利用者への適切なケアを提供する
ための具体的な取り組み
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平成21年度モデル事業の概要
特別養護老人ホームにおいて、高齢化や要
介護度の重度化に伴い、医療的ケアを必要
とする利用者が増加している。一方で、特別
養護老人ホームは医療提供を主目的とした
施設ではないため看護職員の配置が十分で
なく、痰の吸引や経管栄養が必要な要介護
者の入所が難しいといった状況にある。
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モデル事業の概要
厚生労働省において、平成21年2月から『特
別養護老人ホームにおける看護職員と介護
職員の連携によるケアの在り方に関する検
討会」が開催され、相対的に危険性の程度が
低く、かつ看護職員が手薄な夜間において行
われる頻度が高いと考えられる、口腔内(咽
頭の手前)の痰の吸引及び胃瘻による経管
栄養(栄養チューブ等の接続・注入開始を除
く)についてモデル事業を実施。平成21年9月
から全国125の特別養護老人ホームにて実
施
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モデル事業実施の流れ
施設内研修
試行の計画
準備
・施設長等への
説明
・日程調整
・人選
・資料の準備
・同意書
試行の実施
施設内研修の
実施
・看護職員
の事前
事後評価
プロセス
評価
関係者による
各質問票
への回答
日誌
・介護職員の
プロセス
評価
・介護職員の
ケアの実施
記録、評価
・関係者
(介護 職員、
看護職員、
医師、施設
長、指導看
護師)の研修
及び試行に
対する評価
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モデル事業の流れ
モデル事業の検証結果、夜間において口腔内の
痰の吸引等のすべてを担当できるだけの看護職員
の配置が困難である状況を鑑み、口腔内の痰の吸
引等について、モデル事業で実施した方式を特別
養護老人ホーム全体に許容することは、医療安全
が確保されるような一定の条件下では、やむを得
ないものと整理され、厚生労働省では、「特別養護
老人ホームにおける痰の吸引等の取扱いについ
て」平成22年4月医政局長通知を発出した
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一定の条件
①文書による利用者の同意
②的確な医学的管理
③医行為の水準の確保
④施設における体制整備など
これらの条件を満たした場合に、特別養護老
人ホームにおいて、医師、看護職員と介護職
員の連携による口腔内の痰の吸引等の実施
が可能となった。
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看護職員と介護職員の連携による痰の吸引等の実施要件
①文書に
よる利用者
の同意
・施設長が施設の組織対応を説明した上で、介護職員が実施
することについて、書面による本人・家族の同意を得る
②的確な
医学的管理
・配置医から看護職員に書面による指示
・看護職員の指示の下、看護職員と介護職員が連携・協働して実施
・配置医、看護職員と介護職員の参加の下、利用者ごとに個別の
具体的な計画を整備
③医行為の
水準の
確保
・看護職員・介護職員に対する研修の実施
(モデル事業では、12時間の研修を受けた看護師が
施設内で14時間の研修を介護職員に対して行ったものであり、
原則として同等の知識・技能に関する研修が必要)
④体制整備
・施設内において、以下の体制整備を行う
①安全性確保のための施設内委員会の開催
②記録・マニュアルの整備
③緊急時対応の手順の確認・訓練の実施 等
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口腔内の痰の吸引等の範囲
 特別養護老人ホームにおいて、医師・看護職員と介
護職員の連携による実施が可能な医行為は、「口
腔内の痰の吸引」と「胃瘻による経管栄養」である。
 ①口腔内の痰の吸引(咽頭の手前まで)
定義:口腔内(肉眼で確認できる範囲)に貯留した唾液、喀痰等の分泌物
などの身体に不必要な物質を、陰圧を用いて体外に排除すること
 ②胃瘻による経管栄養(栄養チューブ等の接続・注入開始を除く)
定義:胃内に留置した消化管チューブ・栄養チューブを通して、非経口的
に流動食を注入すること
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< 口腔内の痰の吸引等の範囲 >
特別養護老人ホーム
口腔内
対
○(咽頭の手前までを上限)
鼻腔
×
象
気管カニューレ内部
×
範
胃ろう
○(胃ろうの状態確認・チューブ接続・開始は看護職)
腸ろう
×
経鼻
×
囲
痰の吸引
経管栄養
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本ガイドラインの目的
 本ガイドラインは、厚生労働省の「特別養護老人
ホームにおける痰の吸引等の取扱いについて」(平
成22年4月1日医政発0401第17号)を踏まえ、全
国の特別養護老人ホームにおいて、医師・看護職
員と介護職員が連携・協働して口腔内の痰の吸引
等を実施するにあたり、体制面で必要な要件等をわ
かりやすく説明することを目的に作成。
 口腔内の痰の吸引等を安全に実施するためには、
医師・看護職員・介護職員の連携・協働はもとより、
生活相談員、介護支援専門員、(管理)栄養士など、
多職種連携のもとで行われる必要があり、それらの
多職種連携・協働体制の構築を前提としている
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口腔内の痰の吸引等の実施体制
 1.実施体制の整備
介護職員が口腔内の痰の吸引等を実施するには、
日常的に施設職員間で情報の共有やミーティングを
行い、多職種協働による連携体制が構築できている
ことが基盤となる。その上で、利用者・家族の同意、
配置医と看護職員の連携、介護職員の研修体制の
確保、協力医療機関との連携体制の構築等、施設
の内外に渡り、実施体制を構築することが重要であ
る。
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口腔内の痰の吸引等の実施体制
 (1)施設内委員会の設置
施設長が最終的な責任を持って安全の確保のため
の体制の整備を行う。施設長の統括の下で、各関係
者からなる「口腔内の痰の吸引等安全対策委員会
(仮称)」を設置し、関係各職種及び他の医療機関、
地域の他の機関との連携を行うことが必要。委員会
のメンバーは、施設長、配置医、看護職員、介護職
員、生活相談員、栄養士などとする。
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口腔内の痰の吸引等の実施体制
(2)職員配置
口腔内の痰の吸引等を実施する介護職員に対する
施設内研修や技術指導は看護師が行うこととなるた
め、中心的な役割を果たす看護職員には看護師を
配置することが望ましい。
また、介護職員は非医療関係者であることを考慮し、
口腔内の痰の吸引等を実施する介護職員を要請す
る際には、施設長は本人の希望を踏まえ、十分な理
解を得ておくことが重要。
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口腔内の痰の吸引等の実施体制
(3)利用者情報の適切な管理
利用者の健康状態については、看護職員が中心と
なり、常に多職種と情報交換を行い、情報を共有す
ることが重要である。
日頃から、施設と家族の間で利用者の状況や提供
しているケアなどの情報共有をしておくことも重要で
ある。
そのためには、指示書や指導助言の記録、実施の
記録が作成され、適切に管理・保管されていることが
必要
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口腔内の痰の吸引等の実施体制
(4)適切な安全管理体制の構築
・問題発生時に速やかに連携を図れる体制整備
・責任分担の明確化
・夜間など、看護職員不在時の緊急連絡体制
・口腔内の痰の吸引等を行うための一般的な技術
に関するマニュアルの整備
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口腔内の痰の吸引等の実施体制
(5)ヒヤリハット事例の記録・評価
口腔内の痰の吸引等に関するヒヤリハット事例の蓄積・分
析など、施設長、配置医、看護職員、介護職員等の参加の
元で、定期的な実施体制の評価、検証を行うことが重要であ
る。実施体制や実施手順の中で問題があることが判明した
場合は、「口腔内の痰の吸引等安全対策委員会(仮称)」を
開催して実施体制を見直す等、対策を講じる必要がある。
(6)地域の他機関との連携
保健所、協力医療機関、消防署などとの連絡・協働体制を
整備し、問題発生時に速やかに対応できる体制を構築して
おく。
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口腔内の痰の吸引等の実施体制
2.研修の実施
都道府県レベル研修を受講済みの看護師が、施設
内講師となって、看護職員及び実施に当たる介護職
員に対し、必要な知識・技術に関する研修・指導を
行う。
介護職員に対する研修については、利用者の安全
を守るため、原則としてモデル事業と同等(計14時
間)の知識・技術に関する研修であることが必要。
なお、複数回に渡り、介護職員への研修を行うこと
が想定され、研修を終了した介護職員のみが、口腔
内の痰の吸引等を行えることから、研修を終了した
介護職員のリストを整備することが望ましい。
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中央研修(2回)
厚生労働省
(委託先)
都道府県レベル研修
(1~4回)
実施主体
<研修実施の流れ>
(関係団体等)
研
修
看護師
(150名程度×2回)
中央研修
受講後の看護師
研
修
各施設
都道府県レベル研修を
受講後の特養の
看護師
特養の看護師
・中央研修において、都道府県レベル研修
で講師となる看護師を養成。
・看護師は各都道府県3名以上
(県内の施設数にあわせて3~8名程度)
で、150名程度×2回で計300名程度。
・研修プログラムは、2日間(12時間)予定
・国庫補助事業(旅費等は除く)。
研
修
・都道府県レベルにおいて、各施設で
講師となる看護師を養成。
・都道府県レベル研修の開催回数は、
施設(受講者)数に合わせて調整。
・実施主体は、関係団体等に協力要請。
・国からの補助金なし。
看護職員
介護職員
第1回 6/28・29
第2回 8/20・21
夏を目途
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口腔内の痰の吸引等の実施体制
特別養護老人ホームにおける口腔内の痰の吸引等実施体制図
国
【報告・状況把握】
自治体
特別養護老人ホーム
協力医療機関
【報告・状況把握】
③指示書発行依頼
地
域
の
保
健
所
・
消
防
機
関
等
【
連
絡
支
援
体
制
】
施設長(管理者)
【口腔内の痰の吸引等安全対策委員会】
⑦実施状況の
報告(c)
施設長(管理者)、配置医、看護職員、介護職員、
介護支援専門員、生活相談員、(管理)栄養士 等
④指示書
看護職員
配置医
⑦実施状況の報告(b)
⑦実施状況の
報告(a)
⑤個別具体的な計画の作成及び
介護職員への指示
看護師による研修を受けた介護職員
①利用者・家族への
説明
⑥口腔内の痰の吸引等の実施
利用者
②利用者・家族への同意
家族
文書の取り交わしを要する連携(①、②、④、⑤)
文書の取り交わしを必要としない連携(③、⑥、⑦)
口腔内の痰の吸引等の実施体制
実施上の手順と必要な書類
順序
内容
関係者
①
利用者・家族への説明
施設長⇒利用者・家族
書類内容
様式番号
説明兼同意書
様式1
②
利用者・家族の同意
利用者・家族⇒施設長
③
配置医への
指示書発行依頼
施設長⇒配置医
―
―
④
配置医から看護職員への
書面による指示
配置医⇒看護職員
指示書
様式2
⑤
個別具体的な計画の作成
及び、介護職員への指示
看護職員⇒介護職員
実施計画書
様式3
⑥
口腔内の痰の吸引等の実施
介護職員⇒利用者
―
―
実施状況の報告
介護職員⇒看護職員(a)
看護職員⇒配置医(b)
看護職員⇒施設長(c)
―
―
⑦
ダウンロード

利用者への適切なケアを提供するための具体的な取り組み