財務課題解決
スライド
目次(1/2)
<Ⅰ.財務上の課題抽出>
1.財務上の課題の体系
2.経営上の事象からのアプローチ
3.財務分析からのアプローチ
4.主要なソリューション概要
5.各種ソリューションの専門家
<Ⅲ.事業運営の効率化>
3P
4P
5P
6P
7P
<Ⅱ.財務理論の基礎知識>
1.財務上のリスクの概念
2.ストックとフローの対応関係
3.平均資本コストの算出
4.自己資本コストの算出
5.DCF法による事業価値評価
6.類似企業比較法による事業価値評価
8P
9P
10P
11P
12P
13P
1.中堅/中小企業の抱える課題・問題意識
2.事業運営の効率化の目的・手法
3.事業運営の効率化に係る主な指標
4.売掛債権の証券化
5.在庫担保融資
6.リース活用の判断ポイント
7.本社不動産の証券化事例
8.本章のソリューションに関わる専門家
14P
15P
16P
17P
18P
19P
20P
21P
<Ⅳ.事業ポートフォリオの最適化>
1.中堅/中小企業の抱える課題・問題意識
2.M&Aを実施する目的
3.M&Aの手法の多様化
4.M&Aに関わる利害関係者
5.利害関係者の保護手続き
6.企業価値評価と価格交渉の方法
7.M&Aの実施の判断
8.本章のソリューションに関わる専門家
22P
23P
24P
25P
26P
27P
28P
29P
目次(2/2)
<Ⅴ.不要投融資の処分>
1.中堅/中小企業の抱える課題・問題意識
2.事業リターンと金利水準
3.土地・株式の価格と自己資本への影響
4.時価・減損会計が与えるインパクト
5.本章のソリューションに関わる専門家
30P
31P
32P
33P
34P
<Ⅵ.資本構成の最適化>
1.中堅/中小企業の抱える課題・問題意識
2.最適資本構成の考え方
3.資金の期間構成と資本コスト
4.信用格付の考え方
5.ミドルマーケット構築の過程と
中堅/中小企業のあるべき対応
6.コミットメントラインの活用
7.社債の発行
8.自己資本リターンの考え方
9.債務の株式化
10.本章のソリューションに関わる専門家
35P
36P
37P
38P
39P
40P
41P
41P
43P
44P
Ⅰ.財務上の課題抽出
1.財務上の課題の体系
企業の抱える財務上の課題は、下記の4つの課題に整理することができます。日本では、これまでカンバン方式、QC活動
といった個別事業についての「事業運営の効率化」の様々な方法が考案・実施されてきましたが、企業価値を向上させる
ためには、「事業ポートフォリオの最適化」、「資本構成の最適化」、「不要投融資の処分」も併せて行うことが必要となりま
す。
事業運営の効率化
既存事業の運営方法を最適化・効率化し、
コストダウンと収益向上を実現できないか
事業ポートフォリオ
の最適化
 どのような将来ビジョンを持ち、どのような
戦略でそこに到達するのか
 グループの現在・将来のコア事業はどれか
 再生が必要な事業はどれか
不要な投融資
の処分
 リスクに見合ったリターンを生んでいない資
産を保有していないか
資本構成の最適化
平均資本コストを小さくする資本構成のあり
方はどのようなものか
事業部分の最適化
企業価値
向上
財務部分の最適化
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Ⅰ.財務上の課題抽出
2.経営上の事象からのアプローチ
クライアント企業の財務上の課題を認識するにあたっては、以下のように経営上の事象から問題点と原因を分析すること
が有効となります。
課題認識チャート
リスクに見合った
リターンを上げていない
純営業資産利回り
に問題がある
複数の事業を
営んでいる
事業全体の
最適化が必要
事業ポートフォリオの最適化
個別事業の
最適化が必要
単一の事業を
営んでいる
営業利益が低い
原材料や商品の調達に
改善の余地がある
人の使い方・物の使い方に
改善の余地がある
売上に比して使用
資金が大きすぎる
不要な在庫を抱えている
事業運営の効率化
売掛金をもっと早く
回収できる
条件を悪化させずに
支払期間を延ばせる
リースにした方が良い
固定資産を所有している
非営業資産利回り
に問題がある
投資収益が保有リスク
に見合っていない
低利回り・遊休
資産を抱えている
有利子負債利率に
問題がある
借入に問題がある
短期借入に
問題がある
長期借入に
問題がある
不要投融資の処分
資本構成の最適化
自己資本が
過小である
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Ⅰ.財務上の課題抽出
3.財務分析からのアプローチ
課題ごとに構造化された財務指標の体系に従って分析することで、財務上の課題を把握するアプローチもあります。単な
る数値の測定だけでなく、業界平均との比較や近年の趨勢分析を行うことが有効です。
市場シェア
事業ポートフォリオ
の再構成
成長性
営業利益÷
売上高
事業部分の最適化
企業価値の向上
〔
〔
格付け重視
有利子負債比率
純有利子負債÷
自己資本合計
〔
受取利息÷
(現預金+貸付金+公社債)
非営業資産利回り
営業外収益÷
非営業資産合計
〔
〔
売上高÷
純営業資産合計
ROE
経常純利益÷
自己資本合計
〔
株主重視
〔
〔
事業運営の効率化
純営業資産利回り
営業利益÷
純営業資産合計
純
営
業
資
産
回
転
率
売上原価÷
売上高
人件費÷
販売管理費
販売管理費÷
売上高
事務委託料÷
販売管理費
在庫回転日数
賃借料÷
販売管理費
売上債権回転日数
支払債権回転日数
固定資産効率
受取配当金÷
(有価証券+出資金)
(遊休不動産収入遊休不動産管理費)÷
遊休不動産簿価
投融資比率
(非営業資産合計
-現預金)÷売上高
流動性比率
流動資産合計÷
流動負債合計
貸付金÷
売上高
有価証券÷
売上高
〔
〔
〔
金融部分の最適化
〔
不要投融資の処分
有利子負債利率
支払利息÷
有利子負債
〔
金利カバー比率
営業利益÷
支払利息
〔
資本構成の最適化
〔
〔
純有利子負債÷
税引後営業CF
(営業利益+営業外収益)÷
支払利息
税引後営業CF÷
支払利息
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Ⅰ.財務上の課題抽出
4.主要なソリューション概要
4つの課題に関する基本的な財務ソリューションについては、主に以下のものを挙げることができます。
財務の最適化経営に向けた課題とソリューション
財務の最適化経営
事業部分の最適化
事業運営の効率化
シェアードサービス、BPR、
SCM、CRMなど
資産の証券化
在庫担保融資
リース
財務部分の最適化
事業ポートフォリオ
の最適化
M&Aの実施による
事業構造の強化
不要投融資の処分
不要投融資の処分
時価・減損会計への対応
資本構成の最適化
金融機関との関係強化
社債の発行
株式の発行
債務の株式化
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Ⅰ.財務上の課題抽出
5.各種ソリューションの専門家
各種ソリューションの実施を支援する主な専門家は、以下の通りとなります。財務管理サービス人材としては、これらソ
リューションと専門家の関係、各専門家が果すべき役割を把握しておく必要があります。
課題
ソリューション
シェアードサービス、BPR、
SCM、CRMなど
事業運営の効率化
不要投融資の処分
証券会社、金融機関、弁護士、公認会計士、税理士、格付機関、
債権回収会社
在庫担保融資
金融機関、専門会社(リクイデーター)
リース会社
M&Aの実施による
事業構造の強化
金融機関、 M&A専門アドバイザ-、弁護士、公認会計士、税理士、
中小企業診断士
不要投融資の処分
金融機関、不動産会社、不動産鑑定士、公認会計士、税理士、証
券会社
時価・減損会計への対応
金融機関との関係強化
資本構成の最適化
専門コンサルタント、中小企業診断士
資産の証券化
リース
事業ポートフォリオ
の最適化
ソリューション実施を支援する主な専門家
公認会計士、税理士
金融機関
社債の発行
証券会社、金融機関、弁護士、公認会計士、税理士
株式の発行
証券会社、監査法人、税理士、ベンチャーキャピタル
債務の株式化
金融機関
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Ⅱ.財務理論の基礎知識
1.財務上のリスクの概念
財務理論におけるリスクとは、リターンの不確実性を表しています。リターンの不確実性が高いほど、リスクが高いと判断
されます。
確
率
確
率
<投資機会 A>
-40
-20
0
20
40
リターンの幅
リターンの幅が狭く、
リスクは投資機会Bより低い
60
収益率
(%)
<投資機会 B>
-20
リスクはリターンの
不確実性、変動性を
意味している
0
20
40
リターンの幅
60
収益率
(%)
リターンの幅が広く、
リスクは投資機会Aより高い
投資機会Aよりも投資機会Bの方が
期待されるリターンがより大きい
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Ⅱ.財務理論の基礎知識
2.ストックとフローの対応関係
リスクに見合ったリターンを考える上では、投下資本(ストック)に対してどれだけのリターン(フロー)を生んでいるのかを、
適切に把握する必要があります。そのためには、まず、以下のようなB/Sの組み換えを行い、投下資本(純営業資産と投
融資)を適切に把握することが必要です。そのうえで、営業利益を純営業資産に、営業外収益を投融資に対応させること
で、投下資本とリターンとを適切に対応させることができます。
現預金
金融資産
P/L
企業財務の基本B/S
B/Sの組替え
①
有利子負債
営業利益・・・①
+ 営業外収益(≒投融資収益)・・・②
② 営業負債
営業資産
自己資本
組替え手順
①現預金と有利子負債をネット
し、投融資および純有利子負
債とする
②営業資産と営業負債をネット
し、純営業資産とする
① 投融資
企
業
価
値
事
業
価
値
③ 純有利子
負債
- 営業外費用(=金利)
経常利益
+ 特別損益
税引前利益
- 税金
② 純営業資産
④ 自己資本
当期利益
ストック
フロー
投融資
営業外収益(投融資収益)
<②>
事業価値(純営業資産)
営業利益
<①>
企業価値(事業価値+投融資)
EBIT(営業利益+営業外収益)
<①+②>
Page 9
Ⅱ.財務理論の基礎知識
3.平均資本コストの算出
企業に期待されるリターンが資本コスト(WACC)ですが、WACCは負債コストと自己資本コストをそれぞれの割合で加味し、
平均して算出します。負債コストは、長期及び短期の借入や社債の金利となります。自己資本コストは、後述するCAPMと
いう理論で説明されます。
投融資
純営業資産
金利
純有利子負債
自己資本
(rD)
自己資本コスト
(rE)
<自己資本コスト>
CAPMを用いて算出する
D
E
×rD(1-tc) +
× rE
WACC =
D+E
D+E
加重平均
資本コスト
D
E
rD
rE
tc
総資本における
負債の割合
:純有利子負債の額
:自己資本の額
:金利
:自己資本コスト
:実効税率
総資本における
自己資本の割合
<負債の節税効果>
支払金利は損金に算入され、税金としての
現金流出額が節約できる効果があるため、
金利から税率を控除して負債コストを求める
Page 10
Ⅱ.財務理論の基礎知識
4.自己資本コストの算出
自己資本コストは、CAPMという考え方を用いて算出します。CAPMでは、個別の企業に対して、国債などのリスクのない
資産(リスクフリーレート)からどのくらい高いリターンを期待されているのか(リスクプレミアム)について、個別の企業の事
業リスクとレバレッジリスク(自己資本ベータ)を反映させて算出します。
投融資
純営業資産
純有利子負債
自己資本
個別企業に投資するリ
スクへの追加的な利率
自己資本コスト
(rE)
rE = rf(1-tc) +
リスクがない資産に
投資する利率
rE
rf
βe
rm
tc
:自己資本コスト
:リスクフリーレート
:自己資本ベータ
:株式市場の平均期待リターン
:実効税率
βe ×
個別の企業特有の
リスク(事業リスクと
レバレッジリスク)を
表す係数
(rm-rf)
株式市場に投資す
るリスクへの追加的
な利率
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Ⅱ.財務理論の基礎知識
5.DCF法による事業価値評価
代表的な事業価値評価手法の1つとして、DCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)法があり、以下のような一連の作業
を行います。多様な要因を織り込んだ感度分析が可能で、価値の範囲のイメージが湧きやすく、外部関係者や社内への
説得性が高い反面、フリーキャッシュフローの予測や自己資本ベータ算出等、過程が複雑で、計算も難しいため、専門家
が主導で行うこととなります。
①対象事業特定
②データ収集
③キャッシュフロー
予測
④割引率決定
⑤事業価値決定
• 複数の事業を持つ場合、施策対象として検討する事業を選定する
• 過去3~5年分のB/SとP/L、CF関連データと、事業に関連する投融資のデータを収集する
• 事業価値に対応したフローである、営業フリーキャッシュフローを予測する
• 市場、競合、為替動向、仕入・取引価格が変化したときに、営業フリーキャッシュフローにどの程
度の影響があるかを予測する
• 事業の中長期的な見通しを過去の実績を踏まえて予測し、複数の場合を考慮し、幅のある営業
フリーキャッシュフローのシナリオを予測する
• 負債コストを算出する。社債やCPがある場合は金利の加重平均を取る
• 自己資本コストを算出する。業界の事業ベータを取り出し、自社の資本構成から、自己資本ベー
タを計算し、リスクフリーレートとリスクプレミアムを決定して、自己資本コストを求める
• 負債コストと自己資本コストを加重平均して、WACCを求める
• 営業フリーキャッシュフローを適切な割引率(通常WACC)で割引いて事業価値を計算する
• 事業価値に投融資の時価を加え、企業価値を計算する
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Ⅱ.財務理論の基礎知識
6.類似企業比較法による事業価値評価
事業価値評価手法の1つとして、類似企業比較法により事業価値評価を行う場合、①対象事業の特定、②類似企業の選
定、③類似企業のデータ収集、④類似企業の時価評価、⑤評価倍率の算出、⑥事業価値決定、という一連の作業を行い
ます。
①対象事業特定
 評価の対象となる事業部やその管轄関係会社を特定する
 評価対象が複数の本部や関係会社等の場合、それぞれのB/S、P/Lを作成して評価を行う
②類似企業の選定
 評価対象事業が属している業界において、上場している類似企業を数社選択する
 業界でのポジション、企業の成長性、顧客ターゲット、利益等の絶対額等を考慮して選択する
③類似企業の
データ収集
 類似企業の株価(時価)、株式数、売上、営業利益、自己資本の簿価等のデータを収集する
④類似企業の
時価評価
 類似企業の株価総額、純有利子負債、投融資、事業価値を算定する
⑤評価倍率の算出
⑥事業価値決定
 異常値を排除して比較可能な評価倍率を計算する
 事業価値/売上
 事業価値/営業利益
 事業価値/営業CF
 PER(株価総額/経常純利益)
 PBR(株価総額/簿価自己資本)
 類似企業の評価倍率に評価対象組織の数値を掛けて事業価値や自己資本価値を算出する
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Ⅲ.事業運営の効率化
1.中堅/中小企業の抱える課題・問題意識
「事業運営の効率化」という課題については、中堅/中小企業は、事業運営の効率化の手法や、その一つとしての資産を
活用した資金調達の手法に関する疑問・問題意識を抱いていることが想定されます。
テーマ
中堅/中小企業の
経営者・財務担当者
事業運営の
効率化の手法
中堅/中小企業が抱く疑問・問題意識(例)
既存事業の事業運営を効率化して、もっと収益の上がる体質にしたい
が、どのような方法があるのか分からない
事業の効率化を図る必要があるのは分かっているが、どこから手を付
けたらよいのか分からない
本業は継続したいが、資金はなるべく使いたくない
アドバイス
の要求
アドバイザー
資産を活用して資金調達を行う手法には、どのような方法があるか
資金調達を行いたいが、担保とする固定資産がない
売掛債権を早期に資金化したいが、取引先が回収サイトの短縮に応じ
てくれない
アセットファイナンス 在庫を担保とした資金調達を行いたいが、どのようにしたらよいのか分
の活用
からない
資産の調達にあたり、リースと購入とでどちらが有効なのか判断がつか
ない
金利負担が重く、負債を圧縮したいが、大きな資産は本社ビルのみで
あり、継続的に使いたいので売ることができない
Page 14
Ⅲ.事業運営の効率化
2.事業運営の効率化の目的・手法
事業運営の効率化とは、より小さなストック(純営業資産)でより大きなフロー(営業利益)を生み出すことを目的として、既
存事業の運営方法、営業プロセスの最適化・効率化によってコストを下げ、売上を向上させるために、アウトソーシング、
BPR、SCM、CRM、eコマース等を実施していくものです。
事業運営の効率化の手法例
シェアードサービス会社やアウトソーシングを活用し
た小さな本社機能
問題意識
インターネットの普及によるeコマースの発展
既存事業の運営方法の最適化、効率化
によってコストを下げ、収益を上げる方
法はないか
計画サイクルを短縮するサプライチェーン・マネジメン
ト(SCM)
より小さなストックで、より大きなフローを
生み出す方法はないか
優良顧客を創出し、各顧客からの利益を最大化する
カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)
組織のパフォーマンスを適切に測るべくカンパニー制
や事業持株会社制などを導入し、適切な業績評価基
準を設定することで組織を活性化
資産の流動化による営業資産の一部の切り離しと資
金調達の実現
Page 15
Ⅲ.事業運営の効率化
3.事業運営の効率化に係る主な指標
効率化のポイントを把握するためには、事業の効率性を示す指標をブレイクダウンすることで指標を悪化させる原因を特
定する必要があります。
事業運営の効率化に係る主な指標
粗利益
売上
営業利益
売上
販管費
売上
法人税
売上
営業利益
純営業資産
売上
純営業資産
売上
製造・仕入原価
市場規模
当社シェア
価格
量
人件費
売上
販売費
売上
一般管理費
売上
売上
営業固定資産
売上
運転資本
在庫回転率
売掛金回転率
買掛金回転率
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Ⅲ.事業運営の効率化
4.売掛債権の証券化
運転資本の流動化の手法の1つとして、売掛債権の証券化があります。売掛債権の証券化では、以下の3つのステップに
よって、投資家に取引されるリスクが細分化され、コントロールされる結果、売掛債権を譲渡した企業も投資家もメリットを
享受することができます。
証券化の3つのステップ
1.対象資産の特定
企業全体のリスクから売掛債権の
リスクを抽出する。
リ
ス
ク
その他の資産
売掛債権
抽
出
2.資産保有企業からの分離
企業が倒産した場合のリスクを、売
掛債権から切り離す。
企業
全体の資産
SPV
売掛債権
譲渡
売掛債権を譲渡する企業のメリット
3.証券として売却
売掛債権のリスクを細分化、コントロールし 、投
資家の需要に合わせた証券を作り、販売する。
売
掛
債
権
リスク
• 投資対象となる商品の選択機会の増大
• オフバランス化が図れる。
• 商品特性の明確化
• 基本的に保有する売掛債権のリスクを移転できる※。
• 売掛債権の譲渡が容易になる。
証券化されることで流動性が高くなり、投資対象となる。
リスクコントロールにより、投資家の需要に適合した商品となる。
証券B
証券C
投資家のメリット
• 資金調達方法が多様化する。
調達した資金を用いて有利子負債を返済すれば、資産圧縮が図れる。
証券A
上記、証券化のステップにより、リスクが細分化、コントロールされて
いることから、商品特性が明らかになり、投資判断が行いやすい。
※ただし、証券化の方法によってはリスクの移転は限定的になる場合が有り
ます。
Page 17
Ⅲ.事業運営の効率化
5.在庫担保融資
動産を担保とした融資は、これまで殆ど活用されてきませんでしたが、近年は売掛債権を中心に広がりを見せています。
価値の判断が売掛債権と比較して難しい在庫を担保とした融資については、動産担保融資の円滑化に向けた法整備が
進んでおり、また、動産の処分・回収などの専門家も登場しつつあり、今後、中堅/中小企業向けの融資市場の拡大が期
待されています。
動産担保融資の円滑化に係る課題
今後の方向性
動産に係る公示制度が無い
動産に係る公示制度が存在せず、現状の譲渡担保に
よる占有改定では、実務的な観点から対抗要件上の問
題点がある
専門業者の不足
担保動産の処分・回収などを担当する専門業者(リクイ
データー)が不足しており、担保実行に不確実性がある
セカンダリー・マーケットの不在
わが国では米国ほど中古動産市場が発展していない
ため、動産担保の価値が低く、また、担保実行に不確
実性がある
動産・債権に係る譲渡公示制度の整備
現在、経済産業省主導のもと、動産・債権に係る公示
制度の整備の検討が進んでおり、動産の担保設定の
円滑化に向けたインフラが整備されつつある
在庫担保融資の実施案件の登場
日本政策投資銀行の小売業を営む企業への融資
-在庫の鑑定評価、融資先企業の経営状況のモニタリング、
在庫担保の実行といった「入り口から出口まで」を網羅的に
支援する専門家の存在
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Ⅲ.事業運営の効率化
6.リース活用の判断ポイント
資産調達の際に、リースを活用するか、購入して自社保有するかの判断にあたっては、資産を購入して一定期間使用す
る場合の1年当たりのコストを算出し、それとリース利用時の月々のリース料とを比較した上で、判断することがポイントと
なります。
投資案件例
購入価格
1,000万円
減価償却方法
定額法(残存価格はゼロ)
耐用年数・リース期間
5年
毎年のリース料
231万円
陥りやすい誤った判断
購入した場合の1年当たりのコストは、
1,000万円 / 5年=200万円
あるべき判断
購入した場合の1年当たりのコストは、
1,000万円 / 4.33
= 231万円
リース料と比較すると、
リース
231万円
購入
> 200万円
となるため、購入したほうが有利であると
判断
リース料と比較すると、
リース
231万円
購入
= 231万円
となるため、この場合、一見リースの
方が不利に見えるが、リースの利用は
購入するのと同じ価値がある
<アニューイティーファクター>
 一定期間において、毎年定額を
受け取るための元本を求める係
数(年金現価係数)
 ここでは、元本をアニューイティー
ファクターで割ることで、一定期間
において毎年定額を負担するとし
た場合のコストを算出
AF =
1
r
1
r(1+r)t
t=期間)
-
(r=金利
本事例では、r=5%、t=5年
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Ⅲ.事業運営の効率化
7.小口不動産の証券化事例
従来不動産の証券化は、大企業の本社ビルなど大規模物件を対象としたものが大多数でした。しかし、ここで取り上げた
事例(京都市)は、単身者向けアパート1棟という小口物件を対象としたものです。一口50万円として投資家51人から出資
を募り、証券の発行総額は5,000万円でした。こうした小口の不動産証券化スキームも出始めています。
小口不動産(アパート)証券化の事例
(注) 図は説明のため実際の取引を簡略化して示しているので、
厳密な契約関係の全てを表示しているわけではありません。
<不動産所有者>
オフィスビル
オフィスビル
オフィスビル
アパート物件
<特定目的会社>
①
(SPC)
②
<入居者>
④
⑤
<不動産会社>
③
<投資家>
⑥
① 所有するアパートを売却
② 証券募集取扱いと不動産管理を委託
③ 出資
④ 賃貸業務
⑤ 賃料支払
⑥ 配当支払
出典: 日本経済新聞2003年6月28日記事 他を基に作成
Page 20
Ⅲ.事業運営の効率化
8.本章のソリューションに関わる専門家
事業運営の効率化の各ソリューションに係る主な専門家と、各専門家の果す役割は以下の通りとなります。
ソリューション
ソリューションに係る主な専門家
金融機関、証券会社
弁護士、公認会計士、税理士
資産の証券化
専門家の果す役割
証券化スキームのアレンジ、投資家としての融資や社債
引受の実施、信用補完や流動性補完の提供、社債発行
時の社債管理会社となる等の役割を担う
信託銀行が証券発行体となることもある
法律・会計・税務上の詳細事項や手続き上の留意点など
に関するアドバイスを実施
証券会社
社債発行の場合の引受審査、発行条件の決定、投資家
の募集、社債の引受などを担当
格付機関
社債発行の場合の格付の実施
債権回収会社
証券化対象資産からの資金回収の代行サービスを提供
金融機関
スキームの組成を中心となって行うとともに、資金提供者
として企業に融資を実行
専門会社(リクイデーター)
担保資産の評価や、担保権実行時の在庫の処分などを
サポート
在庫担保融資
リース会社
リース
弁護士、公認会計士、税理士
リースの有効活用に向けたスキームの提案、リース契約
を締結し資産を提供
法律・会計・税務上の詳細事項や手続き上の留意点など
に関するアドバイスを実施
Page 21
Ⅳ.事業ポートフォリオの最適化
1.中堅/中小企業の抱える課題・問題意識
「事業ポートフォリオの最適化」という課題については、中堅/中小企業は、M&Aの活用場面、M&Aの手法、活用にあたっ
ての留意点について、疑問・問題意識を抱いていることが想定されます。
中堅/中小企業の
経営者・財務担当者
アドバイス
の要求
アドバイザー
テーマ
中堅/中小企業が抱く疑問・問題意識(例)
M&Aの
目的・手法
自社の抱えている課題の解決手段として、M&Aは有効か
M&Aにはどのような手法があるのか
自社の抱える事業の見直しを行い、事業の売却や他企業の買収を行っ
て、自社の競争力を向上させたい
利害関係者に
与える影響/
利害関係者の
ニーズ
会社を売却しても、株主である親族の利益や従業員の雇用は守りたい
企業を買収しても、売り手企業の全てを受け入れたくない
M&Aの
実施の判断
他企業の買収を考えているが、買収は本当に自社にとって有効なのか
判断できない
なるべく高く会社を売りたいが、どの程度の金額になるのか見当がつか
ない
なるべく安く買いたいので、価格交渉を有利に進めたい
Page 22
Ⅳ.事業ポートフォリオの最適化
2.M&Aを実施する目的
事業ポートフォリオの最適化(M&A)の目的は、社会経済環境、業界や市場の動向、そして自社の抱える内部的な事情を
背景として発生するさまざまな経営課題に対して、抜本的な打ち手を構ずる点にあります。
社
会
経
済
環
境
 バブル崩壊後経済不況が続き、需要に比して供給が過
剰となっている
活用場面
 規制緩和により参入障壁が低くなり、新規参入を含め
た競争の激化が予想される
 連結会計、時価会計等の会計基準の変更により、決算
期までにグループの再編が迫られている ・・・等
自
社
内
部
事
情
 創業者の世代交代が必要だが、後継者がいない、また
は、後継者がいても相続税を支払える見込みがない
 経営者の高齢化に伴い、グループ子会社の面倒を見
切れなくなったため、グループからの切り離しを行わざ
るを得ない
 金融機関の要請により、過大となった債務の圧縮や人
員・事業の整理が必要となっている
 技術やITの発展に伴い、不採算となった事業を切り離
さないと破綻する ・・・等
事
(業
ポ グループ再編
ー
)
にト
よフ
事業強化
るォ
リ
生オ
きの
残最
り 適 事業承継
化
M&A
業
界
・
市
場
動
向
 取引先が拠点を中国等海外へ移したため、顧客が減少
した/いなくなった
 マーケット規模が縮小したため、業界内での再編が始
まり、企業統合しないと生き残れない
 取引先、親会社が下請けの整理統合も含めた選別を
始めた
 流通経路の短縮化により、中間流通業者としての存在
価値が低下している ・・・等
業界再編
事業再生
Page 23
Ⅳ.事業ポートフォリオの最適化
3.M&Aの手法の多様化
バブル崩壊後の不況の長期化により、企業の持つ資産の価値が減少しています。その中で、企業の競争力の向上を図り、
会計ビッグバン、金融ビッグバンへ対応するためには、企業の組織構成の自由度を高め最適なものにしなくてはなりませ
ん。これまでは、組織の再編成を行う手法として、営業譲渡や合併など限られた手法しかありませんでしたが、こうした背
景の下に、株式交換制度および会社分割制度が、組織を柔軟に再編成するための一手法として導入されました。
1997年
独禁法改正、純粋持株会社解禁
1999年
商法改正、株式交換制度および
株式移転制度施行
2000年
連結決算制度の基準変更、「持株基準」から
「支配力・影響力基準」へ変更
純粋持株会社
⇒グループ全体での企業の力が評価対象
商法改正、会社分割制度施行(2001年4月)
2001年
株式移転制度
⇒フローにあったストックの評価へ
2002年
会社分割制度
時価会計制度施行
既存会社
分割
連結納税制度制定、施行
株式交換制度
他社
会社分割制度
分社
Page 24
Ⅳ.事業ポートフォリオの最適化
4.M&Aに関わる利害関係者
M&A案件を成就させ目的を達成するには、多様なステークホルダーの立場、ニーズや契約条件に配慮して進めることが
必要となります。多くの場合、当事者の利害が決定的に対立するため、相手の立場や感情を理解した上で、妥協点を探っ
ていくことが重要となります。
優良資産を売られ
ては困る
不採算事業を買わ
れては困る
株主価値を上げて
ほしい
株主
株主
金融機関
等債権者
できるだけ高く
売りたい
弁護士・会計士・
コンサルタント等
アドバイザー
売り手
経営者
利害
できるだけ安
く買いたい
取引条件が悪化
しないで欲しい
取引先
買い手
経営者
売られ手
金融機関
等債権者
弁護士・会計士・
コンサルタント等
アドバイザー
事業を強化したい
従業員の雇用を守
りたい
経営者
職を失いたくない
従業員
Page 25
Ⅳ.事業ポートフォリオの最適化
5.利害関係者の保護手続き
実際のM&Aにおいては、利害関係者の感情的な面が、取引の成立や統合後の事業運営を左右することもあります。特に、
人材面でのシナジーを期待する場合には、近年制定された会社分割に係る労働契約承継法では、労働契約の承継につ
いて、合併時と異なり従業員が異議を出すことが可能となっている点に注意が必要です。
【これまでの手法における取り扱い】
【会社分割に係る労働契約承継法における取り扱い】
分割計画書等に承継される旨の記載
労働契約は承継される
合併
あり
なし
承継営業
主事労働者
異議を述べることは
できず、当然に承継
される
異議を述べることで、
「承継される」こととな
る
その他の場合
異議を述べることで、
「承継されない」こと
となる
異議を述べても承継
されない
個別の承諾は不要
労働契約は通常譲渡対
象に含まれる
営業譲渡
通常個別の同意を条件
として雇用は継続
分
割
会
社
に
お
け
る
所
属
Page 26
Ⅳ.事業ポートフォリオの最適化
6.企業価値評価と価格交渉の方法
M&Aを実施する際には、売り手にとっては売却額を少しでも高くするため、また、買い手にとっては買収額を少しでも抑え
るため、あらゆる評価パターンで価値を割り出しておくことにより、取引価格の交渉を有利に進めることが重要なポイントと
なります。
【ポイント】
 事前事業価値評価
企業価値の方法には以下のものがある。
①DCF法
②類似企業比較法
③類似取引比較法
④時価純資産価値法 など
投融資
純有利子負債
企
業
価
値
営業資産
 取引の種類と取引の対象
投融資付きの事業を営業譲渡するか、株式を譲渡または譲
受するか決める
|
営業負債
事業価値
どの方式によればどの程度の金額になるか、あらかじめ把
握しておく
株主価値
 価格交渉
最後は、一本価格で合意することになるが、まず、価格の範
囲、価格の計算方式等を合意することも可能である。
できれば途中までは、複数の相手と交渉する
Page 27
Ⅳ.事業ポートフォリオの最適化
7.M&Aの実施の判断
買収による事業統合を検討する場合には、買収先の企業価値の評価のみではなく、統合により得られるシナジーや、統
合により発生するコストを考慮する必要があります。シナジーがない事業統合はするべきではありませんし、シナジーが
あっても必要以上に対価を支払っては、事業統合の意味が薄れることとなります。
考え方
A社
統合
B社
統合により得られるシナジーと統合にかかるコストを計算し、正のNPVを持つ
場合は、その事業統合は株主にとっての価値を増大させる
統合により
得られる利益 = PV(AB) - (PV(A) + PV(B))
(統合シナジー)
B社統合のNPV
= 統合シナジー – B社統合のコスト > 0
B社統合のコスト = B社所有者への支払額 - PV(B)
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Ⅳ.事業ポートフォリオの最適化
8.本章のソリューションに関わる専門家
事業ポートフォリオの最適化(M&Aの実施)に係る主な専門家と、各専門家の果す役割は以下の通りとなります。
ソリューション
ソリューションに係る主な専門家
専門家の果す役割
M&A専門アドバイザー
(ファイナンシャルアドバイザ-)
買い手企業候補のリストアップ、買い手企業に対する売
り手企業の会社概要や売却対象の提示、買い手企業の
意思確認、価格の算定やスキーム、新しい経営体制の
の決定などの交渉をサポート※
※金融機関のアドバイザリー部門、
中小企業診断士を含む
M&Aの実施による
事業構造の強化
弁護士、公認会計士、税理士
法律・会計・税務上の詳細事項や手続き上の留意点など
に関するアドバイスを実施※
売り手企業の資産価値や事業のリスクに関する法律・財
務/会計・税務面からの精査(デューデリジェンス)の実
施支援※
金融機関の融資部門
主にメインバンクの融資部門が債権者の立場で関与し、
必要に応じてM&Aの実施に必要な資金を融資
※記載内容は買い手企業から見た専門家の役割であるが、
売り手企業に対しても同様の役割を専門家が担う
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Ⅴ.不要投融資の処分
1.中堅/中小企業の抱える課題・問題意識
「不要投融資の処分」という課題については、中堅/中小企業は、主に資産売却を行うべきか否か、減損・時価会計の導
入にあたり資産の処理原資を如何に調達するかということについて、疑問・問題意識を抱いていることが想定されます。
中堅/中小企業の
経営者・財務担当者
テーマ
中堅/中小企業が抱く疑問・問題意識(例)
不要投融資の
売却検討
事業と関係のない資産を保有しており、時価が取得時より大幅に下落
している
本業に関係のない資産を保有しているが、ある程度収益をあげている
ため、売却の決心がつかない
本業に関係がある利害関係者への投融資だと思っていたが、実は本業
に影響しないかもしれない
時価・減損会計
時価会計が導入され、減損会計も導入予定ということだが、経営状況
や財務諸表に具体的にどのようなインパクトがあるのか分からない
または、不要投融資の処分の必要性は認識しているが、処理原資が無
い
アドバイス
の要求
アドバイザー
Page 30
Ⅴ.不要投融資の処分
2.事業リターンと金利推移
90年以降の事業セクターの財務状況については、96年以降営業利回り(事業リターン)が負債利回り(利子支出/有利子
負債)を上回っています。一方、有利子金融資産リターンは低下基調にあることから、リターンを期待することが難しくなっ
ており、不要な金融資産は早目に処分するべきといえます。
事業リターンと金利推移
8.0%
6.0%
4.0%
2.0%
0.0%
1990
1991
1992
1993
事業リターン
1994
1995
1996
1997
有利子金融資産リターン
1998
1999
2000
2001
2002
利子支出/有利子負債
Page 31
Ⅴ.不要投融資の処分
3.土地・株式の価格と自己資本への影響
土地や株式については、キャピタルゲインやロスの方が、経常利益・賃借料・配当よりもはるかに大きく自己資本に影響を
与えます。そのため、土地や株式の中長期的な保有の可否の判断にあたっては、賃借料や配当のみで判断せず、キャピ
タルゲインやロスを含めたトータルな期間損益で判断すべきであると言えます。
土地・株式価格と自己資本への影響
【単位:兆円】
100
50
賃借料収入
配当収入
経常純利益
0
株式評価損益
-50
土地の評価損益
正味資産評価損益
-100
-150
1991
92
※「日本の財務再構築」(東洋経済新報社、2004)より作成
94
96
98
2000
【年】
Page 32
Ⅴ.不要投融資の処分
4.時価・減損会計が与えるインパクト
現実の時価を正面から認めて認識すると、P/Lで損失を認識し、B/Sの自己資本が減少せざるを得なくなります。新会
計基準に合わせて現実を認識せざるを得ない以上、損失の先送りはもはや許されない状況にあります。
概要
時価会計
導入時期
対象
基本的な
会計処理
2001年3月期
有価証券
金銭債権
デリバティブ 等
・株式や債券など
の金融商品を時
価で評価する
時価・減損会計の影響
減損会計
2006年3月期
導入予定
工場
本社ビル
遊休地 等
・資産価値が著しく
下落したと考えら
れる資産につい
て、下落分を損失
計上する
今後の企業経営の方向性
財政状態に対する
資産価値下落の影響の増大
・資産に時価下落(含み損)があ
ると、P/Lで損失を認識し、 B
/Sの自己資本を減少させるこ
ととなる
投資などに対する
経営責任の明確化
時価主義経営
・「ストックの価値はフローに
見合うだけしかない」という
前提で経営する
・含み損の大きな資産や収益性
が悪化している資産などについ
て、その損失計上が先送りでき
なくなる
Page 33
Ⅴ.不要投融資の処分
5.本章のソリューションに関わる専門家
不要投融資の処分の各ソリューションに係る主な専門家と、各専門家の果す役割は以下の通りとなります。
ソリューション
ソリューションに係る主な専門家
証券会社
投資
金融機関、専門コンサルタント
弁護士、公認会計士、税理士
不要投融資
の処分
金融機関、証券会社、投資ファンド
融資
弁護士、公認会計士、税理士
不動産会社、不動産投資ファンド
不動産
時価・減損会計への対応
専門家の果す役割
株式の売買実行に係るサポートの実施
未公開株式の価値評価の実施
株式の処分実行のサポート
法律・会計・税務上の詳細事項や手続き上の留意点など
に関するアドバイスを実施
債権の買取、および、処分実行のサポート
法律・会計・税務上の詳細事項や手続き上の留意点など
に関するアドバイスを実施
不動産の処分実行に係るサポートの実施
不動産鑑定士
不動産鑑定評価基準に基づき、不動産鑑定評価額を算
定
弁護士、公認会計士、税理士
法律・会計・税務上の詳細事項や手続き上の留意点など
に関するアドバイスを実施
公認会計士、税理士
時価・減損会計の会計処理のサポート、および、会計処
理の実施による財務上のインパクトの分析
問題解決策の提案
Page 34
Ⅵ.資本構成の最適化
1.中堅/中小企業の抱える課題・問題意識
「資本構成の最適化」という課題については、中堅/中小企業は、主に資本構成・期間構成の考え方、金融機関借入、社
債等に関して疑問・問題意識を抱いていることが想定されます。
テーマ
中堅/中小企業が抱く疑問・問題意識(例)
資金調達方法
の選択
資金調達の大部分を銀行融資に依存しており、その時点での借入の容
易さで殆ど全ての判断を行っている
金融機関との
関係強化
金融機関の格付の内容を理解して、可能な限り高い信用を得るように
努力する
近年、金融機関が提供し始めた財務管理アドバイザリーサービスやリ
スク管理支援サービスを有効利用したい
長期の資産に対しては、長期の借入を受けることができるように努力す
る
社債の発行
これまで間接金融と増資のみで資金調達を行ってきたが、資金調達の
多様化を行う必要性を感じ、中堅/中小企業でも実行可能な直接金融
の手法を模索している
自己資本
本業の資金需要や必要な不良資産処理に対して自己資本が不足しな
いか
順調に会社が成長し、次のステージに向けて株式公開を検討している
が、株主に対するリターンは、安定配当程度で十分だと考えている
公開を検討しているが、これまではオーナー企業であったため、株主に
対するリターンについて気にしたことがない
中堅/中小企業の
経営者・財務担当者
アドバイス
の要求
アドバイザー
Page 35
Ⅵ.資本構成の最適化
2.最適資本構成の考え方
資金調達時の負債と自己資本の選択にあたっては、資本コストを考慮する必要があります。資本コストは負債比率で決定
されますが、中堅/中小企業の多くは負債比率が高いことから、自己資本を充実することで、資本コストが事業リターンを
下回る範囲に収まるような負債比率を実現することが重要となります。
高
負債を使いすぎると、格付けが下がり負債
コストが上がるとともに、自己資本リスクが
高まるため自己資本コストが上がり、平均
資本コストは増加する
はじめは負債コストの方が自己資
本コストより安いので、負債の利
用により平均資本コストは下がる
現状
資本コスト
事業リターン
「事業リターン」>「平均資本コスト」である場合、
事業価値(指標例:EVA®)はプラスになる
低
低
株主にとっては、資本コストが事業リター
ンを下回っていればよいが、債券投資家
にとっては、負債比率が低い方が好ましい
よって、資本構成は太枠の領域内に求め
られるべき
最低資本コストと
なる負債比率
負債比率
高
Page 36
Ⅵ.資本構成の最適化
3.資金の期間構成と資本コスト
長期・短期の資金調達の選択にあたっては、投資の回収期間と借入金の返済期間のマッチングに留意する必要がありま
す。長期の投資に短期の借入で対応するなど、投資の回収期間と借入金の返済期間がミスマッチとなっている状況では、
金利の変動リスクを負うこととなります。
企業価値
投
融
資
短期
投融資
長期
投融資
運転資本
(
事純
業営
価業
値資
)産
本業の資金需要
営業用
固定資産
短期
投融資
期
間
別
に
組
み
替
え
る
運転資本
長期
投融資
営業用
固定資産
資金調達時の留意点
短
期
の
資
金
需
要
長
期
の
資
金
需
要
・短期の資金調達(短期借入など)で対応する
ことが重要
・借入期間が長くなると金利が高くなるため、長
期の調達で対応すると、必要も無く高い金利
を負担することとなる
・長期の資金調達(長期借入など)で対応する
ことが重要
・短期借入の借り換えで対応すると、借り換え
を拒絶されるリスクがある
・投資案件から回収される収益に変化が無い
のに借り換えにより金利が上昇すると、逆鞘
となって金利のミスマッチリスクが発現しうる
Page 37
Ⅵ.資本構成の最適化
4.信用格付の考え方
間接金融を円滑に実行するためには、クライアント企業の格付を向上させることが重要となります。信用格付の決定にあ
たっては、従来の審査要因と比較してより一層財務分析に重点が置かれており、財務分析を行った結果に定性要因を加
味した上で決定されます。信用格付の向上のためには、資産の圧縮などによる財務状態の改善と、金融機関へのディス
クロージャーによる自社の信用力の向上が求められます。
以前の審査要因*
業績
格付けにおける審査要因*
業績
格付向上の方向性
地元業界評判
地元業界評判
他行シェア
担保の有無/価値
他行シェア
担保の有無/価値
重
視
貸出実績
財務分析
参
考
要
因
<財務指標の改善>
貸出実績
定
量
分
析
/
財
務
分
析
自己資本比率
ギアリング比率
売上高経常利益率
固定長期適合率
売上高
インタレスト・カバレッジ・レシオ
償却前営業利益
キャッシュフロー額 等
定性分析
定性分析
将来返済能力
実質同一体
実態貸借対照表
他行支援
潜在返済能力
実質同一体
実態貸借対照表
他行支援
銀行の収益採算
銀行の収益採算
融資先の取引関係
融資先の取引関係
与信政策/
ポートフォリオ
与信政策/
ポートフォリオ
信
用
格
付
算
定
要
因
の(
積ス
コ
上ア
視特
評リ に
定ン 重
)グ
形
式
・ 安全性、収益性、債務償還能力
などの財務評価を重視しているた
め、業績の拡大や資産効率の向
上により、各種財務指標を改善さ
せることが求められる
<信頼性の向上>
重ア「
金
視ル融
(
項別検
目冊査
)
マ
」
のニ
ュ
・ 経営環境や経営者の経営能力と
いった企業の「質」を問う内容で
あり、企業情報の開示を積極的
に行い自社の将来性に対する信
頼を高めることが求められる
総
合
的
判
断
*「週刊東洋経済 2003年8月23日号」より作成
Page 38
Ⅵ.資本構成の最適化
5.ミドルマーケット構築の過程と中堅/中小企業のあるべき対応
現在は、金融機関等によるミドルマーケットの構築過程にあります。財務管理サービス人材としては、これらの動向の意義
を十分認識するとともに、企業の経営管理・改善を検討し、金融機関との適切なコミュニケーションを支援することが求め
られます。
期待リターン
29.2%
商工ローン
本来のライン
銀行のリスクに見合ったリターンを要求する動き
(具体的には、金利引上げ要求やミドルリスク、ミドルリ
ターンの金融商品等)
1. 6%
1%
0
従来の融資
リスク
中堅・中小企業としては、以下のような対応により、金融機関とウィン=ウィンの関係を築くことが重要となる
①
金利引き上げ等の条件提示・変更があった場合、その意義の認識
②
自社のリスク低減に向けた経営管理・改善施策の検討と金融機関に対する説明
③
②を踏まえ、無担保・無保証など借入条件見直しや、財務管理アドバイザリーサービス・リスク管理
支援サービスなどの付加サービスの利用について交渉
④
短期返済の見込みなしに、商工ローン・消費者金融などから利息制限法違反の金利が設定されて
いる借入を行わない
Page 39
Ⅵ.資本構成の最適化
6.コミットメントラインの活用
コミットメントラインの活用により資金の提供先を確保しつつ手元資金を減少させることができるため、有利子負債の圧縮
による自己資本比率の向上とそれに伴う格付けの維持・向上を図ることができます。しかし、金利以外に所定の手数料が
掛り高コストになること、現在は出資法の金利規制の適用除外となる資本金が3億円超の企業に利用が限定されていると
いう留意点もあります。
コミットメントラインの活用による有利子負債の削減
活用前のB/S
不要
手元資金
不要借入金
金融資産
有利子負債
活用後のB/S
金融資産
営業負債
営業資産
営業資産
資本
手元流動性を確保するため、借入金
と手元資金を両方保有している状態
有利子負債
営業負債
営業資産
営業資産
資本
コミットメントラインの活用により、手
元資金で借入金を圧縮し、財務状態
の改善を実現
Page 40
Ⅵ.資本構成の最適化
7.社債の発行
現在は規制緩和が進み、株式会社であれば公募社債を発行することができます。投資家の自己責任の原則が徹底され
る結果、発行企業にとっては、ディスクロージャーの徹底や高格付けの取得により、投資家に対して自社の信用力を積極
的にアピールすることが重要となります。
発行企業に求められること
適債基準・財務制限条項の撤廃といっ
た規制緩和による発行の容易化
投資家
取得格付やリスク情報等を、有価証券届出書等の発行
開示書類に記載することが求められる
適切なディスクロージャー体制の整備が必要
投資家
格付の重要性の向上
投資家
投資家と発行企業をつなぐ役割としての格付の重要性
が高まる
流通市場
発行企業
ディスクロージャーの徹底
投資家
自己責任の原則の徹底
リスク判断に資する情報の提供を要求
 格付とは、事業環境、産業特性、収益力の水準・安定性、財
務構成、資産の流動性・質を分析してリスクを把握し、それ
を踏まえて将来キャッシュフローの十分性・安定性を予測し、
デフォルトリスクをAAA~Cといった多段階で表したもの
 BBB以上が投資適格とされる
発行企業としては、財務の安全性・事業の安定性を高
める努力を行い、高格付けを取得することで、自らの信
用力をアピールすることが重要となる
Page 41
Ⅵ.資本構成の最適化
8.自己資本リターンの考え方
金融機関からの借入や社債等に対するリターン(=金利、利回り)は理解しやすい一方で、株主に対するリターンは、安定
配当程度で十分と考えている企業も少なからず見られます。しかし、金融ビッグバン後に株主が投資姿勢を慎重にする中
で、今後株主にとってのリスクに見合ったリターン(配当+キャピタルゲイン)を提供しないと、自己資本の調達が困難に
なっていくと思われます。ただし、企業としては株式市場をコントロールすることができないため、株主へのリターンの原資
として税引後経常利益の確保が重要となります。
【投資家(株主)に対するリターンの考え方】
ゼロコスト
安定配当必要
金利必要
 自己資本は元本の返済が不要の資金であるため、自己資本の調達はゼロコスト調達である
 株式を購入して頂いた株主には配当を払う必要がある
 配当は額面に対するものとして安定している必要がある
 資金を利用する以上、金利よりも安い配当ではまずい
 社内の事業部は使用資金については社内借入として金利を支払うべきである
税引後経常利益
当期利益
 税引後経常利益、当期利益は、自己資本を増加させる配当とキャピタルゲインの原資である
 理論的には、株価は配当を支払った後に内部留保された利益の分だけ上昇するはずである
配当
+
キャピタルゲイン
 期首にキャッシュで株式を購入した株主が一年保有した場合、配当と配当落後株価で期末売
却時のキャピタルゲインがそのトータルリターンとなる
Page 42
Ⅵ.資本構成の最適化
9.債務の株式化
本来の債務の株式化の目的は、債権放棄の1つの手段として用いることではなく、プラスの価値がある株式と負債とを等
価交換することにより、資本構成を改善することにあります。債務の株式化を実施する際には、新しい株主(取引金融機関、
代表者の身内など)に、株式化の実施により最終的に企業価値が増加し、株主に株式のリスクに見合ったリターンが提供
できることを責任を持って説明しなくてはなりません。
バ
ラ
ン
ス
シ
ー
ト
を
「
時
価
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(時価)
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新資本
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Ⅵ.資本構成の最適化
10.本章のソリューションに関わる専門家
資本構成の最適化の各ソリューションに係る主な専門家と、各専門家の果す役割は以下の通りとなります。
ソリューション
金融機関との関係強化
ソリューションに係る主な専門家
専門家の果す役割
金融機関
事業会社のニーズを踏まえたうえで、長短の融資を提供
事業会社の財務を改善するアドバイザリー業務の提供
事業会社の金利・為替等のリスクの回避を支援
(主幹事)証券会社
社債の発行
金融機関
弁護士、公認会計士、税理士
(主幹事)証券会社
株式の発行
公認会計士(監査法人)
税理士
ベンチャーキャピタル
債務の株式化
金融機関
引受審査、発行条件・発行時期等の起債内容について
のアドバイス、社債の引受・募集・販売等の実施
投資家として社債権者となる
財務代理人、発行事務代行会社、登録機関、社債管理
会社等を担い、社債の発行時・発行後の事務を行う
法律・会計・税務上の詳細事項や手続き上の留意点など
に関するアドバイスを実施
公開審査への対応、公開価格の決定、公募・売出株式
の引受等の公開準備作業全般の支援
公開後の直接金融による資金調達の支援
公開に向けた予備調査・会計監査や、公開準備作業全
般の支援
税務面からの資本政策等に対する支援
未公開企業に対し、株式公開にいたる過程で資金提供
や経営支援などを行う
貸付金と株式を交換することで、新たな株主となる
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