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8.干渉法によるレーザー光の周波数偏移測定とその応用
(学習院大学大学院自然科学研究科物理学専攻,修士論文
題目・アブストラクト(1989年度))
藤田, 忠重
物性研究 (1990), 54(6): 779-782
1990-09-20
http://hdl.handle.net/2433/94160
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
修士論文題 目 ・アブス トラク ト
8. 干渉法 によるレーザー光の周波数偏移測定 とその応用
藤
田 忠
重
1 序論
マイケルソン干渉計で得 られる干渉縞の移動を検出 し、位相差変化を測定することによ
って レーザー光の同波数偏移や光指差の微小変化を求める手法を考案 した。
従来 までの位相差変化の測定にはヘテロダイン干渉法が用いられており、干渉計にAO
セル等の光周波数シフターを挿入 して光 ビー ト信号の位相変化を検出 していた。‖それに
対 し、本法は光周波数の偏移を干渉縞の空間的な位相変化すなわち移動として捉え、レー
ザー光の波長変化を高分解能かつ大 きい波長変化に対 しても一定感度で測定が行えるとい
うヘテロダイン法 と同様の特徴を残 しながら、構成を簡単にすることができた。このよう
なサブフリンジオーダーの位相差変化の測定は、光波干渉測長器をはじめ」光学鏡面の表
面粗さ、微小変動、微小振動等の測定において、すでに多 くの利用方法が提案され実用化
に至 ってお り、現在では欠かせないものとなっている。21
本研究では、半導体 レーザーの注入電流一周波数偏移特性を調べた。干渉縞の移動検出
には 1次元 イメージ ・センサーと空間フィル タ-検出器の 2種類の検出器を使い、それぞ
れの分解能と検出速度 を検討 した。また、変調度や変調周波数に対する光周波数変化の測
定も行 った。さらにこの結果を用いて、空廟フィル ター検出器の出力信号を半主
削本レーザ
ーの注入電流にフィー ドバ ックして干渉縞を安定させ、その効果が理論と一致することを
確認 した。
∴
朋
工
持
朋 m朋
上
干渉計の 2つの ミラーの問の傾 きによりP
h
ot
0.1
のような干渉縞ができる。この干渉縞は干渉する2
点の光指差が 入/2 (A :光の波長)の n倍 (n :
整数)では明るく、 (n+1/2)倍では暗 くなる
ことで構成 される。従 って、光周波数や光指差に変
化が生 じると干渉縞が移動する。そこで、逆にこの
干渉縞の移動を検出することで光周波数や光指差の
変化が測定できる。
Y) は、光路差
干渉計で得 られる干渉縞強度 Ⅰ (.
をL、双方のミラーで反射 された波面の傾きを αと
すると、
相 川湖
2 原理
Ph
o
t
o.1干渉計で得られる干渉姑の例
聖
I (Ⅹ) -A+Bcos
-(L.xsinα)
・・・ (1)
という振幅 Bの正弦波で与えられる。また位相 少は、 C=入Vを用いて
¢-2
f
y
・・・ (2)
と表される。 レーザー光の周波数偏移による位相の変化△¢は、
・¢-2
i
空 Ap
・・・ (3)
と表せる。従 って、△¢を測定することで、周波数偏移を測定で きる。
3 測定方法と装置
3. 1 干渉縞の移動の検出
3. 1. 1 高速フー リエ変換法 (FFT法)
検出器には一次元 イメージ ・センサーを使い、その出力信号をA/D変換 し、コシ
ー
779 -
学習院大学大学院 自然科学研究科物理学専攻
ピューターに取 り込む。その 1024素子分の波形信号に、フーリエ変換を施す。位
相 が ま、スペク トルのピーク位置での実数部 ⅩRmax、と虚数 Ⅹ Imaxにより求まる。
詐
¢- tan 1 (慧
)
・・・ (4)
この値は、干渉縞の変化に対 して一定感度で変化するので、位相変化によりレーザ
ー光の周波数偏移を測定できる。また、この FFT法では 1Hz以上の高速変動は班
えることができないが、分解能は入/ 100程度 と優れている。
3・1・2 .
空間フィルタ一法
樹状に並んだ光電素子の接続を循環的に変えることにより、実質的な検出器の動 き
を作る。すると、静止した干渉縞では検出器上の各素子の出力が何期的に変化する。
干渉縞が移動すると、この正弦波の位相が変化するので、検出器上の干渉縞の移動が
分かる。3)この空間フィルタ一法では分解能が入/32とFFT法より余 るが、数 k
Hz程度の高速変動を検出感度 160mV/ fringeで捉えることができる。
3.2 測定装置
(1) 半導体 レーザ一
入=789nm、 最大出力 30mW
く2) 検出器
a) 一次元イメージ ・センサー 1728素子 (ピッチ 15J
Lm、幅 14F
L
m)
b) 空間フィルタ-検出器 128素子 くピッチ40′
Jnl
、幅 20J
lm、長さ
5. 12mm)を各 8素子おきに結線 したものを電
気的に 62.5kHzで切 り換える電子走査型
4 周波数偏移の測定
4. 1 FFT法による半導休レーザーの同波数偏移の測定
半群体レーザーは、その注入電涼を変化させることで、発振周波数に偏移を起こすこ
とは前に述べた。ここではレーザーの注入電流を連続的に変えて、レーザーの発振周波
数の偏移垂を測定する。
(3)式より、位相変化量 △¢は、光指差 Lに比例 しているため、光指差を変えると、
注入電流に対する位相の変化率に遅いができる。そこで、実際の実験では光搾差を-4
0-+40mmの範囲で 10mmごとに変化させて測定 した。また、注入電流は 658.1
に、位相変化率をミラ
70mA まで 5mAの変調幅とした。この測定の実験系をFi
g.2に示す。
ーの位置 (
光指差)に対してプロッ トした結果をFi
注入電流に対する平均周波数感度は、△レ=4.97±0.47GHz/mA (但し、
IL I> 10mm)であり、他の文献の数値とはば一致 している。4 )
Fi
o・l 半gF
休L
-t
l一周波数偏朗 任 用光学系
Fi
o.2 光路差に対する注入電流変化による位相空イ
悌
4.2 空間フィルタ一法
4.2.1 半導体 レーザーの周波数偏移の測定
FFT法による測定では、FFT解析のために計算時間がかかるので、高速で変動
-7
8
0-
修士論文題 目 ・アブス トラク ト
する周波数偏移を捉えることができない。それ
に対 し、空間フィル タ-検出器を用いた干渉縞
の変動の検出では、最 大 5kHzの変動を追従
できた。さらに、変調度を小 さくするか光路差
を小さくすれば、より高連な変動を検出できる
空間フィルタ一法による干渉縞変動の測定結
8.3に示す。これから偏移の振幅を求め
果をFi
ると、 p- p値で約 420mVであり、これは
約 2.6fringeの縞移動に相当する。こ
の値はFFT法の測定結果に一致 している。
o
J
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Fi
g.J 密漁虎に対す る光周波鞍変化
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●
ー
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i
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0
0
t
OO
Fp
qu4r
q l
Hz
I
Fi
g.5 変調周波軌 こ対する光周波取変化
I
J
2
5 フィー ドバ ック効果の確認
5.1 フィー ドバックの原理
8.6に示す。干
フィー ドバ ック系の原理図をFi
渉縞に変動が無いとすれば、検出器の出力電圧は
一定である。この時出力電圧の OFFSETを O
vにする。検出器の出力をゲ インGのアンプを通
した後、半導体 レーザーの電源に戻す。これによ
って半導体レーザーの発振周波数は固定きれ、安
定する。外乱により干渉縞に a 【fringe]
という変動が発生すると次のような変動が起こる。 F
i
g
.6フィー ドJl
'
p
Jク系の原理国
-86.6a [
mV/fl
・ingeコ
B=
1-GAGBGcf
空間フィル タ-出力電圧
B [mV]
半導体 レーザー電源ゲイン
=0. 1 [
mA/mV]
空間フィルタ-アンプゲ
イン
G 8 〒 160 【
mV/ fringe]
反転増幅器のゲイン
=-0. 1
干渉縞移動一注入電流特性
f =0.52 【frin・
ge/mAコ
G
角
G
c
-7
81-
39c
c
暮
M; 2抗力
ufzエ9)elq
(
ここでは、レーザー注入電流を 60mAを中
心に三角波で電流変調を加えて、それによる周
波数偏移の応答を測定 し車。
(1) 変調度に対する光周波数変化
まず、注入電流の変調周波数を 100Hz
で一定、変調度を 6.OmA まで 0
.5mA
ごとに変化させ測定 した結果をFi
g.4に示す。
レーザー注入電流の変化に対 して空間フィル
ター出力電圧 も三角波状に変動するので、そ
の出力電圧の振幅を求め、光周波数の偏移塵
に換算 した。
く2) 変調周波数に対する光岡波数変化
次に、電流の変調度を一定にして変調周波
数を変化させ測定することにした。実験では
検出特性の制限により、 1kHzまでは変調
度を2mAとして、それ以上の周波数に対 し
ては変調度を lm A とした。測定 した変調周
波数は、 10Hz∼ 5kHzまでの間で適当
8.5にまとめた。 2kHz付近か
にとり、Fi
ら光周波数の偏移重が落ちている。
汎
l脚
Fi
g.3 如 卦 こよる半群体 レーt卜 の注入電流変調
h )
(変訊問波数劫 セ.乳 か→臥 伽A.光指差4
zH9 ^au anb巴 LUOJ
t
CI
T
tPO王
4.2.2 半導体 レーザーの変評特性の測定
-303
.
4
1
学習 院大学大学 院 自然科学研 究科物理学専攻
(ただ し、 f=0.013 [frin首e/mA・
mm]×L [
mmコ)
この ことか ら、 フ ィー ドバ ック ON時の干渉縞の移動感度 は、約半分の 86.6mV/
fringeにな っている。 また、逆 に外乱の影響 も半分 にな る。
5.2 フ ィー ドバ ック効果の測定
ガラス板による光指差変化の測定用光学系
P
(LL
N
T
H
I
Y
d・
i
以上 に述べ た半導体 レーザ「の周波数偏移特性
は フ ィー ドバ ック干渉計 に用 い られている。51こ
の特長 を光指差変化の測定 に利用す る可能性 を検
討 した。
Fi
g.7
の ようにガ ラス板 を干渉計の片方の腕の
光 指の途中に挿入 して、そのガ ラス板 に傾 きを与
え ることによって光指差 を変化 させ、干渉縞変動
を検出 した。
フ ィー ドバ ック OFFの状態 でのガ ラス板の傾 Fi
o.7
きによる干渉縞移動量 を光路差変化に換算す ると、
Fi
g.8
上のロのグ ラフにな る。次に、フ ィー ドバ
ックをかけ測定 した。 この時の干渉縞移動感度 は、
先 に計算 した ように、 86.6mV/fring
eとな っている。 この値 を用 いて光指差変化 を計
算 すると●印のグ ラフにな る。
j]
凸
5.3 光指差変 化垂の算出
ガ ラスへの入射角 を 8 1-,ガ ラス内での屈折角
を02 ,ガ ラスの厚 さを d,空気の屈折率 を I
l,
ガ ラスの屈折率 を n
'とすれば 、光 指差の変化丑
は 、次式で与え られ る。
d
●
l
l
l
l
吋
●
t
d
q
■
A
l
●
t
■
)
Fi
o.8 ガラス板による光指差変化の測定値
およびl
王
三
晶価のグラフ
-Sin1(i ・sinOI
)
82
(n'-nC O S (01
-82
)〉・02
ガ ラス板の厚 さを 1.1
mmとし、屈折率 を 1.5と仮定 すれば 、理論値 亡
がi
g.8
の
△L=s
T
0印の グ ラフにな り、測定値に良 く一致 している。
6 結論
レーザーの同波数偏移 を干渉計の干渉縞移動 によ り求め ろ手法 を考案 した。 この方法で
は、簡単な光学系で従来 はヘテロダ イン法で しかで きなか った一定感度 での測定 が可緒 で
あ る。 また、検 出部 に空間 フ ィル タ-検出器 を用い、ほぼ実時間で 0.1GHzの光周 波
数変動や 入/32の光路差変 化を測定で きた。さ らに、検 出 した出力 信号 を レーザーの電
源 に フ ィー ドバ ックす ることによ り、その効果 を確認 した。 この ことによ り、フ ィー ドバ
ックの効果 を利用 して、外乱 を取 り除 き光路差の変化量 を測定 す る可絶性 を兄 いだ した。
7 参照文献
1)菊田 久雄 ,
'
'ヘテロダ イン干渉法 による光周波数変化 と距離の測定 ,
'
'光学 i
B
(
1
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"半導休 レーザーによ る干渉測長技術 ,
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