第7章
チャータースクールへの反対論: 10の告発
-第2部 チャータースクールによる公教育の刷新-
慶應義塾大学総合政策学部4年 山 中
司
慶應義塾大学環境情報学部2年 外山理沙子
チャータースクールへの10の反対意見
大胆な改革戦略と不可避的に発生する疑念や反対論
1.
チャータースクールは、従来の公立学校から資金と生徒を奪う。
2.
チャータースクールには過度のリスクが伴う。
3.
チャータースクールはアカウンタビリティをまともには発揮できない。
4.
チャータースクールは従来の学校とあまり違わない。
5.
チャータースクールは最も恵まれた子どもたちを「選別し」、最も貧困な子どもたちを
切り捨てる。
6.
チャータースクールは障害をもつ子どもたちにとって必ずしもふさわしくない。
7.
チャータースクールはアメリカ社会をバルカン半島のように分裂させ、我々を結びつ
けている主要な制度を弱体化させる。
8.
チャータースクールは公教育を金儲けの手段にする人々を誘発する。
9.
チャータースクールは、バウチャー制度の隠れ蓑である。
10. チャータースクールの影響は部分的なものにとどまる。
反対論の5つの相
俗悪で利己的な反対論から誠実な疑問まで(P.194)

反対①・反対③
制度的な不備に対する批判(政策的・マクロ的要因)

反対⑥
テクニカルな問題(行政サイドが課題として取り組むべき課題)

反対②・反対⑧・反対⑨
市場原理(競争・企業経営)と公教育との相性(教育のタブーへの挑戦)

反対④
外野からの批判

反対⑤・反対⑦
教育とアイデンティティーに関わる問題(日本との社会コンテクストの違い)
反対①・反対③
制度的な不備に対する批判(マクロ的要因・政策的に解決が可能)


反対① チャータースクールは従来の公立学校から資金と生徒を奪う。

反対③ チャータースクールはアカウンタビリティをまともに発揮できない。
確かにチャータースクール向けの資金は学区の歳入から差し引き
ただし、諸経費や認定料をチャータースクールから徴収し、新たに儲けることも可能

しかし、そもそも何のため、誰のための予算か?
子どもの教育に関する予算はみな、子どもが実際に通う学校にではなく、学区シ
ステムに属するものだという前提に立っている。(P.224)

教育の結果を客観的に査定する方法について、合意は存在しない

チャータースクールのアカウンタビリティを確保するためのシステムはまだほとんど確立して
いない。

主要な学業達成基準の設定? 透明で明確なGAAPE等の手法の提案(第6章)
反対⑥
テクニカルな問題(行政サイドが課題として取り組むべき課題)


反対⑥ チャータースクールは障害をもつ子どもたちにとって必ずしもふさわしくない。
チャータースクールのなかには、生徒の特別なニーズの全てに対応できない
学校もあることは事実(P.206)
その理由は多くの場合、経験や熟練、資源の欠如によるもの

従来の公立学校の多くも、障害を持つ子どもに適切に対応できていない
「(従来の)公立学校は、行動に障害をもつ生徒の教育に関してよい業績を上げ
てきたとはいえない(ボストン・カレッジ、ゾラーム)」

チャータースクールの独自性で特殊教育に対応-連邦政府は否定的

連邦教育省のある部局の後援による調査: チャータースクールによってよりよ
い処遇が受けられるという結果

その一方で別の部局にてその標準化(多様性の剥奪)が進められている。
反対②・反対⑧・反対⑨
市場原理(競争・企業経営)と公教育との相性(教育のタブーへの挑戦)


反対② チャータースクールには過度のリスクが伴う。

反対⑧ チャータースクールは公教育を金儲けの手段にする人々を誘発する。

反対⑨ チャータースクールは、バウチャー制度の隠れ蓑である。
今日のチャータースクールは大多数がうまくいっているが、リスクは当然伴う。
提案; ①注意深いスポンサー ②利用者に対する十分な情報が公開された透明な学校
③州内の(あるいは学区内の)すべての学校に、学力上の共通なコアがあり、定期的
に学力評価されることが要求される。

利潤を追求する企業が学校それ自体の運営に乗り出してよいのか?
アリゾナ州による認可の乱発、オハイオ州での教育長と教育協会との対立

チャータースクールの行き着く先はバウチャーと同じ(アン・C・ルイス)


共通点-顧客による選択と競争を教育に導入する点
相違点-あくまで「公立」の学校が対象
反対④
外野からの批判


反対④ チャータースクールは従来の学校とあまり違わない。
チャータースクールがつくられる文脈にそくしてみれば、ほとんどすべての
チャータースクールは革新的である(P.202)。(第4章参照)
① 権限を与えられた教師(empowered teacher)
② 従来とは異なった教育理念、カリキュラム、プログラム
③ 運営・人事・スケジュール、財政において従来の学校とは異なった方式を採用
④ これまで手つかずに貯蔵されていた親の関与という資源(パートナーとしての親)
反対⑤・反対⑦
教育とアイデンティティーに関わる問題(日本との社会コンテクストの違い)



反対⑤ チャータースクールは最も恵まれた子どもたちを「選別し」、最も貧困な子どもた
ちを切り捨てる。
反対⑦ チャータースクールはアメリカ社会をバルカン半島のように分裂させ、我々を結び
つけている主要な制度を弱体化させる。
チャータースクールの26%が「特別な人々」のため創設-「選別」とは逆
①教育困難な子どもたちを従来の学校よりもより多く「受け入れている」事実
②連邦学校給食補助/障害を持つ/英語を十分に話せない割合は公立学校に匹敵
③入学手続き;地理的要因や教育プログラム。停学・退学; 代替的プログラムと同じ

分断的な学校の出現; 特定の民族に著しく特化したバルカン化(分裂)

マイノリティーが多く集まりすぎてしまうチャータースクール (e.g. ノースカロライナ州)

特定の子ども(顧客)のニーズに特化→その顧客は地域の人種構成における任意の断
面と比べれば多様性が常に乏しい。「卓越性」と「公正」の双方の達成というジレンマ

安全弁の設置と市場の機能;「容認可能な」人種構成を強制する法律が必要?
ダウンロード

第7章(pptファイル)