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楕円型逆固有値問題におけるポテンシャル関数の包み込
みについて (偏微分方程式の数値解法とその周辺II)
渡部, 善隆; 山本, 野人; 中尾, 充宏
数理解析研究所講究録 (2001), 1198: 239-244
2001-04
http://hdl.handle.net/2433/64879
Right
Type
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Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
数理解析研究所講究録
1198 巻 2001 年 239-244
239
楕円型逆固有値問題におけるポテンシャル関数の包み込みについて
Enclosing Potential Functions of an Inverse Elliptic Eigenvalue Problem with Finite Data
渡部善隆
\dag er
山本野人
Yoshitaka Watanabe
\dag er
\d ag er
中尾充宏
Nobito Yamamoto
\d ag er
九州大学情報基盤センター
*
Mitsuhiro T.Nakao
*
電気通信大学情報工学科
九州大学大学院数理学研究院
要旨
与えられた有限個の入力データに対し, これらのデータが楕円型固有値問題の固有値となるよう
なポテンシャル関数を計算機を用いて再構成するアルゴリズムを提案する. ポテンシャル関数の構
成手順は打ち切り誤差および丸め誤差を考慮したものであり, 得られる結果は数学的に厳密なもの
である.
1
問題と定式化
有限個 ( $M$ 個) の順序付き実入力データ
$\mu_{1}<\mu_{2}<\cdots<\mu_{M}$
が与えられたとき,
$\{\mu_{i}\}_{1\leq i}\leq M$
が次の楕円型固有値問題の固有値となるようなポテンシャル関数
$q(x, y)$
を構成する問題を考える:
$-\triangle u+qu$
$u$
ここで
$\Omega$
$=$
$\lambda u$
$=$
$0$
in
on
$\Omega$
,
$\partial\Omega$
(1)
.
は 2 次元凸多角形領域とする. 有限個のデータからポテンシャル関数を精度保証付きで再構成
する手法については Neher が 1 次元問題に対する提案を行なっている
$[6, 7]$
.
しかしこの手法は 1 次元
Sturm-Liouville 問題の理論的結果を援用したものであり, 多次元に直接拡張することはできない. 本
稿では, これまで筆者らによって提案された順問題に対する解の–意性を含む大域的包み込みの手法を
多次元逆問題に適用することによりポテンシャル関数の再構成を試みる.
$q$
は
$\Omega$
の重心について対称な関数
$\hat{q}$
および基底関数
$q_{j}\in C(\overline{\Omega}),$
$S:= \{q\in C(\overline{\Omega})|q=\hat{q}+\sum j=M1\alpha_{jq}j,$
内に構成することとする.
決定される.
$S$
$\hat{q}$
$1\leq j\leq M$
で張られる空間:
$\alpha_{j}\in R\}$
は補助ポテンシャルと呼ばれ, 通常, 何らかの方法で求めた近似解として
内にポテンシャル関数を構成するということは, 対応する係数ベクトル
$\alpha.--(\alpha 1, \alpha_{2\cdot M}, ‘ ’\alpha)\tau M\in R$
を決定するということと同値である.
$\alpha\in R^{M}$
に対して決まる
$S$
$q( \alpha):=\hat{q}+\sum_{=j1}^{M}\alpha_{j}qj\in S$
の元を
240
と書き表し,
に対する固有値問題 (1) の第 番目の固有値を
$i$
$q(\alpha)$
上の写像
$f(\alpha):=(\lambda_{1}(\alpha)-\mu_{1}, \lambda_{2}(\alpha)-\mu_{2}$
,
. . .,
$\lambda_{i}(\alpha)$
とおくと, 逆固有値問題は
$R^{M}$
$\lambda_{M}(\alpha)-\mu_{M})^{\tau}$
の零点を求める問題に帰着される. ここで, 有限次元非線形方程式 $f(\alpha)=0$ の形は具体的には決定で
きず, 無限次元楕円型固有値問題を介し陰的に定まることに注意が必要である.
2
区間
Newton 法による解の包み込み
ポテンシャル関数の包み込みを行なうため区間の概念を導入する. 上端と下端を持つ
$[\alpha_{i}]:=[\underline{\alpha}_{i}, \overline{\alpha}_{i}]$
に対する区間ベクトルを
$[\alpha]=([\alpha_{i}])\subset R^{M}$
とおき,
$M$
個の区間
$1\leq i\leq M$
区間係数を持つ
$S$
の部分集合
$q([\alpha])$
を次で定義
する:
レ
$q([\alpha])$
$=$
$\hat{q}+\sum_{j=1}1\alpha j]q_{j}$
$:=$
$\{\phi\in S|\phi=\hat{q}+\sum_{1j=}^{M}a_{j}qj,$
$a_{j}\in[\alpha_{j}]\}$
.
によって決まる
の各要素区間の中点を取ったベクトルとする. さらに,
と表す.
正規化された固有関数を
,
に対する固有値問題 (1) の第 番目の固有値を
非線形方程式 $f(\alpha)=0$ の解の包み込みは Neher によって提案された区間 Newton 法 [7] を拡張した
また,
mid
$([\alpha])$
を
$i$
マ.1/\neg ‘‘
$1\uparrow\nabla^{\backslash }J_{\backslash }|.>\backslash$
この時,
t-
$\iota\cap/J=\neq\triangleright$
$q([\alpha])$
$[\alpha]$
$[\alpha]$
八
以「の疋埋か直
$\perp\mathrm{a}$
T@ 凹.
$\lambda_{i}([\alpha])$
$L^{2}-$
$u_{i}([\alpha])$
241
Theorem 1 区間 Newton 法アルゴリズムの停止条件がある
$\bullet$
$[\beta]^{(k)}\subset[\alpha]^{(k)}$
ならば
$f(\alpha)=0$
の解が存在し,
$[\beta]^{(k)}$
$k$
で成立した時,
内で–意である.
したがって,
$q([ \beta]^{(k})):=\hat{q}+\sum_{j=1}^{M}[\beta_{j}]^{(}k)_{q_{j}}\subset S$
の範囲にポテンシャル関数
.
3
$q(x, y)$
が–意に再構成される. また, 入力データ
$\{\mu_{i}\}_{1\leq i}\leq M$
は $q(x, y)$
に対する順問題の固有値となる.
$[\beta]^{(k})_{\cap}[\alpha]^{(k)}=\emptyset$
ならば
$f(\alpha)=0$
の解は
$[\alpha]^{(k)}$
に存在しない.
順問題に対する精度保証付き数値計算
前節の区間 Newton 法アルゴリズム 2. の評価のためには, 区間係数をもつポテンシャル関数
に対する順問題:
$\int-\triangle u+q([\alpha])uu$
$0\lambda u$
$==$
$q([\alpha])$
$\partial\Omega\Omega,$
$\mathrm{o}\mathrm{n}\mathrm{i}\mathrm{n}$
,
1
$=$
$\int_{\Omega}u^{2}dx$
の固有値および固有関数を精度保証付きで計算する必要がある.
で包み込む手法の概要を示す.
1.
$q([\alpha])$
ここでは,
順問題の固有値を順序付き
に定数を加えその正定値性を調べることにより, 固有値の (粗い) 下限を得る [2].
$\nearrow theoreti_{C}a\iota$
lower bound
$\ovalbox{\tt\small REJECT}$
2. 順問題を
における不動点問題に定式化し,
Banach の不動点定理を満足する候補者集合を
計算機内で自動的に構成する手法を適用することにより, 局所–意性を持つ固有値の区間を求め
る [4].
$H_{0}^{1}(\Omega)$
3. 固定した区間 A に対し
$L(\lambda):=-\triangle u+(q-\lambda)u$
とおき, 線形方程式:
$L(\lambda)$
$=$
$0$
$u$
$=$
$0$
$\{$
in
on
$\Omega$
,
$\partial\Omega$
A で–意解を持つことを精度保証付きで検証する. この検証が成功すれば, A は固
有値を含まないことが確認できる [2].
が任意の
$\lambda\in$
4. 3. の手続きを繰り返すことによって固有値を含まない区間を排除し,
包み込む.
1st
$[]$
2nd 3rd
$[]$
$[]$
4th
$[]$
$M$
個の固有値を順序付きで
242
Jacobian の計算
4
区間
Newton 反復アルゴリズム 4.
における
Jacobian の存在を保証する条件として, 以下を示すこと
ができる.
Theorem 2
関数を
$\forall\alpha\in[\alpha]$
に対し
$[\lambda_{i}, u_{i}]\in R\cross H_{0}^{1}(\Omega)$
$q(\alpha)\in S$
,
を与えた時の順問題の
$f_{i}(\alpha):=\lambda_{i}(\alpha)-\mu_{i}$
$\int_{\Omega}u_{i}vdx$
$[\mu, v]\in R\cross H_{0^{1}}(\Omega)$
$=$
$(\mu-q_{j})ui$
$=$
$0$
正規化された固有
,
(2)
が–意に存在するならば,
$\frac{\partial f_{i}}{\partial\alpha_{j}}(\alpha)=\int_{\Omega}u_{i}^{2}q_{j}dx$
Fredholm の択一定理より,
$L^{2}-$
とするとき, 線形方程式:
$-\Delta v+(q(\alpha)-\lambda i)v$
をみたす
番目の固有値,
$i$
(2) をみたす
.
が–意に存在するという条件は, 対応
$[\mu, v]\in R\cross H^{1}0(\Omega)$
する同次問題:
が零解
$=$
$\mu u_{i}$
$\int_{\Omega}u_{i}vdx$
$=$
$0$
しか持たないという条件と同値である.
$[\mu, v]=[0,0]$
おける縮小性を検証することで,
5
$\triangle v+(q(\alpha)-\lambda i)v$
,
したがって, 零解のまわりの候補者集合に
Jacobian の存在条件を確認することができる [5].
数値例
$\Omega=(0, \pi)\cross(0, \pi)$
$X$
の近似空間
また,
$X$
$X_{N}$
とする. ポテンシャル関数を構成する空間
固有関数を包み込む空間
$X$
および
,
$:=$
$\{\sum_{i=0j}^{K}\sum_{0=}^{L}\alpha_{i}j\cos(2i_{X)}\cos(2jy)\}$
$X$
$:=$
$\{\sum_{m=1n}^{\infty}\sum_{=1}^{\infty}A_{m}n\sin(mx)\sin(ny)$
$X_{N}$
$:=$
$\{\sum_{m=1n}^{M}\sum_{=1}\hat{A}_{m}n\sin(mX)\sin(ny)\}N\subset X$
$X_{N}$
;
$\sum_{m=1}^{\infty}\sum_{n=1}^{\infty}(m^{2}+n^{222})A_{mn}<\infty\}$
,
.
への
$H_{0}^{1}$
-projection
$P_{N}$
を次で定義する:
$\int_{\Omega}\nabla(u-PNu)\nabla\emptyset Ndx=0$
このとき,
,
を次のように設定する:
$S$
から
$S$
$\forall\phi_{N}\in X_{N}$
.
projection の近似による apriori 誤差評価
$||\nabla(u-P_{N}U)||_{L^{2}(\Omega})\leq C(N)||\triangle u||_{L()}2\Omega$
が成り立ち,
$C(N)$
$\forall u\in X$
は数値的に評価できる定数として決定できる.
数値計算は Fujitsu
Fujitsu Fortran Compiler
Driver Version 4.0.2 によって行なった. 丸め誤差を考慮するため, 区間演算モジ –ノ INTLIB-90 [1]
を利用した. 区間 Newton 反復における連立 1 次方程式の解法は Brouwer の不動点定理に基づく Rump
の手法 [5] を適用した.
$\mathrm{G}\mathrm{P}7000\mathrm{F}$
モデル
$900(\mathrm{S}\mathrm{P}\mathrm{A}\mathrm{R}\mathrm{c}64- \mathrm{G}\mathrm{P}:300\mathrm{M}\mathrm{H}_{\mathrm{Z})}$
上で
$\supset_{\wedge}$
各数値例の
$\alpha_{i}$
は
$q(x, y)=\alpha_{1}+\alpha 2\cos(2x)+\alpha 3\cos(2y)+\alpha_{4}\cos(2x)\cos(2y)$
の係数に対応する.
243
数値例 1
$\bullet$
$q(x, y)=\cos(2_{X)}$
$\mathrm{O}$
の再構成.
$M=N=10,$ $K=L=1$ .
入力データ:
$\nu_{1}=1.4706543549338$
$\nu_{2}=4.4706543549338$
$\nu_{3}=4.9791892157514$
$\nu_{4}=7.9791892157514$
O 包み込みに成功した区間:
$\pm 0.2318158745$
$\alpha_{1}=$
$\alpha_{2}=$
1
$\cross 10^{-9}$
$\pm 0.1249671717\cross 10^{-8}$
$\pm 0.9019854253\cross 10^{-9}$
$\alpha_{3}=$
$\pm 0.4868747948$
$\alpha_{4}=$
$\cross 10^{-9}$
$q(x, y)$
$\bullet$
数値例 2
$q(x, y)=-2+\cos(2x)-\cos(2x)\cos(2y)$ の再構成.
$\bullet$
の形状
$M=N=10,$ $K=L=1$ .
数値例 3
$q(x, y)=10+5\cos(2_{X})+3\cos(2y)+3\cos(2_{X})\cos(2y)$ の再構成.
$\mathrm{O}$
$M=N=15,$ $K=L=1$ .
入力データ:
$\nu_{1}=8.9232011202383$
$\nu_{2}=11.9106924233670$
$\nu_{3}=13.6562169567569$
$\nu_{4}=16.7797156194290$
$\mathrm{O}$
包み込みに成功した区間:
$\alpha_{1}=$
$\alpha_{2}=$
$\alpha_{3}=$
$\alpha_{4}=$
10
5
3
3
$\pm 0.4072392255$
$\cross 10^{-8}$
$\pm 0.5651032512\cross 10^{-8}$
$\pm 0.4740982608\cross 10^{-8}$
$\pm 0.6225533666$
$\cross 10^{-8}$
$q(x, y)$
の形状
244
$\bullet$
数値例 4
$q(x, y)=\cos(2_{X)}$
として与え,
区間幅
の再構成.
$\delta$
$N_{1}=N_{2}=10,$
$\mu_{1}$
$=$
$\mu_{2}$
$=$
$\mu_{3}$
$=$
$\mu_{4}$
$=$
$K=L=1$ . 入力データを区間
1470654354933839
4.470654354933839
4.979189215751357
7.979189215751357
$+$
$[-\delta, \delta]$
$+$
$[-\delta, \delta]$
$+$
$[-\delta, \delta]$
$+$
$[-\delta, \delta]$
を変化させた. 以下の表は包み込みに成功した区間の最大幅を表示したものであ
る.
$10^{-10}$
$0.665\cross 10^{-}$ ’
$10^{-}$ ’
$0.156\cross 10^{-}$ ’
$10^{-}$
$10^{-1}$
$10^{-9}$
$0.207\cross 10^{-7}$
$10^{-5}$
$0.156\cross 10^{-3}$
$10^{-8}$
0.161
$\cross 10^{-6}$
$10^{-4}$
$0.156\cross 10^{-2}$
$10^{-7}$
$0.156\cross 10^{-5}$
$10^{-3}$
$0.156\cross 10^{-1}$
’
0.159
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