風力発電開発におけるHEPを用いた環境影響最少化案の検討
北海道大学環境科学院環境起学専攻 国際環境保全セミナー
修士2年 篠原 徹
はじめに
HEP(野生生物生息地評価手続き)
低炭素社会の構築や化石燃料の枯渇、原子力発電
からの脱却などの理由から、再生可能エネルギーの導
入が促進されている。再生可能エネルギーは、火力や
水力、原子力と比べ発電量が劣るが、温室効果ガスを
排出しない、エネルギー源が再生可能であるというメ
リットから持続可能な社会を構築するには重要な発電
方法である。普及政策として、平成24年7月から固定買
取価格買い取り制度が始まり、太陽光・中小水力風力・
バイオマス・地熱発電が対象とされた。
しかし、再生可能エネルギーにもデメリットがあり、中
でも風力発電は、低周波・騒音・生態系などの問題があ
り地域住民などから反対を受けており建設計画時に反
対運動などが繰り広げられることがある。
1970年にアメリカで環境アセスメントの評価手法として開発された。 生態系を数種類
の生息域としての適性度合いに置き換え、人為影響(建設計画など)を定量的に評価す
る手法である。評価は大きく分け質・空間・時間の三本柱からなる。
<生存必須条件>
適正度
HSI
THU
適正度
CHU
面積
時間
適正度
【SI例】
【HSI例】
目的
方法
○国内初の風力発電事業にHEPを導入
○HEPを用いて生態系に影響の少ない建設シナリオを提示
○企業と市民の合意形成のために定量的な資料の提供
1.HEP事前調査
• 既存資料を用いての情報収集や環境アセスメントの同
行などをし、生息する生物種を洗い出す
• 住民説明会に参加や環境影響評価方法書の閲覧など
を行い事業の具体的な計画をまとめる
2.HSIモデルの確保 及び 評価種の選定
• 既存のHSIモデルを用意し、評価種を選定する
• SIを確認し、追加で必要な項目についてのデータを収
集する
3.HEP算出
• 調査地を小区分に分け、種ごとにHSIを算出する。その
値に面積を乗法した後に統合する
4.建設シナリオの比較検討
• 土地利用図や風車設置ガイドを参考にいくつか建設シ
ナリオを用意する
• 建設シナリオを用いての環境影響の大きさを算出する
5.代償案の検討
代償ミティゲーション案を検討する(ネットゲイン)
調査地域及び対象事業
石狩湾新港ウィンドファーム(仮)
場所:石狩湾新港及び周辺地域
事業規模:最大30,000kW
平成24年3月:環境アセスメント開始
平成27年:着工(予定)
石狩湾新港として指定されており、多くの地域は一度造成され自
然度は低い。しかし、海岸に近い地域の海浜植生やカシワ林は
「植物群落レッドデータブック」に記載されるなど、貴重な生態系が
残されている。また同地域では、風力発電建設事業が他に2件計
画されている。
結果
<建設シナリオの設定>
風車設置条件:
 基数は15機(最大)
 ローター直径(D)は100m(最大)
 風車間の間隔は
風向きに対し垂直ならば、3D
風向きに対し水平ならば、10D
<評価種>
WIND
3D
3D
10D
海岸案:海浜植生
<HEP算出>
シジュウカラ(普通種)
コゲラ(普通種)
ミサゴ(重要種)
チュウヒ(重要種)
オオタカ(重要種)
ヤチネズミ(普通種)
キタホウネンエビ(希少種)
<建設シナリオの比較(中間報告)>
海岸案:カシワ林中央 海岸案:カシワ林南部
内陸案
堤防案
オオタカ シジュウカラ コゲラ(仮 ) チュウヒ(仮)
海浜植生
7.43
0.30
0.25
3.93
カシワ林中央部
1.61
4.47
3.77
5.18
カシワ林南部
3.17
2.98
2.51
2.98
内陸案
4.30
2.23
1.55
4.16
堤防案
0
0
0
0
THU
11.91
15.03
11.64
12.24
0
今後の課題
まだ評価していない種のHEP算出行う
代償ミティゲーション案の発案及びHEPを用いて検討する
データをGISに落とし込み、評価の精度を向上させる
企業への資料の提供及び発表を行う
建設シナリオを時系列も含め詳細に決定し、評価に反映させる
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建設シナリオの比較検討