6月5日 第6回発表
藤井 海太
国の競争優位
マイケル・E・ポーター
概要
 特定産業において、企業が競争に成功するのに、国の経
済環境、制度、政策が果たす役割はなにか
 国の競争優位、すなわち特定の産業において競争優位を
促進する国の特性とはなにかを理解する
 また、その特性が企業ならびに政府にとってどんな意味を
持つのかを理解する
本書の構成
 4パート、13章で構成されている
 パートⅠ;基礎理論
 理論について。競争戦略の原理と必要な基礎知識。
 パートⅡ;産業
 理論を応用し、四つの代表的な産業について説明する
 パートⅢ;国別研究
 国に対する理論の応用。
 パートⅣ;提言
 企業の戦略および政府の政策に対する理論の意味について
今回の範囲
 1章;新しいパラダイムの必要

パートⅠ;基礎理論
 2章;グローバル産業における企業の競争優位
 3章;国の競争優位の決定要因
 4章;国の優位のダイナミックス
3章;国の優位の決定要因
 この章では、ポーター教授が「ダイヤモンド」と呼ぶ、国の
優位の決定要因システムについて説明していく
 ある国が特定産業において国際的に成功できるのはなぜか
 企業が競争する環境を形成し、競争優位の創造を促進(ま
たは阻害)する四つの特性で説明できる
国の優位の決定要因
1. 要素条件
ある任意の産業で競争するのに必要な熟練労働またはインフラストラ
クチャーといった生産要素における国の地位
2. 需要条件
製品またはサービスに対する本国市場の需要の性質
3. 関連・支援産業
国の中に、国際競争力をもつ供給産業と関連産業が存在するかしない
か
4. 企業の戦略、構造およびライバル間競争
企業の設立、組織、管理方法を支配する国内条件および国内のライバ
ル間競争の性質
国の優位の決定要因
 四つの決定要因が、個々にまたは協同して、企業が競争
優位を達成する能力に対して与える影響を説明する
 また、4章では四つの要因がダイナミックで進展するシステ
ムとして、どのように互いに影響し合うか考える
要素条件
 生産要素;労働力、耕地、天然資源、資本、インフラストラク
チャーといった、競争するのに必要な投入物
 標準的な貿易理論
 国にはいろいろな要素ストックを賦与されており、その中で比
較的有利に賦与された要素を主に利用した製品を輸出する
 要素の役割は一般的な理解よりもはるかに複雑
 生産要素における劣位のほうが、持続的な競争成功に貢
献する
賦与要素の分類
 カテゴリーに分類





人的資源
物的資源(気候条件、国の位置なども含む)
知識資源
資本資源
インフラストラクチャー
 使用される要素ミックス(要素比率)は産業によって変化
 産業と国に存在する要素との合致こそが、標準的な比較優
位説が拠り所にしたもの。しかし、賦与要素の役割はさらに
複雑である。
賦与要素の分類
 要素が利用できるというだけでは不十分
 要素による競争優位は、要素がどれほど効率よく効果的に
配置されるかによって左右される
国際的成
功
要素優位
要素の配置
他の決定要因
要素タイプの区分
 競争優位に要素が果たす役割を理解するために
 二つの区分
 基本的要素 or 高度要素
 一般的要素 or 専門的要素
要素の階層性
 基本的要素
 天然資源、気候、立地、未熟練工と半熟練工、借入資本など
 必要性の減少、幅広い入手可能性、国際市場での確保などにより、
重要性は低下
 しかし、技術や熟練の必要性が少なく、技術がどこでも入手可能な
産業では依然として重要
 高度要素
 近代的設備、高学歴人材、最先端分野の研究機関
 高次元の競争優位(差別化製品や独自の生産技術)の達成には必
要不可欠
 要素の開発に長期にわたる投資が必要で、不足しがち。また、高度
要素を生むための制度をつくるのにも、優れた人的資源と技術が必
要
 基本的要素はそれ自体が優位を生むことはないが、高度要素の
創造を可能にするのに十分な質と量を持たなくてはならない
要素の階層性
 一般的要素
 広範囲にわたる産業で利用される
 ハイウェー網、大学教育を受けた意欲ある従業員
 専門的要素





限られた範囲の産業で利用される
専門的熟練者、特定分野の知識
一般的要素よりも、明確で持続性のある優位の基礎を提供
集中的でリスクの大きい投資を必要とする
高次の競争優位にとって必要
要素の階層性
 特定の産業における競争に必要な、高度かつ専門的な要
素を国が保有するときに、最も強くて持続性のある競争優
位が生まれる
 要素優位には動態的性質があり、常時グレードアップしな
ければ、持続力のある優位の基礎を失ってしまう
要素の創造
 もう一つの重要な要素区分
 伝承されたもの(天然資源や立地) or 創造されたもの
 高次元の競争優位を達成するのに重要な生産要素、すなわち、
高度要素と専門的要素は創造される
 必要とされる要素の創造と、そのグレードアップに秀でている産
業において国は成功する
 現在の要素プールよりも、要素創造メカニズムのほうが、競争優
位には重要
 要素創造メカニズムにおける国の間の差異は、他の決定要因に
よってもたらされる
選択的要素の劣位
 要素によっては劣位から競争優位が生まれる
 劣位が要素の周辺でイノベーションを試みる圧力を生む
 圧力こそが本当の競争優位を支える
 選択的劣位がイノベーションの刺激剤として肯定的に作用
するかどうかは、他の決定要因によって左右される
 ライバル間競争による圧力や国内の需要条件など
需要条件
 その産業の製品(サービス含む)に対する需要条件
 需要は、企業が行う改善とイノベーションの速度と性格を形
成する
 需要条件の重要な三つの特性
 国内需要の構成(買い手のニーズの性質)
 国内需要成長の大きさとパターン
 国内の嗜好が外国市場へ移行されるメカニズム
本国の需要構成
買い手のニーズ情報
本
国
の
需
要
イノベーションへの圧力
買い手のニーズ情報
イノベーションへの圧力
そ
の
国
の
企
業
競
争
優
位
外
国
企
業
本国の需要・買い手が、外国のライバルに比べて、その国の企業に対して、
買い手のニーズを早く・明確に教える産業、また、より早くイノベーションす
るように圧力をかける産業で、国は競争優位を獲得する
本国の需要構成
 競争がグローバル化しても、本国の需要は重要である
 注意力が大きくなる
 買い手に接近しやすく、また理解もしやすい
 本国市場のニーズが重視される傾向にある
 適切なタイプの買い手に接近することが、国の競争優位に
おいて決定的に重要となる
 国が競争優位を得るのに重要な需要構成の三つの特徴
 需要のセグメント構造
 洗練され、要求水準の高い買い手
 買い手のニーズの先取り
需要のセグメント構造
 セグメント構造が競争優位に影響を与える
 セグメント構造がその国の企業の注意と優先順位を決める
 小国の企業に、自国内では重要なセグメントだが、自国外
では需要の小さいような市場セグメントに集中する、グロー
バルな集中戦略をとらせたりする
洗練され、要求水準の高い買い手
 国内の買い手が製品に対して世界で最も洗練され、要求
水準が高い買い手ならば、その国の企業は競争優位を得
る
 洗練され、要求水準の高い買い手は、企業に対して、製品
の質、特徴、サービスの点で高い基準を満たすよう圧力を
かける
 国内の製品ニーズが、国内環境のためにとくに厳しい産業
で、買い手は要求水準を高くする
 圧力が刺激となり、応えるための努力を続けることが競争
優位へとつながる
買い手のニーズの先取り
 本国の買い手のニーズが他国のそれを先取りする場合、
その国の企業は優位を獲得する
 ただし、あくまでも先取りである場合であり、その国だけの
ニーズで終わるのならば優位の助けにはならない
需要の規模と成長パターン
 投資行動、タイミング、動機付けを動かすことで優位を拡大
 本国需要の規模




 規模の経済性がある産業で競争優位を育てる
独立した買い手の数
 イノベーションにとって好都合
国内需要の成長率
 産業への投資が積極的になる
早期の国内需要
 ニーズの先取り
早期の市場飽和
 イノベーションの活性化
 外国市場への進出
国内需要の国際化
 国の製品を海外に引き出すメカニズム
 移動する、あるいは多国籍の国内の買い手
 移動する買い手;海外進出の足場を固める機会を高める
 多国籍企業が買い手;供給企業に海外へ進出するきっかけを
つくり、初期の需要のベースとなる
 外国のニーズへの影響
 訓練されたのと同じ製品をつかいたがる
 輸出を通じて文化が広まる
需要条件の相互作用
 いくつかの側面は初期の優位を確立するのに大切であり、
別の側面はその優位を強化したり持続力を高める助けを
するように、需要条件は互いに補強しあう
 競争優位に対する効果は、他の決定要因に左右される。
激しいライバル間競争がないとしたら、国内市場の急速な
成長や規模の大きさが、自己満足を起こす原因になるだろ
う。同様に、支援産業がなければ、厳しい買い手の要求に
応えられるだけの能力を持てないだろう。
以上で発表を終わります
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国の競争優位2