卒論2
レーザー光の特性
野村敬明
概 要
本文ではレーザー光の特性について考察する。そのなかでも特にレーザー光の線幅とコヒー
レンスについて見ていく。それにより、レーザー光は単色な1モード発振が可能でコヒーレンス
な光であることがわかる。
目次
1
イントロダクション
2
2
レーザー光の線幅
3
3
レーザー光のコヒーレンス
3.1
3.2
4
光のコヒーレンス . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
レーザー光のコヒーレンスの評価 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
8
8
12
15
まとめ
A コヒーレント状態
16
1
1
イントロダクション
卒論1では主にレーザー光がどのような原理で発振されるのかを考察した。それにより2枚の鏡
ではさんだ共振器の共振モードの光でレーザー媒質となる、ポンピングと呼ばれる操作によって励
起された原子集団の誘導放射を起こし、その共振モードの光を増幅して発振したものがレーザー光
であることが理解できた。また、レーザー発振装置は下図のようなものである。
ポンピング作用
?
レーザー媒質
鏡
半透鏡
他にも、レーザー光と原子の相互作用を考えることにより定常状態ではレーザー媒質に巨視的な分
極が誘起され、媒質の原子がレーザー光と同位相の振動数を持つことがわかった。
定常状態におけるレーザー光の光子数は下図の3準位モデルを用いて求めた。
状態
6
エネルギー
|ai
h̄ωa
|bi
h̄ωb
ポンピング
|ci
h̄ωc
このモデルにより、定常状態におけるレーザー光の光子数分布と平均光子数を求めることができ
た。その結果、平均光子数はあるしきいの前後で大きく変わることがわかった。また、しきいを考
察することでレーザー発振に必要なポンピングの強さを評価した。
今回は特にレーザー光の特性について考察する。使用するモデルは卒論 1 と同じ上図の 3 準位モデ
ルで卒論 1 で得られた光子数分布と光子数平均の結果を用いる。セクション2ではレーザー光のス
ペクトル幅と位相の拡散速度を評価する。また、そのことから卒論1では暗に可能としてきたレー
ザー光の1モード発振が確かに実現できることを示す。セクション3ではレーザー光のコヒーレン
スについて考察する。始めにコヒーレンスの概念について簡単に解説しその後で実際にレーザーの
コヒーレンスを評価していく。これらのことを考察することによりレーザー光の主な性質が理解で
きる。
2
2
レーザー光の線幅
ここではレーザー光の線幅について考察していく。また、線幅を考察することで卒論1では暗に
可能としてきたレーザーの 1 モード発振が確かに実現できることを示す。 定常状態で線幅を求めるにはレーザー光の電場の集団平均を求める必要がある。共振器の外のレー
ザー光の電場は 1 次元の z 軸方向への進行波を考えて、発振周波数を ν として
r
h̄ν
(ae−i(νt−kz) − a† ei(νt−kz) )
(2.1)
V ε0
で与えられると考えられる。この集団平均を取ることを考える。まず、|ni の光子数状態で平均
tr{ρE} をとることを考えると密度行列の非対角成分が出てくるので都合が悪い。よって、行列要
素を対角要素だけにするためにコヒーレント状態 |αi で集団平均をとることを考える (コヒーレン
ト状態の詳細は Appendix 参照)。そのためには密度演算子を考える必要がある。
レーザー光の光子数分布 ρnn の粗い時間変化は卒論1より、
E(t) = i
¶
¶
µ
(n + 1)A
nA
= −
ρnn (t) +
ρn−1n−1 (t)
1 + (n + 1) B
1 + nB
A
A
µ
ρ̇nn (t)
− Cnρnn (t) + C(n + 1)ρn+1n+1 (t)
(2.2)
で与えられる。ただし、
A
=
2ra
³ g ´2
,
B=4
³ g ´2
A
(2.3)
γ
γ
γ = = πg 2 (ω 0 )D(ω 0 )
(2.4)
r
Ω
g = −℘
sin(kz)
(2.5)
h̄ε0 V
V Ω2
(2.6)
D(ω 0 ) =
π 2 c3
である。ra は原子の寿命より十分長い時間τ の間にレーザー電場と相互作用する励起状態の原子数
であり、Ωは共振器の共振モード周波数でkは共振器の共振モードの波数である。またω 0 は緩和に
対する固有周波数のオーダーをもつ周波数とし、詳細の値は気にしない。また、V は共振器の体積
であり℘は原子の双極子モーメントの大きさを表す。 A
卒論 1 より B
は 106 のオーダーだったので、光子数分布に対する方程式 (2.2) を近似的に扱うため
A
にC
がしきい値よりわずかに大きい場合で定常状態においてもnのオーダーがそれより小さい場
合を考える。その条件の下で光子数分布に対する方程式 (2.2) を次のように近似する。
ρ̇nn (t) ≈
−[A − (n + 1)B](n + 1)ρnn (t) + (A − nB)nρn−1n−1 (t)
− Cnρnn (t) + C(n + 1)ρn+1n+1 (t)
(2.7)
この密度行列の要素に対する方程式を与える密度演算子は、
ρ̇(t) =
1
1
− A(aa† ρ − a† ρa) − C(a† aρ − aρa† )
2
2
1
† 2
†
†
+ B[(aa ) ρ − a ρaa a] + h.c
2
3
(2.8)
で与えることができる。ここで、h.c はエルミート共役を表す。エルミート共役項を含むのは密度
演算子はエルミート演算子であるからである。(2.8) が (2.7) を与えることは実際に (2.8) を |ni で
行列要素をとってやればすぐにわかる。
ここで、密度演算子 ρ(t) をコヒーレント状態を用いて
Z
dα2 P (α, t)|αihα|
ρ(t) =
(2.9)
で定義する。ただし、積分は複素平面での積分である。
次に (2.7) からコヒーレント状態の分布 P (α, t) を求めて、(2.9) で定義された密度演算子を用いて
電場の集団平均を求めていく。
(2.8) に (2.9) を代入すると、
Z
dα2 Ṗ (α, t)|αihα|
µZ
¶
Z
1
= − A
dα2 P aa† |αihα| − dα2 P a† |αihα|a
2
¶
µZ
Z
1
− C
dα2 P a† a|αihα| − dα2 P a|αihα|a†
2
·Z
¸
Z
1
+ B
dα2 P (aa† )2 |αihα| − dα2 P a† |αihα|aa† a
2
+ h.c
(2.10)
ここで、生成、消滅演算子はコヒーレント状態に次のように作用する。
a|αi =
a† |αi =
α|αi
³ ∂
1 ´
+ α∗ |αi
∂α 2
(2.11)
(2.12)
(詳しくは Appendix 参照)また、
hni = hα|a† a|αi = |α|2
(2.13)
より、
|α| =
p
hni
(2.14)
であることがわかる。
これより、(2.10) を計算していく。(2.11),(2.12) を用いることによって
a† a|αihα| − a|αihα|a† + h.c
=
α∂α |αihα| + h.c
(2.15)
aa† |αihα|a† − a† |αihα|a + h.c
=
−[α∂α + ∂α ∂α∗ ]|αihα| + h.c
(2.16)
(aa† )2 |αihα|
=
(1 + 2α∂α + 2α|α|2 ∂α + α2 ∂α2 + 3|α|2 + |α|4 )|αihα|
4
(2.17)
a† |αihα|aa† a
=
(∂α ∂α∗ + α∂α + α∗ ∂α + 2α∗ ∂α∗ + α∗ ∂α ∂α2 ∗
+ |α|2 ∂α ∂α∗ + α|α|2 ∂α + 2α∗ |α|2 ∂α∗ + α∗ ∂α2 ∗
+ 3|α|2 + |α|4 + 1)|αihα|
(2.18)
∂
∂α∗ = ∂α
∗ である。
ここで、B を係数とする項の一部である (2.17),(2.18) について考える。B は A や C に比べるとか
A
なり小さいオーダーの定数になっている。実際 B
= 106 のオーダーであり、またしきい値近くで
p
は A ≈ C なので B は A, C よりも 106 くらい小さいオーダーである。今、|α| = hniについて考え
ると、n は 106 のオーダーより小さいとしたが、1 よりは十分大きいオーダーとするとα|α|2 より小
さい項は A や C を係数とする項と比べて十分小さいと考えられる。よってそれらの項を落として、
ただし、∂α =
∂
∂α ,
(aa† )2 |αihα| =
(2α|α|2 ∂α + 3|α|2 + |α|4 )|αihα|
(2.19)
a† |αihα|aa† a =
(α|α|2 ∂α + 2α∗ |α|2 ∂α∗ + 3|α|2 + |α|4 )|αihα|
(2.20)
としてよいと考えられる。ここで (2.15),(2.16),(2.19),(2.20) を (2.10) に代入して整理すると、
Z
dα2 Ṗ (α, t)|αihα|
·
¸
Z
1
2
2
=
dα P A(α∂ + ∂α ∂α∗ ) − Cα∂α − Bα|α| ∂α |αihα|
2
+ h.c
(2.21)
となる。さらに部分積分をして境界で P 及び∂α P が 0 とし、積分内を比べることで最終的に
∂
P (α, t) =
∂t
−
1
2
µ
+A
¢
¤
∂ £¡
A − C − B|α|2 αP (α, t) + c.c
∂α
¶
∂ 2 P (α, t)
∂α ∂α ∗
(2.22)
が得られる。ただし c.c は複素共役を表す。この形の方程式は Fokker-Planck 方程式と呼ばれる。
Fokker-Planck 方程式において1次の微分の部分は分布の中心のシフトを表し、2次の微分の部分
は分布の拡散を表す。したがって大カッコの中の項は電場の正味の増幅を表し、最後の項は電場の
拡散を表す。
ここで、
α = reiθ
(2.23)
として (r = |α|)、αについての微分を r とθについての極座標の微分に変形すると、
d
P (r, θ, t) =
dt
−
¤
11 ∂ £ 2
r (A − C − Br2 )P (r, θ, t)
2 r ∂r
+
A ∂2
P (r, θ, t)
4r2 ∂θ2
5
(2.24)
となる。
ここで、光子数に対する定常状態を考える。r2 は光子数の量子力学的期待値なのでrは光子数の
定常状態では変化しない。そこで r2 → n̄ と置き換えて考える。ただし、位相は光子数の定常状態
でも時間変化し、これが電場の拡散を与えることになる。このとき (2.24) 式は
d
A ∂2
P (θ, t) =
P (θ, t)
dt
4n̄ ∂θ2
(2.25)
となる。変数分離形の解を仮定してこれを解く。すると θ 依存性はmを整数として eimθ となる。
さらにmとして ±1 を選べば、
A
∂
P (t) = − P (t)
∂t
4n̄
となる。ここで、位相 θの拡散係数 D =
A
2n̄
(2.26)
を用いると
¢
¡
1
P (θ, t) = e− 2 Dt eiθ + e−iθ
(2.27)
が得られる。ただし、考えたいのは位相の拡散の速さなので余分な係数は全て1とした。
これより、レーザー電場 (2.1) の集団平均を求める。レーザー電場の集団平均は
Ē(t, z) =
tr{ρE}
Z
=
02
r
2
=
dα i
r
r
2
r dr i
´
h̄ν ³ −i(νt−kz)
ae
− a† ei(νt−kz) |αi
V ε0
´ 1 ¡
¢
h̄ν ³ −i(νt−kz−iθ)
re
− rei(νt−kz−iθ) e− 2 Dt eiθ + e−iθ
V ε0
rdrdθ i
Z
0
´
h̄ν ³ −i(νt−kz)
αe
− α∗ ei(νt−kz) P
V ε0
Z
=
0
dα P |α ihα |i
dα hα|
Z
=
r
Z
2
´ 1
h̄ν ³ −i(νt−kz)
e
− ei(νt−kz) e− 2 Dt
V ε0
(2.28)
ここで、rについての積分は無限大まで行うと発散してしまうが、実際は光子数平均の値は限界を
持つので積分範囲は無限大まではとれず発散も起こらないはずである。積分を含む定数部は位相の
拡散とは関係ないのでまとめて hE(0)i とおくと
1
Ē(t, z) = hE(0)i cos(νt − kz)e− 2 Dt
が得られる。
この Fourier 変換の 2 乗をとるとレーザー光のスペクトルを得ることができて
|Ē(ω)|2
=
¯Z
¯
¯
¯
0
∞
¯2
¯
1
dt eiωt hE(0)i cos(νt − kz)e− 2 Dt ¯¯
6
(2.29)
=
¯
·
¸¯2
¯ 1
¯
e−ikz
eikz
¯− hE(0)i
¯
+
1
1
¯ 2
i(ω + ν) − 2 D i(ω − ν) − 2 D ¯
≈
|hE(0)i|2
1
(ω −
ν)2
+
¡ D ¢2
(2.30)
2
となる。ただし反共鳴項は無視した。これよりレーザー電場のスペクトルは (ω − ν) についての半
値幅 D のローレンツ型の分布になっていることがわかる。
A
2n̄ であり、発振のしきいのあたりでは
A ∼ 106
でn̄ ∼ 104 くらいとすると D ∼ 102 のオーダーとなる。よって、(2.29) よりレーザー電場は 10−2 位
の時間が経過するまでは位相はあまり拡散しないということがわかる。光速度が 108 m/s のオーダ
ーであることを考えるとレーザー光は 106 m 進むまでは位相が一定のように振舞うことになる。
次に (2.30) 式をみると、レーザー光のスペクトル分布の幅が 102 のオーダーであることがわかる。
よって、共振器のモード幅 πc
L がスペクトル幅よりも大きいなら 1 モードだけを選ぶことができる。
共振器の長さ L=10cm とするとモード幅は 1010 程度のオーダーになるので十分スペクトル幅より
も大きくできる。従って、うまく共振器の長さを選べば 1 モード発振が可能になると考えられる。
また、D の形より光子数平均が大きくなるほどスペクトル幅は狭くなり位相の拡散時間も長くなる
A
ことがわかる。ここでは計算を近似的に行うために光子数が B
よりも小さいオーダーとしたが光
子数が大きくなるとスペクトル幅が狭くなる傾向は一般的に成り立つことだと考えられる。その正
当化としては卒論1の4章で光子数が増すと光子数分布が poisson 分布に近づきコヒーレント光の
性質が強くなることが示唆されていたことがあげられるだろう。
また、そんなにスペクトル幅が狭いとうまく共振器の共振モードと合わせられるのか、という疑問
が生じる。しかし、光子数が少ないうちはスペクトル幅がそれほど狭くなく、媒質原子の固有周波
数を中心としてAぐらいのオーダーになると考えられるので 106 のオーダー程度になるだろう。結
局この幅の中に入るある共振モードの光子数が増加し、その共振モードを中心としたスペクトルが
狭くなっていくので問題ないと考えられる。次の疑問としては最初の 106 のスペクトル幅にうまく
6
共振モードを入れられるかだが、モード幅 πc
L を見ると 10 のオーダーを操作するには共振器の長
さが 10cm くらいなら 10−1 mm 程の長さを調整すればできるはずなので不可能ではないと考えら
れる。
ここで、得られた結果について考察してみる。D =
7
3
レーザー光のコヒーレンス
ここでは始めに光のコヒーレンスとはどのようなものか概説する。また、そこで光のコヒーレン
スの度合いがどのように評価できるかを考えていく。その後で実際にレーザー光のコヒーレンスを
評価する。
3.1
光のコヒーレンス
光のコヒーレンスとは大まかに言うと光の位相がそろっているとか、よく干渉するなどというこ
とである。時空間の2点における光を他の1つの時空点で重ね合わせたとき干渉効果が生じたなら
その二つの光はコヒーレントであるという。
コヒーレンスには大きく分けると時間的コヒーレンスと空間的コヒーレンスの2種類がある。ま
ず、その二つの違いについて概説する。
時間的コヒーレンスとはある二つの時刻 t1 と t2 の光がその後の時刻tで干渉するかどうかという
ことである。例えばある光源から時刻 t1 に出た光と時刻 t2 に出た光が異なった経路を通ってその
後の時刻tで互いに干渉するかどうかということを考えればよい。また、二つの時刻の差で光が干
渉する最大の時間差をコヒーレント時間という。例えば1原子から放射遷移で出てくる光を考える
と、その光は原子の寿命ほどの時間は位相が連続しているのでこの時間内の二つの時刻の光はよく
干渉する。この場合コヒーレント時間は原子の寿命となる。
空間的コヒーレンスとは空間のある位置 r1 と r2 の光の間に干渉性があるかどうかということであ
る。これはある位置 r1 から出た光と別の位置 r2 から出た光がその後で干渉するかどうかを考えれ
ばよい。また、2点間の光が干渉するときの最長の2点間距離をコヒーレント長という。したがっ
て光の進行方向に対するコヒーレンス長はコヒーレント時間に光速度をかけたものである。
次にコヒーレンスをどのように評価するのかを概説する。光のコヒーレンスは1次のコヒーレンス
の度合い、2次のコヒーレンスの度合い、などといった関数で評価される。1次のコヒーレンスの
度合いは1次の相関関数で定義され、Young の干渉実験における干渉効果からその物理的意味が
理解できる。また、2次のコヒーレンスは2次の相関関数で定義され Hunbury-Brown と Twiss の
実験から理解することができる。これからそれらについて詳しく述べていく。
・1次のコヒーレンス
1次のコヒーレンスは Young の干渉実験の干渉効果を考察することから出てくる1次の相関関
数から定義される。そこで、まずは Young の干渉実験から見ていくことにしよう。
Young の干渉実験は2つのスリット、あるいはピンホールからの光による干渉効果を観察する実験
である。実験としては下図の状況を考える。
*
-
光源
-
j
レンズ
r1
r2
s
q r
スクリーン1
スクリーン2
8
光源から出た光はレンズを通って平行な光線になり、スクリーン1に向かう。そこで、スクリーン
1の2つのスリットを通った光はスクリーン2に落ちる。最終的に調べるのはスクリーン2での干
渉縞である。
ここで、スリット1の位置を r1 , スリット2の位置を r2 , スクリーン2上における任意の位置を r と
する。時刻 t1 , t2 でそれぞれスリット1とスリット2を通過した光電場を E(r1 , t1 ) と E(r2 , t2 ) と
すると時刻tにおいてスクリーン2上の光電場は
E(r, t) = u1 E(r1 , t1 ) + u2 E(r2 , t2 )
(3.1)
|r−r1 |
,
c
2|
t2 = t− |r−r
を満たす。また、u1 , u2 はそれぞれ |r−r1 |, |r−r2 |
c
に反比例し、スリットの大きさや形状に依存する量である。スリットから放射される波は入射波に
対して位相が π2 だけ異なるので、u1 と u2 は純虚数に選ぶ。位置 r での光の強度 I(r, t) は
で表される。ただし、t1 = t−
I(r, t) = ε0 c|E(r, t)|2
= εc{|u1 |2 |E(r1 , t1 )|2 + |u2 |2 |E(r2 , t2 )|2
+ 2u∗1 u2 Re[E∗ (r1 , t1 )E(r2 , t2 )]}
(3.2)
となる。しかし、観測時間は一般には光のコヒーレンス時間に比べてずっと長い時間をかけて行わ
れる。したがって、光源として定常光を用いるときには上式の長時間平均をとったものが観測され
る。エルゴード理論よりこの時間平均は光源で発生した光電場に対する集団平均として求めること
ができる。Young の実験で干渉効果を与えるのは (3.2) 式の最後の項であるので、干渉効果は
Z
1
hE (r1 , t1 )E(r2 , t2 )i = lim
T →∞ T
T
∗
E∗ (r1 , t1 )E(r2 , t1 + t21 )dt1
(3.3)
0
で定義される1次の相関関数で記述される。ただし、t21 ≡ t2 − r1 である。また、先述したよ
うにエルゴード理論から時間平均は集合平均で置き換えられる。さらにこれより2つの時空点
(r1 , t1 ) と (r2 , t2 ) での光電場の間の1次のコヒーレンスの度合いを示す関数 g (1) (r1 t1 , r2 t2 ) を次の
ように定義することができる。
|hE∗ (r1 , t1 )E(r2 , t2 )i|
(1)
g (1) (r1 t1 , r2 t2 ) ≡ g12 =
(3.4)
1
[h|E(r1 , t1 )|2 ih|E(r2 , t2 )|2 i] 2
ただしここで注意が必要である。(3.3) および (3.4) で定義された相関関数と1次のコヒーレント関
数は電場を古典的に扱っているので古典的なコヒーレンスしか評価できない。実際には量子化され
た電場に対するコヒーレンスを考えていくのでこれらの関数を
−
+
hE (r1 , t1 )E (r2 , t2 )i =
(1)
g (1) (r1 t1 , r2 t2 ) ≡ g12
=
1
lim
T →∞ T
Z
T
E− (r1 , t1 )E+ (r2 , t1 + t21 )dt1
(3.5)
0
|hE− (r1 , t1 )E+ (r2 , t2 )i|
1
[hE− (r1 , t1 )E+ (r1 , t1 )ihE− (r2 , t2 )E+ (r2 , t2 )i] 2
(3.6)
と定義しなおす必要がある。ここで E − は量子化された電場の生成演算子を持つ部分で、E + は消
滅演算子を持つ部分である。また、この定義では生成消滅演算子の順序は真空期待値を 0 にする正
規順序積をとっている。正規順序積とは生成演算子が消滅演算子の左にくるように順序を決めたも
9
のである。h i は古典的な場合と同様に長時間での平均を表すが、やはりエルゴード理論より集団
平均で表される。したがって、hE− E+ i = tr{ρE− E+ } のように求めることができる。
(1)
(1)
(1)
この関数 g12 によって光の1次のコヒーレンスが評価される。その定義から g12 は 0 ≤ g12 ≤ 1
(1)
の値をとることがわかる。g12 = 1 のとき2つの時空点の光は1次のコヒーレンスを持つという。
(1)
g12 = 0 のときは光は1次のコヒーレンスを持たないという。また、その間の値のときは2つの時
空点の光は部分的に1次のコヒーレンスを持つという。1次のコヒーレンスを持つ2つの時空点の
光は Young の干渉実験で干渉し合い干渉縞を形成する。一方1次のコヒーレンスを持たない2つ
の時空点の光は互いに干渉せず干渉縞を作らない。その間のコヒーレンスを持つ場合は部分的に干
渉し合いぼやけた干渉縞を作る。
具体的にレーザーのコヒーレンスを評価するのは後にして、次に2次のコヒーレンスについて概説
する。
・2次のコヒーレンス
2次のコヒーレンスは Hunbury-Brown と Twiss の実験を考察することから出てくる2次の相関関
数から定義される。そこで、まずは Hunbury-Brown と Twiss の実験について簡単に解説する。
Hunbury-Brown と Twiss の実験は2つの時空点における光の強度の相関を観測する実験である。
実験の概念図は以下のようなものである。
ハーフミラー
光源
光電子増倍管
?
相関器への出力
光電子増倍管
ここで、2つの光電子増倍管はハーフミラーに関して対照的に置かれた理想化された配置の場合で
考える。ハーフミラーに真っ直ぐ入射した光は必ず光電子増倍管に入るのとするので、このとき光
電子増倍管は光源からハーフミラーまでの直線距離だけ離れたときの光の強度を測定することにな
る。また、光電子増倍管の片方は鏡からの距離を近くしたり遠くしたりできるようにし、そのこと
によって鏡で分けられた2つのビームを観測する時間間隔を変える。
光源からハーフミラーまでの直線距離をzとするとハーフミラーによってその位置での強度 I(z, t) の
光は I1 と I2 に分割される。ハーフミラーの透過率を 50 %とすると分割された強度は
I1 (z, t) = I2 (z, t) =
1
I(z, t)
2
(3.7)
となる。また、分割された強度の長時間平均も
1
I¯1 = I¯2 = I¯
(3.8)
2
となる。ここでは検知器の応答時間が有限であるために生じる複雑性は無視することにし、実験装
置は異なる時刻 t1 と t2 で瞬間的に測定された2つの検出器における強度を相関させることができ
るものとする。相関器は平均値
1
h[I1 (z, t1 ) − I¯1 ][I2 (z, t2 ) − I¯2 ]i = {hI(z, t1 )I(z, t2 )i − I¯2 }
4
10
(3.9)
を測定するように設計されている。また、規格化された形は
hI1 (z, t1 )I2 (z, t2 )i
h[I1 (z, t1 ) − I¯1 ][I2 (z, t2 ) − I¯2 ]i
=
−1
I¯1 I¯2
I¯1 I¯2
(3.10)
で与えられる。ここで、量子化された電場を考える場合、強度 I(r, t) は一般に
I(r, t) = ε0 cE− (r, t)E+ (r, t)
(3.11)
で与えられるので、一般に2つの時空点 (r1 , t1 ), (r2 , t2 ) の間の2次の強度相関関数は
hI(r1 , t1 )I(r2 , t2 )i = (ε0 c)2 hE− (r1 , t1 )E− (r2 , t2 )E+ (r1 , r1 )E+ (r2 , t2 )i
(3.12)
で定義される。(3.9) の中にでてくる相関関数は上式の r1 = r2 の特別な場合である。この相関関
数より2つの時空点 (r1 , t1 ), (r2 , t2 ) の間の量子論的な2次のコヒーレンスの度合いは
g (2) (r1 t1 , r2 t2 ; r2 t2 , r1 t1 ) =
hE− (r1 , t1 )E− (r2 , t2 )E+ (r1 , r1 )E+ (r2 , t2 )i
hE− (r1 , t1 )E+ (r1 , t1 )ihE− (r2 , t2 )E+ (r2 , t2 )i
(3.13)
で定義される。これより (3.10) 式は
h[I1 (z, t1 ) − I¯1 ][I2 (z, t2 ) − I¯2 ]i
= g (2) (t1 , t2 ) − 1
I¯1 I¯2
(3.14)
となり、Hunbury-Brown と Twiss の実験は同一点での2次のコヒーレントの度合いを観測するこ
とがわかる。
2次のコヒーレンスの度合いは一般に 0 ≤ g (2) ≤ ∞ の値をとる。ここで、0 ≤ g (2) ≤ 1, g (2) =
1, 1 ≤ g (2) の場合に分けて見ていく。
1 ≤ g (2) のときはコヒーレントではない場合であり、熱輻射状態などがこの場合に当てはまる。こ
のときは (3.14) からわかるように光の強度ゆらぎが大きい。また、特に (3.14) 式で t1 = t2 の場合
を考えると 1 ≤ g (2) のときは I1 が平均より大きいとき I2 も平均より大きく I1 が平均より小さいと
きは I2 も平均より小さくなることになるので、このときは光子が束になって飛んでくる傾向がある
ことがわかる。この光子が束になっていることを光のバンチング (bunching) という。したがって
熱輻射の場合のようなカオティックな光は束になって飛来する傾向がある。
g (2) = 1 のときはコヒーレントな場合である。このときは (3.14) より、光の強度ゆらぎが 0 になる
ことがわかる。つまり、コヒーレントなときは光子が均等に飛んできて強度ゆらぎが小さい場合で
ある。
0 ≤ g (2) ≤ 1 のときは量子力学特有な場合であり、コヒーレントではないが光子は特殊な振る舞い
をする。(3.14) 式で t1 = t2 の場合を考えると今の場合は I1 が平均より大きいときは I2 が平均より
小さく、I2 が平均より大きいときは I1 が平均より小さくなる傾向があることがわかる。このことよ
り 0 ≤ g (2) ≤ 1 のときは光子は束になろうとせずなるべく等間隔になって飛来しようとする傾向が
あることがわかる。このような傾向をアンチバンチング (antibunching) という。
ここでは1次のコヒーレンスと2次のコヒーレンスを概説したが一般にn次のコヒーレンスを定義
することができる。3次以上のコヒーレンスは非線形光学応答などで出てくるらしい。ここでは1
次と2次だけにとどめ、実際にレーザーのコヒーレンスを評価していく。
11
3.2
レーザー光のコヒーレンスの評価
ここでは実際にレーザー光のコヒーレンスについて考えていく。レーザー光としては卒論1の3
準位モデルによるものを対象とするが、得られる結果はレーザー光に対して一般的なものである。
具体的にはレーザー光の場合の電場を用いて1次と2次のコヒーレント関数を評価してコヒーレン
トの度合いを調べる。
レーザー光に対する電場は 1 モードの電場 (2.1) で与えられる。したがって E− と E+ はそれぞれ
r
−
E (z, t)
= −i
r
E + (z, t)
= i
h̄ν † i(νt−kz)
a e
V ε0
(3.15)
(3.16)
h̄ν
ae−i(νt−kz)
V ε0
となる。これを用いてコヒーレント関数を評価するわけだが、その際に出てくる長時間平均は集団
平均から求める。つまり h· · ·i = tr{ρ · · ·} で求めるわけである。すなわち1次と2次のコヒーレン
ト関数はそれぞれ
g (1) (r1 t1 , r2 t2 )
=
g (2) (r1 t1 , r2 t2 ; r2 t2 , r1 t1 )
=
|tr{ρE− (r1 , t1 )E+ (r2 , t2 )}|
1
[tr{ρE− (r1 , t1 )E+ (r1 , t1 )}tr{ρE− (r2 , t2 )E+ (r2 , t2 )}] 2
tr{ρE− (r1 , t1 )E− (r2 , t2 )E+ (r1 , r1 )E+ (r2 , t2 )}
tr{ρE− (r1 , t1 )E+ (r1 , t1 )}tr{ρE− (r2 , t2 )E+ (r2 , t2 )}
(3.17)
(3.18)
となる。ここで出てくる密度演算子は光子数状態で表した場合の
ρ=
∞
X
ρnn |nihn|
(3.19)
n=0
を用いる。また、光子数分布 ρnn に対しては卒論1で得られた結果を用い、しきいの前後の領域で
A
A
ある C
< 1 とC
> 1 の場合に分けてコヒーレンスを評価する。このしきいの前後の2つの領域で
ρnn の近似形は卒論1で見たようにそれぞれ
µ
ρnn
ρnn
≈
≈
A
C
¶n µ
¶
A
1−
C
¡
n̄ +
¢ A
A n+ B
B ¡
¡
exp −n̄ −
¢
A
n+ B
!
A
B
f or
A
<1
C
(3.20)
f or
A
>1
C
(3.21)
¢
となる。 これらのことを用いてレーザー光のコヒーレンスを1次の場合と2次の場合について考
えていく。
・1次のコヒーレンスの評価
レーザー光の1次のコヒーレンスを評価するには (3.17) に (3.15) と (3.16) を代入すればよい。す
ると任意の位置と時刻に対して、さらには任意の光子数分布にたいして g (1) = 1 になることがす
ぐにわかる。これはレーザー光が1モード発振をしているためであり、これよりレーザー光は1次
のコヒーレンスを持つことがわかる。したがってレーザー光を用いて Young の干渉実験を行えば
くっきりとした干渉縞が見えるはずである。
12
・2次のコヒーレンスの評価
レーザー光の2次のコヒーレンスを評価するためにまず、(3.15),(3.16) を (3.18) に代入する。する
と、やはりレーザー光が1モードであることから位置と時刻に対する依存性が落ちて、簡単な形
g (2) =
tr{ρ(a† )2 a2 }
(tr{ρa† a})2
(3.22)
が得られる。ρは (3.19) で与えられ、ρnn については先述したようにしきいの前後で分けて考える。
A
< 1 ではρnn として (3.20) を用いるので、
しきいの下の領域 C
g (2)
=
¶
∞ µ ¶n µ
X
A
A
1−
hn|(a† )2 a2 |ni
C
C
n=0
"∞ µ ¶ µ
#2
¶
X A n
A
†
1−
hn|a a|ni
C
C
n=0
=
¶
∞ µ ¶n µ
X
A
A
1−
n(n − 1)
C
C
n=0
"∞ µ ¶ µ
¶ #2
X A n
A
1−
n
C
C
n=0
=
=
¡
2
1
¡ A ¢2 ¡
C
¢
A 2
−C
A
1− C
¡ A ¢2
¢2
C
2
(3.23)
と、求められる。このとき g (2) > 1 であるので、しきい値より下では光は2次のコヒーレンスをも
たず、バンチング傾向があることがわかる。しきいの上の領域
A
C
> 1 ではρnn として (3.21) を用
いるので、
g
(2)
¢ A
A n+ B
B ¡
¡
exp −n̄ −
¢
A
n+ B
!
¢
=
∞ ¡
1 X n̄ +
n̄2 n=0
=
¡
¢ A
µ
¶ ∞
A n+ B
1
A X n(n − 1) n̄ + B
¡
¢
exp −n̄ −
A
n̄2
B n=2
n+ B
!
=
1+
1 A
n̄2 B
A
B
hn|(a† )2 a2 |ni
(3.24)
となる。これよりしきいより上のレーザー光の場合では平均光子数が増大するほど g (2) は 1 に近
A
づきコヒーレントな状態に近づくことがわかる。 B
は 106 のオーダーなのでn̄が 104 くらいのオーダ
A
∼ 1.01 と、しきい
ーになれば十分コヒーレントな状態といえると考えられる。n̄ ∼ 104 のときは C
よりほんの少し大きければ十分な程度である。よってレーザー光は簡単に2次のコヒーレンスをも
つことができると考えられる。このことはレーザー光は強度のゆらぎも小さくできることを意味す
る。
これらの結果より、レーザー光は1次と2次のコヒーレンスを持つことができることがわかった。
1次のコヒーレンスを持つのはレーザーが1モード発振可能であることからきている。また、2次
13
のコヒーレンスを持つのは1モードであることに加えてレーザー光の光子数が多数であることか
らきている。時間、空間的なコヒーレンスを考えると、卒論1の3章で見たようにレーザー光は定
常状態においては位相がそろって巨視的な分極をもった媒質から発振されるのでレーザーの光線が
ある程度の太さを持っているとして、その光線の幅のどこの位置でも位相がそろっている。よって
レーザー光は空間的なコヒーレンスを持っている。また、媒質の位相は連続していて途切れないと
考えられるので時間的なコヒーレンスも持っていると考えられる。したがってレーザー光は空間的
にも時間的にもコヒーレンスを持った光である。
14
4
まとめ
これまでの議論からレーザー光の特性についていくつか調べることができた。
セクション2の結果よりレーザー光は位相の拡散が遅くスペクトルの線幅も狭いことがわかった。
また、線幅の狭さからレーザーは1モード発振ができることが言え、このことよりレーザー光は単
色で発振されることがわかる。これらのことよりレーザー光は古典的な光としてふるまい、集光な
どがうまくできる。
セクション3ではレーザー光のコヒーレンスを考察した。その結果レーザー光は1次および2次の
コヒーレンスを持つことがわかった。1次のコヒーレンスを持つことからレーザー光は Young の
干渉実験にでてくるような干渉効果を良くおこす。また、2次のコヒーレントを持つことからレー
ザー光の強度ゆらぎは小さいことがわかった。
これらの結果よりレーザー光は単色光で位相の拡散の速度は遅く、強度の揺らぎも小さくほぼ一定
の強さの光線になるということがわかる。この性質からレーザーはいろいろな方面に応用されてい
る。
また、セクション2と3の結果を見比べるとレーザー光の線幅の狭さも2次のコヒーレンスの度合
いも平均光子数が大きいほど著しくなることが読み取れる。セクション2では平均光子数が
A
B
よ
りも大きいオーダーになっても線幅が狭くなり続けるかをはっきりとは示さなかったが、2次のコ
ヒーレンスが平均光子数とともに高まることからもさらに正当化できるだろう。このことから光子
数が多いほどレーザー光は古典的な光に近づくと考えられる。これは量子化された電磁場のゆらぎ
と光子数に関係があるからではないかと考えられる。
レーザー光の特性をさらに調べるには一つにはより高次のコヒーレンスを評価するということが考
えられる。今回は1次と2次のコヒーレンスだけを考えたが、3次や4次のコヒーレンスを考察し
ていけば新たな特性がわかるかもしれない。他に特性を考えるとすれば媒質との関係を考えるとい
うことがある。例えば今回は媒質の原子がもつ角運動量は一切考えなかったが、それも考慮に入れ
れば媒質の持っていた角運動量とレーザー光のスピンの相関がわかるかもしれない。
15
Appendix
A
コヒーレント状態
ここでは本文で何度も使用したコヒーレント状態について簡単に解説する。電磁場のコヒーレン
ト状態 |αi は簡単に行ってしまうと、光子の消滅演算子 a の固有状態として 定義され、
a|αi = α|αi
(A.1)
を満たす状態である。また、コヒーレント状態は全ての時刻で量子化された電磁場の不確定性が最
小になるという要請の元で求められる。その結果からコヒーレント状態の確率密度が時間がたって
も広がらないということもいえる。そのためコヒーレント状態は古典的電磁場に最も近い状態であ
る。ここではこれらについての詳細は追わずコヒーレント状態の性質を紹介するにとどめる。
コヒーレント状態は光子数状態 |ni で表すと
|αi =
µ
¶
∞
X
1
αn
√ exp − |α|2 |ni
2
n!
n=0
(A.2)
となる。また、光子数状態を生成演算子で表した形
1
|ni = √ (a† )n |0i
n!
を (2) に代入すると
|αi =
µ
¶
∞
X
αn (α† )n
1
exp − |α|2 |0i
n!
2
n=0
となる。ここに出てくる和を級数展開とみるとコヒーレント状態を表す別の表現として
µ
¶
1 ∗
†
|αi = exp αa − α α |0i
2
(A.3)
(A.4)
(A.5)
が得られる。この表現からコヒーレント状態に生成演算子を作用させたときのことがわかる。α で
の微分
·
µ
¶¸ ·
¸
µ
¶
∂
1
1
1
exp αa† − α∗ α
= a† − α exp αa† − α∗ α
∂α
2
2
2
(A.6)
と (5) 式より
µ
†
a |αi =
¶
1 ∗
∂
+ α |αi
∂α 2
(A.7)
が得られる。
また、コヒーレンス状態にn個の光子がある確率は
· ∗ n¸
(α α)
Pn (α) = |hn|αi|2 =
exp(−α∗ α)
n!
と平均値 h n i = α∗ α をもつpoisson分布である。
16
(A.8)
参考文献
[1] M.sargent . M. O. Scully and W. E Lamb Jr 著 霜田光一、岩澤宏、神谷武志 訳レー
ザー物理 丸善 1978
[2] 花村榮一 岩波講座現代の物理学 量子光学 岩波書店 1992
[3] 霜田光一 レーザー物理入門 岩波書店 1983
[4] 松岡正弘 量子光学 裳華房 2000
[5] 野村敬明 卒論1 2005
17
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