第3回EBM研究ホーラム
Mindsに新たに公開される診療ガイドラインの
概要について
肺癌
近畿大学医学部腫瘍内科
福岡正博
平成16年10月16日
エビデンスのレベル分類
Ⅰ
システマティックレビュー / メタアナリシス
Ⅱ
1つ以上のランダム化比較試験による
Ⅲ
非ランダム化比較試験による
Ⅳ
分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究)による
Ⅴ
記述研究(症例報告やケース・シリーズ)による
Ⅵ
患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見
推奨グレードの分類
A
行うよう強く勧められる
B
行うよう勧められる
C
行うよう勧められるだけの根拠が明確でない
D
行わないよう勧められる
推奨グレードの決め方:
以下の要素を勘案して総合的に判断する
1
エビデンスのレベル
2
エビデンスの数と結論のバラツキ
3
臨床的有効性の大きさ
4
臨床上の適用性
5
害やコストに関するエビデンス
目次
戦略別のガイドライン
第1章 肺癌の診断
第2章 肺癌の化学療法
第3章 肺癌の放射線治療
第4章 肺癌の外科治療
第5章 肺癌の術前術後併用療法
第6章 中心型早期肺癌の診断・治療
第7章 肺癌の胸腔鏡手術
組織型、病期別のガイドライ
ン
第8章
非小細胞肺癌Stage Ⅰ期
第9章
非小細胞肺癌Stage Ⅱ期
第10章
非細胞肺癌Stage Ⅲ期
第11章
非小細胞肺癌Stage Ⅳ期
第12章
小細胞肺癌Stage Ⅰ期
第13章
限局型小細胞肺癌
(Ⅰ期小細胞肺癌を除く)
第14章
進展型小細胞肺癌
エビデンスレベルⅣ(分
析疫学的研究:コホート
研究や症例対照研究)の
研究のみである
集団検診
推奨
a.日本においては、胸部X線写真と喀痰細胞診を
用いた肺癌集団検診は有効である根拠があり、
行うよう勧められる(グレードB)。
b.ヘリカルCTを用いた肺癌検診は探索的に実施さ
れており、その肺癌死亡率低下における有用性
は現時点では証明されておらず、行うよう勧め
るだけの根拠が明確でない(グレードC)。
非小細胞肺癌の術後化学療法
推奨
非小細胞肺癌に対して、術後化学療法を行う
ことによって予後が改善するという根拠は乏し
い。少数の臨床研究においては予後改善効果を
認める結果も認められるが、再現性をもって有
効性が示唆されたレジメンはなく、標準治療と
しては行うよう勧めるだけの根拠が明確でない
(グレートC)。
UFT Meta-Analysis
Hamada, ASCO 23:7003, 2004
JBR.10
Winton, ASCO 23:7018, 2004
CALGB 9633
Strauss, ASCO 23:7019, 2004
UFT Meta-Analysis
Hazard Ration for survival
Death / Pts
Study
Wada. JCO 96
West Japan 4th
Endo, Lung Ca 03
OLCSG
ACTLC
Kato, NEJM 04
TOTAL
UFT
Control
42 / 103
33 / 163
30 / 109
20 / 85
17 / 50
65 / 491
207 / 1001
55 / 98
47 / 169
30 / 110
32 / 87
18 / 50
88 / 488
270 /1002
HR 0.74 [0.61 – 0.88 ] p=.001
Hamada, ASCO 23:7002, 2004
Hazard
Ratio
0
1
UFT
better
2
Control
better
JBR.10 – Overall Survival
Winton, ASCO 23:7018, 2004
100
VbP
Observation
80
60
HR
0.696
[
.524
–
.923]
40
p=0.012
20
0
0.0
69%
54%
2.0
4.0
6.0
8.0
CALGB 9633– Overall Survival
1.0
Strauss, ASCO 23:7019, 2004
0.6
0.4
0.2
HR 0.62 [ 0.41 – 0.95]
p=0.028
71%
59%
0.0
Probability
0.8
Chemotherapy
Observation
0.0
20
4 yr
40
60
Survival Time (Months)
80
局所進行切除不能Ⅲ期非小細胞肺癌
-治療法の選択-
推奨
a.
手術不能で根治的胸部放射線治療が可能な局所進行非
小細胞肺癌患者には化学放射線療法を行うよう強く勧め
られる(グレードA)。
b. 化学放射線療法の適応とならないⅢ期非小細胞肺癌に
は、無症状であっても、根治的放射線単独療法を行うよ
う勧められる(グレードB)。
c.
根治的胸部放射線治療の適応とならない患者(悪性胸
水貯留例,対側肺門リンパ節腫大例)は、全身化学療法の
適応となるので、Ⅳ期非小細胞肺癌のガイドラインに準
じる。
非小細胞肺癌Stage Ⅳ期
-化学療法の役割-
推奨
StageⅣ期の非小細胞肺癌に対する抗癌
剤治療は生存期間を延長してQOLも改善
することから、行うよう強く勧められる
(グレードA)。
非小細胞肺癌Stage Ⅳ期
-薬剤の選択-
推奨
a. 全身状態良好の患者にはシスプラチンを含む2剤併用療
法を行うよう強く勧められる(グレードA)。
b. シスプラチンとの併用薬は、塩酸イリノテカン,ビノレル
ビン,ゲムシタビン,パクリタキセル,ゲムシタビン,ドセタキ
セルのいずれか1つを選択するよう強く勧められる(グレー
ドA)。
パクリタキセル,ゲムシタビンの場合はシスプラチンの代
わりにカルボプラチンを併用してもよい。このことは、行
うよう強く勧められる(グレードA)。
d. プラチナ製剤の使用不能な患者では、塩酸イリノテカン,
ビノレルビン,ゲムシタビン,パクリタキセル,ドセタキセル
の単独投与を行うことが勧められる(グレードB)。
c.
Study Design
Advanced
NSCLC
Stratification
Stage: IIIB/IV
PS: 0/1
Gender: M/F
LDH:
>= 500/ < 500 IU/L
Albumin
=< 3.5/ >3.5 g/dL
Institution
R
A
N
D
O
M
I
Z
E
*
IP
Cisplatin 80 mg/m2, day1
Irinotecan 60 mg/m2, days1,8,15
every 4 weeks
TC Carboplatin AUC 6, day1
Paclitaxel 200 mg/m2, day1
every 3 weeks
GP Cisplatin
80 mg/m2, day1
Gemcitabine 1 g/m2, days1,8
every 3 weeks
NP Cisplatin
80 mg/m2, day1
Vinorelbine 25 mg/m2, days1,8
every 3 weeks
*Cisplatin plus irinotecan was the reference arm
Summary: Outcome
IP
TC
GP
NP
MST (months)
14.2
12.3
14.8
11.4
1 year survival
(%)
59
51
60
48
TTP (months)
4.7
4.5
4.0
4.1
Response Rate
(%)
31
32
30
33
分子標的薬剤
ゲフィチニブ
(イレッサ)
推奨
現時点では、分子標的薬剤の投与を行うよう
勧めるだけの根拠は明確でない(グレードC)。
臨床第Ⅱ相試験(IDEAL 1
& IDEAL 2)の結果のみで
あった
限局型小細胞肺癌
メタアナリシスの結果、
化学療法+放射線治療が
(Ⅰ期小細胞肺癌を除く)
化学療法単独より優れて
いることがしめされた
推奨
a. 限局型小細胞肺癌には,化学療法と胸部放射線治
療の併用を行うよう強く勧められる(グレードA)。
b.全身状態の良好な症例には,化学療法と放射線
療法の併用のタイミングとして早期同時併用を行う
よう強く勧められる(グレードA)。
シスプラチン+エトポシド
1回1.5Gy・1日2回
X 週5回 計45Gy
進展型小細胞肺癌
推奨
化学療法:小細胞肺癌における化学療法は生存を改善するの
で行うよう強く勧められる(グレードA)。
薬剤の選択
a. シスプラチンを含む併用化学療法を行うよう強く勧められる
(グレードA)。シスプラチン+エトポシド(グレードA)。シスプ
ラチン+イリノテカン、シクラホスファミド+アドレアマイシン
+ビンクリスチン(CAV)とシスプラチン+エトポシド(PE)の
交代療法(グレードB)。
b. 超大量(High Dose)化学療法あるいは単位時間当たりの
投与量を増すことで治療強度(Dose Intensity)を高めた化
学療法は 行わないよう勧められる(グレードD)。
c.一般状態不良(PS2-3)の症例に対しても単剤療法より多
剤併用療法を行うよう強く勧められる(グレードA)。
進展型小細胞肺癌における無作為化比較試験:JCOG 9511
イリノテカン+シスプラチン(IP) vs エトポシド+シスプラチン(EP)
ED-SCLC
Stratification
Center
PS (0-1 vs 2)
R
A
N
D
O
M
I
Z
E
Iinotecan 60 mg/m2 D 1,8,15
Cisplatin 60 mg/m2 D 1
every 4 weeks
Etoposide 100 mg/m2 D 1-3
Cisplatin 80 mg/m2 D 1
every 3 weeks
JCOG 9511: 生存率曲線
小細胞肺癌治療における臨床試験エビデンス
(1980年以降)
治療戦略
非交叉耐性交代化学療法
DIを高めた化学療法
大量化学療法
維持療法
新規抗癌剤
放射線化学療法
予防的全脳照射
日本
北米
欧
○
◎
×
×
◎
○
△
◎
◎
×
◎
○
○
○
○
◎
△
◎
△
×
◎
診療ガイドライン利用上の留意点
• がん診療、特に薬剤を用いた治療におけるエビ
デンスは刻々と変化、進歩しているので、その情
報を加味して使用する
• ガイドラインはバイブルではない
• 個々の患者に適した方法を考慮する
• 定期的な改訂が必要である
• 毎年学会として補填する
• 日本肺癌学会では2006年に改訂版を発行
作成委員
班長
福岡 正博
有吉
寛
土谷 了介
村田喜代史
加藤 治文
近藤
丘
門田 康正
安光
勉
上岡
博
谷田 達男
和田 博巳
小林 紘一
佐藤
功
根来 俊一
上甲
剛
楠
洋子
西村 尚子
伊藤 有子
鈴木 健司
斎藤 泰紀
一瀬 幸人
坂
英雄
大貫 恭正
辻
一郎
坪野 吉孝
薄田 勝男
渡辺 洋宇
白日 高歩
森谷 浩史
藤村
重文
東北厚生年金病院
近畿大学医学部 腫瘍内科
県立愛知病院 病院長
国立がんセンター中央病院 副院長
滋賀医科大学医学部 放射線医学講座
東京医科大学 第一外科
東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
徳島大学医学部 第二外科
羽曳野病院 呼吸器外科
岡山大学医学部附属病院 第二内科
岩手医科大学医学部 第三外科
京都大学大学院医学研究科・医学部 呼吸器外科
慶應義塾大学医学部 呼吸器外科
香川医科大学 放射線部
大阪市立総合医療センター 呼吸器内科
大阪大学医学部 保健学科医用物理学講座
大阪府成人病センター 調査部疫学課
国立がんセンター中央病院 副院長秘書
東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
国立がんセンター中央病院 呼吸器外科
国立仙台病院 呼吸器外科
国立病院九州がんセンター 呼吸器部
国立名古屋病院 呼吸器科
東京女子医科大学呼吸器センター 第一外科
東北大学大学院医学系研究科 公衆衛生学教室
東北大学大学院医学系研究科 公衆衛生学教室
富山医科薬科大学 光学医療診療部
富山労災病院 病院長
福岡大学医学部 第二外科
福島県立医科大学医学部 放射線科
病院長
吉村
西村
佐川
斎藤
山本
近藤
早川
小川
長田
近藤
藤澤
綾部
岡
西村
倉田
後藤
浅村
高橋
栗山
野間
池田
坪井
遠藤
桜田
相川
宮本
山中
佐藤
博邦
恭昌
元保
博
信之
和也
和重
純一
博昭
晴彦
武彦
公懿
忠之
嘉裕
宝保
功一
尚生
雅士
啓子
恵之
徳彦
正博
千顕
晃
広一
彰
澄隆
雅美
北里大学医学部 胸部外科
近畿大学医学部 放射線医学講座
金沢医科大学 呼吸器外科
県立愛知病院 呼吸器内科
静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科
徳島大学医学部 第二外科
北里大学医学部 放射線科
秋田大学医学部 第二外科
聖マリアンナ医科大学 呼吸器外科
静岡県立静岡がんセンター 呼吸器外科
千葉大学大学院医学研究院 胸部外科
長崎大学医学部附属病院 第一外科
長崎大学医学部附属病院 第一外科
都立駒込病院 外科
近畿大学医学部 腫瘍内科
国立がんセンター東病院 呼吸器科
国立がんセンター中央病院 呼吸器外科
滋賀医科大学医学部 放射線医学講座
大阪府成人病センター 放射線診断科
天理よろづ相談所病院 放射線科
東京医科大学 第一外科
東京医科大学 第一外科
東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
ダウンロード

行うよう強く勧められる(グレードA)。