ライフスタイルにあわせた行動パターンの個別化
Personalization of Behavioral Pattern to Individual Lifestyle
立命館大学
Ritsumeikan Univ.
山原 裕之
Hiroyuki Yamahara
高田 秀志
Hideyuki Takada
島川 博光
Hiromitsu Shimakawa
2006/09/05 Tue.
ユビキタス環境における個人行動の支援

ユビキタス環境において人間の行動を支援するシ
ステムの研究が盛んに行われている

独居老人や共働きの家庭など、家族や第3者の支
援を必要とする場面では個人支援が活用されうる
先行的なサービス提供
本研究では
 屋内における個人の行動の様子から状況を推測し、
状況に応じて先行的にサービスを提供する



ユーザの危険の芽を事前に摘む
ユーザの生活をより快適にする
「外出する」とき



火の元や戸締りの注意を喚起する
貴重品の忘れ物を教えてあげる
エレベータをユーザの階まで呼んでおく
ユーザの行動を認識するための知的空間:
Tagged World
ユーザの動作の対象の情報を取得するための空間
table
PC
toilet
lavatory
bath
room
タグ固有の
IDを持った
RFID タグを
オブジェクト
に貼り付ける
RFIDリーダ
Bathroom
と小型計算機
bed
closet
shelf
entrance
shelf
kitchen

近距離型RFIDリーダを装着したユーザの行動ログを取得する
行動ログ = タグID(触れたオブジェクト)と触れた時刻
shoebox

TV

refrigerator
Tagged World
ユーザの行動パターンを用いた行動認識

ユーザの行動に応じたサービスを提供するためには、ユーザ
の行動を認識する必要がある

行動認識のステップ
①サンプルとなる行動ログを収集する
②サンプル行動ログから行動パターンを生成する
③行動パターンとユーザの行動ログをオンラインで照合する

ユーザは日常生活の全ての場面においてサービスを必要とし
ているわけではない
サービス提供が有効な場面

一般的に、ユーザ自身のモードが大きく変化する場
面においてサービスを提供することが望ましい



外出、帰宅、起床、就寝
外出時に、家の外に出てから火の元を閉め忘れた場合・・・
本研究では、


ユーザ自身のモードが変化する場面におけるユーザのふ
るまいを検知する
ユーザのモードが変化する前にサービスを提供する


ユーザの危険の芽を事前に摘む
ユーザの生活をより快適にする
動作の対象に注目したふるまい検知

ユーザの動作対象のオブジェクトに注目することで、
ユーザのモードが変化する前のふるまいを検知する


人間は、モードが変化する場面において個人ごとに異なる
習慣的な行動を持つ



Tagged Worldでは、近距離型RFIDシステムを用いて、ユーザの
動作対象を行動ログとして取得している
外出するさいには財布を持つ、トイレに行く、など
大抵は同じオブジェクトに触れる
個人の習慣 = 触れるオブジェクトの種類と順序

個人の習慣を抽出した行動パターンを生成する
解決すべき問題
~行動パターン生成における課題~

ユーザへサービス提供を早期に開始する



ユーザのふるまいを正しく検知するために、行動パターン
はユーザ個人の生活習慣に適応していなくてはならない
既存手法では、行動パターンを個人化するために多くの
サンプル行動ログを必要とするため、サービスを提供し始
めるまでに時間がかかってしまう
ユーザのふるまいを正しく検知できる行動パターンを、少
ないサンプル行動ログから生成しなければならない
解決すべき問題
~行動パターン照合における課題~

小型計算機上でのふるまい検知



Tagged Worldでは、ユーザの携帯する小型計算機
(ポケットアシスタント)上で行動パターンの照合を行う
小型計算機はメモリ容量とCPUパワーが限られている
負荷の軽いシンプルな行動パターン照合で、ユーザの
ふるまいを検知しなければならない
提案手法:
確率推論と順序照合の分離

2段階のふるまい検知

①ユーザが触れたオブジェクトの種類を検査する




②ユーザが触れたオブジェクトの順序を検査する




ベイジアンネットワークを用いた確率推論を行う
外出時のふるまいと料理や食事のときのふるまいを区別できる
外出時と帰宅時のふるまいは区別できない
オブジェクトの順序対集合で表現した独自の行動パターンを用いる
確率モデルは用いない
外出時と帰宅時のふるまいを区別できる
照合時には、第1段階でユーザの行動ログを粗くふるいにかけ、
一部の行動ログのみ第2段階で順序の検査を行うことによって、
余分な負荷を排除した効率的なふるまい検知を行う
Tagged World 機能モデル図
Bayesian Network
&
キーイベント
パターン照合機能
順序対照合
順序対
行動パターン
Bayesian
Network
&
キーイベント
順序対
行動パターン
生成機能
Bayesian Network照合
個人の
行動ログ
起動
キーイベント監視機能
生成機能
ポケット・アシスタント
行動ログ収集機能
多数の
人の
行動ログ
RFIDリーダ
タグ
タグ
タグ
Tagged World 機能モデル図
Bayesian Network
&
キーイベント
パターン照合機能
順序対照合
順序対
行動パターン
Bayesian
Network
&
キーイベント
順序対
行動パターン
生成機能
Bayesian Network照合
個人の
行動ログ
起動
キーイベント監視機能
生成機能
ポケット・アシスタント
行動ログ収集機能
多数の
人の
行動ログ
RFIDリーダ
タグ
タグ
タグ
ベイジアンネットワーク
Bayesian Network
事前確率と事後確率の依存関係を有向グラフの向き
でグラフ表現する

ノード間の依存度合いを表現した
条件付確率表 (CPT)
S
nm= 0, ・・・, n2 = 0, n1 = 0
nm= 0, ・・・, n2 = 0, n1 = 1
nm= 0, ・・・, n2 = 1, n1 = 0
nm= 0, ・・・, n2 = 1, n1 = 1
s
・
・
・
nm= 1, ・・・, n2 = 1, n1 = 1
0
1
確率推論ネットワークで表現した行動パターン



確率推論の結果が1つのノードに必要以上に依存しないように
するために、ネットワークのノード数は多いほうが望ましい
ベイジアンネットワーク構造を生成するための既存手法(K2ア
ルゴリズムなど)では、多数の循環パスが発生してしまう可能
性がある
ネットワーク構造に制限を加えた確率推論ネットワークを用い
る

構造を制限することで、確率推論の精度が低下する可能性はある
最も単純な2階層ネットワーク
2階層のネットワーク

ふるまい


生起確率 ( % )
1
53.584
0
46.416
特定場面のふるまいが行われた
か否かを示すノード
オブジェクト


ユーザが各オブジェクトに触れた
か否かを示すノード
1ノードが1つのオブジェクト
ふるまいノードが持つ親ノードの数が多くなるため、
ネットワークのメモリサイズが大きくなってしまう
3階層の確率推論ネットワーク
3階層行動モデルの適用

ふるまい



1
53.584
0
46.416
アクション



特定場面でユーザが習慣的に
行なうアクションの集合体
特定場面のふるまいが行われた
か否かを示すノード
生起確率 ( % )
目的を達成するために実施する
アクトの並び(アクトの順序対集合)
アクションが行われたか否かを示
すノード
アクト


物体への接触によりセンシング
可能な人間の行ないの最小単位
ユーザが各オブジェクトに触れた
か否かを示すノード
1つのノードが持つ親ノードの数が比較的少ないため、
ネットワークのメモリサイズを抑えることができる
確率推論ネットワークの洗練

ポケットアシスタントには、あらかじめ多人数・多数
の行動ログを用いて生成した確率推論ネットワーク
を載せておく = 行動パターンの雛形

ユーザの生活から得られるユーザ個人の行動ログ
を用いて確率推論ネットワークを学習する

CPTの再計算を行う
順序対で表現した行動パターンの生成
[case_ID : 1]
(1)行動ログの収集
100000055 ズボンハンガー
100000017 洗面所の蛇口
100000018 洗面所のコップ
100000020 歯ブラシ
(2)順序対の列挙
100000019 歯磨き粉
100000020 歯ブラシ
100000018 洗面所のコップ
100000020 歯ブラシ
100000018 洗面所のコップ
100000017 洗面所の蛇口
100000068 携帯電話
100000063 定期入れ
順序対:
100000065 腕時計
100000050 鞄
あるオブジェクトに触れた後に別のオブジェクトに
・・・
触れたときの、2つのオブジェクト間の順序関係
・・・
※2つのオブジェクトは連続でなくともよい
複数の行動ログ
[順序対]
[カウント]
ズボンハンガー → 洗面所の蛇口
9
ズボンハンガー → 洗面所のコップ
18
ズボンハンガー → 歯ブラシ
10
ズボンハンガー → 歯磨き粉
10
・・・
・・・
・・・
・・・
(3)出現回数のカウント
・・・
・・・
(4)閾値以上の順序対抽出
p1:
p2:
p3:
p4:
p5:
・・・
・・・
ズボンハンガー → 洗面所のコップ
ズボンハンガー → 携帯電話
携帯電話 → 牛乳パック
携帯電話 → 鞄
腕時計 → 鞄
順序対集合の行動パターン
順序対で表現した行動パターンの照合
照合対象の行動ログ
200000613
200000597
200000613
100000068
100000055
100000017
100000018
100000020
100000019
100000020
100000018
100000020
100000018
100000020
100000018
100000017
100000071
100000072
100000071
・・・
・・・
洋服棚
ハンガー
洋服棚
携帯電話
ズボンハンガー
洗面所の蛇口
洗面所のコップ
歯ブラシ
歯磨き粉
歯ブラシ
洗面所のコップ
歯ブラシ
洗面所のコップ
歯ブラシ
洗面所のコップ
洗面所の蛇口
冷蔵庫
牛乳パック
冷蔵庫
順序対集合で表現された行動パターン
p1 :
p2 :
p3 :
p4 :
p5 :
・・・
・・・
ズボンハンガー → 洗面所のコップ
ズボンハンガー → 携帯電話
携帯電話 → 牛乳パック
携帯電話 → 鞄
腕時計 → 鞄
各順序対の出現回数に応じて
特徴ポイントを算出する
順序対
出現回数
p1: ズボンハンガー → 洗面所のコップ
4
p2: ズボンハンガー → 携帯電話
0
p3: 携帯電話 → 牛乳パック
1
・・・
・・・
順序対を用いたふるまい検知
行動ログ中で連続して触れられたオブジェクトのみ
でなく、連続でないオブジェクトの順序対を考慮する
 順序対集合の行動パターンの照合に関しては、確
率モデルを排除する

確率的に稀な行動を含んでいる場合でも正しく
ふるまいを検知することができる
例)玄関のドアノブを回してから鍵がかかっていることに気付き、
鍵をはずしてから再びドアノブを回す
実験

提案手法の有効性を評価した


被験者15人
正の事例と負の事例の両方を収集した


正の事例(検知すべきふるまい):外出時の行動ログ
負の事例(検知すべきでない):外出時以外の行動ログ
考察した項目
①確率推論ネットワークのメモリサイズ
②確率推論ネットワークの洗練効果
③提案手法のふるまい検知率(認識率)

確率推論ネットワークのメモリサイズ

考慮したノード数の変化に伴うネットワークのメモリサイズ
の変化を比較する
①K2アルゴリズムを用いた場合
ノード数が2つの時点で循環パス
が発生し、確率推論が停止しない
②2階層ネットワークの場合

ノード数が15を超えると指数関数
的に増大する
③3階層ネットワークの場合

確率推論ネットワーク (KB)

7000
ノード数が50以下であればほとん
どメモリサイズが増加しない
6000
5000
2階層
4000
3階層
3000
2000
1000
0
1
提案モデルは、ネットワークのメモリ
サイズを抑えることができる
11
21
31
41
51
考慮したノード数
61
70
確率推論ネットワークの洗練
認識率
行動パターン雛形
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
外出の認識率
外出以外の認識率
0
10
20
30
40
50
考慮したノード数
100%
90%
個人用行動パターン
80%
認識率
70%
外出の認識率
外出以外の認識率
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
22
27
32
37
42
47
52
考慮したノード数
ノード数が20個以上の場合でも、正の事例の認識率は80%を下回らない
順序対集合の行動パターンの認識率
外出の認識率
正の事例の認識率
負の事例の認識率
全事例の認識率
100
99
98
認識率
97
96
95
94
93
from_3_cases
from_4_cases
from_5_cases
from_6_cases
from_7_cases
標本ケース数
from_8_cases
from_9_cases
from_10_cases
考察
外出の正の事例で98%以上、負の事例で95%以上
の高い認識率を示した
 帰宅に関しても同様の実験を行った結果、正の事例
93%、負の事例92%程度の認識率を示した
 帰宅のふるまいは、外出のふるまいに比べて触れる
オブジェクトが少ないことから、やや認識率が下がった
と考えられる


オブジェクトの順序対に着目した本手法は、10個以下
の少ないサンプル行動ログ数で有効な行動パターン
が生成できる
まとめ



Tagged Worldはユーザのモードが大きく変化する場面でのふるまいを
検知し、モードが変化する前に先行的にサービスを提供することを目指す
ユーザの動作対象のオブジェクトに着目することでふるまいを検知する
提案手法は




2段階のふるまい検知によって、常に詳細なパターン照合を行わないため、最
小限の負荷でふるまいを検知できる
確率推論と順序照合を分離することで、確率的に稀な行動を含むふるまいも
検知することができる
順序照合のための行動パターンを少ないサンプル行動ログから生成可能で
あるため、短期間でユーザごとに個人化した行動パターンを生成し、早期に
サービスの提供を開始することができる
今後は、ユーザのふるまいと生活空間のさまざまな情報を組み合わせて、
より詳細な状況判断をもとにサービスを提供することを目指す
ダウンロード

順序対 - Tagged World Project