英米の国防費削減
2011年4月
Ⅰ.財政
金融危機後、英米の財政は顕著に悪化
一般政府収支/ GDP (%)
10
5
ドイツ
日本
韓国
英国
米国
0
-5
-10
-15
93
96
99
02
出所) OECD(次ページ以降同じ)
05
08
11
政府債務が積み上がる
一般政府総債務/ GDP (%)
250
200
ドイツ
日本
韓国
英国
米国
150
100
50
0
93
96
99
02
05
08
11
政府債務が積み上がる
総債務に比べ純債務では日本と諸外国の格差は小さい
一般政府純債務/ GDP (%)
140
120
100
80
60
40
20
0
-20
-40
-60
ドイツ
日本
韓国
英国
米国
93
96
99
02
05
08
11
金融危機に伴い英米の政府歳出が増加
一般政府総歳出/ GDP (%)
60
55
50
ドイツ
日本
韓国
英国
米国
45
40
35
30
25
20
93
96
99
02
05
08
11
景気後退で英米の税収が急減
一般政府総税収/ GDP (%)
38
36
34
32
30
28
26
24
22
20
ドイツ
日本
韓国
英国
米国
93
96
99
02
05
08
11
911後に米国の国防負担が増加
軍事支出/ GDP (%)
6
5
4
ドイツ
日本
韓国
英国
米国
3
2
1
0
88
92
出所) SIPRI
96
00
04
08
今後、社会保障負担と利払い負担が
確実に増加
億ドル
米国連邦政府歳出ベースライン
70,000
60,000
50,000
40,000
純利払
義務的支出
非国防裁量支出
国防
30,000
20,000
10,000
0
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
会計年度
出所) 2012会計年度米国予算教書
マレン統合参謀本部議長
「国家安全保障に対して債務は極めて重要な問
題だと考えます。なぜなら我々はそれから影響を
受けるからです。」
2011年2月16日、下院軍事委員会公聴会にて
マケイン議員
「マレン提督は意見書の中で『債務は国家安全保
障に対する最大の脅威です。・・・・・』と書いていま
すが、私はそれと同意見です。」
「JSFについて懸念しています。・・・・・・我々の中
には、アイゼンハワー大統領が警告した軍・産・議
会複合体が生きているとの考えを持つものがいま
すが、その考えは強められています。」
中国を初めとする外国への利払い負担が増す
米国連邦政府の利払い
億ドル
3,500
3,000
2,500
国内
その他海外
日本
中国
2,000
1,500
1,000
500
0
99
02
05
08
注) 連邦政府系機関を含む
出所) 米国商務省(国際収支統計、国民所得統計)
中国を初めとする対外債務が積み上がる
注) 連邦政府系機関を含む
出所) 米国商務省(国際収支統計)、FRB(資金循環勘定)
2010年の米国連邦政府(政府系機関を含む)の
外国への利払額は、
1,418億ドル
うち中国向けは
456億ドル
米国の2010年度国防歳出は、6,936億ドル
うち装備取得費は
1,336億ドル
中国の2009年の国防歳出は、
中国政府発表によれば
米国国防総省推定によれば
786億ドル
1,500億ドル
茶会党:課税にはもうウンザリ
ウィスコンシン州の公務員スト権廃止に
対する抗議デモ(2011年3月13日)
2012年度予算教書は国防費を主体に
歳出削減を提案
億ドル
ベースラインからの歳出削減提案
1000
500
0
-500
純利払
義務的支出
非国防裁量支出
国防
-1000
-1500
-2000
-2500
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
会計年度
出所) 2012会計年度米国予算教書(次ページ以降同じ)
景気回復と税収増により財政赤字は
最悪期を脱する見込み
米国連邦政府財政赤字
億ドル
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
ベースライン赤字
2012 年度予算教書
8,000
6,000
4,000
2,000
0
10
11
12
13
14
15
会計年度
16
17
18
19
20
21
イラクおよびアフガンからの撤兵によ
り、陸軍と海兵隊を中心に運用・維持費
を半減
運用・維持費
会計年度
2000
2005
2010
2011
2012
2014
2016
億ドル
陸軍
215
596
848
991
880
403
379
海軍
242
322
412
441
461
403
420
27
56
99
101
95
64
59
220
346
460
493
470
370
392
アフガン保安隊
0
1
45
112
118
6
0
イラク保安隊
0
1
19
12
9
1
0
パキスタン反暴乱
0
0
5
4
0
0
0
アフガン・インフラ
0
0
0
0
2
0
0
海兵隊
空軍
イラクおよびアフガンからの撤兵によ
り、陸軍と海兵隊の人件費を削減
人件費
会計年度
2000
2005
2010
2011
2012
2014
2016
億ドル
陸軍
225
446
516
518
508
454
453
海軍
181
261
269
267
279
277
291
67
110
136
137
142
141
137
183
274
283
287
298
296
316
海兵隊
空軍
陸軍の装備取得を抑制
陸軍の装備取得費(抜粋)
会計年度
2000
2005
2010
2011
2012
2014
2016
億ドル
弾薬
11
16
23
50
30
20
20
9
14
20
22
19
16
16
航空機
13
25
57
64
66
71
66
軌道式戦闘車両
15
23
63
52
40
24
23
その他
34
87
266
245
191
109
113
ミサイル
海軍の装備取得は実質横這い
海軍の装備取得費(抜粋)
会計年度
2000
2005
2010
2011
2012
2014
2016
億ドル
弾薬(海兵隊含む)
3
11
13
15
15
10
10
航空機
77
88
143
182
193
194
203
兵器
14
19
31
33
34
35
38
艦艇
67
100
119
139
133
150
161
その他
39
44
60
56
57
64
73
空軍の装備取得は実質減少
空軍の装備取得費(抜粋)
会計年度
2000
2005
2010
2011
2012
2014
2016
億ドル
弾薬
4
13
9
12
11
7
7
航空機
90
120
137
179
149
155
180
ミサイル
22
37
44
51
53
58
65
その他
71
151
194
205
201
186
189
主に海軍と陸軍の研究開発費を削減
研究・開発費(抜粋)
会計年度
2000
2005
2010
2011
2012
2014
2016
億ドル
共通
98
190
207
206
201
196
193
海軍
89
160
192
202
188
177
154
陸軍
48
97
107
117
113
102
83
空軍
138
206
262
277
278
264
264
2011年4月13日にオバマ大統領は更なる
歳出削減を提唱
2011年度
予算教書
削減額
12~21年度
累計(兆ドル)
国防
9.1
非国防裁量支出
3.9
義務的支出
1.8
財政赤字
21.8
4月13日提案
の追加削減
12~23年度
4.0
7.7
7.8
18.2
英国の2011年度予算
2011年3月23日公表
英国の緊縮予算案
2010年6月22日公表
英国では戦後最大規模の歳出削減
経常および投資歳出の合計
2010年度
2014年度
億ポ ン ド
教育雇用訓練省
586
573
-2.2%
交通省
123
119
-3.3%
1,029
1,144
11.2%
97
83
-14.4%
380
334
-12.1%
193
147
-23.8%
外務省
23
13
-43.5%
国際開発省
75
114
52.0%
文化省
21
12
-42.9%
スコッ トランド省
285
277
-2.8%
ウ ェ ー ル ズ 国務省室
152
146
-3.9%
北ア イ ル ラ ン ド
109
103
-5.5%
3,761
3,693
-1.8%
国民健康サ ー ビ ス
内務省
国防省
産業・ 科学技術
一般会計全体
出所) 2011年度英国予算(以下同じ)
税制改正の2012年度の課税後実質
所得への影響
直接税
間接税
課税控除
低所得←
横軸は所得階層10区分
→高所得
財政赤字は縮小の見通し
英国の財政赤字
億ポンド
1,800
1,600
1,400
1,200
1,000
800
600
400
200
0
投資赤字
経常赤字
’09
10
11
12
会計年度
13
14
15
歳出削減への抗議デモ(2011年3月26日)
幕
間
調達打ち切り
計画縮小:Future Combat Systems
Ground Combat Vehicle
候補の一つであるプーマ(ボーイング、クラウ
ス・マッフェイ・ウェグマン、ラインメタルの合同
チームの提案
Helicopter shortage seriously
undermines UK operations in
Afghanistan, report says
guardian.co.uk, 16 July 2009
Gordon Brown confronted by
grieving mother Jacqui Janes
over Afghanistan
Times Online, November 10, 2009
Mother demands answers after
hero Army officer dies in
Afghanistan
A mother has reignited the
debate over the number of
helicopters in Afghanistan by
asking why it took so long to
rescue her dying son.
London Evening Standard,
17 August 2010
Grieving mother of soldier killed
in Afghanistan confronts Brown
over troop equipment
MailOnline, 15th March 2010
Ⅱ.英国の国防計画縮小
戦略防衛見直し(2010年10月公表)
に基づく
STOVL空母2隻の建造計画
総額200億ポンド
STOVL空母2隻の建造計画
総額200億ポンド

1番艦の竣工を2016年から2020年へ延期

CTOL空母としてF-35Cを運用

運用は1隻のみ

残る1隻はモスボール(extended readiness)


将来的には2隻でローテーション、あるいはモ
スボールされた1隻を売却
2隻とも建造が開始されており、今から発注取
り消しは解約料がかさむ
CTOL仕様の空母
建造中の空母
インヴィンシブル級STOVL空母

インヴィンシブル
2005年に退役済

アーク・ロイヤル
2011年初頭に退役

イラストリアス


HMSオーシャンとイラストリアスのどちらかをヘ
リコプター揚陸艦として残し、外れた方はモスボ
ール
空軍と合同運用のハリヤーは2011年初頭に
全機退役


駆逐艦およびフリゲートを現有の22隻か
ら19隻へ削減
現有7隻のトラファルガー級SSNを更新
するアスチュート級SSNを7隻建造(1番
艦は就役済)
45型駆逐艦
隻建造
42型駆逐艦
26型フリゲート
以降就役
23型フリゲート
現有(2011年4月)
2
6
4
0
13
2020年
26型フリゲート
BAEシステムズが2010年より4年1.27億ポンドで設
計を受注
アスチュート級SSN
フォークランド海域での存在を維持
流氷観測艦エンデュアランス
空軍の戦闘機はタイフーンとF-35のみに

ハリヤーを2011年初頭に全機退役

トーネードを徐々に退役

F-35の調達数を減らす




ニムロッドMRA4対潜哨戒機の調達取り止め(計画で
は12機調達)
2013年までに空中給油/輸送機のトライスターおよ
びVC-10を退役、A-330(最大14機調達)で更新
C-130Jを予定より10年早く2022年に全機退役、
A400M(22機調達)で更新
C-17は7機を維持
陸軍は5個マルチロール旅団と1個空挺旅団が
基幹に



第1機甲師団
3個旅団
第3師団
4個旅団
第2師団(地域)
4個旅団(地域)
第4師団(地域)
3個旅団(地域)
第5師団(地域)
3個旅団(地域)
第6師団(地域)
司令部のみ
第16空挺旅団
第3コマンド旅団
(海兵隊)
現有の7個展開可能旅団(空挺除く)のうち、当面1個旅団
を削減。将来的には5個マルチロール旅団へ改編、うち1
個を即応体制に置く
展開可能な1個師団本部、訓練目的の1個師団本部(必
要に応じて展開可能)
4個地域師団司令部を単一のサポート司令部に統合
陸軍車両は軽量化へ




チャレンジャー2戦車(現有345台、うち90台は
予備)を40%削減
AS90自走砲(現有179台、うち48台は予備)を
35%削減
中量級装甲車両Future Rapid Effects System
Utility Vehicleを2012年より3,300台調達
支援部隊に装甲車両を導入
核戦力



現有のヴァンガード級SSBN4隻の退役を
2020年代末~2030年代初頭に延期、代替艦
の計画決定も2016年頃に延期
代替SSBNのミサイル搭載数は8基の見込
み。ヴァンガード級は16基
ヴァンガード級の搭載ミサイルを減らし、1隻当
たり搭載弾頭数を48から40へ削減

使用可能核弾頭数を160から120に削減

保有核兵器数を180に削減(現有は200?)
Ⅲ.米国の国防計画縮小
2012年度予算教書で打ち切られた計画
2010会計年度の予算額





C-17輸送機
25億ドル
EP-X有人電子情報偵察機
億ドル
海兵遠征戦闘車両
3億ドル
JSF用代替エンジン
5億ドル
非直接照準発射システム
億ドル
12
1
C-17
2007年に国防総省は180機で調達打ち切りを
求めたにもかかわらず、議会が予算を付けて
223機発注済。
EP-X
海軍のEP-3電子情報偵察機の後継とし
てボーイングとレイセオンが開発中
電子情報偵察に最も有効な手段は何か
見直しが入ったため打ち切りを提案
海兵遠征戦闘車両
573台調達予定
重量38トン、水上速力25ノット、陸上速力72キロ
価格が当初見込みより177%上昇、1台2400
万ドルに。要求性能満たせず
非直接照準発射システム
射程40キロ。FCSの一環として開発
開発が難航、要求性能を満たせず
ゲーツ国防長官が2011年1月6日に削減計画
を公表
空軍は今後5年間に340億ドルを削減





国内2か所、欧州2か所のオペレーショ
ン・センターを統合
現存24個空軍司令部のうち3個のスタッフを
統合
航空機動軍団(AMC)の消費燃料を5億
ドル節約
兵站を合理化
通信インフラのコストを25%削減
陸軍は今後5年間に290億ドルを削減



管理部門の人員を1,000人削減(武官・文
官)
既存の施設の延命により、建設コストを14
億ドル節約
電子メール・データセンターを統合して5
億ドル節約
海軍は今後5年間に350億ドルを削減




陸上勤務の人員6,000人を海上勤務へ移す
複数年度調達により、哨戒機、電子戦機、
戦闘機の調達コストを13億ドル節約
艦艇のスタッフを整理
第2艦隊司令部(在ノーフォーク)を解
散、アメリカ艦隊総軍に任務を移管
国防総省は今後5年間に540億ドルを削減








ITシステムの統合により年10億ドル以上
を節約
外部委託業務を自ら行うことにより60億ド
ル節約
人員合理化で40億ドル節約
911後に膨張した諜報機関を整理合理化
現在900ある指揮官ポストを100削減、1400
ある文官上位職を200削減
組織の見直し
在欧の組織を縮小
400件の内部報告書を廃止して12億ドル節約
兵器調達の見直し



陸軍はSLAMRAAM地対空ミサイルの調達を取
りやめ
2年以内に開発上の問題が解決しなけれ
ば、F-35Bは開発中止。その場合はF/A-18を
追加購入
海兵遠征戦闘車両の開発を打ち切り
3軍の前記の削減総額980億ドルのうち、280
億ドルは運用費に充てる。残り700億ドルを有
効活用する
陸軍




兵員の自殺と薬物使用防止のためのカウン
セリング充実
エイブラムズ、ブラッドリー、ストライカ
ーの近代化
新型戦術通信ネットワークの普及
MC-12偵察機、グレイ・イーグルUAVの増強
および無人VTOL機の新規開発
空軍





MQ-7リーパーUAVを初めとするUAVの増強
衛星打上ロケット(デルタⅣ、アトラス
Ⅴ)の追加購入
F-15のレーダー近代化
F-35の訓練用シミュレーターの追加購入
新型長距離核爆撃機(有人あるいは無人)
の開発
MC-12
グレイ・イーグル
MQ-7
新型長距離核爆撃機






偵察任務にも使用
ステルス
航続距離5,000マイル以上
175機調達
計画の総費用400~500億ドル
就役は2020年代半ば以降
海軍





新世代の電子ジャマーの開発加速
イラクおよびアフガンにおける海兵隊装備
の修理・改修を強化
新世代の艦上/艦載無人攻撃・偵察機の開
発
F-18の追加購入と既保有150機の延命(F-35
の開発遅延に対するヘッジ)
今後5年間に、駆逐艦1隻、LCS1隻、海洋
観測船1隻、および給油艦(複数)の追加
購入
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