第54回宇宙科学技術連合講演会
展開型柔軟構造飛翔体による
火星大気圏内飛行型探査機の概念検討
~柔軟エアロシェル大気突入機とパラフォイル型探査機~
安部隆士(JAXA/ISAS)
○山田和彦(JAXA/ISAS)
平木講儒(九州工業大学)
東野伸一郎(九州大学)
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
CONTENTS
 研究背景
 探査機システム概要
 システムの成立性検討
*前提条件
*柔軟構造エアロシェルの大気突入機について
大気突入軌道推算
エアロシェルのサイジング
重量見積
*パラフォイル型探査機について
重量見積
密閉型パラフォイル機の提案
 今後の課題とまとめ
大気突入機→観測ロケット実験にむけて
パラフォイル→気球実験での実証にむけて
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
BACKGROUND
MELOS(火星複合探査計画)において,
さまざまな探査機が提案されている.
*オービター(軌道上から)
*ローバー(地表から)
*無着陸サンプルリターン
*FSランダー
など
航空機による上空からの広範囲の探査
地表画像の撮影
磁場計測
それを実現するひとつの
候補として,パラフォイル
型の柔軟翼機を提案する.
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
柔軟型火星探査航空機の提案
再突入回収システム用に,現在開発が進
んでいるインフレータブルトーラスを有す
る柔軟エアロシェル大気突入機
回収システムへの応用にむけて検討が
進んでいるパラフォイル.スポーツとし
て一般的なパラモータ機
柔軟エアロシェル大気突入機と
パラフォイル型航空機を組み合わせた
小型軽量な飛行型火星探査機を検討する
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
探査機システム概要
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
本研究の目的
柔軟エアロシェル大気突入機+パラフォイル型航空機によって,
火星楕円軌道に投入された母船からの分離,軌道離脱,大気圏突入,惑星
大気内の巡航飛行までを総重量30kgで実現できるかどうかを検討する.
検討の前提条件
<パーキング軌道>
<探査機重量内訳(総重量30kg)>
大気突入機重量15kg
パラフォイル機重量15kg
<大気モデル>
火星大気モデル:MARS-1974
<目標(巡航高度&巡航距離)>
<初期条件>
高度10kmを100km巡航飛行する
遠火点で45m/s減速
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
柔軟エアロシェル大気突入機
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
柔軟エアロシェル大気突入機のサイジング
柔軟エアロシェルの直径をパラメータとしてパーキング軌道からの火星
大気圏突入軌道計算を実施
加速度環境,空力加熱などを推定し,適切なエアロシェルの
サイズを見積もる
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
軌道計算結果 1
速度vs高度プロファイル
<突入機機体諸元>
機体重量:30kg
抵抗係数:1.0
エアロシェル直径:0.5m~3.0m
重量定数:3.71m/s2
頭部曲率半径:0.25m
エアロシェルのサイズを大きくすると
高高度で減速する.
直径0.5mでは,地表でも500m/s.
直径3.0mでは,高度50kmで減速を開
始する.
パラフォイル機の放出&展開のために
高度10km以上で十分に減速する(亜
音速まで)には,エアロシェルの直径は
1.0mより大きい必要がある.
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
軌道計算結果 2
淀み点熱流束履歴
エアロシェルを大きくすると熱流束が大幅に
小さくなる.淀み点,フレア部の輻射平衡温
度をそれぞれ,1000℃,650℃以下にするた
めには,エアロシェルは2.0m以上必要.
加速度履歴
エアロシェル2.0mのときに,最大Gは8G.
空力荷重は約900N.
トーラスチューブ直径20cm,内圧10kPaで
構造強度的には成立する.
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
柔軟エアロシェル大気突入機の重量配分とまとめ
<エアロシェルサイズ>
カプセル直径0.5m
エアロシェルの直径2.0m
チューブ直径0.2m
200cm
20cm
<重量配分>
柔軟エアロシェル大気突入機合計:15kg
エアロシェルフレア部:0.5kg(面密度0.2kg/m2)
インフレータブルトーラス:4.0kg(面密度1.0kg/m2)
淀み点TPS:3.0kg(金属TPS)
軌道離脱用固体モータ:2.0kg(DASH DFM)
その他:5.0kg(構造,熱制御,姿勢制御,展開システム)
<空力加熱環境>
淀み点部最大空力加熱 100kW/m2 輻射(片面)平衡温度 910℃
フレア部最大空力加熱
60kW/m2 輻射(両面)平衡温度 600℃
トーラス部最大空力加熱 60kW/m2 輻射(片面)平衡温度 770℃
既存の材料では厳しい.
インフレータブル部の空力
加熱環境の把握とその部
分の材料開発が実現にむ
けて一番の鍵技術
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
パラフォイル機
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
パラフォイル機の重量推算条件
<前提条件>
パラフォイル機総重量:15kg
巡航高度:10km(大気密度0.005kg/m3)
航続距離:100km
<必要諸元>
パラフォイル(傘体)
単位翼面積あたりの重量=0.2kg/m2
モータ
単位重量あたりの出力パワー=3.24kW/kg
バッテリー
単位重量あたりの容量=150Wh/kg
モータ効率=0.8
プロペラ効率=0.5
プロペラ重量=0.5kg
(直径1mの2枚羽の折りたたみ型のプロペラを想定)
巡航状態
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
重量推算結果(揚抗比3)
揚抗比3(揚力係数0.4,抗力係数0.133)に固定し,
パラフォイルの翼面積をパラメータにして各部の重量を推算した結果
バッテリー重量は翼面積によらず一定
パラフォイル重量は翼面積に比例
モータ重量は,翼面積に対して単調減少
→最小重量が存在
翼面積4m2程度で重量が最小になり,
合計約11.2kg
ペイロード,構造,電気系などで3.8kg
既存の技術でも成立する解は存在する.
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
重量推算(揚抗比の影響)
翼面積vs主要部品の合計重量
(揚抗比を3,6,9とした場合)
余剰重量
揚抗比3→6で,余剰重量が2倍以上になる
揚抗比6→9は,余剰重量にインパクトはない.
揚抗比
(揚力係数0.4で一定)
3
6
翼面積
10m2
10m2
動圧
13.9 Pa
13.9Pa
巡航速度
74.6 m/s
74.6m/s
必要パワー
1383W
690W
パラフォイル重量
2.0kg
2.0kg
モータ重量
0.9kg
0.5kg
バッテリー重量
8.6kg
4.3kg
プロペラ重量
0.5kg
0.5kg
その他の重量
3.0kg
7.7kg
揚抗比の向上がパラフォイル機の成立性を大きく向上させる.
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
パラフォイル機の揚抗比向上策
密閉型パラフォイルの採用
従来のラムエアー型パラフォイルは,空気取込口が主要な抗力発生源となっている.
空気取込口をなくして,内部ガスで強制的に展開させるパラフォイル(密閉型パラ
フォイル)の採用し,抗力を減らして揚抗比を向上させることを提案する.
<利点>
*揚抗比の向上
*耐突風性の向上(内圧が高く保てる)
*火星は大気密度が小さいため,必要ガス重量が少ない
(柔軟エアロシェル用のガスとの共通化も可能)
<課題>
*展開時の挙動が不明.展開手法の確立が必要
*正確な空力特性が不明
密閉型パラフォイルの試作機
2010/11/19
第54回宇宙科学技術連合講演会@静岡
まとめと今後の課題
火星探査における大気突入柔軟エアロシェル+パラフォイル型探査機の成立性を
確認し,実現のための重点課題の抽出を行った.
<実現のための鍵技術>
大気突入用柔軟エアロシェル
→インフレータブル部の空力加熱環境の把握と耐熱性向上
極超音速風洞などを利用して,耐熱試験を実施.
観測ロケットによる大気圏突入実証試験にむけて開発中.
パラフォイル機
→揚抗比向上のために密閉型パラフォイル機の採用
→展開挙動と空力特性の把握
小型模型による試作と試験(風洞試験,投下試験)を実施.
小型の気球を用いた高高度からの投下試験での実証にむ
けて準備を進める.
慣性航法+画像情報による位置情報の航法システムの開発。
低密度環境でのプロペラ性能の把握とその向上。
通信システムの詳細検討。
2010/11/19
ダウンロード

発表資料