社会保障改革の経済学
年金問題の解決策
• 賦課方式から積立方式への移行こそが急務
• しかし、「真っ白なキャンバスに今から新しく絵
を描くように」積立方式を選ぶことはできず、現
在の賦課方式の「清算」をしてからしか積立方
式に切りかえられない。
• 2重の負担問題とは
• この2重の負担があるために積立方式移行は
現実的ではなく、一度、賦課方式を選択した以
上は積立方式に戻ることはできないという専
門家の主張
国の負債
③
高齢期
賦課方式
①
②
改革期の世代⇒
現役期
高齢期
積立方式
現役期
高齢期
現役期
高齢期
将来の世代にわたっ
て、少しずつの負担
積立方式への誤解
• ①「2重の負担があるから積立方式に移行で
きない」
• ②「積立方式は個人勘定なので、保険機能を
持たない」
• ③「積立方式はインフレに弱い」
• ⇒これらは全て嘘。
• 「フィッシャー効果」
積立方式移行の実際
%
22.00
2004年改革(最終保険料
率18.3%)
21.00
20.00
現状(最終保険料率
21.6%)
19.00
18.00
17.00
16.00
20
08
20 年
14
20 年
20
20 年
26
20 年
32
20 年
38
20 年
44
20 年
50
20 年
56
20 年
62
20 年
68
20 年
74
20 年
80
20 年
86
20 年
92
20 年
98
年
15.00
積立方式移行1(保険料率
20.2%固定)
積立方式移行2(保険料率
19.65%固定+スライド前倒
し)
• 年金債務は、670兆円。積立金は130兆円
なので、純債務は540兆円。
兆円
800.0
700.0
600.0
500.0
積立方式移行
400.0
300.0
初めから積立
方式のケース
200.0
100.0
遠い将来で一致
21
15
21
05
20
95
20
85
20
75
20
65
20
55
20
45
20
35
20
25
20
15
20
05
0.0
• 世代間不公平の解消はそれほど大きいわ
けではない。2重の負担が大きすぎる結果。
万円
4,000
現状(最終保険
料率21.6%)
3,000
2,000
積立方式移行1
(保険料率
20.2%固定)
1,000
0
積立方式移行2
(保険料率
19.65%固定+ス
ライド前倒し)
-1,000
-2,000
19
4
19 0
45
19
5
19 0
55
19
6
19 0
6
19 5
70
19
7
19 5
80
19
8
19 5
90
19
9
20 5
00
20
0
20 5
1
20 0
15
20
2
20 0
25
20
3
20 0
35
-3,000
生年
積立方式移行の保険料率
①老後の年金受給に見合った保険料率
②2重の負担分
1980年生
19.1%
13.4%
5.7%
2010年生
20.2%
13.2%
7.0%
• ①老後の年金受給に見合った保険料率と、②2重の
負担分の保険料率に、区分経理
• ①は、いわば、純粋な積立方式であった場合の保険
料率
• 1980年生まれの5.7%、2010年生まれの7%もの保
険料率が、2重の負担分に対応
• 「積立金を2100年以降も枯渇させない(政府が赤字
国債を発行しない)」というルール(制約)の下では、
なかなかこれ以上、2重の負担分を減らすことが出
来ない。
現実的な改革案
• 「基礎年金財源の税方式化」と同じタイミング
で積立方式移行を図る
• 厚生年金の基礎年金拠出金分の保険料が
不必要。本来、厚生年金の保険料率は大幅
に下げることが可能だが、下げずにおいて、
将来にわたって保険料率を固定。
• 見かけ上、保険料率を引上げずに、実は保
険料率を一気に引上げたことと同じ効果が得
られ、積立方式へ移行可能
• 2009年以降の保険料率を14.35%に固定す
ることにより、積立方式に移行できる
• 2008年10月現在の厚生年金保険料率は
15.35%なので、ちょうど保険料率を1%引下
げることができる計算。
• 世代間不公平は大幅に解消
• 2重の負担としてあった膨大な過去の純債務
分の追加負担は、基礎年金拠出金が無くなっ
たことにより打ち消された
• 厚生年金受給者の基礎年金分(1階部分)が
無くなるわけではない。
19
4
19 0
4
19 5
5
19 0
5
19 5
6
19 0
6
19 5
7
19 0
7
19 5
8
19 0
8
19 5
9
19 0
9
20 5
0
20 0
0
20 5
1
20 0
1
20 5
2
20 0
2
20 5
3
20 0
35
万円
4,000
3,000
0
-1,000
現状(保険料率
再引上げ)
2,000
1,000
積立方式移行3
(保険料率
14.35%固定+基
礎年金消費税)
-2,000
-3,000
生年
• この無くなった2重の負担分は誰が負担して
いるのかといえば、まずはとりあえず、国が
肩代わり。国の負債として区分経理。
• この軽減策として、まずは、相続税からの徴
収
• クローバック制度
• 基本は消費目的税化。
• 基礎年金の消費目的税は、国民年金加入者
にとっては基礎年金の対価、厚生年金加入
者にとっては2重の負担の追加負担分という
仕分け
• 同じ消費税率負担では、厚生年金加入者の
負担が重く、不公平。
• 過去からの相続税徴収分に応じて、税の還付
もしくは所得税の控除がなされるという制度
導入。
• 少なくとも初めの30年程度の間、厚生年金受
給者の実質的な消費税率(基礎年金目的税
から税還付・税控除を差し引いたもの)を低く
抑える。
• 景気を悪化させる効果も抑える
• 相続税徴収及びクローバックへのプレッ
シャーも厳しいものになり、取立てが進む。
• 相続税収がやクローバックが無くなったその
後はどうするかといえば、税還付・控除分を
持続させるために、国債発行による財源調達
• つまり、政府が赤字国債をロールオーバーし
て負担(積立金がプラスという制約から解き
放つ)。
• 基礎年金財源の消費目的税も積立勘定を持
たせて、税率を平準化することが望ましい。
医療保険の積立制度移行
• 1国全体の医療保険を全て統合したベース
• 公費投入分も含めて積立方式移行をした場
合に、どのような保険料率になるか。
• 賦課方式の下では、今後急速にその保険料
率は引き上がり、そのピークである2072年に
は15.68%。
• 積立方式の保険料率は、12.21%。今、直ち
に引上げる。
2103
2098
2093
2088
2083
2078
2073
2068
2063
2058
2053
2048
2043
2038
2033
2028
2023
2018
2013
2008
医療保険の保険料率の推移
%
17.00
15.00
13.00
賦課方式
11.00
9.00
積立方式
7.00
5.00
• 純債務は、380兆円。これが2重の負担分。
• 100年間に渡り負担をならすと、積立移行可
医療保険積立金の推移
兆円
450
400
350
積立方式移行
300
250
初めから積立
方式のケース
200
150
100
50
2103
2098
2093
2088
2083
2078
2073
2068
2063
2058
2053
2048
2043
2038
2033
2028
2023
2018
2013
2008
0
20
20
20
20
20
20
20
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
36
30
24
18
12
06
00
94
88
82
76
70
64
58
52
46
40
医療保険における世代別の生涯保険料率の比較
%
16.00
14.00
12.00
賦課方式
10.00
8.00
積立方式
6.00
4.00
生年
介護保険の積立制度移行
• 1国全体の医療保険を全て統合したベース
• 公費投入分も含めて積立方式移行をした場
合に、どのような保険料率になるか。
• 賦課方式の下では、今後急速にその保険料
率は引き上がり、そのピークである2087年に
7.60% 。
• 積立方式の保険料率は、4.81% 。今、直ち
に引上げる。
20
08
20
13
20
18
20
23
20
28
20
33
20
38
20
43
20
48
20
53
20
58
20
63
20
68
20
73
20
78
20
83
20
88
20
93
20
98
21
03
介護保険の保険料率の推移
%
8.00
7.00
6.00
5.00
3.00
2.00
1.00
0.00
賦課方式
4.00
積立方式
• 純債務は、220兆円。これが2重の負担分。
• 100年間に渡り負担をならすと、積立移行可
介護保険積立金の推移
兆円
250
200
積立方式移
行
150
100
50
20
08
20
13
20
18
20
23
20
28
20
33
20
38
20
43
20
48
20
53
20
58
20
63
20
68
20
73
20
78
20
83
20
88
20
93
20
98
21
03
0
初めから積
立方式の
ケース
介護保険における世代別の生涯保険料率の比較
%
8.00
7.00
6.00
賦課方式
5.00
4.00
積立方式
3.00
2.00
1.00
36
20
30
20
24
20
18
20
12
20
06
20
00
20
94
19
88
19
82
19
76
19
70
19
64
19
58
19
52
19
46
19
19
40
0.00
生年
現実的な医療・介護改革案
• 積立制度移行のネックは、現在の保険料率
は一気に引き上がることになること
• つまり、現在低い保険料を払っている世代、
特に現在中高年の世代から強い不満
• しかし、制度拒否がなくなることの安心感は
ある。
• 最後の改革である点、世代間の助け合いで
ある点など、説得材料はある。
• それでも保険料引上げに強い抵抗がある場
合、給付引き下げとペアで改革を行ない、保
険料率を見かけ上上げない改革を行なう。
• 高齢者自己負担率引上げ
• 免責制度導入
• 自己負担増には、医療貯蓄口座(MSA:
Medical Saving Account) の導入を図る
• 勤労者は、労使折半で積立
• 現在の高齢者は、予備的貯蓄から供出
• 現在の高齢者を納得させるための諸策
• シンガポールのMSAのように、MSAを家族
間で相続できる制度に
• その際の相続税や利子課税を非課税とする
• 医療保険・介護保険の給付引下げによって、
公費もかなり削減できるわけなので、この分
の余った公費を、①資産保有額が非常に少
ない高齢者のMSAに充当する、②現在の高
齢者のMSA拠出に対して、一定割合の上乗
せ補助金とする
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