形式言語とオートマトン2011
ー第6日目ー
東京工科大学
コンピュータサイエンス学部
亀田弘之
前回までの確認
• 有限オートマトン(FA)
– FAの定義と記述法
テープ上を一方向に動くヘッド(テープ上の記号を読み
ながら、内部状態を変えていく)
M = <K, Σ, δ, q0, F>
状態遷移図
– FAの種類
決定性FA(DFA)
非決定性FA(ε遷移のあるものとないもの)
– 言語認識能力はどのFAでも同じ。
正規言語(正規表現)を認識可能。
2
前回までの確認(2)
•
正規表現を認識するFAの存在とその構成法
1.
2.
3.
4.
5.
正規表現αが与えられる。
正規表現αに対して、ε-NFA を構成する。
ε-NFA をDFAに書き換える。
DFAを状態数最少のDFAに書き換える。
Min-DFAをシミュレートするプログラムを作成す
る。(参考文献[1]参照)
3
確認問題集
• (少しずつこなしていってください。)
4
確認問題1
• (オートマトンの定義)
次の状態遷移図で与えられるオートマトンを、
M=<K,Σ,δ,q0, F> の5つ組で記述しなさい。
a
p
b
a
q
a
b
r
b
5
確認問題
•
前問のオートマトンの動作のトレース
– 次の文字列のうち、前問のオートマトンMが
受理するのはどれとどれですか?
①
②
③
④
aabba
bababbb
aaaa
bbba
6
確認問題
• 下図のε-NFAをDFAに書き換えなさい。
4 b
a
1
ε
ε
2
3
5 c
b
b
ε
6
a
7
8
c
ε
7
確認問題
• DFAからmin-DFAを求める手順について
述べなさい。
(理論的根拠は、後日お話します。MyhillNerodeの定理がポイントになりす。)
8
確認問題
•
(正規表現を受理するmin-DFAを求める)
次の正規表現を受理するmin-DFAを求めよ。
1. (ab|bc)*a(b|c)
2. (a|b|ε)(ab|b)*bc
3. (a|b)*a(a|b)
9
さて、…
10
今日の話題
1. FAの様相(configuration)
(第2章の補足)
2. プッシュダウンオートマトン
(pushdown automaton)
(第3章の話)
11
FAの様相
• FAの動作の様子・状況を様相(configuration)
という。
• 動作開始時の様相を特に、初期様相という。
12
様相の表現
入力文字列
入力文字列の末尾
13
様相表現の例
• (具体例で理解しよう)
教科書p.36 問2.1
14
FA M = <K, Σ, δ, q0, F>
0
1
q
0
1
p
0
r
1
15
FA M = <K, Σ, δ, q0, F>
0
1
q
0
1
p
0
r
1
様相(p, 11010) |- (q,1010) |- (q,010) |- (q,10) |- (q, 0) |- (q, ε)
(p,11010) |*- (q,ε) <= Mは入力文字列 11010 を受理
16
• 様相(configuration)という用語は、本を読ん
でいると時々出てきます。
• オートマトンの動作状況を表現する単なる
1つの方法にすぎません。
でも、便利ですよね。
17
ここから新しい話し
• (第3章に入ります)
Let’s get down
to today’s topics.
18
プッシュダウンオートマトン
• 有限オートマトンにプッシュダウンスタックメモリ
を追加装備したもの。
• Pushdown automaton (PDA)
19
プッシュダウンスタック
• 歴史的view:
– 初期の頃:プッシュダウン型スタックメモリ
(特殊なハードウェアと考えていた)
– 現在:「スタック」は基本的なデータ構造の1つと
考えられている。プッシュダウンスタックとは言わ
ず、スタックといわれることが多い。
データ構造:
・配列(またはアレイ)
・リスト
続きは「データ構造と
アルゴリズム」で。
・スタック
・キュー など
20
プッシュダウンスタックのイメージ
Push down
Pop up
LIFO (Last In First Out)
最後に入れたものが最初に取り出される。
21
PDAの種類
• 決定性プッシュダウンオートマトン
Deterministic pushdown automaton (DPDA)
• 非決定性プッシュダウンオートマトン
Nondeterministic pushdown automaton (NPDA)
22
DPDA M の定義
• M = <K, Σ, Γ, δ, q0, Z0, F>
– K:内部状態の集合 (#K < ∞)
– Σ:入力アルファベット (#Σ < ∞)
– Γ:プッシュダウンアルファベット(#Γ < ∞)
– δ:状態遷移関数
K×(Σ∪{ε})×Γ → K×Γ*
– q0:初期状態 (q0 ∈K )
– Z0:ボトムマーカ ( Z0∈Γ)
– F:最終状態 ( F ⊂ K )
23
DPDA M の定義
• M = <K, Σ, Γ, δ, q0, Z0, F>
– K:内部状態の集合 (#K < ∞)
– Σ:入力アルファベット (#Σ < ∞)
– Γ:プッシュダウンアルファベット(#Γ < ∞)
– δ:状態遷移関数
K×(Σ∪{ε})×Γ → K×Γ*
– q0:初期状態 (q0 ∈K )
– Z0:ボトムマーカ ( Z0∈Γ)
– F:最終状態 ( F ⊂ K )
24
ハードウェア構成でのイメージ
25
DFA と DPDA
類似点と相違点
類似点:
相違点:
・入力テープ
・プッシュダウンスタックメモリ
(左から右へ読み込むだけ)
・ヘッドとその内部状態
26
研究
ハードウェア構成でのイメージ
なぜ、プッシュダウンスタック?
27
研究テーマ
内部処理
装置
記憶装置
28
難しいことはさておいて…
• (例を見てみましょう)
教科書p.68例3.1
29
DPDA M の例
• M = <K, Σ, Γ, δ, q0, Z0, F>
– K内部状態の集合 = { q0, q1, q2 } (#K < ∞)
– Σ入力アルファベット = { a, b } (#Σ < ∞)
– Γプッシュダウンアルファベット = { A, Z0 }(#Γ< ∞)
– δ:状態遷移関数
K×(Σ∪{ε})×Γ → K×Γ*
– q0 初期状態 = q0 (q0 ∈K )
– Z0:ボトムマーカ ( Z0∈Γ)
– F:最終状態 F = { q2 } ⊂ K
30
δ:状態遷移関数
K×(Σ∪{ε})×Γ
K×Γ*
δ( q0, a, Z0 )
( q0, AZ0 )
δ( q0, a, A )
( q0, AA )
δ( q0, b, A )
( q 1, ε )
δ( q1, b, A )
( q 1, ε )
δ( q1, ε, Z0 )
( q2, Z0 )
31
DPDA M の例
• M=
<K,Σ,Γ,δ,q0,Z0, F>
–
–
–
–
–
–
–
K = { q0, q1, q2 }
Σ = { a, b }
Γ = { A, Z0 }
δ:状態遷移関数
q0 :初期期状態
Z0:ボトムマーカ
F = { q2 }⊂ K
K×(Σ∪{ε})×Γ
K×Γ*
δ( q0, a, Z0 )
( q0, AZ0 )
δ( q0, a, A )
( q0, AA )
δ( q0, b, A )
( q 1, ε )
δ( q1, b, A )
( q 1, ε )
δ( q1, ε, Z0 )
( q2, Z0 )
32
動作のトレース
• (q0, aaabbb, Z0)
|- (q0, aabbb, AZ0)
|- (q0, abbb, AAZ0)
|- (q0, bbb, AAAZ0)
|- (q1, bb, AAZ0)
|- (q1, b, AZ0)
|- (q1, ε, Z0)
|- (q2, ε, Z0) 受理
• |- (q0, aab, Z0)
|- (q0, ab, AZ0)
|- (q0, b, AAZ0)
|- (q0, ε, AZ0) 拒否
K×(Σ∪{ε})×Γ
K×Γ*
δ( q0, a, Z0 )
( q0, AZ0 )
δ( q0, a, A )
( q0, AA )
δ( q0, b, A )
( q 1, ε )
δ( q1, b, A )
( q 1, ε )
δ( q1, ε, Z0 )
( q2, Z0 )
33
状態遷移図
34
動作のトレース
• (q0, aaabbb, Z0)
|- (q0, aabbb, AZ0)
|- (q0, abbb, AAZ0)
|- (q0, bbb, AAAZ0)
|- (q1, bb, AAZ0)
|- (q1, b, AZ0)
|- (q1, ε, Z0)
|- (q2, ε, Z0) 受理
• |- (q0, aab, Z0)
|- (q0, ab, AZ0)
|- (q0, b, AAZ0)
|- (q1, ε, AZ0) 拒否
自分で確認しよう
K×(Σ∪{ε})×Γ
K×Γ*
δ( q0, a, Z0 )
( q0, AZ0 )
δ( q0, a, A )
( q0, AA )
δ( q0, b, A )
( q1, ε )
δ( q1, b, A )
( q1, ε )
δ( q1, ε, Z0 )
( q2, Z0 )
35
練習
• 教科書のp.71 問題3.1の DPDA の動作を
いろいろな入力に対して調べてみよう。
36
非決定性プッシュダウンオートマトン
• DPDAでの状態遷移関数部分が
1対多の写像になる。
37
DPDA M の定義(再)
• M = <K, Σ, Γ, δ, q0, Z0, F>
– K:内部状態の集合 (#K < ∞)
– Σ:入力アルファベット (#Σ < ∞)
– Γ:プッシュダウンアルファベット(#Γ < ∞)
– δ:状態遷移関数
K×(Σ∪{ε})×Γ → K×Γ*
– q0:初期状態 (q0 ∈K )
– Z0:ボトムマーカ ( Z0∈Γ)
– F:最終状態 ( F ⊂ K )
38
NPDA M の定義(再)
• M = <K, Σ, Γ, δ, q0, Z0, F>
– K:内部状態の集合 (#K < ∞)
– Σ:入力アルファベット (#Σ < ∞)
– Γ:プッシュダウンアルファベット(#Γ < ∞)
– δ:状態遷移関数
K×(Σ∪{ε})×Γ → 2K×Γ*
– q0:初期状態 (q0 ∈K )
– Z0:ボトムマーカ ( Z0∈Γ)
– F:最終状態 ( F ⊂ K )
39
DPDA M の例
• M = <K, Σ, Γ, δ, q0, Z0, F>
(教科書p.73の例3.2)
40
NPDA M の例
K×(Σ∪{ε})×Γ
• M=
<K,Σ,Γ,δ,q0,Z0, F>
–
–
–
–
–
–
–
K = {q0,q1,q2, q3, q4, qf }
Σ = { a, b, c }
Γ = { A, Z0 }
δ:状態遷移関数
q0 :初期状態
Z0:ボトムマーカ
F = { qf }⊂ K
δ( q0, a, Z0 )
δ( q0, a, A )
δ( q0, b, A )
K×Γ*
( q0, A Z0 )
( q0, AA )
(q1,ε), (q3,A)
δ( q1, b, A)
δ( q1, c, Z0)
δ( q2, c, Z0)
( q1,ε)
( q2, Z0 )
( q2, Z0 )
δ( q2,ε, Z0)
δ( q3, b, A )
δ( q3, c, A )
δ( q4, c, A )
( qf, Z0 )
( q3,A )
( q4,ε)
( q4,ε)
δ( q4,ε, Z0)
( qf, Z0 )
41
状態遷移図
42
練習問題
1. (q0, aaabbbcc, Z0) |*- ?
2. aaabbbcc は受理されるか?
される場合は、その動作の様子を様相表現
で示しなさい。
3. aabbbccc は受理されるか?
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ここまでのまとめ
• プッシュダウンスタック
• プッシュダウンオートマトン
– 決定性
– 非決定性
• PDAはFAを含む(PDAはFAよりも文字列認
識能力は高い。) <=(Why?)
• DPDA は NPDA よりも能力は低い。
(証明はしませんが、事実です。)
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次回は、チューリングマシンです。
• チューリングマシンは、アルゴリズムや計算
に関する理論の基礎を与えてくれます。
• チューリングマシンと、認識可能な言語との
対応(チョムスキー階層)の話しもやがて出て
きます(第5章)。
• 線形拘束オートマトン(線形有界オートマトン)
も今後導入します。
• 計算量・計算の複雑さなどの話題にも触れま
しょう。 お楽しみに!
45
ここまで積み残してきているもの
• Myhill-Nerodeの定理
• (DFAにおける)ポンピング補題 など
46
ダウンロード

形式言語とオートマトン2008 ー第4日目?ー