第Ⅱ部 協力ゲームの理論
第16章 破産問題
2008/07/02(水)
ゲーム理論合宿
M1 浦田淳司
内容
• 破産問題の定式化
– タムルードにおける破産問題
– 破産問題の定式化
• CG法
– 破れた衣服の原理
– ミシュナの破産問題のCG法
– n人破産問題のCG法(ムズイ)
1
破産問題の定式化(タムルードの例)
タムルード:ユダヤ教の重要な経典、紀元400~500年頃編纂された
→そのころからゲーム理論はあった!!?
ミシュナの3人破産問題
律法ミシュナに書かれている配分表-Q.遺産を債権者にどう分配するか
遺産
A(債権額100)
B(200)
C(300)
100
100/3
100/3
100/3
200
50
75
75
300
50
100
150
債権額に応じた比例配分ではない….実は提携形ゲームの仁
2
破産問題の定式化
表記
債権者の集合 N={1,2,3,….,n}
遺産
E
債権額の組
d=(d1,d2,.….dn)
ただし
0  d1  d 2 ・・  d n
D  d1  d 2 ・・  d n
0 E  D
任意の破産問題に対して、
ただひとつの利得ベクトルxを定めるルールFを、破産問題の解という
(∑x=E、x≧0)
解の性質
(1) 単調性:債権者の受取額xiが遺産Eの非減少関数であること
(2) 順序保存性:破産問題の解xが
0  x1  x2 ・・  xn
(受取額)
0  d1  x1 ・・  d n  xn
(不足額)
3
破れた衣服の原理(ミシュナ)
ステーキ肉が1枚ある
Aくん
「半分欲しい」
1/4
もらえる
Bさん
「全部欲しい」
3/4
もらえる
4
破れた衣服の原理(残余均等配分)
破産問題として表記すると
1
3
N  {1,2}, E  1, d  ( ,1), D 
2
2
自分の要求分以外の残りを、相手の取り分として認めるとする
それぞれが認める相手の取り分
プレイヤー1 E  d1  1  1 2  1 2
プレイヤー2 E  d 2  1  1  0
相手の取り分として認めた額の残り
E  ( E  d1 )  ( E  d 2 )  1
相手へ
x1  [ E  d 2 ] 
x2  [ E  d1 ] 
2
均等割り
1 1 
2 2
1 1 
2 2
1
3
4
4
(相手から認められた額)+(残りの額の均等割り)
5
破れた衣服の原理(不足額均等配分)
2人の要求は全部で3/2であるが、肉はひとつしかない
→不足額(D-E)を二人で均等に負担する
プレイヤーiの受取額xi=(自分の請求額)-(不足分の均等割り)
1
xi  d i  ( D  E )
2
→残余均等配分に一致
この配分の原理を
破れた衣服の原理(The Contested Garment principle):CG原理
と呼ぶ
6
定式化
債権者i,j、遺産E、要求額di
債権者iが相手jに認める額:最低保証額v(j)
v( j )  max(E  di ,0)
遺産Eから二人の最低保証額を差し引いた残余を二人の間で均等に分けると、
二人の受取額は
1
x1  v(1)  [ E  v(1)  v(2)]
2
1
x2  v(2)  [ E  v(1)  v(2)]
2
このルールをCG法と呼ぶ
7
Eの関数として
1
xi  max( E  d j ,0)  {E  v(i )  v( j )}
2
破産問題(N,E,d)
N={1,2}、0≦E ≦150、d=(50,100)
xi
③
↓
x2
d2
d2 
d1
2
d1
d1
2
②
↓
①
↓
①Eが小さい時(E<d1)
Max(E-d,0)=0なので、
どちらのプレイヤーもE/2
②d1<E<d2の時
債権者2の最低保証額のみが増加
債権者1の受取額は固定
 x1  max( E  d 2 ,0) 
x1
x1=x2
d1
d2
E
1
{E  ( E  d1 )  0}
2
③Eが大きい時(E>d2)
両プレイヤー均等に増加
x1 
1
1
( E  d1  d 2 ), x2  ( E  d1  d 2 )
2
2
8
ミシュナの破産問題のCG法
ミシュナの3人破産問題
N={1,2,3} E=100,200,300 d=(100,200,300)
遺産
A(100)
B(200)
C(300)
100
100/3
100/3
100/3
200
50
75
75
300
50
100
150
まず、{1}と{2,3}の二人破産問題と考える
d=(100,200+300)=(100,500)
E=200のとき、x1=0+1/2×(200-100-0)=50
N={2,3} E=150 d=(200,300)
利得ベクトル=(50,75,75)
このままだと、E=100のとき、(50,25,25)となってしまう
→順序保存性が成り立たない
E ≧ 450のときは、不足額の順序保存性が崩れる。
順序保存性が崩れるのは、 150≦E ≦450、すなわち
d1 E D d1
  
2 3 3 2
E≦150の場合は、Eを3人で均等に分け、
E≧450の場合は、不足額D-Eを3人で分ける と破産問題は解決
9
おわりに
3人破産問題のCG法をn人に拡張して、
n人破産問題のCG法をアルゴリズムで与えることが出来る
ここで、破産問題のCG法は提携型ゲームの仁と一致するのであるが、
シャープレイ値、τ値の場合と一致する解を導くアルゴリズムを作ることが出来る
遺産配分は債権額に比例して配分する方法:比例配分法が用いられるが、
債権全ての貨幣の単位を同じ重さをもつものとして、等しく扱っている。
そこに債権者という人間の顔はみえない。
たいして、CG法、シャープレイ値などは
それぞれの債権者の債権額がひとつの単位、一体となっている。
そして、債権額の少ない人から、その要求を満たしていくという考え方には、
人としての債権者の顔が見えている。
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