広橋細胞形象
橋本相分離構造
田中固体融合
山本量子ゆらぎ
35,36
89 84
2007
名古屋大学大学院理学研究科構造生物学研究センター長/
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻教授 研究総括
Dr.Hideo Ohno
95
水野バイオホロニクス
91
早石生物情報伝達
96
33,34
掘越特殊環境微生物
92
31,32
前田アクチンフィラメント動態
Dr.Yuichiro Maeda
前田アクチンフィラメント動態
ページ
97
00
高井生体時系
山元行動進化
平尾誘起構造
高柳粒子表面
御子柴細胞制御
土居バイオアシンメトリ
加藤たん白生態
舛本単一量子点
月田細胞軸
横山情報分子
井上光不斉反応
川人学習動態脳
堀越ジーンセレクター
難波プロトニックナノマシン
井上過冷金属
五神協同励起
近藤誘導分化
楠見膜組織能
北野共生システム
大津局在フォトン
黒田カイロモルフォロジー
細野透明電子活性
横山液晶微界面
樽茶多体相関場
関口細胞外環境
小池フォトニクスポリマー
相田ナノ空間
今井量子計算機構
柳沢オーファン受容体
吉田ATPシステム
中村不均一結晶
十倉スピン超構造
山本環境応答
審良自然免疫
八島超構造らせん高分子
大野半導体スピントロニクス
小林高機能性反応場
腰原非平衡ダイナミクス
合原複雑数理モデル
研究プロジェクト
28
93
05
Dr.Shu Kobayashi
研究期間
27
小林 修
グリーンケミストリーの推進は人類の存続と発展に不可欠であり、今世紀の化学の最重要課題です。本プロジェ
クトでは、化学反応が起こる 場 を精密にデザインすることで反応場に高度な機能を付与し(高機能性反応場の
構築)、これを活用した高効率かつ環境調和型化学プロセスの構築を目指しました。「水溶液中での有機合成反応」
と「高活性かつ回収再使用可能な固定化触媒」の基礎研究から開始し、完全水中における高選択的な不斉合成反応、
種々の高機能性高分子固定化触媒およびそれらを用いる環境調和型酸化反応や省資源型還元反応等を実現しまし
た。その結果、省資源・省エネルギー・環境保全型化学プロセスの構築に大きく貢献し、本プロジェクト最終年
度からは、これらの成果を基盤とした実用化研究「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発プ
ロジェクト(経済産業省)」がスタートしています。
08
34
東京大学大学院理学系研究科教授 研究総括
Dr.Shin-ya Koshihara
創造科学技術推進事業および
98
腰原 伸也
物質の「非平衡状態」を利用して超高速相スイッチなど新機能を持つ物質を開拓する研究を行いました。これまで
に有機電荷移動錯体の光誘起相転移を基にした超高速光スイッチ材料と鉛フリーの電気歪素子材料の開発指針を発
見する大きな成果を得ました。また原子・電子等の量子的粒子やその集団の「動き」を直接観測すれば、「百聞は
一見にしかず」の言葉通り、物質科学全体に格別の発展をもたらすと考えられます。そこで、外からの刺激に高速
で変化・応答する電子や原子の動きを捕まえるために、放射光施設の量子ビーム技術とピコ秒領域の超高速光技術
を組み合わせた、新たな「超高速分子動画観測装置」の建設とその利用技術を開発しました。この装置を用いて、
強相関系と呼ばれる新物質群の光誘起相転移現象解明の他にも、生理活性ガス分子の移動に伴うたんぱく質分子中
でのドミノ倒し的変形の解明や、溶液中光化学反応のダイナミクスの解明などに大きな成果を達成しています。
戦略的創造研究推進事業 ERATO 型研究では、
終了プロジェクト
東京工業大学フロンティア研究センター 教授/
東京工業大学大学院理工学研究科教授 研究総括
Dr.Kazuyuki Aihara
実在する複雑な諸現象を理解するためには、普遍性・一般性を追求する分野横断的基礎理論と個々の現象の個別性・
特殊性への洞察に立脚した、非線形システム的理解が重要となります。本プロジェクトでは、数理工学やカオス工学を
基礎に、非線形科学、生命科学、医学、情報科学、工学などの諸分野と関連する「複雑数理モデル」に関する基礎理
論を構築して、その多様な応用研究を展開するとともに、その結果をさらに基礎理論研究にフィードバックすることに
より、
「複雑数理モデル」論の数理的体系化を目指して研究を進めました。特に、1) 複雑系および脳型コンピューティ
ングの基盤技術の研究開発、2) 複雑システムの非線形解析理論とその解析ツールの研究開発、3) 細胞内および細胞集
団システムの複雑数理モデリング手法の研究開発に重点的に取り組みました。今後も本プロジェクトで構築した基礎理
論を基盤として、様々な応用数理研究の発展を目指しています。
Projects completed
28
2005
審良自然免疫
大阪大学免疫学フロンティア研究センター拠点長 /
大阪大学微生物病研究所教授 研究総括
審良 静男
十倉スピン超構造
東京大学大学院工学系研究科教授 /
産業技術総合研究所強相関電子技術研究センター長
総括責任者
Projects completed
1999
樽茶多体相関場
東京大学大学院理学系研究科教授 総括責任者
樽茶 清悟
電子を微小空間に入れると「電荷をもつ量子」としての姿が現れ、そこでは 1 個単位で電子状態を識別・操作
することができます。プロジェクトでは、半導体の微小構造を作り、電子の量子力学的性質、特に低次元系
特有の相関現象、外界の粒子(原子核、フォノンなど)
との相互作用、量子計算の物理を探究しました。研究
では、原子に類似の単一量子ドット(人工原子)、それを複数個結合した人工分子を作り、電子数を零から順に
増やした時の電気伝導の変化を調べることによって、人工原子におけるフント則の一般性、人工分子におけ
るパウリ効果、分子的電子状態の存在などを検証しました。また、電子スピン状態を厳密に制御することに
より、数々の多様な近藤効果を発見し、人工原子の近藤物理の世界を拓きました。さらに、スピン交換結合
制御や単一電子スピンの読み出し実験に成功し、スピン量子計算実現へ道を開きました。
独立行政法人産業技術総合研究所ナノテクノロジー研究部門長
総括責任者
横山 浩
「液晶のナノテクノロジー」を目指して、ナノスケールの界面環境と液晶の自己組織性との協奏が生み出す、分子集団の多様な高次
構造の世界を開拓し、その形成機構の解明と人為的制御による新規な機能の発現に取り組みました。探索的実験と理論・シミュレー
ションの連携を横軸に、そして微細加工・分析(トップダウン)
と合成・統合(ボトムアップ)からのアプローチの連携を縦軸にした
分野横断的な研究開発によって、これまでに例のない「三安定液晶デバイス」の実現から、光や電場で構造が大幅に制御でき、フォ
トニックデバイスに応用が期待される液晶コロイド(液晶を媒質とした微粒子分散系)の学理の発展、液晶の集団秩序を生かした分
子モーターの実現、さらに微界面コンセプトに基づく分子設計による新規なナノ構造液晶相の発見と分子論の展開など、科学と技
術にわたるナノ構造液晶の将来性を明示する、多くの先導的な成果を挙げることができました。ナノ構造液晶に関するこれらの成
果は、電気光学デバイスの枠を超えて、生命現象の分子的理解とその利用にも新たな展開をもたらすものと期待されます。
Dr.Hiroshi Yokoyama
29
Dr.Masashi Yanagisawa
私達はオーファン受容体(そのリガンドが不明であり生理機能が明らかでない受容体)のリガンドハンティン
グを精力的に押し進め、1998 年には食欲や睡眠の制禦に関連する新規の神経伝達物質オレキシンを単離・同
定しました。本プロジェクトでは、このオレキシンの遺伝子欠損マウスを用いた研究により、突然深い眠りに
陥る睡眠障害ナルコレプシーがオレキシンにより改善されることを明らかにしました。また、オーファン受容
体の GPR103 に対する内在性のリガンドの同定にも成功し、このリガンドが食欲、血圧調節などに関与してい
ることを明らかにしました。さらに、オーファン受容体の GPR7 に対する新規のリガンドとして NPB ならびに
NPW(ニューロペプチド B ならびに W)を単離・同定し、遺伝子欠損マウスの解析からこれらのペプチドがエ
ネルギー代謝やストレス、喜怒哀楽の感情制禦などに重要な役割を果たしている事を明らかにしつつあります。
関口 清俊
私たちの身体を構成する細胞は、周囲の細胞外マトリックスと呼ばれる構造物との相互作用を通じて、その運命
や挙動を決めています。本プロジェクトでは、細胞ごとに最適化された細胞外マトリックスの分子的実体を解明
し、それを生体外で再構築するための基盤づくりを目指しました。その結果、トランスリプトーム情報を活用し
て細胞外マトリックス蛋白質を網羅的に探索する方法を初めて確立し、40を超える新規細胞外マトリックス蛋
白質を同定しました。また、細胞外マトリックスの中核となる基底膜に着目し、ほぼすべての基底膜蛋白質の
生体内局在部位を網羅的に解析して、その結果が高解像度の免疫組織染色画像のまま閲覧できる世界初のデー
タベースを構築しました。さらに、細胞外マトリックスを構成する蛋白質の総体を表す マトリオーム と概念を
提唱し、細胞外環境設計に基づく新しい細胞制御研究の領域を開拓しました。
横山液晶微界面
柳沢 正史
大阪大学蛋白質研究所教授 総括責任者
Dr.Seigo Tarucha
テキサス大学サウスウェスタン医学研究所教授/
ハワードヒューズ医学研究所研究員 総括責任者
Dr.Masasuke Yoshida
生物が行う代謝反応の基幹である「ATP システム」の分子機構を生化学、タンパク質化学、遺伝子工学、1分
子観察と1分子操作などの方法を駆使して解明することを目指しました。研究により、FoF 1 ─ ATP 合成酵素の
回転と触媒反応の対応が明らかになりました。更に、ATP 合成酵素には、細胞内の ATP 濃度を感知して合成
速度を制御する仕組みがあるらしいことを見出しました。また、細胞内の酸性小胞でプロトンポンプとして
機能している V 型 ATP アーゼが、回転モーターであることを証明しました。一方、植物の ATP 合成は、光合
成反応とリンクした酸化還元反応を利用して制御されていることを示しました。これらの研究は、人、植物、
細菌など広範な生物におけるエネルギー代謝の制御に係わる分子機構・細胞生理および代謝メカニズムの解
明、環境応答ナノ分子マシーンの開発、エネルギー代謝の病態等の理解へ貢献する重要な基礎を築きました。
柳沢オーファン受容体
2004
吉田 賢右
小池 康博
Dr.Kiyotoshi Sekiguchi
東京工業大学資源化学研究所教授 総括責任者
関口細胞外環境
Dr.Shuji Nakamura
吉田ATPシステム
慶應義塾大学理工学部教授 総括責任者
「フォトニクスポリマー」とは、ポリマー物質学と光学を融合することにより生まれた新しい光機能性ポリマー
のことを言う。光の偏波またはフォトンが、高分子の鎖やその集合体、高次構造、更に巨大な不均一構造と
どのような関わりを有するかをその起源まで遡って検討することにより、既存の概念では予測し得なかった
新機能を創出し、それらの基礎研究を基に、光通信等のフォトニクス分野において、新しいシステムを構築
しうるフォトニクスポリマーを提案し、実証している。家庭内にギガビット超の高速通信をもたらす GI 型プ
ラスチック光ファイバ、及び高精細ディスプレイ材料に大きな変革をもたらすゼロ複屈折性ポリマー並びに
光散乱ポリマー導光体等が実用段階にまで至っており、更に高精細・大画面ディスプレイに直接超高速 GI 型
プラスチック光ファイバが繋がれた Fiber To The Display システムの実現へ向けた研究を進めている。
中村 修二
青色LED
(発光ダイオード)
の材料として知られているGaN系半導体は、GaAsなどの従来の結晶と比較すると、
均一結晶を得るのが困難でした。また、結晶の不均一性が大きいにもかかわらず極めて発光効率が高いとい
う特徴がありましたが、その物理メカニズムは未解明のままでした。本プロジェクトでは、これらの課題を
解決することで、従来の青・緑・白色LEDの特性を大幅に改善し、本格的な固体照明の到来をもたらす技術
を生み出しました。以下に成果の概要を記します。 ○ アンモノサーマル法によるバルクGaN結晶成長法への端
緒を拓きました。 ○ 従来の GaN 系半導体材料では利用されていなかった非極性・半極性面での高品位結晶成
長技術を確立し、次世代LED、レーザーダイオードへの道を拓きました。 ○ GaN系半導体材料における非輻
射中心の起源解明など、この材料系の物理的理解を深めることで、幅広いデバイス設計への指針を与えました。
相田 卓三
Dr.Yasuhiro Koike
カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授 総括責任者
小池フォトニクスポリマー
Dr.Yoshinori Tokura
中村不均一結晶
東京大学大学院工学系研究科教授 総括責任者
通常、分子は多様な相互作用の環境に置かれていますが、雑多な相互作用の呪縛から解放すると、全く新しい性
質が見えてくるかもしれません。本プロジェクトでは「分子間相互作用を高度に制御することにより、分子のも
つ特性を引き出し、新たな機能を導く」という基本戦略のもとに、化学と他分野の境界領域を開拓することをめ
ざしました。有機・無機を問わず、一義的に定まった空間に分子を孤立させるための道具としての特異なナノ空
間の構築と機能開拓をねらって、ナノスケールの空間の新しい使い方を探索し、デンドリマーやメソポーラスシ
リカを対象とした研究を精力的に展開する一方で、超分子グラファイトナノチューブなど独自のモチーフを構築
し、カーボンナノチューブのソフトマテリアル化に成功し、また超分子グラファイトナノチューブによる分子ソ
レノイドの可能性を提案するなどナノマテリアルデザインへの新しい道標を築くことができました。
十倉 好紀
固体中で強く相互作用する電子集団は、波動関数の強い重なりを保ちつつも、原子サイトまわりになかば局在
して、スピンや軌道のナノメートル周期の秩序構造を示し、これらは、しばしば、量子論的な興味深い性質を
現出します。本プロジェクトでは、このようなスピンおよび軌道超構造体の示す特異な電気磁気応答の研究に、
理論、物質、物性開拓の統合的な観点から取り組みました。その結果、互いに傾いたスピン集団が示すカイラ
リティに起因する巨大な電気磁気効果や異常磁気電流効果、スピンと分極の組み合わせとしてのトロイダル
モーメントが誘起する特異な電磁波応答といった新現象・物性を発現させることに成功しました。さらに、遷
移金属酸化物の超格子作製技術による興味深い電磁応答を示すスピン超構造体を設計・開発する一方、電子線、
放射光 X 線、中性子散乱といったさまざまな手法を用いた機能性スピン超構造の計測にも成功しました。
今井 浩
Dr.Takuzou Aida
遺伝子改変マウスを利用して、低酸素環境に応答して赤血球を増産するメカニズムについて、遺伝子レベルで
解明を進めています。また、有害な化学物質(「親電子性物質」)に対する防御系酵素遺伝子の誘導発現を促進
する転写因子 Nrf2 を発見し、Nrf2 が発がん予防に関与することを明らかにしました。Keap1 は Nrf2 の抑制
性制御因子であるが、同時に環境ストレスのセンサー分子です。Keap1 タンパク質の結晶構造を解明し、ま
た、一部のヒト肺がん細胞から Keap1 機能に重大な変化を及ぼす変異を検出したので、Nrf2 と Keap1 の構造
機能連関の解明に取り組んでいます。さらに、薬剤によりゼブラフィッシュに多数の突然変異を惹起し、Nrf2Keap1 経路に異常のある変異フィッシュの同定を進めています。それらの原因遺伝子を究明することにより、
新規環境応答遺伝子の発見を目指しています。
2001
相田ナノ空間
山本 雅之
Dr.Masayuki Yamamoto
2006
東北大学大学院医学系研究科教授 /
筑波大学大学院人間総合科学研究科 客員教授 研究総括
東京大学大学院情報理工学系研究科教授 総括責任者
Dr.Hiroshi Imai
山本環境応答
今井量子計算機構
本プロジェクトは将来をささえる新情報技術基盤の研究・技術開発を遂行することを目指して発足しました。その結果、量子計算・量子情報処理
の分野で多くの重要な成果を挙げることに成功しました。たとえば、従来のコンピュータでは不可能であった、確率1でリーダーの選出を行う問
題について、それを可能にする量子計算を用いたアルゴリズムの性能の評価を行いました。また、量子計算機は量子回路の組み合わせからなるも
のですが、その回路図の設計指針を与える研究を行ないました。そしてどのような問題で量子計算機が従来の計算機の性能を上回るかについて研
究しました。また、量子計算機が実現した場合、現在の暗号システムが解読可能となることが知られています。そのような状況でも安全となる量
子暗号に注目し、その150kmの伝送実験を行ないました。理論面では量子暗号においてノイズに紛れた盗聴を不可能にするための符号化法につ
いて研究しました。さらに、これらの量子効果の源泉である量子エンタングルメントの定量化についても研究し、このテーマと量子状態を用いた
通信との関連を明確にしました。同時に、生成されたエンタングルメント状態の精度を検証する方法について研究し、その最適化にも成功しました。
Dr.Shizuo Akira
病原体の生体内侵入を感知し排除する生体防御システムである免疫系は、自然免疫系と獲得免疫系から成り立っ
ています。これまでに自然免疫系は非特異的な免疫反応として注目されていませんでした。しかし最近、Toll-like
receptor(TLR:Toll 様受容体)が病原体に特異的な構成成分の認識に重要な役割を果たしていることが明らかとな
りました。本プロジェクトでは、1)TLR の役割、及び TLR の病原体認識特異性が、どのように細胞内シグナル
伝達機構により制御されるかを遺伝子欠損マウスを用いて明らかにしました。2)TLR 非依存性 RNA ウイルス感
染認識機構として RIG-I / MDA5 という分子の役割を明らかにし、そのシグナル伝達に必要な分子 IPS-1 を同定し
ました。また、ウイルス DNA も TLR 非依存的に認識されていることを明らかにしました。このように、本プロジェ
クトは自然免疫系による病原体認識メカニズムの解明において重要な貢献をしています。
2000
Projects completed
30
2002
細野透明電子活性
東京工業大学フロンティア創造共同研究センター教授 総括責任者
細野 秀雄
大津局在フォトン
東京工業大学大学院総合理工学研究科教授 総括責任者
1996
川人学習動態脳
エイ・ティ・アール計算論的神経科学プロジェクトサイバーヒューマンプロジェクトリーダー
総括責任者
川人 光男
計算論的アプローチ、心理学・非侵襲脳活動計測、神経生理学モデリング、ロボティックスの4つの手法を有機的に
組み合わせ、学習、思考、コミュニケーションなどのヒト脳の高次機構を計算論的に解明することを目指した。その
結果、ヒト小脳内内部モデルの存在証明、平衡位置制御仮説と内部モデル仮説の統合、インピーダンス制御の実験的
証明、大脳皮質・大脳基底核・小脳の統一学習モデル、階層多重順逆モデル対によるコミュニケーションの研究、下
オリーブ核のカオスによる低発火頻度符号化等の新しい成果が得られた。また、理論を計算の観点から実証するため、
ヒューマノイドロボットを開発、見まね学習、前庭動眼反射、平滑性眼球運動などの実装に成功した。さらに、階層
強化学習の実証として、起き上がりロボットを開発した。これらの研究は、脳の仕組み解明に新たなパラダイムを与
えるだけでなく、その成果が、リハビリテーションやロボット制御といった様々な応用に繋がることが期待される。
大阪大学大学院工学研究科教授 総括責任者
井上 佳久
医薬などキラル化合物のニーズの高まりを背景に、光を用いる新規不斉合成法の開発と、光不斉反応を制御す
るための指導原理の解明を目指した。その結果、円偏光のみを物理的不斉源とする絶対不斉合成では Bonner
らによる「宇宙におけるホモキラリティー創成仮説」
を支持する知見を得、また、多光子過程を利用した絶対
不斉合成にも成功した。光不斉増殖系では、「光不斉反応の多次元制御」による光学収率の飛躍的向上(従来
の 7%から 100%を達成)
と「光不斉反応のエントロピー制御」という新概念を提案した。超分子を用いる光不
斉合成でも、最高 41% の光学収率を得るとともに、キラル化合物の絶対配置の新決定法の開発に成功した。
これらの成果は、従来のエンタルピー化学から、弱い相互作用を制御するエントロピー化学への発展とその
応用に結びつくと期待される。
Dr.Yoshihisa Inoue
Projects completed
Dr.Hisato Kondou
31
堀越 正美
私達の身体は遺伝子 DNA の遺伝情報に基づいて形作られますが、「細胞内において染色体 DNA からどのようにして遺伝子が読み出され
るか?」という機構に関しては多くの謎に包まれています。本プロジェクトでは、染色体構造をとっている遺伝子 DNA の特定領域を選
択して遺伝情報の読み出し(転写)を制御する蛋白質「ジーンセレクター」を単離し、その作用を解明する研究を行いました。その結果、
ヒストンのアセチル化修飾を介して染色体がグローバルに機能区分されるという、これまで全く考えられなかった遺伝子発現の制御機
構を発見することに成功しました。また、ヒストンアセチル化酵素・脱アセチル化酵素に代表される正・逆反応酵素の活性中心付近に
機能的な共通モチーフ構造を見出しました。さらに、
「ジーンセレクター」の機能変異実験を通して、多細胞生物で知られているアポトー
シス様の細胞死が単細胞生物においても存在することを発見しました。これらの成果は、いずれもオリジナルな概念に基づいて新仮説
を構築することを目指したものであり、その結果、このような多くの新しい「芽」を多岐の研究分野に生みだすことに成功しました。
井上光不斉反応
近藤 寿人
1個の受精卵から体ができるまでの発生のプロセスは、細胞間の相互作用がくり返され、そのたびに新しい分化が誘導されて次の相互作用
をひきおこすという連綿としたものであり、また柔軟性に富んだものです。細胞分化とその誘導の分子機構について、それらの基本的なモチー
フと変容、そのモチーフをちりばめるプロセス全体の骨格を明らかにする研究を展開しました。メダカなどの小型魚を用いて発生にかかわ
る多彩な突然変異体を沢山つくり、それらを手がかりとして個々の分子機構とプロセスの全容を明らかにする挑戦です。分化機構の主要モ
チーフである Wnt 蛋白質を介した細胞間シグナルについては、分子生合成から分化制御に至る一貫した研究を実施し、また発生の柔軟な性
質を反映する組織再生機構の研究では、トランスジェニックイモリなどを使った新しい研究を行いました。これらの研究成果は特に脳の領
域形成という具体的な課題の中に結実して、新しい発生像をもたらしています。この発生像は今後私達の健康の諸問題にも貢献することを
期待します。メダカという日本で育まれた実験動物を駆使して新たな研究を展開できたのも、ERATO のプロジェクトに相応しいものでした。
東京大学分子細胞生物学研究所助教授 総括責任者
Dr.Mitsuo Kawato
大阪大学大学院生命機能研究科教授 総括責任者
Dr.Akihiro Kusumi
細胞が、多細胞生物の中で他の細胞と相互作用して機能するためには、細胞膜が可塑的で多機能なシステム
として働くことが必須であるが、その構築原理と作働機構の多くは未解明のままでした。本プロジェクトでは、
1分子ナノテクノロジー技術を用いて、細胞膜の組織化の機構と人工の素子や機械にはない可塑性による細胞膜
の多機能化の機構の解明を目指しました。その結果、細胞膜の機能発現を制御する細胞膜コンパートメント化
の仕組み/働きを解明し、細胞膜上でのシグナル変換システムの基本的なアルゴリズムの理解を深めること
ができました。これらの成果は、細胞と多細胞社会の構造形成機構の新しい概念を樹立し、さらに、可塑的
な多機能素子の設計に指針を与えるものと考えられます。特に、細胞膜上の情報変換システムの理解が進み、
バイオメディカル分野、生命科学分野に根本的な影響を与えると期待されます。
近藤誘導分化
2001
楠見 明弘
難波 啓一
Dr.Masami Horikoshi
名古屋大学大学院理学研究科教授 総括責任者
堀越ジーンセレクター
Dr.Hiroaki Kitano
楠見膜組織能
大阪大学大学院生命機能研究科教授 総括責任者
細菌の運動機関であるべん毛は、2 0 数種類の蛋白質からなる分子機械で、細胞壁にあるモーターがプロトン
の流れをエネルギーとして、菌体外に長く伸びたらせん型スクリューであるべん毛繊維を回転させて推進力
を発生させている。研究により、フックやべん毛繊維を構成している蛋白質の構造を原子レベルで解明しま
した。この構造を基にべん毛がそのらせん形態を変える時に原子1個の精度で働くスイッチ機構や、柔らかく
曲がるがねじれには強いフックの仕組みを解明しました。電子顕微鏡本体の改良と画像処理ソフトウエアの
改良で4Åの分解能を達成し、べん毛蛋白質の重合部を解明し、またべん毛尖端部の構造を明らかにし、キャッ
プと呼ばれる部品がべん毛が自己構築されるのを助ける様子を解明しました。さらに、べん毛モータの回転
計測を行い、回転角速度のゆらぎを観測できました。
北野 宏明
生命現象は、多くの多様性をもった構成物の巧妙な相互作用から成り立っている。このような系を、単なる複雑系で
はなく、各々の要素の「共生系」と捉え、その理解方法の探求を行った。これを、細胞や個体発生のレベルで探求する
システムバイオロジーと、知能・行動レベルでその工学応用・産業展開を目指した共生系知能の二つの方向で研究を
行った。その結果、システムバイオロジーという新たな学問分野の勃興に大きな貢献をし、その中でモデル表現言語
SBML やロバストネスに関する一連の理論・実験研究など、幾つかの重要な技術的・理論的枠組みを確立した。これ
らの成果はこの分野が急速に発展する源となりつつある。共生系知能の分野では、人間型ロボットにおける音環境理
解や複数感覚融合などの先端的技術を確立すると共に、ロボットデザインという分野を開拓し、商業化への道筋をつ
けた。この結果、プロジェクトのスピンアウトとして、ロボット・ベンチャーが2社誕生し順調に成長している。
井上 明久
Dr.Keiichi Nanba
(株)
ソニーコンピュータサイエンス研究所取締役副所長 総括責任者
難波プロトニックナノマシン
Dr.Motokazu Ohtsu
北野共生システム
東北大学金属材料研究所所長・教授 総括責任者
通常の金属は融点以下では直ちに結晶化するが、特定成分(3 経験則)の金属では過冷却液体が安定化することを見出してきており、本プロジェクト
はこの過冷却金属液体(過冷金属)の高安定性の極限と機構を探求し、新たな物質科学の創出と新規な機能を持った金属材料の創製を目指した。そ
の結果、3 経験則を満たした合金では、(1)高稠密充填、(2)新局所原子配列、(3)長範囲均質相互作用の特徴をもった新ガラス構造が生成され、
この新規原子配列構造が結晶への再配列を起こし難くして、過冷却液体が安定化することを明らかにした。相変態の観点からも安定化の機構解明を
図り、安定化した金属―金属系過冷金属の初期析出相は 20 面体局所原子配列を含む準安定な fcc-Zr2Ni 型相であるが、3 経験則をはずす元素を少
量添加すると初期析出物は正 20 面体準結晶となり、常に 20 面体的原子配列が関係していることを見出した。また過冷金属の究極の安定化には合
金成分、不純物が主要因子であることを証明し、新規な Fe 基、Co 基、Ni 基、Cu 基、Ca 基、Mg 基等のバルク金属ガラスやナノ結晶合金などを創
製した。これらは、光学用部品、光通信用部品、電磁気部品、フレーム材、精密研磨部品、スポーツ部材、装飾品などとして実用化されてきている。
大津 元一
従来の光科学技術では光の回折によりその空間分解能は光の波長程度に制限されます(回折限界)。この限界
の打破のために、本プロジェクトは近接場光を研究し、その応用としてのナノフォトニクス(近接場光を媒介と
したナノ寸法物質間の局所的電磁相互作用を利用してナノ寸法の光デバイスを作製し、動作させる技術)とナ
ノフォトニクス(近接場光を使った原子操作技術)を開発しました。まず量子力学的な物理量をも矛盾なく記述
できる近接場光理論を構築しました。次にナノフォトニクスではナノフォトニクスイッチなどのデバイス、ナノ光
化学気相堆積などの加工法などを開発しました。さらにアトムフォトニクスでは原子の偏向、誘導、捕獲、移動、
解放などの方法を開発しました。これらの成果は光科学技術のパラダイムシフトを実現すると供に、ひろい応
用を通じて 2 1世紀の高度情報化・高度福祉社会に貢献するところが大きいと期待されます。
五 神 真
Dr.Akihisa Inoue
「カイロモルフォロジー(chiromorphology)」は、chiral(左右非対称性)
とmorphology(形態)
を融合させた造語で、ミ
クロからマクロへの形態形成のプロセスをキラリティーという切り口で探るという新しい概念を表現しています。
分子カイロモルフォロジー研究では、従来、不可能だった固体状態でのすべての偏光現象を測定できるUniversal
Chiroptical Spectrophotometer(UCS)2 機種を開発し、それらも駆使して、固体状態におけるキラルな環境の創生、
反応、結晶化制御、キラリティーの識別と転写等、固体状態でのキラリティー研究への道を開くことができました。
生物カイロモルフォロジー 研究では、胚発生のごく初期に母親の遺伝子で決まる巻貝 L.stagnalis のキラリティー決定
機構の解明を目指しました。その結果、らせん卵割過程において遺伝的に決まる右巻胚に特徴的な細胞骨格ダイ
ナミクスがキラリティー決定に重要であり、左巻胚とは鏡像対称にないという、従来の定説を覆す発見をしました。
1998
井上過冷金属
黒田 玲子
Dr.Reiko Kuroda
2003
総括責任者
東京大学大学院工学系研究科教授 総括責任者
Dr.Makoto Gonokami
黒田カイロモルフォロジー 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系教授
五神協同励起
レーザー光と物質の相互作用を巧みに利用すると、物質系のランダムな熱運動を取り去り、極低温の世界のように集
団の量子現象が顕在化する状態が出現します。本プロジェクトでは、最新のレーザー技術を駆使して、光励起を経由
してこのような物質相を創りだす方法を開拓すると共に、新しい物質相の物性と機能を探求しました。原子気体から
半導体、有機化合物、遷移金属酸化物に至る広い物質系を対象とし理論実験両面から研究を進めました。アルカリ土
類原子のスピン禁制遷移を利用したレーザー冷却法を開拓し、常温からわずか100ミリ秒で数百ナノケルビン台の極低
温の原子気体を得る技術を確立しました。また、半導体における電子正孔系の多体量子相関による光制御機能の解明、
電子正孔凝縮相の実現、モット絶縁体である一次元銅酸化物系の巨大非線形光学効果の発見などの成果が得られまし
た。これらは多体系の量子物理学と次世代の光技術の両面にとってブレークスルーにつながるものと期待されます。
Dr.Hideo Hosono
酸化物は、資源的に豊富で、大気雰囲気で安定であり、環境にやさしい化合物群である。こうした酸化物のもつ光学的透明性とい
う本来的な特徴を生かしつつ、そのアクティブな電子機能を探求することを目標に研究を行った。特に、層状化合物、ナノポーラ
ス化合物など自然ナノ構造を内蔵する化合物に着目して材料の探索を行い、「広範囲に亘って電子キャリヤの制御可能な複合酸化物
(InGaO3
(ZnO)
m」
「p 型高伝導率化合物
(LaCuOSe)」、
「紫外透明伝導体
(Ga2O3)」、
「真空紫外透明ガラス
(フッ素ドープシリカガラス)」、
「光
誘起で導電体化する透明典型金属酸化物(C12A7:H-)」、「活性酸素を大量に含んだ化合物(C12A7:O-)」、「室温・大気中で安定なエ
レクトライド」などの機能性化合物を見出すことに成功した。さらに、
「反応性固相エピタキシャル法」
と名付けた独自の方法などにより、
それら化合物の高品質エピタキシャル膜を育成し、
「紫外発光ダイオード」、
「高性能透明薄膜トランジスタ」、
「O- ビーム発生装置」、
「深
紫外光ファイバー」などの新機能デバイスを試作し、「透明酸化物エレクトロニクス」の新しいフロンティアを開拓した。
1997
Projects completed
32
1999
横山情報分子
東京大学大学院理学系研究科教授、理化学研究所主任研究員 / ゲノム科学総合研究センタープロジェクトディレクター
総括責任者
横山 茂之
舛本単一量子点
筑波大学物理学系教授 総括責任者
1993
山本量子ゆらぎ
米国スタンフォード大学教授、NTT 基礎研究所主席研究員 総括責任者
山本 喜久
本プロジェクトでは、量子論のより深い理解と量子状態の人工的な制御を目指した研究を行なってまいりました。量子光学、
メゾスコピック物理、操作マイクロスコピーの実験技術を発展させることで、光子・電子・原子の波動関数を量子レベルで
制御する新概念の創出と実験による実証を目指しました。 光の量子状態制御としてスクィーズド光を発生する TJS 形半導
体レーザの開発および、光子を 1 つずつ発生する単一光子ターンスティル素子と単一光子を 90%以上の量子効率で検出で
きる固体ホトマル素子の開発に成功しました。半導体中の 2 次元電子ガスを用いて 2 電子の衝突を実現し、衝突による出力
電流雑音の抑圧を観測しました。これにより、電子がフェルミ粒子であることに起因する 2 電子の量子干渉効果を実験によ
り実証しました。量子井戸微小共振器内のエキシトン・ポラリトンの振動現象を解明すると共に、エキシトン・ポラリトン
の誘導放出現象を実証しました。また、単一原子接合を STM 探針で実現し、クーロンブロケード振動を観測しました。
(株)東芝研究開発センター研究主幹 総括責任者
田中 俊一郎
固体の接合などで界面が形成される過程を原子および原子集団の大きさで動的に解明し、界面近傍における諸現象お
よび界面物性とともに形成支配因子を把握し、融合界面を設計・制御する可能性を探りました。研究の結果、セラミッ
クス接合時の原子の振る舞いを透過型電子顕微鏡で直視することに成功し、接合過程を支配する素反応や融体の濡れに
先行する原子層の存在を初めて明らかにしました。半導体の界面では金属や絶縁層との電位障壁高さを制御しその分布
を nm の分解能で画像化しました。界面近傍に残留する応力や歪の分布を最小 25nmの領域で実測し界面電子構造や
機械強度への影響を把握しました。従来困難であった A、Wなどの易酸化性金属超微粒子の生成と移動・回転・融合お
よび埋込操作などを電子線照射法で可能にしました。これら研究結果は、界面形成素過程解明だけでなく界面が規定
する諸特性の改善に寄与し、界面設計・制御の手法を提言して新規素子創製や材料設計に役立つ可能性を示しています。
Dr.Shun-ichiro Tanaka
Projects completed
Dr.Katsuhiko Mikoshiba
33
高井 義美
多細胞生物の個々の細胞は、外界からの刺激を受け、それぞれの局面において果たすべき役割を正しいタイミングで遂行し
ています。私たちはこのタイミングを決定する機構を『 時系制御(バイオタイマー)』と呼び、その解明を試みました。まず、
低分子量 G 蛋白質が中核的なバイオタイマーであると考え、この分子の機能と作用機構を解析し、その結果、その新しい活
性制御因子を見出すと共に、細胞の接着、運動、分泌、遺伝子発現等の低分子量 G 蛋白質による時系制御機構を解明しました。
一方、全く新しい細胞間接着機構を発見し、この機構が cadherin 系との関係の基に細胞間接着形成を時・空間的に制御し
ていることを示しました。また、神経シナプスに局在する多数の新しい分子を見出し、これが神経シナプス接着分子や神経
伝達物質受容体をシナプスに効率よく集積させ、記憶学習の時系制御に関与していることを明らかにしました。これらの成
果から、複雑な細胞機能の制御機構とその異常に基づく種々の疾病の病態が分子レベルで理解されることが期待されます。
田中固体融合
御子柴 克彦
細胞内セカンドメッセンジャーとしてのカルシウムの働きは多岐にわたるので、本プロジェクトではできるだけ幅広く受精、卵割、発生から神経細胞の成長、分化、
神経系における情報伝達と高次機能など広範囲の研究を行い、その結果、アフリカツメガエル胚の背腹軸の形成に関するイノシトール3燐酸受容体(IP3R)を
介した細胞内カルシウムの機能、同受精卵での IP3 誘発カルシウム放出による細胞表層構造の制御、ニワトリ胚での細胞内カルシウム放出による神経成長制御
機構の解明、IP3R とその結合タンパクとの分子間相互作用、IP3R1 型欠損マウスにおける小脳の長期抑圧の欠損と海馬 CA1、CA3 領域の長期増強の増加、リア
ノジン受容体によるシナプス可塑性と行動・学習の調節など多くの成果を得た。カルシウムの機能全体からみれば、最も基本的な部分を解明したことになるが、
このような基礎研究の積み重ねによりいずれは全体像が明らかにされるであろう。その意味で、本プロジェクトにおける研究成果は脳の高次機能をはじめとす
る生命現象の本質を解き明かすのに大きく貢献するものと考えられ、また得られた成果は種々の疾患や外傷により傷ついた神経の再生、てんかんのような脳機
能障害の病因の解明、記憶のメカニズムの解明、卵割から発生に至る分子機構の解明による発生医学の発展など今後の展開が期待できると思われる。
大阪大学大学院医学系研究科教授 総括責任者
Dr.Yoshihisa Yamamoto
東京大学医科学研究所教授、 理化学研究所脳科学総合研究センター・グループディレクター 総括責任者
Dr.Hirofumi Doi
生命における非対称性を指標にして、様々な生物種で、各種の生命現象を解析しました。哺乳類の初期発生
における非対称性の出現を遺伝子レベルから探るために、マウス初期胚で発現している約 25000 個の cDNA
の部分塩基配列を決定し、胚の体軸形成に関連する遺伝子や約 4000 の新規遺伝子を見い出しました。また、
非対称分裂をする出芽酵母を用いて、酵母の老化過程で変動する mRNA を DNA マイクロアレイ法を用いて同
定し、同方法を支援、解析するソフトウエアを独自開発しました。さらに、古細菌、線虫、分裂酵母を用いて、
非対称分裂や非対称分配などに関わる新規遺伝子を見い出しました。また、ゲノム情報のもつノンランダム
性に基盤をおいた新しい理論を構築しました。これらの成果はポストゲノム時代を担う新しい考え方を提示
するものと思われます。
御子柴細胞制御
1998
土居 洋文
山元 大輔
Dr.Yoshimi Takai
総括責任者
高井生体時系
Dr.Seishi Kato
土居バイオアシンメトリ セレスター・レキシコ・サイエンシズ(株)代表取締役社長
早稲田大学人間科学部人間基礎科学科教授 総括責任者
このプロジェクトでは、キイロショウジョウバエの配遇行動異常突然変異体を作成し、その原因遺伝子をク
ローニングしました。遺伝子の構造解析をすすめるとともに、形質転換やモザイク解析等を行い、分子間相
互作用がいかにして個体の行動へと繋がっていくのかを研究しました。また地域特異的に特殊化を遂げたハ
ワイ産ショウジョウバエの同胞種群の研究を通じて、種分化の契機となった配遇行動制御遺伝子の進化を探
りました。この研究は、行動異常を伴う遺伝子疾患の発症機構を理解する糸口を与えるとともに、行動の人
為的制御による害獣害虫の防除といった応用の道をひらくものとして期待されます。
加藤 誠志
細胞を構成している未知の蛋白質ネットワークを解明するために、ある特定の活性を手掛かりに蛋白質を探索す
るという従来のアプローチではなく、まず機能未知の蛋白質をそろえてから、それらの機能を探索するというア
プローチを試みました。すなわち、ヒト完全長 cDNA バンクを出発材料にして、新規 cDNA がコードしている蛋
白質をインビトロ翻訳や細胞内発現によって実際に手にした後、それらの蛋白質の細胞内局在部位の決定や相互
作用する蛋白質の探索を通じて新しい蛋白質ネットワークを見つけていくというやり方です。その結果、細胞周
期を制御している新しい蛋白質修飾経路、転写機構に関る新しい核蛋白質複合体、細胞内蛋白質の新規糖鎖修飾
など、新しい蛋白質ネットワークを見つけることができました。本プロジェクトによって試行されたアプローチ
は、ポストゲノムシーケンス時代の分子細胞生物学研究において威力を発揮することが期待されます。
平尾 一之
Dr.Daisuke Yamamoto
(財)相模中央化学研究所主席研究員 総括責任者
山元行動進化
Dr.Yoshiaki Masumoto
加藤たん白生態
京都大学大学院工学研究科教授 総括責任者
ガラスなどの非晶質材料は内部構造の自由度が大きいため、電場・磁場・光などの外部場によって新たな構
造が誘起され、これまでにない様々な機能の発現が可能になるものと期待されます。本プロジェクトは、こ
のような誘起構造の形成技術の探索と発現機能の追求、および誘起構造の理論設計を目指して研究を進めま
した。その結果、フェムト秒・超短パルスレーザ光の集光照射により、ガラス内部の任意の位置に屈折率変化・
イオン価数変化・結晶化・分極配向などの永続的な構造変化が誘起されることを見出しました。さらに、こ
れらの構造変化を利用して、光導波・光メモリ・波長変換など様々な光機能を持つ三次元素子が得られるこ
とを明らかにすると共に、超高速の光誘起光スイッチを実現するなど、将来の超高速・大容量光情報処理技
術をガラス材料で実現する道を拓きました。
舛本 泰章
数ナノメートルサイズの半導体微結晶は量子点を構成し、かつ表面の割合が高いため、外界の影響の強い特徴的な量
子現象を示すと考えられます。しかしサイズ分布のため、量子サイズ効果の精密な測定や新しい現象の発見が妨げら
れてきました。本プロジェクトでは、高い空間分解能のレーザー分光法を用い、単一の半導体量子点の本質を明らか
にする研究を行いました。その結果、量子点中の多励起子状態やフォノン緩和を明らかにし、量子点のデバイス応用
の障害とされた問題について原理的な解を得ました。サイズ、濃度、配列を制御するⅢ - Ⅴ族半導体量子点作製技術
も開発しました。さらに、重水素終端ポーラスシリコンの長寿命発光や Eu 珪素酸化物の白色発光、光学活性イオンドー
プⅡ - Ⅵ族半導体ナノ結晶の高効率発光など、発光デバイスへの応用が期待される結果も得ました。「量子点は埋め込
まれているホストと一体として理解される」
という考えは、今後も量子点の本質的概念となると考えられます。
高柳 邦夫
Dr.Kazuyuki Hirao
細胞が極性を形成するのは、個体発生における形作りの色々な場面でみられます。それぞれの細胞が極性形成、すなわち細胞内
の部品をある方向に向かって配置する場合、それぞれの細胞は基本となる細胞軸を、自らの中に持っていると思われます。この
様なすべての細胞に普遍的な座標軸を、細胞軸と呼びます。この軸の分子的基盤は何かについて、種々の生物の系で解析を行い
ました。特に緑色蛍光タンパク質GFPを用いて、軸が変化する場合に何が、どのように動くかを調べたのが、この研究の特色
であります。中心体に付属する PCM-1 タンパク質より成る、中心体へ集積する全く新しい細胞内オルガネラの発見、癌抑制遺
伝子産物APCの微小管に沿った運動の可視化、ショウジョウバエ多核性胞胚におけるカドヘリン - カテニン接着系のふるまい
のライブ観察などの結果は、これまでなかった新しい動的な考えが細胞軸研究には必要であることを示した、画期的なものです。
また、酵母を用いたアンフォルジンの同定と解析は、細胞軸の決定に全く新しいタイプの機能が必要なことを示しました。
1995
平尾誘起構造
月田 承一郎
Dr.Shoichiro Tsukita
2000
京都大学大学院医学研究科教授 総括責任者
東京工業大学大学院総合理工学研究科教授 総括責任者
Dr.Kunio Takayanagi
月田細胞軸
高柳粒子表面
物理学者ファイマン教授は、日進月歩するコンピュータで 125 個の原子からなる記憶ドットを夢見ました。物質が
1mm の百万分の一の大きさであるナノメートルスケールになるときに、表面効果によってあぶりだされる新現象や
新構造について探索を行いました。超高真空電子顕微鏡に走査型トンネル顕微鏡を組込んだ新装置を開発し、ナノメー
トルの太さの金属ナノワイヤを作成し電子伝導が量子化されていることを示しました。また、金ナノワイヤの原子配
列の電子顕微鏡観察から、金属ナノワイヤがカーボンナノチューブや DNA と同じように螺旋構造をもつことを示し
ました。さらに、金原子が一列に並んだ中空に浮かぶ鎖を作ってみせ、金属といえどもナノスケールでは絶縁体に変
わりうることを理論的に示しました。シリコンでもナノ粒子の生成、あるいはナノワイヤの生成を試みるなど、固体
結晶とは全く異なる構造や性質を有する粒子表面物質実現へ向けての未知の領域を切り開くことができました。
Dr.Shigeyuki Yokoyama
生物の複雑で多様な情報を処理する高度な情報処理システムとしての面に着目し、遺伝情報分子および細胞情報分子の改変により、新しい人工
情報処理システムを構築することを目的として研究を行いました。核酸合成酵素によって選択的に認識される非天然型の新規核酸塩基対(x-y)
を創製した。x を鋳型 DNA に組み込み転写反応を行うと、RNA の x に相補的な位置に選択的に y が取り込まれた。x-y 塩基対を含む新たなコド
ン - アンチコドンにより遺伝暗号を拡張し、mRNA の特定したコドンに対応させて非天然型アミノ酸をタンパク質に導入できた。非天然型アミ
ノ酸(3- ヨードチロシン)
を選択的にサプレッサー tRNA に結合させる酵素変異体を創製し、無細胞系および培養細胞系において、タンパク質中
の任意の位置に 3- ヨードチロシンを取り込ませることができた。リン酸化 3- ヨードチロシン部位に選択的に結合する結合タンパク質 SH2 ドメ
イン変異体を創製した。本研究により、生物における情報分子の作用機構の解明に貢献することが出来、遺伝情報分子および細胞情報分子を統
合した生体内での人工情報処理システム構築への基盤が出来ました。今後全く新しいプロテインエンジニアリングの開拓が期待出来ます。
1994
Projects completed
34
1996
橋本相分離構造
京都大学大学院工学研究科教授 総括責任者
橋本 竹治
河内微小流動
東京大学先端科学技術センター教授 総括責任者
広島大学理学部教授 総括責任者
木村融液動態
科学技術庁無機材質研究所総括無機材質研究官 総括責任者
木村 茂行
融液は単結晶材料の合成の中間段階として用いられます。融液の処理によっては材料の品質が大きく変わり
ます。本プロジェクトではシリコン融液の奇妙な挙動をテーマとして取り上げました。研究の結果、融点
(1415℃ ) の近くで融液の熱膨張率が異常に大きくなることや、ある種の不純物添加で異常が消えることがわ
かりました。表面張力や粘性係数にも異常が見られました。X線によって融液の構造を調べた結果、原子間
に特殊な力が働いていて、これが不純物により妨害されることなどを解明しました。融点近傍の膨張率異常
は融液の流体力学的挙動にも影響を与え、成長する結晶の中の酸素濃度に響きが大きいだけでなく、大型シ
リコン結晶の引き上げに際して成長界面近くに乱流領域ができるきことを立証し、シリコン結晶の将来技術
に一石を投じる結果になりました。
東京大学教養学部教授 総括責任者
永山 国昭
たん白質は、生命の基本物質として生体構造の組み立てと活動機能の両方に役立っています。たん白質はお
互いに相手を認識し、自律的に集合し、大きな構造体を作り上げます。生物が持つこのすぐれたモノ作りの
原理を「人間の工学」に応用する研究を進めました。その結果、たん白質の自己集積化技術に関して新しい展
望が開けました。具体的には i )超分子(複合蛋白質)の作成、ii )たん白質2次元集積体および微粒子2次元
集積体の作成、iii )たん白質の凝集制御に新しい方法を見出しました。また固体、液体表面の微粒子集積、
簿膜作成の新しいその場観察法を開発しました。たん白質や微粒子を2次元的に集積し、結晶的構造体を作
るには「液体薄膜」という作業空間がすぐれていること、この発見がプロジェクト最大のメッセージです。
Dr.Kuniaki Nagayama
Projects completed
Dr.Katsutoshi Yoshizato
35
1990
永山たん白集積
吉里 勝利
動物の体には、損傷を受けた部分を再生したり、新しい環境に対応して変態したりする能力があります。本
プロジェクトは、再生・変態を動物の姿・形の再構築としてとらえ、細胞外マトリックスと呼ばれる物質の
役割に焦点を当てながら、動物のもつ高次な組織形成の機構を解明し、さらに組織・器官を人工的に再構築
する技術の探索を行いました。研究では、カエル幼生の組織構造転換やイモリの四肢再生に関わる遺伝子群
の解明、肝臓の幹細胞や毛パピラ細胞の培養法の確立、インスリン分泌性人工皮膚による糖尿病マウスの実
験的治療、組織タンパク質を網羅的に記載したデータベースの作成などの成果が得られました。これらの成
果を踏まえて、人工臓器や動物代替法に関するバイオテクノロジーの開発や損傷した体を元通りに復元する
医療技術の発展に、新たな展開をもたらすことができました。
岡山 博人
Dr.Shigeyuki Kimura
吉里再生機構
Dr.Toshio Yanagida
筋肉など生体運動を担う生体分子は熱ノイズレベルの小さなエネルギーで機能しています。これは熱エネルギーの
数百倍のエネルギーをつぎ込んで正確かつ高速に作動させるコンピュータなどの人工機械素子とは対照的です。そ
こで生体分子 1 個の動作を直接高分解能で測定する技術を開発し、その生体分子の特性の解明を目指してきました。
その結果、生体分子 1 個が滑り運動したり、化学反応をしたり、機能している様子を直接可視化することに成功し
ました。また生体分子 1 個を生きたまま捕まえ操作することも出来るようになりました。そして個々の分子を見る
と生体分子モーターはエネルギーの入力に対して決まった力学応答をするのではなく、状況に応じて多様な応答を
することが分かりました。このようにして人工機械にはない生物分子機械のアルゴリズムが明らかになってきまし
た。またこの間開発してきた 1 分子計測技術は新しい生物学を創ってゆくブレークスルーになるものと期待されます。
東京大学医学部教授 総括責任者
細胞の増殖と分化をうまく行うことによって、単細胞生物は生存の可能性を高め、多細胞生物は個体発生を
行います。このプロジェクトでは分裂酵母ならびに哺乳動物細胞をモデル生物として、増殖と分化を制御す
るマスタースイッチ、すなわち、分化の開始機構と細胞周期の制御機構の解明を目指しました。研究では、
1 0 数種の新しい制御因子を発見し、新しい分化制御シグナルの存在、常数分裂サイクルと減数分裂サイク
ルの開始制御機構、細胞周期のチェックポイントセンサー機構、哺乳動物のDNA損傷によるGI期チェッ
クポイント機構の根幹を明らかにしました。それによって細胞の癌化機構の解明に重要な手がかりを得るこ
とができました。
1995
柳田 敏雄
伏谷 伸宏
Dr.Hiroto Okayama
大阪大学基礎工学部、医学部教授 総括責任者
岡山細胞変換
Dr.Kingo Itaya
柳田生体運動子
東京大学農学部教授 総括責任者
海の生物の多くは、その一生において、卵から孵化した幼生が浮遊生活後、岩などに付着、続いて変態して
幼体となる着生という過程をもちます。この海に特有な現象のメカニズムを化学情報伝達の面から解明を試
みました。まず、ムラサキイガイなど4種類の幼生の飼育に成功するとともに、幼生の付着行動を詳細な画
像解析や新たに開発した生体内カルシウム濃度イメージング法などで解析し、多くの新知見を得ることがで
きました。一方、幼生細胞の分画と電気生理との組み合わせにより、新しい細胞機能解析の途を開きました。
フジツボについては、化学信号の認識、神経系と二次メッセンジャーを介する情報伝達による付着行動の開始、
セメント物質の分泌および変態という一連の情報の流れと機能発現をほぼ明らかにできました。また、さま
ざまな着生誘起・阻害物質を単離・構造決定しました。
板谷 謹悟
固体と液体とが接する「固液界面」で起る種々の物理及び化学過程を、主として液体中走査トンネル顕微鏡
(STM)を駆使することにより原子・分子のレベルで理解し、もってその諸過程を原子レベルで制御すること
をねらいました。このため、ます第一に原子レベルで規定され、しかも清浄な各種金属及び半導体表面を液
体中に露出する方法を確立しました。原子レベルで規定された「固液界面」で起るハロゲンイオンの特異吸着、
硫酸アニオンの吸着構造、さらには有機分子の吸着構造を STM 並びに超高真空 - 電気化学複合装置により決
定する事に成功しました。さらに金属、半導体表面上で起るエッチング反応の動的過程の観察にも成功し、
「固
液界面」で起る物理・化学過程の機構を原子・分子レベルで解明する事を可能としました。これらの成果は応
用上においても極めて重要であるばかりか、学問的にも新しい研究分野を開拓した事になります。
野依 良治
Dr.Nobuhiro Fusetani
東北大学工学部教授 総括責任者
伏谷着生機構
Dr.Keiji Kawachi
板谷固液界面
名古屋大学理学部教授 総括責任者
物質の性質や機能はその構成分子の純度に重大な影響を受けます。したがって、キラリティを含めあらゆる
観点から同一の化合物を純粋に合成することはすぐれた物質の創製の基本であります。このプロジェクトで
は完全化学反応の実現にむけた分子触媒の開発を目指しました。その結果、多くの有機化合物の完全水素化
反応に有効な力量ある不斉ルテニウム触媒の開発に成功し、生理活性物質や機能性材料の合成に必要な光学
活性化合物の革新的合成技術を確立しました。さらに分子触媒の概念を高分子合成に展開して重合反応を完
全に制御することができました。また、超臨界流体を反応触媒とする高速かつ高生産性の分子触媒応を開拓
して、新たな化学技術の萌芽を提示しました。これらの研究成果は、分子触媒反応が次世代の化学技術の基
幹となり得ることを明確に示すものです。
河内 啓二
微小な生物の飛行や泳ぎのメカニズムの解明を行いました。これらの運動の多くは、運動器官がその目的だけに
進化しているため、その形状や作動原理を解明しやすいのです。メートルのサイズの生物や機械は、翼や鰭の断
面が美しい流線形をしていて、揚力を利用して運動しています。ミリメートルのサイズの昆虫では、非常に薄く
ギザギザで反りのついた翼断面が使われ、この形状の翼の性能がこのサイズでは優れていることを確かめました。
また、はばたき運動特有の急加減速運動と後流中の渦のふるまいを利用して、大きな流体力が発生できます。さ
らに小さなサイズでは、揚力(翼)
は利用せず、パラシュートのように抗力を利用して運動しています。このよう
に生物はそのサイズにふさわしい運動メカニズムを採用し、与えられた環境を上手に利用していることが明らか
になりました。将来開発が期待されている微小な機械類の設計にも、この視点が重要であると思います。
吉 村 進
Dr.Ryoji Noyori
細胞のとる形態には細胞の増殖と分化を制御し、その構成する多細胞社会である組織の構築と維持に関わる
豊富な情報が凝縮されています。本プロジェクトは、細胞のとる形態を細胞の機能と多細胞社会の秩序を総
合的に表現するものと捉え、これに関わる遺伝子や機能分子の探索および機能の解明を進め、さらに研究を
効率よく進めるために新しい実験技術や細胞の三次元観察法の探索と開発を行いました。研究では、CT 技術
を光学顕微鏡に応用した生きた細胞の三次元観察法の開発、細胞の形態情報に基づいて形態に関わる遺伝子
探索が効率よくできる実験技術の開発、組織構築に重要な細胞間接着分子の新規遺伝子の同定や動態の解析、
癌の転移性に深く関わる培養系での癌組織の再構築モデルの確立や遺伝子の単離などの成果が得られました。
これらの成果は分子病理学と呼べる新たな学問分野の発展に大いに貢献するものと期待されます。
1992
野依分子触媒
広橋 説雄
Dr.Setsuo Hirohashi
1997
国立がんセンター研究所副所長 総括責任者
松下技研(株)
専務取締役新素材研究所長 総括責任者
Dr.Susumu Yoshimura
広橋細胞形象
吉村パイ電子物質
私たちは、古来人類の友であった炭素材料を新素材として蘇らせようとの思いで、固体中にπ電子の広がり
が存在するために起こる諸現象を基礎的に解明し、新機能を生み出す研究を進めてきました。この研究によ
り、グラファイトを代表とする種々の新パイ電子物質が極めて低い温度で合成され、パイ電子空間での規則
的な重合反応あるいは生体細胞の活性化などが観察されました。また、パイ電子物質と金属・半導体・金属
酸化物・ガラス・高分子・生体細胞など多くの物質との相互作用を制御することにより、新機能の発現、パ
イ電子デバイスの提案が可能になりました。近い将来に、ここで得られた低温合成炭素材料に基づく電子デ
バイス、たとえば、高容量2次電池、太陽電池、発光素子、ディスプレイデバイスなどの実現が可能になる
ものと思われます。
Dr.Takeji Hashimoto
分子が自然の仕組みに従い秩序構造を形成する過程(自己秩序化過程・相形成過程)に、何らかの人為を加え
ることにより新しい機能をもつ非平衡構造の構築を研究のねらいとしました。この為に「大きな構造がゆっく
り変化する」高分子系やコロイド系をモデルに選び、それらの相転移に伴う自己秩序化過程を探究し、その階
層性を解明しました。具体的には種々の散乱法によるフーリエ空間での構造解析法と種々の顕微鏡法による
実空間解析法を併用し、数 nm ∼ 数μm に至る広い空間スケールで実空間・実場解析すると共に、測定法の新
たな開発も行いました。得られた成果を一般的な非線形時間発展方程式に基づいたシミュレーションにより
理論解析し、その数理物理学的意義も明らかにしました。これらの研究により、高分子混合系、ブロック共
重合体、ゲル、コロイド系の非平衡構造の制御法とその新材料創製への道が拓けたものと期待します。
1991
Projects completed
36
鳥居食情報調節
味の素(株)
中央研究所主席研究員 総括責任者
1992
外村位相情報
(株)
日立製作所基礎研究所主管研究長 総括責任者
外 村 彰
理化学研究所主任研究員 総括責任者
榊量子波
東京大学先端科学技術研究センター教授 総括責任者
榊 裕 之
Projects completed
九州大学工学部教授 総括責任者
国武 豊喜
このプロジェクトでは、精密な分子組織を人工的に創り出すために自己組織能をもつ化合物を設計し、分子
レベルの精密さをもつ新しい材料を探索することを目指しました。研究では、水面単分子膜において水素結
合が有効な分子認識の手段となることを発見するとともに、走査トンネル顕微鏡や表面力測定装置を用いて
エピタキシャル重合や分子間相互作用の新しい現象を見出しました。さらに、分子鋳型法を新たに開発し、
ポリマーシリケートや金属酸化物超簿膜の多層フィルムを初めて創り出しました。これらの2次元ポリマー
や分子組織性セラミックスは新機能材料として期待されます。
1991
1986
後藤磁束量子情報
神奈川大学理学部教授 総括責任者
後藤 英一
磁束量子は、情報処理の観点からみると、高速動作が可能、熱の発生が極めて少ない、空間を介した回路結
合が可能という特性を秘めています。本プロジェクトでは、この磁束量子が情報信号の媒介となりうるか、
さらには回路化、高集積化することにより超高速コンピューターとして使えるかについて探求しました。研
究により、パラメトロンの原理をもとに超伝導回路内の磁束量子に変化を起こさせる素子(磁束量子パラメ
トロン)
を作成し、これを用いた回路で、16GHz の超高速スイッチング動作等を実現しました。さらに、磁
束量子パラメトロンに適したコンピューターアーキテクチャの構築、レーザ光掃引による極微弱磁場環境の
実現など、超高速情報処理体系の実現の手掛かりを得ました。
Dr.Eiichi Goto
37
Dr.Hiroyuki Sakaki
10 ナノメートル程の微小な半導体構造中に電子を閉じ込めると、その波(量子波)
としての性質が強く現れま
す。本プロジェクトでは、量子波を自在に制御するための技術を探索し、新しい物性や機能を創出してエレ
クトロニクスの新次元を切り拓くことをねらいに研究を進めました。特に、エピタキシーの高精度制御や超
清浄エッチングなどにより、ナノメートル寸法の量子細線や量子箱構造の形成を可能としました。作製した
量子細線では閉じ込められた電子の特異な性質を実証し、さらにトランジスタ機能なども示しました。また、
量子波の共鳴や干渉、散乱などを制御した種々のデバイスの可能性も明らかにしました。有機分子簿膜の量
子箱的な側面の解明と応用も試みました。この研究は、新機能素子や超高速素子の実現を通じ、電子工学の
新分野を拓くものと期待されます。
古 沢 満
Dr.Toyoki Kunitake
1988
国武化学組織
Dr.Joh-E Ikeda
1993
第一製薬(株)取締役、分子生物研究室長 総括責任者
生物の初期発生過程における形態形成と、生殖細胞の分化を支配する遺伝子の探索および制御機構の解析
に重点を置いて研究しました。研究では、先ず、超微量の DNAを簡単に増幅・取得する方法、異なった組
織・細胞間の微妙なDNA構造の差を認識して単離する方法や、完全なmRNAカタログを作成する為の均一化
cDNAライブラリーの作成、正常な機能・性状を持つ不死化細胞株の樹立法等の応用範囲の広い技術を開発
しました。さらに、これをもとに研究を進め、アフリカツメガエルの初期生殖細胞で発現している vasa-like
遺伝子や、マウスの始原生殖細胞に特異的に発現している新しい転写制御因子遺伝子を発見したり、マウス
の脳に特異的に DNA 一次構造変異が起こっていること等を見出しました。また、進化についても考察し、新
しい不均衡仮説を提唱しました。
池田 穰衛
ヒトゲノムを研究対象とし、ヒトゲノムに記載されている多くの生命情報のなかから、高次の生命活動の一
例であるヒトの精神活動にかかわっている遺伝子やゲノム構造とこれらの機能の関係を把握するための "Geno
SPHERE" の解明を研究主題としました。本プロジェクトの研究遂行体制の一つの特色として、研究グループ
の一つをカナダ・オタワ市に設置しました。研究では、精神活動にかかわる未知の遺伝子単離に必要な新し
い手法の開発、生物機能の予測および計測システムの開発を行いました。さらに、これらの手法を用いて、
精神活動異常を随伴する遺伝性神経・筋疾患の原因遺伝子と周辺領域に存在する全遺伝子を単離しました。
西澤 潤一
Dr.Mitsuru Furusawa
東海大学総合医学研究所教授 総括責任者
古沢発生遺伝子
Dr.Masakazu Aono
池田ゲノム動態
東北大学学長 総括責任者
「電波」と「光」の中間に位置するテラヘルツ(一兆ヘルツ)領域では、半導体素子構造は分子・原子レベルの
単位の微細化が要求されます。このため、電子の平均自由行程よりも小さな半導体結晶中の電子の挙動、光
と格子振動の相互作用や量子効果についての解析およびそれらの制御方法の検討を行いました。研究では、
光励起分子層エピタキシャル成長技術などにより、理想型静電誘導トランジスタ
(ISIT)やタンネットダイオー
ドの試作を行いました。また GaP 半導体ラマンレーザで 300mW という超低しきい値発振の実現と、これら
による光ヘテロダイン復調実験にも成功しました。さらに、1.4THz で 500V/W の検出感度のショットキー・
ダイオード等のテラヘルツ帯回路素子や広帯域光ファイバー通信の実現の手掛かりを得ました。
青野 正和
原子を一個の単位で操作する様々な技術の開発、その基本となる物質機構の解明、そしてそれらの応用につ
いて研究を行いました。これらの研究により、走査トンネル顕微鏡(STM)
の探針を用いて、原子一個を「引き
抜く」、「与える」ための技術とそれらをリアルタイムで検出する方法を確立し、STM 探針による単原子操作
の物理機構を理論と実験の両面から解明しました。また、STM 像の理論計算法を確立し、シミュレーション
による安定原子配列の理論的予測を可能にしました。さらに、STM 探針先端における化学反応を利用したり、
探針先端の構造と組成を制御することによって試料表面に異種原子を一個ずつ連続供給する方法も開発しま
した。その他、有機分子を構造単位として持ち、室温で動作するシングル・エレクトロン・トランジスター
を可能にする基礎実験に成功するなど、新規な人工物質、デバイスの実現に手掛かりを得ました。
西澤テラヘルツ
Dr.Jun-ichi Nishizawa
青野原子制御表面
1987
Dr.Akira Tonomura
電子は、小さな領域を観察する有力な手段です。本プロジェクトでは、電子の持つ波の性質を利用して物質
の構造や性質を計測する技術、いわゆる電子干渉計測を、より高度な汎用性の高いものに発展させるととも
に、それを様々な物質の計波に応用する研究を進めました。その結果、液晶パネルを用いたリアルタイムホ
ログラフィ、200 分の 1 波長以下の位相変化を検出できる位相シフト干渉法、電磁場の三次元分布計測法な
ど、いくつかの新しい干渉計測技術を確立しました。また、これらの技術を用いて、磁区・磁壁の変化の動
的な観察、生体物質の無染色正焦点観察、空間磁場の三次元計測、収差補正による分解能の向上などの応用
計測を実現しました。こうした基礎、応用にわたる研究により、電子干渉計測に新たな展開をもたらすこと
ができました。
水谷 純也
Dr.Junya Mizutani
1989
北海道大学農学部教授 総括責任者
植物は自らの意志で動けないので化学物質により他の動植物から自分を守ったり、他を攻撃していると考えられま
す。プロジェクトでは、この生物間相互作用において情報をやりとりしている化学物質
(植物情報物質)の探索とそ
の作用・生成機構、生態系における振舞いなどについて探求しました。研究では、植物の防御機構に関与している
誘導性抗菌物質や摂食阻害物質などを多数見いだし、その動態と機能について検討を行いました。また、葉面に着
生している細菌が植物二次代謝産物のケイ皮酸を抗菌性スチレンに変換していることを確認し、新しいエコシステ
ムモデルを提唱しました。さらに遺伝子レベルにおける生態化学的役割についても検討を行い新しい知見を得まし
た。この他、昆虫へのマイクロダイアリス法の適用や植物情報物質の導入に有用な小型微粒子銃の開発などを行い
ました。これらの研究から、自然の理にかかった新たな農薬・医薬等の開発や 産業面への応用が期待されます。
Dr.Seiji Shinkai
1994
水谷植物情報物質
新海 征治
生体の認識系に比肩できるような人工的な認識システムを構築することにより、物質が物質を識別するメカ
ニズムを解明することを目指しました。そのツールとして環状化合物カリックスアレーンを 利用した研究に
より、特定の金属や分子に対する高選択的・高効率の包接認識メカニズムが明らかにされ、その成果は、例
えば高精度 Na センサーやフラーレン精製法などの創製に寄与しました。また、各種のフェニルボロン酸化
合物を利用して、従来より困難であった糖質の認識機構の解明にも挑戦し、特定の糖、あるいはその光学異
性体も識別しそれを読み出すことのできる全く新しい糖質識別システムを創り出しました。 この成果は、複
雑な生体系の探究に大きな手がかりを与えるものと期待されます。
増 原 宏
Dr.Hiroshi Masuhara
九州大学工学部教授 総括責任者
大阪大学工学部教授 総括責任者
化学反応は、極めて細かい時間スケールでみれば、いくつもの過渡的な段階の組み合わせであり、空間的に
も界面層や液滴などの微小な反応場で起こっています。本プロジェクトでは、レーザー光パルスが化学反応
のエネルギー源、制御手段として有効に活用し得る点に着目し、微小領域の化学反応をレーザーで制御しな
がら進めていく手法を探求しました。研究では、種々の微細加工技術によるマイクロ反応場の創製法を提案し、
そこで起こる化学反応をマイクロメートル・ピコ秒の分解能で計測する極微分光法を開発しました。さらに、
微小領域の物質を自由自在に操るレーザーマイクロマニピュレーションの手法を確立しました。これらの手
法を駆使する事により、微小領域に特有なマイクロ化学現象を明らかにすると共に、数多くの微小反応場を
時間的、空間的に構成し高選択性、高効率の物質変換システムを構築する手掛かりを得ました。
Dr.Kunio Torii
生命現象の中の脳による生体恒常性維持機構について、液性、神経性両面より明らかにすべく、無麻酔無拘
束条件下で研究を実施しました。研究では、生体が欲求する栄養素を量的質的に評価するエペラント行動観
察装置を開発し、脳内の欠乏栄養素認知部位の測定にあたっては in vivo 用の MRI 装置を立ち上げました。
これらの機器を駆使して、特定栄養素欠乏動物や代謝性疾患モデル動物が特定栄養素を選択摂取し生体恒常
性を維持することを観察し、欠乏栄養素の脳内での認知部位を世界で初めて MR 画像として捉えました。また、
栄養素欠乏に対して適応する際に脳に可塑的変化が生じること、適応に神経栄養因子であるアクチビンが深
く関与していることを明らかにしました。これらの結果は代謝性疾患での栄養療法により生体恒常性のリハ
ビリテーションの可能性を示していると考えます。
新海包接認識
増原極微変換
鳥居 邦夫
Projects completed
38
1987
宝谷超分子柔構造
帝京大学理工学部教授 総括責任者
宝谷 紘一
東北大学電気通信研究所教授 総括責任者
稲場 文男
1985
吉田ナノ機構
(株)
ニコン専務取締役 総括責任者
東京大学理学部教授 総括責任者
掘越特殊環境微生物
東京工業大学工学部教授、理化学研究所主任研究員 総括責任者
1983
早石生物情報伝達
(財)
大阪バイオサイエンス研究所長 総括責任者
緒方 直哉
高分子物質のうち、ポリアミド、ポリエステルなどの縮合系ポリマーを主な対象として、ポリマーに力学的
機能、分離機能及び電気的機能など特異な機能を付与することにより、高度な付加価値を持った高分子材料
の創出をねらいとしました。このため、分子設計をもとに単分子膜状ポリマーの合成及び分子量分布の制御
について検討するとともに電気、熱、圧力、他物質などの刺激に鋭敏に反応するポリマーの合成の可能性を
探りました。また、混合物を鋭敏に見分けて必要成分のみを選択的に分離する能力を持ったポリマーの合成
法を見い出し、その後この成果をもとに光学異性体分離剤の開発に成功しました。さらに、完全グラファイ
ト構造のパイロポリマーの合成に成功し、中性子線回折用モノクロメータなどへの応用展開を図りました。
東北大学電気通信研究所教授 総括責任者
西澤 潤一
完全結晶技術と静電誘導制御理論を組合わせることを基本とし、結晶欠陥の極めて少ないシリコン、ガリウ
ム砒素等の結晶材料を追求することにより、超高速素子、大電力素子、光学機能素子などの創出をねらいと
しました。研究では、ガリウム砒素系化合物結晶について、化学量論的組成を得るための生成法、成長法を
追求し、不純物混入のない完全な結晶育成技術を確立しました。その後、この成果をもとに開発が行われ、
GaAs 大型単結晶引き上げ技術が企業化されました。また、分子精度で結晶成長できる光励起分子層エピタ
キシャル成長法を実現しました。さらに、高速、低雑音、低消費電力等の静電誘導効果の特徴を利用した両
面ゲート型静電誘導サイリスタ、光学機能素子などの作成を行い、新世代の素子群としての可能性を見い出
しました。
Dr.Osamu Hayaishi
Projects completed
上智大学理工学部教授 総括責任者
早 石 修
細胞間の情報伝達が行われる細胞膜から生成されるプロスタグランジン(PG)等の酸性脂溶性物質の中枢神
経系における作用の解明を目指しました。研究により、PGD2 が自然な眠りを引き起こすこと、また、PGE2
が覚醒を促すことを発見し、睡眠の機構解明に糸口を与えました。PG の微量定量法の開発、PGD 合成酵素
や PG 受容体の脳内分布・PGF 合成酵素の構造と機能の解明・脳内 PG の無侵襲的検索法の確立等を行いま
した。一方、うつ病患者中の PG が健康者より多いこと、PG をメチルエステル化すると脳内に移行し易いこ
と、PG に眼圧低下作用があること等を見い出し、今後、医療分野、医薬品分野で PG を利用するための基礎
となる知見を得ました。
39
増 本 健
Dr.Jun-ichi Nishizawa
1988
Dr.Koki Horikoshi
高温、強アルカリ、高塩濃度など特殊な環境に生育する微生物を探索し、その構造、代謝経路、および耐性
機構の解明を目指しました。研究により、高い塩濃度で生育する三角形の古細菌を発見し、生命の起源に迫
る糸口を与えました。微生物にとって毒性の強い有機溶媒(トルエンなど)
の高濃度存在下でもよく生育する
溶媒耐性菌を発見しました。この菌やその生産する酵素は各種バイオリアクターへの応用が期待されます。
さらに、特殊メタン生成細菌等の発見、耐熱性トレハラーゼ、耐熱性β- グルコシダーゼ、好アルカリ性菌の
菌体外蔗糖分解酵素、好熱菌の澱粉分解酵素等有用酵素の分離に成功し、今後、微生物工業に大幅な生産プ
ロセスの革新となる知見を得ました。
東北大学金属材料研究所教授 総括責任者
アモルファス物質や層間化合物などの原子配列、組織、組成を人為的に変えた物質を作成し、その構造・諸
物性の特異性を解明することにより、新しい機能材料や構造材料の創出をねらいとしました。研究では、ア
モルファス相、複合組織相、非平衡結晶相などの形成方法の検討を行い、新規のアモルファス物質、層間化
合物の生成を試みました。さらに、生成した物質についてその構造分析や物理的・化学的諸物性の解明を行
い、新規なセラミックス材料、磁性材料、オプトエレクトロニクス材料などへの応用の可能性を探りました。
その後、アモルファス超微粒子の製造技術の開発、ガスセンサーなどへの応用が図られています。
西澤完全結晶
掘越 弘毅
林 主 税
Dr.Naoya Ogata
1984
Dr.Haruo Kuroda
1989
日本真空技術(株)会長 総括責任者
10 分の1ミクロン以下の金属や金属化合物粒子が1個の元素原子ともバルク物質とも異なった性質を持って
いることに着目し、その基礎的物性を解明するとともに、超微粒子による新しい工業素材の創出をねらいと
しました。このため、理想的な状態で組成・粒径の制御された超微粒子の生成機構を解明するとともに、そ
の生成法を検討しました。さらに、超微粒子の特異性を活かし、記録媒体、高性能触媒などへの応用のほか、
有機物及び無機物と超微粒子の生化学的反応を用いた新たな領域での応用の可能性を見い出しました。これ
らの成果をもとに、その後超微粒子を用いたガスデポジション法の開発や独立超微粒子の製造法の開発が進
められています。
緒方ファインポリマー
黒田 晴雄
固体の表面で起こる現象を原子、分子レベルで追求、制御することにより、新規な固体表面修飾手法と、そ
れを利用した優れた機能を有する物質の創出を目指しました。研究により、シリコン単結晶表面の清浄化、
水素修飾による安定化の手法を確立しました。得られた表面は簿膜形成時の下地効果、電子線照射によるパ
ターニング効果に優れ、半導体技術への発展が期待されます。また、稀土類金属の人工超格子が特異磁性を
示すことを発見、金属の磁気特性の研究に新しい方向を示しました。さらに、光化学反応によるカルボニル
錯体の修飾、カードハウス構造を有するクレー層間化合物の作製など、新規な物質系の表面科学的合成とい
う新しい分野の開拓に多くの手掛かりを得ました。
林超微粒子
Dr.Tsuyoshi Masumoto
黒田固体表面
Dr.Shoichiro Yoshida
先端技術の急速な発展に伴い微細化・精密化技術はナノメータ
(10 − 9m)領域へ入り込んできました。この
プロジェクトでは、ナノメータで物を計測、制御、加工する手法を探索し、それを可能とする機械・機構の
要素技術について研究を行いました。研究により、1ナノメータでの位置決めを可能とする超精密位置制御
システムを実現し、半導体技術や精密加工技術などの広い分野での応用が期待されています。また、二波長レー
ザー測長装置により空気のゆらぎの影響を除去しナノメータオーダの測長を可能としました。さらに、加工
表面や生物試料を観察するためのSEM- STM 複合装置の作製、粒子ビームによる超平滑面の加工手法の開発、
高反射率X線光学多層膜の作製などの基盤技術を確立し、ナノテクノロジーともいうべき新しい分野を切り
拓くことに大きく貢献しました。
1981
増本特殊構造物質
吉田 庄一郎
水野 傳一
Dr.Chikara Hayashi
1990
Dr.Humio Inaba
生体組織や細胞などから生じ、肉眼や通常の光検出器では検地できないような極めて微弱な光
(生物フォトン)
に着目し、その特性を精密に測定、分析する手法を探索し、生物フォトンの発光機構や役割を探求するとと
もに、得られた手法を用いて生物を無侵襲で計測する技術について研究しました。研究により、世界でも最
高感度の光子計数装置、2次元発光画像システムを試作しました。次いで、それらを用いてヒトの呼気や喀痰、
受精前後の卵、創傷自然治癒過程の細胞・組織などから生物フォトンの検出に成功し、生体内部情報の無侵
襲計測の基礎を確立しました。さらに、極微弱光の検出、測定技術を総合し、世界で初めて生体試料の光断
層像(光 CT)計測に成功し、生物フォトン分野を切り拓く手掛かりを得ました。
帝京大学薬学部教授 総括責任者
Dr.Den-ichi Mizuno
1986
稲場生物フォトン
水野バイオホロニクス
生体の分子、細胞、組織、器官等における系全体とこれを構成する個々の素子との強調関係に着目し、強調
し得る性質を持った素子の作成、配列、制御方法等の研究を行いました。具体的には、生体の秩序運動、リ
ズムの引き込みによる機能制御や情報処理などのホロニックスシステムについて研究を行い、自律性のある
イメージ情報処理技術、機械制御技術などへの応用を探りました。さらに、循環器系などの疾病が生体の動
的平衡の乱れに起因することから、その維持に重要な異物排除等の機能を促進する方法について研究を行い、
「自己回復療法」
ともいうべき新しい治療技術を追求しました。
Dr.Hirokazu Hotani
環境に適応して機能を自ら制御する超分子の柔構造に着目し、自己集合、エネルギー変換、特定物質の輸送
等、生体機能に深く係わっている機構の作動原理を探求しました。研究により、細菌べん毛の全構造とその
生成のメカニズムの解明、およびべん毛の生長を制御するべん毛キャップの発見と、これらのたん白質から
のキャップ機能再構成に成功しました。さらに、細菌べん毛モーターの構造を解析し、モーターの回転速度
をサブミリ秒の時間分解能で計測、制御することに成功し、将来の超小型マシン構築への知見を得ました。
また、チューブリンというタンパク質を膜小胞の中で自己集合させ、その集合力を用いて膜小胞を様々に変
形させることに成功し、人工細胞実現への手掛かりを得ました。
1982
Projects completed
40
ER ATO ホームページ
ERATO 研究成果など 最新情報を、
ホームページに掲載しています。
小池フォトニクスポリマー 研究成果ビデオより
ERATO ホームページには、プレス発表などの最新情報、
研究プロジェクトの研究成果ビデオ、プロジェクトの中間・事後評価の結果、
樽茶多体相関場 研究成果ビデオより
堀越ジーンセレクター 研究成果ビデオより
北野共生システム 研究成果ビデオより
推薦公募、シンポジウムの詳細など、
ERATO に関するさまざまな情報を掲載しています。
 中間・事後評価
http://www.jst.go.jp/erato/index-j.html
 最新情報
 お知らせ
研究総括の推薦公募・採択、
プロジェクト評価等に関連する情報をお知らせして
います。
 シンポジウム
各プロジェクトが実施するシンポジウム、研究成果報告会等の開催情報です。
 研究成果プレス発表
 研究員等募集
人材募集のページです。ERATO プロジェクトに参加されたい方は必見です。
新しい科学技術の領域
展 のため、プロジェク
を切り拓く研究総括の
ト の 中 間 評 価、 事 後
推薦公募のお知らせと、
評 価、 追 跡 調 査 を 実
ERATO プロジェクトに
施し、評価結果を公開
採択された研究総括の
しています。
情報をご覧になれます。
□ 研究グループ
□プロジェクトホームページ
 終了プロジェクト
http://www.jst.go.jp/erato/post_project-j.html
終了プロジェクトの一覧を掲載しています。
各プロジェクト名をクリックすると、研究成果の概要へ移動できます。
□ 研究成果集
41
□ 評価・追跡調査
Our website
http://www.jst.go.jp/erato/index-j.html
Download
 パ ン フレット
1981 年の ERATO 創設か
ら 2006 年 で 25 周 年 を
迎え、記念誌を刊行いた
しました。PDF ファイルで
ご覧いただけます。
http://www.jst.go.jp/erato/contents-j.html
 進行中プロジェクト
http://www.jst.go.jp/erato/contents-j.html
現在進行中プロジェクトの概要を掲載しています。
各プロジェクト名をクリックすると、プロジェクト紹介へ移動できます。
http://www.jst.go.jp/erato/boshu-j.html
ER ATO で は研 究 の 進
 資料のダウンロード
ERATO 事業では研究成果の最新情報を公開しています。
 研究プロジェクト
 募集について
http://www.jst.go.jp/erato/evaluation/index.html
 研究成果ビデオ
ERATO パ ン フ レ ット
PDF ファイルをダ ウン
ロードしていただけます。
http://www.jst.go.jp/erato/video/index-j.html
プロジェクトの成果をわかりやすくまとめた研
究成果ビデオのご紹介です。
* 2005 年以降に終了したプロジェクトの研究
成果ビデオにつきましては、JST サイエンスチャ
ンネル(http://sc-smn.jst.go.jp/)内の「サイエ
ンスフロンティア 21」でご覧いただけます。
今井量子計算機構 研究成果ビデオより
月田細胞軸 研究成果ビデオより
Exploratory Research for Advanced Technology
ERATO Website
新たな研究プロジェクトへの扉を開く、
細野透明電子活性 研究成果ビデオより
Our website
42
湊離散構造処理系
The location of ERATO laboratories
ERATO 研究実施場所 所在地[平成 21 年12 月1日現在]
宮 城
ERATO
ERATO International
平山核スピンエレクトロニクス
The location of ERATO laboratories
茨 城
石 川
中村活性炭素クラスター
下田ナノ液体プロセス
京 都
浅田共創知能システム
岩田ヒト膜受容体構造
北川統合細孔 ( ERATO International )
岡ノ谷情動情報
埼 玉
宮脇生命時空間情報
十倉マルチフェロイックス
袖岡生細胞分子化学
岡ノ谷情動情報
兵 庫
伊藤グライコトリロジー
前中センシング融合
東 京
金子複雑系生命
下條潜在脳機能
中村活性炭素クラスター
大 阪
加藤核内複合体
浅田共創知能システム
金子複雑系生命
上田マクロ量子制御
浅田共創知能システム
神奈川
袖岡生細胞分子化学
四方動的微小反応場
橋本光エネルギー変換システム
十倉マルチフェロイックス
下條潜在脳機能
湊離散構造処理系
五十嵐デザインインタフェース
平山核スピンエレクトロニクス
福 岡
高原ソフト界面
中内幹細胞制御
中内幹細胞制御
愛 知
河岡感染宿主応答ネットワーク
中嶋ナノクラスター集積制御
末松ガスバイオロジー ( ERATO International)
長谷部分化全能性進化
高柳オステオネットワーク
岡ノ谷情動情報
The location of ERATO
ERATO事業本部 所在地
The location of ERATO Head office
アメリカ合衆国
カリフォルニア
ロンドン
下條潜在脳機能
岩田ヒト膜受容体構造
北川統合細孔
(ERATO International)
カリフォルニア
メリーランド
末松ガスバイオロジー
(ERATO International)
43
〒 102-0075
東京都千代田区三番町 5 番地 三番町ビル
イギリス
The location of ERATO laboratories
科学技術振興機構 イノベーション推進本部
研究プロジェクト推進部
メリーランド
ロンドン
Tel: 03-3512-3528 Fax: 03-3222-2068
E-mail: [email protected]
URL http://www.jst.go.jp/erato/index-j.html
JR市ヶ谷駅
●
日本大学
●
地下鉄市ヶ谷駅
A3 出口
東郷公園 ●
東京家政学院 ●
九段小
上智大学
●
●
千代田
女学園 ●
四番町 ●
図書館
大妻女子大学
●
大妻高校
●
●
ぴあ
地下鉄麹町駅
6番出口
●
ampm
地下鉄半蔵門駅
5番出口
●
イギリス
大使館
The location of ERATO laboratories
Exploratory Research for Advanced Technology
北海道
44
ERATO research projects index
45
ERATO research projects index
96
▼
▼
▼
▼
▼
96
99
92
85
01
91
09
▼
93
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02
▼
94
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92
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01
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06
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09
▼
82
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88
▼
95
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95
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81
▼
88
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07
▼
01
97
▼
04
84
▼
98
86
▼
14
99
98
96
▼
99
87
12
92
▼
13
34
16
34
12
34
30
33
91
99
04
▼
99
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▼
▼
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▼
▼
13
02
07
88
89
▼
99
05
超構造らせん高分子
オーファン受容体
生体運動子
行動進化
環境応答
量子ゆらぎ
情報分子
液晶微界面
再生機構
ナノ機構
ATPシステム
パイ電子物質
動的微小反応場
94
10
02
▼
93
14
八 島 栄 次
柳 沢 正 史
柳 田 敏 雄
山 元 大 輔
山 本 雅 之
山 本 喜 久
横 山 茂 之
横 山
浩
吉 里 勝 利
吉田 庄一郎
吉 田 賢 右
吉 村
進
四 方 哲 也
81
98
08
▼
09
95
や
83
11
12
▼
94
11
05
96
93
▼
08
09
37
24
19
37
25
30
15
93
92
86
▼
94
93
91
86
00
▼
08
03
87
02
00
▼
00
08
03
81
95
93
▼
09
02
アクチンフィラメント動 態
センシング融合
極微変換
特殊構造物質
単一量子点
細胞制御
植物情報物質
バイオホロニクス
離散構造処理系
生命時空間情報
97
06
87
▼
90
91
前田雄一郎
前 中 一 介
増 原
宏
増 本
健
舛 本 泰 章
御子柴 克彦
水 谷 純 也
水 野 傳 一
湊 真 一
宮 脇 敦 史
90
09
14
▼
06
08
06
01
14
11
▼
04
05
光 エネルギー 変 換システム
相分離構造
分化全能性進化
生物情報伝達
超微粒子
誘起構造
核スピンエレクトロニクス
細胞形象
着生機構
発生遺伝子
透明電子活性
超分子柔構造
特殊環境微生物
ジーンセレクター
04
12
07
▼
88
04
ま
橋 本 和 仁
橋 本 竹 治
長谷部 光泰
早 石
修
林
主 税
平 尾 一 之
平 山 祥 郎
広 橋 説 雄
伏 谷 伸 宏
古 沢
満
細 野 秀 雄
宝 谷 紘 一
掘 越 弘 毅
堀 越 正 美
09
06
▼
98
90
07
97
▼
03
92
幹細胞制御
ナノクラスター集積制御
活性炭素クラスター
不均一結晶
たん白集積
プ ロトニック ナ ノ マシン
完全結晶
テラヘルツ
分子触媒
99
▼
97
03
光
敦
一
二
昭
一
一
一
治
07
▼
86
95
06
98
▼
03
03
内 啓
嶋 村 栄
村 修
山 国
波 啓
澤 潤
澤 潤
依 良
00
01
▼
00
12
中
中
中
中
永
難
西
西
野
頁
33
29
06 11 19
89 94 37
90 95 37
95
01
04
▼
99
01
は
居
倉
倉
村
居
号
97
▼
85
▼
87
▼
98
▼
90
▼
98
▼
07
13
な
洋 文 バイオアシンメトリ
好 紀 スピン超構造
好 紀 マルチフェロイックス
彰 位相情報
邦 夫 食情報調節
土
十
十
外
鳥
年
90
▼
生体時系
ソフト界面
粒子表面
オステオネットワーク
固体融合
多体相関場
細胞軸
96
97
24
33
23
35
15
32
26
31
36
31
38
39
31
30
28
38
32
28
31
た
プ ロ ジ ェ クト 名
06
▼
量子波
潜在脳機能
ナノ液体プロセス
包接認識
ガスバイオロジー
細胞外環境
生細胞分子化学
92
09
▼
08
04
00
▼
感染宿主応答ネットワーク
学習動態脳
統合細孔
共生システム
融液動態
膜組織能
化学組織
固体表面
カイロモルフォロジー
フォトニクスポリマー
非平衡ダイナミクス
磁束量子情報
協同励起
高機能性反応場
誘導分化
95
09
▼
04
96
▼
核内複合体
たん白生態
複雑系生命
微小流動
13
▼
91
86
▼
08
07
▼
81
03
▼
02
10
▼
98
10
▼
05
05
▼
05
01
▼
00
02
▼
96
91
▼
97
14
▼
86
97
▼
09
94
▼
92
12
▼
89
10
▼
07
07
研究総括 / 総括責任者
96
▼
高 井 義 美
高 原 淳
高 柳 邦 夫
高 柳 広
田中 俊一郎
樽 茶 清 悟
月田 承一郎
05
94
▼
之
輔
也
治
誠
俊
子
02
▼
裕
條 信
田 達
海 征
松 口 清
岡 幹
明
志
彦
二
裕
男
進
明
行
弘
喜
雄
子
博
也
一
真
修
人
89
08
▼
た
榊
下
下
新
末
関
袖
藤 茂
藤 誠
子 邦
内 啓
岡 義
人 光
川
野 宏
村 茂
見 明
武 豊
田 晴
田 玲
池 康
原 伸
藤 英
神
林
藤 寿
30
28
37
29
21
17
37
35
12
39
32
32
30
22
21
31
28
40
16
36
05
▼
さ
加
加
金
河
河
川
北
北
木
楠
国
黒
黒
小
腰
後
五
小
近
00
03
▼
か
頁
▼
ナノ空間
複雑数理モデル
原子制御表面
自然免疫
共創知能システム
デザインインタフェース
ゲノム動態
固液界面
グライコトリロジー
生物フォトン
過冷金属
光不斉反応
量子計算機構
ヒト膜受容体構造
マクロ量子制御
局在フォトン
半 導 体 スピ ントロニ クス
ファインポリマー
情動情報
細胞変換
相 田 卓 三
合 原 一 幸
青 野 正 和
審 良 静 男
浅 田
稔
五十嵐 健夫
池 田 穣 衛
板 谷 謹 悟
伊 藤 幸 成
稲 場 文 男
井 上 明 久
井 上 佳 久
今 井
浩
岩 田
想
上 田 正 仁
大 津 元 一
大 野 英 男
緒 方 直 哉
岡ノ谷一夫
岡 山 博 人
号
▼
あ
年
▼
プ ロ ジ ェ クト 名
▼
研究総括 / 総括責任者
14
18
14
23
29
36
32
40
38
36
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17
35
36
38
31
39
39
32
28
18
38
40
33
33
38
40
13
20
28
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35
34
29
34
33
30
35
39
29
36
13
Pioneering projects leading to socia l
a nd economica l innovat ion
Exploratory Research for Advanced Technology
E R AT O 研 究 プロジェクト 索 引
ダウンロード

Exp lo ra to ry Re se a rc h fo r A d va nced Te chno lo gy Exp lo ra to