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現代の金融入門
第五章
入江 洋志
1~2節
1.企業統治と株主の権利
企業統治問題
 企業統治(コーポレート・ガバナンス)とは
広義:種々の主体間の利益相反をうまく解決し、効率的な
企業に資金を提供している主体(投
企業活動を実現させるための枠組み
資家)も利害関係者の一人として、企
狭義:経営者を規律づけ、効率的な企業活動を遂行させ
業統治に関心を持たざるを得ない
る
ための枠組
1.企業統治と株主の権利
企業統治問題
負債契約(債権者)の場合
利払いが約束通り履行されなかったら、裁判所に申し立
てることが可能
・債権者の権利保護のため、破産法制がどれだけ整備され、実効
的なものか
・できるだけ企業が債務不履行に陥ることのないようなものであれ
ばよい
1.企業統治と株主の権利
企業統治問題
持分契約(株主)の場合
配当が行われないからといって裁判所に申し立てることは
できない
だから株主には経営に関わる強い権限が付与される
自らの権利を擁護してくれる取締役を選びたい
1.企業統治と株主の権利
企業統治問題
独立取締役
企業活動に関わる主体間の利益相反を解決し、
社外出身で業務執行に携わらない取締役の中でも、当該企業との間に直接
の利害関係を有しない取締役
効率的な企業活動を実現するにはどのような取
締役会が有効か?
企業経営の説明責任を高める意義がある
企業の業務内容に精通しているはずのない独立取締役
に適切な判断が下せるはずがない
1.企業統治と株主の権利
支配株主と少数株主
バーリ・ミーンズ型(少数派)
ファミリー企業型(多数派)
所有と経営が分離し、専門的な
経営者が経営執行にあたるとと
もに、株式保有が分散している
ような形態
支配株主が存在し、その一族が
経営執行に当たっている形態
経営者と株主等の利益
相反の可能性
支配株主と外部株主と
の利益相反の可能性
1.企業統治と株主の権利
敵対的企業買収の功罪
敵対的企業買収を可能になる条件
・支配権を得るに必要な株式が市場に流通していること
企業買収後に株価の上昇が見込めるなら、既存の株主は現在の価格
では売却に応じないはず。
敵対的買収には一定の困難が
伴う
1.企業統治と株主の権利
敵対的企業買収の功罪
企業価値と株主価値
企業価値V=株主価値(株価総額)S+負債の現在価値総額B+従業員余剰E
企業価値の向上が見込めない場合には、敵対的買収を
行えなくすることには一定の合理性がある。
従業員余剰とは
株主と債権者の利益相反の可能性
従業員の貢献に対する見返りとして将来的に従業員に帰属する報酬の
しかし
現在価値の合計
買収防衛策の導入は、株主のモラルハザードの排除を可能
にするが、それと同時に経営者や従業員のモラルハザードを
財務制限条項を組み込む
株主価値の向上が企業価値向上によるものではなく従業員
助長する可能性がある。
余剰の簒奪によりもたらされている場合がある。
2.株式持ち合いとメインバンク
株式持ち合い
株式持ち合いとは
政策的な目的によって企業同士が互いに株式を保
有すること
過半数の株式を安定株主が保有していれば実質的に
株主の制約を全く受けない
株主の経営参加
権の希薄化
2.株式持ち合いとメインバンク
メインバンク制
メインバンク制とは→非公式な関係
①企業と長期的・総合的な取引関係を維持している銀行
②その企業に対する最大の融資シェアを持つ
③重要な貸し手であると同時に、その企業の主たる株主
④資本関係以外にも、役員を派遣するなど、企業と人的関係を持つこ
とも多い
⑤企業が経営困難陥った時は、企業再組織化のイニシアチブをとる
2.株式持ち合いとメインバンク
代表的監視者としてのメインバンク
代表監視者としてメインバンクが最適なのか?
監視活動の費用を回収しなければならない
貸出金利を高めに設定
融資シェアが最大であるから、監視失敗すれば大
最適!!!
きな損失を被る
総合的な取引関係を築く
債権者であると同時に株主であるから資金提供者
内部の利害対立から独立
2.株式持ち合いとメインバンク
代表的監視者としてのメインバンク
残余決定権
しかし
利害関係者の権利と義務を疑問の余地なく取り決めてお
くことは困難であり、解釈の余地が残ってしまう。これ
を解釈し、裁量的に使用できる権限を特定の主体に一任
することが望ましい。
メインバンクが残余財産権を自己の利益優先に利用しないように、メイ
ンバンクの債権を劣後したものにする必要がある。
メインバンクに
論点
日本における米国型企業
統治導入の是非
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従業員余剰とは