<北京大学学術会議資料>
都市化と日本の財政
~日本の経験からの教訓~
講師 本間正明 (財)関西社会経済研究所所長
近畿大学世界経済研究所所長・教授
大阪大学名誉教授
平成22年10月16日
1
基本的視点
マクロ的視点から都市化における財政の問題について日本の経験を概説し、
今後の中国財政への示唆を考える。
①時間軸・・・長期的な経済社会変化を考慮
②財政の持続性の問題
③政策相互間の整合性・・・国土政策、産業政策と財政政策の連動
④都市化が引き起こすバランス問題への対応
・・・過密と過疎、集中と分散のバランスを図るための政策
⑤縦(中央と地域)と横(都市と地方)のバランス問題への対応
2
(1)日本経済の構造転換期間の定義
期間
第1期
高度成長期
1955年~1973年
71年ニクソンショック 73年第一次オイルショック 67年所得倍増達成
第2期
安定成長期
1974年~1983年
84年ジャパンバッシング 85年プラザ合意 円高調整 内需主導経済へ
第3期
構造調整期
1984年~1991年
91年資産バブル崩壊 バランスシート調整 97年金融不安
第4期
第5期
低成長期
(失われた10年)
構造改革期
1992年~2001年
99年超大型財政出動 01年ITバブル崩壊 国際競争力の低下
2001年~2007年
08年リーマンショック
第6期
世界経済調整期
G7(先進国)→G20(新興国)
2008年~
3
(2)都市化への流れと国・地方経済・財政
内閣
60~64 池田勇人
第1期
高度成長
期
第2期
安定成長
期
政策ビジョン
所得倍増計画
67:倍増達成
※54:地方交付税制度開始
62:地域間の均衡ある発展
65~:合併特例法
人口・産業の大都市集中
大規模プロジェクトで資源偏在解消
高福祉社会目標
日本列島改造論
72:日中共同声明
ライフサイクル構想
78:日中平和友好条約
「機関車論」
田園都市国家構想
増税なき財政再建
土建国家への歩み(地方雇用促進)
石油ショックが都市財政直撃
大蔵省vs.自治省(非協力的関係)
定住構想(都市への人口集中抑制)
前川レポート
ふるさと創生
人口・産業の東京一極化
サービス経済化・多極分散型国土を
目指す:交流ネットワーク構想
第3セクター方式導入(失敗)
生活大国5カ年計画
95:地方分権一括法
多軸型国土構造形成:参加と連携
97:地方消費税1%創設
64~72 佐藤栄作
72~74 田中角栄
74~76 三木武夫
76~78 福田赳夫
78~79 大平正芳
80~82 鈴木善幸
第3期
構造調整
期
82~87
87~89
89~89
89~91
中曽根康弘
第4期
低成長期
91~93
93~94
94~96
96~98
98~00
00~01
宮沢喜一
細川、羽田
村山富市
小渕恵三
森喜朗
21世紀日本の構想
01~06
06~07
07~08
08~09
小泉純一郎
骨太の方針
第5期
構造改革
期
第6期
世界同時
不況期
竹下登
宇野宗佑
海部俊樹
国と地方の経済・財政
橋本龍太郎
安倍普三
福田康夫
麻生太郎
09~10 鳩山由紀夫
10~
菅直人
コンクリートから人へ
強い経済・強い財政・強
い社会保障
02~07:三位一体改革
03~05:平成の大合併
05:合併新法
多様な地域の自主的発展を目指す
地域主権
産業政策と地方財政
太
平
洋
ベ
ル
ト
・
工
業
再
配
置
促
進
・
頭
脳
立
地
で
分
散
均
衡
産
業
集
積
・
ク
ラ
ス
タ
ー
法
で
集
積
多
様
化
国が地方への
監視拡大期
財政改革と地
域発展政策
地方分権と財
政再建
地域主権への
政策
4
(3)日本の成長率の推移
内外経済情勢の変化と社会構造を反映し成長率は大きく変化
第1期
15
(%)
第2期
第3期
第4期
第5期
第6期
9.3%
10
4.7%
3.8%
5
1.8%
0.9%
0
-5
1955
-3.2%
1960
64
東
京
オ
リ
ン
ピ
ッ
ク
1970
67
所
得
倍
増
達
成
70
大
阪
万
博
1975
73
第
一
次
オ
イ
ル
シ
ョ
ッ
ク
1980
78
第
二
次
オ
イ
ル
シ
ョ
ッ
ク
1985
85
プ
ラ
ザ
合
意
1990
91
バ
ブ
ル
崩
壊
1995
95
阪
神
大
震
災
2000
97
金
融
不
安
01
IT
60
所
得
倍
増
計
画
1965
バ
ブ
ル
崩
壊
2005
2010
08
リ
ー
マ
ン
シ
ョ
ッ
ク
5
(4)GDPとGRPの変化
◆名目GRPの推移(指数)
名古屋圏
大阪圏
6,000
地方圏
5,000
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967
1966
1965
1964
1963
1962
1961
1960
1959
1958
1957
1956
1955
6
資料:内閣府「県民経済計算」より集計加工
東京圏
(1955年度=100)
7,000
第5期
第4期
第3期
第2期
第1期
9,000
8,000
全国
4,000
3,000
2,000
1,000
0
(5)部門間(家計、企業、政府等)貯蓄投資バランスの変化
時代とともに成長を推進する主体が異なる
均衡予算
企業が成長
をけん引
20.0
経常黒字削
減の外圧
民間投資拡
大
民間の活力が陰った分
を公共が補てん
家計はダブルインカム
で貯蓄安定
民間活力が低
下、財政出動
家計貯蓄減少
輸出主導
◆貯蓄投資差額対GDP比
(%)
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
15.0
10.0
家計
5.0
一般政府
金融機関
0.0
民間企業
-5.0
経常収支
-10.0
資料:内閣府「国民経済計算」、財務省資料より集計加工
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
-15.0
7
(6)財政・経常収支と為替の変化
海外との関係の中で為替変化により財政政策も変更
・73年
固定相場制から変動相場制への移行により高度成長の終焉
・85年 経常収支の黒字拡大によるジャパンバッシングによりドル協調切り下げととも
に内需拡大へ方針転換
輸出先を米
経常黒字削
減の外圧
ドルの協調切
り下げ
財政支出増へ圧力
固定相場制
第1期
第2期
積極的財政出動
第3期
国依存から
全世界へ分
散
第4期
第5期
(為替相場:円)
(収支GDP比:%)
ジャパンバッシング
6.0
4.0
400
360
350
2.0
300
0.0
-2.0
254
266
250
-4.0
200
-6.0
150
-8.0
-10.0
127
ドル協調切り下げ
100
93
-12.0
経常収支対
GDP比
財政収支対
GDP比
民間企業収支
対GDP比
円/ドル
50
-14.0
(資料)内閣府「国民経済計算」、財務省資料等より集計加工
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
0
1970
-16.0
8
(7)人口の移動
◆人口の都市地方別の人口純移動
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
9
(8)都市圏の定義
東京圏:埼玉、千葉、東京、神奈川
名古屋圏:岐阜、愛知、三重
大阪圏:京都、大阪、兵庫、奈良
地方圏:上記以外
名古屋圏
大阪圏
太平洋ベルト地帯
福岡
広島
岡山
神戸
大阪
名古屋
横浜
東京
千葉
静岡
東京圏
10
(9)都市と地方の経済変化
都市化は、日本全体の変化でひとくくりにできない都市と地方の経済変化(集
中と分散、過密と過疎)を顕在化させた。
期
第1期
高度成長期
第2期
安定成長期
第3期
構造調整期
第4期
低成長期
第5期
構造改革期
第6期
都市と地方の経済変化
前期:太平洋ベルトの発展で、三大都市圏に人口集中、民間主導で安
定的高成長
後期:格差是正のために国土均衡ある発展が志向され、都市への人口
流入は沈静化
安定成長期に入り、土建国家の名のもとに地方へのインフラ投資拡大、
都市と地方が一様に成長
バブル景気で人口の東京一極集中が始まり、再び成長率に都市と地方
の格差
低成長期、景気対策で積極的財政出動、人口が地方回帰したが、グ
ローバル化の進展で地方と大阪圏は産業の空洞化に直面、GRP成長
が低迷
サービス経済化の加速で東京圏が、輸出主導の景気回復で名古屋圏
が成長
世界不況が輸出主導経済の名古屋直撃
11
(10)産業構造の変化
地方:農業の衰退で都市部へ人口移動→公共事業への雇用依存→工業の海外移転(空洞化)
都市:工業の地方への流出→サービス経済化→工業の海外移転
地方圏
40.0
都市圏
工
業
再
配
置
促
進
法
農林水産業
製造業
35.0
25.0
25.3
→
20.0
建設業
金融・保険業
サービス業
31.6
公共サービス
23.2
21.2
18.5
5.0
30.0
農林水産業
製造業
建設業
金融・保険業
サービス業
公共サービス
25.0
23.5
20.0
15.0
10.0
35.0
→
30.0
工
業
再
配
置
促
進
法
40.0
19.0
15.0
12.9
11.3
10.0
8.9
6.7
4.9
3.6
5.5
5.0
2.0
0.0
5.0
8.3
6.4
5.2
7.2
8.1
4.4
4.0
0.0
0.4
1955 1965 1975 1985 1995 2005 2007
1955 1965 1975 1985 1995 2005 2007
資料:内閣府「県民経済計算」より集計加工
12
(11)生産年齢人口の地域間格差拡大
都市化に伴い生産年齢人口は都市圏へ集中、
一方地方圏では高齢化が進み財政負担拡大
◆生産年齢人口の推移
第1期
300.0
第2期
第3期
第4期
第5期
(1950年=100とする指数)
292.5
280.0
260.0
東京圏
240.0
220.0
名古屋圏
200.0
大阪圏
196.0
167.6
地方圏
200.0
180.0
160.0
140.0
全国
全国全年齢
126.3
120.0
100.0
資料:国立社会保障・人口問題研究所資料より加工
注:生産年齢人口=15歳~64歳
13
(12)所得の地域間格差
高度成長期所得格差が拡大したが、その後は急速に縮小
裏には、均衡を促す財政政策がある
◆ジニ係数から見た1人当たり県民所得の地域間格差
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
14
(13)国から地方への移転
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967
1966
1965
1964
1963
1962
1961
140,000
国税
60,000
国→地方への財政費
100,000
57.4%
20,000
◆国と地方の歳出
200,000 (10億円)
180,000
42.4%
40,000
20,000
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967
1966
1965
1964
1963
1962
1961
15
資料:国税庁、総務省「地方財政統計年報」「地方財政白書」より集計加工
42.6%
80,000
57.6%
国の歳出
(地方財政費除く)
120,000
地方の歳出純計
160,000
◆国と地方の税収
100,000
第5期
第4期
第3期
第2期
第1期
(10億円)
120,000
地方税
40,000
0
80,000
60,000
0
(14)国と地方の二大移転制度
世界でも稀な、国から地方への移転制度
全国どこに居住しても一定水準の生活を保障するために、税収の地域間格差
を埋める→「あまねく公平」を目指す制度
収入
支出
国債等
国税
国の支出
地方の財政
収入
地方への支
出
国からの財
政移転
支出
国の財政
地方税
地方債等
地方の支出
地方交付税:一般的な財政需要(日々の行政運営に必要な経費)に対する財源不足額に
見合いの額として算定され交付される。使途自由
基準財政需要額(標準的な財政需要額)-基準財政収入額
国庫支出金:地方が行う特定の事務事業に対して国が一定額を負担
法律で定められた「国庫負担金」と、政府の政策推進のための「国庫補助金」がある。
自主財源・・地方税
依存財源・・地方交付税+国庫支出金
一般財源・・地方税+地方交付税
特定財源・・国庫支出金
16
(15)地方交付税の仕組み
地方の財源不足を補う「あまねく公平」を実現
人
口
1
人
当
た
り
基
準
財
政
需
要
・
収
入
額
基準財政需要額
過
疎
化
国から地方
への移転
過
密
化
基準財政収入額
0
不交付団体
人口
17
12
10
8
6
1955
1956
1957
1958
1959
1960
1961
1962
1963
1964
1965
1966
1967
1968
1969
1970
1971
1972
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
14
1955
1956
1957
1958
1959
1960
1961
1962
1963
1964
1965
1966
1967
1968
1969
1970
1971
1972
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
兆円
兆円
(16)地方交付税で都市から地方への再分配
25
◆都市地方別地方税収と地方交付税交付金の推移
地方税収
20
15
10
第1期
資料:地方財政統計年報より集計加工
第2期
第3期
第4期
第5期
地方圏
大阪圏
37.6%
名古屋圏
東京圏
5
62.4%
0
地方交付税
地方圏
大阪圏
名古屋圏
東京圏
4
66.4%
2
0
33.6%
18
(17)地方交付税交付団体の変化
◆自治体数と交付団体比率の推移
第1期
第2期
第3期
5250
第5期
(交付団体比率)
(地方公共団体数)
6000
第4期
100.0
地方公共団体数
交付団体比率
98.0
5000
96.0
4000
94.0
3000
90.2
2000
1835
92.0
90.0
88.0
市町村
合併
1000
84.0
1955
1957
1959
1961
1963
1965
1967
1969
1971
1973
1975
1977
1979
1981
1983
1985
1987
1989
1991
1993
1995
1997
1999
2001
2003
2005
2007
0
86.0
資料:地方交付税制度研究会「地方交付税のあらまし」より加工
19
(18)国から地方への移転実績
高度成長期は国から地方への移転大、その後バブル期以外は低下傾向
さらに構造改革で大幅に低下
◆国から地方への移転率の推移
1961~1973 1974~1983 1984~1991 1992~2001 2002~2004
高度成長期 安定成長期
移転率
税収
歳出
85.8
56.5
構造調整期
低成長期
構造改革期
63.7
51.6
37.4
国
67.9
63.6
64.1
60.7
57.6
地方
32.1
36.4
35.9
39.3
42.4
国
40.3
43.1
41.3
40.4
41.7
地方
59.7
56.9
58.7
59.6
58.3
移転率=(歳出地方構成比-税収地方構成比)÷税収地方構成比
資料:国税庁、総務省「地方財政統計年報」「地方財政白書」より集計加工
20
70.0
1955
1956
1957
1958
1959
1960
1961
1962
1963
1964
1965
1966
1967
1968
1969
1970
1971
1972
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
(19)地方の国への依存度
地方圏の国への依存度は低下傾向であるが都市と比べて高水準
◆都道府県の歳入に占める国への依存度の推移
第1期
60.0
50.0
20.0
10.0
第2期
第3期
(%)
(地方交付税+国庫支出金)/歳入総額
第4期
第5期
東京圏
名古屋圏
大阪圏
地方圏
39.8
40.0
30.0
22.5
18.0
10.6
0.0
資料:地方財政統計年報より集計加工
21
(20)移転手段として公共投資から社会保障へのシフト
成長、発展、成熟に従って公共投資のウェイトが減少
発展、成長期に確立した社会保障が成熟期からウェイトを上昇
第1期
30.0
第2期
第3期
第4期
第5期
第6期
(%)
28.1
社会保障関係
25.0
文教・科学振興
地方財政関係
20.0
公共事業関係
15.7
15.0
10.0
8.6
6.2
5.0
0.0
1955
1960
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
資料:財務省資料より集計加工
注:1995年の公共事業の急増は阪神淡路大震災の復興投資による
2005
2006
2007
2008
2009
22
(21)公共投資の地方配分比率が増加
成長期は一貫して地方への配分が増加、バブル期に一度東京圏への都市イン
フラ高まり地方減少したが、低成長期に再び地方への配分増加
80.0
(%)
◆都市地方別公共投資額の構成比の推移
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
69.2
70.0
60.0
土建国家
50.0
東京圏
名古屋圏
40.0
大阪圏
30.0
地方圏
20.0
13.6
9.8
7.4
10.0
1958
1959
1960
1961
1962
1963
1964
1965
1966
1967
1968
1969
1970
1971
1972
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
0.0
資料:地方財政統計年報より集計加工
23
(22)日本の人口構成の変化
少子高齢化が進展し、低成長期に入ってさらに高齢化が加速
◆年齢別人口の変化
(千人)
140,000
120,000
100,000
80,000
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
第6期
25.0
超高齢社会
65歳以上(老年)
15~64歳(生産年齢)
0~14歳(年少)
高齢化率
60,000
21.5
22.1% 20.0
5.7%
高齢社会
15.0
14.6
64.1%
64.5% 10.0
40,000
5.0
20,000
30.2%
0
13.5%
0.0
高齢化率=同14%~21%
超高齢社会=同21%~
資料:国立社会保障・人口問題研究所資料より加工
24
(23)特に地方での老齢人口増加が早い
地方で社会福祉費用負担により財政悪化が深刻化
◆生産年齢人口と老齢人口の占める割合の比率
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
80.0
70.0
60.0
69.6
63.8
50.0
東京圏(生産年齢)
40.0
東京圏(老齢)
30.0
20.0
22.1
地方圏(生産年齢)
17.5
地方圏(老齢)
10.0
0.0
資料:国立社会保障・人口問題研究所資料より加工
注:生産年齢人口=15歳~64歳
老齢人口=65歳以上
25
(24)社会保障給付額の推移
低成長期に入るとともに社会保障給付が急増
◆社会保障の国民所得比率の推移
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
(%)
30.0
23.6
25.0
23.9
23.9
21.0
20.0
医療
17.0
12.4
15.0
13.7
13.7
年金
12.7
9.5
10.0
福祉その他
計
5.8
7.5
3.7
5.0
0.00
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
資料:財務省資料より集計加工
注:1995年の公共事業の急増は阪神淡路大震災の復興投資による
2004
2005
2006
26
(25)政府サービスへの依存度の推移
高齢化が加速する地方経済は公共サービスへの依存を加速
◆域内総支出に占める政府最終支出の割合の推移
25.0
(%)
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
21.1
20.0
16.7
15.0
14.2
13.3
10.0
東京圏
名古屋圏
大阪圏
地方圏
5.0
1955
1957
1959
1961
1963
1965
1967
1969
1971
1973
1975
1977
1979
1981
1983
1985
1987
1989
1991
1993
1995
1997
1999
2001
2003
2005
2007
0.0
資料:内閣府「県民経済計算」より集計加工
注:1990年度から統計手法の変更により連続しない
27
(26)世代間の受益と負担の不公平
高度成長期の人口構造を基にした福祉国家の矛盾が露呈
結局、比較的若い人口構成の都市部から高齢化が進む地方への所得移
転となっている
◆世帯別生涯純負担額と負担率
(純負担額:千円)
(負担率:%)
40,000
20.0
30,000
15.0
16.7
13.4
15.0
11.8
20,000
7.5
8.2 8.0 8.0 8.0 8.0 7.8
10.0
9.9
8.4
10,000
5.0
5.0
3.4
0
生涯純負担
生涯純負担率
1.7
0.0
-10,000
-1.5
-4.5
-20,000
-5.0
-7.0
2005
2000
1995
1990
1985
1980
1975
1970
1965
1960
1955
1950
1945
1940
1935
1930
1925
1920
-10.0
1915
-30,000
(年生まれ)
生涯純負担率=生涯純負担額÷生涯所得
28
(27)財政の移転制度の課題
低成長と高齢化で再配分制度が限界
財政の持続可能性に危機
2001年 小泉内閣の政策パッケージ
「三位一体改革」
補助金整理廃止・交付税改革・税源移譲
2009年 鳩山・菅内閣の新しい政策パッケージ
「強い経済、強い財政、強い社会保障」の実現
地域主権で、国と地方の持続的関係を目指す
強い経済
地域主権改革
・権限移譲
・補助金の一括交付金化
・地方税財源の充実
・自治体間連携促進
成長を実現する
予算編成
強い財政
社会不安の最小化
「新成長戦略」
「財政運営戦略」
の設定
「健康」分野で需要と雇用を創出
強い
社会保障
安定財源の確保による
持続可能な社会保障制度の確立
(抜本的税制改革)
29
(28)これからの日本の課題
ⅰ)経済成長の低迷
ⅱ)財政の持続可能性
低成長・高齢化で再配分システムに限界
ⅲ)グローバル化への対応
ⅳ)構造改革
「強い経済、強い財政、強い社会保障」の実現
手段→「新成長戦略」
1.環境・エネルギー
2.医療・介護・健康
3.アジア
4.観光・地域活性化
5.科学・技術・情報通信
6.雇用・人材
7.金融
30
(29)日本の都市化からの教訓
①国土・産業・財政政策の整合性
・面としての社会インフラ整備
・成長のエンジンとしての産業立地政策
・上記2つを裏付ける財政政策
②中長期的課題を見据えた政策対応
・都市化の光と影
・都市政策へは中長期的視点が重要
・均衡的国土発展VS一極集中(公平と効率)
31
参考資料
32
①政策の変遷
内閣
60~64 池田勇人
第1期
高度成長
期
第2期
安定成長
期
所得倍増計画
64~72 佐藤栄作
72~74
74~76
76~78
78~79
田中角栄
三木武夫
福田赳夫
大平正芳
80~82 鈴木善幸
第3期
構造調整
期
政策ビジョン
日本列島改造論
ライフサイクル構想
「機関車論」
田園都市国家構想
増税なき財政再建
前川レポート
ふるさと創生
82~87
87~89
89~89
89~91
中曽根康弘
91~93
93~94
94~96
96~98
98~00
00~01
宮沢喜一
細川、羽田
村山富市
小渕恵三
森喜朗
21世紀日本の構想
第5期
構造改革
期
01~06
06~07
07~08
08~09
小泉純一郎
骨太の方針
第6期
世界同時
不況期
09~10 鳩山由紀夫
10~
菅直人
第4期
低成長期
竹下登
宇野宗佑
海部俊樹
公共インフラ
国土計画
’64東海道新幹線
’64東京オリンピック
’65名神高速
’69東名高速
’70大阪万博
’72札幌オリンピック
太平洋ベルト構想
太平洋ベルト
「傾斜生産方式」
集中
62 全国総合計画
「均衡ある国土発展」
69 第二次全総
「高福祉社会」
国土均衡発展
’75山陽新幹線
’76中央自動車道
’78成田空港
’85青函トンネル
77 第三次全総
「定住構想」公害問題
’88瀬戸大橋
87 第四次全総
「多極分散型国土」
土建国家
一極集中
’90花と緑の博覧会
生活大国5カ年計画
橋本龍太郎
安倍普三
福田康夫
麻生太郎
’91東北新幹線
’94関西空港
‘97長野新幹線
’99本四連絡橋
二極化
98 21世紀のグランドデ
ザイン「多軸型国土」
05 国土形成計画
「開発中心からの転
換」
コンクリートから人へ
強い経済・強い財
政・強い社会保障
一極集中
33
②財政トピックス
期
間
国の財政
地方財政
復
興
期
50:シャウプ税制改
革
53:財政投融資計画
策定
54:地方交
付税制度
開始
第
1
期
60:均衡財政
企業設備優遇税制
(租特)
65:赤字国債発行
(均衡財政終焉)
68:財政硬直化打開
キャンペーン
72:積極的財政政策
第
2
期
75:公債特例法
78:ボンサミット「機
関車論」
80:財政再建元年
増税なき財政
再建(鈴木)
82:ゼロシーリング
導入
小さな政府志向(中
曽根)
社会保障
61:国民皆保
険・皆年金
72:老人医療無
料化
73:福祉元年
期
間
国の財政
第
3
期
88:抜本的税制
改革
法人税減税
89:消費税導入
90:国債発行ゼロ
達成
第
4
期
93:財政危機宣
言
94:減税特例公
債発行
95:特例公債発
行再開
96:財政健全化
目標の設定
97:消費税増税
99:恒久減税(大
幅減税)
01:財投制度改
革財投債発行開
始
95:地方分
権一括法
06:定率減税の
廃止
01:三位一
体改革
第
5
期
地方財政
社会保障
00:介護保険
制度
34
③国の財政収支と政府債務の推移
均衡財政か
らの転換
均衡予算
緊縮的財政
福祉の充実
積極財政と緊
縮財政が交互
均衡財政へ
税制改革
積極財政
大幅減税
(政府債務:兆円)
兆円
(歳出、税収:兆円)
100
第1期
90
財政再建
第2期
第3期
第4期
第5期
846
83
80
600
60
54
政府債務残高
40
800
700
70
50
900
一般歳出
500
400
税収
300
30
20
200
10
100
0
1955
1956
1957
1958
1959
1960
1961
1962
1963
1964
1965
1966
1967
1968
1969
1970
1971
1972
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
0
均衡財政
赤字国債
発行
福祉元年
消費税増税
財政再建元年
資料:総務省「長期時系列」「日本統計年鑑」財務省資料より集計加工
抜本的税制改革
消費税導入
三位一体改革
世界一の
借金王
35
④人口一人当たりの公共投資額
◆人口1人当たり普通建設事業費
(円)
200,000
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
180,000
160,000
東京圏
140,000
名古屋圏
120,000
大阪圏
100,000
地方圏
80,000
60,000
40,000
20,000
資料:地方財政統計年報より集計加工
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
1988
1986
1984
1982
1980
1978
1976
1974
1972
1970
1968
1966
1964
1962
1960
1958
0
36
⑤経済成長の寄与率
第1期
19561973
寄与率
(%)
第2期~ 第4期
19741991
第5期
19922001
第6期
20022007
2008
2009
2010
(予測)
58.8
56.1
73.6
33.3
▲9.1
21.1
51.4
住宅投資
8.7
0.9
▲10.5
▲4.3
▲3.0
▲31.5
7.6
企業設備
17.4
21.5
▲11.3
29.1
▲48.5
▲121.1
16.2
政府最終消費
6.9
9.1
44.3
16.2
3.0
15.7
9.5
公的固定資本
形成
9.9
4.9
8.5
▲22.2
▲6.1
15.7
▲36.2
▲3.2
8.2
3.8
39.3
▲36.4
▲21.1
72.4
9.1
3.8
1.1
2.0
▲3.3
▲1.9
2.0
民間最終消費
純輸出
成長率
(%)
(注)2008,2009年度は成長率がマイナスのため、寄与率にもマイナスを付してある。
在庫を明記していないので合計は100にならない
(出所)内閣府「国民経済計算」、KISER見通しより作成
37
⑥国土政策としてのインフラ整備
1960年 国民所得倍増計画(池田)(10年でGDPを2倍に→6年で達成)
1960年頃 太平洋ベルト地帯構想
(欧米へのキャッチアップのため太平洋ベルトに資源集中とネットワーク化)
1962年
1964年
1964年
1965年
1969年
1970年
1975年
全国総合開発計画(拠点開発構想)
東海道新幹線開業
東京オリンピック開催
名神高速道路開通
東名高速道路開通
大阪万国博覧会開催
山陽新幹線開業
福岡
広島
岡山
太平洋ベルト地帯
神戸
大阪
名古屋
東京
千葉
静岡 横浜
1968年 日本のGNPは世界2位へ
38
⑦国土政策の変遷と背景
高度成長による都市地方間格差是正→資源の公平配分
所得格差縮小は達成されたが、一律資源配分で地域の個性喪失
1950年代
1960年代
高度成長
背景
(課題)
1970年代
1980年代
安定成長
1990年代
バブル
2000~
低成長
太平洋ベ
ルト地帯
構想
全国総合開
発計画
(62年)
新全国総合開
発計画
(69年)
第三次全国総
合開発計画
(77年)
第四次全国
総合計画
(87年)
21世紀の
国土グラ
ンドデザ
イン
(98年)
欧米へ
キャッチアッ
プ
都市と農村の
所得格差
人口・産業の大
都市集中
公害問題
人口・産業の
東京一極集中
人口増加
終焉
低生産生産業
の地方しわ寄
せ
過密・過疎
サービス経済
化
産業の空
洞化
4大工業地
域間のボト
ルネック
資源エネルギー
有限性
人口の地方分散
の兆し
国土形成
計画
(05年)
人口減社会
高齢化
一律資源配
分による地域
の個性喪失
目標
成長極大化
地域間の均衡
ある発展
豊かな環境の創
造(高福祉社会を
目指す)
人間居住の総合
的環境の整備
多極分散型国
土の構築
多軸型国
土構造形
成
多様な地域
ブロックの自
立的発展
開発方
式等
傾斜生産
効率性重視
の成長戦略
拠点開発方式
(工業を分散
し周辺地域へ
の波及を)
大規模プロジェク
ト方式
(新幹線、高速道
路により資源偏
在を解消)
定住構想
(大都市への人
口産業集中抑制
と国土利用の均
衡)
交流ネット
ワーク構想
(地域特性を
活かし地域整
備促進)
参加と連携
(多様な主
体の参加と
地域連携)
開発中心か
らの転換
(資料)国土交通省資料等よりKISER作成
39
⑧産業政策の変遷
国土計画と連動し地方分散から始まったが、空洞化懸念により産業集積を促す方向へ
1960年代
1970年代
1980年代~
1995年~
拠点開発による
集中是正への
取り組み
地域間格差の是
正、公害問題への
対処
高付加価値化の推進、
経済のソフト化・サー
ビス化への対応
グローバル化、IT化への対応
空洞化防止と新規成長分野の発展支援、競争
力のある地域産業・企業の発展支援、
高度成長
均衡ある発展
’59~02 工場等制限法
空洞化懸念
情報化 グローバル競争激化
(首都圏、近畿圏における工場、大学の新増設を制限)
’62~01 新産業都市建設促進法
(全国に15カ所の新産業都市)
’64~01 工業整備特別地域整備促進法
’72~06 工業再配置促進法
(四大工業地帯分散のため周辺に6つの地域)
(工業の地方への移転・分散)
’83~99 テクノポリス法
(地方圏26地域へのハイテク製造業立地促進)
’88~99頭脳立地法
(地方圏26地域へのソ
フトウェア等産業支援サービス業立地促進)
集積(多様性)
’97~07 地域産業集積活性化法
(三大都市圏を含めた産業空洞化対処、
既存産業集積強化)
分散(均衡)
’01 産業クラスター法
(世界に通用する新事業が展開さ
れる地域集積促進)
’02 総合規制改革会議
’07 企業立地促進法
(地域の強みを活かした多様
な連携による新産業の創出)
40
⑨中国も2015年頃から急速な高齢化を予測
◆国連による中国の人口予測
(高齢化率:%)
億人
(人口:億人)
16
25
超高齢社会
14
21.8
20
12
高齢社会
15.9
10
15
65歳~
15~64歳
8
0~14歳
10
6
高齢化率
7.6
4
5
2
0
0
資料:国際連合「 World Population Prospects : The 2008 Revision Population Database」より加工
41
⑩日本の地方都市制度
市
数
政令
指定
都市
中核
市
特例
市
例
19
大阪
京都
神戸
40
高槻
東大阪
姫路
奈良
41
岸和田
豊中
吹田
枚方
茨城
八尾
要件
実施できる主な事務等
人口50万人以上
で行政能力等に優
れる
知事並みの権限で直接国と交渉できる
・社会福祉・保健衛生・都市計画など県の事務の
移譲
・地方債の許可などで知事の監督が不要
・国から交付される財源が大幅強化
1956年
人口30万人以上
・保険所が処理する事務
・民生行政に関する事務
・都市計画等に関する事務
・環境保全行政に関する事務
1994年
人口20万人以上
・環境行政に関する事務
・都市計画・建設行政に関する事務
・産業・経済行政に関する事務
1999年
制度開
始年
42
⑪都市インフラの整備(大阪市営地下鉄の事例)
・1933年 日本初の公営地下鉄として開業
・「市営モンロー主義」:都市内の交通には民間資本参入をみとめない方針のもと、起
債と沿線からの受益者負担原則に基づいた課税(総予算の4分の1)で巨額投資が行
われた。
・1960年以降 モータリゼーションの流れの中、路面電車の収益悪化、
地下鉄の巨額の建設財源を大阪市が独力で確保することが困難。
・以降、恒常的に赤字体質へ。
・巨額負債の返済のため、運賃値上げで
周辺交通機関と比較して割高となる。
・2005年 44年ぶりに黒字転換。
市政改革による経費削減が功を奏する。
・2010年 地下鉄の運営部門の上下分離で
民営化政策を打ち出す。
※2009年度決算
純利益:289億円
累積欠損金:53億円
43
ダウンロード

国から地方への移転 - アジア太平洋研究所