25
第 3 章 1次元の運動(2)
3.1
仕事
フックの法則に従うバネの一端に物体をつけ,他端を固定して滑らかで水平な台の上に
おく。バネに沿って右向きに x 軸をとり,バネの力がはたらかないときの物体の位置を原
点(x = 0)とする。このように,バネが自然長であるときの物体の位置を座標原点にとる
と,物体の変位が x であるとき,物体には
F (x) = − k x
(k > 0)
(3.1)
の力がはたらく。バネの力は自然長からの変位に依存(比例)する力である。
物体が x = 0 から x = a(a > 0)へ運動するあいだに,バネが物体にする仕事を求め
る。まず,x = 0 から x = a までを n 個の等しい微小な長さ Δx に分割する:
0 = x0 , x1 , x2 , · · · xn−1 , xn = a.
今,物体の変位が x(0 ≤ x < a)であ
るとき,物体にはバネから F (x) = −kx
だけの力が作用する。物体の変位がさら
に微小量 Δx だけ増加するあいだ,バ
ネの力は変化がないとして,バネの力が
物体にする仕事 ΔW (x) は,力の大き
さと変位の増加をかけて
F
x
x+Δx
0
ΔW (x) = F (x) Δx = − kx · Δx
a
x
ΔW
である。これが,図 3.1 の濃い灰色の部
分である。
図 3.1: バネの力がする仕事の計算
分割の個数を n → ∞ にする極限(よって,微小な長さ Δx を 0 にする極限)をとると,
微小な仕事 ΔW の和は積分で表すことができる:
lim
n→∞
n
ΔW (x) = lim
n
n→∞
i=1
a
(− kxi−1 ) Δx =
0
(− kx) dx.
積分を実行して,物体が x = 0 から x = a(a > 0)へ運動するあいだに,バネが物体にす
る仕事は
W (0 → a) =
a
0
1
(−kx) dx = − k a2
2
(3.2)
第3章
26
1次元の運動(2)
となる。物体が移動する向き(正)と,力がはたらく向き(負)が逆であるので,仕事は負
になる(図 3.2 上)。
逆に,物体が a から x = 0 へ左向きに運動するとき,バネの力がする仕事は
W (a → 0) =
0
a
(−kx) dx =
1
k a2
2
(3.3)
となる。物体の移動と力が同じ向きであるので,仕事は正である(図 3.2 下)。
F
x1
0
F
F
dss
x軸
0
F
dss
x1
0
dss
dss
x軸
0
図 3.2: バネの力がする仕事(1)
F’
x1
x軸
F’’
x1
x軸
図 3.3: バネの力がする仕事(2)
物体がバネの力だけでなく,それ以外の力が加わって運動する場合でも,バネが物体にする
仕事は同じである。
図 3.3 の上図は,右向きの力 F を加えて,物体を正の向きに引っ張る場合である。物体が
x = 0 から x = a まで移動したとき,バネの力が物体にした仕事は
W (0 → a) =
a
0
(−kx) dx = −
1
k a2
2
で,(3.2) と同じである。ここで,右向きの力 F は,バネの力に抗して物体を x = 0 から
a まで移動させられる力であればよい。バネが物体にする仕事は,物体が移動する速度にも
依らないし,物体が x = a で静止する必要もない。
同様に,図 3.3 の下図に示すように,右向きの力 F を加えてながら,物体の位置を x = a
から x = 0 まで移動したとき,バネの力が物体にした仕事は
W (a → 0) =
0
a
(−kx) dx =
1
k a2
2
と,(3.3) に等しい。この場合も,バネの力が物体にする仕事は,力 F の強さや,物体が
移動する速度には依らない。
図 3.4 に示すように,一様な重力(重力加速度 g )のもとで,質量 m の物体がバネ定数
k のバネにつるされ,振幅 a で鉛直方向に単振動している。鉛直上向きに x 軸をとり,つ
りあいの位置を原点とする。物体が x = −a から x = 0 まで移動するときに,バネの力が
物体にする仕事 W を求める。
3.2. 保存力とポテンシャル
27
バネの力が物体にする仕事は,バネの力を積分して求
められる。ただし,バネの力が F = −kx と表される
のは,バネが自然長のときに物体がある位置を x 軸の
原点としたときである。今の場合,物体が静止してい
る位置では,下向きの重力と上向きのバネの力がつり
あっているので,バネは自然長より伸びている。伸びの
大きさ L は
より
kL = mg
L =
x
a
0
mg
k
−a
である。距離 L だけずれして x (= x − L) 軸をとると,
図 3.4: バネの力がする仕事(3)
バネの力は F = −kx と表せる。
よって,物体が x = −a から x = 0 まで移動するあいだに,バネの力が物体にする仕事 W
は
−L
1 2
W =
(−kx ) dx = − x
2
−a−L
−L
−a−L
= −
1
1 2
(−L)2 − (−a − L)2 =
a + 2aL
2
2
となる。
3.2
3.2.1
保存力とポテンシャル
保存力
力 F (x) がする仕事は,力の積分で与え
られる:
W =
F (x) dx.
(3.4)
ここでは,再び,バネの力を例にとって,
力の積分と力の特徴について調べる。
図 3.5 の上図に示すように,物体が x =
x1 から x = x2 まで移動するときに,バ
ネの力が物体にする仕事は
W =
x2
x1
となる。
1
(−kx) dx = − x22 − x12
2
0
x1
x2
0
x1
x2
x軸
x3
x軸
図 3.5: バネの力がする仕事(4)
一方,図 3.5 の下図に示すように,物体が x = x1 から x = x3 を経由して x = x2 まで移
第3章
28
1次元の運動(2)
動するときに,バネの力が物体にする仕事は
W
=
x3
x1
= −
(−kx) dx +
x2
x3
(−kx) dx
1 2
1
1 2
x3 − x12 −
x2 − x32 = − x22 − x12
2
2
2
となる。これは上で求めた仕事と同じである。バネの力がする仕事,すなわち,バネの力の
積分は,始点 x = x1 と終点 x = x2 が同じであれば,途中でどのように物体が動こうと,
同じ値になる。これは,バネの力の大きな特徴である。
力の積分の値が,積分の始点と終点の位置だけで決まり,始点と終点を結ぶ経路によ
らないとき,このような力を 保存力 という。
バネの力は保存力である。一様な重力もまた保存力である。
3.2.2
ポテンシャル
保存力 F (x) の積分の値は,積分の始点と終点だけによって決まる。そこで,始点として
ある基準点 x = xs を選び,基準点から終点 x までの積分によって,位置 x の関数 U (x) を
U (x) = −
x
xs
F (x ) dx
(3.5)
によって定義することができる。これを,力 F (x) の ポテンシャル とよぶ。積分の前の負
号は便宜上つけたものである。
ポテンシャル U (x) が与えられると,力 F (x) はポテンシャルの微分で与えられる:
F (x) = −
dU (x)
.
dx
(3.6)
また,x = x1 から x = x2 までの力 F (x) の積分はポテンシャル U (x) の2点での値の差で
与えられる:
x2
x1
F (x) dx = U (x2 ) − U (x1 ).
(3.7)
バネの力は保存力であるのでポテンシャルが存在し,
U (x) =
1 2
kx
2
(3.8)
である。ただし,バネが自然長であるときの位置を基準点とする。ポテンシャル (3.8) から,
バネの力は
F =−
と求められる。
dU
= −kx
dx
(3.9)
3.2. 保存力とポテンシャル
29
一様な重力も保存力であるのでポテンシャルが存在する。鉛直上向きに x 軸をとると,力
は F (x) = −mg と表され,ポテンシャルは
U (x) = −
x
xs
x
F (x ) dx =
xs
mg dx = mgx − mgxs
となる。ただし,一様な重力には,バネの場合の自然長に対応する特別な位置がないので,
基準点 x = xs は任意に選ぶことができる。基準点を x 軸の原点とすると(あるいは,x 軸
の原点をポテンシャルの基準点とすると)一様な重力のポテンシャルは
U (x) = mgx
(3.10)
となる。
3.2.3
エネルギーの保存
質量 m の質点に保存力 F (x) がはたらくとき,質点の運動方程式は
m
d2 x(t)
= F (x)
dt2
(3.11)
である。まず,両辺に dx/dt をかける:
m
ここで,左辺は
m
dx(t)
d2 x(t) dx(t)
= F (x)
2
dt
dt
dt
1
d
d2 x(t) dx(t)
= m
dt2
dt
2 dt
であるので,(3.12) は
d
1
m
2 dt
dx(t)
dt
2
= F (x)
dx(t)
dt
(3.12)
2
dx(t)
dt
(3.13)
と書き直せる。つぎに,(3.13) の両辺を時間 t について,質点が点 A を通る時刻 tA から
点 B を通る時刻 tB まで積分する。左辺は
tB
1
tA
d
m
2 dt
dx(t)
dt
2
dt =
1
2
dx(t)
dt
2 tB
=
tA
1
1
m vB2 − m vA2
2
2
(3.14)
であり,ここに,vA と vB は,それぞれ,点 A と点 B における質点の速度の大きさであ
る。一方,右辺は
tB
tA
dx(t)
dt =
F (x)
dt
xB
xA
F (x) dx = U (xA ) − U (xB )
(3.15)
と,保存力 F (x) の積分をポテンシャルの差で置き換えた。(3.14) と (3.15) より
1
1
m vA2 + U (xA ) = m vB2 + U (xB )
2
2
が得られる。すなわち,
(3.16)
第3章
30
1次元の運動(2)
質量 m の質点に保存力がはたらくとき,
1
m v2 + U = E
2
(3.17)
は一定に保たれる。左辺の第1項は 運動エネルギー,第2項は 位置エネルギー(ポテ
ンシャル),E は全エネルギーである。これを 力学的エネルギー保存の法則 という。
力学的エネルギーが保存するとは,力学的エネルギーが時間に依らない定数であることであ
る。また,エネルギー E は初期条件によって決まる。
力学的エネルギーの保存則は,力 F (x) が保存力であるという仮定と,運動方程式から導か
れる(上に示したのは,単に数学的な変形である)。つまり,力 F (x) の積分が始点と終点
だけで決まるならば,位置 x の関数であるポテンシャル U (x) が定義でき,運動エネルギー
とポテンシャルエネルギーの和が保存するのである。
質点(物体)に作用する力が1つである必要はない。複数の力(種類が異なってもよい)が
作用していて,それらの力が全て保存力であるならば,それぞれの力のポテンシャルが定義
でき,力学的エネルギーは保存する。しかし,保存力でない力がはたらいているときは,た
とえその他の力が保存力であっても,力学的エネルギーは保存しない。たとえば,摩擦力は
保存力でないので,摩擦がある場合の運動では力学的エネルギーは保存しない。
バネの力によって単振動する物体の力学的エネルギーの保存
一端を固定したバネにつながれ,滑らかな水平な床の上を直線状に運動する質量 m 物体
の運動方程式は
d2 x(t)
= −kx
dt2
と書ける。ここに,k はバネ定数で,バネが自然長のときの物体の位置を x 軸の原点に取っ
た。バネの力は保存力であるのでポテンシャル U (x) が存在し,運動方程式から力学的エネ
ルギーの保存則が導かれる:
m
1
dx(t)
m
2
dt
2
1
+ kx2 = E.
2
運動方程式の解は
k
m
と表せる。このとき,運動エネルギー K とポテンシャルエネルギー U は
1
1
K = m a2 ω 2 cos2 (ωt + φ),
U = k a2 sin2 (ωt + φ)
2
2
である。ここで,運動エネルギー項に含まれる因子が m ω 2 = k であることから,力学的エ
ネルギーは
1
1
E = ka2 cos2 (ωt + φ) + sin2 (ωt + φ) = ka2
(3.18)
2
2
と,確かに,時間に依存しない定数になる。振幅 a は初期条件で決まる。図 3.6 に,運動エ
ネルギーとポテンシャルエネルギーが時間とともに相互に移り変わる様子を示す(φ = 0)。
x(t) = a sin(ωt + φ),
ω =
3.3. ポテンシャル内の運動
31
E
0
0
1
2
3
t/T
図 3.6: 単振動における運動エネルギー(濃い灰色)とポテンシャルエネルギー(薄い灰色)
3.3
ポテンシャル内の運動
ポテンシャル U (x) 内の質量 m の質点の1次元運動を考える。ポテンシャルを
U (x) = − x3 + 3x2
(3.19)
とする。質点に作用する力はポテンシャルから導かれ
F =−
dU
= 3x2 − 6x
dx
(3.20)
である。F が正(負)のとき,質点には x 軸の正(負)の向きに力がはたらく。ポテンシャ
ル内の運動では力学的エネルギーが保存し,
1
mv 2 + U (x) = E
2
(3.21)
が成り立つ。E は定数であり,速度 v は位置の関数である。
このように単純な場合でも,運動方程式の解を見つけるのは難しい。しかし,エネルギー
保存の法則から,運動の様子をある程度知ることができる。
3.3.1
運動が許される範囲
運動が許されるのは,運動エネルギーが正となる領域,すなわち,ポテンシャル U (x) が
1
m v 2 = E − U (x) ≥ 0
2
(3.22)
を満足する領域である。E − U = 0 となる点に来ると,運動は一時止まって折り返す。ポテ
ンシャル (3.19) は,x = 0 で極小値 U (0) = 0,x = 2 で極大値 U (2) = 4 をとる。x < 0 と
2 < x でポテンシャルは減少し(x の正の向きに力がはたらく),0 < x < 2 でポテンシャ
ルは増加(負の向きに力がはたらく)する(図 3.7)。
(1) E > 4 の場合(図 3.7 左)
U (x) = E を満たすのは1点である。この点の x 座標を x0 とすると,x < x0 の領域には
第3章
32
1次元の運動(2)
(3.22) に反するので入れない。x > x0 で正の向きに運動を始めると,速度はポテンシャル
に応じて変化するが,正の向きにどこまでも運動を続ける。x > x0 で負の向きに運動を始
めると,x = x0 の点で一時止まって折り返し,その後は正の向きに運動を続ける。
U(x)
U(x)
U(x)
E>4
0<E<4
x0
x
x0 O
O
x
E<0
x
x1 O
x2
x3
図 3.7: ポテンシャル内で運動が許される範囲
(2) E < 0 の場合(図 3.7 中)
この場合も U (x) = E を満たすのは1点である。この点の x 座標を x0 とすると,(3.22) か
ら,運動を許される領域は x ≥ x0 である。負の向きに運動を始めたときは x = x0 で折り
返し,その後,正の向きに運動する。正の向きに運動を始めると,そのまま進み続ける。
(3) 0 < E < 4 の場合(図 3.7 右)
U (x) = E を満たす点は3つある。値が小さい方から x1 , x2 , x3 とすると,運動の様子は,
運動を始める点が x3 < x か x1 < x < x2 かによって異なる。前者の場合は,(2) と同様で
ある(x3 を x0 と読みかえればよい)。後者の場合は,x = x1 と x = x2 のあいだの周期運
動になる。全エネルギーが大きいほど振幅は大きくなる。x = x1 と x = x2 のあいだを往
復するのに要する時間が周期である。一般に,周期や運動の詳細は,ポテンシャル U (x) の
形と全エネルギーに関係する。
3.3.2
極小点近傍での微小振動
極小点 x = 0 の近傍で全エネルギーが 0 より僅かに大きい場合,運動は 微小振動 にな
る(図 3.8)。| x | が小さいとき,ポテンシャル (3.19) の2つの項を比べると,x3 の項は x2
の項より無視できるほど小さい。すなわち,ポテンシャルは U (x) = 3x2 (図 3.8 の破線)
で,力は F = −6x で近似できる。x = 0 からの変位に比例する引力であるから,運動は単
振動である。
3.3. ポテンシャル内の運動
33
この例に限らず,ポテンシャルが極小になる点 x = a の近傍でポテンシャルをテーラー
展開すると,
dU (x) 1 d2 U (x) U (x) = U (0) +
(x
−
a)
+
(x − a)2
dx x=a
2 dx2 x=a
1 d3 U (x) +
(x − a)3 + · · ·
6 dx3 x=a
(3.23)
となる。右辺の第1項は定数であり,微分すると 0 になるので,力には影響を与えない。第
U(x)
x
O
図 3.8: 極小点近傍の近似
2項の1階微分は,極小の条件より
dU (x)
=0
dx
である。主要項は,2階微分に対応する,変位の2乗に比例する項である。
1
U (x) = k (x − a)2 ,
2
(3.24)
d2 U (x) k =
dx2 x=a
(3.25)
このとき,力は
F (x) = −
dU (x)
= − k (x − a)
dx
(3.26)
であるから,運動方程式は
d2 x(t)
= −k (x(t) − a)
dt2
となる。この運動方程式の解は x = a を中心とする単振動である。
m
(3.27)
一般に,ポテンシャルはなめらかな極小をもつことが多い。従って,極小点の近傍の微
小振動は単振動と見なされる。
第3章
34
3.4
1次元の運動(2)
関数の級数展開
x の関数 f (x) の,x のある値 x = a の近傍における関数 f (x) の値は,f (x) を (x − a)
の級数で展開して求めることができる。
f (x) =
∞
1 dn f (x) n! dxn x=a
n=0
(x − a)n
(3.28)
これを テーラー(Taylor)展開 という。とくに,x = 0 の近傍での展開(上の式で a = 0
とした場合)を マクローリン(MacLaurin)展開 という。以下に,いくつかの関数につ
いて,級数展開の式を示す。そこに現れる階乗は次の式で定義される。
n! = n(n−1) · · · 2 · 1,
n!! =
⎧
⎨ n(n−2)(n−4) · · · 3 · 1
(n : 奇数)
⎩ n(n−2)(n−4) · · · 4 · 2
(n : 偶数)
0! = 1.
(3.29)
,
(3.30)
0!! = (−1)!! = 1.
(1) (1 + x)α
∞
α(α−1) · · · (α−n+1) n
x
(1 + x)α =
n!
n=0
= 1 + αx +
α(α−1) 2 α(α−1)(α−2) 3
x +
x + ···
2!
3!
(|x| < 1)
(3.31)
特に,α = −1/2, −3/2 のとき,
√
1
1+x
=
∞
(−1)n
n=0
= 1−
1
(1 + x)3/2
=
∞
x 3x2 5x3 35x4
+
−
+
− +···
2
8
16
128
(−1)n
n=0
= 1−
(2n − 1)!! n
x
(2n)!!
(|x| < 1)
(3.32)
(2n + 1)!! n
x
(2n)!!
35x3 315x4
3x 15x2
+
−
+
− +···
2
8
16
128
(|x| < 1)
(3.33)
sin x と tan x は奇関数であるので x の奇数次の項だけ,cos x は偶関数
(2) 三角関数
であるので偶数次の項だけで展開される。
sin x =
∞
n=0
(−1)n
x3
x5
x2n+1
=x−
+
− +···
(2n + 1)!
6
120
(|x| < ∞)
(3.34)
3.4. 関数の級数展開
cos x =
∞
35
(−1)n
n=0
tan x =
x2 x4
x2n
=1−
+
− +···
(2n)!
2
24
(|x| < ∞)
(3.35)
∞
22n (22n − 1)Bn 2n−1
x
(2n)!
n=1
x3 2x5 17x7 62x9 1382x11
= x+
+
+
+
+
+ ···
3
15
315
2835
155925
π
|x| <
2
(3.36)
ここで,Bn はベルヌーイ(Bernoulli)数で
B1 =
1
1
1
1
5
691
, B2 = , B3 = , B4 = , B5 = , B6 =
, ···.
6
30
42
30
66
2730
(3.37)
3種類の三角関数の級数展開を,1項(点線),2項(破線),3項(一点鎖線),4項(二
1.2
1.0
sin x
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
-0.2
0
π
6
π
3
π
2
2π
3
5π
6
3.0
π
2.8
2.6
1.2
2.4
1.0
2.2
0.8
2.0
0.6
1.8
0.4
1.6
tan x
cos x
x (radian)
0.2
1.4
0.0
1.2
-0.2
1.0
-0.4
0.8
-0.6
0.6
-0.8
0.4
-1.0
0.2
-1.2
0
π
6
π
3
π
2
2π
3
5π
6
π
0.0
0
x (radian)
π
6
π
3
π
2
x (radian)
図 3.9: 三角関数の級数展開
点鎖線)まで取ったときの近似の程度を図 3.9 に示す。実線が近似しない場合である。
(3) 対数関数
対数関数 log x は x = 0 で発散してしまうので,x = 0 の近傍で展開でき
第3章
36
1次元の運動(2)
ない。
∞
log (1 + x) =
(−1)n−1
n=1
= x−
xn
n
x2 x3 x4
+
−
+ −···
2
3
4
(|x| ≤ 1, x = −1)
(3.38)
(4) 指数関数
ex =
∞
xn
n=0
n!
=1+
x
x2 x3
+
+
+ ···
1!
2!
3!
(|x| < ∞)
(3.39)
ここで,実数 x を純虚数 i x で置き換え,実数の項と虚数の項を別々にまとめると
eix = 1 + i x −
=
x3 x4
x5 x6
x2
−i
+
+i
−
− +···
2!
3!
4!
5!
6!
x2 x4 x6
+
−
+ −··· + i
1−
2!
4!
6!
x3 x5
+
− +···
x−
3!
5!
(3.40)
となる。三角関数の級数展開と比べて,
eix = cos x + i sin x
(3.41)
であることがわかる。逆に,三角関数は
cos x =
eix + e−ix
,
2
sin x =
eix − e−ix
2i
(3.42)
と表される。虚数 ix による置き換えは形式的なものであり,複素関数としての指数関数の定
義を待たなければならない。しかし,複素関数論における指数関数の定義においても (3.41)
の関係は成り立つ。
(5) 双曲線関数
sinh x =
∞
ex − e−x
x2n+1
=
2
(2n + 1)!
n=0
(3.43)
cosh x =
∞
x2n
ex + e−x
=
2
(2n)!
n=0
(3.44)
ダウンロード

第3章 1次元の運動(2)