応用行動分析学(3)
「対人援助」の思想としての行
動分析
B.F. Skinner
Not be
punitive!
行動分析学の創始者
望月昭 [email protected]
HP: http//www.ritsumei.ac.jp/~mochi/
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「人を援助する際の倫理」
(The ethics of helping people)
Skinner, 1978
①“物を与える事ではなく、彼らが物を得るということ
に「生活の質」の目標をおくこと”
Given
Get
自発的に「行動できる」ということが基本
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②罰やそれを背景とした「負の強化」でコント
ロールされるのではなく、「正の強化」でなされ
るように環境設定を整える。
(Skinner,1990.「罰なき社会」→秘密資料)
「自発的に行動できる」というのは、周囲の
環境と無関係に振る舞えるということではな
い。
●「自由」=「正の強化」で行動が維持され
ているときの状態をさす。
Skinner, “Beyond Freedom and Dignity”
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対人援助全般の作業における
行動分析的表現による一般的な目標設定
「正の強化」で維持される行動の機会を持ち、
その機会が拡大していくように援助すること
[正の強化]:本人にとって、好ましい結果事
象を随伴させることによって、行動が成立・
維持させる操作
[負の強化]:嫌悪的な刺激事象がなくなると
いう随伴性によって行動を成立・維持させる
操作(いやいや行わせる)
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「障害」と「行動分析」
「障害」の軽減や解消に向けての対人援助の
ツールとして、行動分析学の「枠組み」や「思
想」は、どう貢献できるのだろう?
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「障害」
ある個人における、正の強化で維持さ
れる「行動」の不足あるいは不成立
「行動」:先行および結果事象の配置によっ
て(一定に)恣意的(人為的)に成立の可否
が決まる
本人の属性的表現(impairment)で
はない点を特徴とする
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ノーマライゼーションの思想(方向性)
社会が、障害を持つ人を、生まれながらの権利と
してそして個人差のままに受け入れることを要請
する・・・
(Nirje, in Shaddock & Zigler, 1991)
個人差のままに受け入れる (?)
行動的な翻訳することで具体的課題となる
個体的(反応形態的)差異によらず、社会の中で
行動(正の強化で維持される)の成立を保証する
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障害のある人への支援・サービスのありかた
統合
平等派
同化
異化
差異派
排除
石川准(2000)8
行動の成立の保障(1)教授・治療:
これまでの主流
個人の側の「能力」(ability)をあげて、あるいは「差異」を
縮めて、現実社会の中で「行動」として成立するよう
にする。
「能力のボトムアップ」(いわゆる「教授・治療」)
行動分析的方法:Wolfensbergerも推薦していた。
様々な行動修正的な技法(shapingなど)を用いての
反応の形成
問題点:障害が重いと能力向上に時間がかかりすぎ
る(今、社会の中で受け入れることにならない)
般化模倣、刺激等価手続きなど、様々な行動獲得の為
の「短縮方法」は開発されている。
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行動の成立の保障(2):援助
現状の「能力」(ability)のままで、あるいは「差異」のあるま
ま、オペラントとしての「行動」を成立させるべく新しい環境
の設定や強化基準の変更を行う(いわゆる「援助」)。
行動分析的方法:「差異」(反応形態)の違いを前提とした
行動成立(機能)の表現とアピール
問題点:環境の変更を要請(→援護)する必要
がある。
「行動」の成立を環境のタームで表現することで、従来の
福祉的作業(環境・制度改善)へ繋げることが可能
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行動成立の保障(3):援護
個人から社会へ、連続的に個別の行動成立に必要な
環境設定を要請していく。「援護」
そのための共通言語としての「行動」
個人(ミクロ)
社会・制度(マクロ)
ミクロとマクロの「分担」
随伴性を辿って「連携」(→行動福祉→対人援助学)
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課題:「ミクロからマクロまで随伴性を辿ってい
く」
行動の原因(あるいは行動成立の対処)は外
へ外へと押し出されていくかのようにみえる。
これは素朴な環境主義か?
社会福祉政策があれば個別の対処はいらな
い? ということにはならないか?
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ダウンロード

と「行動分析」