サステナビリティの前に
東京大学 東洋文化研究所
松井 健
(2010年11月27日 東京大学総長裁量経費企画「Sustainabilityと人文知」第2回WS)
サステナビリティ
・サステナビリティ研究のための含意枠つくり
・抽象性と具体性のおり合い
・サステナビリティについての共有意味へのゆさぶり
・サステナビリティの概念規定を再び問うこと
サステナビリティ
抽象性
抽象度が高い
人類、地球の問題
↓
固有性、個別性の無視
インデックスの設定(地球は温暖化していない!)
↓
問題のすり替え
言語分析(1)
主語 + 他動詞 + 目的語
それとも
主語 + 自動詞
主語 + (サステナブルにする) + 目的語
それとも
主語 + (サステナブルになる)
言語分析(2)
主語 + (サステナブルになる)としても、
(サステナブルになる)ための条件がつく。
主語 + (サステナブルになる) + condi.
これは、結局、
主語 + (サステナブルにする) + 目的語
と変わらない。〈かくれた主語〉が現れる。
言語の問題
・誰が主語になるのか
・ファクトと抽象
例)人類はいるのか? 住民はいるのか?
事例――地元を操作する
地元(2) 賛成多数
地元(1) 反対多数
目的語の問題
何が目的語なのか
特定集団の生活水準、地球環境(そういうものが把握
できるとすれば)の質、人間のための生活の資源?
サステナブルであっても、質や量の劣化は
認められるのか?
動詞の問題
サステナブルにできるだけの知識の蓄積と
技術的応用はあるのか?
現実におこっている反サステナブルな資源開発、
独占、経済的利用といったことに対して、どのように
サステナブルにする動きをエンパワーしうるのか?
遠くにある破滅を用いて、脅迫するという手法?
市民的「国防婦人会」的実践?
資源としての地球(1)
人類の生存
そのために利用される資源としての地球
これをいかに長持ちさせるか?
サステナビリティの基本図式としてみるならば、
人類、地球に到るまでの多種多層の問題系の集積、
それらをほぐす方法も再び統合する方法も
確立されていない。
資源としての地球(2)
地球はない、諸国家はある
国家はない、政策を策定する集団はいる
・
・
・
・
・
分断され、利害が対立する諸集団が入り組んでいる。
個別具体的な諸集団のせめぎ合いをみても、
より上位の集団の動きを予想することはできない
こともある。
事例――重層的関係
国際関係
尖閣諸島と中国脅威論、北朝鮮
アメリカを中心とする世界戦略への参加
日本・アメリカ
日米合意の履行、海兵隊の再組織化
日米安全保障条約と思いやり予算
日米同盟関係への配慮、政権交替など
地元(3)
沖縄県(保守派の知事)
地元(2)
名護市(市長の交替)
地元(1)
辺野古(コミュニティの分裂)
事例――紛争と環境
たとえば、環境とのかかわりでいえば、
韓国・北朝鮮の軍事境界線
沖縄本島北部のアメリカ軍基地
同じようでいて、反対に、
尖閣列島
自然 / 環境 / 資源(1)
自然
人間はその一部分、人間も自然
環境
人間中心的、人間ー環境の区分
資源
利用、操作する人間優越性
システマティックな読み替え
生物多様性
Indigenous
knowledge
→
生物(遺伝)資源(の保全)
→
利用、経済価値のための
情報(金銭的対価)
自然 / 環境 / 資源(2)
自然というものがあるとすれば、
それが環境、資源へと位置づけられることによって、
もっぱら人間中心的にしか意味づけられなくなって
きている。
サステナビリティ研究は、この資源管理の立場に
近いところにあるものと考えられる。
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2010年11月27日 東京大学総長裁量経費企画「Sustainabilityと人文知