技術情報連絡会資料
- 雷について
電気設備への影響を考える
平成24年
後藤
-1-
-
4月27日
正
雷について
1)雷の発生
大規模で強力な上昇気流が継続して発生しているとき、雷雲が現れる確率が高い。大気中の水蒸
気は上昇し上空の冷たい大気で冷やされ、氷晶(小さな氷の粒)となっていく。この氷晶がさらに
成長し、大きく重くなると下降を始め上昇中の氷晶とぶつかりあう。このとき、摩擦により静電気
が発生し、小さな氷の粒には(+)の電荷が、大きな氷の粒には(-)の電荷が帯電し、それぞれ
雷雲の上方と下方に蓄積されていく。電荷が一定量以上になると、雲の内部や地上への放電「落雷」
が起きる。また、雷雲中や周辺には独立した小さな「雷雲」とよぶべき雲も形成され、これらの雲
どうしのプラス(+)とマイナス(-)の電気の放電「雲放電」が頻繁に起き始める。
地上観測衛星の実測によると、大地への落雷は地球全体では毎秒100回程度、雲の内部放電は
その10倍程度起きていることが観測されている。季節や、昼夜の差もほとんどなく、地球規模で
見ると絶え間なく雷が発生している。
2)落雷にいたるメカニズム
空気の耐電圧は、湿度70%でも 10KV/cm 程度あり、雷雲の下部の高度 2000m から地上まで、
単純に空気の絶縁破壊によって落雷したとすると、最低でも 20 億ボルトの電位差が必要となる。
しかし、ほとんどの落雷は1~10億ボルトの電位差で起きており、落雷は単純な絶縁破壊によっ
て起きるのではないことがわかる。
最も有力な説は、
1)雷雲から雲の周囲の空気を電離した「先駆
放電:ステップリーダー stepped leader」が大地
に向かうように形成されます(約 30 万 Km/H)。
2)同時に、地上に帯電した電荷が上空に向か
う「ストリーマー streamer」が起きる。
3)この両者がつながったときに落雷(放電 約
1~3億 Km/H)が起きる。
とされている。
3)雷のエネルギー
雷の放電開始時の電圧は通常 1 ~ 10 億V位といわれています。放電電流は 1000A から 100KA
程度で、1回の放電時間は 0.1ms ~ 1ms ですが、ごく短い間に同じ放電路を通り何度も落雷が続
くことがある。この落雷のエネルギーは、その大部分が電波、光、熱のエネルギーとして発散され
る。雷の特徴であるゴロゴロという音のエネルギーは、雷放電(雲放電と落雷)の熱(約 1 万度か
ら2万度)によって瞬間的に空気が膨張したとき起きる2次的なエネルギーである。
4)落雷時の電気的な影響
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■直撃雷
人や建築物、送電線などに直接落雷するものをいいます。高電圧、大電流が流れるため
人命を奪う、建物を破壊する、爆発・火災を引き起こすなど大きな被害を引き起こす。
放電電圧 Vd、電流 Id は下記のように表される。
ω=2πf (f : 基本周波数 20~25Hz)、Cを直流成分とすると
Id=C + a1cos ωt + b1sin ωt + a2cos2 ωt + b2sin2 ωt + ..... + ancos n ωt + bnsin n ωt
(n は 30000 から 40000)
最も高い周波数成分は約1 MHz になる。
■誘導雷
配電線のそばの樹木や建物に落雷した際に生じる雷放電路からの電磁波により、配電線に
発生する高い電圧の誘導雷サージが、近傍の工場、建物に侵入して機器の絶縁を破壊したり、
ノイズにより誤作動を起こす。これを誘導雷という。
誘導雷は落雷の地点から数百メートルの範囲の電気機器、人体に影響を与える。配電線などに
誘起した場合は、数キロメートル先の電気機器を損傷させることがある。
誘導雷電圧Vi、電流Iiは誘導を受ける側(配電線、電気機器、建物の金属部分など)の状態に
よって大きく変化するが、直撃雷電流の交流分が誘導され、基本周波数f、次数nは変わらない。
Ii=a1'cos ωt + b1'sin ωt + a2cos2 ωt + b2sin2 ωt + ..... + ancos n ωt + bnsin n ωt
最も高い周波数成分はやはり約1
MHz になる。
直撃雷から誘導雷に
変わり、それが伝播
していく様子
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■逆流雷
建築物やアンテナ用鉄塔などに落雷し、その接地が十分でない場合に、雷電流の一部が
構造物に電気を供給している配電線に逆流し、配電線につながる他の機器に被害を与える。
これを逆流雷という。
5)落雷対策
■ 避雷針
建物の最も高い部分に設置し、直撃雷をこの部分に積極的に誘導し、大地に安全に流すことに
よって周囲の建造物、人、機器を守るためにつかわれる。建築基準法では、20mを越える建造
物は避雷針の設置が義務づけられている。
■ アレスタ-(arrester)
国際的にはこの言葉はあまり使われていない。アレスタ-(arrester)は逮捕者、防止装置、着艦装
置の意味で使われるため、代わりにサージ防護装置 Surge Protective Device(SPD)と言う言葉を
使う。日本でも国際基準に従い、規格書などではSPDと呼称している。
SPDは、技術基準では高圧以上で受電し 500KW 超の需要家は設置が義務づけられている。
a)SPDの構造(高圧用)
バリスタ-として酸化亜鉛(ZnO)を用いる。
動作開始電圧で放電を開始し、SPDの端子
間を制限電圧以上にしない効果がある。
動作開始電圧
一般にアレスタ内部のサージ保護素子の
バリスタ電圧のことを言い、特にバリスタに
1mAの電流が流れた時の電圧を「動作開
始電圧(V1mA)」という。
制限電圧
線間または、対地間に規定の放電電流が
流れた時に、端子間に残る電圧を言い、ア
レスタの放電によってそれ以降の機器に
は、この値以上の電圧がかからないように
制限する。
放電耐量
雷サージ電流を規定の回数流しても、アレ
スタに実質上の障害が発生しない電流の
最大値をいいます。
音羽電機(株)技術情報より
b)SPDの効果
誘導雷による瞬間的な過電圧(誘導雷サージ)による電流を大地や線間に分流させて過電圧を
制限し、電子機器や装置を保護し、電路を正常に復帰させる働きをする。
■サージ吸収コンデンサー、接地コンデンサー
誘導形のサージ電圧のうち、高い周波数成分をすみやかに大地や線間に流し、サージ電圧を低
減し、機器や電路を保護する。
6)SPD(アレスター)を効果的に機能させる方法
a)接地接続線はできるだけ短くする
配電路
接地抵抗が10Ω以下でも、接地線が長すぎると
大電流の放電電流が流れたとき、接地線の抵抗に
より、十分にサージ電圧を下げることができない。
また、放電電流に高周波成分が多い場合、接地線に
は表皮効果とインダクタンス分も無視できないため
、さらに電位の低減効果は低下する。
SPD
放電電流
長い接地線(リアクトルのようにはたらく)
10 Ω以下
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b)長い高圧ケーブル(50m以上)の流入口前に SPD を取り付ける
配電線路の途中に、長いケーブルがあると、その大地間との静電容量で、誘電雷サージ電圧の
比較的高い周波数成分の電流がケーブルに流れ込み、焼損に至る場合がある。
c)SPDと機器のケースアースは共通化する
配電線路
配電線路
Is
SPD
Vs + Vg
Vs
機
器
ケース
アース
Is
機
器
機
器
SPD
Vs
ケース
アース
Vg
Vs
ケース
アース
機
器
ケース
アース
>
機器単独で接地して
いる場合、機器には
Vs + Vg の電圧がか
かる
連接接地の場合、機器には
Vs のみの電圧がかかり、保護
される
d)配電線終端部に位置する需要家は放電耐量の大きな SPD を選ぶ
配電線の最末端部では誘導雷サージに限らず、サージ電圧が末端反射効果により2倍近くに
上昇することがある。このため、末端部から引き込んでいる需要家は、SPD の効果を確保する
ために電流耐量の大きなものを取り付ける。
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