テレビ時代の記憶
―団塊の世代―
1.調査概要
2.ライフイベントと社会的出来事
3.テレビとの遭遇
4.アメリカへの憧れと反発
5.ジェンダー規範の受容と抵抗
各年260万人に以上、合計800万人が誕生。
社会意識、消費行動において社会的影響
力が大きい。
堺屋太一氏が1976年に発表した『団塊の
世代』で命名。
1.調査概要
目 的
団塊世代(1947~1949年生まれのベビーブーマー)にとっ
てテレビが生活の中で果たす役割や持っている意味を、
ライフイベントや社会的出来事と関連づけて明らかにす
る。
協力者
首都圏在住の団塊世代の女性6名、男性1名(表4・1)。
高学歴、結婚歴あり、これまでの居住地は主に首都圏。
手続き
年表(主な社会的出来事と代表的なテレビ番組)を提示し
ながら、年代を追って順次聞き取った。
団塊の世代の特徴
 子供期とテレビ普及期が重なっている(=テレビ普及期の
番組を視聴している)。
 「アメリカ製ドラマ」が大量に放送された時期に学齢期で
あった。
 「全共闘世代」であり、世界的な社会運動の興隆期に青
年期を過ごしている。
 性別分業体制を体現したコーホートである。
 高学歴女性の年齢階級別労働力率はキリン型。
 「専業主婦」⇔「市民活動」
 幼児期~高校生まで(1950年代半ば~1960年代)に視
聴した娯楽番組についての鮮明な記憶を持っている。
2.ライフイベントと社会的出来事
年号
1947~49年
年齢
0歳(誕生)
1949年
1952年
3~5歳
1953年
4~6歳
1955~60年
1958~59年
6~13歳
9~12歳
1960年
社会的出来事
“アメリカに占領されて
優生保護法改訂 いた”記憶はない
(経済的事情による中絶認められる)
サンフランシスコ講和条約締結
NHKラジオ『君の名は』
テレビ放送開始
三種の神器の浸透。すし詰め教室
皇太子明仁婚約・御成婚
樺美智子氏死去
11~13歳
社会党委員長浅沼稲次郎刺殺事件
年号
1961年
年齢
12~14
社会的出来事
「女子大生亡国論」
1965~67年 16~20歳 ベトナム戦争、反戦運動
1966年
17~19歳 中央教育審議会「期待される人間像」
公民権運動(アメリカ)、ウーマンリブ、
1967~71年 18~24歳
ベトナム戦争反対運動、学生運動
年間200万人超の出生。
1969年
20~22歳 東大安田講堂陥落 団塊ジュニア
1972年
23~25歳 あさま山荘事件
1971~74年 22~25歳 第二次ベビーブーム
3.テレビとの遭遇
友人や他人と
テレビを見たこ
とが、この時期
の集合的記憶
・胸を躍らせたテレビ初体験
「客寄せ」テレビ:近隣の飲食店のテレビ
「もらい湯」テレビ:親戚や近隣の家のテレビ
血縁・地縁ネットワークによるテレビ視聴
・テレビは自宅にあるのが当たり前
「一億白痴化」
小学校高学年の頃。
母親役割=学歴競争で
(大宅壮一, 1957)
子供を勝者にすること
⇔経済階層がテレビ購入を決定づける
⇔親の教育的配慮
地域社会でのステイタスを誇示する装置
4.アメリカへの憧れと反発
牧田(2008)=「日本人の意識」調査より
青年期のマスメディアを通しての過剰なまでのアメリカ経験
アメリカ好き、アメリカへの憧憬
団塊世代の「アメリ
カ好き」比率は前後
の世代よりも低い
共産主義を敵とするアメリカの帝国主義的暗闇
子供の時分のアメリカ
アメリカへの憎悪
に対する憧れは年代
が上がるほど多い
戦後間もない時期に成長
対戦国であったアメリカの占領時代を経験
・違和感を感じるアメリカ製ドラマ
全てがアメリカ化していくことに居心地の悪さを覚える。
アメリカ製番組が夜の時間帯の3分の1を占めた(吉見, 2009)
・アメリカ製ドラマの内容は、現実生活とかけ離れたもの
e.g. 『ローハイド』(NET, 59-65)、『ベン・ケーシー』(TBS, 62-64)、
『名犬ラッシー』(KRT, 57-64)、『パパは何でも知っている』(日テレ, 58-64)
ドラマで描かれる日常やインテリアが憧れのライフスタイル。
「アメリカの家族」は自分の家族とはかけ離れている。
・アメリカ=外国、アメリカ人=アメリカ人
・アメリカ=先進国、豊かな国;日本=遅れた国、貧しい国
・民主化=アメリカ化
<少数派>
青年期(大学生総統の年齢)には、
アメリカ製ドラマの
テレビを見ない青春
「刷り込み」なし
反戦運動、学生運動、全共闘運動・・・・
学生運動の挫折
知識層=「反アメリカ」
自身の階級性への批判
・同化の対象は「アメリカ」
・その「アメリカ」を記憶させた装置であるテレビとテレビ文化。
・テレビを媒介にアメリカを語ることは日本を思うこと。
・この世代にとって「アメリカと日本」は合わせ鏡の関係。
・しかし、多くの人は児童期に吸収したアメリカ大衆文化への
憧憬の記憶と青年期に形成した反米意識を語ることなく、
「社会人」となり、男性は「モーレツ社員」、女性は「専業主
婦」となった。
5.ジェンダー規範の受容と抵抗
・戦後、日本社会のジェンダー体制は再編されていった。
・しかし、男性主人公がテレビ番組では圧倒的に多かった。
・女性にとってのロールモデルも少しはあった。
男性
•プロレス、プロ野球、西
部劇などの「男子向け」番
組が多数存在。
•ジェンダー規範に縛られ
たテレビ視聴。
•ホームコメディの記憶を
語れない。
女性
•正義のヒーローに同一
視し、ホームドラマも楽し
んだ。
•ジェンダーに縛られない
テレビ視聴。
•ホームコメディの記憶を
積極的に語る。
・テレビを通して、自分が目指す職業モデルを夢見ることが
できた女性たち。
・しかし、女性の大半は結婚や出産を機に退職し、専業主婦
となった。
夫婦に共通の
話題を提供する
夫にとって娯楽、
妻にとって不満の種
夫婦間の役割分担
のあり方の象徴
「悩み犯行する妻」の姿は、一定の
主婦層の共感を得た(国広, 2012)。
しかし、「つきあい」視聴程度。
1980年代
『金曜日の妻たちへ』
『くれない族の反乱』
社会的活動への参加
市民運動への参加
自己変革⇒自己の解放
参考文献
国広陽子 (2012). テレビ娯楽の変遷と女性―テレビドラマを中
心に 国広陽子・東京女子大学女性学研究所(編) メディア
とジェンダー 勁草書房 Pp. 65-108.
牧田徹雄 (2008). 『団塊世代』の奇跡ーメディア/社会/家庭生
活 NHK放送文化研究所(編) 現代社会とメディア・家族・世
代 新曜社 Pp. 106-128.
大坪寛子・国広陽子 (2012).小売り社にとってのテレビー記憶
の中のテレビと現在のテレビ視聴 メディア・コミュニケーショ
ン, 62, 107-119.
堺屋太一 (2005). 団塊の世代「黄金の十年」が始まる 文芸
春秋
吉見俊哉 (2009). アメリカ・占領・ホームドラマ 岩崎稔・上野
千鶴子・北田暁大・小森陽一・成田龍一(編著) 戦後日本ス
タディーズ1 40・50年代 紀伊国屋書店 Pp. 203-217.
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