結晶成長講習会
ヘテロエピタキシーの基礎
佐藤勝昭
東京農工大学名誉教授・工学府特任教授
科学技術振興機構(JST)・戦略的創造事業本部・さき
がけ研究総括
CONTENTS
1.
2.
3.
4.
5.
6.
はじめに
ヘテロエピタキシーと格子整合
熱膨張係数差
極性・無極性ヘテロ成長-アンチフェーズドメイン
格子不整合がエピタキシャル成長に与える影響
異種原子価ヘテロ成長
-III-V族半導体基板上へのII-VI族半導体層のエピタキシャル成長
4. 格子不整合度がある場合の成長技術
5. おわり
1.はじめに
•
•
•
•
エピタキシーとは
人工的なエピタキシー
ホモエピとヘテロエピ
ヘテロエピタキシーの分類
エピタキシーとは
• エピタキシーとは、基板結晶(下地)の上に基板結晶とある一定の
結晶方位関係をもって結晶相を成長させる成長様式である。
• もともとは、鉱物学の分野で使われていた概念で、LandoltBörnsteinのハンドブックシリーズに、Epitaxial Data of Inorganic
and Organic Crystals[i]というのがあるが、その中で、例えば天然
の鉱石中で閃亜鉛鉱 (α-ZnS)を基板として、黄銅鉱 (CuFeS2), コ
ベリン (CuS), キューバ鉱(CuFe2S3), ガレート (CuGaS2), 白鉄
鉱(FeS2), 黄鉄鉱(FeS2), 磁硫鉄鉱(Fe1-xS), 黄錫鉱
(Cu2FeSnS4), ウルツ鉱(β-ZnS)などの堆積物が基板と一定の方
位関係で成長しているようすが分類整理され収録されているよう
に、自然界ではいろいろなエピタキシーが知られているのである。
Table 1にその抜粋を示す。
•[i] Landolt-Börnstein, New Series III-8,
•“Epitaxy Data of Inorganic and Organic Crystals”,
• K-H Hellwege ed., Springer, 1972.
αZnS基板と鉱物のエピタキシーの例
面方位関係
軸方位関係
格子定 格子定
[堆積物]/[基板] [堆積物]/[基板] 数:基板 数:堆積
(Å)
物(Å)
格子不
整合度
(001)/(110)
[130]/[001]
7.68
10.32
-3.3
(111)/(111)
[01-1]/[01-1]
5.43
4.15
-23.6
(0001)/(011)
[00・1]/[001]
3.84
3.80
-1.0
(001)/(011)
[010]/[100]
10.86
11.12
+2.4
(001)/(100)
[110]/[01-1]
5.43
5.35
-1.5
Cu2FeSnS4 (001)/(100)
[100]/[001]
5.43
5.47
+0.7
鉱物
(%)
CuFeS2
(chalcopyrite)
CuS鉱物
(covelline)
CuFe2S3
(cubanite)
CuGaS2
(gallate)
(stannite)
CuFeS2 on ZnS
CuFeS2
ZnS
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人工的なエピタキシー
• 近代的な結晶成長の分野では、何らかの基板の上に人工的に結
晶方位の揃った薄膜結晶が成長する様をエピタキシャル成長と称
している。
• 当初はdirectional overgrowth という用語が使われていたが、次
第にepitaxial growthという用語に収束していった。
• ギリシャ語でepiは「上に」を意味する接頭辞、taxisは「整列」、「配
向」を意味する語である。1960年代になると、半導体産業でシリコ
ンのホモエピタキシーが開発され、基板より純度が高く欠陥も少な
い高品質の薄膜結晶の上にトランジスタを作ることができるように
なった。
• また、適切にドープした薄膜結晶を積み重ねることによって、よい
接合が得られるようになった。その後、GaAsデバイスの欠陥密度
を低下させるために、GaAs基板上にGaAsをホモエピタキシャル
成長させることが一般化した。
ホモエピタキシーとヘテロエピタキシー
• 成長したい薄膜と下地結晶が同じ場合をホモエピ
タキシー、異なる場合をヘテロエピタキシーという。
• ホモエピタキシーの例は多くない。なぜなら、成長
した材料と同じバルク基板結晶を得る方が難しい
からである。したがって、実際には、ヘテロエピタ
キシーの方が一般的である。
• 先に述べた鉱物の場合にも、自然界でヘテロエピ
タキシーが起きているのである。
ヘテロエピタキシーの分類*
•
エピタキシャル膜と基板結晶の結晶構造が同じで格子定数が近
いグループ。
(この場合はあまり工夫しなくてもよい結晶が得られる。)
Table 2に格子定数の近い半導体材料の組み合わせを掲げる。結晶材料
全体から見れば例は少ない。
•
エピタキシャル膜と基板結晶の結晶構造が同じであるが格子不
整合の程度が大きいグループ。
(この場合は、バッファ層を挿入して歪みを緩和するなどの工夫をしないと
よい結晶が得られない。)
•
エピタキシャル膜と基板結晶の結晶構造が異なるグループ。
(バッファ層として超格子層やアモルファス層を導入したり、ラテラル成長を
利用したり、傾斜基板を用いたり大きな工夫をしないとよい結晶が得られな
い。)
* 中嶋一雄:エピタキシャル成長のメカニズム(中嶋一雄編,共立出版、2002)第1章pp.1-20.
格子定数と結晶構造が近いヘテロエピの例*
材料
格子定数(Å)
結晶構造
Si
5.4310
diamond
Ge
5.679
diamond
InP
5.894
GaSb 6.094
sphalerite
sphalerite
-Sn
6.4892
sphalerite
GaN
a=3.180c=5.166
wurzite
材料名
格子定数(Å)
結晶構造
GaP
AlP
CaF2
GaAs
5.4505
5.4635
5.4638
5.65325
sphalerite
sphalerite
fluorite
sphalerite
AlAs
5.660
sphalerite
ZnSe
5.668
sphalerite
ErAs
5.7427
rock salt
CdS
5.825
sphalerite
GdAs
5.860
rock salt
AlSb
6.1355
sphalerite
InAs
6.0583
sphalerite
ZnTe
6.10
sphalerite
CdSe
6.052
sphalerite
InSb
6.478
sphalerite
CdTe
6.482
sphalerite
AlN
a=3.111c=4.980
wurzite
*竹田美和:エピタキシャル成長のメカニズム(中嶋一雄編,共立出版、2002)第5章5.1項pp.171.
材料の組み合わせの違いに起因する問題
• 熱膨張係数の差によって、成長温度では格子整
合しているが、室温では不整合となる場合がある。
• 無極性の半導体(シリコン)と極性の半導体(例え
ばGaAs)の組み合わせでは、アンチフェイズドメ
イン(後述)の問題がある。
• 同じ結晶構造の組み合わせであってもIII-V族基
板上にII-VI族の薄膜を成長する場合のように原
子価の異なるヘテロ接合の場合、界面は理想的
なステップ状ではなくなっている。
この講義の内容
• この講義では、ヘテロエピタキシーの全てのケー
スを網羅するのではなく、ヘテロエピタキシーにと
もなう結晶成長上の課題の典型的な例について
紹介するとともに、その解決法を述べたい。
2.ヘテロエピタキシーと格子整合
•
•
•
•
格子整合と格子不整合
コヒーレント成長
臨界膜厚
臨界膜厚の計算式
格子整合と格子不整合
* 中嶋一雄:エピタキシャル成長のメカニズム(中嶋一雄編,共立出版、2002)第1章図1.2
コヒーレント成長
• 基板とエピタキシャル膜の格子定数の差Δaと基板の格
子定数aの比Δa/aを格子不整合度(lattice mismatch)と
いう。
• エピタキシャル層の膜厚が十分薄い場合は、格子不整
合が多少あったとしても、エピタキシャル層の格子が歪
むことによって界面での格子の連続性を保って成長する。
• これをコヒーレント成長(coherent growth)またはコメン
シュレート成長(commensurate growth)という。
• エピタキシャル層の格子定数が基板の格子定数と一致
した状態を擬似格子整合 (pseudomorphic)と表現する
ことがある。この場合、格子体積を保存しようとして、界
面に垂直な方向の格子定数が変化する。
臨界膜厚
• コヒーレント成長している場合で
も、膜厚がある値(臨界膜厚とい
う)より大きくなると、歪みエネル
ギーを緩和するためにミスフィッ
ト転位(misfit dislocation)が発
生して格子緩和し、本来の格子
定数の値に近づく。
ミスフィット転移のTEM格子像
市野瀬英喜:結晶成長ハンドブック(小松 啓編, 共立出版, 1995)図4.5.5 p. 783.
ヘテロエピタキシーと臨界膜厚
• 図には様々な半導体ヘテロエ
ピタキシャル成長における臨
界膜厚と格子不整合度の関係
がプロットされている*。
• 同じ組み合わせでも、かなりの
ばらつきがあるが、傾向は一
致しており、臨界膜厚は格子
不整合度の逆数にほぼ比例
する。
• 不整合度が1%では臨界膜厚
は500-1000Å程度であるが、
0.1%になると数千Å~数μmに
まで拡がる。
•梅野正義, 蘇我哲夫:結晶成長ハンドブック(小松 啓編, 共立出版, 1995)p. 699.
臨界膜厚の計算式
• Mathewsと Blakesleeは転位に働く力の力学的
平衡により、臨界膜厚を計算した[1]。その結果
Fig. 1の曲線Bのようになり、実験結果よりやや小
さな値を導く。一方、PeopleとBeanは転位に蓄積
されたエネルギーの平衡により臨界膜厚を計算し、
図の曲線Aのような結果を得ている[2]。実際の系
では、A, B両曲線の間に分布している。
[i] J.W. Mathews and A.E. Blakeslee: Defects in epitaxial multilayers: I. Misfit
dislocations; J. Cryst. Growth 27 (1974) 118-125.
[ii] R. People and J.C. Bean: Calculation of critical layer thickness versus lattice
mismatch for GexSi1–x/Si strained-layer heterostructures; Appl. Phys. Lett. 47
(1985) 322-324
Mathewsの式
歪みを受ける層が上下両層から挟まれている場合(ダブルヘ
テロ構造)の臨界膜厚hcは


b 1  v cos2   hc

hc 
 ln  1
2f 1  v  cos   b

(1)
という式で表される。ここでb は転位のバーガースベクトル、v
はポワソン比、fは格子不整合度|a/a|、 は転位線とバー
ガースベクトルのなす角、はすべり面と界面のなす角である。
通常のミスフィット転位(刃状転位edge dislocation)を考えると
、=90、=0であるから、式は
hc 
b
1  hc

ln

1


2f 1  v   b

と表される。
(2)
People・Beanの式
無転位の状態の歪みエネルギーと転位が発生して緩和
が起こった場合の状態の歪みエネルギーが等しくなる膜
厚として臨界膜厚を計算したもので、
hc
1 v
1 b2 1
hc 
ln
2
1  v 16 2 a f
b
と表される。
(3)
3.熱膨張係数差
• 上記の理論では、格子整合した場合に臨界膜厚
は最大になるはずである。しかし実際には、臨界
膜厚が最も厚くなるのは、格子不整合度が負に
ずれた値をもつ場合であることが、中嶋らによっ
て示された*。
* K. Nakajima, S. Komiya, K. Akita, T. Yamaoka and O. Ryuzan: LPE Growth of
Misfit Dislocation-Free Thick In1–xGaxAs Layers on InP; J. Electrochem. Soc.
127 (1980) 1568-1572.
Ga1-xInxAs/InPの臨界膜厚
• 図はGa1-xInxAs層をInP基板上に
成長したときにコヒーレント成長す
る場合を膜厚と格子不整合度を
パラメータとして示したものである。
• この組み合わせでは格子不整合
度が-0.08%の時に臨界膜厚が最
大値をとるのである。このずれの
原因は、基板とエピタキシャル層
の熱膨張係数の差にある。
K. Nakajima, S. Komiya, K. Akita, T. Yamaoka and O. Ryuzan:
LPE Growth of Misfit Dislocation-Free Thick In1–xGaxAs Layers on InP;
J. Electrochem. Soc. 127 (1980) 1568-1572.
熱膨張差による補正
• このずれの原因は、基板とエピタキシャル層の熱膨張
係数の差にある。ヤング率をE、熱膨張係数の差を、
室温と成長温度の温度差をTとすると、結晶成長温度
から室温までの冷却過程で、
=E・・T
• だけの大きさの熱応力が生じる。熱応力はエピタキシャ
ル層だけでなく、基板にも影響を与えるので、基板と膜
両方の熱膨張による次のような補正をしなければなら
ない。
とa はそれぞれエピタキシャル

a e 0  e T   a s 0  s T  ここでa
層と基板の室温での格子定数、 と は
a a 
それぞれエピタキシャル層と基板の熱膨
a s 0  s T 
張係数、Tは成長温度と室温の温度差
e0
s0
e
を表す。
s
極性・無極性ヘテロ成長
• アンチフェーズドメイン
• アンチフェーズドメインの消滅法
• [参考] 無極性結晶にもあるアンチフェーズ
無極性基板に成長した極性結晶
• IV族のような無極性(nonpolar)
の基板にIII-V族など極性
(polar)結晶層を成長する場合
に原子配列の位相が入れ替わ
りが生じることがある。
• これは、基板のステップが図(a)
のように1原子から構成される
か、(b)のように2原子で構成さ
れるかで極性結晶の原子配列
が異なることが原因である。
(a) 1原子ステップ
(b) 2原子ステップ
•梅野正義, 蘇我哲夫:結晶成長ハンドブック(小松 啓編, 共立出版, 1995)p. 699.
アンチフェーズドメイン
• 1原子ステップの場合、最表面にGa原子が現れる領域とAs原子が
現れる領域とに分かれるが、各領域を位相分域またはアンチ
フェーズドメイン(antiphase domain)と称している。
• 領域の境界をアンチフェーズ境界(antiphase boundary)と称する
が、境界には、(a)に示すようにGa-Ga, As-Asのように同種原子か
ら構成される結合が存在する。
アンチフェーズ境界
1原子ステップ
アンチフェーズドメインの自己消滅
• GaAs/Siにおいてアンチフェー
ズドメインをなくすには、オフ基
板を用いることで1つの領域の
みを残すように結晶成長をさ
せることが可能である。
• 図は{011}方向にミスカットした
Si(100)基板上に成長した
GaAsのアンチフェーズドメイン
が成長とともに自己消滅する
様を模式的に描いた図である
[i]。
•[i] 川辺光央, 高杉英利, 上田登志雄, 横山 新, 板東義雄:
•GaAs on Si の初期成長過程;応用物理学会結晶工学分科会
第4回結晶工学シンポジウムテキスト(1987.7.17) pp.1-8.
アンチフェーズドメインの自己消滅の原因
• この上にGa/As/Ga・・と積層して
いく。正常な格子点領域(A)では
左手下方の2個のAs原子(黒丸)
から伸びている結合手にGa原子
(四角)が結合するのであるが、図
の1, 1’、2, 2’、3, 3’の格子点では、
As(黒丸)とGa(四角)から結合手
が延びているため、Ga、Asのど
ちらの可能性もある。
• ここでは、このサイトを仮にGaが
占めるとする(四角に黒丸の記
号)と、鎖線で示すアンチフェーズ
境界は(111)面内にあり[100]方向
への成長とともにB分域は消滅す
る。このことは、RHEEDによって
実証されている。
•成長過程において、高温でAsを付着させ
るとSi(小白丸)の最表面はAs(黒丸)で
覆われていると考えられる。
Ga
As
Si
[参考]無極性結晶にもあるアンチフェーズ
• Si、Geのような無極性結晶においても、1原子
ステップ単位でみると、隣り合うステップは必ず
しも等価ではない。
• 図は(001)面において、[110]方向に傾斜してい
る場合のステップ構造を示したものである。
• Siの単位胞における001方向の原子配置を考
えると、格子定数をaとして、z=0, a/4, a/2, 3a/4
の4つの原子層があるので、1原子あたりのス
テップの高さはa/4となる。
• [110]方向に隣接した2個のSi(001)表面原子は
未結合手 を出し合ってダイマー(2量体)を形
成し、2×1表面再配列 構造をとるが、図の(a)
のように上段テラスのダイマーの方向とステッ
プ方向が垂直である場合をSAステップと称し、
(b)のように上段テラスのダイマー方向が平行
である場合をSBステップと称している。
(001)傾斜斜面の2種類の単原子ステップ(図で
丸の大きいほど前にあることを示している。)
シリコンの2種類の1原子ステップ
• STMで観測すると、図に示
すように、SBステップはギザ
ギザの形状をとり、SAステッ
プはスムーズな形状となる。
SA
SB
5. 格子不整合とエピタキシャル成長
• 3つの結晶成長モード
• 格子不整合と成長モデル
• 格子不整合と成長速度
エピタキシャル成長の3つのモード
• エピタキシャル成長の成長モードとしては、上図に示すように
Frank-van der Merwe (FM)モード(基板表面に2次元核が形成
され、成長して表面全体を覆い、再びこの過程を繰り返して成長
層が1原子層ずつ規則正しく層状成長するモード)、StranskiKrastanov(SK)モード(成長初期は2次元核から層状成長し、あ
る厚さになると3次元的な島が形成され成長していくモード)、
Volmer-Weber(VW)モード(成長初期から3次元核成長をする
モード)の3つの型があることはよく知られている。
格子不整合と成長モード
• 格子不整合度は結晶成長モード
に影響する。
• 格子不整合度が小さい場合FW
モードとなるが、格子不整合度が
比較的大きく、表面エネルギー、
界面エネルギーの比較的小さな
材料系ではSKモードとなる。
• GaAs基板上にInAsの量子ドット
を自己組織化成長するのはSK
モードの例である。格子不整合度
の大きいヘテロエピタキシャル成
長ではVWモードとなる。
中嶋らは、液滴モデルを用いて、InPSb/InP
構造についてFig.8に示すような成長モード
の層厚-組成状態図を作成した*。
*K. Nakajima: Equilibrium Phase Diagrams for Stranski-Krastanov Structure Mode
of III–V Ternary Quantum Dots; Jpn. J. Appl. Phys. 38 (1999) 1875-1883.
格子不整合と成長速度
• 格子不整合度fは成長速度にも
影響する。成長速度R(t)はfに
対してのように指数関数的に変
化する[i]。
• 図はGa2O3添加YIG/GGGに見
られる格子不整合度と成長速
度の関係である[ii]。
[i] R.L. Moon: Crystal Growth, Second Edition, ed. by B. Pamplin, (Pergamon Press,
Oxford, 1980) Chap. 11, pp. 421-461.
[ii] J. C. Brice, J. M. Robertson, W. T. Stacy and J. C. Verplanke: Strain induced
effects in the LPE growth of garnets; J. Cryst. Growth 30 (1975) 66-76.
異種原子価ヘテロ成長
• ZnSeをはじめII-VI族は青色半導体材料として多
くの研究がなされた。II-VI族には良質の基板材料
がないので、多くの場合結晶構造が同じ閃亜鉛
鉱構造をもち比較的格子定数が近いGaAsを用
いる場合が多い。
• しかし、イオン結合性の強いII-VI族と共有性のIIIV族のヘテロ界面には、界面準位など解決すべき
多くの課題が残る。
ZnSe/GaAsヘテロエピ
II-Ⅵ 族レーザ技術をきわめて大づかみに結晶成長の立場
から官えは、ZnSeをペースとするⅢ-Ⅵ族半導体の多層へ
テロ律法をGaAs基板上にMBE、MOMBE、MOVPE等でエ
ピタキシャル成長させることが基本である。ZnSe系のエピタ
キシャル成長はこの日的にために発展して来たといっても
過言ではない。現在のところ大面積・高品質・低抵抗のⅡⅥ族半斗体の基板の人手が困難なためJIl-V族半導体、主
としてGaAsが基板に用いられている。GaAsは表面処理技
術もよく知られており、その上のヘテロエピタキシャル成長
は数々の成果をあげてきた。
松本俊:GaAs/ZnSeのヘテロ接合界面の制御:結晶工学分科会103回研究会テキストp.39
ZnSe/GaAsヘテロ界面の問題
•しかし、ZnSe/GaAsヘテロ界面付近には価電子や格子の不整合によ
る格子欠陥が発生しやすく、この欠陥は界面準位、界面障壁、界面フェ
ルミ準位等の界面の電気的特性に影響を与える。
•不整合による格子歪や欠陥、GaAsの表面ストイキオメトリーや硫化ア
ンモニウムでのex situ処理による界面特性の制御が報告されている。
•III-V族とII-VI 族の異種原子価ヘテロ構造(heterovalent
heterostructure)の問題も研究されている。
•結晶成長の観点からいえば、これらの特性はZnSeを成長させる直前
のGaAs基板の表面処理に大きく依存する。テロ界面の特性はその付
近の欠陥に捕らえられた電子や正孔による空間電荷分布に支配きれ、
温度や光照射さらには過去にどんな電流を流したかによっても変化す
るので注意が必要である。
7. 格子不整合度がある場合の成長技術
• 基板と成長層の格子定数が異なる場合に最もよ
く使われる手段がバッファー層の挿入である。
GaAs/Siの場合、バッファー層を低温(400℃以
下)、低速度(0.1μm/h程度)で10nm程度成長させ、
その後通常の成長条件に移る。この2段階成長
によってミスフィットに起因する結晶欠陥がバッ
ファー層に閉じこめられて良質のエピタキシャル
層を作製できる[i]。
•[i] M. Akiyama, Y. Kawarada and K. Kaminishi: Growth of GaAs on Si by
MOVCD; J. Cryst. Growth 68 (1984) 21-26.
Si基板上III-V族デバイス
• 3つの課題とその解決法
Si単原子ステップ上のIII-V族のアンチフェーズドメイン:4%
オフ基板の採用+低温MEEによる積層欠陥抑制
格子不整合:2%のN導入でGaPがSiに格子整合
熱膨張率差:Siのcap層(100nm)使用でミスフィット転位抑制
Y. Furukawa et al.: Jpn. J. Appl. Phys. 41 (2002) 528.
Y. Fujimoto et al.: Appl. Phys. Lett. 79 (2001) 1306.
K. Momose et al.: Appl. Phys. Lett. 79 (2001) 4151.
歪み超格子バッファー層
• 格子不整合があっても成長層が臨界膜厚より薄い層で
は、面内の格子定数が一致してpseudomorphicに成長
する。この性質を利用して歪み超格子をバッファー層とし
て用いれば、格子定数の異なる基板とエピタキシャル膜
を格子整合させることが可能である。
www.freepatentsonline.com/7112830.html
8.おわりに
• この講義では、ヘテロエピタキシーとは何か、ど
のような物理的な課題があるのかについて、基礎
となる事柄を述べた。
• 限られた時間では、全ての問題点を網羅すること
は出来ないが、これから結晶成長に携わる初心
者のご参考になれば幸いである。
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