磁気圧優勢領域を含む
二温度ブラックホール降着円盤
の定常解
小田寛(千葉大)
中村賢仁(松江高専)、町田真美(国立
天文台)、松元亮治(千葉大)
©DanReed.net
降着円盤
(プラズマ)軟Ⅹ線 硬Ⅹ線
降着円盤とは
ブラックホール降着円盤の
想像図
ブラックホール候補天体
質量降着
伴星
ガスの重力エネルギー → 熱エネルギー
→ 放射エネルギー
ものが沢山落ちると明るく光る (質量降着率∝光度)
ブラックホール候補天体のアウトバースト(増光時)の
観測的特徴
Hard X-ray
Low/Hard
スペクトルはPower Law
暗い状態から始まり、
エディントン光度の20%以上
まで明るくなる(これが問題)
光学的に薄い
(半透明な)円盤
軟X線
光
度
硬X線
明
0.2LEdd
VeryHigh/
SteepPowerLaw
?
暗
Gierlinski &
Newton 2006
MJD (単位:日)
Soft X-ray
光学的に厚い
(不透明な)円盤
Hardness
スペクトルはSteep なPower Law
逆コンプトン散乱によるものか?
High/Soft
スペクトルは黒体放射
明るい
Hard→Softの遷移は
市丸によって世界で初めて
指摘されていた
降着円盤の各X線スペクトル状態の理論モデル
各モデルで共通:円盤はケプラー回転(差動回転)→粘性加熱で温められる
各モデルの相違点:冷却メカニズム
移流優勢円盤(ADAF)
Low/Hardに対応
高温(~109K)
放射は非効率的な
ので円盤はあまり冷
えない
BH
放射冷却(制動放射、
シンクロトロン、
コンプトン、etc…
Hard X-Ray)
移流冷却
粘性
加熱
幾
何
学
的
に
厚
い
光学的に薄い(半透明)
高温のためガス圧が高く
円盤は膨らむ
標準円盤
High/Softに対応
低温(~107K)
黒体放射(Soft X-Ray)
よく放射(黒体放射)
し円盤はよく冷える
放
射
冷
幾
却
何
BH
粘性加熱
学
的
薄
い
光学的に厚い(不透明)
低温のためガス圧が低く
円盤は収縮
降着円盤の各X線スペクトル状態の理論モデル
各モデルで共通:円盤はケプラー回転(差動回転)→粘性加熱で温められる
各モデルの相違点:冷却メカニズム
移流優勢円盤(ADAF)
Low/Hardに対応
高温(~109K)
放射冷却(制動放射、
シンクロトロン、
コンプトン、etc…
Hard X-Ray)
標準円盤
High/Softに対応
低温(~107K)
黒体放射(Soft X-Ray)
放射は非効率的な
よく放射(黒体放射)
ので円盤はあまり冷
し円盤はよく冷える
えない
放
熱平衡曲線
幾
射
何
質
冷
幾
学
粘性
量
却
移流冷却
BH
何
的
降 加熱
BH
粘性加熱
学
に
着
的
厚
率
薄
い
Abramowicz et al. 1995
い
表面密度
光学的に薄い(半透明)
高温のためガス圧が高く
円盤は膨らむ
光学的に厚い(不透明)
低温のためガス圧が低く
円盤は収縮
問題点:理論と観測の不一致
光
度
軟X線
硬X線
明
0.2LEdd
暗
Gierlinski &
Newton 2006
MJD (単位:日)
0.2LEdd以上/ハードの状態が
観測されているが…
VeryHigh/SteepPowerLaw
なる状態が観測されているが…
Hardness
α=0.1
熱平衡曲線
Low/Hardに対応するADAFブランチは
0.2LEdd以上には存在しない
質
0.2LEdd
量
降
VeryHigh/SteepPowerLawに
着
率
対応するブランチは無い
(円盤上空のコロナを考慮すると
説明できるとする説もあるが…) Abramowicz et al. 1995
表面密度
光学的に薄い(半透明な)磁気圧優勢解
(Oda et al. 06 PASJ 投稿中)
従来のモデルでは考慮されていなかった方位角方向磁場の効果を考慮

加熱機構として磁気加熱が加わった
放射冷却として熱的制動放射を考慮

簡単の為、シンクロトロン放射、逆コンプトン散乱は考慮しなかった
一温度プラズマを仮定

質
量
降
着
率
高温領域では必ずしも正しくない
熱平衡曲線
0.2LEdd
磁気加熱と放射冷却が
釣り合う磁気圧優勢解
が得られた
0.2LEddを説明できる
従来のモデル
表面密度
Abramowicz et al. 1995
今回の発表
放射冷却過程を拡張(前のモデルは制動放射のみ)




プラズマは相対論的な温度に達する → 相対論的制動放射
磁場を考慮した → シンクロトロン放射
自己吸収による多数のソフトフォトン+高エネルギー電子 → 逆コン
プトン散乱
VeryHigh/SteepPowerLawを説明できる可能性がある
これらは熱平衡状態に大きく影響する
二温度モデルの必要性(前のモデルはTi=Te)

BH近傍の高温領域ではイオン温度(Ti~1012K)>電子温度(Te~109K)
この領域ではイオン~電子間の(クーロン衝突による)エネルギー交換があまり効
かない
電子は放射冷却で冷える。(~109K)

本来、放射冷却は電子温度に依存するので、熱平衡状態に大きく影
響する
結果:熱平衡曲線
←Brems.-Comp.が
支配的 SPL?
質
量
降
着
率
ADAFの臨界降着率は
大幅に下がった
(Brems.-Comp.&
Synch.-Comp.が
効いている)
赤:強磁場
黒:弱磁場
表面密度
一温度モデルの熱平衡曲線
結果:熱平衡曲線
←Brems.-Comp.が
Ti
温
支配的 度 SPL?
ADAF
質
量
降
着
率
Te
0.2L
Ti>Te Edd
ADAFの臨界降着率は
大幅に下がった
(Brems.-Comp.&
Synch.-Comp.が
効いている)
表面密度
赤:強磁場
黒:弱磁場
表面密度
一温度モデルの熱平衡曲線
まとめ

ブラックホール候補天体のLow/Hard→High/Softの遷移時に
見られる0.2LEdd/Hardの状態 &
VeryHigh/SteepPowerLawを説明したい

方位角磁場を含めて、ブラックホール降着円盤の一次元軸対
称定常モデルを計算



二温度プラズマを仮定
相対論的制動放射、シンクロトロン放射、逆コンプトン散乱の効果を考慮
熱平衡曲線において磁気圧優勢ブランチが得られた


観測される0.2LEddの状態を説明できた
磁気圧優勢ブランチ上の、逆コンプトンの効果が支配的な領域が、
VeryHigh/SteepPowerLawに対応する熱平衡状態の候補に成り得る

rad (電子)
ie
エネルギーバランス 0  Q  Q
ie

adv
Q
e
移流冷却
Q
(イオン)
クーロン衝突によるイオンから
電子へのエネルギー輸送
ion
粘性加熱
M
 Q Q

Qrad
 Qbr  Qbr ,C  Qsy  Qsy ,C
放射冷却

adv

vis
kTi


2
2 m
  1 (Entropy gradient parameter)
d K
Q  W
d
W  Wgas  Wmag 

vis
Q ie
円筒座標  ,  , z 
基礎方程式(一次元定常軸対称)
z
M  2v
質量保存
Disk
BH

角運動量保存
  5rsの局所的な解
エネルギー式
M (l  lin )  2 2W

0  Qie  Qrad


Qadv
 Qvis
 Qie
ケプラー回転を仮定: l  lK ,    K
(電子)
(イオン)
磁束降着率を以下のように仮定
 


    v B dz   out 
H
  out
H
 0



 0

Z方向に静水圧平衡、等温
表面密度:
H
   dz
H
Z方向積分した圧力:
H
W   ( pgas  pmag )dz
H
 は中心ほど大

円盤の半分の厚さ:
Fluxはそのまま降着
∵磁場が中心ほど
(理想MHDの
誘導方程式と同等) 折れ曲がって増幅
と仮定(net fluxは保存) 粘性パラメータ:α=0.05
(Machida et al. 06 の3DMHDではζ~1)
1 W 
H
 K   
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