調達マネジメント
今日の内容
コアコンピタンス経営
戦略的アウトソーシング
調達マネジメントの手法
コアコンピタンス経営
各種改革プログラム
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リエンジニアリング
リストラクチャリング
事業再編成
ダウンサイジング
アウトソーシング
特徴
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
効率アップするために分母を小さくすること
事業のシュリング
コアコンピタンス経営
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



自分の強み,弱みを知る
他社の強み,弱みを知る
自分の強みに資源を集中する
自分の強みを伸ばす,拡張する
自分の弱みを他社の強みで補う
コアコンピタンス能力
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
技術が優れており,競争優位である
先駆者的な存在であり,進化能力がある
QCDEFSの1つ以上で強い
利益の源泉
コアコンピタンスの階層構造
第1レベルの階層は資源であり,資源は企業のバリュー
チェーンのインプットである.資源に関しては,Barneyが3
つのグループへの分類を提案している.それはすなわち,
有形資源,人的資源,組織的資源である.有形資源の例
としては,工場,設備,土地,建築物,資産などがあり,
人的資源には労働力,マネジメントチーム,トレーニング
や経験など,組織的資源としては,文化や評判といった
ものが挙げられる.このように資源の中には,工場や設
備のように有形で見ることのできるものと,ブランドネー
ムのように無形で見えないものとがある.
資源

有形資産
 工場,設備,土地,建築物,資産

人的資源
 労働力,マネジメントチーム,トレーニングや経験
など

組織資源
 文化,評判(無形資産:ブランドネーム)
階層の第2レベルである能力とは,企業が自らの資源を
どのように利用するか,ということを指す.この能力は,
資源の間での相互作用を管理する一連のビジネスプロ
セスを構成している.ここでいうプロセスとは,インプット
をアウトプットへと変えるような一連の活動である.例え
ば,企業のマーケティング能力とは,労働力(マーケティ
ングの専門家),技術(コンピュータのハード,ソフトウェ
ア),財務資源の相互作用から構成されている.この能力
が際立って特徴的なのは,それらが機能に基づいている
ということである.言い換えると,能力は何かしらの機能
の中に存在している.能力には,マーケティング能力,生
産能力,ロジスティクス能力,人材管理能力などといった
ものがある.
階層の第3レベルである企業力は,機能間を超
えて統合,調整された能力を指す.多くの事業を
行っている企業では,この企業力は一連のスキ
ルやノウハウとして事業部ごとに保持されている.
企業力は事業部の能力間での接触や統合に
よって生まれる.例えば,ある事業部が新製品を
上手く開発できるという企業力を持っているとす
る.そのような企業力とは,少なからずマーケティ
ング能力,R&D能力,生産能力といったものを統
合して生まれた場合が多い.
最上レベルに位置するコア・コンピタンスは,
この事業部間の境界を超越するものであ
る.コア・コンピタンスは異なる事業部間の
企業力の相互作用によって生まれるもの
である.コア・コンピタンスはスキルであり,
事業部間に渡って共有されるある領域に
関する知識の集合でもある.
コアコンピタンス
「異なる事業部間の企業力の相互作用に
よって生まれるものである」
コア・コンピタンスとは特に顧客に特定の
利益をもたらす一連のスキルや技術のこと
であるといえる
例
ソニーにとって顧客に与える利益の1つに携帯性があ
り,そのためのコア・コンピタンスはコンパクト化である.
フェデラル・エクスプレスが提供する利益は定時配達
で,そのための高いレベルのコア・コンピタンスが物流
管理である.物流は,選択の幅や豊富な品揃え,低
価格という利益を顧客にもたらすウォルマートの能力
の中でもそのコアになっている.モトローラは境界の
無い通信網という利益を顧客にもたらしているが,こ
れには無線通信での卓越した企業力が不可欠である
コアコンピタンスの特定
何がコア・コンピタンスであるかを知るため
には,直接重要企業力の中から分析・選
択することも可能であるが,何がコアでは
ないかを知らことが多くの場合もっと重要
であり,資源の分散を防ぐと同時に,消去
法によりコア・コンピタンスを特定してくれる
役割がある.
コア・コンピタンスの特定においては,資産,インフラスト
ラクチャー,競争優位,重要成功要因などとコア・コンピタ
ンスとを混同していることが多い.工場,流通チャネル,
ブランド,あるいは特許権は,スキルというよりも無形資
産であって,コア・コンピタンスではない.しかし資産を管
理する能力であれば,コア・コンピタンスを構成するとい
えるかも知れない.例えば,工場を管理する能力であれ
ばトヨタのリーン生産方式があり,チャネルを管理する能
力ならばウォルマートの物流,ブランドマネジメントならコ
カ・コーラの広告宣伝,知的所有権ならモトローラの特許
権ポートフォリオを保全し拡充していく能力がそうである.
黒猫白猫論と強猫弱猫論
黒猫でも白猫でも鼠が取れればいい猫?
強い猫は太った鼠が取れるが弱い猫はやせた鼠しか取
れない.
例:
技術ライセンスによりある企業が特定製品において競争優位に立つ
ことは可能である.また,事業工場が原料供給地に近い有利な立地
であるために,競争優位を確保する可能性もある.ある企業のプラ
ントが賃金コストの安い場所に立地していることでコスト競争力を確
保するケースも多々ある.さらに,地元で製造される製品であるとい
う理由で,あるいは本物の,つまりフランス産のシャンパンのように
外国製品であるという理由で,顧客は特定企業をひいきにすることも
ある.以上はいずれも競争優位の実例であり,重要な成功要因では
あるけれども,どれもコア・コンピタンスではない.
コア・コンピタンスを中心に成長をしてきた
企業の例
キユーピーは日本国内マヨネーズ市場におい
て,家庭用で7割,業務用を含めても6割の
シェアを握るマヨネーズ市場の「ガリバー」であ
る.1925年に製造を開始し,日本の市場を
作ってきたキユーピーはマヨネーズの代名詞
といっても過言ではない.
ところが,キユーピーの2001年11月期の売上高2604億
円(単独ベース)のうち,ドレッシングを含めたマヨネーズ
事業の構成比は38%で,その額は1000億円に過ぎない.
2002年11月期では連結純利益で86億円,単独経常利
益で118億円と,共に過去最高益を更新したと見られる
が,その牽引役となったのがマヨネーズ・ドレッシング以
外の事業であった.キユーピー全体の売上高構成比を
見ると,
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すでに外食や加工食品メーカー向けが38%と最も高く,
持ち帰り用の惣菜など「中食」向けも25%ある.
一方,家庭向けは37%であり,外食,中食市場の拡大をうまく取
り込んだことが成長に結びついたといえるだろう.
キユーピーが手がける事業領域は大きく5つある.
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第一はマヨネーズ・ドレッシング.
第二が卵事業(売上高構成比は28%).これには,「3分たまご」と名づけ
られた「ゆで卵」などが含まれる.これが普通のゆで卵と違うのは,温泉
卵のように白身はやや固まっているのに,黄身はほとんど生である点だ.
生卵より生臭みがなく,食べやすいことが受けて,人気商品となっている.
他に,業務用のゆで卵や厚焼き玉子といった加工品のほか,パンやか
まぼこの原料となる卵白の液卵も供給する.
第三は缶詰・レトルト事業(19%).アヲハタブランドのジャムやおかゆ,
パスタソースなどを製造・販売する.
第四は野菜とサラダ事業(9%)で,スーパーに野菜サラダを納入してい
る.
第五のヘルスケア事業(5%)ではベビーフードや介護食を扱う.
では,キユーピーの成長の源泉となる技術,ノウハウとは一体,どん
なものなのか.そのカギは,やはりマヨネーズにある.その中でキ
ユーピーが誇り,キユーピーの一番のコア・コンピタンスとして存在す
るのが卵の加工技術である.
工場では,独自開発した割卵機によって黄身と白身を分類する.集
めた黄身はマヨネーズに使い,白身はパンメーカーなどに供給する.
それだけではない.卵殻は土壌改良剤のほか,せんべいなどに混ぜ
て使うカルシウム強化材に化ける.
飲食店やコンビニエンスストアなどの業務用には,割った卵を薄く焼
いたオムライスのシートや紳士卵などにしたり,おでん用のゆで卵に
したりする.前述の3分卵も独自のゆで方なしには商品化できなかっ
た.
卵関連の事業はまだある.長年の卵の成分研究の蓄積を生かして,
1982年から卵に含まれる卵黄レシチンや卵白リゾチウムを衣料品や
化粧品の原料,あるいはサプリメントとして販売する事業を展開して
いるのである.
戦略的アウトソーシング
キューピは卵加工技術を中心とした垂直
統合
しかし,コアコンピタンス経営すべてが垂直
投稿であるとは限らない
戦略的アウトソーシングをすることでコア紺
ピンタンスを伸ばすことが一般的である.
例えば,キヤノンは自社のコア・コンピタンスが何である
のかとてもはっきりとわかっているけれども,コピー機を
構成する部品の内の75%以上の部品をアウトソーシング,
すなわち外部から購入している.企業が支配を目指さな
ければならないのは,顧客価値を最大に高めるようなコ
ア・コンピタンスである.ナイキは,保険会社が書式の印
刷をアウトソーシングするのと同じように,そのおなじみ
のブランドラベルをシューズに縫いこむ作業をアウトソー
シングしている.しかし,物流,品質,デザイン(仕様),製
品開発,スポーツ選手による推薦保証,流通網,広告宣
伝といった企業力については,しっかりとコントロールして
いるのである.
企業提携であれ,ネットワークであれ,優良企業の多くは
コア・コンピタンスに資源を集中して成長している.特定
の製品や市場での競争に必要な企業力の範囲について
管理職は理解しておかなければならないけれども,それ
を社内で全部行う必要は必ずしもない.全部を自社でま
かなおうとすれば,中には自社が苦手とするものも含ま
れる可能性もあり,結果として投資効率が悪くなってしま
うことも考えられる.そこで,企業活動に必要なものであ
るが必ずしも自社で保有する必要のないものはアウト
ソーシングを利用することで必要以上に投資効率を落と
すこともなく,かつ社内の資源をできる限りコア・コンピタ
ンスへ投入することができる.
例:ボルボとプラスティック成型業者Fargelanda



Fargelandaは,1981年にボルボからスピンオフ
スピンオフした後も,主な顧客はボルボ:70%売上げ
ボルボは自動車製造のコア・コンピタンスに集中
 プラスティック成型加工はコア・コンピタンスではないと判断
 Fargelandaの製品価格は競争力があると判断
 Fargelandaをグループから切り離して独立させ,必要な部品
はFargelandaからアウトソーシングする意思決定

2年かけて徐々にFargelandaを独立させた




ロイヤル・カスタマーとしてFargelandaに大きな責任をもつ
改善に関しては厳しい要求をした
多角化戦略失敗
自動車業界に狙いを絞り,SaabやAudiなどとも取引
Make-or-buyの意思決定

Make or Buyの意思決定のコスト面のみに注目する
のでは不十分であり,他にも考慮しなければならない
問題がある.そのような中で,企業がMake or Buyの
意思決定のさまざまな側面を同時に考慮することを可
能にしている3つの意思決定ツール,すなわち
 技術マトリクス,
 コストモデル,
 戦略的フレームワーク
を提唱している研究があり,またそれらのツールを1
つのフレームワークで同時に扱い,意思決定のツー
ルとなるモデルを考案している研究も発表されている.
Make-or-Buyの意思決定のフレームワーク

まず,製品の部品や要素に注目し,それらを製造する
のに必要なプロセス・テクノロジーによってグループ分
けし,それを基準に意思決定を行うモデルも提案され
ている.このアプローチは次のような単純な原則に基
づいている.
 第一に,製品にとって重要で,その企業がうまく作れるような
構成要素に焦点を当てること.
 第二に,サプライヤーがアドバンテージを持っているような部
品は外部委託すること.そして
 第三に,製造パフォーマンスを改善するために,労働者の参
加を生み出す手段としてアウトソーシングを用いる,
というものである.
グループ単位でMake or Buyの意思決定を行っ
た方が,個々の要素よりコストを抑えられる.




グループは,戦略的なグループとコモディティーと呼
ばれる非戦略的なグループとに分類される.
戦略的なグループとは,サプライヤーがほとんど存在
せず,それゆえにプレミアムがあるようなグループで
ある.
逆にコモディティーとは,サプライヤーが多く存在し,
それゆえにマージンも少ないようなグループを指す
グループをさらにコアとそうでないものとに分類するこ
とで,自社のコア・コンピタンスを特定すると同時にア
ウトソーシングするべきものを特定する
企業の活動をアクティビティという単位で分割し,
競争力(Competitive Edge:CE)と戦略的脆弱性
(Strategic Vulnerability:SV)を軸に社内のアク
ティビティを分類し,その結果に応じて意思決定
を行う研究が発表されている.



その意思決定としては,競争力が高く,戦略的脆弱性
も高いアクティビティは自社で保有するべきであり,
両方が中程度のアクティビティは,サプライヤーとの
関係で,短期契約,共同開発,部分的保有などとする
べきで,
両方が低いアクティビティは,アウトソーシングするべ
きであるとしている.
また,現在は自社で行っているが,自社のコア・
コンピタンスにはなり得ず,投資効率を悪くしてい
るような企業力もある.このような企業力に対し
ては他社への売却や子会社としての切り離しな
どといった選択肢を取ることで自社の体制を簡略
化していくことも重要である.しかし,実際に以上
のような選択肢を取るかどうかは重要な意思決
定となるので,様々な観点から判断しなければな
らない.
調達マネジメントの手法
調達マネジメントの目的は競争優位確保である.
現代競争は従来のQCDに加えて,市場環境の
不確実性に対処するためのデリバリーの柔軟性
(F)や環境汚染に対処するための社会的責任問
題(E)がある.
QCDFEすべてにおいて同時進行的に競争優位
を確保することは困難であるので,コストリー
ダーを目指したり,差別化を優先するなど,資源
を集中して1つの競争優位を先に確保することが
重要である.
調達モデルで競争優位
アメリカPCメーカーであるデルは半導体部材の
供給の不安定性を考慮し,販売コストを徹底的
に削減するBTO(Build To Order)のビジネスモデ
ルを構築した.部材の交渉では年間通じて大量
購入の契約をすることで半導体部材のコストダウ
ンを実現すると同時に,サプライヤーと戦略的提
携関係を構築し,コストは年1回交渉で据え置くこ
とで部材サプライヤーと共進互恵の調達を実現
し,部材の安定供給を実現したのである.
カテゴリ(品目)マネジメント
例えば,戦略的重点品に対してはサプライヤーと戦略的提携を結び,
共に進化する構造を作ることにし,
レバレッジ品は自社にとっては重要な部品であるが市場に多くの供
給されているので,サプライヤーの調達比率をダイナミックに調整す
ることで,最大限コストを削減する努力が重要である.
自社にとって重要ではなく使用量が少ないが,市場の供給も少ない
場合には,それがボトルネックになる可能性があるので,製品の設
計変更を通じてこのカテゴリの部品を減らしたり,共同調達すること
によって安定供給を実現するなどの努力が求められる.
そして非重要品については標準化を推進し,コスト競争力を最優先
する戦略を取ることがよい.
カテゴリーマネジメントにおいて重要なのは,マト
リックスが時間と共にダイナミックに変化する点
である.
変化の要因は多くあるが,その中で常に追跡していく
必要があるのは需要と技術である.企業の利益は顧
客の購買によって実現されるものであり,その顧客の
志向が常に変化するために,それにマッチしたQCDE
の製品を製造する技術を発掘していかなければなら
ない.このような技術は自社のコアコンピタンスから生
まれるものもあるが,圧倒的多数を占めるのはやはり
調達部品である.従って,技術のロードマップの作成
と追跡は非常に重要である.
サプライヤーマネジメント
サプライヤーの整理統合




1つの部品を3社で調達していたものを2社に変更すれ
ば3社より安く調達できる可能性がある.
しかし,サプライヤーを整理統合するときに,単純に
会社の数を減らすだけでは効果が出ない.3:3:4の
割合で購入したものを5:5の割合で購入するようにし
てもコストダウンのメリットは限定的であり,コストダウ
ンができない可能性もある.
このとき肝心なことは,2社を決して平等に扱わないこ
とである.
評価は同じ尺度で公正に行い,調達割合傾斜する
(2:8にするなど)ことが重要である.
内製率


トヨタでは内製率を3割程度低く抑えているのに対して,
日本電産では内製率を7割以上増やしているなど,業
界によってはその適正比率が異なるので注意すべき
である.
日本電産は1984年から2006年までの間,TOBを通じ
て23の会社や部門を買収し,市場で調達が難しく競
争が激しいベースプレートなどの部品を自社製造に
切り替えることにより,ハードディスクの一貫生産を通
じて,品質改善,安定供給,コスト改善を実現したので
ある.
共進
交渉の場で相手を叩くだけならその関係は長続きしない.
サプライヤーが譲歩して価格を下げても,その結果はサ
プライヤーが衰退していくか,あるいはサプライヤーが別
の顧客を見つけて逃げてしまうからである.
サプライヤーのコスト構造を適切に見積もり,それに基づ
いて両者共に進化できるような関係を築くことが重要であ
る.
そのためにはTCO(Total Cost of Ownership:コスト構成
要素)を調査しなければならない.
TCO

サプライヤーのTCOは一般的に,利益,物流
費,設備償却費,管理費,加工費,直接材料
費などで構成され,それぞれの項目について
現地の平均賃金水準データや標準償却費率
などの情報を細かく収集することで,サプライ
ヤーのコスト構造を予測することは可能である.
コア・コンピタンス経営における盲点



サプライヤーの情報収集を怠ったことにより,内製か
ら外注に切り替えた後のブラックボックス化である.
一時的にコストを下げることができても,その部品を製
造する会社の数や技術の変化,需給関係の逆転が
発生すれば,長期的にはビジネス全体としての競争
優位を失う可能性が出てくる.
従って,常にサプライヤーの各種情報を収集し,調達
実績,オペレーション,改善度合いなどを追跡すること
で,「調達を見える化」にすることが求められる.
サプライヤーの情報を収集することが非常に重
要であるが,多くの場合それだけではマネジメン
トがうまく機能しない.

重要なことはサプライヤーを共通の基準で評価し,順
位をつけ,調達量に差をつけ,コラボレーションの企
業を選別して,長期にわたって共に進化していくこと
が,サプライチェーン全体の競争優位を確保すること
につながり,そしてサプライチェーン全体の競争優位
が自社の競争優位をサポートしてくれる.
コラボレーション企業の選定




ある程度の調達量があり,サプライヤにもメ
リットがある.
自社の発注量がサプライヤの売り上げの多く
を占め,コントロールがきく.
付き合いが長い,もしくは人的交流があり,信
頼できる.
財務的に安定しており,共同でコストダウンを
推進する余力をもつ.
サプライヤーの評価


QCDだけでなく,環境適応力,サービス力,技術力な
どを取り入れるべきである.
アクセンチュア6項目評価
(1) 技術,20% (先端技術を用いた製品の供給が可能か
(30%),常に新規技術の紹介と提供を行えるか(40%),相互
の技術力の向上に役立つか(30%))
(2) 品質,20% (品質・信頼性が実証されているか(60%),品
質管理に関する計画を持っているか(20%),サプライヤー・
下請けの品質管理を実践しているか(20%))
(3) サービス,15% (問い合わせ・通常オーダーに適切に答え
られるか(20%),緊急の問い合わせに対してタイムリーに答
えられるか(20%),製品・サービスの中止に対する解決策を
提示できるか(10%),急なオーダーの変化・追加などに即時
に対応できるか(50%))
(4) 納入,15% (求めている納入レベルに達しているか(50%),
急な短納期納入に対応できるか(20%),正確な量を常に配
送できているか(10%),配送業務の安定化・短納期化の努
力を積極的に行っているか(20%))
(5) コスト,20% (コスト競争力はあるか(80%),常にコスト削
減努力を行っているか(20%))
(6) 環境,5% (会社全体で環境問題に対する取り組みを行っ
ているか(20%),業績指標として環境に関する項目があるか
(60%),廃棄物削減・再利用・リサイクルなどに取り組んでい
るか(20%))
企業内調達マネジメント
調達マネジメントにおいて重要なことは源流管理
の観点から見ると,サプライヤーのマネジメントよ
り,企業内の調達マネジメントがより重要である.
なぜなら,製品コストの9割が開発段階で決めら
れ,調達コスト削減の可能性も5割以上あるのに
対し,製造段階に突入すると調達コスト削減の可
能性は2割程度しかないのである.
例
ある電子機器メーカでは液晶パネルを使用する複数
の製品を生産していた.設計者たちは液晶パネルが
商品の顔であることもあって,それぞれ各製品の特徴
にあわせて,こだわりをもって液晶ぱネールを選定し
た.その結果,製品モデルごとにサイズや使用がわず
かに違うパネルが次々と採用され,多種多様なパネ
ルを調達せざるを得なくなった.調達コストが高くなっ
ただけでなく,売れ残った時の在庫リスクも高くなった
ので,設計段階で液晶パネルの採用を整理統合した
結果,調達のコストを8%を削減することができたので
ある.
設計段階で調達を考慮する「開発購買」


設計部門と調達部門のコラボレーションを実施する企
業が増えている.
例:富士ゼロックスでは,設計において製品のプラット
フォームかを推進するなど標準化を製品構造まで広
げると同時に,部品のデータベースを構築し,性能,
品質,価格,サプライヤー名など数十項目にわたる情
報を設計者が参照できるようにしている.さらに,製品
設計では3D画面を利用したコラボレーションを実施し,
そこで製品設計や部品選択に関する各種創造的な発
想が生まれる.
調達コストの削減は設計段階が一番有効であるが,製造段階に突
入してからでも可能である.また,製造段階に突入してからは,安定
品質でのフレキシブルなデリバリのウェイトが一段と高くなる.ロット
アウトや生産停止になればそれによる損失が遥かに大きいからであ
る.現在多くの産業で部品の品質要求はシングルPPM(100万個に1
個の不具合)のレベルまで高くなっている.突然の生産量の変更もた
びたび発生する.また,製品がヒットした場合には急に生産計画を変
更して3直生産にする場合があり,その場合には調達コストは相対
的概念で使用され,絶対値が多少大きくなっても,高いマージンをも
たらしてくれる製品投入初期の急成長に合わせた増産に合わせて
調達を増やしていかなければならない.そのときに重要なのは共に
進化するコラボレーション企業の存在である.
情報共有

製造段階における調達マネジメントのもう1つのポイン
トはサプライヤーとの情報共有である.トヨタでは翌月
の生産計画をサプライヤーに「内示」することで,サプ
ライヤーに生産準備の時間を与え,注文が確定して
から「外注カンバン」で確実注文を出すのである.情報
共有の内容はサプライヤーとの関係により決まるが,
一般的に(1)販売予測と実績,(2)新製品生産計画,
(3)新製品開発計画,(4)生産拠点の配置,(5)部材在
庫,(6)部材の長期需要などがある.
集中購買



例えば,松下電器は従来の事業部別の部品到達を集中購買に
切り替え,松下電工,パナホームなど関係会社を含めた全社購
買を実施した結果,2005年度の調達コストの削減効果が30億円
ほどあったと推定している.
しかし,集中購買には権力の集中を伴うので,腐敗の温床にな
る危険性がある.従って,集中購買を実施する際には副産物へ
の対策を考えながら,慎重に進めるべきである.
集中購買には手続きだけの集中など管理費用の削減効果を狙
う形態もあれば,交渉の窓口を一本化や組織統合などそのレベ
ルは多様であるので,実態に合わせて工夫することもできる.
調達人材

財務や経済学の知識が必要であることは勿論,技術
についても幅広い知識を持ち,しかも新しい技術に敏
感であり,交渉力も必要とする.
アクセンチュアの欧州調達調査

調達部門長や役員が求めている調達人材の素養,
(1)誠実さ・倫理観,(2)コミュニケーション能力,(3)サプライ
ヤーとの交渉能力,(4)分析思考力,(5)購買プロセスの理解,
判断力・決断力,(6)知的好奇心,(7)社内調整力,(8)成果・
効率主義,(9リーダシップ,(10)品目および業界知識,
(11)TCO分析,(12)情報システム・テクノロジーなど
ダウンロード

調達マネジメント