日本と東アジア経済専題研究(一)
日本與東亞經濟專題(一)
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今日学ぶこと
第6章 金融新時代
Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
Ⅰ.2. 金融正常化への苦難の道
Ⅰ.3. 一気に進んだ銀行大集約
Ⅰ.4. 銀行の不良債権問題
Ⅰ.5. 金融ビッグバン
Ⅱ.1. マネーサプライ管理政策
Ⅱ.2. 金融政策の誘導目標
Ⅱ.3. ケインズの経済政策論
Ⅱ.4. マンデル=フレミングの理論
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一国の経済の統計
●国民経済の統計
(1) 一年間のモノの生産や消費の流れ(flow)と国民所
得
⇒国民所得勘定
(2) 産業間の生産と販売の流れ
⇒産業連関表
(3) 家計、企業、金融部門間のカネの流れ
⇒資金循環勘定
(4) 一国の資産、負債などのストック(stock)
⇒国民貸借対照表
(5) 海外との貿易、投資などの統計
⇒国際収支表
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資金循環勘定
●資金の流れ(flow)とストック(stock)
⇒資金循環勘定には、金融取引表と金融資産
負債残高表がある。
(1) 金融取引表
⇒一年間の金融資産と負債の流れ(flow)を表
す。
(2) 金融資産負債残高表
⇒ある時点における金融資産と負債の残高
(stock)を表す。
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資金循環勘定
(1) 金融取引表
⇒一年間の政府部門、法人企業、個人部門、
海外部門などの資産と負債の増減にともな
う資金の流れ(flow)を表す。
⇒どの部門からどの部門に資金が流れたかが
わかる。
⇒どの部門がどのようにして資金調達をしたの
かがわかる。
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資金循環勘定
(2) 金融資産負債残高表
⇒ある時点における政府部門、法人企業、個人
部門、海外部門などの金融資産と負債の残
高(stock)を表す。
⇒どの部門がどのように資金を運用したのかが
わかる。
⇒どの部門がどのように資金を調達したのかが
わかる。
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●日本の資金循環構造(図6-1)
⇒資産の項目には資金の運用方法が記され、
負債の項目には資金の調達方法が記されて
いる。
⇒家計、非金融法人、政府の資金(資産)は、金
融仲介部門(間接金融)や証券市場(直接金
融)を通じて再び家計、非金融法人、政府の
負債として流れている。
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●家計の資産(図6-1)
⇒家計部門の資産1,536兆円は、預金728兆円
(約50%)、証券294兆円(約20%)、保険、年
金405兆円(約25%)などとして運用されてい
る。
⇒アメリカに比べて家計の資産運用は預金に
偏っている。
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●非金融法人の資産(図6-1)
⇒資産973兆円は、預金173兆円と証券334兆
円などに運用されている。
●一般政府の資産(図6-1)
⇒中央政府、地方政府には、501兆円の資産
がある。
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●金融仲介部門の負債(図6-1)
⇒金融仲介部門は、家計、非金融法人、政府
から資金を借り入れている。
⇒金融仲介部門の負債の項目には、資金の調
達方法が記されている。
●預金取扱機関の負債(図6-1)
⇒家計、非金融法人から預金971兆円、証券
136兆円の形で資金を調達している。
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●保険、年金基金の負債(図6-1)
⇒家計、非金融法人から保険、年金405兆円を
受け入れている。
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●金融仲介部門の資産(図6-1)
⇒預金取扱機関、保険、年金基金などの資産
は、資金の運用方法を表している。
●預金取扱機関の資産(図6-1)
⇒預金と証券の形で調達した資金を貸出475兆
円、証券494兆円の形で運用されている。
●保険、年金基金
⇒保険、年金基金は、主に証券336兆円に運用
されている。
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●非金融部門の負債(図6-1)
⇒企業は負債の約56%を証券848兆円の形で
調達している。
⇒四分の一の資金391兆円を金融機関からの
借り入れの形で調達している。
●一般政府の負債(図6-1)
⇒一般政府は負債の約80%弱の735兆円を国
債の形で調達している。
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●日本の資金循環の特徴(stockの面)
(1) 最大の資金供給源は家計であり、家計の純
資産は1,151兆円である。
(2) 資金の主な需要先(借り入れ先)は企業と一
般政府である。企業は549兆円の負債超過、
一般政府も441兆円の負債超過である。
(3) 国内での需要を上回る資金供給額238兆円
は、海外で運用されている。
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●貯蓄・投資差額のGDP比(表6-1)
⇒表の見方:
①貯蓄と投資の差額は、一年間のフローで見た資金
の流れである。
②▲の印は、投資が貯蓄を上回っている部門であるこ
とを表す。すなわち、資金不足部門である。▲のな
い部門は、貯蓄が投資を上回っている資金余剰部
門である。
⇒企業は資金余剰部門ですか?それとも資金不足部
門ですか?
⇒家計や一般政府はどうですか?
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●貯蓄・投資差額(表6-1)
⇒海外部門はどうですか?
⇒海外部門は投資超過となっている。これは、
日本から見ると貯蓄超過であり、日本は海外
に対して純資産保有国である。
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●日本の資金循環の特徴(flowの面、表6-1)
(1) 企業は1998年以降資金余剰部門となった。
⇒残高で見れば、失われた10年で負債を抱えている
が、フローで見ると、自己資本調達力を高めている。
(2) 一般政府の資金不足が拡大している。これは政府
の財政難を反映している。
(3) 家計の高齢化によって貯蓄超過が減少している。
(4) 日本全体としては、貯蓄が拡大している。
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Ⅰ.1. 変わる資金の流れ
●少子高齢化と貯蓄
⇒若年世代(勤労世代)は貯蓄世代である。老年世代
(退職世代)は貯蓄を取り崩して生活をする世代であ
る。
⇒少子高齢化によって、若年世代の割合が減って老
年世代の割合が増え、一国の貯蓄が減少すると言
われている。
⇒一国の貯蓄の減少は、対外経常収支黒字の減少を
意味するので、円安をもたらすと言われている。
⇒しかし、表6-1の現状ではそのような傾向は見られて
いない。
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Ⅰ.2. 金融正常化への苦難の道
●失われた10年と不良債権(表6-2)
⇒土地や株価の下落により、銀行は貸出金の
担保価値が減価した。
⇒これにより、本来は資産である貸出金が回収
困難となり、不良債権化した。
⇒2002年10月に政府は04年度(05年3月期)ま
でに不良債権を半減させる金融再生プログラ
ムを策定した。
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Ⅰ.2. 金融正常化への苦難の道
●失われた10年と不良債権(表6-2)
⇒金融再生プログラム策定の02年以降、全国
の銀行の不良債権の総額は、減少していっ
た。
⇒02年
03年
04年
05年
06年
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Ⅰ.2. 金融正常化への苦難の道
●金融正常化
⇒先に学んだように、銀行は金融仲介部門である。
⇒すなわち、家計などの資金余剰部門から企業や政
府などの資金不足部門に資金を循環させる役割を
果たしている。
⇒銀行が不良債権を抱え、経営状況が悪化すると銀
行は金融仲介機能を果たせなくなる。
⇒政府は、銀行の金融仲介機能を正常化させるため
には、不良債権処理が重要であると考えた。
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Ⅰ.2. 金融正常化への苦難の道
基礎知識
●護送船団方式
⇒①どの銀行も経営破たんしないようにする。
②金融機関全体の存続と利益を保証する。
⇒これらの目的を達成するために、経営効率の
最も悪い金融機関に合わせて、銀行同士の
過度な競争を規制する日本の金融行政のこ
と。
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Ⅰ.2. 金融正常化への苦難の道
●銀行が金融仲介機能を果たせなくなった理
由は?
⇒①護送船団方式という金融行政のために、銀
行は競争力を失ったため。
②バブル崩壊以後の失われた10年において、
不良債権が拡大したこと。
01年(02年3月末)には全国の銀行で総額43兆
円の不良債権があった。
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Ⅰ.2. 金融正常化への苦難の道
●金融規制緩和の功罪
⇒96年から02年以降にかけて、銀行の競争力強化の
ために金融規制緩和が行われた。
⇒これは、これまでの護送船団方式を崩壊させる政策
であり、日本版ビッグバンと呼ばれている。
⇒金融規制緩和以降、大手銀行は業績を回復させた。
⇒しかし、証券化商品や投資ファンドへの規制が不十
分であったため、07年のサブプライムローン問題は
金融機関のみならず、実体経済にまで影響を与え
た。
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