楕円銀河の星の種族
J.-C.Cuillandre (CFHT)
色-等級関係の起源
Kodama & Arimoto (1997) A&A 320, 41
楕円銀河の色-等級関係は星の平均金属量が銀河質量
とともに高くなるためか、それとも、年齢が古くなるためか。
もし、年齢が主な要因であるならば、楕円銀河は過去に
遡ると急速に若くなるはずであるから、銀河団の楕円銀河の
色-等級関係の振る舞いを調べれば、年齢と金属量の
縮退を解くことができる。
金属量と年齢の系列として近傍の楕円銀河のCM関係を再現する。
色-等級関係の起源
Kodama & Arimoto (1997) A&A 320, 41
E1(Bica 1988)
E4(BIca 1988)
残差
残差
巨大楕円銀河
矮小楕円銀河
近傍のE1銀河とE4銀河のスペクトルを再現
色-等級関係の起源
Kodama & Arimoto (1997) A&A 320, 41
age sequence
Abell851
(z=0.407)
Abell 2390
(z=0.228)
遠方銀河団の色-等級関係は年齢では再現できない
色-等級関係の起源
Kodama & Arimoto (1997) A&A 320, 41
metallicity sequence
Abell851
(z=0.407)
Abell 2390
(z=0.228)
色-等級関係の主要な要因は星の平均の金属量である
色-等級関係の進化
Kodama, Arimoto, Barger & Aragon-Salamanca (1988) A&A 334, 99
色-等級関係の起源
Kodama et al. (1988) A&A 334, 99
遠方の銀河団の楕円銀河の
色-等級関係はz>1.2まで
辿ることができる。そのゼロ
点の変化をみると、静的に
進化する楕円銀河のモデルで
再現できる。
z>1での色-等級関係の
進化は銀河の形成時期に
大きく依存する。これらの
銀河団の色-等級関係の変化は
銀河形成を大部分の星が
生まれた時期と定義すると、
少なくともzF>2.5よりも
遠方であったことがわかる。
つまり、少なくとも明るい
楕円銀河の星は古い。
結論は宇宙論モデルに依らない。
楕円銀河の色勾配の起源
Tamura, Kobayashi, Arimoto et al. (2000) AJ 119, 2134
近傍の楕円銀河の色勾配を金属量と年齢で再現
楕円銀河の色勾配の起源
Tamura et al. (2000) AJ 119, 2134
HDFにある銀河の中で、
表面輝度が楕円銀河と同じ
プロフィールを持つものを選び、
その色勾配を測る。
楕円銀河の色勾配の起源
Tamura et al. (2000) AJ 119, 2134
年齢勾配の進化
楕円銀河の色勾配の起源
Tamura et al. (2000) AJ 119, 2134
金属量勾配の進化
楕円銀河の色勾配の起源
Tamura et al. (2000) AJ 119, 2134
楕円銀河の色-勾配の進化は金属量の勾配の進化である
中心が青い楕円銀河
Tamura et al. (2000)
AJ 119, 2134
楕円銀河の中には中心が青かったり、
金属量の勾配では説明ができないも
のがある。これらは中心部で新たに
星形成が起きたものと考えられる。
統計的にこのような逆勾配の楕円
銀河が有意に多いのか、例外的な
存在であるかを知ることが必要になる。
また、色勾配が静的に進化するケース
よりも急な場合には中心分にダストが
ある可能性もある。
バルジの色-等級関係
Jablonka et al. (1996) AJ 112, 1415
渦状銀河のバルジの金属量と絶対等級
バルジの色-等級関係
Jablonka et al. (1996) AJ 112, 1415
CN
G-Band
CaH+K
TiO
Mg2とバルジの絶対等級
Mg2とバルジ中心の速度分散
実線は近傍の楕円銀河の観測(±1σ)を表す。バルジの金属量-質量関係
と楕円銀河の同様な関係とは非常に良く似ており、星の種族が同じことを示唆。
バルジの[Mg/Fe]-Mv
Jablonka et al. (1996) AJ 112, 1415
絶対等級(質量)の大きなバルジほど
マグネシウムが相対的に増えている。
楕円銀河でも同様であり、
これは大きなバルジほど星形成の
期間が短いことを示唆する。
バルジの基準平面
基準平面は星の種族と力学的
な構造の関連を示すが、バルジ
と楕円銀河は同じ領域を占める。
銀河系バルジの金属量分布
McWilliam & Rich (1994) ApJS 91, 749
斜線部がバルジのK型巨星の金属量分布、実線は太陽系近傍のG型矮星の
金属量分布。比較的良く似ていることに注意。
楕円銀河の金属量分布
銀河風モデル
赤色巨星の色を金属量に焼きなおす
1012Mo
NGC5128
Halo
NGC5128
Spectral Energy Distribution (SED)
Pickles (1985) ApJ 294, 134
楕円銀河の主な吸収線: Hδ4100 Hγ4340 Hβ4861
CaK 3934 CaH 3968 Ca4227 G4300 Fe4383 Fe5015 Mg5173 Mg5183
(Mgb) Fe5270 Fe5335 Fe5406 D4000
金属量と年齢の縮退
Vazdekis & Arimoto (1999)
ApJ 525, 144
水素バルマー系列の吸収線は
楕円銀河の年齢の良い指標に
なっているが、同時に金属量
にも依存しており、金属量を
知らない限りは意味のある
年齢を得ることができない。
一方、金属の吸収線は
年齢に強く依存するので、
金属量は年齢を知らない限り
正しく求まらない。
ところが、速度分散を変えると
Hγーageの関係の金属量
への依存性が逆転する。
金属量と年齢の縮退
Vazdekis & Arimoto (1999) ApJ 525, 144
Hγの付近には金属線があるので、それらを含めるようにして
金属量の効果を相殺して、年齢にだけよるようにすることができる。
金属量と年齢の縮退を解く
Vazdekis & Arimoto (1999) ApJ 525, 144
M32
M32のSEDは4Gyr、
[Fe/H]=0.0のSSPで
よく再現できる
楕円銀河の年齢と金属量
Vazdekis, Kuntschner, Davies, Arimoto et al.
(2001) ApJ 551, L127
おとめ座銀河団の楕円銀河の年齢と金属量
楕円銀河の年齢と金属量
Yamada, Arimoto, Vazdekis & Pelytier (2005) ApJ in press
楕円銀河の年齢と金属量
Yamada, Arimoto, Vazdekis & Pelytier (2005) ApJ in press
Hγの定義は速度分散による
Yamada, Arimoto, Vazdekis & Pelytier (2005) ApJ in press
年齢の決定
Yamada, Arimoto, Vazdekis & Pelytier (2005) ApJ in press
楕円銀河の年齢
Yamada, Arimoto, Vazdekis & Pelytier (2005) ApJ in press
おとめ座銀河団
フィールド
楕円銀河の年齢
Yamada, Arimoto, Vazdekis & Pelytier (2005) ApJ in press
銀河団
フィールド
速度分散が100km/sよりも大きい楕円銀河は年齢が古いが、
矮小銀河の場合には若いものも存在する。
楕円銀河の金属量
Yamada, Arimoto, Vazdekis & Pelytier (2005) ApJ in press
銀河団
フィールド
楕円銀河のMgは速度分散とともに増加するが、鉄はほとんど一定である。
また、この傾向は環境に依らない。
楕円銀河の年齢と金属量
Yamada, Arimoto, Vazdekis & Pelytier (2006a,b)
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楕円銀河の年齢は一般に10Gyrという古い値を示す。けれども、中には5
-8Gyr程度の中間年齢を示すものもあり、フィールドの方がその割合が
多い。また、小さな銀河には3-5Gyrという若いものがある。
楕円銀河の重元素量として速度分散(質量)と相関を示すものはマグネシ
ウム(そして恐らく他のα元素)である。鉄は銀河の速度分散に依らずほと
んど一定である。これは巨大な楕円銀河ほど[Mg/Fe]比が大きいことを意
味し、この比がSNeII/SNeIa比に起因するのであるならば、大きな楕円銀
河ほど星形成が短期間で終了した(つまり、Ia型超新星が爆発する前に)
ことを示唆する。これは、銀河風モデルでも、階層構造形成モデルでも説
明することが難しい。
M32の年齢と金属量の勾配
Rose, Arimoto, Cadwell (2005) AJ 129, 712
Subaru Observation (M32) at r=0, 10”, 20”, 30”
M32では中心程長く星生成が続いている
Rose, Arimoto & Cadwell et al. (2005) AJ 129, 712
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Population synthesis models indicate a radial change in both the age and
chemical composition of the light-weighted mean stellar population in
M32, from the nucleus out to 33 , i.e., an approximately 1.0 effective
radius, Re.
Specifically, the light-weighted mean stellar population at 1 Re is older by
~3 Gyr and more metal-poor by about -0.25 dex in [Fe/H] than the
central value of ~4 Gyr and [Fe/H]~ 0.0.
We show that this apparent population trend cannot be attributed to a
varying contribution from either hot stars or emission-line contamination.
The increase in age and decrease in metal abundance with radius are
sufficiently well matched to explain the flat radial color profiles previously
observed in M32.
In addition, the ratio of Mg to Fe abundance, [Mg/Fe], increases from
about -0.25 in the nucleus to about -0.08 at 1Re 。
Young AGB stars in M32
Davidge et al. (2000) ApJ 545, L89
Young AGB 2-3Gyr!
Old RGB Tip
中心
Near Infrared (AO image) of M32
楕円銀河の高温X線ガス
Matsushita tet al. (2002) A&A 386, 77
楕円銀河はX線高温ハローの分布から二つのグループに分けることができる。
NGC4636やNGC1407は広がった高温ガスのハローを持つが、NGC3923は殆ど持たない。
また、星が光っている範囲ではダークマターの成分は星とほぼ同程度に過ぎない。
二つの楕円銀河が形成過程の違いによって発現したのか、
銀河団ガスとの相互作用による後天的な影響を受けたためであるかはまだ不明である。
楕円銀河の高温X線ガス
Matsushita (1998) PhD thesis, U. Tokyo
楕円銀河のX線スペクトルでは鉄、ニッケル、酸素、ネオン、マグネシウム、
シリコン、硫黄などが検出されるはずである。ASCAでは鉄の化学組成を
決める試みがなされているが、鉄はL-輝線で測るので、原子物理学的な
理解がまだ不十分で、正しい組成を与えているという保証はない
楕円銀河の高温X線ガス
Fabbiano et al. (1992)
楕円銀河のX線光度は高温ガス
からの寄与(ソフト)と低質量X線
連星はAGN(ハード)からの寄与
がある。
渦状銀河のX線光度は主にLMXB
から。巨大質量の楕円銀河では
星の光度と比較してX線光度が
増加しており、高温ガスの割合が
大きくなっている。
高温X線ガスの化学組成(ASCA)
Matsushita et al. (1999)
楕円銀河には二種類あり、X線光度の高いもの(>1042erg/s)と
低いものとでは鉄やα元素の組成値が違う。
一般にX線で暗いものは鉄の組成値が太陽の0.2倍位しかない。
ASCAでは楕円銀河の高温ガスの鉄組成が予想より低くでたので
Iron Discrepancyとして論争になった (Arimoto et al. 1997, ApJ 477, 128)。
Iron Abundance Discrepancy
Arimoto et al. (1997) ApJ 477, 128
star
gas
θSNIa=0.25-1.1
ASCAによる楕円銀河の高温ガスの鉄組成は低い
楕円銀河は鉄を失った
Matsushita, Ohashi & Makishima (2000) PASJ 52,
685
ASCA以降の高温ガスの観測
Boute et al. (2003) ApJ 595, 151
Fe組成
NGC5044
Chandra/XMM
α組成
温度分布、キャリブレーション、プラズマコード、銀河系の吸収、
バックグラウンドなどによる誤差を考慮したChandraとXMMの結果、
鉄の組成値は中心部(r<5kpc)でほぼ太陽と等しく、
r=100kpcで0.4倍に落ちることが分かった。
ASCA以降の高温ガスの観測
Boute (2002) ApJ 574, L135
Fe組成
NGC1399
Chandra/XMM
Si組成
Chandra/XMMによる巨大楕円銀河の観測では鉄の値が太陽、シリコンが1.5太陽
ASCA以降の高温ガスの観測
Kim & Fabbiano (2004) astro-ph/0403105
Fe
NGC507
XMM
Si
NGC507には傾きの急な鉄組成の勾配が見られる。中心では太陽の三倍、外側
でも太陽とほぼ同じくらい。Si/Fe比には勾配が見られない。SiはSNIaからも出る?
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