福井大学
工学部研究報告
第 27巻 第 1号
昭和臼年 3月
8
9
円柱ポテンシャル流れの後流吹出し吸込みモデル
(ブロッケージ比の影響)
葦埜
勲*吉田喜美*井崎陽生林
A Wake Source and Sink Model
for Circular Cylinder PO七en七ial Flow
七io)
(A Effec七 of Blockage Ra
Isao ASH
工NO,Kiyoshi YOSHIDA and Haruo 工ZAK
工
(Received Jan. オO. 1
9
7
9
)
Au
七hors performed 七he visualized flow experimen
七s around a
circular cylinder and inves七iga
七ed 七he effec
七 of a blockage
ra
七
土o
. And,we assumed 七he model which se七s source and sink
in a wake and analyzed 七he flow abou
七 small blockage ra
七
土o
.
Consequen七ly,pre七
七 y sa
七isfyingresu
工
七 s were ob
七ained.
1 緒 冒
著者らは無限流体中に置かれた円柱まわりのポテンシャル流れについて,流れの可視化実験より
後流中に吹出し,および吸込みを置くモデルを提案した。 (
1
) この解析によって得られた流れのパタ
ーンや円柱まわりの圧力分布等は Roshko らの実験結果とよく一致することがわかった。本報告に
おいては,
プロッケージ比が比較的小さい場合について,前報告と同様な立場から解析を試みた。
その結果
Achenbach の実験結果 (
2
)とかなりよく一致した。また,桧和田ら (
4
)の実験結果を用い
て検討した。
2 理輸解析
図 1のような幅 4の通路内を流体が一様速度 V で流れている
場合を考える o 原点に強さ
μ
の二重吹出し〈軸の方向はーと方
向〉を置いたときの複素ポテンシキルは,鏡像の原理によって
事
機械工学科
紳院生
図1 流路
9
0
次式で与えられる ~3)
F
1(c)=VC十 sμcoth(EC)一一一一……………ー…………………一一一一一一 (
1
)
ここに
いま
E = π:/~ である。
μ
=vとおくと流れ関数ゅは
s
i
n
(2E守)
ゆ =VI 可 ー
│ ω凶 (2
E
'
;
)-c
o
s(2E
噌)
トー………… ・・-……………一一一一-(
2
)
I
H
H
φ=0の流線を求めると,
eが十分小さいとき,
甲
=0
「
P 十 が =1- E2/3十 O(Eつ│
…(
3
)
す な わ ち が 小 さ い と き , 式(
1
)の流れは,
r
、
11-
E
/3= 1- E2/6~1---------一一…………………一一一一一一一一一一一 (4)
2
の円のまわりの流れを表わす (r は円柱の半径)。次に.;=a に強さ Q の吹出しを置いたときの複
素ポテンシ守ルは,鏡像の原理によって次式で与えられる。
fC()=Qlnsinh{e((-a)}・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
圃
圃
圃
司
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
-(
5
)
それゆえ半径
Tの円柱後方
,
=a(a>1)に強さ Qの吹出しを置いたときの複素ポテンシャノレ F2
(
(
)
は鏡像の原理によって近似的に次式で与えられる。
F2(C) =Q(lnsinh{E(C-a)} 十 l
n
s
i
n
h
{
ε ((-rya)}- lnsinh(E())一一一一 (
6
)
,
=
bに強さ Q の吸込みを置いたときの複素ポテンシャル F,(()は同様に
また,
l
n
s
i
nh{E((- b)}十 insinh{E((-rYb)} -lnsinh(E()}-… (
η
F3( ( ) = -Q(
よって図 2のような流路内の流れの複素ポテンシ布ルF(()品
F(()= F1( ( ) 十 F2(()十 F3( ()………………一一(
8
)
で与えられる。複素速度は上式を Cで徴分すると求められる。
@
すなわち,
~(() =
,
)
抗告(
dF〆d(=V(1ー 2EY{C05h(2E()-1})
,
,
-
= dF~ d = EQ(c
o
th{E(
.
.
.
L
.
,(-
r2
/a)}
a)}十 ωth{E
-Q
.
,
A
-coth(E())
しあ
出の
吹み
に込
-coth(E())
方吸
後ぴれ
柱よ流
円おる
同(,)= d
F
3
,
/
'
dC=-EQ(ωth{E(C-b)}十 c
o
t
h{E(C-r2
/b)}ト{
9
) 図2
W(') = W
(,)十W 3(C)
1( ( ) 十 W 2
半径
T
の円柱表面上の速度の大きさは.;=rc050,
甲
=rs
i
n
O とおくと sが小さいとき,
jW
ち
/3)
s
i
n0十 o(E
4
)I
1( ( ) 1 均 zV(1十 e
IW2(C)I
肖 Q
sin8/r(ρ-cosO)十0(E
2
) ト………一一------_...………・…………一一一…--.(J.{j
1
"
も(C)I'=iQ s
i
n(
1
/
r(τ-cos8)十 o(ε2) I
2十 1)/2b…
ρ = (a2十 1)/2a , r = (b
ー
ー
ー
ー
_
.
.
.
_
_
.
.
.
_
_
.
ー
ー
ー
ー
・
・
ー
ー
・
ー
ー
ー
ー
・
ー
ー
ー
ー
ー
・
・
・
・
ー
・
帥
円柱表面上の点 81, 82 で流れがはく離すると仮定すれば
8 =:
1
:α で速度は Oである o すなわ
ち
,
2(1十 e与
/3)V=Q(1/r(ρ-C05α)ー 1/r(r-C05α))
9
1
よって
Q =2(1十 E2/3)VT(ρ-C05α)(T-C05α)/れーめ....・ ・
.
.
…
…
…
一
・
.
.
.
_
_
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
・ ・
…
一
一
帥
H
吹出し強さ Q は上式によって定まる。すなわち,はく離角
H
α,吹出し位置 a
および吸込み位置 b
がきまれば,吹出し強さ Q が定められる。これを用いて円柱表面の複素速度を表わすと,式(
9
)およ
び伺より
(
c
0
5
8ー∞s
α )(T十 ρーω
s
α ーω58)
E2, ~~
v
W(')= i
e
.2(1十一一 )V 5
i
n
8
3' -
……………一一 .
.
.
.
M
(
ρ ー∞s8)(T -cos8)
次に写像関数
で,<<)[email protected]
T
の円周は,@面で
甲
=:
tii/2 は式帥より y
:
:
:
:
:土 i
i
/
2となり,@面でもほぼ平行
L
は円弧(半径 R=Ts郎 α)81A 82 に写像される o また平行壁面
一
一一
一
z= (
, -COSα)-sin2a
/('c
o
s
α 〉一一一一一一一一一一一一一一帥
'
.
s
@
x
壁面となる。それゆえ円弧 81Aむを半径 Rの円柱で置きかえれ
ば,速度 U の一様流れ中に置かれた円柱のまわりの流れを与え,
点 81,82
ではく離する流れを与えることになる。前縁 A より測
った角を
図3
@面へ写像した流れ
β,はく離角を βsとすると,式帥より次式を得る。
S
I
且β =山 8(1c
o
s
α
c
o
s8)/(m-cos8)
.
.
.
.
.
..
.
.
.
.
・
・
・
ー
・
ー
ー
ー
.
.
.
.
.
.
.
_
幽
圃
圃
・
・
・
・
・
ー
ー
・
ー
ー
・
_
.
.
_
.
.
.
.
_
.
.
.
_
_
.
.
.
.
.
_
帥
ヲ・
,
.
、
ー
、
-Iー
、
,~
a)/2c
m =(1十c
o
s2
o
s
α 一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
ー
・
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
・・
_
.
.
.
.
_
・
ー
・
ー
ー
ー
ー
ー
ー
・
・
ー
ー
ー
ー
・
ー
・
ー
・
・
・
・
・
司
・
.
伺
。 のときには
E
=α
βs
π-2α
あるいは
α =(
π 一 βs
)/2・・………….....------………一一一一一一_._.・
H
・納
@面における複素速度は次式によって与えられる。
,
W(z)=W( )d'/dz...
,
1d /dz1→
無限遠においては
伺
1であるから , U = Vで
,
これを用いて式帥および帥より円柱表面
上の速度の大きさを求めると次式を得る o
1W
(z)1
E2,
,
m一
c
o
s
8
._
一一万一=2C1十一)cosαsin8(一一一一 )(1
ρ-cos8
一COSα
P
.
十一一一寸・・・・・・・・・・ーー....._..........................~
T- c
o
s
8
。面で円柱表面上の速度の最大値は,ほぼ 8'=<π/2 の位置と考えられる。それゆえ式帥より m~ρ
なる関係を得る。これを用いると式"は
IW(z)1
ーマ~~2(1
2
E ,
.m-cosα
十τ)cosasin8c
1十
一
一
一
一
〉
司
・
.
ー
ー
ー
ー
ー
.
"
ー
・
ー
ー
・
ー
ー
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ー
・
.
.
.
側
3
T-
。面で前縁 A より測った角を O(=π-8) とし,
と角
β
c
o
s
8
これを用いると②面の円柱表面上の速度の大きさ
との関係は次式で与えられる。
E2•
m-cosα
hMV
44
l
Oβ =s
i
n
Oc
1
十 cosαcoso)/(m十coso)
S
lll﹀111111J
可
IW(z)1
~~2 C1十一〉側側目 ø C1十一一一一〉
T十 c
o
s
o
また円柱表面の圧力係数 Cp は次式で与えられる。
Cp = 1ー{IW(z)1,
A
J
l
2 .
.一・…一一一一一-----_._--_.一一……一一一一……………・伺
92
圧力係数 Cp の 最 小 値 匂 阻 を 与 え る 角 β =ムが実験的に求められれば,角 a),
mおよび
T は次の
ようにして求められる。
'
=
iπ
/2 すなわち¢句π/2 である O 式帥第 2式より
円柱表面上の速度の最大値は 8
s
i
n
s1= l/m すなわち
m =1/si
n
s1 .
.
.
ー
ー
ー
ー
.
.
.
・
・
ー
ー
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
・
.
.
.
.
.
.
.
.
.
_
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ー
・
・
・
占
師
式(l$より c
o
sa が求められる o また式帥第 1式および式伺より
[IW(り I/U]max=2(山
:
/
3
)c
o
sa {1
十(m -c
o
sa )/ T }
=v'T
τてpiin"""一一一一一一一一-.._---・ーーーー--.-----ーーーー・ーーーーー・ー・_._..-._-----_.....例
式伺,倒より α,m,T が求められる O
]
>
次に流線は式 (
8
)の虚数部工m [F(( = const [email protected] O
3 数値計算および考察
Achenbach の実験値を用いて解析した結果を表 1ならびに図 4(
叫
, (札 (
c
)に示した O プロ
叫
,
ージ比 d/t= 1/6. e=O.2618である O 図 4(
大きめに選んである O 本理論と背圧 Cpb
Achenbach の実験値と解析結果との比較
a
b
βよ
験値と大体一致している o Re 数が増加
5
1
.0XI0
0
78
1
.570
3.342
78.50
すると,吹出し位置 aは円柱に近づくが,
2
.
6x1011
940
1
.046
2.887
94。
吸込み位置 bは,はっきりした傾向は分
3
.
6x10
115
1.015
5.262
Re
との交点より推定したはく離角 βs は実
βs
8
0
1100
* Cpb との変点より求めた値
からない。しかし,本理論のモデルでは
圧力係数につ
いて実験結果
δ
1
.
0
1
.
0
とかなりよく
一致している
のが分かる o
次 に 同 -Re
0
1
.
1
.
0
数のとき,プ
ロッケージ比
1
.
0
2
.
0
.
0
2
2
.
0
d/t による
(
a
J
変化をみるた
図4
(
b
)
ー1
.
0 I I
2
.
0
2
.
0
(
a
J
(
c
)
Achenbach の実験値と著者の解析との比較
ー
1
.
0
'
1
,
I
,'I~
_.よ!ー1.
0
2
.
0
(
b
)
ケ
φ mは全休の傾向を一致させるため,少し
(
b
)で
表
7
(
c
)
93
めに 、 桧和田ら (
4
)の実験結果を用い
a)-ω ならび
て 解 析 し た 結 果 を 図 5(
に表 2および図 6に示す O 圧 力 係 数
Cp の 実 験 値 と 本 理 論 の 解 析 結 果 と
が極めてよく 一 致 し て い る の が 分 か
ー
1
.
0
ー
1
.0
2
.
0
-2.
0
るO
図 6は 表 2の d/t と G お よ び b
の関係を表したもので 、吹出し位置
aは 一 定 で あ る が 、 吸 込 み 位 置
d/t の 増 加 と と も に
(
e
)
(
d
)
bは
G に漸近する
ことがわかる O
図 7は Re=500. d/t=1/6
における円柱まわりの流線と後流領
域 の 流 れ を 可 視 化 し た も の で 、 円柱
1
.0
ー
1
.
0
-2
.
0
2
.
0
が 動 き 始 め て か ら 60秒後にシャツ
ターを 60秒 間 開 放 し て 撮 影 し た O
比 較 す る た め 式(
8
)に よ る 流 線 の 計 算
日
結果を点線で示した O 式 (
8
)に よ る 流
│
-
線はむ面の流線であり、式帥を用い
1
.299お よ び 3.247
実験による流線と理
論流線の傾向はかな
りよく似ているのが
わかり,本理論のモ
0
(
g
)
図 5 槽和田らの実験値と著者の解析との比較
d/t と βs. a
.b の 関 係
b
βs
G
d/t
表 2
0
について描いてある O
.
(
f
)
[email protected] 、 ψ O .
0.
325. 0.
649.
3
山
0.
090 82
0
0.
149 81
.50
0.
199 81
0
0.237 82
50
0.297 82.
0
0.
379 84
50
0.
438 84.
1
.428
1
.428
1
.428
1
.428
1
.428
1
.428
1
.428
7.
221
6.
637
5.692
5.110
3.
907
て8
可
6
4
2
a
心
o
2.677
o 0
.
1 0
.
2 0
.
3 0
.
4 0
.
5
J
.
l
.
t
.b の 関 係
図 6 d/tと βs.a
デルが妥当であるこ
とを示している O
図 7 理 論 流 線 と 実 験 流 線 の 比 較 (Re=500. d /t=1/6 )
94
4 結 論
流れの可視化実験より,プロッケージ比が比較的小さい円柱まわりのポテンシャル流れについて
後流中に吹出しおよび吸込みを置くモデルを想定し解析を行った O その結果、
(
1
) 本理論のモデルによる圧力係数 Cp を他の実験者の結果と比較するとよく一致することが明
らかになった O
(
2
) 実験による流線と理論流線の傾向はかなりよく似ていることがわかった O
e
.の増加とともに吹出し位
(
3
) 同 -Re 数においては吹出し位置は変化せず,吸込み位置は d/
置に漸近することが明らかになった O
書 考 文 献
1
. 葦埜・吉田,日本機械学会流体工学講演論文集
第 901回 ( 1978.8 )
.
.J
.Fユ
uidMech. ( 1968 ) 34- 625
2
. Achenbach. M
3
. Lam. Hydrodynamics. P71 ( 1932 )
4
. 桧 和 田 , 外 3名,日本機械学会論文集. 42- 360 ( 1976 ). 2481
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円柱ポテンシャル流れの後流吹出し吸込みモデル