日本と東アジア経済専題研究
アジア研究所
小山直則
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講義計画
●年間講義計画
⇒http://www.geocities.jp/naonorikoyama/ztku100a/
ztku100a.htm
⇒講義資料は上記のweb siteから各自ダウンロードし
て下さい。
●講義方法
⇒基本的に参加者の報告とコメントで講義を進める。
●教科書
鈴木(2009)『日本の経済針路』岩波書店。
野口(2011)『大震災後の日本経済―100年に1度のタ
ーニングポイントー』ダイヤモンド社。
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役に立つサイト
●経済データ
⇒なるべく一次統計を用いて欲しいと思います
が、便宜上二次統計が豊富なweb siteを紹
介します。
⇒社会実情データ図録(二次統計)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/index_list
.html
●鈴木淑夫氏のHP
⇒http://www.suzuki.org/
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今日の講義内容
1.
2.
3.
4.
戦後の日本の経済成長の概要
バブル景気と小泉景気の比較
景気後退期の企業収益と雇用者報酬
平成恐慌の発生(90年代末)
4
1.2. 2011-08年経済が引き継いだ重荷
●戦後日本経済の歴史
⇒日本経済は56-73年までの
18年間に、平均9%強の高
度成長を遂げた(90年基準
のGDP統計)。
⇒変動相場制への移行と石油
危機を契機に高度成長が
終焉した(安定成長期)。
⇒第一次石油危機(73年)の翌
年の74年度の日本経済が
戦後初のマイナス成長を記
録した。
⇒翌年には回復し、70年代後
半には平均4%台半ばの成
長を遂げた。
⇒79年の第二次石油危機に
よって成長率は3%程度に
低下した。
⇒バブル期を迎えた87年度か
ら90年度までの四年間に、
再び平均5%台の成長率を
記録した。
⇒日本経済は、高度成長後も
成長し、90年代始めまで、
先進国の中で最高の成長
率を維持した。
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1.2. 2011-08年経済が引き継いだ重荷
●高度成長期の特徴
⇒内需主導型の経済成
長
⇒レジュメの図3の横軸の
一番左が岩戸景気、オ
リンピック景気、いざな
ぎ景気、この3つが高
度成長期に相当。
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1.2. 2011-08年経済が引き継いだ重荷
●石油危機と経済政策 ⇒インフレを抑制するため
には、総需要を低下さ
⇒石油価格の上昇は、石
せるような政策が必要
油輸入国にとって供給
である。
能力の制約となる。
⇒金融引き締めなどに
⇒総供給↓<総需要
よって総需要を抑制さ
⇒需要が高いのにガソリ
せた米国、日本、西ドイ
ンや電力が不足するこ
ツは、インフレを収束さ
とによって供給能力が
低下する。すると、物価 せて経済を立ち直らせ
ることに成功した。
は上昇する(インフレ)。
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1.2. 2011-08年経済が引き継いだ重荷
●戦後最長の景気回復
の特徴
⇒いざなみ景気または小
泉景気(02年1月から
07年10月までの69ヶ
月間) 前回のレジュメ
訂正
●バブル景気(86年11月
から91年2月までの51ヶ
月間)との比較
バブル景気
①正常金利、②円高、③
内需主導
小泉景気
①超低金利、②円安、③
輸出主導、④内需停滞
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図1. 実効為替レート
バブル景気
小泉景気
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図2. 長期金利
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図3
岩戸景気
オリンピック景気
いざなぎ景気
小泉景気
バブル景気
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1.2. 2011-08年経済が引き継いだ重荷
●輸出主導型経済への移行
⇒日本の高度成長は内需主
導、90年以降輸出主導型
に変化した。
⇒高度成長期の実質年率
10%成長は基本的に内
需主導であった。
⇒高度成長期(岩戸景気、オリ
ンピック景気、いざなぎ景
気)の輸出の寄与率は5%
程度。消費の貢献は60%
程度であった。
⇒「小泉景気」の輸出の寄与
率が約60%。消費はGDP
シェアの60%を占めるにも
かかわらず、経済成長への
寄与率は30%くらいしかな
い。
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1.2. 2011-08年経済が引き継いだ重荷
●景気後退期の企業収
益と雇用者報酬
⇒2000年以前の景気後
退期には、企業の経
常利益が減少しても
労働者の現金給与総
額は減少しなかった。
⇒一方、2000年以降の景
気後退期には、企業の
経常収益の減少と現金
給与総額の減少が同
時に生じるようになった。
⇒なぜ?
⇒レジュメ図4参照。
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図4.
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1.2. 2011-08年経済が引き継いだ重荷
●景気後退期の企業収
益と雇用者報酬
⇒バブル崩壊後の91年
第Ⅰ四半期から94年
第Ⅰ四半期には、
⇒企業が本業の業績を回
復し、さらに債務を返
済し、
⇒労働者への現金給与
総額も拡大させている
ことが伺える。
⇒しかし、小泉景気後の
世界金融危機以降(07
年第Ⅳ四半期から09
年第Ⅱ四半期)までは、
⇒企業は本業の収益を低
迷させ、
⇒労働者への現金給与
総額を減らしながら不
良債権を処理している
様子が伺える。
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1.2. 2011-08年経済が引き継いだ重荷
●平成恐慌
⇒背景 橋本内閣の緊縮財政
政策
⇒97年度に橋本内閣は緊縮
財政を実施した。
①消費税を3%から5%に引き
上げた。これにより、国民
負担が5兆円拡大
②特別減税の打ち切りで国民
負担が2兆円拡大。
③医療保険など社会保障負
担の引き上げで国民負担
が2兆円拡大。
④4兆円の公共投資削減。
⇒以上で合計13兆円の国民
負担の拡大とした。
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1.2. 2011-08年経済が引き継いだ重荷
●平成恐慌
①消費税を3%から5%に引き
上げ。
②特別減税の打ち切り。
③医療保険など社会保障負
担の引き上げ。
④4兆円の公共投資削減。
●総需要=消費↓+投資+政府
支出↓+輸出―輸入
*可処分所得↓
=GDP―税↑―社会保険料↑
⇒可処分所得が減少すると、消
費が減少する。
⇒公共投資が減少すると、政府
支出が減少する。
⇒総需要が減少すると、総供給
も減少し、経済は収縮する。
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1.2. 2011-08年経済が引き継いだ重荷
●平成恐慌と財政赤字
⇒97年末からの景気対策
⇒97年度はゼロ成長、98
によって、翌98年度の財
年度はマイナス1.5%
政赤字は10.4兆円増え
成長に陥った。
た。99年度には、さらに
6.8兆円増えた。
⇒97年度の財政赤字は、
9兆円の国民負担の ⇒図Ⅰ-10. 政府債務残高
増加と4兆円の公共
の対名目GDP比
投資の削減にもかか
わらず、2兆円しか減
少しなかった。
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1.2. 2011-08年経済が引き継いだ重荷
●平成恐慌と三つの過剰 ⇒しかし、回復した収益は、
⇒97年度以降、04年まで
過剰な設備の棄却、退職
「三つの過剰」(設備、
金の積み増しによる人員
雇用、債務の過剰)が
整理、投機で購入した不
企業経営を圧迫した。
動産の損切り売り、銀行
の借入金の返済などに
⇒02年1月以降、輸出企
用いられた。
業を中心に企業収益
が拡大し、景気は回 ⇒このため、労働者の現金
復した。
給与総額は拡大せず、
景気拡大期にもかかわら
ず減少した。設備投資も
低迷した。
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