経済学入門
(14)実質GDPとインフレ率
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2014年7月10日
復習/1

ある活動に絶対優位を持つとは,他の人(国)に比
べて効率的に生産できることを意味する

各人(国)に絶対優位にある財があるとは限らない

ある財の生産が他人(国)と比べ機会費用が低い
場合にその人(国)はその財の生産に比較優位が
あると言う

各人(国)が比較優位にある財に特化して交換(貿
易)することによって両人(国)は利益を得る

その交換比率は各人の機会費用の中間にある
2014/7/10
経済学入門 14
2
復習/2

トレードオフの存在により人は他人に依存する

交換は人々を豊かにする

自分の機会費用は分かった

優秀な人はインセンティブで金持ちになる

社会が豊かになるカギは分業

生産可能性フロンティアの傾きの大きさが機会費
用を表した

自給自足では生産と消費は等しい

交換によって生産可能性フロンティアの外で消費
が可能になる
2014/7/10
3
経済学入門 14
復習/3

ミクロ経済は企業や家計など経済の小さい単位で
考える

マクロ経済学は経済全体の動きを分析する

3つの目的:高い経済成長=GDPの増加率

低い失業率,低いインフレ率

国内総生産 GDP
Gross domestic product

ある国内での一定期間に市場向けに生産されたす
べての最終的な財とサービスの総額
2014/7/10
経済学入門 14
4
復習2

生産,支出,所得が等しいことを三面等価という

消費 consumption

投資 investment

政府購入 government

輸出 export

輸入 import
M

純輸出 net export
NX

GDP=C + I + G + X – M
2014/7/10
C
I
G
X
経済学入門 14
5
支出アプローチ

最終財に対する需要を金額で表示して合計

モデルで簡単化
1.
日本の住民,外国の住民
 国内需要,外国需要 → 内需と外需
2.
民間と政府
 民間需要,公的需要 → 民需,公需
3.
消費と投資
 今満足を得て無くなる財(うまい棒)
 将来の生産に役立つ財
(うまい棒用焼き機=パフマシーン)
2014/7/10
経済学入門 14
6
生産=供給は需要に等しい

日本国における財の供給=需要

国内総生産+輸入(海外生産)=民需+公需+外需

民需=消費+投資

公需=政府購入

外需=輸出 (外国人が日本の財を需要)

消費等には外国の財も含まれる

例:日本人が買うルイヴィトンのバッグ
国内総生産+輸入=消費+投資+政府購入+輸出
2014/7/10
経済学入門 14
7
最終財アプローチ
国内総生産=消費+投資+政府購入+輸出-輸入



1.
2.
3.
4.
前の式の輸入を右辺に移項した
ルイヴィトンのバッグの購入は消費と輸入で相殺
主体の属性でグループ分けする
消費者
民間部門
企業
日本
政府
公的部門
外国
世界
2014/7/10
経済学入門 14
8
消費,投資,政府購入,純輸出

消費~家計が購入する新しい住宅以外の財やサ
ービスが消費.自動車などの耐久財.

投資~家計や企業の財やサービスを増やすため
の将来使用される財の購入が投資.新築住宅の
購入や工場設備の購入.企業の製品在庫.
政府購入~国や地方自治体の財やサービスへの
支出が政府購入.公務員の給料や公共事業への
支出を含む
 純輸出~国内で生産された物の外国の購入(輸
出)から外国で生産された物の自国の購入(輸入)
を差し引いたものが純輸出

2014/7/10
経済学入門 14
9
名目と実質
本当は生産物の数量を測りたい.名目は簡便な方法
 例:うまい棒を100個生産して価格10円で売れた
名目GDP=10 × 100 =1000円
 生産量はそのまま.しかし,値段が11円に上昇した
名目GDP=11 × 100 =1100円
 生産量は変化なし.しかし,名目GDPは増加した
 名目=金額で考える.実質=数量で考える
 実質GDPは価格変化の影響を取り除いたGDP
 うまい棒100個が実質GDPに対応している
 名目GDPは価格変化があるGDP

2014/7/10
経済学入門 14
10
単位:2005暦年
連鎖価格,10億
円
実質国内総生産(支出側) 暦年
出所:内閣府 経済社会総合研究所
http://www.esri.cao.go.jp/
600,000
523,686
503,921
489,588
500,000
512,452
497,441
517,439
512,364
518,231
525,337
510,045
400,000
300,000
200,000
100,000
0
2004
2014/7/10
2005
2006
2007
2008
2009
経済学入門 14
2010
2011
2012
暦年
2013
11
実質国内総生産(支出側) 暦年出所:内閣府 経済
単位:2005暦年連 社会総合研究所 http://www.esri.cao.go.jp/
鎖価格,10億円
525,337
530,000
520,000
510,000
500,000
518,231
512,452
497,441
510,045
523,686
517,439
512,364
503,921
490,000
480,000
489,588 2009年のリーマンショック
はかなり大きな影響
470,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 暦年
2014/7/10
経済学入門 14
12
実質経済成長率
今年のGDP-去年のGDP
今年のGDP成長率=
× 100

去年のGDP
名目GDPの成長率0.8%を前回計算した

実質GDPの方が実際の生産力を表している

後で計算するように実質GDPの成長率1.5%

実質で考えると結構成長している
2014/7/10
経済学入門 14
13
経済成長率



小数点第2
位を四捨五
入せよ
2012年の実質GDPは 517兆円
2013年の実質GDPは525兆円
2013年の日本の実質GDPの成長率は? 1.5%
525 - 517
× 100
2013年のGDP成長率=
517
8
=
× 100 = 800 ÷ 517
517
= 1.547 ≒ 1.5
2014/7/10
経済学入門 14
14
実質GDP成長率
単位:% 出所:内閣府 経済社会総合研究所
http://www.esri.cao.go.jp/
4.00
2.00
2.19
1.30
2.36
0.00
1.69
4.65
1.53
1.45
-1.04
暦年
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
-2.00
-0.45
-4.00
-5.53
-6.00
2014/7/10
経済学入門 14
15
実質と名目GDP成長率
出所:内閣府 経済社会総合研究所
http://www.esri.cao.go.jp/
単位:%
6.00
実質GDP成長率
4.00
2.36
2.00
0.98
0.00
-2.00
1.30 1.69
0.04
2.19
名目GDP 成長率
4.65
2.39
1.45 1.53
-0.45
1.24
0.90
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
0.52
-1.04
0.55
-2.29
-2.30
-4.00
-5.53
-6.00
2014/7/10
経済学入門 14
暦年
-6.00
いつも実質が名目
を上回っている
16
実質GDP

国内総生産 GDP はある年の総付加価値を意味した

時給900円から時給1000円に上がった!しかし,アイ
スの値段も一本90円から100円に値上がりした.購
入できるアイスの量は同じ.900/90=10,1000/100=10

うまい棒やブラックサンダーが同じだけ生産されても
物価が2倍ならば名目GDPも2倍

物価が上がり見せかけのGDPが上昇は困る

物価の変化を調整したGDPが実質GDPである

実質GDPをどのように作るのか
2014/7/10
経済学入門 14
17
GDPデフレータ

名目GDPを物価で割ることによって実質GDPを計算

物価調整のない名目GDPは金額

実質GDPは名目GDPから物価上昇の影響を除くため
に物価指数(GDPデフレータ)で割って数量を求める

アイディアは物価で割る
支出=価格×数量

⇒
支出
数量 =
価格
GDPデフレータとは国内で生産された財(GDP)の物
価指数である
2014/7/10
経済学入門 14
18
実質GDPの作り方

数量を求めるため物価で割る
名目GDP
実質GDP =
×100
GDPデフレータ


実質GDPはこのように物価指数(GDPデフレータ)
から作られる
一方で,実質GDPを作ってからGDPデフレータを
作る方法もある.現在はこの方法が主流.
2014/7/10
経済学入門 14
19
暦年デフレーター
出所:内閣府 経済社会総合研究所
http://www.esri.cao.go.jp/
単位:2005暦
年=100
104
102 101.3 100
98.9 98
100
96.7 96.2
98
96
94.1
92.4 91.6
94
91
92
90
88
86
84
暦年
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
2014/7/10
経済学入門 14
20
実質GDPとGDPデフレータ

実質GDPに比べ名目GDPはあまり増えていない

しかし,GDPデフレータが大きく下落している

そのため実質GDPは高くなっている

GDPデフレターは消費者物価指数よりも下落して
いる傾向にある

GDPデフレータは生産者が直面する物価であるの
で,消費者よりも生産者の方がデフレの影響が大
きいと考えられる.これは良いことなのだろうか?
2014/7/10
経済学入門 14
21
もう一つの実質GDPの作り方

反対に実質GDPからGDPデフレータを求める方法
を考える
名目GDP
GDPデフレータ =
×100
実質GDP





このとき実質GDPはどのように作るのか?
年ごとによって価格が変わる
生産量も変わる ←これが知りたい
ある固定された年を基準年として設ける
基準年の価格を用いて財やサービスの金額を計
算する
2014/7/10
経済学入門 14
22
シトロン国の経済




ブラックサンダーとうまい棒のみを生産するシトロン国
基準年は2005年とする
【2005年】当初,ブラックサンダーの価格は30円,うま
い棒の価格は10円であった.ブラックサンダーの生産
量は10個,うまい棒の生産量は20本であった
名目GDPはいくら?
価格(円) 数量
2005
2014/7/10
ブラックサンダー
30
10
うまい棒
10
20
経済学入門 14
23
2005年の名目と実質GDP

名目GDPはそのまま金額を計算すれば良い
2005年の名目GDP=30×10+10×20=300+200=500

シトロン国の2005年の名目GDPは500円である

2005年が基準年なのでブラックサンダーの価格30
円とうまい棒の価格10円は固定する

実質GDPはこの年の価格で財の価値を評価する

よって,2005年の実質GDPはこの年の名目GDPと同
じ500円になる

次の年に生産量も価格も変化したとする
2014/7/10
経済学入門 14
24
2006年のシトロン国
2006 ブラックサンダー
うまい棒

価格(円)
32
12
数量
15
30
単純に金額を計算するとこの年の名目GDPが求まる
2006年の名目GDP=32×15+12×30=480+360=840

名目GDPは500円から840円に成長.価格の上昇(ブラ
ック30円から32円,うまい10円から12円)を受けている

実質GDPは基準年の価格で計算する
2006年の実質GDP=30×15+10×30=350+300=650
2014/7/10
経済学入門 14
25
2006年の名目と実質GDP

シトロン国の2005年の実質GDPは650円である

この年の名目GDPは840円だったから名目GDPは実
質GDPを上回っている.GDPデフレータは?

基準年は名目GDPと実質GDPが等しい

基準年のGDPデフレータは常に100となる
名目GDP
GDPデフレータ =
×100
実質GDP
500
=
×100 = 100
500
2014/7/10
経済学入門 14
26
2006年のGDPデフレータ

2006年のGDPデフレータは100と異なる
2006年の実質GDPは650円であり,名目GDPは840円
名目GDP
GDPデフレータ =
×100
実質GDP
840
=
×100 =129.23‥
650
≒129
 この年のGDPデフレータは129である


GDPデフレータ129は100よりも大きいのでインフレ
2014/7/10
経済学入門 14
27
インフレとデフレ

お小遣いや時給が上がっても物価が上がると実質
的に購入できる財やサービスの量は減ってしまう

インフレやデフレとは何だろうか

経済のほとんどの財やサービスの価格が上昇する
ことをインフレーションという

反対に財やサービス価格の全般的な下落をデフレ
ーションという.略してインフレやデフレと呼ぶ

デフレは必ずしも不況を意味しない

しかし,不況期には物価は下落するのが常である
2014/7/10
経済学入門 14
28
インフレ率

インフレやデフレの状態を物価の上昇率で測る

インフレ率はある期から次の期への物価の上昇率
を意味する.今,物価をGDPデフレータとみなす
次年のGDPデフレータ-前年のGDPデフレータ
インフレ率=
× 100
前年のGDPデフレータ

2006年のシトロン国のインフレ率はいくらか?
2014/7/10
経済学入門 14
29
2006年のシトロン国のインフレ率

2005年のシトロン国のGDPデフレータは100.

2006年のシトロン国のGDPデフレータ129.

2006年のインフレ率はいくらか?
129-100
29
×100 =
100
×100 = 29 (%)
100

シトロン国のインフレ率は29%でありインフレ

インフレ率が負になるとデフレという
2014/7/10
経済学入門 14
30
国の豊かさを測る

多くの生産は国を豊かにする.生産された物は人々へ

人が多すぎると食べ物が行き渡らない.どちらが豊か?
1.
うまい棒500個生産,人口が12人の村
2.
うまい棒500個生産,人口が134人の村 1の方が豊か

国民1人当たりうまい棒が何個もらえるか

1人当たりの生産物は大まかな国の豊かさを測る

一国の人口1人当たりの実質GDPを見れば良い

1人当たりの平均的に利用可能な財とサービスの指標
2014/7/10
経済学入門 14
31
総人口
総務省統計局 日本の統計 人口・世帯
http://www.stat.go.jp/data/nihon/02.htm
単位:1,000人
128200
128000
127800
127901
128033
127787
128032
128084
127799
128057
127515
127600
127768
127400
127220
127200
127000
2008年から日本の人口は減っている
126800
年
126600
2004
2014/7/10
2005
2006
2007
2008
経済学入門 14
2009
2010
2011
2012
2013
32
一人当たり実質GDP出所:内閣府 経済社会総合研究所
総務省統計局 日本の統計 人口・世帯
大体一人400万円くらい
円
4,200,000
4,150,000
4,100,000
4,050,000
4,000,000
3,950,000
3,900,000
3,850,000
3,800,000
3,750,000
3,700,000
3,650,000
4,129,355
4,090,241
4,046,024
4,006,629
4,057,870
4,001,064
3,892,733
3,990,991
3,944,031
3,823,953
年
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
2014/7/10
経済学入門 14
33
景気の善し悪し
経済は波打ちながら成長していく
 景気の山や谷の判断は成長率
 好況(A)→後退(B)→不況(C)→回復(D)→好況(E)
E
 景気とデフレの関係

山
A
B
谷
2014/7/10
経済学入門 14
D
C
34
実質国内総生産(支出側) 暦年出所:内閣府 経済
単位:2005暦年連 社会総合研究所 http://www.esri.cao.go.jp/
鎖価格,10億円
530,000
520,000
510,000
500,000
景気拡大の山は2008年2月
512,452
497,441
525,337
518,231 リーマンの反動
510,045
523,686
517,439
512,364
503,921
大震災
490,000
480,000
470,000
489,588
リーマンショック
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 暦年
2014/7/10
経済学入門 14
35
復習1

実質GDPは物価の影響を除いた付加価値を測る

GDPデフレータは国内で生産される財の物価指数
名目GDP
実質GDP=
GDPデフレ-タ

実質GDPからGDPデフレータを測る方法もある

基準年の財の価格を固定して他の年の金額を計算
すると実質GDPが求まる
2014/7/10
経済学入門 14
36
復習2
名目GDP
GDPデフレータ =
×100
実質GDP

インフレ率は物価の増加率を意味する

インフレ率が負であるとデフレである

豊かさを1人当たりの実質GDPで測る

経済は波打ちながら成長していく

好況→後退→不況→回復→好況
2014/7/10
経済学入門 14
37
アンケート,宿題(締め切り火曜日)

テキスト第8章p.261~p.278を読む

もう一度,あなたの関心のある日本経済や世界経
済のトピックスを述べて下さい.経済現象です

テキストp. 287テストバンク1:1単位3ドルで販売
される財Aを3万単位生産し,1単位2ドルで販売さ
れる財Bを6万単位生産しているとしよう.財Aの
GDPへの貢献度はどれくらいか
2014/7/10
経済学入門 14
38
ダウンロード

第14回目の資料