利用者参加とオープン志向が特
徴のWeb2.0型Q&Aサイトにみる
ヘルスコミュニケーション:
生活習慣病とメタボリック
シンドロームの質問と回答
 中山和弘(聖路加看護大学)
 戸ヶ里泰典(東京大学大学院健康社会
学)
背景と目的
 Web2.0型またはユーザ参加型のQ&Aサイト(「教
えて!goo」「Yahoo!知恵袋」など)は、Webで現
在もっとも成長している領域である(前年比約200300%)
 健康関連の質問も数十万件以上で、検索ヒット率の
高い情報資源となってきている
 有効なヘルスコミュニケーション(健康情報の伝
達・共有)には、個々人の状況や文脈に沿っている
ことが必要であり、このような消費者生成型メディ
ア(CGM、Consumer Generated Media)は、利用
者参加とオープン志向でそれを実現している可能性
 そこで、 Q&Aサイトの質問と回答の分析を試みた
対象
 対象サイト:「OKwave」 http://okwave.jp/
 選定理由:月間利用者は500万以上と「Yahoo!知
恵袋」と並ぶ最大手であり、内容は「教えて!
goo」とほぼ同じであるが、検索機能が充実
 質問内の検索キーワード: 「生活習慣病」 と「メ
タボリックシンドローム(メタボリック、メタボ、
メタボリック症候群を含む)」 の2つ
 検索対象期間:2007年9月30日から過去2000年まで
 検索でヒットした213件と133件の質問について、
まず、4半期ごとの質問数の推移の把握、質問の分
類を行った
分析項目と方法
 それぞれの質問への全回答382件と298件
 目的変数は、質問者が良回答に対して1つずつ与え
られる「20pt」と「10pt」のポイントの有無
 説明変数は以下の3項目
 回答者(「どんな人」):「経験者」「一般人」
「専門家」
 回答の種類:「アドバイス」「回答」「補足要求」
 回答に対する自信:「自信あり」「参考意見」
 クロス表によるχ2検定と、良回答のポイントの有無
(2値)を目的変数としたロジスティック回帰分析
(モデルは主効果のみと2次の交互作用も含むもの)
50
40
30
2000Q1
2000Q2
2000Q3
2000Q4
2001Q1
2001Q2
2001Q3
2001Q4
2002Q1
2002Q2
2002Q3
2002Q4
2003Q1
2003Q2
2003Q3
2003Q4
2004Q1
2004Q2
2004Q3
2004Q4
2005Q1
2005Q2
2005Q3
2005Q4
2006Q1
2006Q2
2006Q3
2006Q4
2007Q1
2007Q2
2007Q3
図1
質問件数の推移(四半期毎:Q)
60
基本的に重複しない内容で
蓄積されているが、4半期
毎で増加傾向で、「メタボ
リックシンドローム」は急
増していた
メタボリックシン
ドローム
生活習慣病
20
10
0
図2
生活習慣病の質問の内容(%、N=
121)
0
具体的な予防や改善方法は何か
特定の原因や食品等の効果の確認
検診結果の理解や対処
検診の受け方
保健医療関係者による質問
学生による質問
自覚症状の判断
家族のリスク認識の変容方法
統計
定義
受診先
その他(医療費、医師、労災、就…
5
10
15
20
25
全体(N=213)のうち
「生命保険・医療保険
関連」34.7%、直接関
連しないもの8.5%を
除いて再集計した
30
図3
メタボリックの質問の内容(%、N=
97)
0
10
20
30
40
50
60
具体的な予防や改善方法は何か
測定方法、診断基準、定義の疑問
自分や知人が該当するか
特定の原因や食品等の効果の確認
保健医療関係者による質問
就職、転職不安
受診先
全体(N=133)から、 「生
命保険・医療保険関連」
3.8%、体型表現( 「メタボ
系」 「メタボおやじ」など)
12.0%、直接関連しない
も11.3%を除いて再集計
した
図4
回答者別の良回答ポイントの割合
生活習慣病
(χ2検定: df=4,
p=.17)
専門家
(N=45)
一般人
(N=140)
経験者
(N=113)
専門家
(N=55)
一般人
(N=223)
経験者
(N=104)
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
メタボリックシンド
ローム
(χ2検定: df=4, p=.58)
20pt
10pt
0pt
結果と考察
 メタボリックへの注目度は急上昇で(図1)、内容で
は、生活習慣病にくらべその定義や対応が中心(図2、
図3)
 「医師にあんたが悪いと言われ傷ついた」「撲滅して
医療費削減効果はあるか」「厄払いの科学的根拠か」
「健康自己責任論への疑問」など、多様な情報ニーズ
が把握可能
 メタボリックなど新たな情報でのモニタリングが可能
 良回答(全質問の85%以上にある )の要因分析では、
回答者の種類や自信などとはいずれも関連が見られず
(回答者別のポイントの割合は図4)、回答の内容が問
題
結論:残された課題
 良回答は「専門家」以外からも同程度に提供され、質問
者のニーズには、専門的な知識に限らず、共感や理解、
妥当性や承認などのサポートが含まれるのか、コミュニ
ケーション手法の問題か(回答者分類の正確さの問題は
残る。「専門家」は9割以上「自信あり」で他より有意
に高い)
 今後、質問と回答の文脈や表現方法の分析により、市民
の情報やコミュニケーションにおけるニーズが把握可能
か
 参加型Q&Aサイトは「集合知」による助け合いのコミュ
ニティとして発展の可能性、そのとき専門職は

本研究は日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)「インター
ネット情報に翻弄される患者、家族を支援する看護職のためのeラーニ
ング開発」(研究代表者 中山和弘、平成19-22年度)の一部として実
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