Okayama_GammaRayAstronomy_2009Oct.ppt
ガンマ線(と可視光)で見る宇宙
水野 恒史
広島大学理学部 物理科学科
高エネルギー宇宙研究室
@岡山大学「量子の世界と宇宙」
2009年10月30日(金)
Fermiガンマ線衛星
Tsunefumi Mizuno
「かなた」望遠鏡
1
Okayama_GammaRayAstronomy_2009Oct.ppt
Contents (目次)
1.
2.
3.
4.
5.
高エネルギー光子による宇宙観測
Fermiガンマ線衛星と「かなた」可視望遠鏡
最新の成果の紹介:可視望遠鏡
最新の成果の紹介:Fermiガンマ線衛星
まとめ
Tsunefumi Mizuno
2
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(1) 高エネルギー光子によ
る宇宙観測
Tsunefumi Mizuno
3
Okayama_GammaRayAstronomy_2009Oct.ppt
宇宙観測の意義 (1)
• 人類は宇宙を観測することで、生活に役に立つ、あるいは科学の進
V. Hess, 1912
歩に寄与するさまざまな知見を得てきた
 実用的な物
 時刻を計る (日時計;太陽の運行。バビロニアBC2000頃)
 暦の発明 (星の運行。エジプトBC4000年頃)
 (比較的)純粋科学に近いもの
 万有引力の発見、検証 (惑星の運動)
 一般相対論の検証 (水星の軌道。重力レンズ)
Isaac Newton
1643-1727
Tsunefumi Mizuno
http://www.astraea-libra.net/star/tenmon/solar_1.html
4
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宇宙観測の意義 (1)
• 人類は宇宙を観測することで、生活に役に立つ、あるいは科学の進
V. Hess, 1912
歩に寄与するさまざまな知見を得てきた
 実用的な物
 時刻を計る (日時計;太陽の運行。バビロニアBC2000頃)
 暦の発明 (星の運行。エジプトBC4000年頃)
 (比較的)純粋科学に近いもの
 万有引力の発見、検証 (惑星の運動)
 一般相対論の検証 (水星の軌道。重力レンズ)
Isaac Newton
1643-1727
Tsunefumi Mizuno
Albert Einstein
1879-1955
A2218 銀河団の重力で背景
銀河からの光が曲げられる
ESA/Hubble
5
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宇宙観測の意義 (2)
• これらの宇宙観測は、長い間可視光(目に見える光)に限られてきた
V.
Hess, 1912
が、近年あらゆる波長域での観測が可能となった。特に、X線ガンマ
線を用いて宇宙の活動的な姿や、基礎物理学を調べるのが高エネル
ギー宇宙物理学。Fermiガンマ線衛星が昨年打ち上げられた。
M31 (銀河;星の集団)
d = 780 kpc
M = 7.1x1011 Msun
L = 2.6x1010 Lsun
Author: John Lanoue
Tsunefumi Mizuno
Pulsar(高速回転する
中性子星)の想像図
1000 回転/s
B ~ 1012 G
M87からのジェット(高エ
ネルギー粒子の噴流)
d = 17 Mpc
M ~ 109 Msun
5000 光年
6
ESA/Hubble
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Fermi衛星以前のガンマ線観測
• 1991-2000の10年間かけて得られた昔のガンマ線マップ (銀河座標)
 270個のガンマ線天体
• 画像がピンボケのため、2/3が可視光などで対応天体を絞り切れず、正体が不
明だった
Tsunefumi Mizuno
7
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Fermi衛星以前のガンマ線観測
• from
1991-2000の10年間かけて得られた昔のガンマ線マップ
(銀河座標)
Wikipedia
 270個のガンマ天体
• 画像がピンボケのため、2/3が可視光などで対応天体を絞り切れず、正体が不
明だった
四角が銀河面、真ん中が銀河中心
丸印がガンマ線天体(銀河系内、系外)
Tsunefumi Mizuno
8
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ガンマ線天文学の新展開
• 昨年打ち上げのFermiガンマ線衛星による9か月の観測でえられたガンマ線マップ
 ~1000個のガンマ線天体(パルサーやブラックホールなど)
 宇宙線(高エネルギー粒子)が星間物質と衝突してできるガンマ線
などがはっきりとらえられている。最新の観測装置により高い解像度で撮影できるよ
うになったため。天体の物理量の議論が可能に。
四角が銀河面、真ん中が銀河中心
丸印がガンマ線天体(銀河系内、系外)
Tsunefumi Mizuno
9
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電磁波について
• 我々は天体からの光 = 電磁波を観測する
 電場と磁場の横波
 E = hc/l (エネルギーが高い => 波長が短い;粒子性が卓越)
紫外 赤外
電波
可視光の106倍以上
可視
青
波長
(長)
色の違い
赤 <=>波長の違い
<=>エネルギーの違い
エネルギーの数え方。電子1個に1Vの電圧をかけて得られるエネルギーをeVと呼ぶ。
106 eV = 1 MeV (100万電子ボルト), 109 eV = 1 GeV (10億電子ボルト)
Tsunefumi Mizuno
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宇宙物理学(現代天文学)
物理学の立場から、宇宙を科学的に
研究する学問
適用、確認
(地上で得られる)物理法則
宇宙観測
極限状態での検証
観測対象(天体)の質量、組成、温度などを電磁波の
観測から導き出す
Tsunefumi Mizuno
黒体放射;
温度に応じた放射
光の強さ
物理学が必要
力学、電磁気学、量子力学
相対性理論、熱統計力学
波長(nm)
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ガンマ線の生成プロセス
• X線までは、主に天体の温度に対応した電磁波を出す(黒体放射)
 電波:数 K(宇宙背景マイクロ波放射)、赤外線:数100 K(星間ダスト)、可視光:
1000 K-10000 K(星の光)、X線:100万度以上(ブラックホール周りの高温ガス)
• ガンマ線は、高エネルギーに加速された粒子(宇宙線)が放出する => 宇宙線や周りの
環境を調べられる。
e + B
シンクロトロン放射
p中間子の崩壊
核子-核子反応で生じた
p中間子生成がガンマ線
に崩壊
電子が、磁場や物質の電場
で曲げられて放射
(時間に依存する項を含む
Maxwell方程式)
e + h
コンプトン散乱の逆過程
電子が光を跳ね飛ばす
e +
matter
Tsunefumi Mizuno
p+
matter
制動放射
逆コンプトン散乱
12
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(2) Fermiガンマ線衛星と
「かなた」可視望遠鏡
Tsunefumi Mizuno
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Fermiガンマ線衛星 (1)
• 米国フロリダ州 Cape Canaveral Air
Station から打ち上げ。現地時間 2008
年6月11日。
• 科学観測を8月4日に開始。
• 高度 565 kmのほぼ円軌道。1日15回
地球を回る
Tsunefumi Mizuno
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Fermiガンマ線衛星 (2)
LAT検出器
• 20 MeV to >= 300 GeV
• FOV: 2.4 sr
• 高エネルギーガンマ線の撮像
• 日本も大きく貢献
Tsunefumi Mizuno
GBM検出器
• 8 keV to 40 MeV
• FOV: 9 sr
• 突発現象をとらえる
パルサー、ブラックホール、
ガンマ線バースなどを観測
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広島大学のアプローチ=「かなた」可視望遠鏡
• ガンマ線だけでは天体の正体が分からないこともある
 様々な波長の光で観測することが重要
• 国立天文台より望遠鏡を移管。指向性能を5倍に改善。
大学キャンパスと
天文台とは車で20分
高いアクセシビリティ
Tsunefumi Mizuno
1.5mクラスとしては最高
レベルの駆動性能
5度/秒
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「かなた」の主な観測対象
•
•
•
•
ブラックホール天体
ガンマ線バースト
超新星
矮新星、古典新星
宇宙における高エネルギー現象
の多くは一過性の突発的現象
数十秒で暗く見えなくなって
しまう天体もある
⇒これまでは観測が困難だった
ガンマ線バーストの
空想図
Illustration:
NASA/D.Berry
爆発前
爆発後
M51の超新星(© Cosmotography)
Fermi衛星と連携、あるいは独自の観測で成果を出す
Tsunefumi Mizuno
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(3) 最新の観測成果:
「かなた」可視望遠鏡
Tsunefumi Mizuno
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恒星の進化と超新星
(© 粟野、福江ほか スペクトル博物館)
超新星爆発
時間とともに進化
• 白色矮星、中性子星:星の進化の果てにできる高密度な星
• 超新星:重い恒星または白色矮星が吹き飛ぶ大爆発
Tsunefumi Mizuno
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核爆発型(Ia型)超新星
• 白色矮星の爆発によるものをIa型と呼ぶ
• どの核爆発型超新星も同じような明るさ。銀河までの距離を測ったり、宇宙膨
張(ハッブルの法則)の測定に利用される。
• 白色矮星の爆発
• どの核爆発型超新星も同じような明るさ
核爆発型超新星は、白色矮星が連星系をなし、降
着によって限界質量に達したときに起こす大爆発
Tsunefumi Mizuno
20
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「限界」を超えた超新星爆発?
SN 2009dc
明るさが太陽の約80億倍に達し
たことを発見
(通常のIa型超新星の2倍以上
の明るさ)
史上最も明るいIa型超新星
Tsunefumi Mizuno
明るさ
• 2009年4月9日にアメリカのグループが発見
• 広島大学かなた望遠鏡でフォローアップ観測
• 県立ぐんま天文台、岡山天体物理観測所、鹿児
島大学天文台、すばる望遠鏡などでも観測
これまで最も明るかった物
通常の場合
時間
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日本天文学会における記者発表の掲載紙面
その他、朝日新聞、産経新聞、中国新聞、NHKニュースほか
距離の指標、恒星の進化モデルの見直しの可能性
Tsunefumi Mizuno
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「かなた」のその他の観測対象
ブラックホールに周辺物質が落ち込むことにより、光
速に違いジェット(物質の噴流)を形成
超巨大ブラックホールからの
ジェット(ブレーザー)
• マイクロクェーサー(恒星質量ブラッ
クホールからのジェット)
 クエーサーやガンマ線バース
トとの類似性、スケールの差異
観測、データ解析に大学院生が日々活躍
Tsunefumi Mizuno
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(4) 最新の観測成果:
ガンマ線観測
Tsunefumi Mizuno
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宇宙線とは
• ほぼ光速で運動する高エネルギー荷電粒子の総称。1912年に発見。
V.
Hess, 1912
• 手のひらサイズで1秒間1個程度、我々の体を突き抜けている。
• 高いエネルギーを持つ。1018 eV以上は超高エネルギー宇宙線と呼ばれ、物理学、天文
学的に重要な研究対象(地上の加速器は1013 eV程度)
• 1015 eV程度までは、銀河磁場に閉じ込められている (銀河宇宙線)。大きなエネルギー
密度をもち、星の光のエネルギーと同程度。
宇宙線の銀河系内での分布や、宇宙線を生み出す天体を調べ
ることが、ガンマ線観測の主目的のひとつ
Hessの気球実験
空(宇宙)から高エネルギー粒子
(宇宙線)が来ていることを実証
Tsunefumi Mizuno
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Fermiガンマ線衛星が見た宇宙
• 1年弱で~900個のガンマ線天体
 銀河面には多数のパルサー(高速回転中性子)、超新星残骸の候補
 高銀緯では、無数の活動銀河核(巨大ブラックホールからのジェット)
 いずれも、宇宙線を生成しガンマ線で光る
• これらガンマ線天体の背後には、宇宙線と星間物質の反応で生じるガンマ線
=>ガンマ線は、銀河を満たす宇宙線、およびそれらを作り出す”エンジン”を調べ
る強力な手段
銀河面天体:パルサー、超新星残骸など
高銀緯天体:超巨大ブラックホール
Tsunefumi Mizuno
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(4-1) 銀河系のガンマ線天体:
パルサーと超新星残骸
Tsunefumi Mizuno
27
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パルサーと超新星残骸
(© 粟野、福江ほか スペクトル博物館)
超新星爆発
• 太陽の10倍程度以上の質量をもつ星は最終的に(II型)超新星爆発を起こし、
 重元素および莫大なエネルギーを放出
 中性子星(パルサー)もしくはブラックホールを残す
• 爆発の痕跡が超新星残骸。膨張過程で、銀河宇宙線を作り出す。
• パルサーは回転運動によりさらに宇宙線を生成
パルサー、超新星残骸ともガンマ線の重要な観測対象
Tsunefumi Mizuno
28
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パルサー(中性子星)とは
• 1967年:Bell & Hewishにより発見
 回転する中性子星からの規則正
しいパルス信号を電波で検出。理論
上の産物にとどまっていた中性子星
の存在を証明。
 1974年にノーベル賞受賞
• 中性子(フェルミ粒子)の縮退圧で重力を支える
 太陽と同程度の質量が半径10 kmに凝縮
 自転周期: 1 ms ~ 10 s
(角運動量保存;サイズが小さいと回転が速い)
表面磁場: < 104 ~ 1011 T
(磁束の保存;サイズが小さいと磁場が強い)
なぜパルス(周期的な電磁波放射)を出すのか?
Tsunefumi Mizuno
29
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パルサーからの電磁波
• 中性子星は完全な導体
 磁場中を導体が回転すると、~1015 Vもの巨
大な起電力が生じる。
 加速された電子が磁場に巻きつくようにして
運動。加速度を受け電磁放射。
 回転軸と磁極の向きが異なると、パルサーと
なる (磁極が我々の方を向いたときに見える)
電波の放射領域
ファラデーの発電機。ローレンツ力
で回転軸に電子が、円盤の端に
正の電荷がたまる => 起電力
• 電波では1800天体が知られる一方、ガンマ線は6例しか検
出例がなく、ガンマ線がどこからくるのか不明だった
Tsunefumi Mizuno
30
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Fermi衛星で検出されたパルサー
http://www.nasa.gov/images/content/300646main_pulsarmaplabeled2_HI.jpg
全数: 46 パルサー
• これまで知られていたもの: 6
• 若い電波パルサー: 16
• ガンマ線データからパルス探査: 16
• ミリ秒パルサー(リサイクルパルサー): 8
Tsunefumi Mizuno
ガンマ線でのみ光るパル
サーの存在;電波パルスは
我々の方を向いていない? 31
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電波でも明るいパルサー (Vela: P=89 ms)
パルス波形(エネルギー帯域ごと)
• エネルギーによってガンマ
線のパルス波形が変化。
• ガンマ線パルスは電波より
も遅れる。
• 電波には、第一パルスが
見えない
ガンマ線
(低エネルギー)
ガンマ線
(高エネルギー)
X線
Tsunefumi Mizuno
• ガンマ線の放射領域は、
電波とは異なるらしい。
電波
パルスの周期
(回転に対応)
32
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電波でも明るいパルサー (Vela: P=89 ms)
ガンマ線の強度
ガンマ線放射のエネルギー分布
仮にガンマ線が磁極
付近で作られた場合
Fermi
EGRET(昔の衛星)
理論モデル
0.1
1
エネルギー (GeV)
10
• 青印がFermiによって得られた
エネルギー分布。緑は昔の観測
(精度が悪かった)。
• スペクトルは、 3 GeV付近に指
数関数的な折れ曲がりを持つ。
• 折れ曲がりは加速された電子の
エネルギーの上限を示す。もしガ
ンマ線放射が磁極付近であれば、
強磁場中での電子陽電子対生成
により、ガンマ線が吸収され、より
強い折れ曲がりになる。
• 他のガンマ線パルサーでも同様
な結果。
ガンマ線は、電波より外側の磁場の弱い領域で放射される
Tsunefumi Mizuno
33
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Fermi衛星で分かったパルサーの姿
• この1年間で46天体ものガンマ線パルサーが検出。うち16個は他波長では知
られておらず、ガンマ線で発見された。
• パルス波形、エネルギー分布から、ガンマ線放射領域が電波のそれとは違うこ
とが分かった。
従来のモデル
電波、ガンマ線とも磁極付近から
新しく確立した描像
電波は磁極付近か
ガンマ線は外側から
• 電波観測ではつかまらない多数のパルサーが隠れている。
パルサーの進化、銀河宇宙線への寄与、銀河系での超新星爆発の歴史を調
べる上で、ガンマ線観測が力を発揮。
Tsunefumi Mizuno
その他、超新星残骸からのガンマ線を初めて検出などの成果
34
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(4-2) 銀河系外のガンマ線天体:
超巨大ブラックホール
Tsunefumi Mizuno
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宇宙物理学におけるBlack Hole (1)
• ブラックホールとは
 Einsteinの一般相対論で得られた概念。質量Mの周りに
rs  2GM / c2  3.0M / Msun km
なる事象の地平線が存在し、光すら(つまり、あらゆる信号が)逃
げ出せない。よって黒い穴(Black Hole; BH)。rsは
Schwarzschild radiusと呼ばれる。(見たことないけど)多分こん
な感じ。
http://www.jaxa.jp/article/interview/no7/p2_j.html
Tsunefumi Mizuno
36
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宇宙物理学におけるBlack Hole (2)
• BHには、でき方、質量に応じて色々ある。
 始原BH: 初期宇宙の密度揺らぎでできるとされるBH。小質量。Hawking
輻射によりγ線を出すと予想される。
 恒星質量 BH: 星の進化の終末、超新星爆発に伴いできるBH。
M~10Msun
 超巨大 BH: 銀河の中心にある。M=106-109 Msun
• 特に銀河の中心の超巨大BHは、物が落ち込む際に莫大なエネ
ルギー(重力エネルギー)を解放し、あらゆる波長で明るく輝く。これ
が活動銀河核。ジェットを伴うことも多い。
M87(宇宙ジェットの例)
5000 光年
Tsunefumi Mizuno
37
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ガンマ線でみる超巨大BH
• 超巨大BHからはジェット(物質の噴流)が出ることも多い
 ジェットがなぜできるのかは大事なテーマ。超高エネルギー宇宙線の源
とも言われる。
ジェットをどの方向から見るかで、天
体の見え方(どの波長で明るいか、時
間変化の仕方、など)が異なる
• ガンマ線は、電子が光を跳ね飛ばす逆コンプトン散乱で生じる。
• ジェットが我々の方を向いていると、放射がジェットの向きに集中する相対論
効果のため、~1000倍に増幅。ガンマ線で強く輝く。
これまでは、ジェットが我々の方向を向いているものしかガンマ線
で観測できず、限られた天体しか議論できなかった。
Tsunefumi Mizuno
38
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Fermiガンマ線衛星で見た電波銀河
• 1年の間に、3つの電波銀河(ジェットが横を向いている)からガンマ線放射を
発見。
• 天体の種類(ジェットの向き)によらず、超巨大BHからの放射を研究できるよ
うになった。
Tsunefumi Mizuno
39
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ジェットが横を向いているBHからのガンマ線
NGC 1275 (電波銀河)の時間変動とガンマ線イメージ
ガンマ線の変動
上限値
電波の変動
• 電波で明るい電波銀河。ジェットは40度ほどずれている。
• 30年以上前にガンマ線で検出の報告があるが、1990年代の観測では検出され
ず、ガンマ線を放出するか否かは確定していなかった。(左図)
• Fermiガンマ線衛星で、ガンマ線放射を検出(右図)。約10年の間に、ジェットが
10倍ほども強くなったと考えられる。 電波の活動性と相関?
Tsunefumi Mizuno
40
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超巨大BH: Fermi衛星による進展
• 電波銀河など、これまでガンマ線では
見えなかった天体からもガンマ線検出
 超巨大BHのガンマ線放出機構、
ジェットの構造などを広いサンプルで
議論
 10年の時間スケールでジェットの
強さが10倍も増減
• ジェットがこちらを向いている = ガンマ
線で明るいものは常時モニタ可能
 X線、可視光との相関は天体に
よって少しずつ違っており、放射領域
の違いなどが調べられる。「かなた」
望遠鏡も活躍
Tsunefumi Mizuno
PKS1502+106
(多波長で相関している例)
ガンマ線
X線
「かなた」望遠鏡
41
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(4-3) Fermi衛星で見る突発現象:
ガンマ線バースト
Tsunefumi Mizuno
42
Okayama_GammaRayAstronomy_2009Oct.ppt
ガンマ線バーストとは
Light curve
counts
• 空のある点が突然ガンマ線で明るくなる
現象。1967年に発見
• 一日に1回程度
• 瞬間的な明るさは、全宇宙の星の光をも
超える、宇宙最大の爆発現象
20s
時間(s)
中性子星の合体、
もしくは
大きな星の超新星爆発
でできた、宇宙で最高エネ
ルギーのジェットがガンマ線
で輝く
ジェットの研究、宇宙線の研究、物理学理論の検証などに重要
Tsunefumi Mizuno
43
Okayama_GammaRayAstronomy_2009Oct.ppt
Fermi衛星によるガンマ線バースト観測
2009年9月までに捉えたガンマ線バースト
©Fermi collaboration
GRB 090510
*,*:Fermi衛星で捉えたガンマ線バースト (291個)
*: 高エネルギーガンマ線(100 MeV以上)放射を捉えたもの (10個)
• 1年間で10個のガンマ線バーストから高エネルギーガンマ線を検出
過去の検出数をすでに上回る
• 73億光年かなたのガンマ線バースト GRB 090510を使い、相対性理論の
基礎「光速不変」の原理を過去最高の精度で検証
Tsunefumi Mizuno
44
Okayama_GammaRayAstronomy_2009Oct.ppt
「光速度不変の原理」とは ?
60km/h
光(電磁波)でも同じことが起こるか?
(マイケルソンとモーレーの実験など)
80km/h
地球の自転の向き
時速60km/hで走る電車内で
時速80km/hのボールを投げると
電車の外では60+80=140km/h
となって見える。
地球の自転を利用した実験。「真空中の光
速は観測者の運動によらず常に一定」(光
速度不変の原理)
しかし量子重力理論の枠組みの中にはミクロなスケールで
「光速が電磁波の波長(エネルギー)によってわずかではあるが変化する」
(光速度不変の原理の破れ)を主張するものが存在する。(時空が連続でなく、
量子構造をもつ効果)
Tsunefumi Mizuno
45
Okayama_GammaRayAstronomy_2009Oct.ppt
どうやって光速のずれを測定するのか
量子重力理論が予言する光速の「ずれ」はごく僅か。測定可能な「ずれ」を
生むには、天文学的な距離を旅した光を観測する必要がある。
高いエネルギーの光
低いエネルギーの光
光速度不変が成り立っている場合
遅れ
高いエネルギーの光
低いエネルギーの光
光速度不変が破れる量子重力理論に従う場合、
高いエネルギーの光が遅れて届く
できるだけ遠い天体からできるだけ高いエネルギーの光を観測する必要
=> ガンマ線バーストを観測する
Tsunefumi Mizuno
46
Okayama_GammaRayAstronomy_2009Oct.ppt
光速不変の原理の検証
GRB 090510の
エネルギー毎の時間変動
ガンマ線バーストが起きた時刻
低いエネルギー(X線)
31GeVの光子
GBM/NaIs
高いエネルギー(ガンマ線)
Tsunefumi Mizuno
31 GeVの最高エネルギーのガンマ線は、低
エネルギーのX線ガンマ線にたいして、最大で
も0.83秒しか遅れていないことが分かった。
47
Okayama_GammaRayAstronomy_2009Oct.ppt
Fermiで分かったガンマ線バースト
• 31 GeVのガンマ線の到達時間は、73億光年という長い距離
を経ても、最大でも0.83秒しか変わらない。
 光速度の差にしてわずか4 x 10-18 (Dc/c)以下の違い
• 一方、量子重力理論の一部は、もっと大きな時間差を予言し
ていた。
• 光速不変の原理を過去最高の精度で検証。量子重力理論に、
観測から史上最高の制限。アインシュタインの相対性理論は、
非常に微小な領域まで厳密に成立。
• その他、これまでの観測で最も高いエネルギーのジェットを見
つけるなどの成果をあげている。
Tsunefumi Mizuno
48
まとめ
Okayama_GammaRayAstronomy_2009Oct.ppt
• 宇宙観測は、実用と科学の両面で大きな役割
• X線ガンマ線で活動的な宇宙を見るのが高エネルギー宇宙物理学
• 広島大学は、Fermiガンマ線衛星と「かなた」望遠鏡を軸に研究
 「かなた」は突発現象や変動に注目して研究。最も明るい超新星爆
発の発見などの成果。
 パルサーからのガンマ線は、電波より外側から放射。隠されたパル
サーの存在。超新星残骸をガンマ線で初めて検出。
 ジェットの向きによらず、超巨大BHからのガンマ線放射を捉えた。
可視光と連携したモニタ観測も日々継続。
 ガンマ線バーストを用いて、光速不変の原理を最高精度で検証。
 その他のトピックス
http://www-heaf.hepl.hiroshima-u.ac.jp/glast/glast-j.html
http://fermi.gsfc.nasa.gov/
ご静聴ありがとうございました
Tsunefumi Mizuno
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ガンマ線 - 広島大学理学研究科 高エネルギー宇宙・可視赤外線天文