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1
[復習]通信路符号化の限界
通信路符号化定理(Shannonの第2符号化定理)
通信路容量がCである通信路に対し、R<C であれば、情報速度R の符
号で復号誤り率がいくらでも小さいものが存在する。R>C であれば、その
ような符号は存在しない。
情報速度R で符号化
入力アルファベット
A={a1,a2,…,ar}の元
通信路復号
X
通信路
Y
(通信路容量C )
通信路容量 C=max{ I(X; Y) } (ビット/記号)
出力アルファベット
A={a1,a2,…,ar}の元
無記憶定常通信路の場合
PX
情報伝送速度 R= (log2 M )/ n (ビット/記号)
2015/07/10
Mは、長さnの系列
のうち符号語として使わ
れる系列の個数
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2
単一パリティ検査符号(1)



0,1 からなる長さ k の系列 x1x2・・・xk を2元通信路を介して伝送したい。
1個の誤りが生じた場合、それを検出(検知)するにはどうすればよいか?
単一パリティ検査符号
系列に含まれる「1」の個数が偶数になるように、
もう一つ記号を付け加えて送る符号化。
付け加える記号を c とすると、
+ は排他的論理和
c= x1+x2 +・・・+xk
含まれる1の個数が
と書ける。この演算はまた、mod 2の演算と考えてもよい。
偶数の場合は 0
奇数の場合は 1
すなわち、通信路を通して送られる系列は
w=x1x2・・・xk c -----------------------(1)
となる。 x1x2・・・xk は情報を伝達するために用いられる記号なので、
情報記号(information symbol)あるいは2元記号の場合は情報ビットと呼ぶ。
c は誤り検出のために付加された記号なので、(パリティ)検査記号
([parity] check symbol)、または(パリティ)検査ビットという。
式(1)は、 w=(x1 , x2 , ・・・, xk , c) と表すことがある。
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単一パリティ検査符号(2)



たとえば長さ k=2 の単一パリティ検査符号は、w=(x1 , x2 , c) が
(0,0,0)、(0,1,1)、(1,0,1)、(1,1,0)
含まれる1の個数が偶数個
となるので、長さ 3、符号語数 4 の符号
C={000, 011, 101, 110}
符号語に隣接する点は
を用いているとみなせる。
符号語になっていない
一般には、長さ k の系列に対し、
c
001
011
長さが k+1 で、1の個数が偶数で
111
101
あるような全ての2元系列からなる
符号長 n=k+1、符号語数 M=2k
x2
の符号を用いているとみなせる。
000
010
単一パリティ検査符号は、一つの
x1
誤りを検出できる。このように誤りの
100
110
検出に用いられる符号を誤り検出
符号(error-detecting code)と呼ぶ。 図7.1 単一パリティ検査符号の幾何的表現
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4
組織符号

k 個の情報記号から、n-k 個の検査記号を一定の方法で求め、
付加することにより符号化される符号長 n の符号を組織符号
(systematic code)と呼ぶ。
w=x1 x2 ・・・ xk c1 c2 ・・・ cn-k
n


符号長 n、情報記号数 k の組織符号を (n, k) 符号と書く。
(n, k) 符号の効率は、
η=R / Rmax=(log2M)/n=(log22k)/n=k / n
である。
単一パリティ検査符号は (k+1, k) 符号であり、
長さ n の系列で、
情報記号数 k を送る
効率はη=k / (k+1) である。
ことができるから
k を大きくとれば効率は上がるが、
冗長度が低くなり信頼性は小さくなる
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5
線形符号とパリティ検査方程式

線形符号(linear code)
c= x1+x2 +・・・+xk のように、検査記号が情報記号の線形な式で与えら
れる符号
線形符号の最も基本的な性質
「任意の二つの符号語について、その成分ごとの和をとると、それがまた
符号語になる」 (線形符号となるための必要十分条件)
[例]符号長3の単一パリティ検査符号 C={000, 011, 101, 110}
(0,1,1)+(1,0,1)=(0+1,1+0,1+1)=(1,1,0)

長さnの系列w=(w1 , w2 , ・・・, wn) が単一パリティ検査符号の符号語とな
るための必要十分条件:
w1+w2 +・・・+wn-1+wn=0
(符号語に含まれる1の個数が偶数)
パリティ検査方程式
=0 という形で線形符号の符号語となるための必要十分条件を与える式(
または式の組)
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シンドローム

符号語 w を送ったとき、
y=(y1, y2,・・・, yn)
が受信されたとする。これは右図のように w に
誤りパターン(error pattern)e=(e1, e2,・・・,en)
e i=
1 (第i成分に誤りが生じたとき)
0 (そうでないとき)
誤り源
e
w
⊕
y=w+e
図: 誤りパターン e を
用いた通信路のモデル
が加わったものと見ることができる。すなわち、
y=w+e
=(w1+e1, w2+e2,・・・, wn+en)
 シンドローム(syndrome)
受信語 y をパリティ検査方程式に代入した結果 s 。すなわち、
s= y1+ y2+・・・+ yn
符号語 w はパリティ検査方程式を満たすので、
s= w1+e1 + w2+e2 + ・・・ + wn+en=e1+e2+・・・+en
誤りがない⇒s=0
1個の誤り ⇒s=1
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水平垂直パリティ検査符号
単一パリティ検査符号の問題点
誤りの検出はできるが、どの情報ビットが誤っているのか、あるいは検査ビットが
誤っているのかは判らない。⇒誤り訂正ができない!
x11 x12 c1
 水平垂直パリティ検査符号
x21 x22 c2
右図のように4個の情報ビットを 2×2 の配列
c1’ c2’ c”
に並べ、各行各列に一つずつ検査ビットを付け
加える。すなわち、
図: 水平垂直パリティ検査符号
(a)
(b)
c1=x11+x12
c2=x21+x22
c1’=x11+x21 c2’=x12+x22
さらに、検査ビットの行の1の数が偶数になる
(c)
(d)
ように、検査ビットの検査ビットを右隅におく。
c”=c1+c2=x11+x12+x21+x22
=c1’+c2’
図: 単一誤りの訂正と2重誤りの検出
この符号化により、1個の誤りが訂正できる。
また、2個の誤りを検出することができる。このような符号を、誤り訂正検出符号
、あるいは簡単に誤り訂正符号(error-correcting code)と呼ぶ。

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8
(7,4)ハミング符号(1)


水平垂直パリティ検査符号の問題点
(9,4)符号であり、情報ビットよりも検査ビットが多く、
効率がよくない。
(7,4)ハミング符号
4個の情報ビット x1, x2, x3, x4 に対し、
c1=x1+x2+x3
c2=
x2+x3+x4
c3=x1+x2
+x4
により、検査ビット c1, c2, c3 を作り、
w=(x1, x2, x3, x4, c1, c2, c3)
という符号語に符号化する。この符号は、情報
ビットが4であるから、符号語は 24=16個ある。
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表:(7,4)ハミング符号
x1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
x2
0
0
1
1
0
0
1
1
0
0
1
1
0
0
1
1
x3
0
0
0
0
1
1
1
1
0
0
0
0
1
1
1
1
x4
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
1
1
1
1
1
c1
0
1
1
0
1
0
0
1
0
1
1
0
1
0
0
1
c2
0
0
1
1
1
1
0
0
1
1
0
0
0
0
1
1
c3
0
1
1
0
0
1
1
0
1
0
0
1
1
0
0
1
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9
(7,4)ハミング符号(2)

符号語を w=(w1 , w2 , ・・・, w7) する。
(7,4)ハミング符号のパリティ検査方程式
w1+w2+w3
+w5
=0
w2+w3+w4
+w6
=0
w1+w2
+w4
+w7 =0
受信語 y=(y1 , y2 , ・・・, y7) に対するシンドローム
s1=y1+y2+y3 +y5
s2= y2+y3+y4 +y6
s3=y1+y2
+y4
+y7
誤りパターン をe=(e1, e2,・・・,e7)とすると
s1=e1+e2+e3 +e5
s2= e2+e3+e4 +e6
s3=e1+e2
+e4
+e7
表: 単一誤りに対するシンドローム
シンド
ローム
誤りパターン
e1
1
0
0
0
0
0
0
0
e2
0
1
0
0
0
0
0
0
e3
0
0
1
0
0
0
0
0
e4
0
0
0
1
0
0
0
0
e5
0
0
0
0
1
0
0
0
e6
0
0
0
0
0
1
0
0
e7
0
0
0
0
0
0
1
0
s1
1
1
1
0
1
0
0
0
s2
0
1
1
1
0
1
0
0
s3
1
1
0
1
0
0
1
0
シンドロームのパターンから
1個の誤りパターンが判る!
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生成行列

(7,4)ハミング符号の符号語 w は情報記号のみで表すと
w=(x1, x2, x3, x4, x1+x2+x3, x2+x3+x4, x1+x2+x4)
という形で書ける。ここで、
1
0
G=
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
1
1
1
0
0
1
1
1
1
1
0
1
x1
x2
x3
x4
という行列を考えれば、符号語 w を
w=x G
と書くことができる。ただし、x=(x1, x2, x3, x4) である。
生成行列(generator matrix)
k 個の情報記号からなるベクトル x をかけたとき、
対応する符号語が生成されるような行列
(n, k)線形符号の生成行列は k×n 行列となる。
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検査行列

(パリティ)検査行列(parity check matrix)
(7,4)ハミング符号のパリティ検査方程式の係数行列 H
x1 x2 x3 x4 c1 c2 c3
1 1 1 0 1 0 0
H= 0 1 1 1 0 1 0
1 1 0 1 0 0 1

HT=
1
1
1
0
1
0
0
0
1
1
1
0
1
0
1
1
0
1
0
0
1
これを用いれば、パリティ検査方程式は
w HT=0
(HT :H の転置行列、 0 :全成分が0のベクトル)
と書ける。
(n, k)線形符号のパリティ検査行列は (n-k)×n 行列
検査行列 H を用いれば、(7,4)ハミング符号のシンドロームの計算式は
s=y HT
と書ける。ここに s は s=(s1, s2, s3) であり、シンドロームパターンまたは単に
シンドロームと呼ばれる。 s=(w+e)HT=wHT+eHT=eHT
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一般のハミング符号
表: 単一誤りに対するシンドローム
シンド
誤りパターン
ローム
e1
1
0
0
0
0
0
0
0
e2
0
1
0
0
0
0
0
0
e3
0
0
1
0
0
0
0
0
e4
0
0
0
1
0
0
0
0
e5
0
0
0
0
1
0
0
0
e6
0
0
0
0
0
1
0
0
e7
0
0
0
0
0
0
1
0
s1
1
1
1
0
1
0
0
0
s2
0
1
1
1
0
1
0
0
s3
1
1
0
1
0
0
1
0
検査行列
1 1 1 0 1 0 0
0 1 1 1 0 1 0
1 1 0 1 0 0 1
単一誤りに対する
シンドロームの行
検査行列の列
すべて異なる計2m-1行
=0以外のm次元2元ベクトル (m: 検査ビット数)
一般のハミング符号
検査行列
p1 p2 ・・・ pk e1 e2 ・・・ em
0以外のm次元2元ベクトル(n=2m-1)
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m
符号長:
n=2m-1
情報ビット数: k=2m -1-m
検査ビット数: n-k=m
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ハミング符号の符号化と復号
検査行列
(m×n)
H= P Em
生成行列
(k×n)
( P: m×k行列,
x1,x2,・・・,xk:情報ビット
G= Ek PT
Em: m×m単位行列,
n=k+m )
符号化
w=(x1,x2,・・・,xk,c1,c2,・・・,cm)=(x1,x2,・・・,xk)G
w
通信路
復号
y
(訂正済)
s=yHT
If s≠0かつsがPの第i列と一致 then yi=yi+1
y
各ビットを並列に処理することが可能→並列符号器、並列復号器
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ハミング距離とハミング重み(1)
2つのn次元ベクトルu=(u1,u2,・・・,un), v=(v1,v2,・・・,vn)の間のハミング距離dH(u,v)
n
def
⇔ dH(u,v)=∑δ(ui,vi)
i=1
ただし δ(u,v)=
0 if u=v
1 if u≠v
dH(u,v)はuとvの対応する位置にある成分の対のうち、互いに異なるものの数
ハミング距離は距離の3公理を満たす。
距離の3公理
任意のn次元ベクトルv1,v2,v3に対して以下のことが成り立つ。
(i) dH(v1,v2)≧0であり、等号が成立するのはv1=v2のときに限る。
(ii) dH(v1,v2)=dH(v2,v1)
(iii)dH(v1,v2)+dH(v2,v3)≧dH(v1,v3) (三角不等式)
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ハミング距離とハミング重み(2)
n次元ベクトルvのハミング重みまたは重みwH(v)
def
⇔ wH(v)=dH(v,0)
wH(v)はvの0でない成分の数
ハミング距離はハミング重みを用いて次のように表せる。
dH(u,v)=wH(u-v)
(例) 符号語wを送りt個の誤りが生じてy=w+eが受信された場合
dH(w,y)=wH(e)=t
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最小距離と誤り訂正能力(1)
符号Cの最小ハミング距離または最小距離(minimum distance) dmin
def
⇔ dmin = min dH(u,v)
u≠v, u,v∈C
限界距離復号法
式 dmin≧2t1+1 を満たす整数t1を定め、t1以下の誤り訂正を行う復号法
• t1の最大値t0= (dmin-1)/2 を
t1+t2
w1
Ω1
t1
t2+1
誤り訂正能力という。
w3
dmin
t1
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dmin以上
Ω3
• t2=dmin -2t1-1とおけば
t1+1≦t≦t1+t2個の誤りは
訂正はできないが検出は可能
Ω2 • 0≦t1≦t0をどのように選ぶかは重要な問題
w2
t1を大きくする→正しく復号される確率は増大するが
誤って復号される確率も増大
検出さえできれば、再送要求などの救済措置が可能
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最小距離と誤り訂正能力(2)
【例】dmin=5の符号による誤りの訂正と検出
t1 訂正可能な誤り 訂正できないが検出可能な誤り
0
-
1~4個
1
1個
2~3個
2
2個
-
線形符号の最小距離=0でない符号語のハミング重みの最小値
最小ハミング重みまたは重み
何故ならば dmin = min dH(u,v) = min wH(u-v)=min wH(w)
u≠v, u,v∈C
u≠v, u,v∈C
w∈C,w≠0
[ハミング符号] 最小距離dmin=3、 誤り訂正能力t0=1
(例) (7,4)ハミング符号の場合
最小距離dmin=最小ハミング重み=3
[水平垂直パリティ検査符号] 最小距離dmin=4、 誤り訂正能力t0=1
単一誤り訂正・2重誤り検出符号
(single-error-correcting/double-error-detecting code;SEC/DED符号)
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