在庫方策最適化
東京海洋大学
久保 幹雄
1
意思決定レベルによる分類
原材料
長
期
調達物流
ストラテジック
生産
工場内物流 輸送
配送拠点 配送
需要
地点
ロジスティクス・ネットワーク最適化
資源配分最適化
中
期
短
期
タクティカル
オペレーショナル
安全在庫配置
在庫方策最適化
生産計画最適化
ロットサイズ最適化
スケジューリング最適化
配送計画最適化
配送計画
2
在庫とは?
サプライ・チェインの血液
在庫はサプライ・チェインいたるところに存在




調達地点 ->部品在庫,原料在庫
工場内->仕掛品在庫
倉庫->流通在庫
小売店,自動販売機 ->完成品在庫
押し出し型
引っ張り型
調達
3
在庫の分類と在庫方策最適化
輸送中在庫(ストラテジック)
作り置き在庫(タクティカル)
ロットサイズ在庫(タクティカル)
サイクル在庫(オペレーショナル)
安全在庫

安全在庫配置(タクティカル)

在庫方策 (オペレーショナル)
4
在庫方策最適化
オペレーショナルレベルの意思決定
日々の運用のための方策のパラメータの
最適化
品切れ費用
安全在庫費用
古典:新聞売り子モデル
サイクル在庫費用
発注(生産)固定費用
古典:経済発注量モデル
5
在庫最適化の事例
Tiwari-Gavirneni (2007) Recoupling Inventory
Control Research and Practice: Guidelines for
Achieving Synergy, Interfaces の事例に追記
Interfacesから削減費用の大きいものを抜粋
実務とアカデミックサイドの協力
研究で培った手法を基礎として,問題依存のモデル
設計
局所的な在庫削減ではなく,全体最適化
6
事例1
Edwards-Wagner-Wood (1985)
Blue Bell trims its inventory. Interfaces 15(1) 3452.
- 費用削減: 1.15億ドル (31%の在庫削減)
- モデル:
Peterson-Silver (1979) のテキストに基づく(多段階
の階層的生産計画による)在庫改善.
切断問題(LP)(Gillmore-Gomory
アプローチの主問題のみ)
(この部分での削減は100万ドル)
7
事例2
Chao-Chapel-Clark-Morris-Sandling-Grimes(1989)
EPRI reduces fuel inventory costs in the electric
utility industry. Interfaces 19(1) 48-67.
- 費用削減: 1.25億ドル
- モデル:
発電所の燃料在庫の最適化
需要の不確実性+供給の不確実性(途絶)
季節性を考慮した基在庫方策
Markov決定過程(動的計画)+シミュレーション
8
事例3
Burman-Gershwin-Suyematsu (1998)
Hewlett-Packard uses operations research to
improve the design of a printer production line.
Interfaces 28(1) 24-36.
- 費用削減: 2.8億ドル(生産性+50%)
- モデル: 生産システムのシミュレーションによる生産
ラインの改善.
MIT,HP社とAnalytics社
9
事例4
Billington-Callioni-Crane-Rurak-Rapp-WhiteWillems (2004)
Accelerating the profitability of Hewlett-Packard’s
supply chains. Interfaces 34(1) 59-72.
- 費用削減: 1.3億ドル
- モデル: 安全在庫配置モデル
MITの研究を基礎,Optiant社(PowerChain)とHP社.
10
事例5
Kapuscinski-Zhang-Carbonneau-Moore-Reeves
(2004)
Inventory decisions in Dell’s supply chain.
Interfaces 34(3) 191-205.
- 費用削減: 4300万ドル
- モデル:
部品調達における在庫モデル
VMI(ベンダー管理在庫)における(Q,R)方策
11
事例6
Troyer-Smith-Marshall-Yaniv-Tayur-Barkman-KayaLiu (2005)
Improving asset management and order fulfillment
at Deere & Company’s C&CE division. Interfaces
35(1) 76-87.
- 費用削減: 10億ドル以上(5年間)
- モデル:
John Deere社とSmartOps社が協同で開発.
多段階モデルを基礎に問題に特化したモデルを作成;
無限小摂動解析(IPA) を簡略化したヒューリスティクス
12
事例7
Farasyn-Perkoz-Velde (2008)
Spreadsheet Models for Inventory Target
Setting at Procter & Gamble. Interfaces
38(4) 241-250.
- 費用削減: 3.5億ドル
- モデル:
SpreadSheetを用いた基本的な1段階在庫モ
デルの集合体
13
事例8
Farasyn-Humair-Kahn-Neale-Rosen-RuarkTarlton-Velde-Wegryn-Willems (2011)
Inventory Optimization at Procter & Gamble:
Achieving Real Benefits Through User Adoption of
Inventory Tools. Interfaces 41(1) 66-78.
- 費用削減: 15億ドル
- モデル:
安全在庫配置モデル .
Optiant社(PowerChain)によるタクティカルモデル
14
新聞売り子問題の例
コピー用紙の在庫
某研究室ではコピー用紙を適切に管理す
ることが義務づけられている.コピー用紙
の消費量は 1日あたり平均 100,標準偏
差 100 の切断正規分布と推定されており,
発注は翌日配送の文房具屋に頼むので
1日のリード時間がかかるものとする.品
切れ費用が 100円,在庫費用が 1円とす
るとき,在庫が何枚を切ったとき発注すれ
ば良いだろうか?
15
リード時間
小売店が商品を注文したとき,商品が卸売
業者(もしくはメーカー)から到着するまで
にかかる時間
リード時間内の(ランダムな)需要をまかな
うための在庫->安全在庫
16
平均100,標準偏差100の
切断正規分布の密度関数
確率密度
0.0045
0.004
NORMDIST(x,平均,標準偏差,FALSE)
0.0035
0.003
0.0025
0.002
0.0015
0.001
0.0005
0
0
100
200
300
400
500
600
700
17
需要量
サービスレベルと臨界率
サービスレベル:品切れを起こさない確率
品切れ費用,在庫費用から計算されるパ
ラメータ「臨界率」と一致させるのが最適
臨界率 
品切れ費用
100

 0.99
品切れ費用 在庫費用 100 1
18
サービスレベルと密度関数
確率密度
品切れを起こさない確率=0.99
0.0045
0.004
需要がこの線より左側になる
確率(=面積)が0.99にする!
0.0035
0.003
0.0025
0.002
0.0015
0.001
0.0005
0
0
100
200
333
300
400
500
600
700
19
需要量
553
530
507
484
461
438
415
392
369
346
323
300
277
254
231
208
185
162
139
116
93
70
47
24
20
622
599
576
0.99
1
分布関数の逆関数
Excel の関数 NORMINV(0.99,100,100) を用いる.
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
333
0
サービスレベルと安全在庫係数
安全在庫係数
2.5
NORMINV(サービスレベル,0,1)
2
1.5
1
0.5
0
60
65
70
75
80
85
90
95
100
21
サービスレベル
基在庫レベル
基在庫レベル:在庫ポジションがこれを切ったら
発注する.
在庫ポジション  手持ち在庫  輸送中在庫 バックオーダー
輸送中在庫:発注してまだ到着していない在庫
バックオーダー:お客に待ってもらっている量
基在庫レベル  需要の平均リード時間 
安全在
庫係数 標準偏差 リード時間
333=100×1+2.33×100×SQRT(1)
22
新聞売り子モデル(導出)
在庫費用
品切れ費用
需要量(確率変数)
需要の分布関数
密度関数
23
総費用の期待値
発注量が s のときの総費用の期待値:
24
最適解
1次導関数:
2次導関数:
は凸関数
臨界率
25
経済発注量モデルの例
研究室のビール在庫
某研究室ではビールを冷蔵庫で適切に管
理することが義務づけられている.ビールは
新鮮さが第一だの先生のモットーにより,1
日あたりのビールの劣化は,1本あたり 10
円で,発注は近所のコンビニに出前を頼む
ので1回あたり300円かかる.また,研究室
には大酒のみが多いため1日に10本のペー
スで消費されるものとする.最適な(研究室
費を無駄にしない)発注方策を考えよ.
26
経済発注量モデル
発注量
需要
在庫
サイクル時間
時間
27
最適経済発注量の公式
発注固定費用=300円/回
需要の平均=10本/日
在庫費用=10円/本・日
2 固定費用 需要量
最適発注量
在庫費用
2  30010
最適発注量 
 24.5
10
28
最適経済発注量公式の導出
d : 1日あたりの需要量
Q : 発注量(変数)
K : 発注固定費用
h : 在庫費用
目的:
無限期間における最適な(発注費用+在庫保管費用を
最小にする)発注方策(いつ,どれだけ発注するのか)を
決める.
条件:
品切れは許さない.
注文した品目はすぐに(リード時間0で)到着する. 初期在庫は 0
とする.
在庫レベル
d
Q
サイクル時間(T 日)
T 日間の総費用 =
f(T)= 1日あたりの費用 =
時間
最適発注量の導出
f(T)を最小化する!
正
f(T) は凸関数 f’=0 を解くことによって:
経済発注量(Harris’) 公式
感度分析
(「サプライ・チェインの設計と解析」p.52 表3-1)
最適な発注量が整数でないかもしれない.
最適からずれたら,どれくらい費用が増え
るのだろう?->感度分析
ビールの在庫の例
はずれ率
Q
T
発注費用
在庫保管費用
費用
費用の増加
0.5
0.8
0.9
12.25
19.6
22.05
1.225
1.96
2.205
244.898 153.0612 136.0544
61.25
98
110.25
306.148 251.0612 246.3044
1.249844 1.024953 1.005534
1
1.1
1.2
1.5
2
24.5
26.95
29.4
36.75
49
2.45
2.695
2.94
3.675
4.9
122.449 111.3173 102.0408 81.63265 61.22449
122.5
134.75
147
183.75
245
244.949 246.0673 249.0408 265.3827 306.2245
1 1.004565 1.016705 1.08342 1.250156
32
感度分析の図
費用の増加
350
300
1.4
250
1.2
200
発注費用
1
在庫保管費用 0.8
費用
0.6
150
100
0.4
50
0.2
0
0
10
20
30
40
50
60
0
0
0.5
1
1.5
2
2.5
最適値の20%増しのの発注量でも,費用は(たった)1.6% しか増えない!
-> 経済発注量モデルの解は頑強(robust)である!
33
2のべき乗方策(Power-of-two Policy)
サイクル時間が1.732日や1.4142日は実用的
か?
たとえば,タバコの配送では,配送周期を1週間,
2週間,1ヶ月(4週間)に一度に限定している.
2のべき乗方策
基準となる時間間隔 B (Basicの頭文字)を与え,
kを整数(・・・-2,-1,0,1,2,・・・)としたとき,サイク
ル時間をB 2k に限定して発注を行う.
34
2のべき乗方策(定式化)
発注固定費用K,在庫保管費用h,需要量d
g=h d/2 を導入(記号の簡略化のため)
(発注量Qでなく)サイクル時間 Tを変数とする!
2のべき乗方策
最小化 f(T)= K/T + g T
条件
T = B 2k
kは・・・-2,-1,0,1,2,・・・
T≧0
35
2のべき乗方策の最悪の場合の保証(悪くても6%以下)
(式変形については,「ロジスティクス工学」pp.34-35参照)
2のべき乗であることを外した(緩和した)問題の
最適サイクル時間と最適値;EOQ公式より
K
T 
f (T * )  2 Kg
g
2のべき乗に限定したときのサイクル時間
*
f ( B2k 1 )  f ( B2k )  f ( B2k 1 )
を満たす Tˆ  2 B k
式変形すると: f (Tˆ )
1 1
 (
 2 )  1.06
*
f (T ) 2 2
36
バックオーダーを考慮した場合
上で説明した研究室のビール在庫の問
題と同じ場面を考えよう.ただし今回は,
ビールが切れたときには隣の研究室から
1本あたり 40円の借り賃を支払い借りてく
ることができるものとする.なお,借りてき
たビールは後日同じものを買ってきて返却
するものとする.このとき,最適な発注量
は何本になるだろうか?
37
バックオーダーを考慮
臨界率 
品切れ費用
40

 0.8
品切れ費用 在庫費用 40  10
在庫
1-臨界率=0.2
臨界率=0.8
時間
バックオーダー
38
バックオーダーを考慮した場合
の最適発注量
発注固定費用=300円/回
需要の平均=10本/日
在庫費用=10円/本・日
品切れ費用= 40円/本・日
臨界率=0.8
練習問題(難)
この公式を導け.
2 固定費用 需要量
最適発注量
在庫費用 臨界率
2  30010
最適発注量 
 27
10 0.8
39
発注方策の分類
連続補充方策
常に在庫ポジションをモニタリングする方法



基在庫方策
(Q,R)方策
(s,S)方策
定期発注方策
在庫ポジションを定期的に調べる方法
40
基在庫方策
基在庫レベル=在庫ポジションの目標値
在庫ポジション
=実在庫量+輸送中在庫量-バックオーダー量
基在庫方策:在庫ポジションをモニタリングして,
基在庫レベルを切ったら,基在庫レベルになるよ
うに発注(もしくは生産)を行う方法
41
基在庫方策
基在庫レベル
=在庫ポジション
リード時間
時間
42
(Q,R)方策,(s,S)方策
発注(生産)固定費用を考慮した方策
(Q,R)方策:在庫ポジションをモニタリングして,
発注点 R になったら一定量(最適発注量) Q だ
け発注
(s,S)方策:在庫ポジションをモニタリングして,s
になったら在庫ポジションが S になるように発注
->一度に大量の需要が発生する場合に有利
->sを発注点 R に,SをR+Qに設定
43
(Q,R)方策と(s,S)方策
R+Q
(s,S)
(Q,R)
在庫ポジション
実在庫
R
リード時間
時間
44
定期発注方策
在庫ポジションを定期的にチェックし,在庫
ポジションが基在庫レベルを切っていたら,
基在庫レベルになるように発注(生産)
発注
月
火
水
木
需要発生
月曜に発注した量が到着(リード時間=1日)
45
多段階モデル
情報分散型管理
各在庫地点ごとに独自に在庫方策を適用
情報中央集権管理
サプライ・チェイン全体で在庫最適化
->エシェロン在庫
調達
46
エシェロン在庫の概念
エシェロン(梯形)在庫:自分の在庫ポジションの
他に,自分より下流(顧客需要側)のすべての在
庫地点の在庫ポジションを加えたもの
47
エシェロン在庫費用
エシェロン在庫費用=
自分の在庫費用-上流の地点の在庫費用
エシェロン在庫
実在庫
48
需要のばらつきがない場合
部品工場->工場->卸->小売店
需要:平均100
品切れ費用1000
小売店
卸
工場
部品工場
リード時間
在庫保管費
用
エシェロン在庫
保管費用
基在庫
レベル
エシェロン基在庫
レベル
1日
40
10
100
100
1日
30
10
100
200
2日
20
10
200
400
3日
10
10
300
700
49
基在庫方策
基在庫レベル
(1箱=100)
リード時間
(1矢印=1日)
輸送中在庫
(1箱=100)
部品
実在庫
10円×200
エシェロン在庫 10円×400
工場
卸
20円×100
小売
30円×100 40円×0
10円×200 10円×100 10円×0
合計=7000円の在庫費用
50
定期発注方策
基在庫レベル
(1箱=100)
輸送中在庫
(1箱=100)
部品
リード時間
(1矢印=1日)
10円×300
工場
卸
小売
20円×200 30円×200 40円×100
合計=17000円の在庫費用
51
多段階の基在庫方策
n 段階の直列在庫システム
需要地点は 1
第 n+1 段階は十分な在庫があると仮定
52
実在庫モデル 記号 (1)
連続時間
第 i 段階の実在庫量
第 i 段階のバックオーダー量
第 i 段階の正味在庫 (net inventory)
[x]+ = max{x,0}
[x]- = max{-x,0}
53
記号 (2)
注文中在庫量 (inventory on order)
輸送中在庫 (transit inventory)
54
記号 (3)
在庫発注ポジション(inventory ordering position)
在庫輸送ポジション(inventory transit position)
55
記号 (4)
: リード時間
: (s,t ] 間の需要量
: 基在庫レベル
: (単位バックオーダーあたりの)
品切れ費用
: 在庫保管費用
56
在庫のフロー保存式
ITP’i(t)
=>ランダムな需要
L’i
IN’i(t+L’i)
基在庫レベル s’i
より以下を得る:
57
再帰方程式
:定常な需要のリード時間内の均衡値
の関係を用いると:
i+1
i
B’
B’
B ’ を n+1 から 1 の順で計算可能
=>最適基在庫レベルは計算不能!
58
エシェロン在庫モデル: 記号 (1)
:第
i 段階におけるエシェロン在庫量
59
記号 (2)
:バックオーダー
: 正味エシェロン在庫量
60
記号 (3)
:エシェロン在庫発注ポジション
:エシェロン在庫輸送ポジション
:第
i 段階におけるエシェロン基在庫レベル
エシェロン基在庫方策:
エシェロン在庫発注ポジションが常にエシェロン基
在庫レベルになるように発注
61
エシェロン在庫のフロー保存則
y=ITPi
=>ランダムな需要量 Di
L’i
IN
62
2段階間の関係式
= Si
63
再帰方程式
:定常な需要のリード時間内の均衡値
=正味在庫量を n から 1 へと計算可能
64
目的関数
実在庫モデル
エシェロン在庫モデル
初期条件
:第 i 段階におけるエシェロン在庫費用
65
最適解の導出 (1)
: INi+1 が x のときの
第 i 段階まで最小費用
: INiが x のときの
第 i 段階まで最小費用
:ITPi が y のときの
第 i 段階まで最小費用
=>凸関数
66
最適解の導出(2)
第 i 段階の正味在庫量がxのときの
第 i 段階までの最小費用
第 i -1 段階までの最小費用
(第 i 段階の正味在庫量が x )
i
i-1
・・・
=>線形関数+凸関数=線形関数
1
67
最適解の導出(3)
第 i 段階のエシェロン在庫輸送ポジション
ITPi が y のときの第 i 段階までの最小費用
y=ITPi
第 i 段階までの最小費用
(第 i 段階の正味エシェ
ロン在庫量が y- Di )
=>ランダムな需要量 Di
L’i
IN
=>凸関数の期待値は凸関数
68
最適解の導出(4)
エシェロン基在庫レベル:
C は凸だから
エシェロン基在庫レベルが非減少だから:
実在庫に対する最適な基在庫レベル:
ただし
is
69
最適解の導出(5)
INi+1 が x のときの第 i 段階まで最小費用
i+1
正味エシェロン在庫量
x =INi+1
i
=y のときの最小費用
70
サプライ・チェインの基本公式
は凸
71
定期発注方策
定期的に在庫ポジションを調べ,基在庫レ
ベルより小さい場合には,基在庫レベルに
なるように発注する.
発注
事象のタイミング
月
火
L=1
水
木
需要発生
月曜に注文した量が到着(リード時間 L=1日)
72
定期発注方策
1段階モデル –記号 (1)
•
Dt : 期 t (t=1,…,tmax) の需要量
• L : リード時間
• s : 基在庫レベル
• c : 生産容量(容量ありでも解ける!)
• h : 在庫保管費用
• b : 品切れ(バックオーダー)費用
73
記号 (2)
• qt : 期
t における発注量
• It : 期 t における正味在庫量(在庫量-バックオー
ダー)
• Tt : 期 t における輸送中在庫量
74
期待費用
期待費用 :
目的関数は tmax 期の間の期待費用:
目的関数の変数 s に対する微分値を求める!
75
関係式の微分 (1)
76
関係式の微分 (2)
初期在庫量(基在庫レベルにする): I0=s
初期在庫の微分値: I’0=1
他の変数の微分値の初期値: T’0=0,
q’0=0
77
費用の微分値
Iversonの記号
Ct の微分値の期待値は以下の値に収束
with probability 1
費用を最小にする非線形関数の最適化を行う!
78
定期発注方策 多段階モデル
エシェロン基在庫方策:期末のエシェロン在庫ポジション
を基在庫レベル
si
にするように発注する.
発注量:
79
多段階モデル 関係式
初期在庫量:
他の変数はすべて 0 とする.
80
多段階モデル 期待費用
期 t の費用:
期待費用:
81
多段階モデル 関係式の微分
82
多段階モデル 費用の微分
期待値:
費用を最小にする非線形関数の最適化を行う!
シミュレーション1回ですべての変数に対する微分値を得る! 83
まとめ
在庫管理の古典理論


新聞売り子モデル
経済的発注量モデル
基在庫方策
常に在庫をモニタリングして,基在庫レベルを
切ったら発注
固定費用を考慮
(Q,R)方策,(s,S)方策
定期発注方策
決まった時刻に在庫をチェックして,基在庫レベ
ルになるように発注
84
1段階モデル(需要が非定常)
モダンな安全在庫決定のための方式の導出!
各期 t=1,2… において
発注量 q[t]
小売店
顧客
在庫量 I[t]
需要量 D[t]
85
タイミング(離散時間モデル)
リード時間 L
t期の期末に発注された商品は t+L+1期の期首に到着
(いつでも発注できる(s,S)方策のときの連続時間モデル
とは,定義が異なることに注意!)
2)
需要D[t]
発生
t期
t+1期
t+2期
1)t-L-1期に 3)需要予測 F[t+1]
発注した
4)発注 q[t]
商品到着
t+3期
t+4期
t+L+1期(L=3)に
商品到着
86
需要の確率過程
平均 d
需要過程の不安定性を表すパラメータ a
(0<a<1)
t期における誤差 e[t], t=1,2,…
D[1]= d+e[1]
D[t]= D[t-1] -(1-a) e[t-1] +e[t], t=2,3,…
87
発注量 q[t]
需要予測 (指数平滑法)
F[1]=d
F[t]=a D[t-1] + (1-a) F[t-1], t=2,3,…
t期の期末に,t期の需要量 D[t]と次期との予測
値の差 F[t+1]-F[t]をリードタイム(L)+1倍した
もの和を発注
q[t]=D[t]+(L+1) (F[t+1]-F[t]) ,t=1,2,…
ただし q[t]=d, t<=0を仮定
88
予測量と発注量の図
a=0.5
1080
1060
1040
1020
1000
需要量 D[t]=D[t-1]-(1-a)e[t-1]+e[t]
980
F[t]
960
q[t]
101
97
93
89
85
81
77
73
69
65
61
57
53
49
45
41
37
33
29
25
21
17
13
9
5
1
940
89
期末在庫量 I[t]
在庫量の保存式
期末在庫量=
前期の期末在庫量-需要量+到着した商品の量
I[0]=安全在庫量
I[t] =I[t-1] –D[t] +q[t-L-1],t=1,2,…
90
需要量と予測値の関係
D[1]  F[1]  e[1]
F[t ]  D[t ]  e[t ]  (1  a)(F[t  1]  D[t  1]  e[t  1])
D[t ]  F[t ]  e[t ], t  1,2,3,...
91
展開式
t 1
D[t ]  d  a e[k ]  e[t ]
k 1
D[t ]  F[t ]  e[t ]
F [t  1]  aD[t ]  (1  a ) F [t ]

F [t ]  ae[t ]

t
d  a  e[k ]
k 1
92
在庫量の展開式
I [t ] 

I [t  1]  D[t ]  q[t  L  1]
t
t  L 1
k 1
k  L
I [0]   D[k ] 
 q[k ]
 I [0]  ( D[t ]    D[t  L])  ( L  1) F [t  L]

I [0]  ( D[t ]  F [t  L])    ( D[t  L]  F [t  L])

I [0]  (e[t ]  ae[t  1]    ae[t  L])
 (e[t  1]  ae[t  2]    ae[t  L])    (e[t  L])
L
I [t ]  I [0]   e[t  k ](1  ka)
k 0
93
在庫量の理論式
e[t]:平均0,標準偏差σの正規分布
期待値
E ( I [t ])  I [0]
標準偏差
STD( I [t ])  
L
 (1  ka)
2
k 0
a L(2 L  1)
  L  1 1  aL 
6
2
94
安全在庫量
z:安全在庫のためのパラメータ
a 2 L(2 L  1)
I [0]  z L  1 1  aL 
6
a=0のとき(定常分布)
I [0]  z L  1
a=1のとき(ランダムウォーク:酔歩)
( L  1)(L  2)(2L  3)
I [0]  z
6
95
多段階モデル(需要が非定常)
各期 t=1,2… において
リード時間L2
リード時間L1
メーカー
発注量 q2[t]
小売店
顧客
在庫量 I2[t]
在庫量 I1[t]
需要量 D1[t]
第2段階の需要量 D2[t]
=発注量 q1[t]
= 需要量+リード時間×(予測の差)
= D1[t]+(L1+1) (F1[t+1]-F1[t])
96
第2段階の需要量の展開式(1)
D2[t]=D1[t]+(L1+1) (F1[t+1]-F1[t])
t 1
D1[t ]  d  a1 e1[k ]  e1[t ]
k 1
t
F1[t  1]  d  a1 e1[k ]
k 1
t 1
D2[t ]  d  a1 e1[k ]  (1  L1a1)e1[t ]
k 1
97
第2段階の需要量の展開式(2)
t 1
D2[t ]  d  a1 e1[k ]  (1  L1a1)e1[t ]
k 1
a1
a2 
1  L1a1
t 1
e2[t ]  (1  L1a1)e1[t ]
D2[t ]  d  a 2 e2[k ]  e2[t ]
k 1
第1段階と
同じ形!
98
第2段階の在庫量
L2
I 2[t ]  I 2[0]   e2[t  k ](1  ka2)
k 0
L2
a1
 I 2[0]   (1  L1a1)e1[t  k ](1  k
)
1  L1a1
k 0
L2
 I 2[0]   e1[t  k ](1  ( L1  k )a1)
k 0
E( I 2[t ])  I 2[0]
STD( I 2[t ])  
L2
 (1  ( L1  k )a1)
k 0
99
2
情報分散型の場合の在庫量
STD( I1[t ])  
L1
 (1  ka1)
2
k 0
STD( I 2[t ])  
L2
 (1  ( L1  k )a1)
2
k 0
の和に比例した(zに依存)在庫量
100
情報中央集権型の場合の在庫量
第1段階の在庫+第2段階の在庫の和(エシェ
ロン在庫) EI[t] をメーカーがコントロール
L1+L2(=EL)のリード時間(エシェロンリード時
間)
STD( EI[t ])  
EL
 (1  ka1)
2
k 0
メーカー
小売店
顧客
リードタイムL1+L2
101
鞭効果,牛追い鞭効果
(whiplash effect, bullwhip effect)
サプライ・チェイン・マネジメントを理解するため
の鍵となる概念
使い捨てオムツの代表的メーカーとして知られる
P & G 社は, 顧客需要のばらつきだけでは説明
しきれないほど小売店からの注文がばらついて
いることに気づいていた.
Hewlett--Packard 社では,顧客需要のばらつき
を大きく上回る注文のばらつきを経験していた.
さらに,その部品の注文のばらつきは,コン
ピュータ本体の注文のばらつきを大きく上回って
いた
102
なぜ鞭効果が起きるのか?
1.需要予測
ある小売店で,たまたまその日(期)の売り上げ
(需要)が多かった.
小売店の店主は,将来需要が今日と同じように
売れると予測して,前日までの在庫レベルを少し
引き上げるように調整する.
卸売り業者からみた需要の見かけ上の増大につ
ながる.
同じようなことが卸売り業者の予測のために,
メーカーに対しても起こる.
103
なぜ鞭効果が起きるのか?
2.リード時間
品切れは,発注をしてから商品が到着するまで
の時間(リード時間)が長いほど発生しやすい.
目標とする在庫レベルはリード時間に応じて大き
めに設定される.
在庫量が大きいときには発注量も大きくなる.
リード時間が長いほど鞭効果が増大される.
104
なぜ鞭効果が起きるのか?
3.バッチ発注
ある程度の量をまとめて(バッチ処理で)発
注(数量割引のため)
大きな発注の後に,発注がまったくない期
が続く,きわめてばらつきの大きい発注に
なる.
鞭効果が増大.
105
なぜ鞭効果が起きるのか?
4.価格の変動
値引きをする.
商品の売れ行きも良い.
その分大量の発注する.
しかし,値引きセールが終わって,通常の
価格に戻す.
商品の売れ行きは通常の場合以下に落ち
込む鞭効果が増大.
106
なぜ鞭効果が起きるのか?
5.供給不足と供給配分
ある商品の売れ行きが大変良くて,将来の
品切れが予測される.
(必要以上に)大量の発注を出して,在庫
を増やす.
メーカーは品薄な商品を卸すときには,発
注量に基づいて配分を行う(供給配分).
より大量の発注をする.
鞭効果増大.
107
1段階モデル
各期 t=1,2… において
発注量 q[t]
小売店
顧客
在庫量 I[t]
需要量 D[t]
108
タイミング
リード時間 L
t期の期末に発注された商品は t+L+1期の期首に到着
2)
需要D[t]
発生
t期
t+1期
t+2期
1)t-L-1期に 3)需要予測 F[t+1]
発注した
4)発注 q[t]
商品到着
t+3期
t+4期
T+L+1期(L=3)に
商品到着
109
需要の確率過程
(前期と相関 ρ をもつ)
定数項 d
前期との相関を表すパラメータ  (1    1)
t期における誤差を表すパラメータ
(t  1,2,)
平均 0, 標準偏差σの独立な分布  t Dt  d  Dt 1   t
t期の需要量
t-1期の需要量
110
需要過程
d=80,ρ=0.5,ε[t]=[-10,10] 一様分布
=80+0.5*B2+(RAND()*(-20)+10)
200
150
100
50
111
41
39
37
35
33
31
29
27
25
23
21
19
17
15
13
11
9
7
5
0
3
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
250
1
期 t
需要量 D(t)=d+
ρ*D(t-1)+ε
80
146.4349107
166.2490253
181.946823
200.6561255
210.0359644
202.0940006
200.3971697
193.985555
194.6002961
発注量 q[t]
p
需要予測 (移動平均法)
dˆt 
D
j 1
t j
p
以下ではdˆtを F[t ], Dtを D[t ]と表記
t期の期末に,t期の需要量 D[t]と次期との予測
値の差 F[t+1]-F[t]をリード時間(L)倍したもの
和を発注
q[t]=D[t]+L (F[t+1]-F[t]) ,t=1,2,…
112
期末在庫量 I[t]
在庫量の保存式
期末在庫量=
前期の期末在庫量-需要量+到着した商品の量
I[0]=安全在庫量
I[t] =I[t-1] –D[t] +q[t-L-1],t=1,2,…
113
需要量の(漸近的な)
期待値(Expectation)と分散(Variance)
と共分散(Covariance)
d
E[D]=d+ρE[D]を解く!
E ( D[t ]) 
1 
2

2 Var[D]+σ2を解く!
Var[D]=ρ
Var( D[t ]) 
2
1 
p 2
 
Cov( D[t ], D[t  p]) 
2
1 
114
発注量の展開式
q[t ] 
D[t ]  LF [t  1]  LF [t ]
p

D[t ] 
L D[t  1  j ]
j 1
p
L
L
 (1  ) D[t ]  D[t  p ]
p
p
p

L D[t  j ]
j 1
p
115
発注量の分散
L 2
L 2
Var( q[t ])  (1  ) Var( D[t ])  ( ) Var( D[t  p ])
p
p
L L
 2(1  )( )Cov( D[t ], D[t  p ])
p p
  2 L 2 L2 

2

 2 (1   ) Var( D[t ])
1  
p 
  p

 2 L 2 L2 
Var( q[t ])
2


 1 
 2 (1   )
Var( D[t ])
p 
 p
116
式から得られる観察
 2L 2L
Var (q[t ])
 1  
 2
Var ( D[t ])
p
 p
2

2
(1   )

• 移動平均のパラメータpを増やすと鞭効果は減少
• リード時間 Lを増やすと鞭効果は増大
• 相関 ρ が正のときには鞭効果は減少
117
対処策と処方箋
1.需要の不確実性
期ごとに予測値が大きく変動しないような予測
(移動平均のpを大きく,指数平滑のaを小さく)
サプライ・チェインの上流(メーカー側)に下流(顧
客側)の情報を直接伝える.
POS(Point-Of-Sales)
連続補充(continuous replenishment);詳細に
ついては,「サプライ・チェインの設計と解析」
pp.154-164,6.4節小売り・納入提携を参照
ベンダー管理在庫(Vender Managed
Inventory: VMI)方式
118
対処策と処方箋
2.リード時間
リード時間短縮
EDI(Electric Data Interchange)やCAO
(Computer Assisted Ordering)を用いた
発注業務の簡略化が有効である.
リード時間短縮の実践例としては,アパレ
ル業界におけるQR(Quick Response)
119
対処策と処方箋
3.バッチ発注
発注固定費の削減->発注作業の簡略化
EDI(Electric Data Interchange)やCAO
(Computer Assisted Ordering)
3PL(Third Party Logistics)業者による混
載輸送;3PLについては,「サプライ・チェイ
ンの設計と解析」pp.147-154,6.3節 3PL
を参照
120
対処策と処方箋
4.価格の変動
毎日低価格(EDLP: Every Day Low
Price)戦略(P&G)
一部の小売り業者から反発
日本では失敗(ダイエー)
121
対処策と処方箋
5.供給不足と供給配分
近々の発注量ではなく,過去の販売実績
(マーケットシェア)に応じて,供給配分
(General Motors社,Saturn 社やHewlettPackard 社)
供給不足に対する懸念->メーカー側の生
産および在庫の情報を下流(小売店)に伝
える(Hewlett-Packard 社や Motorola社)
122
まとめ
在庫最適化の事例
新聞売り子モデル
経済発注量モデル
基在庫方策,(Q,R)方策,(s,S)方策
多段階モデル
(基在庫方策,定期発注方策)
非定常需要モデル
鞭効果の原因とその対策法
123
安全在庫配置最適化
東京海洋大学
久保 幹雄
124
意思決定レベルによる分類
原材料
長
期
調達物流
ストラテジック
生産
工場内物流 輸送
配送拠点 配送
需要
地点
ロジスティクス・ネットワーク最適化
資源配分最適化
中
期
短
期
タクティカル
オペレーショナル
安全在庫配置
在庫方策最適化
生産計画最適化
ロットサイズ最適化
スケジューリング最適化
配送計画最適化
配送計画
125
在庫の分類と安全在庫配置
輸送中在庫(ストラテジック)
作り置き在庫(タクティカル)
サイクル在庫,ロットサイズ在庫(タクティカル)
安全在庫

安全在庫配置(タクティカル)

在庫方策 (オペレーショナル)
126
在庫配置の基本原理
安全在庫量はまとめて配置するほど少なく
なる(統計的規模の経済の原則)
品目の価値はサプライ・チェインの下流
(顧客側)に近づくほど高くなる(在庫保管
費用の単価が上昇する.)
127
リード時間と最大在庫量
需要の平均μ=100,標準偏差σ=100の正
規分布(正確には負の部分を切り取った分
布:切断正規分布)
サービスレベル(品切れを起こさない確率)
95%->安全在庫係数 1.65
リード時間 (発注から品目の到着までの時
間) L
最大在庫量=  L+安全在庫係数  L
128
リード時間と平均,安全,最大在庫
量の関係
3000
2500
2000
平均需要
最大需要
安全在庫
1500
1000
500
0
0
5
10
リード時間
15
20
リード時間を変数とすることによる安全在庫量の削減129
在庫費用の計算
前回の公式
在庫費用=在庫保管費用×在庫量
今回の公式
在庫費用=
在庫保管比率×品目の価値×在庫量
調達
付加価値
10円
10円
10円
10円
品目の価値
10円
20円
30円
40円130
安全在庫配置モデルの目的
在庫はなるべくまとめて置きたい.(どこ
に?どれだけ?)
->リスク共同管理
在庫はなるべく上流に置きたい.でも,顧
客へのサービス条件を満たさなければい
けない?
->押し出し・引っ張りの境界
これらを同時に最適化!
131
生産時間と保証リード時間
保証リード時間:発注後,この時間内には
商品を届けることを保証している.
(アスクルなら1日,デルなら1週間)
安全在庫量
=2日分
2日
下流の地点への保証リード時間
=2日
2日
上流の地点の
1日 生産時間=3日
保証リード時間
在庫(生産)地点
=1日=入庫リード時間
132
入庫リード時間
入庫リード時間:
品目発注後に生産を開始できるまでの日数
3日
保証リード時間
入庫リード時間=max{3,10}=10日
10日
10日
133
補充リード時間
補充リード時間:品目発注後に生産が完了
するまでの日数
3日
保証リード時間
10日
入庫リード時間=max{3,10}=10日
10日
1日
生産時間=1日
補充リード時間=10+1=11日
134
正味補充時間と安全在庫1
正味補充時間=補充リード時間ー保証リード時間
=11ー0=11日
安全在庫 = 11日間の最大需要ー11日間の平均需要
3日
保証リード時間=0日
安全在庫=11日分
保証リード時間
10日
1日
10日
補充リード時間=10+1=11日
135
正味補充時間と安全在庫2
正味補充時間=補充リード時間ー保証リード時間
=11ー5=6日
安全在庫 = 6日間の最大需要ー6日間の平均需要
3日
保証リード時間=5日
6日
保証リード時間
10日
5日
1日
10日
136
保証リード時間を増やすと...
(保証リード時間が)11日までは在庫が減少!
安全在庫も11日までは減少!
安全在庫量
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
0
11
保証リード時間
137
直列多段階モデルの例
(保証リード時間がすべて0のケース)
平均需要量=100個/日
標準偏差=100 の正規分布
安全在庫係数=1
保証リード時間
=0
保証リード時間
=0
外部
供給
生産時間
3日
2日
1日
1日
商品1個あたりの在庫費用(商品の価値×在庫保管比率)
10円
20円
30円
40円
安全在庫費用
1732円
2828円
3000円
4000円 合計 11560円
138
Excelによるシミュレーション
139
最適解
保証リード時間=3
入庫リード時間=2
安全在庫量=2+1-3=0日分
生産時間
3日
保証リード時間
0日
安全在庫費用
1732円
2日
1日
1日
2日
3日
0日
0円
0円
8000円 合計 9732円
140
(16%減)
押し出し型と引っ張り型
押し出し型システム:需要予測に基づき,
見込みで生産する.
引っ張り型システム:実際の注文に基づき,
確定された需要を満たすために生産する.
->押し出しと引っ張りの境界(デカップリング
地点)
141
押し出し・引っ張りの境界
4日間の最大需要量
3日間の最大需要量
保証リード時間
=0日
保証リード時間 0 0 2 3 0
需要
部品工場
生産時間
工場
卸売業者
小売店
3 2 1 1 引っ張り
押し出し
在庫保管比率×価値 10 20 30 40
142
押し出し・引っ張りの境界の移動(1)
3
3
保証リード時間=1日
保証リード時間
0 0 2 0 1
需要
押し出し
6928
引っ張り
安全在庫費用 9732円 -> 6928円 に削減
143
押し出し・引っ張りの境界の移動(2)
5
保証リード時間
保証リード時間=2日
0 3 0 1 2
需要
押し出し
引っ張り
安全在庫費用 6928円->4472円 に削減
144
4472
押し出し・引っ張りの境界の移動(3)
3
保証リード時間
保証リード時間=4日
0 0 2 3 4
需要
押し出し
引っ張り
安全在庫費用 4472円->1732円 に削減
145
1732
顧客サービスと在庫費用のトレードオフ
総安全在庫費用
12000
10000
8000
6000
4000
2000
0
0
1
2
3
4
顧客の保証リード時間
146
リスク共同管理
小売店の在庫の合計
1.65×100×4=660
サービスレベル=95%
標準偏差=100の同じ需要分布
需要分布
需要分布
倉庫の在庫:1.65×200×1=330
4つの小売店の在庫
をまとめると,在庫は1/2になる!
需要分布
需要分布
147
リスク共同管理
一般にN個の小売店の在庫をまとめて管理すると...
安全在庫量の合計は
1
N
この効果をリスク共同管理とよぶ.
在庫管理の基本法則
在庫は集約するほど(1ヶ所で管理するほど)少なくなる!
148
ネットワーク型モデル
共同管理係数α
倉庫
需要地点1 N(100,100)
平均100
標準偏差100
正規分布
需要地点2
N(100,100)
最大需要量  平均需要量 


(最大需要量1  平均需要量1 )  (最大需要量2  平均需要量2 )
α=2 独立分布, α=1 完全相関, α=3 負相関
149

 1/ 
1つの需要地点における安全在庫量と倉庫におけ
る共同管理した場合の安全在庫量
(共同管理係数α=1,2,3)
1600
安全在庫
共同管理係数=1
共同管理係数=2
共同管理係数=3
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
0
5
10
15
20
日
150
ネットワーク型モデルの例
6万円 ≦ 4日
≧ 0日
≧ 0日
6
1万円
3
1万円 ?日
?日
3
?日 3万円
≧ 0日
2
1万円
4
3
?日
5万円
付加価値=1万円
3
平均=100
標準偏差=10
?日
6万円 ≦ 1日
1
3
平均=100
標準偏差=10
151
ネットワーク型モデルの例
(保証リード時間=0;593万円)
0日
0日
6
6
3
3
3
0日
0日
3
3
0日
2
2
3日
3
3
0日
3
0日
0日
1 1日
2
3
152
ネットワーク型モデルの
Excelによるシミュレーション
153
ネットワーク型モデル(近似解;558万
円)
0日
6日
6
6
6
4日
4
3
3
1
9日
6日
9
6
4日
9
9日
3
11
9
1
1日
3
6日
6
4 2
3
1
1 1日
3
154
ネットワーク型モデル(最適解;515万
円)
0日
0日
6
6
3
2
2
3
3
3
3日
0日
3
0日
3日
3
6
3日
3
3
0日
0日
1 1日
2
3
155
安全在庫最適配置の例
安全在庫
スキャナ
安全在庫
モニタ
顧客
プリンタ
梱包
コンピュータ
完成キット
顧客
キーボード
組立
半製品
メモリ
顧客
配線
本体
包装
輸送
ケーブル
ソフトウェア
押し出し・引っ張りの境界
顧客
保証リード時間
(サービスレベル)
156
適用事例
15 x2
37
5
28
Part 4
Malaysia ($180)
37
3
Part 5
Charleston ($12)
58
4
Part7
Denver ($2.5)
29
58
37
8
Part 6
Raleigh ($3)
Part 2
Dallas ($0.5)
39
37
15
17
Part 3
Montgomery ($220)
Part 1
Dallas ($260)
30
15 15
30
最終需要
N(100,10)
保証リード時間
=30 days
43,508$ (40%Down)
「もしこうなったら分析」:
157
保証リード時間=15 days ->51,136$
遅延差別化
(トレーナーのサプライ・チェインの改
善)
調達->布染工程->トレーナー製造工程
各工程の作業時間は1日,付加価値1000円
在庫費用は価値の10%,サービスレベルは95%
完成した4種類のトレーナーの需要は,平均 100,
標準偏差 100 の独立な正規分布
調達リード時間は 0日,顧客には注文後 1日以
内に商品を届ける
158
トレーナーのサプライ・チェイン(現状)
2
6
3
7
4
8
5
9
1
在庫量=330
在庫費用=3.3万円
165×4
3.3万円×4
0
合計=16.5万円
159
トレーナーのサプライ・チェイン(改善
後)
3
工程の順序を入れ替えることに
よって異なる品目になる地点
を下流に移動!
1
4
2
5
6
在庫量=0
在庫費用=0
466
9.332万円
0
合計=9.332万円
160
遅延差別化のための他の方法
部品の共通化による方法

白黒とカラーによって異なる部品を用いていたものを
共通なものに置き換えるようにリエンジニアリング
モジュール化による方法

白黒印刷機能を備えたプリンタ本体とカラー印刷用の
オプションキットのモジュールを製造
標準化による方法

国ごとに異なる電圧の仕様をもつ電源をどんな電圧
にも変更可能な万能型の電源に変更
作業工程を後ろにずらすことによる方法
161
まとめ
安全在庫の配置モデル
押し出し・引っ張りの境界
リスク共同管理
複数拠点の在庫を1ヶ所に集約する.
遅延差別化
製品のバリエーションを増やすのを,なるべくサ
プライ・チェインの下流(需要側)でやる.
162
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