機関リポジトリを知ろう
高木和子
第23回 医学情報サービス研究大会
継続教育 コース1
2006年7月15日(土)
千葉大学 けやき会館
お話しする内容
• 機関リポジトリとは何者?
• どんな属性や機能があるのだろうか?
• 実施に当たっての、さまざまな問題点とは?
• 多種多様なソフトウェア
• 米国の機関リポジトリの成功例は?
• では、日本での状況は?
• 千葉大学のCURATORを紹介
2
「機関リポジトリ」はカタカナの世界
Repository(リポジトリ)
– 貯蔵室、収納庫
– 知識・情報の宝庫
Archive (アーカイブ)
– 文書館、記録保管所
– 保管する、収容する
3
Institutional Repository (IR)
Google検索結果
日本語
機関リポジトリ
2004.11.10 2006.1.13 2006.7.10
165
11,100
55,000
3
29
42
機関レポジトリ
31
156
384
機関レポジトリー
13
43
39
機関リポジトリー
4
機関リポジトリ(IR)とは何者?
定義1:SPARC (Scholarly Publishing and
Academic Resources Coalition)
• デジタルコレクションを補足し、
• 大学内の1つまたは複数コミュニティーの
知的生産物を保存し、
• 学術機関が直面する戦略的課題への強力な対応
を提供するもの
(SPARCの方針説明書Position Paper)
5
定義1:SPARC(続き)
戦略的課題
1. 学術コミュニケーションシステムの改革
研究へのアクセスを拡大する
学問のコントロールを学術社会に取り戻す
機関(大学)や図書館の関与度を高める
2. 大学の認知度、地位、社会的価値を高める能力の
開発
大学の指標とする
研究活動の妥当性を実証する
6
定義2: Clifford A. Lynch
大学とそのメンバーが作り出した
デジタル資料の管理・普及を行うために、
大学がそのコミュニティーに対して
提供する
一連のサービス
7
定義3. PALS (Publishers And
Libraries Solutions Committee)会議
「自分の機関が作成したコンテンツを
保存・普及・管理することを目的とする
機関をベースとしたサービス」
(2004年6月24日)
8
機関リポジトリの登場の背景(1)
シリアルズ・クライシス 1980年代~
1990年代
学術雑誌の高騰
SPARCの設立 1998年
研究情報の流通を研究者自身の手に
9
機関リポジトリの登場の背景(2)
主題ベースのリポジトリ
ArXiv:物理系プレプリントサーバ 1991年
オープン・アーカイブ・イニシャチブ(OAI)
1999年
「e-プリントアーカイブの相互運用性を確保する」
オープン・アーカイブ・イニシャチブ・メタデータ・
ハーベスティング・プロトコル(OAI-PMH)2001年
「メタデータをハーベストする際の、標準フレー
ムワーク」
10
機関リポジトリの登場
• 「機関リポジトリ」
2000年頃
• SPARCの論文
2002年
「方針説明書(Position Paper)」
IRを戦略的な見地から考察
(http://www.arl.org/sparc/IR/ir.html)
「SPARC機関リポジトリ・チェックリストと
資源ガイド」
IR実施の諸問題を考察
(http://www.arl.org/sparc/IR/IR_Guide.html)
11
機関リポジトリの数
世界には機関リポジトリが、いくつあるのか
Registry of Open Access Repositories
(ROAR)
アーカイブ数:705
Directory of Open Access Repositories
(OpenDOAR)
アーカイブ数:377
*注 : 機関数ではない
2006年7月13日現在
12
現在の状況
国名
アーカイブ数
レコード数
平均値
中央値
米国
192
1,064,211
7,289
386
英国
74
84,819
1,368
258
ドイツ
64
169,859
3,146
427
ブラジル
44
120,190
3,756
79
フランス
33
115,583
4,128
428
カナダ
32
27,393
913
640
スウェーデン
26
32,584
1303
300
オーストラリア
26
70,884
3731
551
イタリア
24
14,102
672
115
インド
22
12,095
806
283
13
機関リポジトリは必要?
Yes! 利益をもたらす!
 研究、教育の成果ショーケース
 機関の知名度を高める
 社会への説明責任
 コンテンツ利用の拡大
 資料管理の向上
 機関全体として経費削減
14
機関リポジトリの基本的な属性
1. 学術デジタルコンテンツ
2. コミュニティー主導/ 機関のサポート
3. セルフ・アーカイビング
4. 永続的保存
5. オープンアクセス
15
基本的な属性
1. 学術デジタルコンテンツ
•
学術的なコンテンツ
•
デジタルフォーマット
•
資料のデジタル化
•
多様な資料形態
16
基本的な属性
2. コミュニティーが主導、 機関がサポート
•
コミュニティーの役割
 コレクション決定
 登録に責任を持つ
•
機関の役割
 コミュニティー間協力の促進
 財政支援
17
基本的な属性
3. セルフ・アーカイビング
•
著作者本人によるコンテンツ登録が原則
•
代理人によるコンテンツ登録も可
18
基本的な属性
4. 永続的保存
• コンテンツの永続的な保存
• ハードウェア/ ソフトウェアの変化への対応
19
基本的な属性
5. オープンアクセス
• コンテンツの共有
• オープンアクセスが原則
• 制限が必要な場合
研究活動上の理由
プライバシー上の理由
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機関リポジトリの基本的な機能
1. 資料登録機能
2. メタデータ付与機能
3. アクセスコントロール機能
4. 検索機能
5. 配信機能
6. 保存機能
21
基本的な機能
1. 資料登録の機能
•
著作者本人/代理人による登録
•
Webベースの簡易なプロセス
•
編集者の任命
•
自動フォーマット変換
22
基本的な機能
2. メタデータ付与の機能
•
検索のためのメタデータ
著作者名、タイトル、抄録、キーワード
記述データ
•
管理のためのメタデータ
登録の日付、時間、登録者名
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メタデータ (ダブリンコア)
Title
タイトル
Format
フォーマット
Creator
制作者(著者)
Identifier
識別子
Subject
主題
Source
情報源
Description 内容記述
Publisher
Language 言語
提供者(公開者) Relation
関係
Contributor 協力者(寄与者) Coverage 範囲
Date
Rights
日付
権利関係
Type
資源タイプ
24
基本的な機能
3. アクセスコントロール機能
•
デジタル・ライト・マネジメント(DRM)
•
様々なレベルでのアクセスコントロール
 公開、非公開
 一部非公開、期間限定非公開
25
基本的な機能
4. 検索機能
•
検索エンジン
5. 配信機能
•
コンテンツの表示/ダウンロード
6. 保存機能
• コンテンツの長期保存
26
実施にあたっての諸問題
1. 誰が管理主体となるべきか
2. コンテンツ作成者への参加呼びかけ
3. コレクションの種類、資料タイプの決定
4. バージョニングとコンテンツ削除
5. コンテンツの訂正・削除
6. 権利問題の調整
7. インフラストラクチャー
27
実施にあたっての諸問題
1. 誰が管理主体となるべきか
•
機関リポジトリは多くの部門間の共同作業
 学部、図書館、IT部門、管理部門
•
図書館/ ライブラリアンが最適 !
 資料収集・配布・保存の専門家
 サービス実績 eg. 主題ビブリオグラフィー
 信頼感
•
現実に図書館主体のリポジトリが多い
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実施にあたっての諸問題
2. コンテンツ作成者への参加呼びかけ
リポジトリの概念とメリット理解
• 研究成果発表の効用
 アクセス増大
 研究者の評価向上→キャリアアップ
•
論文掲載
 掲載論文数に制限なし
 雑誌よりも早い掲載
29
実施にあたっての諸問題
• 引用
オンライン論文は引用され易い
• プレプリントの効用
 他の研究者からのコメント
• 長期保存
保存を機関が保証
30
実施にあたっての諸問題
3. コレクションの種類、資料タイプの決定
•
現在あるコレクションの調査
•
コレクションの種類やタイプの調査
論文、e-プリント、ワーキングペーパー、レポー ト
会議録、学位論文、データセット、論文の補完
資料、オンライン資料、オンラインジャーナル、
図書、
教材、マルチメディア資料、etc
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実施にあたっての諸問題
4. バージョニング(版管理)
•
完成論文 and/or 進行中の論文?
•
プレプリントの扱いは?
•
複数バージョンを残す?
*London School of Economicsの
バージョン・プロジェクト中間報告
32
実施にあたっての諸問題
5. コンテンツの訂正と削除
• 訂正を認める?
• コンテンツの削除を認める?
*方針は機関によって異なる
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実施にあたっての諸問題
5. 権利問題の調整
•
誰がコンテンツの著作権を持つのか
– 大学に譲渡?
•
出版社との関係
– 研究者の無関心/ 無知が問題
– 78%の出版社が登録を認める
– 94%の学術誌が登録を認める(プレプリント
& ポストプリント)
34
ソフトウェア
•
オープンソースと商業ソフトウェア
•
最もよく使われているオープンソース
– ePrints(英国)
– DSpace(米国)
•
学術機関リポジトリ構築ソフトウェア実装実
験プロジェクト
35
オープンソース(1)
ePrints (2000年)
開発: サウザンプトン大学(英国)
リポジトリ数: 209
利用: カリフォルニア工科大学 (CalTech)
プレプリント/e-プリント用
http://www.eprints.org/
36
オープンソース(2)
DSpace (2002年)
開発: マサチューセッツ工科大学 &
ヒューレット・パッカード社
リポジトリ数:160
利用: マサチューセッツ工科大学(MIT)
機関リポジトリ用ソフトウェア
http://dspace.org/index.html
37
機関リポジトリ例(1)
1. マサチューセッツ工科大学 (MIT)
DSpaceリポジトリ
 ソフトウェア :DSpace
 主体
:図書館
 参加ユニット :49 (ラボ、学部、出版局、etc)
 レコード数 :20,300 (2006年7月13日)
 ファイル形式:自由
 コンテンツ :プレプリント、テクニカルレポート
ワーキングペーパー、会議発表論文、画 像…
• https://dspace.mit.edu/index.jsp
38
機関リポジトリ例(2)
2. カリフォルニア大学eScholarshipリポジトリ
(2002年4月)





ソフトウェア
主体
参加ユニット
レコード数
コンテンツ
:Bepress (商用ソフトウェア)
:California Digital Library
:約120
:12,539 (2006年1月16日)
: 研究論文、ワーキングペーパー
テクニカルペーパー、データセット
プレプリント、教材
 ダウンロード総数:フルテキスト3,447,885
•
(2006年7月13日)
http://repositories.cdlib.org/escholarship/
39
国立情報学研究所の役割
学術情報流通の先端的基盤提供事業
• 学術機関リポジトリの公開を支援
– 学術機関リポジトリの情報(メタデータ)を自動収集
– それを、NIIのメタデータ・データベースに蓄積
– 蓄積されたメタデータの統合検索サービスを提供
(国立情報学研究所の活動概況2005.8.24)
• 学術機関リポジトリの構築を支援平成16年度「学術機
関リポジトリ構築ソフトウェア実装実験プロジェクト」
40
「学術機関リポジトリ構築ソフトウェア実装実験
プロジェクト」
2004年6月~2005年3月実施
目的:機関リポジトリソフトウェアを各大学で試行
運用することにより,その構築・運用に係る技術
情報を蓄積・公開していくこと
参加機関
• 北海道大学、千葉大学、東京大学、
• 東京学芸大学、名古屋大学、九州大学
 http://www.nii.ac.jp/metadata/irp/
41
大学の実施状況
 実施
:10大学
 試験公開中 : 8大学
 計画中
: ?
(2006年7月13日)
42
機関リポジトリ実施大学
千葉大学
早稲田大学
筑波大学
北海道大学
東京大学
山口大学
九州大学
岡山大学
名古屋大学
金沢大学
2005-2
2005-11
2006-3
2006-4
2006-4
2006-4
2006-4
2006-4
2006-4
2006-6
43
機関リポジトリ試験公開中の大学







慶応大学
大阪大学
熊本大学
長崎大学
広島大学
東京学芸大学
京都大学
2006-1
2006-3
2006-3
2006-4
2006-4
44
千葉大学機関リポジトリ‐CURATOR
Chiba
University’s
Repository for
Access
To
Outcomes from
Research
45
CURATOR
経過
 2002年: 開発に着手
 2003年: 試行運用開始
 2004年: 初期データ構築
「運用指針」制定
 2005年: 正式運用開始
http://mitizane.ll.chiba-u.jp/curator/
46
登録者と登録資料
登録者
(1) 千葉大学に在籍,または在籍したことのある
教職員及び大学院生
(2) その他館長が特に認めた者
登録対象の学術情報資源
(1) 学術的な研究の成果
(2) 千葉大学において、主要な部分が作成されたもの
(3) 電子的フォーマットで作成されている
(4) ネットワークを通じて配信できる
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コンテンツの内容
教材
単行書・
1%
単行書の
章
1%
研究報告
書
36%
その他
5%
プレ
プリント
1%
テクニ
カル・
レポート
2%
紀要論文
31%
博士論文
13%
雑誌掲載
論文
10%
48
サービス・サプライヤ
サービスサプライヤによるハーべスティング
OAIster (ミシガン大学)
http://oaister.umdl.umich.edu/o/oaister
SCIRUS (エルゼビア社)
http://www.scirus.com/srsapp/
JuNII(NIIの大学Webサイト資源検索)
http://ju.nii.ac.jp
49
コンテンツ不足の問題
理解不足
機関リポジトリ
オープンアクセスの必要性を感じない
 対策
広報活動
各コミュニティ内に良き理解者を見つける
教員と直接話す
50
コンテンツ不足の問題
意義はわかるけど…
登録に手間がかかる
忙しい、時間がない
誤解: 雑誌論文は登録できない
著作権の処理が面倒
対策
簡単な登録画面の提供
代理人登録(図書館員、秘書、学生)
学術出版社・学協会のポリシーの確認と周知
(多くの雑誌論文が登録可能)
登録を義務付ける
評価と結びつける
51
登録の義務付け
Queensland University of Technology
(オーストラリア)
European Organization for Nuclear Research
(ヨーロッパ)
National Institute of Technology, Rourkela
(インド)
Universidade do Minho (ポルトガル)
University of Zurich (スイス)
University of Southampton (英国)
Source:ROAR
52
おわりに
知的生産物の現状を把握
機関リポジトリへの理解
ポリシーの策定
機関リポジトリの主体は図書館!
Thank You
53
ダウンロード

機関リポジトリ - 学術成果リポジトリ管理システム