Institutional Repositoryの
構築と運用
千葉大学附属図書館
尾城 孝一
[email protected]
2004/6/14
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アウトライン
• 概説
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Institutional Repositoryとは
機関リポジトリの現状
存在意義
代表的なリポジトリ,プロジェクトの紹介
• 構築と運用の課題
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システム実装
学内合意形成
運用方針の策定
登録の促進
• 今後の展望
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Institutional Repositoryとは
• 日本語では
– 学術機関リポジトリ,機関リポジトリ,機関レポジトリ
• 定義
– 電子コンテンツを捕捉し,保存し,発信するための,ウェ
ブベースのデータベース
• 電子コンテンツの要件
– 学術的価値
– ある学術機関において生産されたコンテンツ(vs. 主題
ベースのリポジトリ)
– 累積的かつ永続的
– オープン(誰もが無償でアクセス可能)かつ相互運用可能
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存在意義
• SPARC
– “The Case for Institutional Repositories: A SPARC Position
Paper” (2002)
– 学術コミュニケーション・システムの改革
• 世界的なリポジトリのネットワーク
• 無料でアクセスできる学術論文の増加
• 商業出版社による寡占システムの代替
• Clifford A. Lynch
– Institutional Repositories: Essential Infrastructure for Scholarship
in the Digital Age (2003)
– デジタル時代における学術研究に不可欠のインフラストラクチャ
• 大学とその構成員によって創造されたデジタル情報を管理し配信するた
めの一連のサービスを提供
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オープン・アクセス運動における
位置づけ
• 学術論文に対する障壁のないオンライン・アクセス
をめざした運動
• BOAI(Budapest Open Access Initiative)の2つの
戦略
– オープン・アクセス誌の創出
– セルフ・アーカイビング
• セルフ・アーカイビング
– 著者が,プレプリント(査読前論文)and/or ポストプリント
(査読後論文)を個人サーバ,分野別サーバ,あるいは大
学(図書館)が運営するサーバに蓄積し,それを無料で公
開する行為
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機関リポジトリの現状
• Institutional Archives Registry (Eprints.org)
– 204リポジトリ(主題ベースのリポジトリも含まれ
る)
– http://archives.eprints.org/eprints.php
• "PALS Pathfinder Research on Webbased Repositories Final Report“
– 45リポジトリ
– http://home.q00.itscom.net/ojiro/table_IR.xls
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CODA(カリフォルニア工科大学)
• http://library.caltech.edu/digital/
• カリフォルニア工科大学の各種リポジトリの
集合体
• 13種のリポジトリが公開され,5種が準備中
(2004年6月9日現在)
• ソフトウェアは,サウサンプトン大学で開発さ
れたEPrintsを使用
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[email protected]
• https://dspace.mit.edu/index.jsp
• 2002年11月にサービス開始
• 現在,5つの研究コミュニティ(学部,学科,センター
等)が参加
• DSpaceソフトウェアをヒューレット・パッカード社と共
同開発→オープンソース化
• DSpace連合の結成(ケンブリッジ大学,コロンビア
大学,コーネル大学,ロチェスター大学,オハイオ州
立大学,トロント大学,ワシントン大学)
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eScholarship(カリフォルニア大学)
• http://repositories.cdlib.org/escholarship/
• CDL(California Digital Library)が2002年4
月にサービス開始
• 研究論文,ワーキングペーパ,テクニカル
ペーパ,プレプリント等を格納
• 登録ペーパ数:2,980(2004年6月9日現在)
• 約10,000件/週のダウンロード実績
• ソフトウェアはバークレイ校で開発された
bepressを使用
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プロジェクト
• ARROW
– http://arrow.edu.au/
– 機関リポジトリのベスト・プラクティスを支援するソフトウェアやソリューション
の実証実験を目的とするオーストラリアのプロジェクト
• CARL
– http://www.carl-abrc.ca/projects/ir/
– カナダ研究図書館協会を中心とした,学術機関リポジトリのパイロット・プロ
ジェクト
• DARE
– http://www.darenet.nl/en/toon
– オランダの全国規模の分散リポジトリ構築計画
• FAIR
– http://www.jisc.ac.uk/index.cfm?name=programme_fair
– 英国JISC(Joint Information Systems Committee)のプログラム。学術機関
リポジトリの普及をめざし,14プロジェクト(50機関)が活動中
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学内合意形成
• なぜ機関リポジトリが必要なのか?
– 存在意義について理解を求める
• なぜ図書館が運営するのか?
– 従来の図書館機能の延長(学術情報の収集,組
織化(メタデータ,主題分析),利用提供,保存)
– 著作権及び学術コミュニケーションをめぐる諸問
題に関する専門家
– 技術的なノウハウの蓄積
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運用方針の策定
• コンテンツ・ガイドライン
– 登録可能な投稿者(誰が登録できるのか?)
– 登録可能なコンテンツの種別(論文,教材,ソフトウェア,
データセット等々)
– 登録可能なコンテンツの形態
– 品質管理(査読に相当する品質管理のプロセスが必要
か?)
– 登録したコンテンツの削除(取り下げ)
• 利用許諾契約書
– コンテンツをリポジトリに蓄積し公開するための非排他的
権利の譲渡を求める
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システムの実装
• オープン・ソース
– A Guide to Institutional Repository Software v 2.0
• http://www.soros.org/openaccess/software/
– 機関リポジトリ構築ソフトウェアガイド(上記ガイド第1版の
翻訳)
• http://www.nii.ac.jp/metadata/oaipmh/osi_ir_software_guide.html
• 商用ソフトウェア
– bepress (Berkeley Electronic Press)
– インフォコム
– CMS
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登録(投稿)の促進
• 既存リポジトリのコンテンツ数
– 45のリポジトリの収録コンテンツ数のメジアン(中
央値)=290(”PALS Report”による)
• 段階的な促進
– 第1フェーズ
• 初期データの構築(デモンストレーション)
– 第2フェーズ
• 研究者の自己登録(セルフ・アーカイビング)を促す
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初期データの構築(有用性の実証)
• 学内外のサーバ上で既に公開されているコンテンツ
の登録
– 学内:個人,学部・学科
– 学外:eプリントアーカイブ(arXiv,ADS)
• NIIの紀要ポータル事業によって電子化されたコン
テンツ
• 既に電子化されているが,サーバ上では未公開の
コンテンツ(CD-ROM化された学位論文等)
• リポジトリへの登録を許可する雑誌に掲載された,
学内研究者による論文
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考えられる障壁
• インセンティブの欠如
– 自分のウェブサイトで既に公開している
– どんなメリットがあるの?
– 登録しなくても何のペナルティもない
• 登録行為に対する抵抗感
– 登録に手間がかかる
– 時間がない
• 著作権に関する懸念
– (特に学術誌掲載論文の場合)登録する権利があるの?
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除去するための方策
• インセンティブの欠如
– メリットの強調(アメ)
– 強制力(ムチ)
• 登録行為に対する抵抗感
– 使いやすい簡易な登録インターフェイスの提供
– 図書館員による登録支援
• 著作権に関する懸念
– 出版社のポリシーの報知
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メリットの強調(アメ)
• 無料でアクセスできるオンライン論文の被引
用率
– オフライン論文に比べて2.6倍多く引用されている
(Lawrence, Steve. “Online or invisible?”
Nature. Vol.411, No.6837, p.521, 2001.)
→自らの研究成果の可視性の向上
• 研究成果の長期保存・利用の保証
• 成果一覧リストの出力
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強制力(ムチ)
• 雇用者(大学当局)または助成金提供者が,出版された論文
のコピーをリポジトリにデポジットすることを求めた場合,どう
しますか?
回答
進んでデポジットする
やむを得ずデポジットする
デポジットしない
わからない
OA著者:OA誌上に論文を発表したことのある著者
OA著者
83%
4%
3%
8%
非OA著者
69%
8%
3%
18%
非OA著者:OA誌上に論文を発表したことのない著者
Swan, A. & Brown, S.N. JISC/OSI Journal Authors Survey Report. (2004)による
http://www.jisc.ac.uk/uploaded_documents/JISCOAreport1.pdf
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QUTのポリシー
• クイーンズランド工科大学のEプリント・リポジ
トリへの登録に関するポリシー
– http://www.qut.edu.au/admin/mopp/F/F_01_0
3.html
– 「大学の構成員が公にした研究成果は,原則とし
て全て図書館が運営するEプリント・リポジトリに
登録しなければならない...研究成果には,論
文(プレプリント,ポストプリント),学位論文,会議
発表論文,会議録の章などが含まれる...」(理
事会承認)
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図書館員による代理登録
• Let us Archive it for you!(セント・アンド
リュース大学)
– http://eprints.standrews.ac.uk/proxy_archive.html
– コンテンツをメール添付し,必要最低限のメタ
データを記述して担当者に送信
– 図書館員が代理登録
– さらに,依頼があれば他のリポジトリやアーカイブ
(例えば,arXiv.org)への登録も代行
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出版社のポリシーに関する情報提供
• RoMEO/SHERPAリスト(出版社の著作権ポ
リシーとセルフアーカイビング)
– http://www.sherpa.ac.uk/romeo.php
– 出版社単位
• romeo.eprints.org
– http://romeo.eprints.org/
– タイトル単位での検索(構築中)
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出版社の著作権ポリシーと
セルフ・アーカイビング
ポリシー
出版社数
比率(%)
プレプリントとポストプリントの両方
のアーカイブを認める
38
41
ポストプリントのアーカイブを認める
13
14
プレプリントのアーカイブを認める
7
8
公式には認めない
35
38
SHERPA (http://www.sherpa.ac.uk/romeo.php?stats=yes)による
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出版社に対して許諾を求める手紙の
雛形
• “I hereby transfer to [publisher or journal] all rights to sell
or lease the text (on paper and online) of my paper
[paper title]. I retain only the right to distribute it free for
scholarly/scientific purposes, in particular the right to
self-archive it publicly online on the Web.“ (セント・アンド
リュース大学のEprintsリポジトリの著作権に関するページ
[http://eprints.standrews.ac.uk/information_copyright.html])
• 「わたしは,自著論文[○○○○)]のテキストを冊子版及び
電子版で販売・リースするための全ての権利を[○○○○社
(または○○○○誌)]に譲渡する。しかし,学術研究目的の
ために当論文を無料で配布するための権利,とりわけ当論
文をウェブ上で公開するための権利については,これを保持
する。」
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今後の展望
• リポジトリ共同体
– 課題解決に向けた知識,経験,技術の共有
• 大学図書館とNIIのコラボレーション
– 大学図書館
• リポジトリの構築と運用
• 学内の学術情報を収集,保存(データ・プロバイダ)
– 国立情報学研究所
• 各大学のリポジトリ構築支援
• 各大学のリポジトリに対する総合的窓口機能(サービ
ス・プロバイダ)
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めざすべきは
国立情報学研究所
機関
リポジトリ
国内学術機関リポジトリの統合検索
千葉大学
機関
リポジトリ
リンク
検索・閲覧
A大学
機関
リポジトリ
インターネット
利用者
B大学
機関
リポジトリ
C研究所
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OAI-PMHによる
メタデータ収集
国立情報学研究所
メタデータ
データベース
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