ソシオセマンティクス
(社会意味論)
担当者
総合政策学部 深谷昌弘
背景:社会研究における意味の重要性
「人々の意味世界」の視点は社会の研究に不可欠
2
意味と社会現象のダイナミックな関わり
行為
社会現象:人々の行為の集積
人々の行為は心の中の意味世界の所産
意味づけ
(情況編成)
主体と行為と意味
意味的社会研究の阻害要因
意味表出データのアベイラビリティ不足
意味の問題を取り扱いうる言語コミュニケーション論の不在
大量の意味表出データから意味を解析する方法論・ツールの未発展
fukaya-rg
意味と社会現象との
ダイナミックな関係を捉えるために
「人々の意味世界」
を
取り扱う新しい学問
それがソシオセマンティクスです
ソシオセマンティクスとは
人々の意味世界を研究するSFC生まれの新学問
特徴
対象者をミクロからセミ・マクロやマクロまで拡張
人々にとってのコトバの意味を取り扱う新しい
言語・コミュニケーションの理論パラダイム:意味づけ論
新理論に基礎づけられたテクスト意味解釈の方法・技術:テクスト意
味空間分析法&日本語意味解釈支援システム(TextImi)
ソシオセマンティクス創り:理論つくり、方法つくり、実証研究つくり
IT・ウェブ社会の進展を背景としてSFCで誕生し
十余年で学会発表やビジネス化などの社会的実践にまで進みました
ソシオセマンティクスの理論・方法・応用
理論パラダイム:意味づけ論
方法&技術:テクスト意味空間分析
TextImi を用いた意味の解析・解釈
応用:コンテンツ分析とスクリプト分析
Web社会調査、マーケティング調査、文化意味論、
パブリックコメント分析・・・etc.
[第Ⅰ部] 人間にとっての意味と社会現象:
パラダイム転換の必要性
人間同士のコミュニケーションにおけるダイナミックな意味の社会的編成可
能性が多様性豊かな文化を地球上に発展させてきた。しかし、このような人間
コミュニケーションを取り扱うには、人間および人間同士の相互作用に関する
基本認識をそれに相応しいものに転換する必要がある。そして、人間コミュニ
ケーションの特性を見据えた新しい言語・コミュニケーション理論が必要である
ことを、そして、その理論が備えるべき条件を明らかにする。
すなわち、行為主体である人間および人間たちの行為の複合・集積である社
会現象にとっての「意味」の重要性、意味および意味の社会的編成を取り扱う
ことにまつわる困難、そして、新しい言語コミュニケーション論への示唆、この
三つをこの第Ⅰ部では論じる。
(1)人間の問題解決能力を考える:フレーム問題
(2)社会関係の成立を考える:ダブルコンティンジェンシー問題
(3)情報理論的コミュニケーション論の限界と新理論の必要性
本論に入る前に
背社会研究における意味の重要性
「人々の意味世界」の視点は社会の研究に不可欠
行為
主体と行為と意味
意味づけ
(情況編成)
意味と社会現象のダイナミックな関わり
人々の行為は心の中の意味世界の所産
社会現象:人々の行為の集積
意味と行為
コミュニケーションダイナミクス
ソシオセマンティクス
における
「意味」の意味と基本スタンス
主体の行為と意味
行
為
意味づけ
(情況編成)
環境
<状況と情況>
環境と自己との関係を含む
状況の意味づけが変われば
行動が変わります
行動のフィードバックで
状況の意味も再編成されます
生のプロセスでたえず意味が
介在してます
状況 → 情況
状況:時間とともに推移するモノ・コトの集合
情況:主体にとっての意味づけされた状況
意味づけられたモノ・コト(物事)の総体
情況編成:状況の意味づけ
行動 → 行為
行為:行動は意味づけられて行為となる
コトバ → 言葉
言葉:コトバは意味づけられて言葉となる
生のプロセス
絶えざる情況編成と行為のループの継続
このループで課題を遂行せねばならない
ソシオセマンティクスにおける
意味とは
何かについての意味
誰かによって意味づけられた意味
その人の行為の産出母胎となる意味
↓
つまり人の心の中にある
何かについての感覚・感情・思考です
(1) ヒトの問題解決能力を考える:
フレーム問題と人間の柔軟な情況編成
情報・意味づけ・行為
主体の行為と意味
行
為
意味づけ
(情況編成)
環境
<状況と情況>
生の課題遂行とフレーム問題
人間はさまざまな課題を遂行しながら
生きている。
ところがAI・ロボットに自ら問題解決(課題遂行)を
させようとするとフレーム問題に突き当たる。
何故か?
結論を先取りしていえば、
人間は情況編成することができるのに
AIロボットはそれができないからである
(参照)
(1) 京都大学文学部哲学研究室紀要;
羽地亮(1981)『フレーム問題の解消』
http://nels.nii.ac.jp/els/contents_disp.php?id=ART0000366391&
type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=Z00000017129091&ppv_t
ype=0&lang_sw=&no=1210662204&cp=
(2)大澤真幸 (1990):
「知性の条件とロボットのジレンマ フレーム問題再考」
(『現代思想』1990年3-4月号, vol.18, no.3-4, 3月号
140-159頁, 4月号270-288頁)
フレーム問題
AIロボットの課題:予備バッテリーを救え
R1:
行為の副産物として生じる諸帰結にまで配慮しなかったため
爆死する
R1D1:
副産物となる諸帰結の演繹作業に忙殺されている間に爆死する
R2D1:
目的達成に無関係な帰結を無視する作業中に爆死する
フレーム問題再考
人口知能ロボットに自ら問題解決を
させようとするとフレーム問題に突き当たる
君だったらどう問題解決するの?
フレーム(枠組み)の構成
世界を構成する諸変数
変数間の関係を記述する知識命題
新しい知識を産出する演算規則
諸帰結の評価
情報から結論を導出する
演算は有限時間内に収束しない
積極的無視と消極的無視(大澤)
人口知能ロボットは消極的無視が
できないために有限時間内に
思考・決断(演算)を終了できない
人間は擬似解決している
では、どんな擬似解決なのか?
AIロボットはなぜ爆死する?
開いた世界における行為と情報処理
AIはチェス・ゲームや論理学の定理証明などのような「閉じた世
界」を仮定できる場合、大きな成功をおさめた。
当該行為に直接関係しない有限な周囲の状態:行為を囲む「枠」
=フレームについて完全なリストを作成し次の行為決定に利用で
きるからである。
しかし、「開いた世界」では行為を囲むフレームについての完全な
目録はほとんど無限となり有限時間内では作成できない。
もっとも予め与えておく知識命題数は演繹規則を付加すればAI
内で算出できるので削減できるが、参照する知識は減少しても、
今度は演繹計算数が増大する。
結局、開いた世界では、記述命題と演繹計算を合わせた情報処
理を有限時間内で達成できないのである。
情報・意味づけ(状況編成)・行為
人間は情報を獲得し意味づけし行為し
さらに情報を獲得し意味づけする
この意味づけ・行為の連続プロセスで
情報を受け止めるフレームと情況は
絶えず柔軟に再編成される
Ⅰ(1) END
(2)
社会関係の成立を考える:
ダブル・コンティンジェンシー問題
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フレーム問題と人間の柔軟な情況編成