H24 年度(2012 年度)センター試験 物理Ⅰ 解説
120212
分野
問題概要
難易度
第1問
問1 波動
水面を伝わる波の速さ
C
小問
問2 電磁場
円形コイルを流れる電流による磁場のようす
C
集合
問3 重力下での運動
滑車によって結合された物体の落下運動の時間
B
問4 波動
媒質間での平面波の屈折、屈折角と波の速さ
C
問5 力学
おもりを 2 本の糸でつるしたときの糸の張力
C
問6 熱
水に鉄球を沈めたときの温度変化から鉄の質量算出
B
問1 電磁場
電流を流した正方形のコイルに働く垂直磁場の力
C
問2 電磁誘導
磁場を移動するコイルに誘導される電流
B
問3 電気回路
ニクロム線回路の電流から、付加した抵抗値を算出
B
問4 電気回路
ニクロム線回路の短絡位置と電流の関係
B
問1 光波の回折
回折格子による光波の回折光の明線
B
問2 同上
赤色と青色の回折光の関係
A
問3 音波
開管と閉管における定常波の振動数
B
問4 同上
ヘリウムガス中の定常波の振動数
B
問1 ばね
重力とばねによる運動
B
問2 同上
重力とばねの作用の下での加速度の変化
A
問3 力学,運動
あらい面上での運動によるエネルギーの損失
C
問4 同上
エネルギー損失から動摩擦係数の算出
B
問5*同上
動摩擦による運動の停止
A
問6 気体
気体の状態方程式
C
問7 気体のエネルギー
気体の状態変化におけるエネルギーの移動
B
第2問
A
電気
B
第3問
A
波動
B
第4問
A
力学
B
力学
気体
C
合計 21 問(*は 2 問回答)A:3 問 B:11 問 C:7 問
難易度:A 高,B 中,C 低
<総評>
昨年度は容易になったが、24 年度はさらに容易になったように思う。難易度Aの問題も、難しい
というより、勘違いして誤り易いという点でAなのである。
どの問題も教科書を的確に理解していれば解答可能な基本的な問題である。教科書を何度も読み
返して,理解を深める。過去問を解き,わからない箇所は教科書に戻って考える。これの繰り返し
で,物理の理解は血肉化するだろう。
第3問 問2は,波長が短いほど,回折角度が小さいという事実から,物理的思考を進める。す
ると,明線の位置は青,赤,青となることがわかる。第4問 A 問2では,小物体とばねは結合して
いると勘違いしてはならない。問題文を正しく読むことの大切さに気づく。
第4問 B は,難しいと感じるかも知れない。しかし,問題の本質を読み取れば,それほど難しい
ものではないことに気づくであろう。あらい面で失うエネルギーが簡単に求まるのである。
1 問数分で解かねばならない,という時間の制約が厳しい。計算等より物理的直感によって,迅
速に選択できそうな問題は,当然ながらそのようにすべきである。
1
第1問 (配点 30)
問1 2 難易度C
波長が2.0m,振動数が
5
=0.5,波の伝わる速さは,波長%振動数だから,2.0%0.5=1.0m/s
10
問2 7 難易度C
円電流による磁場は,円電流の向きに右ねじを回した時の進行方向だから,アはQ
プラスチック板上の磁場は,A,B周辺では同心円状で,両点から等距離の点では直線状になる。し
たがって,イはc
問3 3 難易度B
物体Bの運動方程式は3ma=3mg-T,ただしaは加速度,Tは糸の張力
物体Aの運動方程式は-ma=mg-T,物体Aは上方へ同じ加速度で運動する。両式を減算してTを
消去すると,a=
at 2
g
,しかるにh=
だから,t=
2
2
]
]
2h
=
a
4h
g
コメント:Bを支えていた手を離すと,Bの質量がAの質量より大きいので,Bは落下運動を始める。
下方へ重力の加速度,上方へ糸の張力が働き,落下の加速度は両者の和である。糸の張力は 3
mgである。糸の張力をうっかり単純に物体Aの重力とすると誤る。物体Aも同じ加速度で運動
2
するので,張力はさらに大きくなる。ここでは,物体A,Bに対する運動方程式を立てて考えるの
が早道だ。
問4 1 難易度C
h1 >h2 のとき,問題図4のように光波が内側に屈折し,波面の山の間隔すなわち波長が短くなる。
振動数は一定だから,(速さ=波長%振動数)の関係により速さは遅くなる。したがって,v 1>v 2
コメント:光の進行方向は,波面に垂直だから,h1 >h2 のとき,波面の間隔が短くなり,波長が短
くなることがわかる。この問題は,図によって直感的に答えても良い。
問5 1 難易度C
おもりに働く重力Mgを2本の糸で支える。二つの張力の合力が鉛直上方にMgとなるので,長さ
2lの糸に働く張力は
1
2
Mg,lの糸に働く張力は
Mg
5
U
U5
問6 5 難易度B
鉄球を沈める前の(水の熱量+鉄球の熱量)=鉄球を沈めた後の(水の熱量+鉄球の熱量)
したがって,4.2%10%100+0.45%96m=4.2%12%100+0.45%12m,0.45%84m=4.2%2%100
m722
-2-
第2問 (配点 18)
A
問1 1 難易度C
フレミングの左手の法則を利用する。あるいは電流に対して働くローレンツ力を思い出す。電流
の方向から磁場の方向へ右ねじを回したときの進む方向が力の方向である。
問2 4 難易度B
領域ⅠからⅡに入るときは,紙面の裏から表への磁束が増大するので,レンツの法則により,そ
れを妨げるような磁場を作る電流が流れる。それは負方向の電流である。領域ⅡからⅢに移動し
ているときは,逆だから,正方向の電流となる。
B
問3 3 難易度B
ニクロム線の抵抗は,
15
=100Z。長さが25mだから,1mあたりの抵抗は4Z
0.15
電池からみた合成抵抗は
15
=60Z ,PQ間,RS間の抵抗はそれぞれ20Zだから,QS間の抵抗は
0.25
60-40=20Z ,すると並列抵抗の合成により,抵抗の値をxとすれば,
5.0m
1
1
1
= + ,x=30
20 x 60
20Z
20Z
15V
抵抗
A
図1
P
20Z
Q
R 5.0m
S
20Z
20Z
コメント:ニクロム線の単位長当たりの抵抗を求めることがポイントである。直列,並列回路の合
成抵抗の求め方も必要である。
問4 1 難易度B
抵抗値は(20+8L)だから,電流はI=
15
。
20 + 8L
コメント:抵抗0の導線を接続したので,その先のニクロム線の抵抗は無視できる。
第3問 (配点 20)
A
問1 2 難易度B
光の波長をkとすれば,スクリーンに明線をつくる角度hは,
-3-
dsin h
=m,mは整数。
k
sin h =
mk m
= ,-60,<h<60,だから,m=0,$1である。したがって,明線は3本。
d
2
コメント:回折格子による光波の回折において,回折光が強めあう条件(干渉によって強めあう)
は覚えていなければならない。
問2 6 難易度A
赤色に対する明線は,sin h r =
青色に対する明線は,sin h b =
mk r
,ただしk rは赤色の波長
d
mk b
,ただしk bは青色の波長,k b<k rだから,同じmに対して,
d
sin h b <sin h r となる。するとhb<hrだから,Pの明線は青でm=1,Rの明線も青でm=2。
コメント:これは少々難しい。まずは,赤色と青色の波長では前者が長いということ,すると明線
の方向の角度は赤色の方が大きくなること,などを考えつかねばならない。そうすれば,まず青
の明線が現われ,次に赤,そして青という理解が得られる。波長が短いほど,回折の角度(明線
の方向)が小さいということは,単純には,波長が短くなるほど,直進性が高まるということで
もある。
B 問3 2 難易度B
管の長さをL ,波長をk ,音速をVとする。図2で,440Hzで共鳴が始まったということは,両端
を腹とする定常波ができ,L=
k
V
V
の関係がある。すると振動数は,f= =
=440 Hz。 2
k
2L
一方図3で,手の平で節になる定常波ができるので,L=
k
V
V
,振動数f=ア= =
=220 Hz。
4
k
4L
3
V 3V
=660Hz。
さらに振動数を大きくしていくと,L= kとなり,f=イ= =
k
4L
4
L
L
手
音源
音源
細長い管
細長い管
図3
図2
コメント:気柱における音波の共鳴とは,定常波ができることで,開口では音波の腹,閉口では音
波の節となる。波動の基本的関係である,(波長%振動数)=(波の速さ)は頭に入っていなけ
ればならない。
問4 4 難易度B
管の長さと波長の関係は,図2と同じで,L=
k
,またヘリウムガス中の音速は空気中の音速の3
2
-4-
倍だから,kf=3V,したがって振動数は,f =
3V 3V
=
=3%440=1320 Hz。 k
2L
第4問 (配点 32)
A 問1 3 難易度B
自然長での重力による位置エネルギーを0とする。するとエネルギー保存の法則によって,自然 長での運動エネルギーと初期状態でのエネルギーが等しい。
自然長での運動エネルギー=初期状態でのエネルギー
1
=(重力による位置エネルギー)+(ばねの変位によるエネルギー)=mgd+ kd 2
2
問2 2 難易度A
小物体の運動方程式は,x ( dでは,ma=mg+k(d-x),a=g+
k
(d-x),ただしaは加速度
m
小物体はばねに押し当てられただけなので,x = dになった瞬間,ばねからの力が働かなくなるので,
d< xではa= gとなる。以上に該当するのは2
コメント:小物体は手によってばねに押し当てられている。この状態で手を放すと,小物体には重
力とばねの変位の力が働いて,鉛直下方に落下する。ばねにも重力と変位の力が下方に働くから,
小物体を下方に押す。ところが,ばねが自然長になった瞬間(x = d),ばねの力は0になるので,
小物体を押さなくなる。さらに,ばねはd< xでは,上方に力が働くので,小物体と離れる。小物
体は単に重力による落下運動に移行する。
もし,小物体とばねとが接続されていれば,d< xでもばねの力が働くので,答は6となる。
B
問3 6 難易度C
A点を通過するときの速さをvとすれば,エネルギー保存の法則により,
mv 2
=mgh,しがたって,v=U 2gh
2
問4 1 難易度B
小物体が失ったエネルギーは,mgh-
7
3
mgh= mgh
10
10
これは,小物体があらい面を移動して失った摩擦エネルギー,l'mgLに等しい。
したがって,l'=
3h
10 L
問5 19 3 20 4 難易度A
小物体はあらい面(AB間)を通過するたびに,
-5-
3
mghのエネルギーを失う。したがって,小物
10
体の運動エネルギーが
ギーは
3
mgh以下になったとき,AB間で停止する。3回通過すると,運動エネル
10
1
mghとなるから,点Aを3回通過することになる。
10
小物体はB点を運動エネルギー
1
1
mghをもって通過する。Bから L通過するとこのエネルギー
10
3
2
を失って停止する。この点XはAから Lである。
3
コメント:小物体は初めに,P点で位置エネルギーmghをもっていた。Q点の高さが
とは位置エネルギーが
7
hというこ
10
7
3
mghということだから,あらい面AB間で mghのエネルギーが摩擦 10
10
によって失われるということである。このことに気がつけば,正答にいたる。 C
問6 3 難易度C
温度一定のまま,ピストンを押すのだから,PV=nRT0=P 0 V 0 ,したがって,栓がはずれる直前
の容器内部の気体の体積は,P=P Aとして,V=
P0
V
PA 0
問7 2 難易度B
操作(ア) では,ピストンを押すという仕事を気体にするので,気体温度は上昇する。温度を一定に
保つためには,内部から外部へ熱を移動させねばならない。123が選択候補である。
操作(イ) では,栓がはずれるまで,気体の温度をゆっくり変化させるとは,気体の圧力を増やすと
いうことだから,気体の温度を上昇させるということである。すると,熱は外部から内部へ移動す
る。258が選択候補である。両方を満足するのは,2
120214
-6-
ダウンロード

24年度センター試験 物理Ⅰ解説