No: 2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
−1−
< 関数の極限 >
関数 f (x) の定義域内で、x が a と異な
る値をとりながら、a に限りなく近づく
とき、どのように近づいても f (x) の値
が一定の値 b に限りなく近づくならば、
これを
x → a のとき f (x) → b
または
lim f (x) = b
x→a
と表し、b を、x が a に限りなく近づく
ときの f (x) の極限値という。
√
√
√
√
例 1 lim x2 + 2x = 32 + 2 × 3 = 9 + 6 = 15
x→3
x2 − 1
22 − 1
=
=3
x→2 x − 1
2−1
例 2 lim
x2 − 1
(x − 1)(x + 1)
= lim
= lim (x + 1) = 1 + 1 = 2
x→1 x − 1
x→1
x→1
x−1
例 3 lim
x2 − 1
は x = 1 では定義されていない。無理に代入すると
x−1
0
f (1) = の形で計算できないので、分子を因数分解して代入できる形になおしてから
0
x = 1 を代入する。
(注) 例 3 の場合 f (x) =
x2 − x − 2
(x + 1)(x − 2)
= lim
= lim (x − 2) = −1 − 2 = −3
x→−1
x→−1
x→−1
x+1
x+1
例 4 lim
問 次の極限値を求めよ。
(1) lim
x→3
√
x+1
(3) lim sin x
x→0
(2) limπ cos x
x→ 3
(4) lim1 log2 x
x→ 2
x2 − 1
x→0 x − 1
(6) lim
x2 − 4x + 3
x→1
x−1
(8)
(5) lim
(7) lim
x2 − x − 2
x→2
x+1
x2 − x − 6
x→−2
x+2
lim
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
−2−
< 左極限・右極限 1 >
1. < 左表現・右表現 >
ワークブック初級編 N o.1(P50) の結果より 1 を循環小数によって 2 通りに表すことができる。
1 = 0.9̇ = 0.99999 · · · (左表現)
1 = 1.0̇ = 1.00000 · · · (右表現)
この場合に 0.9̇ を 1 の 左表現 , 1.0̇ を 1 の 右表現 ということにする。
(注) この用語「左表現」「右表現」は数学で一般的に使われる用語ではなく、
ワークブックだけで便宜上用いる言葉である。
例1
(1) 3 の左表現 = 2.9̇ , 3 の右表現 = 3.0̇
(2) 2.5 の左表現 = 2.49̇ , 2.5 の右表現 = 2.50̇
問1
(1) 10 の左表現 =
, 10 の右表現 =
(2) 5.3 の左表現 =
, 5.3 の右表現 =
2. < 左極限・右極限 >
変数 x が a に近づくとき、
(1) a より小さい値をとりながら a に近づく場合に x → a − 0
(2) a より大きい値をとりながら a に近づく場合に x → a + 0
と表し、(1) を a への左側からの極限 (左極限)、(2) を a への右側からの極限 (右極限) という。
例2
lim [x] を考える。
x→2−0
x → 2 − 0 とは x = 1.9, x = 1.99, x = 1.999, · · ·
というふうに 2 より小さい値をとりながら 2 に近づく極限である。
ガウス記号 [x] の定義より
より
[1.9] = 1 , [1.99] = 1 , [1.999] = 1 , · · ·
lim [x] = 1
x→2−0
例3
lim [x] を考える。
x→2+0
x → 2 + 0 とは x = 2.1, x = 2.01, x = 2.001, · · ·
というふうに 2 より大きい値をとりながら 2 に近づく極限である。
より
[2.1] = 2 , [2.01] = 2 , [2.001] = 2 , · · ·
lim [x] = 2
x→2+0
問2
次の極限値を求めよ。
(1) lim [x] =
(2) lim [x] =
(3) lim [x] =
(4) lim [x] =
x→1−0
x→3−0
x→1+0
x→3+0
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
−3−
< 左極限・右極限 2 >
(1) 0 への左極限 x → 0 − 0 を略して x → −0 と書く。
x → −0 とは x = −0.1 , x = −0.01 , x = −0.001 , · · ·
というふうに 0 より小さい値をとりながら 0 に近づく極限で
ある。
(2) 0 への右極限 x → 0 + 0 を略して x → +0 と書く。
x → +0 とは x → 0.1 , x = 0.01 , x = 0.001 , · · ·
というふうに 0 より大きい値をとりながら 0 に近づく極限で
ある。
問 1 次の極限値を求めよ。
(1) lim [x] =
(2) lim [x] =
x→+0
x→+0
1
1
を考える。x と の対応
x→+0 x
x
例 1 (1) lim
より x → +0 のとき
従って
1
は限りなく大きくなる。
x
1
= +∞
x→+0 x
lim
1
1
を考える。x と の対応
x→−0 x
x
(2) lim
より
1
= −∞
x→−0 x
lim
例 2 右図より
lim tan x = +∞
x→ π2 −0
lim tan x = −∞
x→ π2 +0
問 2 次の極限値を求めよ。
(1)
1
x→2+0 x − 2
lim
(2)
1
x→2−0 x − 2
lim
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
−4−
< 左極限・右極限 3 >
¡
¢
関数 f (x) が「 x → a のとき f (x) → b に収束する = lim f (x) = b 」ということ
x→a
は, x が a 以外の値をとりながら, a に限りなく近づくとき,どのように近づいても
¡
¢
f (x) の値が一定の値 b に近づくという意味である。従って左極限 lim f (x)
x→a−0
および,右極限
¡
¢
lim f (x) も共に b に収束する。逆に左極限と右極限が共に b に
x→a+0
収束すれば lim f (x) = b が成り立つ。すなわち,
x→a
[ 定理 ]
lim f (x) = b
x→a
lim f (x) = b かつ
⇔
x→a−0
lim f (x) = b
x→a+0
が成り立つ(証明略)。
例 1 f (x) =
x2 − 1
(x 6= 1) の場合,y = f (x) のグラフは
x−1
右図のようになるので
lim f (x) = 2 ,
x→1−0
より
lim f (x) = 2
x→1+0
lim f (x) = 2
x→1
が成り立つ。これは 1 ページ例 3 をより正確に表現したものである。
(注)この例 1 のように x = 1 の値が定義されてなくても lim f (x) が定まるときが
x→1
ある。
例 2 f (x) = [x] の場合
lim f (x) = lim f [x] = 1
x→2−0
x→2−0
lim f (x) = lim f [x] = 2
x→2+0
x→2+0
であるから左極限と右極限の値が違うので 極限 lim f (x) は定まらない。
x→2
問 f (x) が以下の場合について,次の左極限と右極限を求め,
両方が一致した場合は, lim f (x) = b の形で書け。
x→a
(1) lim |x|
x→−0
(2) lim
x→−0
=
,
|x|
=
x
,
lim |x|
x→+0
lim
x→+0
=
|x|
=
x
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
< 弧度法の復習 >
中心角 θ,半径 r の扇形 OAB
の弧の長さ ` と扇形 OAB の
面積 S を求めたい。
(1) θ = 2π (ラジアン)= 360◦ のときは
` は円周の長さだから
` = 2πr
であり S は円の面積だから
S = πr2
(2) θ = π (ラジアン)= 180◦ のときは
(1) の半分であるから
` = πr
1
S = πr2
2
π
(ラジアン)= 90◦ のときは
2
1
(1) の であるから
4
1
` = πr
2
1
S = πr2
4
(3) θ =
問 1 次の表を完成させよ。
問 2 上の表を参考にして,一般に角度が θ(ラジアン)であるとき
弧の長さ ` と扇形 OAB の面積 S を r と θ を用いて表せ。
`=
S=
−5−
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
−6−
< 三角関数の極限 1 >
円周率 π は半径 1 の円周の長さである。
アルキメデスは半径 1 の円に内接する正多角形と
外接する正多角形の周の長さを計って円周率 π を
計算した。実際には正 6 角形から始めて正 12 角形,
正 24 角形,48 角形,96 角形と計算して
10
1
3 (= 3.1408) < π < 3 (= 3.1429)
71
7
を得たのである。
アルキメデスの考えは図 2 の角 θ が小さくなるとき,弧 BAB0
の長さは内接多角形の辺 BB0 と外接多角形の辺 CC0 で近似
でき,さらに
BB0 の長さ < 弧 BAB0 の長さ < CC0 の長さ
がなりたつ。
ここではアルキメデスの考えを用いてある不等式を導く。
π
図 3 において角度 θ は弧度法で測り 0 < θ < とする。
2
また
`1 : 線分 BH の長さ
`2 : 弧 AB の長さ
`3 : 線分 AC の長さ
とする。
問 1 `1 と `3 の長さを θ を用いた三角関数で表せ。
`1 =
,
`3 =
問 2 `2 の長さを θ を用いて表せ。(ヒント:半径 r,中心角 θ の弧の長さは前ページ問 2 の `)
`2 =
問 3 アルキメデスの考えより `1 < `2 < `3 である。この不等式を θ で表し,単純化せよ。
問 4 tan θ =
sin θ
を利用して問 3 で得られた不等式を次の形にせよ。
cos θ
0<θ<
π
のとき
2
<θ<
の中を sin θ と cos θ だけを使って表せ。
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
−7−
< 三角関数の極限 2 >
sin θ
=1
θ→0 θ
[定理]
lim
問 以下の証明中の
内に適当な数または数式を記入せよ。
[定理の証明]
[1]
sin θ
= 1 を示す。
θ→+0 θ
lim
前ページの結果より 0 < θ <
(∗)
sin θ < θ <
π
のとき
2
sin θ
cos θ
がわかる。cos θ > 0,θ > 0 より
θ<
sin θ
cos θ
⇒
<
sin θ
θ
··· ①
また
⇒
sin θ < θ
sin θ
<
θ
··· ②
①,②より
<
sin θ
<
θ
··· ③
ここで θ → +0 のとき cos θ → cos 0 = 1 より③から
sin θ
=1
θ→+0 θ
lim
がわかる。
[2]
sin θ
= 1 を示す。
θ→−0 θ
lim
θ → −0 のとき θ = −θ1 (θ1 > 0) とおくと,θ1 → +0 より
lim
θ→−0
sin θ
sin(−θ1 )
= lim
= lim
θ
→+0
θ1 →+0
θ
−θ1
1
−θ1
= lim
θ1 →+0
sin θ1
=1
θ1
[3] [1] と [2] より右極限値と左極限値が一致するので定理の極限が証明された。
(証明終)
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
−8−
< 三角関数の極限 3 >
前ページの結果より
lim
x→0
sin x
= 1
x
が成り立つ。この極限の応用問題を練習する。
sin(2x)
sin(2x)
= lim 2 ×
= 2×1 = 2
x→0
x→0
x
2x
例 1 lim
例2
1 − cos x
12 − cos2 x
sin2 x
lim
= lim 2
= lim 2
x→0
x→0 x (1 + cos x)
x→0 x (1 + cos x)
x2
¶2
µ
1
1
1
sin x
= lim
×
= 12 ×
=
x→0
x
1 + cos x
1 + cos 0
2
問 次の極限値を求めよ。
(1) lim
x→0
tan x
x
sin(2x)
x→0
3x
(2) lim
sin(3x)
x→0 sin(5x)
(3) lim
1 − cos x
x→0 x sin x
(4) lim
cos x − 1
x→0
x
(5) lim
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
−9−
< 三角関数の極限 4 >
前ページの結果より
sin h
cos h − 1
= 1 , lim
= 0
h→0 h
h→0
h
lim
が成り立つ。
¢
¡π¢
+
h
−
sin
sin π2 cos h + cos π2 sin h − sin π2
2
2
例 lim
= lim
h→0
h→0
h
h
½
¾
sin π2 (cos h − 1) + cos π2 sin h
sin π2 (cos h − 1) cos π2 sin h
= lim
= lim
+
h→0
h→0
h
h
h
µ
¶
µ
¶¾
½³
³
³ π´
³
π ´ sin h
π´
π ´ cos h − 1
+ cos
= sin
= lim
× 0 + cos
×1
sin
h→0
2
h
2
h
2
2
π
= cos = 0
2
sin
¡π
問 次の極限値を求めよ。
(1) lim
h→0
sin
¡π
3
¢
+ h − sin π3
h
cos(π + h) − cos π
h→0
h
(2) lim
sin(x + h) − sin x
h→0
h
(3) lim
cos(x + h) − cos x
h→0
h
(4) lim
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 10 −
< 関数の極限の練習 >
問 1 関数 y = f (x) のグラフが右図のような場合に
次の極限値を求めよ。(極限値が存在しない場合はそのように記せ。)
lim f (x) =
, lim f (x) =
, lim f (x) =
lim f (x) =
,
lim f (x) =
, lim f (x) =
lim f (x) =
,
lim f (x) =
, lim f (x) =
lim f (x) =
,
lim f (x) =
, lim f (x) =
x→+0
x→−0
x→a+0
x→b+0
x→c+0
x→a−0
x→b−0
x→c−0
x→0
x→a
x→b
x→c
問 2 次の極限値を求めよ。(極限値が存在しない場合はそのように記せ。)
1
(1) lim x
x→+0
1
(2) lim x
x→−0
1
x2
(4) lim
x→+0
√
(7) lim
x→0
(5) lim
x→−0
1
(3)lim x
x→0
1
x2
(6)lim 12
x→0 x
x+1 −1
x
1
x −1
(8) lim
x→1 x − 1
(9) lim
sin
x→0
¡2 ¢
x
3
x
(11) lim
tan(3x)
sin(2x)
(13) lim
x sin x
1 − cos x
x→0
x→0
◦
(10) lim sinxx
x→0
2
(12) lim sin x2
x→0 sin(x )
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 11 −
< 関数の連続性 >
関数 f (x) の定義域内の点 a に対し
lim f (x) = f (a)
x→a
が成り立つとき, f (x) は x = a で連続であるという。
2
例 1 f (x) = xx −−11 は x = 1 が定義域にないので, x = 1 で連続ではない。
例 2 f (x) =
⎧ 2
x −1
⎪
⎪
⎨ x−1
⎪
⎪
⎩
:
1
:
x 6= 1
のとき
x=1
2
lim f (x) = lim x − 1 = lim (x + 1) = 2
x→1
x→1 x − 1
x→1
f (1) = 1 より lim f (x) 6= f (1) だから x = 1 で f (x) は連続ではない。
x→1
例3
f (x) = [x]
(ガウス記号) のとき,
[x] は x を超えない最大の整数であるから,
y = f (x) のグラフは右図のようになる。これから
lim f (x) = 0
x→1−0
,
lim f (x) = 1
x→1+0
であるから, x → 1 のときの f (x) の極限はない。
従って lim f (x) の値が存在しないので, x = 1 で連続ではない。
x→1
(注) 例 2, 例 3 のように連続でない場合を不連続という。不連続の場合はグラフが
つながっていない。
問 f (x) が次の関数のとき, ( ) 内の点で連続かどうか判定し, その理由を述べよ。
(1) f (x) = tan x
(x = π )
2
(2) f (x) = |x|
(x = 0)
(3)f (x) = x − [x]
(x = 1)
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 12 −
< 微分可能性 >
関数 f (x) について, 極限値
lim
h→0
f (a + h) − f (a)
h
が存在するとき, 関数 f (x) は x = a で微分可能
であるという。また, この極限値を関数 f (x) の
x = a における微分係数または変化率といい,
f 0 (a) で表す。
f 0 (a) = lim
h→0
f (a + h) − f (a)
f (x) − f (a)
= lim
x−a
h
x→a
関数 f (x) が x = a で微分可能であるとき, 微分係数 f 0 (a) は曲線
y = f (x) 上の点 A(a , f (a)) における接線の傾きを表している。
[ 定理 ] 関数 f (x) が x = a で微分可能であれば, x = a で連続である。
o
n f (x) − f (a)
×
(x
−
a)
= f 0 (a) × 0 = 0 より
x−a
x→a
[ 証明 ] lim {f (x) − f (a)} = lim
x→a
lim f (x) = f (a)。従って x = a で連続である。(証明終)
x→a
ただしこの逆は成り立たない。
例 f (x) = |x − 1| は x = 1 で連続である。(右図)
しかし x = 1 で微分可能ではない。実際,
lim
f (1 + h) − f (1)
|h|
= lim
=1
h
h→+0 h
lim
f (1 + h) − f (1)
|h|
= lim
= −1
h
h→−0 h
h→+0
h→−0
より極限 lim
h→0
f (1 + h) − f (1)
は存在しないからである。
h
(注) 一般にグラフがなめらかな曲線のときは微分可能であり, 微分係数
はその傾きを表す。しかしグラフが尖った先端では (左右の傾きが違うため)
微分可能でない。
問 関数 f (x) = |x2 − 1| は, x = 1 で微分可能でないことを示せ。
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 13 −
< 導関数 1 >
関数 f (x) が定義域内のある範囲の全ての値で微分可能であるとき、
f (x) はその範囲で微分可能であるという。
関数 f (x) が、ある範囲で微分可能であるとき、その範囲の任意の
値 a に微分係数 f 0 (a) を対応させる関数を、f (x) の導関数といい、
f 0 (x)で表す。導関数 f 0 (x) は次の式で定義される。
f (x + h) − f (x)
h→0
h
f 0 (x) = lim
(導関数の定義)
√
例 f (x) = x の導関数を定義に従って求める。
√
√
x+h− x
f (x) = lim
h→0
h
(x + h) − x
= lim ¡√
√ ¢
h→0 h
x+h+ x
0
= lim √
h→0
1
1
√ = √
2 x
x+h+ x
関数 f (x) から、その導関数 f 0 (x) を求めることを、f (x) を微分するという。
問 次の関数を、定義に従って微分せよ。
(1) f (x) =
√
(2) f (x) =
1
x
x+1
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 14 −
< 導関数 2 >
√
1
例 1 前ページの例の場合 f (x) = x のとき f 0 (x) = √ であった。これを
2 x
¡√ ¢0
1
x = √
2 2
と略記する。
基礎数学ワークブック入門編 N o. 3 で次のことが成り立つことを学んでいる。
(C)0 = 0
(C は定数)
(xn )0 = nxn−1
(n は自然数)
さらに f (x) , g(x) がともに微分可能であるとき次式が成り立つ。
1. {kf (x)}0 = kf 0 (x)
(k は定数)
2. {f (x) + g(x)}0 = f 0 (x) + g 0 (x)
3. {f (x) − g(x)}0 = f 0 (x) − g 0 (x)
例 2 {4x3 − 5x2 + 6}0 = 4 × (x3 )0 − 5 × (x2 )0 + (6)0 = 4 × 3x2 − 5 × 2x + 0 = 12x2 − 10x
例 3 {(x2 − 3) (4x2 + 5)}0 = {4x4 − 7x2 − 15}0 = 16x3 − 14x
問 次の関数を微分せよ。
(1) y = x5
(2) y = x6
(3) y = −3x4
(4) y = x5 + 2x4
(5) y = 2x4 − 3x5
(6) y = (x − 1)(x2 + 1)
(7) y = (x + 1)(x2 − 4x)
(8) y = (x2 − 1)(x2 + x + 1)
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 15 −
< 積の微分 >
f (x), g(x) が共に微分可能であるとき, 次の公式が成り立つ。
©
[証明]
©
f (x) × g(x)
ª0
ª0
= f 0 (x) × g(x) + f (x) × g 0 (x)
(積の微分)
f (x + h)g(x + h) − f (x)g(x)
h→0
h
©
ª
©
ª
f (x + h) − f (x) g(x + h) + f (x) g(x + h) − g(x)
= lim
h→0
h
f (x) × g(x)
= lim
ここで f (x) , g(x) はともに微分可能であるから f (x + h) − f (x)
g(x + h) − g(x)
= f 0 (x) , lim
= g 0 (x)
h→0
h→0
h
h
lim
また, 微分可能ならば連続であるから
lim g(x + h) = g(x)
h→0
©
ª0
従って f (x) × g(x) = f 0 (x)g(x) + f (x)g 0 (x)
例1
(証明終)
© 2
ª0
(x − 3)(4x2 + 5) = (x2 − 3)0 × (4x2 + 5) + (x2 − 3) × (4x2 + 5)0
= 2x × (4x2 + 5) + (x2 − 3) × 8x = 16x3 − 14x
例2
例3
ª0
©
ª0 ©
(x + 1)2 = (x + 1)(x + 1) = (x + 1)0 × (x + 1) + (x + 1) × (x + 1)0 = 2(x + 1)
©
ª0 ©
ª0
ª0 ©
(x+1)3 = (x+1)2 ×(x+1) = (x+1)2 ×(x+1)+(x+1)2 ×(x+1)0 = 3(x+1)2
問 1 次の関数を微分せよ。
(1) y = (x − 1)(x2 + 1)
(2) y = (x + 1)(x2 − 4x)
(3) y = (x2 − 1)(x2 + x + 1)
(4) y = (x + 1)4
問 2 f (x) , g(x) , h(x) がともに微分可能であるとき次式を証明せよ。 ©
ª0
f (x)g(x)h(x) = f 0 (x)g(x)h(x) + f (x)g 0 (x)h(x) + f (x)g(x)h0 (x)
©¡
¢
ª0
(ヒント) f (x)g(x) × h(x) として積の微分公式を 2 回用いる。
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 16 −
< 商の微分 >
微分可能な 2 つの関数 f (x) , g(x) の商の導関数について, 次の公式が成り立つ。
1.
n
1
g(x)
o0
g (x)
= − {g(x)}
2
2.
n
f (x)
g(x)
o0
=
0
f 0 (x)g(x)−f (x)g 0 (x)
{g(x)}2
n 1 o0
[1] の証明
= lim
h→0
g(x)
1
g(x+h)
−
1
g(x)
h
1 g(x) − g(x + h)
×
h→0 h
g(x + h) × g(x)
o
n g(x + h) − g(x)
1
= lim −
×
h→0
h
g(x + h)g(x)
= lim
= −g 0 (x) ×
問1
(証明終)
f (x)
1
であることと上記 1 と積の微分公式を用いて 2 を証明せよ。
= f (x) ×
g(x)
g(x)
例 (1)
µ
1
x3
(2)
µ
x2
x−1
問2
1
g 0 (x)
=−
g(x)g(x)
{g(x)}2
¶0
=−
¶0
(x3 )0
3x2
3
=
−
=− 4
3
2
6
(x )
x
x
=
(x2 )0 × (x − 1) − x2 × (x − 1)0
2x(x − 1) − x2 × 1
x2 − 2x
=
=
(x − 1)2
(x − 1)2
(x − 1)2
次の関数を微分せよ。
(1)
1
x2
x+1
(3)
x2
(2)
1
2x2
x3
(4)
x+1
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 17 −
< 三角関数の微分 >
次が成り立つ.
1.
(sin x)0 = cos x
3.
(tan x)0 =
,
2.
(cos x)0 = − sin x
1
cos2 x
[証明] 1 と 2 は 9 ページの結果より得られる。
(sin x)0 = lim
sin(x + h) − sin x
h
(cos x)0 = lim
cos(x + h) − cos x
h
h→0
h→0
= cos x
= − sin x
3 は 1 と 2 の結果を用いると商の微分より
½
¾0
sin x
(sin x)0 × cos x − sin x × (cos x)0
cos2 x + sin2 x
1
0
(tan x) =
=
=
=
2
2
cos x
(cos x)
cos x
cos2 x
(証明終)
問 1 次の関数を微分せよ.
(1) 3 sin x + 4 cos x
(2) −3 cos x + 5 tan x
(3) sin x cos x
(4) sin2 x
(5) cos2 x
(6) x tan x
(7)
sin x
x
(8)
cos x
x
問 2 次の導関数を計算し,結果を sin x または cos x を用いてあらわせ.
(1) cosec x =
1
sin x
(2) sec x =
1
cos x
(3) cot x =
1
tan x
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 18 −
< 微分の練習 1 >
問 1 次の関数を定義に従って微分せよ。
(1) f (x) =
√
(2) f (x) =
1
x+1
x+3
問 2 次の関数を微分せよ。
(1) (x2 − 2x)(3x + 1)
(2) (2x3 + 1)(3x2 − 1)
(3) (x + 1)(x + 2)(x + 3)
(4)
2x
x+1
(6)
3x
(x + 1)2
(5)
x−1
x2 + 1
(7) 4 sin x − 5 cos x
(8) x2 sin x
(9) x3 cos x
(10)
tan x
x
(11) 2 sec x + 3 cot x
(12)
cos x
3 + sin x
問 3 次の関数の導関数を求め、結果を分数を用いないで表せ。
ただし n は自然数とする。
(1) x
−3
(2) x−4
(3) x−n
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 19 −
< 微分記号 >
関数 y = f (x) の導関数の定義は
f (x + h) − f (x)
h→0
h
である。導関数を
dy
df
d
y 0 = f 0 (x) =
=
=
f (x)
dx
dx
dx
dy df
等の記号で表す (全て同じ意味である)。
等の記号は、変数が x である関
,
dx dx
数の
導関数 (x についての微分) であることを明記するためにある。
変数が x 以外の文字でも同じである。変数 t の関数 y = f (t) の導関数を
f 0 (x) = lim
f (t + h) − f (t)
dy
df
d
=
=
= f (t)
h→0
h
dt
dt
dt
y 0 = f 0 (t) = lim
等の記号で表す。
例 1 y = x3 − 2x2 のとき
dy
= 3x2 − 4x
dx
y = t3 − 2t2 のとき
dy
= 3t2 − 4t
dt
S = r3 − 2r2 のとき
dS
= 3r2 − 4r
dr
微分の公式 (xn )0 = nxn−1 は、変数が変わっても同様に使用できる。
問 次の関数の導関数を求めよ。
(1) y = x2 − x + 3
dy
=
dx
(2) y = 4 − 9.8t
dy
=
dt
(3) ` = 3t2 − 2t
d`
=
dt
(4) S = πr2 (π は円周率)
dS
=
dr
4
(5) V = πr3
3
dV
=
dr
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 20 −
< 増分記号 ∆(デルタ) >
変数 x の増えた量を「x の増分」といい、「∆x」という記号で表す。
∆x は文字が 2 つであるが 1 つの量を表す。
関数 y = f (x) と x の増分 ∆x に対して、
y の増分を
∆y = f (x + ∆x) − f (x)
とおくと、導関数 f 0 (x) は ∆x → 0 の
∆y
dy
ときの平均変化率
の極限だから
∆x
dx
と書く。
f (x + ∆x) − f (x)
∆y
dy
= lim
=
∆x→0
∆x→0 ∆x
∆x
dx
f 0 (x) = lim
増分記号 ∆x は、変数 x の増えた量を表す。変数 x が他の文字変数に変わっても
同様である。
例
(x + ∆x)3 − x3
= (x3 )0 = 3x2
∆x→0
∆x
lim
(t + ∆t)4 − t4
= (t4 )0 = 4t3
∆t→0
∆t
lim
lim
∆u→0
sin(u + ∆u) − sin(u)
= (sin u)0 = cos(u)
∆u
問 次の極限値を、微分の公式を使って求めよ。
(1)
(x + ∆x)5 − x5
=
∆x→0
∆x
(2)
sin(t + ∆t) − sin(t)
=
∆t→0
∆t
(3)
cos(u + ∆u) − cos(u)
=
∆u→0
∆u
lim
lim
lim
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 21 −
< 合成関数の微分 1 >
dy
を求めたい。
dx
u = x3 とおくと y = sin(u) となる。
例 関数 y = sin (x3 ) の導関数
x の増分 ∆x に対し、 u の増分および y の増分を
∆u = (x + ∆x)3 − x3
∆y = sin(u + ∆u) − sin(u)
³
´
¡
¢
3
3
= sin (x + ∆x) − sin(x )
とおくと、 ∆x → 0 のとき ∆u → 0 だから、
µ
¶ µ
¶
dy
∆y
∆y ∆u
∆y
∆u
= lim
= lim
×
= lim
× lim
∆u→0 ∆u
∆x→0 ∆x
dx ∆x→0 ∆x ∆x→0 ∆u ∆x
¶ µ
¶
µ
sin(u + ∆u) − sin(u)
(x + ∆x)3 − x3
× lim
= lim
∆u→0
∆x→0
∆u
∆x
= (sin u)0 × (x3 )0
= cos(u) × 3x2 = cos(x3 ) × 3x2 = 3x2 cos(x3 )
問 1 関数 y = cos(x4 ) の導関数を求めたい。
u = x4 とおくと、 y = cos(u) となる。
∆u = (x + ∆x)4 − x4
∆y = cos(u + ∆u) − cos(u)
とおくと、 ∆x → 0 のとき ∆u → 0 となるから、
µ
¶ µ
¶
dy
∆y
∆y
∆u
= lim
= lim
× lim
∆u→0 ∆u
∆x→0 ∆x
dx ∆x→0 ∆x
となる。例にならって、残りの計算をせよ。
( 解)
dy
=
dx
問 2 関数 y = sin (x3 + 2x2 ) の導関数を例にならって求めよ。
(解)
dy
=
dx
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 22 −
< 合成関数の微分 2 >
問 1 一般の合成関数 y = g(f (x)) の導関数
dy
を求めたい。
dx
u = f (x) とおくと y = g(u) となる。
dy
このとき、
dx
( 答)
µ
µ
µ
¶
¶
¶
∆y
dy
∆y
du
∆u
を、
と
で表せ。
= lim
= lim
= lim
∆x→0 ∆x
∆u→0 ∆u
∆x→0 ∆x
du
dx
dy
=
dx
dy
を求めたい。
dx
とおくと y = u7 となる。よって
例 関数 y = (x3 + 5x2 )7 の導関数
u = x3 + 5x2
¢0
¢6 ¡ 2
¡
¢
¡
¢
dy
dy du ¡ 7 ¢0 ¡ 3
3x + 10x
=
×
= u × x + 5x2 = 7u6 × 3x2 + 10x = 7 x3 + 5x2
dx
du dx
dy
問 2 次の関数の導関数
を求めよ。
dx
(1) y = (x2 − 2x + 5)3
,
dy
=
dx
(2) y = cos(2x − 3) ,
dy
=
dx
(3) y = sin(x5 − 2x2 ) ,
dy
=
dx
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 23 −
< 合成関数の微分 3 >
例 1 y = (x3 + 4x)7 を考える。u = x3 + 4x とおくと y = u7 より
¡ 3
¢0
dy
dy du
(x + 4x)7 =
=
×
= (u7 )0 × (x3 + 4x)0 = 7u6 × (3x2 + 4) = 7(3x2 + 4)(x3 + 4x)6
dx
du dx
問 1 次の導関数をもとめよ。
¢0
¡
(1) (3x + 5)7 =
¡
¢7
¢0
¡
(2) (4x2 + 5x)8 =
例 2 y = f (x) を考える。u = f (x) とおくと y = u7 より
³¡
¡
¢0
¡
¢6
¢7 ´0
dy
dy du
=
f (x)
=
×
= (u7 )0 × f (x) = 7u6 × f 0 (x) = 7 f (x) × f 0 (x)
dx
du dx
問 2 自然数 n に対し、次の導関数を求めよ。
³¡
例3
f (x)
¢n ´0
=
¡ 5
¢0
(x + 6x)8 = 8(x5 + 6x)7 × (x5 + 6x)0 = 8(x5 + 6x)7 (5x4 + 6) = 8(5x4 + 6)(x5 + 6x)7
問 3 次の導関数を求めよ。
¢0
¡
(1) (3x + 4)5 =
¡
¢0
(2) (4x2 + 9x)6 =
¢0
¡
(3) (x4 − 2x3 )10 =
¢0
¡
(4) (3 + 4 sin x)5 =
¡
¢0
(5) (x − 3 cos x)7 =
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 24 −
< 合成関数の微分 4 >
例 1 y = sin (x3 + 4x) を考える。u = x3 + 4x とおくと y = sin u より
¡
¢0
dy
dy du
sin (x3 + 4x) =
=
×
= (sin u)0 × (x3 + 4x)0 = cos u × (3x2 + 4)
dx
du dx
= (3x2 + 4) cos (x3 + 4x)
例 2 y = cos (x7 + 5x3 ) を考える。u = x7 + 5x3 とおくと y = cos u より
¢0
¡
dy
dy du
cos (x7 + 5x3 ) =
=
×
= (cos u)0 × (x7 + 5x3 )0 = − sin u × (7x6 + 15x2 )
dx
du dx
= −(7x6 + 15x2 ) sin (x7 + 5x3 )
問 1¡ 次の導関数を求めよ。
¢
(1) sin (5x − 4) =
¡
¢0
(2) sin (x6 + 7x2 − 3) =
¡
¢0
(3) cos (4x + 3) =
¡
¢0
(4) cos (x5 − 2x + 1) =
0
¡
¢
例 3 一般の関数 f (x) に対して sin f (x) の導関数を求めたい。
¡
¢
y = sin f (x) , u = f (x) とおくと y = sin u より
³ ¡
¡
¢0
¡
¢
¢´0
dy
dy du
=
sin f (x)
=
×
= (sin u)0 × f (x) = cos u × f 0 (x) = cos f (x) × f 0 (x)
dx
du dx
よって
³
¡
¢
¡
¢´0
= cos f (x) × f 0 (x)
sin f (x)
問 2³ 次の導関数を求めよ。
´
例4
¡
¢
cos f (x)
0
=
¡
¢0
sin (x3 − 4x2 + 5x) = cos (x3 − 4x2 + 5x) × (x3 − 4x2 + 5x)0
= (3x2 − 8x + 5) cos (x3 − 4x2 + 5x)
問 3 次の導関数を求めよ。
(1)
¡
¢0
sin (x6 + 7x5 − 3x2 + 4x)
=
¡
¢0
(2) sin (x7 − 8x5 + 4x3 − 6x + 1)
=
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 25 −
< 対数関数の導関数 1 >
a を 1 でない正の数とするとき, 対数関数 loga x の導関数を求めたい。導関数の定義
f (x + ∆x) − f (x)
に従って計算する。
∆x→0
∆x
f 0 (x) = lim
³
loga x
´0
³
loga (x + ∆x) − loga x
1
∆x ´
= lim
loga 1 +
∆x→0
∆x→0 ∆x
∆x
x
= lim
∆x
= h とすると ∆x → 0 のとき h → 0 より
x
ここで
³
loga x
´0
= lim
h→0
1
1
1
loga (1 + h) = lim loga (1 + h) h
h→0
xh
x
1
となる。そこで h → 0 のときの (1 + h) h の極限を調べてみる。
hに
0.1 , 0.01 , 0.001 , 0.0001 , · · ·
および
−0.1 , −0.01 , −0.001 , −0.0001 , · · ·
1
を代入して, (1 + h) h の値を計算すると, 次の表が得られる。
1
1
h
(1 + h) h
h
(1 + h) h
0.1
2.59342 · · ·
−0.1
2.867971 · · ·
0.01
2.704813 · · ·
−0.01
2.731999 · · ·
0.001
2.716923 · · ·
−0.001
2.719642 · · ·
0.0001
2.718145 · · ·
−0.0001
2.718417 · · ·
0.00001
2.718268 · · ·
−0.00001
2.718295 · · ·
1
この表から予想されるように, h → 0 のとき (1 + h) h は一定の値に限りなく近づく。この
極限値を e で表す。
1
e = lim (1 + h) h
h→0
e は無理数で, その値は
e= 2.71828182845 · · ·
であることが知られている。e をネピアの数 (または自然数の底) という。
¶n
µ
1
(注)1. e = lim 1 +
でもある。
n→∞
n
1
2. y = (1 + x) x のグラフは右図のようなグラフである。
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 26 −
< 対数関数の導関数 2 >
例 関数 f (x) = log10 x の微分係数 f 0 (2) を求めたい。定義から
f (2 + ∆x) − f (2)
log10 (2 + ∆x) − log10 2
= lim
∆x→0
∆x→0
∆x
∆x
µ
µ
½
¶¾
¶
1
1
2 + ∆x
∆x
= lim
log10
= lim
log10 1 +
∆x→0 ∆x
∆x→0 ∆x
2
2
f 0 (2) = lim
∆x
= h とおくと、∆x → 0 のとき h → 0 より
2
n
o 1
1
1
1
f 0 (2) = lim
log10 (1 + h) = lim log10 (1 + h) h = log10 e
h→0 2h
h→0 2
2
ここで
1
(注) ここで前ページの結果 lim (1 + h) h = e を使った。
h→0
問 1 例と同じ関数 f (x) = log10 x の微分係数 f 0 (3) と導関数 f 0 (x)
を例と同様な極限計算で求めよ。(ただし x > 0 とする)
(1) f 0 (3) =
(2) f 0 (x) =
問 2 a を 1 でない正の数とする。f (x) = loga x の導関数 f 0 (x) を
例と同様な極限計算で求めよ。
0
f (x) =
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 27 −
< 自然対数 >
問 1 前ページの問の結果を用いて次の対数関数の導関数を求めよ。(ただし a > 0, a 6= 1)
(1) (log10 x)0 =
(2) (loga x)0 =
問 2 底が e(ネピアの数 ; 2.718) である対数関数 loge x の導関数を
求め、できるだけ簡単にせよ。
(答) (loge x)0 =
底がネピアの数 e である対数 loge x を自然対数と呼び、底を省略する。
loge x = log x
(自然対数)
今後底を省略した対数 log x は必ず自然対数を意味する。
(注) 常用対数 log10 x と区別するため、自然対数を ln x と書くこともある。
√
√
1
例 log( e) = loge ( e) = loge (e 2 ) =
µ
1
log 2
e
¶
= loge
µ
1
e2
¶
1
2
= loge (e−2 ) = −2
問 3 次の自然対数の値を求めよ。
√
e = loge
(1) log e
(2) log( e)
µ ¶
1
(3) log
e
µ ¶
1
(5) ln
e
√
(6) ln( 4 e)
(7) ln(e)
√
3
問 4 問 2 の結果を使って自然対数の導関数を求めよ。
(log x)0 =
(ln x)0 =
問 5 f (x) = log x のとき次の微分係数を求め、
右図の□内に傾きを示す数を入れよ。
³1´
f0
=
, f 0 (1) =
e
f 0 (2) =
, f 0 (e) =
√
1
2
µ ¶
µ ¶
1
1
ln 2 = loge 2 = −2
e
e
ln
e=
(4) log 1
√
(8) ln(e e)
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 28 −
< log f (x) の導関数 >
例
関数 y = log(x2 + 3x + 4) の導関数を求めたい。
u = x2 + 3x + 4 とおくと y = log u となる。
合成関数の微分法より
dy
dy du
=
×
= (log u)0 × (x2 + 3x + 4)0
dx
du dx
1
1
2x + 3
= × (2x + 3) = 2
× (2x + 3) = 2
u
x + 3x + 4
x + 3x + 4
問1
例にならって、次の関数の導関数
dy
を求める。
dx
(1) y = log(x3 + 2x − 5)
dy
=
dx
(2) y = log(1 + sin x)
dy
=
dx
(3) y = log(5 − cos x)
dy
=
dx
問2
上の結果から、一般の場合を類推する。関数 f (x) に対し
¡
¢
¢´0
dy ³ ¡
合成関数 y = log f (x) の導関数
= log f (x) を
dx
f (x) と f 0 (x) で表せ。
³
(答)
例2
³
log (cos x)
´0
=
¡
¢ ´0
=
log f (x)
(cos x)0
− sin x
=
= − tan x
cos x
cos x
問 3 問 2 の結果を用いて次の導関数を求めよ。
³
´0
³
´0
³
´0
(1) log (x2 + 2x)
(2) log (x6 + 3x4 )
(3) log (sin x)
=
=
=
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 29 −
< 逆関数の微分 1 >
f (x) の逆関数 y = f −1 (x) は定義から次の関係がある。
y = f −1 (x) ⇐⇒ x = f (y)
∆y = f −1 (x + ∆x) − f −1 (x) とおくと ∆x → 0 のとき ∆y → 0 より
1
dy
∆y
1
=
= lim
= lim
dx
dx ∆x→0 ∆x ∆y→0 ∆x
∆y
dy
となる。
例 逆三角関数 y = sin−1 x の導関数を求めたい。
y = sin−1 x ⇐⇒ x = sin y
より
1
1
dy
1
1
1
√
=
=
=
=p
=
0
dx
dx
(sin y)
cos y
1 − x2
1 − sin2 y
dy
(注) cos2 y + sin2 y = 1 より cos y =
p
1 − sin2 y
問 1 例と同様にして、次の逆三角関数の導関数を求めよ。
y = cos−1 x
dy
=
dx
問 2 tan x の導関数の公式 (tan x)0 =
導関数を求めよ。
1
を使って tan−1 x の
cos2 x
y = tan−1 x
dy
=
dx
(ヒント)
1
cos2 y + sin2 y
=
= 1 + tan2 y
cos2 y
cos2 y
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 30 −
< 逆関数の微分 2 >
1
例 1 y = x 3 の導関数を求める。
1
y = x 3 ⇔ x = y3
より
1
1
1
1 −2
dy
1
=
= dx = 3 0 =
x 3
2 =
2
dx
3y
3
(y )
3x 3
dy
¡ 1 ¢0
1 −2
よって x 3 =
x 3
3
問 1 次の導関数を求めよ。(ただし n は自然数である)
1
1
(1) y = x 4
(2) y = x n
例 2 y = 10x の導関数を求める。
y = 10x ⇔ x = log10 y
より
1
dy
1
=
= dx =
dx
(log10 y)0
dy
¡ ¢0
よって 10x =
1
y
y
1
10x
=
=
log10 e
log10 e
log10 e
10x
= 10x loge 10
log10 e
問 2 次の導関数を求めよ。(ただし a > 0 , a 6= 1 )
(1) y = 2x
(2) y = ax
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 31 −
< 指数関数の微分 >
a > 0 , a 6= 1 なる数 a に対して指数関数 ax の導関数は前ページより
(ax )0 = ax loge a = ax log a
である。特に a = e (= 2.73 · · · ) のときは log e = loge e = 1 より
(ex )0 = ex
このように微分しても変わらない関数は ex の定数倍だけである。
そこでこの指数関数を特に ex = EXP(x) という記号で表すことがある。
例 1 y = ex の導関数を求めたい。 u = x2 とおくと y = eu より
2
³
x2
e
´0
¡ ¢0
dy
dy du
2
2
=
×
= (eu )0 × x2 = eu × (2x) = ex × 2x = 2xex
dx
du dx
=
問 1 次の導関数を求めよ。
0
(1) (e3x ) =
(2)
³
ex
(3)
³
e−x
2 +3
´0
=
2 +2x
´0
=
問 2 例 1 を参考にして y = ef (x) の導関数を求め、f (x) と f 0 (x) を用いて表せ。
¡
ef (x)
³
例2
¢0
=
e−3x
2
´0
2
問 3 次の導関数を求めよ。
(1)
(2)
¡
e−3x
³
¢0
2
e
− x2
=
´0
=
0
2
= e−3x × (−3x2 ) = e−3x × (−6x) = −6xe−3x
2
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 32 −
< 対数微分法 1 >
一般の関数 y = f (x) に対し、自然対数との合成関数 log y = log(f (x))
の導関数は (28 ページの結果より)
(log(f (x)))0 =
f 0 (x)
y0
であるから、(log y)0 =
f (x)
y
例 指数関数 y = 2x の導関数 y 0 を求めたい。両辺の自然対数をとると
log y = log(2x ) = x log 2
である。両辺を x で微分すると (x0 = 1 より)
y0
= log 2
y
となるから
y 0 = y × log 2 = 2x log 2
(注) 両辺の自然対数をとってから微分する方法を対数微分法という。
問 1 y = 3x の導関数 y 0 を対数微分法で求めよ。
( 解)
問 2 a > 0 (a 6= 1) に対し、y = ax の導関数 y 0 を対数微分法で求めよ。
( 解)
問 3 a = e (ネピア数) のとき、指数関数 y = ex の導関数 y 0 = (ex )0 をできるだけ
簡単な式で求めよ。
(答) (ex )0 =
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 33 −
< 対数微分法 2 >
例 y = x2
3
³
=
√ ´
x3 の導関数を対数微分法で求める。
3
y = x2
両辺の自然対数をとる。
³ 3´ 3
log y = log x 2 = log x
2
両辺を x で微分すると
y0
3 1
= ×
y
2 x
より
3
3
3 1
3
3 1
3 1
y = × × y = × × x 2 = × x 2 −1 = x 2
2 x
2 x
2
2
0
µ
¶
3√
x
=
2
であるから
³ 3 ´0 3 1
x2 = x2
2
4
問 1 y = x3
( 解)
( 答)
³
4
x3
´0
³
=
´
√
3
x4 の導関数を対数微分法で求めよ。
=
問 2 一般の実数 r に対し、関数 y = xr の導関数を対数微分法で求めよ。
( 解)
(答) (xr )0 =
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 34 −
< xr の導関数 >
前のページより
(xr )0 = rxr−1
が成り立つ。
√
例 1 y = 3 x5 の導関数を求めたい。分数指数の定義
√
n
√
m
xm = ( n x)m = x n から
³ √ ´0 ³ 5 ´0 5 5
5 2
5√
3
3
x5 = x 3 = x 3 −1 = x 3 =
x2
3
3
3
問 1 次の導関数を求め、結果を根号 (√
(1)
³ √ ´0
4
x5 =
例2 y =
(2)
,
√
n
等) で表せ。
³ √ ´0
5
x7 =
(3)
³√ ´0
x3 =
1
1
の導関数を求めたい。負の指数の定義
= x−n から
2
x
xn
µ ¶0
1
2
1
−2 0
−2−1
−3
=
(x
)
=
−2x
=
−2x
=
−2
×
=
−
x2
x3
x3
問 2 次の導関数を求め、結果を分数の形にせよ。
(1)
µ
1
x3
¶0
=
(2)
³
√
1
例 3 ( 3 x)0 = x 3
´0
µ
1
x4
¶0
µ ¶0
1
(3)
=
x
=
1 1
1 2
1
1
1
1
1
= x 3 −1 = x− 3 = × 2 = × √
= √
3
3
3
3
3 x3
3
x2
3 x2
問 3 次の導関数を求め、結果を例 3 のように根号で表せ。
√
(1) ( 4 x)0 =
例4
µ
1
√
3
x
¶0
(2)
³
= x
− 13
´0
³ √ ´0
5
x4 =
√
(3) ( x)0 =
1 4
1
1
1
1
1
= − x− 3 = − × 4 = − × √
=− √
3
3
3
3 x3
3
x4
3 x4
µ
1
=− √
3x 3 x
問 4 次の導関数を求め、結果を例 4 のように根号で表せ。
(1)
µ
1
√
3
x2
¶0
=
(2)
µ
1
√
4
x
¶0
=
(3)
µ
1
√
x
¶0
=
¶
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 35 −
< log |x| の導関数 >
例 1 関数 y = log |x| を考える。
絶対値の定義から、 a > 0 に対し
log | − a| = log a = log |a|
より、 y = log |x| のグラフは右図の
ように y 軸対称となる。
この導関数は
(1) x > 0 のとき |x| = x より y 0 = (log x)0 =
1
x
(2) x < 0 のとき |x| = −x より y 0 = (log |x|)0 = (log(−x))0 =
(1), (2) より x 6= 0 のとき
(log |x|)0 =
(−x)0
−1
1
=
=
−x
−x
x
1
x
となる。
例 2 関数 y = log | cos x| を微分したい。
u = cos x とおくと y = log |u|
より合成関数の微分法を使うと
1
dy
dy du
1
=
×
= (log |u|)0 × (cos x)0 = × (− sin x) =
× (− sin x)
dx
du dx
u
cos x
=−
sin x
= − tan x
cos x
問 1 次の関数の導関数を求めよ。
(1) y = log | tan x| ,
dy
=
dx
(2) y = log |x2 + 3x| ,
(3) y = log |f (x)| ,
dy
=
dx
dy
=
dx
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 36 −
< 微分の練習 2 >
問 1 次の導関数の公式を書け。(ただし k は定数とする)
(1) (k)0 =
(2) (xn )0 =
(3) (sin x)0 =
(4) (cos x)0 =
(5) (log x)0 =
(6) (ex )0 =
(7) (sin−1 x)0 =
(8) (tan−1 x)0 =
問 2 次の導関数の公式を f (x),g(x),f 0 (x),g0 (x) で表せ。(ただし k は定数とする)
¡
¢0
f (x) + g(x) =
(1) 和の微分
¡
¢0
f (x) − g(x) =
(2) 差の微分
(3) 定数倍の微分
¡
¢0
kf (x) =
¡
¢0
f (x) × g(x) =
(4) 積の微分
(5) 分数関数の微分
µ
f (x)
g(x)
¶0
問 3 合成関数の微分の公式
=
³ ¡
¡
¢
¢´0
= g 0 f (x) × f 0 (x)
g f (x)
の導関数を f (x) と f 0 (x) で表せ。
³¡
¢n ´0
(1) f (x)
=
³
¡
(3) cos f (x)
¡
¢0
(5) ef (x) =
¢´0
³
¡
(2) sin f (x)
=
³
¡ √ ¢0
´0
(4) log |f (x)|
問 4 次の導関数を求めよ。
(1) (x4 − 5x3 + 6x2 − 7x + 8)0 =
¢´0
(2)
³ sin x ´0
(4)
(5) (sin x cos x)0 =
(6) (tan x)0 =
¡
¢0
¡
¢0
(9) e2x sin (3x) =
=
=
¡√ ¢0
x =
(3) x x =
(7) x log x − x =
を使って次の関数
x
¡
=
¢0
(8) − log | cos x| =
³
¡
√
¢´0
(10) log x + x2 + 1
=
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 37 −
< 微分係数 >
関数 f (x) の x = a における微分係数
f (a + ∆x) − f (a)
∆x→0
∆x
¡
¢
は y = f (x) のグラフ上の点 A a, f (a)
f 0 (a) = lim
における接線の傾きを表す。
問 1 f (x) = sin x の導関数および次の微分係数を求め,図 2 の
内に傾きを記入せよ。
f 0 (x) =
f 0 (−π) =
0
f0
0
f (0) =
f
f 0 (π) =
f0
f 0 (2π) =
³
−
π
2
´
³ ´
π
2
=
=
³ ´
3
π
2
=
問 2 f (x) = cos x の導関数および次の微分係数を求め,図 3 の
f 0 (x) =
³ ´
f0 −π =
f 0 (0) =
f0
f 0 (π) =
2
f
0
³ ´
π
2
=
³ ´
3
π
2
=
問 3 f (x) = ex とする。
(1) f −1 (x) を求めよ。
f −1 (x) =
(2) g(x) = f −1 (x) とする。以下の導関数および
微分係数を求めよ。
f 0 (x) =
f 0 (−1) =
f 0 (0) =
f 0 (1) =
(3) 図 4 の
g 0 (x) =
³ ´
0 1
g e =
g 0 (1) =
g 0 (e) =
内に傾きをいれよ。
内に傾きを記入せよ。
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 38 −
< 接線の方程式 1 >
y = f (x) のグラフの x = a における接線の方程式は
y = f 0 (a) × (x − a) + f (a)
(接線の方程式)
である。
例1
f (x) = e2x のとき f (0) = e0 = 1
f 0 (x) = 2e2x
,f 0 (0) = 2e0 = 2
よって y = e2x の x = 0 における接線の方程式は
y = f 0 (0)(x − 0) + f (0) = 2x + 1 より y = 2x + 1 (接線)
例2
f (x) = log x のとき f (e) = log e = 1
1
1
,f 0 (e) =
x
e
よって y = log x の x = e における接線の方程式は
1
1
1
y = f 0 (e)(x − e) + f (e) =
(x − e) + 1 =
x より y =
x (接線)
e
e
e
³π ´
³π ´
f (x) = cos x のとき f
= cos
=0
2
2
³π´
³π´
,f 0
= − sin
= −1
f 0 (x) = − sin x
2
2
π
よって y = cos x の x = における接線の方程式は
2
³π´ ³
´
³π´
³
π
π
π´
y = f0
(接線)
x−
+f
= −1 × x −
+ 0 より y = −x +
2
2
2
2
2
f 0 (x) =
例3
例4
f (x) =
√
x のとき f (1) =
√
1=1
1
1
1
f 0 (x) = √
,f 0 (1) = √ =
2
2 x
2 1
√
よって y = x の x = 1 における接線の方程式は
1
1
1
1
1
y = f 0 (1)(x − 1) + f (1) =
より y =
(x − 1) + 1 =
x+
x+
2
2
2
2
2
問
以下の接線の方程式を求めよ。
(1) y = ex の x = 0 における接線
(2) y = log x の x = 1 における接線
(3) y = sin x の x = 0 における接線
(4) y =
√
x の x = 4 における接線
(5) y =
1
の x = 1 における接線
x
(接線)
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
< 接線の方程式 2 >
問 次の接線の方程式を求めよ。
(1) y = 2 sin(3x) の x =
π
における接線
9
(2) y = 5 cos(2x) の x =
π
における接線
6
(3) y = tan(4x) の x = 0 における接線
(4) y =
1
の x = −1 における接線
2x
(5) y =
√
x の x = 9 における接線
(6) y =
√
4x + 1 の x = 2 における接線
1
(7) y = √ の x = 4 における接線
x
(8) y =
1
の x = 1 における接線
x2
(9) y = e2x の x = 0 における接線
2
(10) y = ex の x = 1 における接線
(11) y = log |x| の x = e における接線
¡
¢
(12) y = log x2 + 1 の x = 1 における接線
− 39 −
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 40 −
< 接線の方程式 3 >
√
例題 原点を中心として半径 2 の円周上の点 A( 3, 1)
における接線の方程式を求めよ。
( 解)
円の方程式
x2 + y 2 = 4
³
´
√
⇔ y = ± 4 − x2
に対し,上半円の方程式は
√
y = 4 − x2
である。これを f (x) とおいて,微分すると合成関数の微分より
³√
³
´
´0
1
x
0
2
f (x) =
4−x
= √
× −2x = − √
2
2 4−x
4 − x2
となる。よって接線の傾きは
√
√
√
3
=− 3
f 0 ( 3) = − √
4−3
よって,接線の方程式は
√
√
y = − 3(x − 3) + 1
(注)
√
(答) y = − 3x + 4
©
ª2
y が x の関数 y = f (x) であるとき,y 2 = f (x) を x で微分すると合成関数の微分より
ª2
d 2
d©
(y ) =
f (x) = 2f (x) × f 0 (x) = 2yy 0
dx
dx
となる。この結果を用いると上の例題が以下のように解ける。
(別解) 円の方程式 x2 + y 2 = 4 の両辺を x で微分すると
2x + 2yy 0 = 0
より
y0 = −
x
y
√
となる。従って x = 3, y = 1 における微分係数は
√
√
3
0
y =−
=− 3
1
となって接線の傾きが求まる。
√
問 原点を中心として半径 4 の円周上の点 A(2, 2 3) における接線の方程式を求めよ。
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 41 −
< 接線の方程式 4 >
µ
¶
√
y2
3
x2
例題 楕円 2 + 2 = 1 上の点 A 2 3, −
4
3
2
における接線の方程式を求めよ。
( 解)
y2
x2
+
= 1 の両辺を
42
32
x で微分すると
楕円の方程式
2x
2yy 0
+
=0
16
9
より
y0 = −
9x
16y
√
3
となる。従って x = 2 3, y = −
のときの微分係数は
2
√
√
3
9x
3
3
9
×
2
=
y0 = −
=−
3
16y
4
16 × (− 2 )
√
3 3
であるから接線の傾きは
。 よって接線の方程式は
4
√
√
√
√ ´
3 3 ³
3
3 3
3 3
x−2 3 −
y=
=
x−6
(答) y =
x−6
4
2
4
4
問 1 楕円
x2
y2
+
= 1 上の点 (−2, 1) における接線の方程式を求めよ。
8
2
問 2 円 x2 + y 2 = 52 上の点 (−3, −4) における接線の方程式を求めよ。
問 3 円 x2 + y 2 = r2 上の点 (r cos θ, r sin θ) における接線の方程式を求めよ。
(ただし r > 0 , sin θ 6= 0 とする)
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 42 −
< 2 階導関数 >
関数 y = f (x) の導関数の定義は f 0 (x) = lim
∆x→0
f (x + ∆x) − f (x)
である。導関数を
∆x
dy
df
d
=
=
f (x)
dx
dx
dx
等の記号で表す。この導関数 f 0 (x) の導関数
´0
³
f 0 (x + ∆x) − f 0 (x)
f 0 (x) = lim
∆x→0
∆x
を f (x) の 2 階導関数といい。
y 0 = f 0 (x) =
d2 y
d2 f
d2
=
=
f (x)
dx2
dx2
dx2
等の記号で表す。すべて同じ意味である。
y 00 = f 00 (x) =
例 1 f (x) = x4 のとき f 0 (x) = 4x3 , f 00 (x) = 12x2
例 2 y = x3 − 2x2 のとき
dy
= 3x2 − 4x ,
dx
d2 y
= 6x − 4
dx2
問 1 次の 2 階導関数を求めよ。
(1) f (x) = 4x3 − 5x2
f 00 (x) =
(4) y = x5 − x4
(2) f (x) = sin x
(3) f (x) = log x
f 00 (x) =
f 00 (x) =
(5) y = cos x
d2 y
=
dx2
d2 y
=
dx2
(6) y = e2x
d2 y
=
dx2
変数が x 以外の文字でも同様な記号を用いる。例えば時間変数 t の関数 y = f (t) のとき
導関数
y 0 = f 0 (t) =
dy
d
=
f (t)
dt
dt
2 階導関数
y 00 = f 00 (t) =
d2 y
d2
=
f (t)
dt2
dt2
問 2 次の 2 階導関数を求めよ。
(1) y = 10t − 4.9t2
d2 y
=
dt2
(2) y = sin (2t)
d2 y
=
dt2
(3) y = cos (3t)
d2 y
=
dt2
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 43 −
< 直線上の運動 >
数直線上を動く点 P を考える。
点 P の位置 (座標) を x とする。
x は時刻 t によってかわるので、
x は t の関数だから x = x(t) と書く。時刻 t から時刻 t + ∆t までの
∆x
x(t + ∆t) − x(t)
である。∆t → 0 のときの極限値を
=
∆t
∆t
v(t) とすれば、v(t) は時刻 t での瞬間の速度である。その極限値
平均速度は
v(t) = lim
∆t→0
dx
∆x
x(t + ∆t) − x(t)
= lim
= x0 (t) =
∆t→0
∆t
∆t
dt
を点 P の時刻 t における速度という。この式から速度は
位置 x = x(t) を時間変数 t で微分したものであることがわかる。
速度 v = v(t) は時刻 t によってかわる。
時刻 t から時刻 t + ∆t までの速度
v(t + ∆t) − v(t)
の変化の割合
∆t
の ∆t → 0 のときの極限値 a(t) は、時刻 t での瞬間の速度変化の
割合であり
dv
v(t + ∆t) − v(t)
d2 x
= v 0 (t) =
= 2 = x00 (t)
∆t→0
∆t
dt
dt
a(t) = lim
を点 P の時刻 t での加速度という。
例 時刻 t における位置 x(t) が x(t) = 5 − 2t + 3t2 − 4t3 である点の
速度 v と加速度 a は
dx
= (5 − 2t + 3t2 − 4t3 )0 = −2 + 6t − 12t2
dt
dv
a(t) =
= (−2 + 6t − 12t2 )0 = 6 − 24t
dt
v(t) =
問 x(t) が以下の場合に、速度 v(t) と加速度 a(t) を求めよ。
(1) x(t) = 10 + 4t − 5t2
v(t) =
a(t) =
(2) x(t) = 3 cos(2t)
v(t) =
a(t) =
(3) x(t) = e2t sin(4t)
v(t) =
a(t) =
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 44 −
< 平面上の運動 1 >
座標平面上を動く点 P があるとき、時刻 t における点 P の
座標を (x, y) とすると、x と y は t の関数であるから
x = x(t) , y = y(t)
と表す。
¡
¢
時刻 t における点の位置を P x(t), y(t) ,
¡
¢
時刻 t + ∆t における点の位置を P0 x(t + ∆t), y(t + ∆t)
とすると、時刻 t から t + ∆t までの間の
x 軸方向の平均速度は
∆x
x(t + ∆t) − x(t)
=
∆t
∆t
∆y
y(t + ∆t) − y(t)
=
∆t
∆t
sµ
p
¶2 µ
¶2
0
2 + (∆y)2
(∆x)
∆y
PP
∆x
0
直線 PP 方向の平均速度の大きさは
+
=
=
∆t
∆t
∆t
∆t
y 軸方向の平均速度は
であるから、∆t → 0 とすると
x 軸方向の瞬間速度は
dx
∆x
= lim
∆t→0 ∆t
dt
y 軸方向の瞬間速度は
dy
∆y
= lim
∆t→0 ∆t
dt
そこで x 軸方向と y 軸方向の速度の組
µ
¶
dx
dy
~v =
(速度)
dt , dt
を時刻 t における点 P の速度または速度ベクトルという。
速度 ~v の大きさは
sµ ¶
µ ¶2
2
dy
dx
|~v | =
+
(速さ)
dt
dt
となる。これを速さという。
問 時刻 t における点 P(x, y) の座標が
x = 2t , y = 1 − t2
で表されるとき、時刻 t における速度 ~v と速さ |~v | を求めよ。
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 45 −
< 平面上の運動 2 >
→
−
問 地上から初速 v (0) = (k1 , k2 ) で
打ち出した物体の t 秒後の水平
距離を x(t) , 高さを y(t) とすると、
(空気抵抗を考えなければ)
⎧
(水平距離)
⎪
⎨ x(t) = k1 t
⎪
⎩ y(t) = k2 t − g t2
2
(高さ)
となる。ここで g は重力加速度 g = 9.8 (m/s2 ) である。
(1) t 秒後の水平速度 vx (t) , 垂直速度 vy (t) を求めよ。
(
vx (t) =
dx
=
dt
vy (t) =
dy
=
dt
¢
¡
→
−
vy (t)
を求めよ。
(2) t 秒後の速度 v (t) = vx (t), vy (t) の傾き
vx (t)
vy (t)
=
vx (t)
(3)
½x = k1 t
¡
¢
g 2 から t を消去して、軌道曲線の式 y = f (x) の形 を求めよ。
y = k2 t − t
2
(ただし k1 > 0 とする)
(4) (3) で求めた軌道関数を f (x) とおく。導関数 f 0 (x) を求めよ。
f 0 (x) =
(5)
¡
¢
vy (t)
= f 0 x(t) であることを示せ。
vx (t)
¡
¢
→
−
(注) (5) の式は v (t) の方向が軌道 y = f (x) 上の点 x(t), y(t) における接線と同じ
方向であることを意味する。
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 46 −
< 平面上の運動 3 >
時刻 t での点の座標を P(x, y),
点 P がえがく曲線を C とすると,
dy
で,
dx
dy
dy dt
合成関数の微分の公式
=
· ,
dx
dt dx
曲線 C の接線の傾きは
と逆関数の微分の公式
dy
=
dx
dt
=
dx
1
dx
dt
より,
dy
dt
dx
dt
−
v =
となる。これは速度 →
と一致することを示す。
µ
dx dy
,
dt dt
¶
の方向が,点 P における曲線 C の接線 PT の方向
例 座標平面上の原点を中心とする半径 1 の円周上を
点 P が動く。点 (1, 0) から出発し,1 秒間に
1 ラジアン回転するとすれば,t 秒後の座標 P(x, y) は
x = cos t , y = sin t
→
v は
である。速度 −
¶ ³
µ
´ ³
´
dy
dx
→
−
,
= − sin t , cos t = −y , x
v =
dt
dt
−→
となる。従って点 P の位置ベクトル OP = (x, y) に
→
v = (−y, x) は垂直である (図 2) ことが
対し,速度 −
→
分かる。従って図 1 の速度 −
v の方向は点 P における
円の接線と同じ方向である。
問 例と同じ問題で 1 秒間に ω ラジアン回転するとすれば,
t 秒後の座標 P(x, y) は
x = cos (ωt)
,
y = sin (ωt)
→
→
である。このとき速度 −
v | を求め,図 3 に
v と速さ |−
−
→
v を点 P を始点とするベクトルとして図示せよ。
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 47 −
< 平面上の運動 4 >
座標平面上の動点 P の t 秒後の位置
¡
¢
x(t), y(t) に対し、x 軸方向の
速度・加速度は
vx (t) =
dx
= x0 (t)
dt
ax (t) =
dvx
d2 x
= 2 = x00 (t)
dt
dt
:
速度
加速度
:
であり、y 軸方向の速度・加速度は
vy (t) =
dy
= y 0 (t)
dt
ay (t) =
dvy
d2 y
= 2 = y 00 (t)
dt
dt
:
速度
:
加速度
である。これらを成分とするベクトルを
µ
¶
¡
¢
→
−
dx dy
v (t) = vx (t), vy (t) =
,
: 速度
dt dt
µ 2
¶
¢
¡
→
−
d x d2 y
,
a (t) = ax (t), ay (t) =
: 加速度
dt2 dt2
→
−
−
→
と表し、速度 v (t) , 加速度 a (t) と言う。
→
−
問 地上から初速 v (0) = (k1 , k2 ) で
打ち出した物体の t 秒後の水平距離
を x(t) , 高さを y(t) とすると、
(空気抵抗を考えないとすれば)
½ x(t) = k1 t
(水平距離)
g
y(t) = k2 t − t2 (高さ)
2
となる。(ただし g = 9.8 m/s2 である。)
¡
¢
→
−
(1) t 秒後の速度 v (t) を求め、右図に点 x(t), y(t) を始点とするベクトルとして図示せよ。
→
−
v (t) =
¡
¢
→
−
(2) t 秒後の加速度 a (t) を求め、右図に点 x(t), y(t) を始点とするベクトルとして図示せよ。
→
−
a (t) =
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 48 −
< 平面上の運動 5 >
例 座標平面上の原点 O を中心として半径 r の円周上を点 P が
動く。点 P は点 (r, 0) から出発し,1 秒間に 1 ラジアン回転
するとすれば,t 秒後の座標 P(x, y) は
x = r cos t ,
y = r sin t
→
v は
である。速度 −
−
→
v =
³ dx
,
dt
´ ³
´
dy ´ ³
= −r sin t , r cos t = −y, x
dt
→
であり,加速度 −
a は
−
→
a =
³ d2 x
,
dt2
´ ³
´
d2 y ´ ³
=
−r
cos
t
,
−r
sin
t
=
−x,
−y
dt2
−→
−→
→
→
である。従って −
a = −OP より −
a の方向は OP と反対
→
方向である (図 2)。これは加速度 −
a が点 P を中心 O に
向けて引っ張る力=向心力 (=遠心力に対抗する力) を意味
する (図 1)。
→
→
問 1 例の場合に |−
v | と |−
a | を求めよ。
→
|−
v|=
→
|−
a|=
問 2 例と同じ問題で 1 秒間に ω ラジアン回転するとすれば,
t 秒後の位置 P(x, y) は
x = r cos (ωt) ,
y = r sin (ωt)
→
→
−
−
となる。このとき −
v , |−
v|, →
a , |→
a | を求めよ。
³
´
→
−
→
v =
,
, |−
v|=
−
→
a =
³
また ω =
,
´
,
→
|−
a|=
1
→
→
のときの −
v と−
a を (図 1 のように) 点 P を始点としたベクトルと
2
して図 3 に図示せよ。
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 49 −
< 微分の練習 3 >
問 1 次の極限値を求めよ。
(1) lim
x→0
sin (3x)
2x
(3) lim (1 + x)
(2) lim
tan (2x)
3x
(4)
µ
x→0
1
x
x→0
lim
n→∞
1
1+
n
¶n
問 2 次の関数を定義に従って微分せよ。
√
(1) f (x) = 2 x
(2) f (x) =
1
x+1
問 3 次の関数を微分せよ。
√
3
(2)
y=
1
x3
(3)
1
y= √
x
y = sin (2x)
(5)
y = 2 cos (4x)
(6)
y = tan (5x)
y = log (5x)
(8)
y = log (x3 )
(9)
y = log (cos x)
(1)
y=
(4)
(7)
x
x2
2
√
(10) y = e4x+1
(11) y = e−
√
(13) y = x x
(14) y = x sin x
(15) y = sin x cos x
(16) y = ex sin x
(17) y = e−x cos x
(18) y = e3x sin (2x)
cos x
(19) y =
x
(20) y =
√
x
1+x
(12) y = e
(21) y =
x
1+x
√
x
2003 年度 基礎数学ワークブック初級編 N o. 2
− 50 −
< 微分の応用 >
問 1 次の接線の方程式を求めよ。
(1) y =
(2) y =
√
x + 1 の x = 0 における接線
1
の x = 1 における接線
x2
(3) y = sin x の x =
π
における接線
6
(4) y = tan x の x =
π
における接線
4
(5) y = e−
x2
2
の x = 1 における接線
(6) y = log |x + 1| の x = 0 における接線
à √ !
x2
3
(7) 楕円
における接線
+ y 2 = 1 上の点 1,
4
2
問 2 座標平面上を点 P が動く。
t 秒後の位置を P(x, y) とすると
½
x = 2t
y = −4t2 + 8t + 5
である。
(1) 0 5 t 5 2.5 の範囲で点 P の軌道を図示せよ。
→
→
(2) t 秒後の速度 −
v | を求めよ。
v と速さ |−
³
→
−
v =
,
´
→
|−
v|=
→
→
(3) t 秒後の加速度 −
a と大きさ |−
a | を求めよ。
³
´
→
−
a =
,
→
|−
a|=
→
→
v と加速度 −
a を 1 秒後の位置 P を始点とする
(4) 1 秒後の速度 −
ベクトルとして図示せよ。
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